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CB550第01話

Last-modified: 2007-11-09 (金) 23:23:56

第1話 ユニウスセブン

宇宙世紀133年、木星帝国ジュピターエンパイアと宇宙海賊クロスボーンバンガードとの戦いは佳境を向かえていた。
木星軍の切り札である7体の最終MAティビニダドは、地球連邦軍とコロニー連合軍の前に押されはじめ、木星軍の敗北はもはや時間の問題であろうと思われた。
地球に落ちた一つの悪意に挑んだ一人の少年の戦いと、
宇宙にて繰り広げられる一つの狂気と一人の青年との闘い、
その二つの行方以外は。

宇宙に瞬く二つの星があった

「邪魔をするなっ!」

白き流星キンケドゥ・ナウはザンバスターを振るい、

「ひゃーはっはっは、キンケドゥ。駄目じゃないか、死んだやつが出てきちゃ!」

黒き狂星ザビーネ・シャルもまたザンバスターで薙ぎ払う。
二つの星、クロスボーンガンダム同士の決闘は、

「ザビーネッ!」
「死んでなきゃあああ!」

どこまでも続いていった。
しかしどんな戦いにも終わりはある。
互いに武装はヒートダガーのみ

「ザビーネェェェェ!」

こうして星は激突し、

「キンケドゥゥゥゥ!」

ザビーネの一撃はX1頭部に浅く切れ込みをいれ、
キンケドゥの一撃はX2動力部に深く突き刺さっていた。

キンケドゥはザビーネのX2が地球へと落ち、光となって消えるのを見とどけると、ある異変に気付いた。
妙な光がX1の周囲を覆いつつあった。

「くそ!何だこの光は!」

と愚痴を吐きながらもビームシールドを展開、辺りの異変に構うことなく全速力で地球へと突入していった。

大気圏突入後も光はどんどん強くなり、もはや目も開けられないほどであった。
この世界で見た最後の光景は大剣に突き刺されたティビニダドと、自分と同じ様に光にのまれるクロスボーンガンダムX3の姿だった。

キンケドゥが意識を取り戻すとそこは見渡す限りデブリの山だった。

「どこだ?ここは、」
(辺りの状態から見て宇宙、それもどこかの廃コロニーの様だが)

とりあえず自分の機体に何か異常が起こってないか調べるととても奇妙なことに気付いた。

(妙だ、完璧すぎる。)

そう、自分の機体は完璧の状態だった。エネルギー問題なし、各駆動部異常なし、外装傷一つ無し、電子機器オールグリーン、武装はフル装備、ザビーネとの闘いの際に破損し宇宙に放り投げたはずのザンバスターまであり、あまつさえABCマントまで付いている。
だからこそ変だった。工場で組み立てたばかりならいざ知らず、戦場に出て大気圏突入までしたのだ。ボロボロになっていないはずがない。そもそも地球に降りたはずなのになぜ宇宙にいる。

(原因があるとすればあの光しか思い当たらないが…)

と、今の自分の状況を確認しているとバイオコンピューターを通じ、キンケドゥの脳裏に自分の知る誰かの声を聞いた。

「トビア!トビアなのか!」

辺りの残骸を掻き分け反応のあった場所へ向かうとそこにはトビアの愛機クロスボーンガンダムX3があった。

(どうやらX3もX1と同じ状態のようだな)

X3の状態を確かめてみるとほとんど新品といった状態だった。
コクピット近くのレバーを引きハッチを開けるとノーマルスーツを着た少年、トビア・アロナクスがいた。
どうやら気を失っているようではあるが命に別状は無いようだった。
とりあえずトビアは無事だったようではあるが、自分達の置かれた状況は何一つわかってはいなかった。

(大体、ここはどこだ?こんなコロニー、地球圏では見たことが無いぞ。)

海賊という職業上、宇宙のデブリ帯などは把握しておかなければならないため、地球圏のそういった場所はすべて頭にいれていたはずだし、こんな上が半分無い砂時計のようなコロニーなど忘れるわけが無い。
キンケドゥが知らないのも無理はなかった。なにせ自分いた世界とは違う世界のコロニー、ユニウスセブンのことなど知り様がないのだから、
そんなことを考えているとキンケドゥの視界の端で光が瞬くのが見えた。
どうやらこのコロニー近くで戦闘が行われているようだった。
キンケドゥは少々思案し、なによりも情報を集めるのが先決と決め、いまだ目の覚めないトビアを機体ごとデブリの影に隠し戦闘の行われている方へ向かった。

ユニウスセブン、かつてプラントに所属していた農業用スペースコロニーであった場所は連合の核攻撃により、いまや巨大な墓標と化していた。
しかし、そんなところでも不心得者はいる、例えば通りすがりのジャンク屋を襲っている海賊とか、

