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CCA-Seed_◆ygwcelWgUJa8氏_02

Last-modified: 2012-09-16 (日) 23:50:51

 爛悒螢ポリス瓩亮辺宙域でも、戦闘は継続していた。
 ムウ・ラ・フラガは彼専用のモビルアーマー爛瓮咼Ε后Ε璽蹲瓩魘遒蝓一機の爛献鶚瓩搬儘気靴討い拭N線型の赤い機体を取り囲むように付属していた爛ンバレル瓩、パッと展開し、独自の動きで目標を掃射する。
 この爛ンバレル瓩鮖箸い海覆擦襪里蓮地球連合軍広しといえど、数えるほどしかいない。
死角、あるいは複数への攻撃をも可能とするこの武装を自在に操ることによって、彼は月面エンデュミオンクレーターにおけるグリィマルディ戦線で、爛献鶚畍浹〃眥討箸い戦果を挙げ、『鷹』の異名を得たのである。
ジン瓩搬佝罎靴織痢璽泪襯織ぅ廰爛瓮咼Ε広瓩寮鑪呂五分の一――つまり爛献鶚甍豕,爛瓮咼Ε広畍浹(の働きをする――とされる現状で、この戦果は群を抜いたものである。
 爛璽蹲瓩硫で僚機が被弾し、吸い込まれるようにコロニーの鉱山部へと激突した。広がる爆炎の中に感じた戦友の存在に一瞬眉をしかめつつ、ムウはトリガーを絞る。
すれ違いざまの一射が爛献鶚瓩慮に命中し、ムウはすばやく離脱した。反転したところで、港から飛び出してきた機影をモニターに捉える。

 

「――あれは!?」

 

 見た事の無い形状のモビルスーツが、三機、ザフトのローラシア級に向かっている。地球連合軍の虎の子の新型モビルスーツ爍猫瓠宗州悒淵鵐弌爾澄6鉾襪燃発していたはずなのに、こうもあっさり奪われるとは、ザフトに情報が漏れていたとしか考えられない。ムウは歯噛みした

 
 

PHASE-02 崩壊の大地

 
 

 「オロール機被弾! 緊急帰投!」

 

 爛凜Д汽螢Ε広甦篭兇任蓮▲薀ΑΕ襦Εルーゼが通信の内容に眉を上げた。

 

 「オロールが被弾だと? こんな戦闘で?」

 

 艦長のアデスが意外そうに声を上げる。ザフトにおけるパイロットの基本レベルは高い。そしてこの隊に配備されたのは、精鋭中の精鋭であるエースパイロットばかりだ。中立コロニーごときの軍備に遅れを取るはずがない。
 だが、宙を見るように目をさまよわせていたラウは、ふっと笑った。

 

 「どうやら、いささかうるさいハエが一匹、飛んでいるようだぞ……」
 「は?」

 

 意味がわからず聞き返すアデスに、ラウはなめらかな動作で立ち上がり、告げた。

 

 「私も出る」

 
 

 シャフトの中で、ナタル・バジルールは意識を取り戻した。ザフト艦進行の報せののち、慌ててやってきた兵士が、爆弾がどうとか、避難をと言い出したことまでは覚えている。直後、爆発が起こり、爆風によってどこかへ叩きつけられ、意識を失ったのだ。
 あたりには薄く煙が立ちこめ、爆発で吹っ飛ばされた破片や、血まみれの死体が浮かんでいる。あまりの惨状に、ナタルも普段の冷静さを取り戻すには時間がかかった。やっと呆然自失の状態から脱すると、彼女は壁を蹴って司令ブースへ向かった。

 

 「艦は……爛◆璽エンジェル瓩蓮帖帖?」

 

 ドックに面した司令ブースへ飛び込み、彼女はぞっと身をすくませた。そこは爆発によって完全に破壊されていた。前面のガラスは粉々に割れ、わずかに残った非常灯が動くもののない室内を照らしている。
 幸いなことに、ドックの方は無事のようで、積み込まれる予定だった物資やモビルアーマーは無傷のまま残り、係留されていた爛◆璽エンジェル瓩詫然と佇んでいる。
 ナタルは室内に目を戻した。散らばる瓦礫の合間に、兵士や士官の制服が見える。その中に艦長の死体を見つけ、彼女は膝の力が抜けるのを感じた。

 

 「バジルール少尉!?」

 

 ふいに背後から声が上がり、ナタルははっと振り向いた。ノイマン曹長が、通路からブースを覗き込んでいた。

 

 「……無事だったのは爆発のとき、艦にいたほんの数名だけです」

 

 ノイマンが先に立って歩きながら、状況を報告する。出港の時を静かに待ち続ける爛◆璽エンジェル瓩離魯奪舛ら、彼らは艦に乗り込んだ。
 一室に集まっていた生存者が、ナタルの姿を見てぱっと顔を明るくした。直前で避難してきたのか、調理服姿のコックまでいるようだ。これだけか――と、ナタルの気分は重くなる。士官は少尉である彼女しか残っていないようだ。
 ともあれ彼らは艦橋を目指した。艦橋へ入ると、ナタルはパイロットシートの前に並んだスイッチを次々とオンにした。ひとつひとつ光が入り、起動し始めるコンソールやスクリーンを確認し、彼女はふっと息をつく。

 

 「艦長が戦死されたというのに、爛◆璽エンジェル瓩脇鬱い覆發里澄
 「港口側の隔壁周辺には瓦礫が密集しています。ですが、幸い搬入予定の物資は殆どが無事のようですから、なんとかなると言っているのでしょうか?」
 「誰がだ?」
 「爛◆璽エンジェル瓩です」

 

 ノイマンの言葉に苦笑をしながら、ナタルは次に通信回線を開いた。通信機からは耳を劈くようなノイズが入る。まだ電波妨害が続いているのだ。彼女はふっと考え込む。
 爛◆璽エンジェル瓩標的ならば、まだ目的は達成されていないはずだ。しかし、最初の爆発以来、攻撃は止まっている。それなのに電波妨害が続いている、ということは――。

 

 「……こちらは陽動? ザフトの狙いは爛皀襯殴鵐譟璽騰瓩箸いΔ海箸!?」

 

 自らたどり着いた結論に、ナタルは愕然とした。

 
 

 〈――爛悒螢ポリス畫甘擇縫譽戰襭犬糧鯑駝仁瓩発令されました。住民はすみやかに、最寄の退避シェルターに……〉

 

 政府広報のアナウンスが、炎が上がる街に響き渡っている。
 アスランたちは奪取したモビルスーツに乗り込み、爆発する爛皀襯殴鵐譟璽騰瓩鬚△箸砲靴拭そのあとを追うように、奪い損ねた最後の一機が飛び出してくる。
 ――キラ・ヤマト……。
 別れの日に見た幼馴染の、今にも泣き出しそうな顔がアスランの脳裏をよぎる。いや――彼は首を振り、しいてその可能性を頭から振り払おうとした――彼じゃない。キラは月にいるはずだ。こんなところで……よりによって、地球連合軍の新型兵器などにかかわっているはずがない。
 残されたパーツや製造工場を破壊していた爛献鶚瓩ら、通信が入った。

 

 〈よくやった、アスラン!〉

 

 モニターに映ったのはミゲル・アイマンだ。アスランは悔しそうに応答した。

 

 「むこうの機体には地球軍の士官が乗っている!」
 〈なに!? ラスティは?〉
 「どうもすいませんね」

 

 悪びれた様子無くシートの後からラスティがひょいっと顔を出した。
 モニターの中で、ミゲルが呆れたようにため息をついた。

 

 〈――ったく、驚かせんな。あの機体は俺が捕獲する、お前らは先に離脱しろ!〉

 
 

 着地したとたん、機体が大きく傾き、キラは倒れないようにシートの背にしがみついた。キラは倒れないようにシートの背にしがみついた。
あの女性は怪我をおして、懸命にあちこちのレバーやスロットルを調整している。それでもモビルスーツの動きはかなりぎこちない。
 モニターには外部カメラを通した映像が刻々と映し出されている。キラはそれを見て唖然とした。通いなれた道筋、日常の風景が、見るも無惨に破壊されていた。
街路には瓦礫が散らばり、消火システムが追いつかないのか、あちことから黒煙が上がっている。遠くに見える商業区からは、真っ赤な炎も上がっている。画面の隅に動く人影を見て、キラはさらにぎょっとして、身を乗り出した。

