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CCA-Seed_◆ygwcelWgUJa8氏_03

Last-modified: 2012-09-16 (日) 23:48:00

 爛◆璽エンジェル疇發棒澆韻蕕譴慎鐔散茲琉貅爾如⊂年達は不安げに肩を寄せ合っていた。軍艦であるにもかかわらず、この艦の居住区部分は重力ブロックとなっている。

 

 「俺たち……どうなるのかな……」

 

 抑えようのない不安が、カズイの口からこぼれた。爛悒螢ポリス瓩崩壊するところを、彼らも船内のスクリーンで目撃していた。
これまでその存在を意識した事さえない確固たる現実が、目の前であまりにも脆く崩れ去るさまを。
 住み慣れたコロニーを失い、親や家族と引き離され、その安否も知れない。こうして地球連合軍の軍艦に乗っている以上、いつまた戦闘が始まるかもしれないのだ。

 

 「ねえ……あの子、コーディネイターだったの……?」

 

 フレイがサイにたずねた。彼女は寝棚で眠り込んでいるキラを、畏敬――というより、うす気味悪がっているような目で見やった。カズイがぼそっと言う。

 

 「……この状況で寝られちゃうってのも、凄いよな」
 「疲れてるのよ。キラ、ほんとに大変だったんだから」

 

 ミリアリアが言うと、カズイはふっと笑う。だがそれは気持ちの良い笑いではなかった。

 

 「『大変だった』か……キラにはあんなことも、『大変だった』ですんじゃうもんなんだな」
 「なにが言いたいんだ、カズイ」

 

 と、咎めるような視線を向けてトールが言った。

 

 「べつに……。たださ、キラ、OSを書き換えたって言ってたじゃん、アレの。……それって、いつだと思う?」
 「いつ……って……」

 

 みんな、その言葉にはじめて思い当たる。
 キラだってあんなモビルスーツのことは知らなかった。OSを書き換えたとしたら、あれに乗り込み、戦闘が始まってすぐという事になる。だが――。
 戦闘の様子は、フレイを除く全員が見ていた。途中で爛好肇薀ぅ瓩瞭阿が、見違えるように良くなったのも。
 ――あの、わずかな間に……? しかも爛献鶚瓩叛錣い覆ら?
 みんな、キラがコーディネイターだということは知っていた。だからこそその能力を買われて、カトウ教授にいろいろ雑用を押し付けられていた事も。でも……。
 ここまで圧倒的な能力だとは、思いもしなかった。

 

 「コーディネイターってのはそんなことも、『大変だった』でできんだぜ。ザフトってのはみーんな、そんなやつばかりなんだ」

 

 どこか暗い声で、カズイは言った。

 

 「……そんなんと戦って勝てんのかよ? 地球軍は」

 

 彼らが恐る恐る、キラの寝顔に目をやった。自分たちと変わりない、十六歳の少年らしいあどけない寝顔だ。
これまでみんな、彼のことをちょっと頭のいい、でも抜けたところもあるお人好しとしか見ていなかった。彼と自分たちナチュラルの間に、こうも決定的な断絶が存在するとは思いもしなかったのだ。
 部屋に沈黙が落ちた。そこへ――。

 

 「キラ・ヤマト!」

 

 戸口にマリューとムウの姿があった。慌ててトールがキラをつついて起こす。
 まだ寝ぼけ眼だったキラは、マリューが固い口調で切り出した話を聞き、一気に目が覚めた。

 

 「――お断りします!」

 

 彼は怒りを込めて叫んだ。

 

 「何故ぼくがまたあれに乗らなきゃいけないんです! あなたが言った事は正しいかもしれない。ぼくらの周りでは戦争をしていて、それが現実だって。
でも、ぼくらは戦いが嫌で、中立の爛悒螢ポリス瓩鯀んだんだ! もうぼくらを巻き込まないでください!」

 