「リーアム!無事か!」

とジャンク屋、ロウ・ギュールは船を守るためジンで出撃した仲間、リーアムに声をかける

「まだ、なんとか動けますが…これ以上はもって5分ですね」

今現在、ロウの乗る船はこの辺り最大の海賊に襲われていた。
その海賊はジンを5機、指揮官機であるシグーまで保有しており、
まさに多勢に無勢といった状況であった。
こうなったら、といった表情でブリッジを飛び出そうとして

「ちょっとロウ、とこ行くのよォ!」

と同じ船に乗るジャンク屋、樹里に止められていた。

「こうなったら俺もキメラで出る!」
「無茶よ!リーアムのジンでもかなわないのに作業用のMAなんかで出ても意味ないわよ!」

と、無茶な事を言うロウを樹里は必死で止める

「はーっ、しかし単に近道しようとしただけだってのに、なんでこんなところで出くわすのかしら」

と、ため息を吐きながら終始マイペースなこの船のリーダー的存在、プロフェッサーが愚痴ると不意に攻撃がやんだ。

「なに!?なに!?どうしたの」

と、樹里がパニック気味に呟くと、やはりマイペースにプロフェッサーは問いに答えた。
「最後通告ってやつじゃないかしら」

「われらの墓標、ユニウスセブンを荒らしまわるジャンク屋ども!生きて帰りたければその身に溜め込んだパーツ、資材、すべて我らに明渡すがいい!」

これが海賊からの通告であった

「…正義気取りの海賊とは始末に負えないわね」

プロフェッサーの的確な感想だった。

「しかし、どうします。もはやジンも限界ですし我々には対抗できるだけの戦力はありません」

とリーアムは言い

「いや〜〜ん、殺されちゃうんだぁ!」

と樹里は泣き

「………」

ロウは無言で海賊たちをにらんでいた。

「さあ!返答は如何に!」

と仰々しく返答を迫る海賊、とそこでプロフェッサーがロウに言った。

「海賊への返答はロウ、あなたに任せるわ。」

「わかった」とだけ伝え、ロウは通信機のスイッチを入れる。
その後ろでリーアムがプロフェッサーに小声で話し掛ける

(しかしいいんですか?ロウに返答を任せて)
(いいのよ、どうせ渡しても渡さなくても何かと理由をつけて襲ってくるだろうし)
(それによくロウが言っているでしょう?『俺の悪運は最強だ』って)

そして海賊にロウが返答を開始した。

「あーっ、俺が返答を任されたロウ・ギュ―ルだ」
「そうか、して返答は」

ロウは大きく息を吸いこう答えた。

「 N o ! 断 じ て N o ゥ ! 」

海賊もこの返答は意外だったのか、顔をピクピク引きつらせながらも

「貴様ら、この状況でそんな台詞を吐けると思っているのか?」

と再度返答を迫り、ロウは更にこう答えた。

「――だが断る!この俺が最も好きなことの一つは
 自分で断られない誘いだと思っているやつに『NO』と断ってやることだ……!」

その答えにプロフェッサーは爆笑し、
リーアムはやれやれと苦笑し、
樹里は「ロウのばかー!」とロウの背中をポコスカ叩き、
海賊は引きつらせた顔をそのままに赤く変色させて、
「ならば死ねぇー―!!!」
と叫びジンが一機、船に向かった。

「どーすんのよぅ、ロウ!もう船は丸裸なのにぃー」

今の状況はまさしくその通りであった。
ジンが重斬刀を一振りすれば船はたやすく撃沈する。
が、そんな状況でもロウは不敵な笑みを崩しはしなかった。

「おい樹里、俺はいつもいってるだろ?」

ジンが迫る

「俺の悪運は」

重斬刀を振りかざし

「最強だってな」

投擲されたヒートダガーが胸に突き刺さり、ジンは爆散した。

「ふぃ―やっと動いてくれたか」

とロウの顔にどっと汗が吹き出た。

「い、今のはどこから!?」

とリーアムが驚愕の表情でロウに尋ねると

「上だ上」

というロウの言葉で気付く、レーダーにわずかだが上方のデブリの影にモビルスーツの反応があることに
どうやって気付いたのかと聞こうとするとロウの足元にコンピューターの画面が見えた。
なるほど、『8』が教えてくれたのか、と納得する。
『8』、以前見つけた戦闘機に積まれていた量子コンピュータであり、ほとんど人と変わらない受け答えが可能なこの船の仲間の一人であった。

「助けがきたの?」

と樹里が希望を込めて呟くが

「獲物を横取りしに来た海賊って線も無くはないはね」

プロフェッサーの発言が樹里のテンションをどん底に追い込む。

ロウが正体不明のモビルスーツをカメラに写す。

「さあ、どんな奴なのか」

そしてモビルスーツの全貌が明らかとなった!

「こ、これは、」

どこぞの、アウトローの如くマントが宇宙にはためき

「どっからどうみても」

額と胸に見えるドクロのエンブレム

「海賊だ――――――――!!!!」