 

 「サイ!? トール!……ミリアリア……!」

 

 瓦礫の間を縫うように走っていたのは、ゼミの仲間達だ。彼らも退避シェルターを見つけられなかったのか。
 そのとき、爛献鶚瓩マシンガンを発砲し、放たれた七六ミリ弾が足元にクレーターを穿つ。やっとバランスを保っていた機体が、再び大きく揺らいだ。

 

 「うわっ!」

 

 勢い余って、キラはシートに座った女の胸に頭から突っ込んでしまった。

 

 「下がってなさい! 死にたいのっ!?」
 「す、すみませんっ」

 

 キラは慌てて身を起こす。そのとたん、サーベルを振りかぶってモニター一杯に迫る爛献鶚瓩了僂目に入り、思わず悲鳴を上げる。
 女も声を上げながら、とっさにコンソールのボタンを押し込んだ。
 サーベルが頭上に振り下ろされようという時、鋼の色だった装甲が瞬くように色づいた。
 ――やられる!
 息をのんだキラの目の前で、爛献鶚瓩瞭阿が止まった。衝撃とともに、彼らのモビルスーツは白い両腕で爛献鶚瓩離機璽戰襪鮗け止めていた。

 

 「なに……!?」

 

 事態のわからないキラに、女性士官は吐き捨てるように言った。

 

 「爛献鶚瓩離機璽戰襪覆鼻△海劉爛好肇薀ぅ瓩砲歪麺僂靴覆ぁ」
 「――爛好肇薀ぅ瓠帖帖」

 

 彼女がさっき操作したのは、フェイズシフト・システムのスイッチだった。フェイズシフト――位相転移システムは、以前から理論的には開発されていた。
だが、兵器にそれを応用したのは、このXナンバーが初めてだ。一定の電流を流すと位相転移が起こり、装甲が硬質化して、ミサイルなどの実体弾をはじめ、あらゆる物理的攻撃を無効化する強度を持つようになる。
 今、爛好肇薀ぅ瓩料甲は、本来のメタリックグレイから、胸部と腹部が鮮やかな青と赤、四肢は輝くような白に変化していた。
 爛献鶚瓩稜惴紊卜つ奪取された機体が、やはりフェイズシフト・システムをオンにしたのだろう。暗い鋼の色を脱ぎ捨てるように、鮮やかな赤に色を変え、飛び立った。
 再び爛献鶚瓩迫る。女がトリガーボタンを押した。爛好肇薀ぅ瓩瞭部にマウントされたバルカンが、七五ミリ弾をばら撒いたが、まるきり当たらない。このときキラは気づいた。
 ――この機体……もしかして!?
 一撃をくらって爛好肇薀ぅ瓩呂茲蹐瓩、背後の建物にめり込むようにして泊まる。爛献鶚瓩和海韻兇泙法▲灰奪ピットめがけてサーベルを振り下ろしてきた。
 操縦者が息をのみ、その一撃を避けようと、懸命にペダルとレバーを操る。
 そのとき、キラはモニターの中に見た。
 瓦礫に隠れるようにしていたトールたちの姿を。モビルスーツの巨大な足がぎくしゃくと動き、彼らの方に向かう。ミリアリアが悲鳴を上げ、トールはその肩を抱えて走ろうとし――。
 キラは飛びつくように計器を操作し、女の手を押しのける。そして、目の前に迫ってくるサーベルを睨みつけ、レバーを引いた。
 くっと身を沈めた機体が爛献鶚瓩離機璽戰襪鯀澆だり、そのまま体当たりする。爛献鶚瓩竜霏里吹っ飛ぶのを、地上でトールたちが目を丸くして見ている。それをモニターの隅で確認し、キラはほっと息をつくと、唖然としている女性兵士を振り返った。

 

 「まだ人がいるんです! こんなものに乗ってるんなら、なんとかしてくださいよ!」
 「――君!」

 

 女が咎めるように叫んだ。だがキラは目もやらず、計器をチェックしていく。

 

 「……無茶苦茶だ! こんなお粗末なOSでこれだけの機体、動かそうなんて!」
 「ま、まだすべて終わってないのよ! しかたないでしょう!」
 「――どいてください!」

 

 倒れた爛献鶚瓩立ち上がり、再び向かってくるのを見つめながら、キラが叫んだ。

 

 「はやく!」

 

 その声に思わず女は腰を浮かし、そこへキラが割り込むように座った。シートの横からプログラム入力用キーボードを引き出すや、凄まじい勢いで叩き始める。プログラム画面を睨みつつ、目の隅では正面の爛献鶚瓩鬚箸蕕─同時に到達予想時間と処理作業に要するプロセスを頭の中で秤にかけている。

 

 「――キャリブレーション取りつつゼロ・モーメント・ポイント及びCPGを再設定……ちっ! なら擬似皮質の分子イオンポンプに制御モジュール直結……」

 

 ぶつぶつつぶやき、間に舌打ちや悪態ををさし挟みつつ、キラは猛然とモビルスーツのOSを書き換えていく。その間にも爛献鶚瓩離機璽戰襪迫る。キラはぱっと顔をあげ、片手でトリガーとレバーを操作した。バルカンが発射され、今度は掠める。そして押しのけるように爛献鶚瓩力咾鯆靴擁屬靴拭
 その間にもその指は、常人にはありえない速さと正確さでキーを叩いていく。

 

 「――ニューラルリンゲージ・ネットワーク再構築――メタ運動野パラメータ更新、フィードフォワード制御再起動、伝達関数――コリオリ偏差修正――運動ルーチン接続、システム、オンライン、ブートストラップ起動……!」

 

  再びマシンガンを構えようとする爛献鶚瓩瞭阿を見て、キラはペダルを踏み込んだ。それは即座に反応し、爛好肇薀ぅ瓩蝋發ジャンプする。さっきまでの稚拙な動きが嘘のようだ。
爛献鶚瓩警戒したそぶりを見せながら、後を追って飛んだ。キラは人や施設の少なそうな鉱山部を目指しながら、スペックを呼び出す

 

 「ほかに武器……あとは爛◆璽沺璽轡絅淵ぅ澄辞瓠帖帖」

 

 モニターに機体図が表示され、頭部バルカンのほかに、腰部に収納されたアサルトナイフが点滅する。キラは舌打ちした。

 

 「――これだけか!?」

 

 ボタンを押すと、機体の両腰から巨大なナイフが射出される。それをつかみ、二本のサーベルを両手に構えながら追いすがってくる爛献鶚瓩妨かって飛び掛った

 

 「こんなところで……」

 

 左腕に持ったサーベルの太刀筋を掻い潜り、爛好肇薀ぅ瓩廊爛献鶚瓩里佞箸海蹐鉾瑤唸んだ。

 

 「やめろおぉぉっ!」

 

 キラの操る機体のスピードと運動性に、避ける間もなく、爛◆璽沺璽轡絅淵ぅ澄辞瓩寮擇胆茲爛献鶚瓩貌佑立てられる。
すんでのところで、爛献鶚瓩榔ο咾離機璽戰襪如↓爛◆璽沺璽轡絅淵ぅ澄辞瓩鮴擇衒Гうとする。だが、爛好肇薀ぅ瓩離僖錙爾鰺泙┐ることができずに、思いっきり吹き飛ばされてしまった。
爛献鶚瓩呂修里泙泙寮いで身を翻し、逃げるようにその場を後にした。
 シートの後で一部始終を見ていた女性兵士は、唖然としてモニターを見つめ、次にキラを見た。その目には驚愕と、なにかに気づいたらしい畏敬の念がこめられていた。

 
 

 〈ミゲル・アイマンよりエマージェンシー! 機体の捕獲に失敗したようです!〉

 

 コックピットに入った通信に、ラウ・ル・クルーゼは流石に眉をひそめたようだが、仮面に阻まれて実際の表情はわからない。抵抗らしい抵抗を予測していなかっただけに、オロールの被弾に続き、この報せに誰もが以外の念を禁じえない。
あのミゲルが失敗したという事は、奪りそこねた機体がそれほどの能力を示したという事だ。
 すでに彼専用のモビルスーツ爛轡亜辞瓩望茲蟾んでいたラウは、艦橋のアデスに指示を出した。