 マリューは辛そうな顔で黙り込んだ。その脇からムウが言う。

 

 「だがアレには君しか乗れないんだから、しょうがないだろ?」
 「しょうがないって! ぼくは軍人でも何でもないんですよ!?」
 「いずれまた戦闘が始まった時、今度は乗らずに、そう言いながら死んでくか?」

 

 ムウがあっさりと言い、キラは言葉を失った。

 

 「今この艦でモビルスーツを扱えるのはお前だけなんだぜ。あのアムロってヤツもそれなりには出来るみたいだが――ザフトの爛献鶚瓩束になってきたら、流石に太刀打ちできないだろうしな」
 「でも……ぼくは……」

 

 声を震わせるキラを見下ろし、ムウはふっと優しいとも言える表情になる。

 

 「君はできるだけの力を持ってるだろ? なら、できる事をやれよ」

 

 キラははっと彼の顔を見た。だがすぐ苦しげに俯くと、彼をつきのけるようにして部屋を飛び出していった。

 
 

PHASE-03 フェイズシフトダウン

 
 

 爛◆璽エンジェル瓩隆篭兇法警報が鳴り響いた。

 

 「大型の熱量感知! 戦艦のエンジンと思われます。距離ニ○○、イエロー三三一七マーク○ニチャーリー、進路ゼロシフトゼロ!」
 「横か! 同方向へ向かってる!?」

 

 気づかれたのか? と、みな一瞬ぞっとする。

 

 「だがそれにしてはだいぶ遠い……」

 

 ナタルがつぶやく。敵艦は爛◆璽エンジェル瓩虜幻進向を、並行して航行していた。

 

 「目標はかなりの高速で移動。横軸で本艦を追い抜きます!――艦特定! ナスカ級です!」

 

 それを聞いたムウが唸る。

 

 「……読まれてるぞ。先回りしてこちらの頭を抑えるつもりだ!」
 「ローラシア級は!?」

 

 ナタルが焦って尋ねた。パルが慌てて計器を操作し、はっと息を呑む。

 

 「……本艦の後方三○○に進行する熱源……! いつのまに……」

 

 二艦に挟まれた――。恐怖に満ちた沈黙が、しばしブリッジの空気を支配する。その沈黙を破るように、ムウが口を開いた。

 

 「やられたな。このままではいずれローラシア級に追いつかれて見つかる……。だが逃げようとしてエンジンを使えば、あっという間にナスカ級が転進してくるって訳だ」

 

 マリューもナタルも呆然と黙り込むしかなかった。わずかに見えた希望が、いまや完全に打ち砕かれたのだ。

 

 「おい! 二艦のデータと宙域図、こっちに出してくれ」

 

 ムウの声に、二人の女性仕官は我に返る。

 

 「な、何か策があると?」

 

 マリューの艦長らしからぬ狼狽に、ムウはため息をついた。

 

 「――それをこれから考えるんだよ」

 
 

 〈敵艦影発見! 敵艦影発見! 第一戦闘配備! 軍籍にある者は直ちに持ち場につけ!〉

 

 切迫した艦内アナウンスに、トール達ははっと頭を上げる。収客された避難民達の間にざわめきが走った。

 

 〈――キラ・ヤマトは艦橋へ。キラ・ヤマトは艦橋へ……〉

 

 それを聞いて、ミリアリアがそっとトールに話しかける。

 

 「キラ……どうするのかな」

 

 サイがぽつっとつぶやく。

 

 「あいつが戦ってくれないと、かなり困った事になるんだろうな……」
 「だって、あの子コーディネイターなんでしょ? 戦ってもらえば良いじゃない」

 

 悪びれる様子なく言ったフレイに、サイは呆れた。

 

 「フレイ……そうじゃないだろ? キラは俺達の友達なんだ」
 「友達でもあの子はコーディネイターじゃない。戦わせれば良いのよ」

 