 

 「私が出たら、モビルスーツをいったん呼び戻し、D装備をさせろ」
 〈D装備……ですか?〉

 

 それは、要塞攻略戦用の最重装備だ。モニターの中でぎょっとするアデスに笑いかけたあと、ラウは愛機を発進させた。
 爛轡亜辞瓩廊爛献鶚瓩亮\ぢ綉,箸靴導発されたモビルスーツである。爛献鶚瓩里修譴犯罎戰轡Дぅ廛▲奪廚気譴織僉璽襯哀譽い離椒妊、さらにスラスターが追加され、推進力の面も強化されている。
 爛悒螢ポリス瓩惶投しかけていた爛璽蹲瓩、なにかためらったかのように回頭した。それを見て、爛轡亜辞瓩離灰奪ピットの中で、ラウがひとりごちた。

 

 「私がおまえを感じるように、おまえも私を感じるのか……? 不幸な宿縁だな、ムウ・ラ・フラガ……」

 

 その口調は滴るような憎悪と、そしてなぜか奇妙な愉悦に満ちていた。
 ラウのモビルスーツが、ムウのモビルアーマーに迫る。
 爛轡亜辞瓩寮楸瓩鬚い疏瓩感知したらしいムウは、ライフルの狙撃を際どいところでかわし、すれ違って背後を取った。赤い爛瓮咼Ε広瓩離ンバレルが展開し、四方からラウ機を狙う。だがその一射も、ラウはあっさりかわした。

 

 「――おまえはいつでも邪魔だ、ムウ・ラ・フラガ! もっとも、おまえにも私がご同様かな!?」

 
 

 「きさま……ラウ・ル・クルーゼ!」

 

 爛璽蹲瓩旅餞ピットでムウが毒づいた。彼も相手が誰であるか、不思議と感じ取っていた。これまで戦場で何度も命のやりとりをしてきた宿敵だ。
その名と戦いぶりはとうに認知していたが、それ以上に五感より深いところで感じる何かがある。背筋を冷たい刃で撫で上げられたような、不快を伴う戦慄。
 二機はひとしきり抗戦する。だが、撃ってくる――と見せかけて、突然ラウの爛轡亜辞瓩転針した。

 

 「爛悒螢ポリス瓩涼罎法帖帖」

 

 爛悒螢ポリス畊糎に飛び込んだラウ機を、ムウも追う。
 ラウはあっという間に港を抜け、コロニーの背骨ともいえるセンターシャフトへと向かう。無重力のシャフト内で、工場の施設を遮蔽物に使い、爛轡亜辞瓩歪匹い垢る爛璽蹲瓩縫薀ぅ侫襪鮓ける。一気に反転して攻撃を仕掛けてくるラウを、かろうじてかわす。
 ふいに、爛轡亜辞瓩離薀ぅ侫襪シャフトの内壁に向けられた。ムウははっとする。
 ――まずい!
 吹っ飛ばされたシャフトの穴から、ラウはするりとコロニー内部へ侵入した。

 

 「この野郎……!」

 

 ムウは後を追うように、その穴をくぐった。コロニー内部の風景が、ジオラマのように目の前に広がる。燃える街並み――そこから少し離れた区域で、彼は地表に立つ白いモビルスーツに気づいた。

 

 「最後の一機か!?」

 

 ラウもその機体に気づいたようだ。爛轡亜辞瓩呂泙辰垢阿忘埜紊裡悒淵鵐弌爾惴かい、ムウは必死にそれを阻もうとする。

 

 「やらせん……!」

 

 二機は空中をもつれ合うように飛び交い、互いに応射する。爛轡亜辞瓩諒った銃弾が、爛璽蹲瓩竜‖里魎咾い拭

 

 「くっ……!」

 

 被弾した爛璽蹲瓩榔譴糧を引いて脱落し、ラウの転針を阻む事ができない。爛轡亜辞瓩降下する先には、無防備になって立ち尽くすXナンバーの姿があった。

 

 「そんな! 艦を発進させるなど……この人員では無理です!」

 

 ノイマンは抗議した。だがナタルは起動作業の手も止めず、彼を叱責する。

 

 「そんなことを言ってる間に、やるにはどうしたらいいかを考えろ! 爛皀襯殴鵐譟璽騰瓩呂泙誓鐺中かもしれんのだぞ! それをこのままここにこもって見過ごせとでも言うのか!?」

 

 トノムラ伍長が、数名の人員を連れて戻ってきた。

 

 「ご命令どおり、動ける者はすべてつれてまいりました!」
 「シートにつけ! コンピュータの指示通りにやれば良い!」

 

 命じるナタルを、ノイマンはなんとか思いとどまらせようとする。

 

 「外にはまだザフト艦がいます! 戦闘などできませんよ!」
 「物資の搬入は済んだのだろう! 艦起動と同時に特装砲発射準備――できるな、ノイマン曹長!」

 

 睨み付けられて、ノイマンもついに腹をくくった。パイロットシートに飛び込むように座り、コンソールに向かった。

 

 「発進シークエンススタート! 非常事態のためプロセスC30からL21までを省略! 主動力オンライン!」

 

 自分は艦長席に座ったナタルが、きびきびと指示を出す。

 

 「出力上昇異常なし! 定格まで四五○秒!」
 「長すぎる! 爛悒螢ポリス瓩肇灰鵐献奪箸両況は?」

 

 突然ふられたトノムラがうわずった声で「い、生きてます!」と答える。

 

 「そこからもパワーをもらえ! コンジット、オンライン! パワーをアキュムレーターに接続……」

 

 着々と発進シークエンスが進められていく。

 

 「主動力、コンタクト。エンジン異常なし、爛◆璽エンジェル畫乾轡好謄燹▲ンライン……発進準備完了!」

 

 ノイマンが不安を押し隠して叫ぶと、ナタルの声が響いた。

 

 「気密隔壁閉鎖! 総員、衝撃に備えよ……! 特装砲発射と同時に最大戦速! 爛◆璽エンジェル瓠発進!」

 
 

「メーリさんの羊 メーメー羊」

 

 とある暗い退避シェルターの中で――

 

 アムロは子供の歌を聞いていた。傍らにはその母親が愛おしそうに少女をなでる。

 

 「――本当にありがとうございました。この娘とはぐれてしまって……」

 

 その言葉は、シェルターに入ってから何度も聞いている言葉だった。アムロは短く「いえ」と返し苦笑する。
 幼い少女、エルの可愛らしい歌声に、他の避難民達も笑みをこぼして聞き入っている。アムロは、隣でうずくまるように膝を抱えているもう一人の少女に声をかけた。

 

 「君もどうだい? こういうときは何かをしていたほうが気も紛れる」

 

 彼女の震える肩に優しく手を置いた。だが彼女は顔をうつむけたままだ。

 

 「ここは中立のコロニーなのに……なんで――」

 

 そう言ってから、彼女ははっと頭を上げてアムロを見やる。

 

 「あなた、さっき大尉って呼ばれてた――なんで中立のコロニーに軍人がいるのよ!?」

 

 畏敬の者を見るような目で、彼女が叫んだ。その声は狭いシェルター内に響き、避難民達が一斉にこちらに目をやる。
 アムロは内心の動揺を見せないように、逃げる間考えていた言い訳を述べた。

 

 「僕は退役軍人でね。もと大尉ってだけさ。彼とはその頃に知り合ったんだ」

 

 彼――先ほどの、新米の若い連合兵。爆発に巻き込まれ死んだ彼を理由にしたことを内心詫びつつも、アムロは続けた。

 

 「だから、彼らが何故このコロニーにいたのかは僕にはわからないんだ」

 

 声を落とし、申し訳無さそうに言うことを心がけた。それが上手くいったのか、赤毛の少女は罰が悪そうにたずねた。

 

 「えと、じゃあ……あなたはどうして爛悒螢ポリス瓩法」

 

 それは良い質問だと思い、アムロは軽い笑顔を取り繕った。

 

 「君たちと同じ理由さ。この国は良いところだし、戦争も好きではない。だから爛悒螢ポリス瓩鯀んだんだ」

 

 素敵な嘘をつけたことに、アムロはほっと胸を撫で下ろした。
 自分達と同じ理由で――その言葉は、そこにいた避難民達にも安心を与えるものだった。頼るものがいないこの状況で、元軍人という肩書きは、頼もしいものに見えたのだろう。ふと、一人の老夫婦が声をかけてきた。

 

 「このままどうなるのでしょうか? 爛悒螢ポリス瓩破壊されたりしたら……」

 

 焦燥した様子で言う老人に、アムロは優しい口調で言った。

 

 「それは大丈夫でしょう。シェルターにはオートで脱出する機能がついていますから、万が一コロニーが破損しても、自動でそこから離れる事ができます――大丈夫、僕たちは助かります」

 

 あえて自信に満ちたように言ってやると、老人は安心してほっと胸を撫で下ろし、、一礼してから元いた場所へと戻っていく。それを見送るアムロの背に、唐突に声がかかった。

 

 「あの、わたしフレイです。フレイ・アルスター。――さっきは変な事いってすいませんでした……」

 

 上目遣いで言う少女の頬が、少し赤く染まっている気がした。
 アムロが何かを言う前に、どさっと膝の上に小さな少女が覆いかぶさって、言った。

 

 「エルだよ! おじちゃん、助けてくれてありがとう!」

 

 明るい笑みを顔一面に浮かべて言うエルの笑顔は眩しかった。傍らで母親も優しい笑みをこぼしている。

 

 「アムロ・レイだ。短い間かもしれないが、よろしく」

 

 彼は、エルの頭を優しく撫でながら言った。

 
 

 爆発音とともに、大地が揺れた。爛献鶚瓩魴眤爐靴董△曚辰醗貘ついたキラだったが、その音に頭上を振り仰いだ。
 新たなモビルスーツがシャフトを破壊し、舞い降りてくる。爛献鶚瓩茲蠅垢辰りした形の白っぽいボディ、背中の翼の形も違う。そのあとに地球連合軍のモビルアーマーが続いた。

 

 「戻って……!」

 

 シートの後で、傷ついた肩を押さえた女性兵士が叫んだ。

 

 「爛皀襯殴鵐譟璽騰瓩慳瓩辰董 武装がなくては爛轡亜辞畫蠎蠅鰐詰! それに、今の戦闘でかなりの電力を消費したはずよ。バッテリーを換装しなければ! 電力の供給が止まればフェイズシフト装甲も無効になってしまう!」

 

 彼女の言葉にかぶせて、機体が衝撃を襲った。

 

 「うわああっ!」

 

 ライフルが連射され、かわしそこねた数発が直撃した。爛好肇薀ぅ瓩魯丱薀鵐垢鯤して倒れ、その衝撃で傷を負っていた女性兵士が失神する。

 

 「くっ……!」

 

 キラは懸命に機体を操作し、なんとか立ち上がらせた。だがその頭上に爛轡亜辞瓩迫っている。
 そのとき――。
 凄まじい轟音とともに、鉱山の岩盤が崩れ落ちた。もうもうと立ち込める土煙をかきわけるように現れたのは、白く輝く巨大な戦艦だった。
 キラは呆然とモニターを見つめる。

 

 「戦艦……コロニーの中に……!?」

 

 自分達の暮らす街並みの上に、全長三百メートルはあろうこあという戦艦が浮かんでいた。その規模と、これまで見た事の無い外観に、キラはしばし目を奪われる。
 戦艦はザフトのモビルスーツに気づいたらしい。艦尾から数発のミサイルが発射され、爛轡亜辞瓩鮟韻辰拭爛轡亜辞瓩歪蛭してくるミサイルを撃ち落し、コロニーを支えるシャフトの後に回りこんで逃げる。
その動きに対応できずに、ミサイルはシャフトに次々とあたり、爆発が起こった。地表がギシギシと嫌な音を立てて揺れる。

 

 「ちょっ……冗談じゃないよ!」

 

 キラは怒りにかられた。爛轡亜辞瓩戦艦の攻撃を回避しているすきに、爛皀襯殴鵐譟璽騰瓩惴かい、運び出される寸前で止められたトレーラーを見つける。

 

 「武器――これか!?」

 

 たずねようとしたが、女性兵士はコックピットの床に崩れ折れたまま、ぴくりとも動かない。
 この人の手当ても、早くしてあげないと……。キラはぎゅっと唇を噛み、モニター上に呼び出した情報をもとに、爛薀鵐船磧璽好肇薀ぅー瓩離僖錙璽僖奪を取り出した。
長大な砲身とバルカンがセットになったパックを、爛好肇薀ぅ瓩稜愧罎防蕕Δ茲Δ縫▲献礇好箸垢襦左肩後方にセットされた長い砲身は三二○ミリ超高インパルス砲爛▲哀豊瓠右肩上には一二○ミリ対艦バルカン砲と三五○ミリガンランチャーの二種がマウントされる。

 

 爛轡亜辞瓩こちらを見つけた。キラは手探りするように照準スコープを引き出し、のぞいた。 向かってくる爛轡亜辞瓩竜 ̄討鬚箸蕕─▲蹈奪オンの表示が出る。
 キラはトリガーを引いた。
 爛好肇薀ぅ瓩腰だめに構えた爛▲哀豊瓩ら、凄まじいまでのエネルギーが放たれた。一瞬視界が真っ白におおわれる。察知した爛轡亜辞瓩呂△錣討討わしたが、太い光条はその左腕をもぎ取り、威力を削がれることがなく、そのまま真っ直ぐコロニー内壁の対面へ向かった。

 

 「――あああっ!?」

 

 コロニーの地表が白熱し、外殻ごと外へ向かってまくれ上がる。ビームの消えたあとには、ぽっかりと巨大な穴が空いていた。
 キラは自分のしてしまったことに青ざめ、シートの上で凍り付いていた。

 

 「こ……こんな……」

 

 一体のモビルスーツに、これほどまでの火力をもたせるなんて……。
 手にした武器のあまりの威力に戦意を失ったキラは、敵が損傷した機体を転針させ、できたばかりの穴からコロニーの外へ逃れていくのを見送るばかりだった。

 
 

 アスラン・ザラは奪取した機体ですでに爛悒螢ポリス瓩ら脱出し爛凜Д汽螢Ε広瓩妨かう途中だった。
 ――キラ……。
 先ほど爆炎の照り返しの中で見た顔が、目の前にちらつく。大きく目を見開き、その口は確かに「アスラン?」と動いたように見えた。 
 まさか、こんなところでかつての親友と再会するなんて。
 ……あいつがあんなところにいるはずが……。
 否定しつつ、心の奥底では確信していた。自分がキラ・ヤマトを見間違えるなどありえない。

 

 「どうした、アスラン?」

 

 アスランははっと我に返って声のするほうを振り向いた。シートの後からラスティが身を乗り出して首をかしげている。アスランは自分の失態をのろいながら、慌てて口を開いた。

 

 「いや、なんでも……」

 

 ――その時、コロニーの隔壁内から一条の光が漏れ、一瞬のちに大きく弾けた。

 

 「!」

 

 空気が吸い出され、含まれていた水蒸気が一瞬にして凍り、白い雲のようにたなびく。気流に巻き込まれた流出物が、太陽光を受けてちらちらと光った。
 そこを突破してきたモビルスーツの姿があった。隊長機だ。通信がこちらにも漏れ聞こえる。

 

 〈……被弾した。帰投する!〉

 

 アスランは思わず声を上げた。

 

 「クルーゼ隊長が被弾?」

 

 ――いったいあそこで、なにが起こっている?