 そんなやり取りを聞きながら、トールは、口をひん曲げてむっつりと考え込んでいた。ミリアリアがその腕を揺する。

 

 「ねえ、トール、私達だけこんなところで、いっつもキラに守ってもらうだけなんて……」

 

 ミリアリアに言われるまでもなく、トールも同じ事を考えていたのだ。

 

 「――『できる事をやれ』、か」

 

 あのフラガ大尉とかいう青年仕官がキラに言った言葉が、トールの頭にずっとひっかかっていた。
 確かにキラはコーディネイターで、自分達より優れた能力を持ち、彼にしか出来ない事がある。だからって何もかも彼に負わせていて良いんだろうか。自分の力はちっぽけなものかもしれない。でも、トールにしかできないことも、きっとある。
 彼は決然と立ち上がり、仲間達の顔を見回した。サイ、ミリアリア、カズイが、わかったというようにうなずく。

 

 「え? ちょっと何、何なのよ?」

 

 フレイは依然状況を掴めてないでいるが、サイが腕を引っ張って立たせようとする。

 

 「ほら、行くぞフレイ」

 

 フレイは「行くってどこへよ?」と嫌そうに言ったが、トール達の視線を一身に受け、遂に観念して立ち上がった。しかし状況を読めず、不満そうにキョロキョロと見回すだけだ。
 トールはやれやれと声をかけた。

 

 「俺達にもできる事があるはずだぜ、フレイ。俺にはキラだけに戦わせるなんて汚い真似はできない。アイツは友達だからさ」
 「わ、わたしは嫌よっ! 何でわたしが……」
 「アムロさんって人も戦うかもしれないわよ? フレイがそんな様子じゃあ嫌われちゃうわねぇ」

 

 トールの横からひょいっと顔を出し、からかう様にミリアリアが言った。
 それを聞いたフレイは一瞬うっと考え込むが、ようやく観念したのか、トール達を見る。

 

 「……わかったわよ、わたしも行くわよ……。でも怖い事は嫌だからねっ!」

 

 フレイがそう言い終わると、彼らは艦橋へ向かった。

 
 

 アナウンスを聞いたキラは、まだ迷っていた。
 だが、迷う余地などないのだ。自分が戦わなければ、多分この艦は沈む。仲間達も、ほかの避難民やクルーも死ぬ。もちろん、自分も。戦ったからといって勝てるとは限らないが、もし戦わなければその可能性は限りなくゼロに近づく。
 何故、自分なんだろう。戦いたくなんかない。彼が撃破したモビルスーツ、あれにも人が乗っていたのだ。
 死にたくない。でも、殺したくない。どうして自分だけが手を汚さなければならないのか。
 それに――。

 

 「アスラン……」

 

 その名をつぶやくと、呼吸が苦しくなるような気がした。
 あれは、間違いなくアスランだった。自分が彼の声を聞き間違えるはずが無いのだ。まるで兄のように、いつもキラと一緒だった彼のことは何でも知っていた。趣味や、好きなこと、苦手な事や――母の作るロールキャベツが大好きだったことも。
 キラはどこに行く気にもなれず、ひたすらのろのろと歩き続けた。自分がどこへ向かっているのかなど、わかるはずがない。まるで、これからの自分の運命を暗示しているかのように――出口の見えない迷宮に迷い込んだかのようだった。
 ふいに、声がかけられた。

 

 「君は……確かキラ・ヤマト君だったね?」

 

 キラは驚いて振り返った。そこには先ほど自分を励ましてくれた青年が少しばかり驚いた表情で立っている。名前は確か――

 

 「アムロ……さん……?」

 