 

 「俺らが取り損ねた最後の一機ってことか。こりゃあ帰ったら大目玉かもなあ……」

 

 一人で勝手に頷いているラスティを尻目に、アスランは納得した。確かに、隊長被弾したとなると、その原因は残りの一機以外にはないだろう。だが、自分の任務は奪取したこの機体を、無事に爛凜Д汽螢Ε広瓩愡ち帰る事だ。アスランはためらった。その脳裏に幼い頃のままの、キラ・ヤマトの面影が浮かぶ。
 答えの出せないでいるアスランに、呆れたような声がかかった。

 

 「あそこに戻る。――とか言うのは無しだぜ?」

 

 アスランは眉を顰めて悩んだが、やがてため息をついてから顔を上げる。

 

 「ああ。そうだな、ラスティ」

 

 アスランの言葉に安心したのか、彼は肩の力を思い切り抜いた。

 

 「ったくさあ。俺は失敗、その所為で隊長も被弾、戻っても出迎えてくれるのがあのいかつい艦長だと思うと……」

 

 屈託の無い笑みでひょうひょうと言う彼に、アスランはやれやれと首を振って、機体のバーニアを吹かせた。
 そうだ。まずは帰ろう。仲間たちのいる場所へ――。

 
 

 「……しかしすげーなー、これ、キラが動かしてたわけ?」
 「『ガンダム』? なにそれ?」
 「それよりこの人の手当て……あ、目を覚ましたみたいだ」

 

 マリュー・ラミアスはゆるゆると現状を認識し、自分が公園のベンチらしいものに横たえられているのに気づき、身を起こした。さっきの黒髪の少年が、気遣わしげに顔を覗き込んでくる。
かたわらには膝をついた姿勢のX一○五爛好肇薀ぅ瓩函△修離灰奪ピットにもぐり込み、騒いでいる民間人の少年達が見えて、彼女ははっとした。差し伸べられた手に向かって、彼女は拳銃を突きつけた。

 

 「機体から離れろ!」

 

 身動きすると、負傷した肩にずきんと衝撃が走った。彼女を見る少年達の顔にきょとんとした表情が浮かぶ。構わずマリューは、彼らの頭上に向けて一発撃った。

 

 「なっ……なにするんです!」

 

 抗議しようとした黒髪の少年の鼻先に銃口をつきつけ、コックピットから少年たちが降りてくると、マリューは口を開いた。

 

 「……これは軍の最重要機密よ。民間人がむやみに触れて良いものではない」

 

 少年達が一様に、不満げな顔つきをしているのを見て、彼女はため息をつきたくなった。
 この子たちに含むところはない。意識を失って大切な機密から目を離してしまった自分に腹が立つが、少しは彼らも自分達の立場を理解するべきだ。それに――。
 彼女の目がさっきの黒髪の少年の上に止まった。爛好肇薀ぅ瓩離灰奪ピットで見せた、彼のあの能力――あれは……。
 彼女は内心の迷いを押し隠し、断固とした口調で言った。

 

 「――私はマリュー・ラミアス。地球軍の将校です。申し訳ないけど、あなたたちをこのまま解散させるわけにはいきません。
事情はどうあれ、軍の最高機密を見てしまったあなたたちは、しかるべき所と連絡が取れ、処置が決定するまで、私と行動をともにしていただきます」

 

 案の定、少年達は一斉に不平の声を漏らした。

 

 「なんで!」
 「冗談じゃねえよ、なんだよそれ!」
 「ぼくらは爛悒螢ポリス瓩量唄嵜佑任垢茵 中立です。軍なんて関係ないです!」
 「黙りなさい! なにも知らない子供が!」 

 

 マリューの一喝に、みな気圧されて黙った。だが、彼女が言葉を続けようとしたところで懐かしい声が耳に届いた。

 

 「――その辺にしときましょうや、大尉」
 「ハマナ!? ブライアンも……良く無事で!」

 

 驚いて振り向いた先には、爛皀襯殴鵐譟璽騰瓩鮹出してから離れ離れになってしまったハマナ曹長の姿があった。隣には包帯で左腕を吊ったブライアン伍長の姿もある。――無事だった。彼女の心に安堵がわきあがってきた。
 満身創痍と言った様子のハマナ曹長が、やれやれと頭をかきながら続けた。

 

 「なんも知らないから、子供なんです。こういうとこで大人を振りかざすのは、止めときましょうや」

 

 爛皀襯殴鵐譟璽騰瓩任蓮▲泪螢紂爾諒厦咾箸靴導萍してくれた彼は、豪快な男だったが、こういう感傷に浸ることがある人物だとも言われていた。二児の父だと言っていたが、それが関係しているのだろうか。
 黙りこくっていた少年達に、ブライアンが声をかけた。

 

 「君らだって、もうわかってるだろ? 周りを見ればさ」

 

 少年達はそっと周囲に目をやった。今だ火の手が上がり続ける街並み、傷ついたシャフト、自動修復されつつはあるが、ぽっかりその向こうに宇宙空間を覗かせた外壁の穴――。

 

 「――戦争をしてるのよ。わたしたちは」

 

 視線を燃える街並みに移しながら、マリューが独り言のようにつぶやいた。

 
 

 「――ラミアス大尉!」

 

 少年たちに爛好肇薀ぅ瓩良品を乗せたトレーラーを運転させ、マリューが爛◆璽エンジェル瓩謀着すると、ナタル・バジルールが駆け寄ってきた。

 

 「ご無事でなによりでありました!」
 「あなたたちこそよく爛◆璽エンジェル瓩髻おかげで助かりました」

 

 少し奥では、マードック軍曹がハマナ曹長、ブライアン伍長と腕をがっちりとクロスさせ、お互いの生還を喜んでいるのが見えた。そこへ――。

 

 「あー……感動の再会邪魔して悪いんだがー」

 

 突然脇から声をかけられて、マリューはそちらへ顔を向けた。パイロットスーツ姿の長身の男が、端整な顔に愛想よい――やや軽薄に見えるほどの――笑みを浮かべ、歩み寄ってくる。

 

 「地球軍第七機動艦隊所属、ムウ・ラ・フラガ大尉だ、よろしく」
 「あ……地球軍第二宙域第五特務師団所属、マリュー・ラミアス大尉です」

 

 それぞれ敬礼して名乗りあったあと、ムウが切り出す。

 

 「乗艦許可をもらいたいんだが。俺の乗ってきた船は、ザフトに落とされちまってね。……この艦の責任者は?」

 

 重い口調でそれに答えたのは、ナタルだった。

 

 「艦長はじめ、主だった士官はみな戦死されました。――よってラミアス大尉がその任にあるかと思いますが」
 「え……!?」

 

 マリューは衝撃に凍りつく。艦長が――?
 横からムウがそっと、尋ねた。

 

 「……俺は、例のXナンバーのパイロットになるひよっこたちの護衛で来たんだがね。連中は……?」

 

 ナタルが沈痛な面持ちで首を振ると、軽薄そうだったムウの横顔が、一瞬重々しく引き締められる。そのとき、艦内に通信が入った。

 

 〈ラミアス大尉、バジルール少尉! 至急ブリッジへっ!〉
 「どうした!?」
 〈またモビルスーツです!〉

 

 死者を悼む余裕も無かった。身を固くしたマリューの背中を、ムウが叩く。

 

 「指揮を執れ! 君が艦長だ」
 「わ――私が……!?」
 「だろ? 先任大尉は俺だろうが、この艦のことはわからん」

 

 マリューとナタルは一瞬顔を見合わせた。

 

 「――爛好肇薀ぅ瓩蓮帖弔泙棲阿任垢!?」
 「回収している余裕はないわ。自力で合流させましょう。爛◆璽エンジェル疊進準備! 総員第一戦闘配備!」

 
 

 艦内に警報が響き渡った。 それを聞きながら、ミリアリアがそっとつぶやいた。

 

 「キラ……大丈夫かしら」

 

 トールが強く、その肩を抱いた。
 激しい爆音がコロニーを揺さぶった。隔壁に新しい穴が空き、そこから爛献鶚瓩諒埖發侵入してくる。それぞれ大型のミサイルランチャーや特火重粒子砲を装備した爛献鶚瓩鬟皀縫拭爾蚤え、艦橋のCICに入ったムウが毒づいた。

 

 「拠点攻撃用の重爆撃装備だと!? あんなもんをここで使う気か?」

 

 編隊のあとから、一機、夕日に照らされたように光るオレンジ色の爛献鶚瓩見えた。情報を分析していたトノムラが、息をのむ。

 

 「あ、あれは……『黄昏の魔弾』です!」
 『黄昏の魔弾』――改良された専用の爛献鶚瓩望茲蝓高機動性を生かした一撃必殺の戦闘スタイルで数多くの戦果を上げたエースパイロット、ミゲル・アイマン……。その名は、ザフトの名立たるエースパイロットとして、知れ渡っていた。
 「だけど、ミゲル・アイマンはクルーゼ隊の所属だと聞いているわ……!」

 

 マリューが驚愕した様子でつぶやいた。ムウがあっさり言い放つ。

 

 「ああ、敵はラウ・ル・クルーゼ――あの『仮面の男』さ」
 『仮面の男』。その名前に、一瞬艦橋は凍りついた。
 「爛灰螢鵐肇広疊射準備! レーザー誘導、厳に!」

 

 CICのナタルが慌てて司令をだした。キャプテンシートに座るマリューは考える、敵が冷酷無比の『仮面の男』ならば、まさか、本当にこのコロニーを消し飛ばそうと……。彼女は拳を握りしめ、命じた。

 

 「主砲レーダー連動、焦点拡散! 本艦は爛悒螢ポリス瓩らの脱出を最優先とする!」

 
 

 爛好肇薀ぅ瓩離ラは、破壊された爛皀襯殴鵐譟璽騰瓩猫爛好肇薀ぅ瓩離僉璽弔鮹気垢茲Δ法∧嫉里任呂覆士官だとわかったマリュー・ラミアスに命ぜられていた。
爛献鶚瓩突入した爆音に、彼はぎくっと空を振り仰いだ。そして、爛献鶚瓩料備している大型ミサイルや長砲身のライフルに気づき、顔色を失う。あれをコロニーの中で使われたら……!

 

 「爛宗璽疋好肇薀ぅー瓠帖跳なのか?」

 

 彼は瓦礫の中から運び出そうとしていたコンテナを見つめ、おもむろにそれをアジャストする。今度のストライカーパックは、モビルスーツの身の丈を超える長剣を背負う形だ。
十五・七八メートル対艦刀爛轡絅戰襯肇殴戞璽覘瓠宗充多蓮▲譟璽供漆呂魴鵑揚え、戦艦の装甲さえ切り裂く強度を持つ。近接戦用の装備である。

 

 「……これならあんなこと、ないよな……」

 

 コロニーの傷痕はまだ生々しい。キラは爛好肇薀ぅ瓩魘遒蝓高くジャンプさせた。その機体に向けて、爛献鶚瓩梁膩織潺汽ぅ襪発射される。ロックオンの警告がコックピットに響き、キラは思わず回避行動に入った。
ミサイルは爛好肇薀ぅ瓩鯆匹ぁ△箸辰気鵬鵑蟾んだアキシャルシャフトに命中する。センターシャフトと地上を繋ぐシャフトは、まるで紐のように引きちぎれ、宙をのたうって落下した。下敷きになったいくつもの建物が、粉々に打ち砕かれる。

 

 「ああっ……!」

 

 キラは悲鳴のような声を上げた。次のミサイルが発射される。
 ――これ以上コロニーを傷つけるわけにはいかない。どうすればいい?
 彼はギッと歯を食いしばり、迫ってくるミサイルを睨みつけた。爛好肇薀ぅ瓩楼きつけるように間を取り、そして、ミサイルに追いつかれた。爆炎が上がり、その機体を覆う。
 撃墜を確信した爛献鶚瓩量椶料阿法⊆,僚峇屐⇔ち込めた煙の陰から爛好肇薀ぅ瓩躍り出た。キラは一発のミサイルを爛轡絅戰襯肇殴戞璽覘瓩農擇衢遒箸掘一発を肩で受け止めたのだ。

 

 「うわあぁぁぁぁっ!」

 

 声を上げながら、キラはソードを振り下ろし、その一撃は爛献鶚瓩瞭溝里鮨燭弾鵑弔忘錣い澄5‖里爆発する。

 

 それを上空から注意深く監視していたオレンジ色の爛献鶚瓩舞い降りてくる。腰にはバズーカをマウントし、左右の手に一本ずつ重斬刀を持つ姿はどこかの国にいたという二刀流の剣豪のようだ。

 

 「色が違う……? エースだとか、そういうの!?」

 

 キラは背筋を凍らせた。もしも、本当にエースパイロットだとしたら、自分が敵う相手では――。
 オレンジの爛献鶚瓩蓮↓爛◆璽エンジェル瓩ら射出されるミサイルを巧みにかわし、爛好肇薀ぅ瓩貿った。

 

 「こ、このぉっ!」

 

 爛好肇薀ぅ瓩亮蠅飽られた爛轡絅戰襯肇殴戞璽覘瓩撚なぎに切り裂く。だが、それはむなしく空を切り、身をよじって回避した二刀流のモビルスーツが瞬間の連撃を繰り出した。

 

 〈生意気なんだよ、ナチュラルがモビルスーツなど!〉

 

 無線から入ってきた声に、キラはカッとなって反論した。

 

 「ぼ、ぼくはナチュラルじゃない!」
 〈な……に!?〉

 

 オレンジの爛献鶚瓩楼貊崙阿を止めたが、すぐさま先ほどと同じように二本の重斬刀を構え、爛好肇薀ぅ瓩貌遊發鬚靴ける。

 

 〈ならば、裏切り者のコーディネイターには死んでもらう!〉

 

 通信越しの男は、底冷えのする声で叫んだ。キラははっとして動きを止める。
 ――裏切り者……?
 オレンジ色の爛献鶚瓩爛好肇薀ぅ瓩鮗け持っているのを良い事に、残りの爛献鶚瓩縦横無尽に飛び回り、コロニーの損害など一切気にせずに爛◆璽エンジェル瓩鮟韻Α

 

 爛献鶚瓩ら放たれたミサイルにより、一本のアキシャルシャフトが損傷し、誘爆を引き起こした。シャフトは炎の尾を引きながら地表に倒れ、衝撃でコロニー全体がきしみ声を上げる。
 目前に迫ったオレンジ色の爛献鶚瓩法▲ラは慌てて回避運動を取らせた。だが、それも敵わず、再び二本の重斬刀から繰り出される連続攻撃にさらされ、なす術も無い。
爛好肇薀ぅ瓩離┘優襯ーゲージが見る見るうちに減っていく。キラは歯を噛み締め、うめいた。

 

 「――くっそぉ!」

 

 さいぜんから大きく軋み、過負荷に耐えて身をよじるように揺れていたセンターシャフトが、ついに崩壊を始めた。
轟音を立てながら、コロニーの背骨とも言うべきシャフトが分解をはじめると、ねじ切られるように、残っていたアキシャルシャフトが次々と弾け飛び、地表を傷つけさらに崩壊を加速させる。
フレームがねじれ、軋みながら歪む。シャフトを失った外壁は支えをなくし、回転によるそれ自体の遠心力に振られ、構造体にそって切り裂かれるように分解しはじめた。稲妻が走るように、コロニー全体にビシビシと亀裂が広がっていく。

 

 「よくも――! でも、これならっ」

 

 キラは、一撃離脱を繰り返す二刀流の爛献鶚瓩妨かって、左肩に装備されたビームブーメラン爛泪ぅ瀬好瓮奪機辞瓩鯏蠅欧弔韻襦爛献鶚瓩呂修譴鬚笋垢笋垢伐麋鬚掘∈討哭爛好肇薀ぅ瓩貿る。
 キラはもう一度爛轡絅戰襯肇殴戞璽覘瓩鯲昭蠅嚢修┐覆し、機体を加速させた。オレンジの爛献鶚瓩持つ二本の重斬刀と、爛好肇薀ぅ瓩了つ巨大な対艦刀が空中で交差する。一瞬、一つ目の巨人と白い巨人がにらみ合う形になった。
だが、爛好肇薀ぅ瓮僖錙爾廊爛献鶚瓩里修譴鰺擇に上回っている。そのままの力で爛献鶚瓩魏,敬佞韻襪茲Δ膨靴揚瑤个靴拭
 空気の急激な流出による乱気流がコロニー全体を吹き荒れ、すでに崩壊していた建造物の破片やエレカが、木っ端のように舞い上がる。あちこちで爆発の炎が散り、それさえも燃焼のための空気を失って、命の絶える様に消えていく。
 そんななか、宙を舞う爛献鶚疚楹櫃院∪茲曚錨蠅欧伸爛泪ぅ瀬好瓮奪機辞瓩ビームの刃をきらめかせながら戻ってきた。
 ――いける!
 キラが勝利を確信した瞬間。オレンジの爛献鶚瓩脇麕椶僚纏妥瓩鮗里董後に迫るブーメランを、宙返りをする形で回避した。そのまま腰にマウントしていたバズーカを構える。同時に爛好肇薀ぅ畫甲から色が抜け落ち、本来の暗い鋼の色に戻っていく。エネルギーが、尽きた。
 全身を凍らせたキラの耳に、無線からの気迫の叫びが飛び込んできた。

 

 〈――止めを受けろっ!〉

 

 爛献鶚瓩トリガーを引くよりも一瞬早く、シェルターが一斉に救命艇として射出された。
 爛悒螢ポリス瓩梁臙呂砕け、その流出物が爛好肇薀ぅ瓩鉢爛献鶚瓩暴韻こ櫃る。やや遅れて放たれた弾頭は舞いあがる建物の土流に遮られ、爛好肇薀ぅ瓩貌呂ことなく爆発していく。

 

 〈なんだとぉ!?〉
 「爛悒螢ポリス瓩……助けてくれた!?」

 

 キラは悲鳴のような声で叫んだ。乱気流が機体を揺さぶり、まったくコントロールができない。

 

 「うあぁぁぁっ!」

 

 キラは悲鳴を上げた。バーニアを噴射するが、気流に押され、虚空へ引きずり込まれていく。

 

 〈爛好肇薀ぅ瓩呂叩〉

 

 敵のパイロットが叫び、爛献鶚瓩再びバズーカを構える。しかし、やはり乱気流に押し流され、爛献鶚瓩盖空へと投げ出されてしまった。
 キラは、散っていく思い出の街に涙を流しながら、果てしない宇宙へと押し出されていった。

 
 

 激しい振動が襲うシェルターの中で、集まった人々は悲鳴をあげていた。

 

 「揺れが大きいぞ!」
 「俺たちはどうなるんだ!?」

 

 アムロも傍らで震えるフレイたちを抱きしめながら、苦渋の色を浮かべた。戦争の規模の概ねを、これでアムロは知る。地球に住む者と、宇宙に住む者の価値観の違いはある。
双方の判断基準は明確に違い、倫理の観念とやらも全く別なのだ。
先ほどから続く断続的な振動、おそらく相手側は、コロニーという人口の大地に対して(あるいはこのコロニーに住む者たちに対して)なんの敬意も無く、デブリを破壊するのと同じ気持ちでコロニーを撃っているのだろう。
そういう無頓着さを感じさせるような攻撃であった。

 

 「コロニーが破壊されてしまったか……!」

 

 彼のうめきに、フレイは「えっ?」と声を上げた。アムロは無視して叫んだ。

 

 「このシェルターは救命艇になります! 落ち着いてください!」

 

 一人の男が、やっきになって怒鳴り返した。

 

 「落ち着けって、どうしろってんだよ!」
 「ああ、助けて神様……!」

 

 おのおのが好き勝手に叫けび始める。アムロは拳を握りしめ、やはり無駄かと心の中でつぶやく。そのとき、歌声が響いた。

 

 「――メーリさんの羊、メーメー羊」

 

 パニックになっていた人々は一瞬呆気に取られ、声のする方を見やる。そこには、不安をかき消そうと、必死に歌っている幼い子供の姿があった。その少女――エルは震える指を必死に握りしめ、歌い続けた。

 

 幼い少女は、必死に歌を歌った。必死に、必死に――。
 それは、幼き少女のできる唯一の抵抗であったのか、果たして現実からの逃避であったのかはわからない。だが、確かにその仕草を、アムロは美しいなと感じた。
 いつのまにか、シェルターの中に響いていた音は、外から聞こえてくる爆音と、少女の歌だけになっていた。すると――。

 

 「――ワンリトル ツーリトル スリーリトル インディアン……。フォーリトル ファイブリトル……」

 

 先ほどまで怒鳴りあっていた人々が、一人、また一人と各々の歌を歌い始めた。そして、また。

 

 「――ローンドンブリッジフォーリンダウン……。フォーリンダウン フォーリンダウン……」

 

 今度は、神に祈るように天を仰いでいた女性だった。その波紋はシェルター全体に広がっていき、皆が恐怖を忘れるべく、一心不乱に歌を歌う。エルの母親は娘を抱きしめながら、老夫婦は互いに手を握り合いながら、各々が必死に歌った。
 こんな状況だというのに、アムロはそれを見て、美しいな……。と感じてしまった。そして、自分の腕に震えながらしがみついている彼女に、優しく促した。

 

 「アルスターさん」

 

 言われたフレイは震えた表情のままアムロを見返したが、やがて観念したのか、恐怖で震えた声で、彼女も歌いだした。

 

 「オーオセィキャンユーシー……。バイザダウンアーリーラーイト――」

 

 脱出艇となったシェルターに響き渡る歌は、どれもアムロの知っているものばかりだった。どこかで聞いた事ある曲、とある国の国歌、古くから歌われている歌、内容は様々だったが、全てアムロは知っていた。
自分はこことは全く違う所からやってきた、だが……これはどういうことだろうか? 例え住む場所が違っても、そこにいる者が同じ人間ならば、何も変わりはないのだ。

 
 

 〈X一○五爛好肇薀ぅ瓠応答せよ――〉

 

 通信機はさっきから、同じ呼びかけを続けている。コックピットの中ではキラのせわしない呼吸音だけが聞こえていた。
 ――爛悒螢ポリス瓩……。
 ついさっきまでキラが踏みしめていた大地は、バラバラに四散し、宇宙空間を漂っていた。瓦礫や金属片に混じって、見覚えのある看板や建物の一部が目の前をよぎる。
 ――どうして……?
 明日も、明後日も変わらないと信じていた日常。それは、これほどまでに脆いものだったのだ。

 

 〈X一○五爛好肇薀ぅ瓠 聞こえているか? 応答せよ!〉

 

 通信機の声には焦りが混じっていた。ふいに――。

 

 〈……キラ・ヤマト!〉

 

 自分の名をよばれ、キラははっと自失から覚めた。あの女性仕官――マリューの声だった。

 

 〈聞こえていたら……無事なら応答しなさい。キラ・ヤマト!〉
 「あ……はい、こちら……キラです」

 

 キラは通信機のスイッチを入れ、答えた。マリューの声に安堵がにじむ。

 

 〈無事なのね? こちらの位置はわかる? 帰投できるかしら〉
 「はい……」

 

 キラはきゅっと口元を引き締め、改めてレバーを握りなおした。両親の安否が気になったが、部氏に避難しただろうと思うしかない。その時、電子音がコクピットに響き、モニターに何かが表示された。

 

 「――救難信号……?」

 

 そこには、ランプを点滅させている、円筒型の細長い漂流物が映っていた。

 
 

 「推進部が壊れて、漂流してたんです」

 

 爛◆璽エンジェル瓩北技たどり着いたキラだが、右舷に開かれたハッチの所でもめていた。爛好肇薀ぅ瓩蓮△修領昭蠅飽貔匹竜瀑颯棔璽箸鯤えていたのである。

 

 「このまま放り出せとでも言うんですか? 避難した爛悒螢ポリス瓩了毀韻乗っているんですよ!」

 

 キラは怒りを露にして言うと、モニターの中でマリューがため息をついた。

 

 〈……いいわ、許可します〉

 

 すると、もう一人の女性仕官がきっとなった。

 

 〈本艦はまだ戦闘中です! 避難民の受け入れなど……〉
 〈壊れていては仕方ないでしょう。今はそんなことで揉めて時間を取りたくないの〉

 

 爛好肇薀ぅ瓩筏潴織棔璽箸着艦したのは、カタパルトレールが細長く延びた発着デッキだった。爛好肇薀ぅ瓩奥の格納庫に入ると、エアロックの巨大な扉が閉まる。
モビルスーツ用のメンテナンスベッドが奥に据えられ、横には被弾したモビルアーマーと、同じ形をした灰色の――まだ未塗装と思われるモビルアーマーが収容されていた。
 爛好肇薀ぅ瓩離魯奪舛開き、キラが顔を出すと、クルーの間にざわめきが走った。

 

 「おいおい、なんだってんだぁ? 子供じゃねぇか。あの坊主がアレに乗ってたってえのか!?」

 

 整備士のマードックが、あからさまにみなの意見を代弁した。首にタオルを巻き、ぼさぼさ頭に無精髭の、お世辞にもさわやかとは言えない風貌の男だ。
 爛好肇薀ぅ瓩涼經呂鯤垢い洞遒韻弔韻討た友人達が、コクピットから降り立ったキラに飛びついた。

 

 「良かったなぁ、キラ!」
 「無事だったんだな!」

 

 トールに抱きつかれ、サイに頭をぐしゃぐしゃかき回され、キラは目を白黒させつつも、ほっとした様子で笑った。すると格納庫の別の方から、声が上がった。

 

 「――サイ!」

 

 赤い髪がたなびいた。救難ボートから出てきた避難民の仲から、一人飛び出した少女、フレイ・アルスターだった。彼女はまっしぐらにサイの胸に飛び込む。
 抱きつかれたサイは驚き、しかしすぐ嬉しそうにフレイの肩に腕を回した。目を丸くしていたキラは、二人の親密そうな様子に顔を曇らせる。とにかく全員が無事だったのだ。
そうして再開を喜び、興奮して話し合ってる子供達は、周囲の状況など見ていなかった。そんな彼らに、ムウ・ラ・フラガが歩み寄った。

 

 「へぇ、こいつは驚いた」

 

 彼は愛想良さそうな顔で、キラの前に歩み寄った。

 

 「な、なんですか?」

 

 突然目の前に立ちはだかった背の高い軍人姿に、キラは思わず身を引いた。ムウは微笑んで、さらっと言った。

 

 「君、コーディネイターだろ?」

 

 ムウの言葉に、その場の空気が凍りついた。
 艦橋から降りてきたマリューが、渋い顔でこっそりムウを睨んだ。キラはためらったが、ふいにきっとムウを見つめ返す。

 

 「……はい」

 

 とたんに、マリューとナタルの背後に控えていた兵士達が、銃を構えた。銃口はキラを狙っている。

 

 「……なんなんだよ! それ!」

 

 トールが叫び、庇うようにキラの前に出た。

 

 「コーディネイターでも、キラは敵じゃない! ザフトと戦って俺達を守ってくれただろ!? あんたら見てなかったのか!?」

 

 彼はキラに向けられた銃口を睨みつけ、一戦も辞さないという様子で必死に訴えた。
 そこへキョロキョロと辺りを見回しながら、一人の男がやって来た。男はフレイの姿を見つけると、呆れたように肩をすぼめてみせた。

 

 「フレイ・アルスターさん、勝手に動き回っては――」

 

 腕に幼い少女を抱いた男の透き通る声に、皆は一斉にそちらを見やる。ふいに、彼の腕から少女が無重力に任せて飛び、サイとフレイに抱きついた。
男は咎めるように「エル」と声を上げたが、少女は楽しそうに笑みを浮かべているだけだ。目の前にいたフレイが嬉しそうにしていたので自分も同じことをしようと思っただけなのだろう。男は肩を竦めてサイの前に立ち、聞いた。

 

 「――すまない、迷惑をかけたようだ」

 

 サイが呆気に取られたように「い、いえ」と声を上げた。フレイがそのまま男に抱きついた。

 

 「アムロさん、わたしたち助かったって……!」

 

 アムロと呼ばれた男は、やれやれと笑みをこぼし、「そのようだね」と言ってフレイの頭をなでるようにした。 
 キラは、あの人見知りをするフレイがあんなに懐いている男性に軽い嫉妬を覚えながら、呆然とたたずんでいた。
 目を見開いて驚いた表情を浮かべたムウに気づきもせず、マリューは慌てて命じた。 

 

 「銃をおろしなさい。――そう驚く事はないでしょう。爛悒螢ポリス瓩話耄国のコロニーだった。戦渦に巻き込まれるのが嫌でここに移ったコーディネイターがいたとしても、不思議じゃない」
 「ええ……僕は牋貔ぢ緻椨瓩任垢掘帖帖

 

 キラがぼそっと言った。
 牋貔ぢ緻椨瓩箸蓮⊇蕕瓩堂変を受けた遺伝子を持つもののことだ。両親がナチュラルならば、なおさら中立コロニーに住むのは抵抗がなかっただろう。

 

 「いや、悪かったな。とんだ騒ぎにしちまって」

 

 と、その騒ぎを起こした張本人が悪びれない様子で言った。

 

 「俺はただ聞きたかっただけなんだ。――ここに来るまでの道中、爛好肇薀ぅ瓩離僖ぅ蹈奪箸砲覆襪呂困世辰刃中のシミュレーションを結構見てきたからさ。やつらノロクサ動かすのにも四苦八苦してたんだぜ」

 

 ムウは少し肩を竦めると、キラを見つめた。

 

 「――それをいきなり、あんな簡単に動かしてくれちまうんだからさ」

 

 言い終わってため息をついてから、ムウはアムロを見つめ、不敵に笑みを浮かべた。

 

 「ところで――なあアンタ……ひょっとして元軍人か何かい?」

 

 問われたアムロは、ムウにちらりと目をやった。

 

 「……何故、そう思うんです?」
 「いやね、油断が無いっていうかさ。そういったのを俺は知っている。後は……勘、かな」

 

 二人は、まるで互いの真意を探り合っているかのように、しばし空中で視線を交差させた。
 フレイの不安げな様子を感じとったのか、アムロが先に緊張を解いた。

 

 「大体の状況はつかめました。僕で良ければ――」
 「お待ちください! このような得体の知れない者などに……!」

 

 憤慨した様子でナタルが口を挟む。すかさずムウが反論した。

 

 「そんな事言ってられないだろ? 民間人の子供に爛好肇薀ぅ瓩鯑阿してもらっちゃったし、残りの爍猫瓩倭管奪われちまったんだ、もう怖いもんは無いさ」

 

 悪びれる様子なくひょうひょうと言うムウを、ナタルは顔を顰めて睨みつけた。見かねたマリューがアムロに声をかける。

 

 「我々は今、瀬戸際の状況にいます。手を貸してくださると言うのでしたら、拒む理由はありません。元軍人と言うのでしたら、是非お願いしますわ」

 

 ナタルが驚いて、「艦長!」と声を上げるが、マリューが「命令です」と返したので、彼女は口をつむぐしかなかった。

 

 「ま、これからどうなるかはわからんがしばらくよろしくな、アムロさん? で、アンタは何ができるんだい?」

 

 どこか憎めないような笑顔でムウがアムロに握手を求めた。

 

 「……少しですがモビルアーマーを動かせます」

 

 そう言いながら手を握り返すアムロに、ムウは喜んだ。この状況で戦力となる存在ができるのは非常にありがたいのだろう。
 だが、手を握り返された彼は、一瞬呆けたような表情をしてからはっとして相手を見やる。同じように、アムロも意外そうな顔をして相手を見つめていた。
 憮然とした姿勢を崩さず、ムウが不敵に口を開いた。

 

 「へえ……アンタ……。よろしくな、アムロさん?」

 

 アムロもまた、息をついてから軽く笑みを浮かべる。

 

 「……ああ」

 

 突然昔からの友人と話しているような口調で語りだした二人にマリューたちは首をかしげた。と、その時。サイとフレイの間にいたエルがアムロにで抱きついた。

 

 「おじちゃん、行っちゃうの?」
 「いつだって会えるさ。それに今はお母さんといたほうが良い。わかってくれるね?」

 

 エルの頭にポンッと手を置き、優しい口調で彼は言った。泣き出しそうになった少女にアムロは一瞬慌てた素振りを見せたが、後から申し訳無さそうにした彼女の母親がやってきたのを見て、エルを手渡した。
母親に抱かれ、戻っていくエルを見てから、アムロはもう一度そこにいる少年たちを見渡した。
 ふと、呆然としていたキラとアムロの目があった。

 

 「話し声は聞こえていたよ。君があの――白いモビルスーツに乗っていたんだって?」

 

 元軍人という男に突然声をかけられたキラはびくっと身を震わせた。彼は恐る恐る口を開く。

 

 「あ、はい……。キラ・ヤマトって言います」
 「ン? そうか」
 彼はキラにゆっくりと近寄り、彼の手を差し出し、言った。

 

 「アムロ・レイだ。よろしくたのむ」

 

 自分をコーディネイターと知りつつ、握手を求めてくる元軍人の男にどぎまぎしながらも、キラはその手は取った。
 男の手は、大きく優しかった

 
 

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