 はっとして周囲を見渡すと、周りには整備班の者や、少し離れた場所に爛好肇薀ぅ瓩卑色のモビルアーマー、その奥には橙色の機体と同じ形をした、銀色とも灰色とも取れるカラーのモビルアーマーが見えた。
 キラはいつの間にか格納庫まで来てしまっていたのだ。
 ――迷い行き着いた先がこことは、何と言う皮肉だろう。まるで運命か何かが『戦え』と言っているようではないか。キラはうちひしがれてしまった。
 今目の前にいる彼も自分に戦えと言うのだろうか? まだ十六の自分に人殺しをしろというのだろうか? キラの表情は曇った。
 だが、彼の発した言葉はキラが想定していたものとは違っていた。

 

 「ここは危険だ、戻ったほうが良い。じきに戦闘が始まって騒がしくなる」

 

 まるで当然のことを当たり前のように言う口調に、キラは驚き、思わず反論してしまった。

 

 「で、でも……モビルスーツに乗れるのはぼくだけだから、戦わないと……」

 

 それは、大人の理屈であることはわかっている。生き延びるための……。
 アムロはすぐさま言った。

 

 「君は人殺しをするような子じゃないはずだ。ましてや――モビルスーツに乗って戦う必要は無いさ、そういう事は僕達大人の仕事だ」

 

 ……不思議な人だ。ムウが言った事は頭の中では理解している。それほどまでに、自分たちは危険な状況なのだと……。だがその状況の中でこの男は余裕の姿勢を崩さないでいる。
そして不思議と彼の言葉には、安心させてくれる絶対的な裏づけがあるような気がした。単なるでまかせや同情とは違う何か――。

 

 「あの、アムロさんも出撃するんでしょうか?」

 

 アムロは「ああ」と答え、奥にある灰色のモビルアーマーを視線で指した。

 

 「あれを使えるパイロットがいなかったようでね。僕が使うことになったようだ。確か……爛瓮咼Ε后Ε┘姚瓩箸言っていた」

 

 使えるパイロットがいない――。どきりと心臓が跳ね上がり、もしやと思い、キラはほんの少し期待を込めてアムロに問いかけた。

 

 「アムロさんは……その、コーディネイター……?」
 「いや、僕はナチュラルだ」

 

 キラの心をわずかな落胆が包み込む。しかし――。それならば何故この人は自分に優しくしてくれるのだろう? コーディネイターと戦争をしているはずのナチュラルが、なぜ?
キラの思考をよそに、アムロはそのまま爛┘姚瓩噺討个譴織皀咼襯◆璽沺爾ら視線を外さずに言う。

 

 「……君は僕たちナチュラルをどう思ってるんだい? 君の友人はナチュラルなのだろう」

 

 ナチュラルのことを――。キラは眉をしかめ、思考をめぐらした。自分は一体、トール達をどういう目で見ていたのだろうか。

 

 「どう、と言われても……、ぼくはそんな事考えもしませんでした。トール達を……」

 

 アムロが「ン、そうか」と言って笑みをこぼした。

 

 「なら、そういう事なのだろう。君の友人――少なくとも、トール君という子は、君を友人のキラ・ヤマトとして見ているはずだ。君がそう見ているようにね」

 

 はっとして、キラはアムロの顔を見た。彼の表情は優しい。
 もう一度、「戻るんだ」と念を押して、アムロは銀色のモビルアーマーに向かっていってしまった。
 ふと、ムウの言った言葉が脳裏に蘇える。

 

 『あのアムロってヤツもそれなりには出来るみたいだが――ザフトの爛献鶚瓩束になってきたら……』

 

 気がつけば、キラは拳を握りしめていた。今ここで、自分に戦うなと言ってくれた人が死んでしまう。それに敵は爛献鶚瓩世韻任鰐気い里澄9垢剖力なG瓩襲い掛かってくるかもしれない。それを考えたキラは、また呼吸が苦しくなった。
 やがて、彼はのろのろと艦橋へ向かって歩き出した。自分が戦わなければ、アムロは間違いなく死ぬだろう。しかし、自分が戦えば――相手となるのは、親友のアスランなのだ――。
一歩一歩進むごとに、首にかかった縄が絞まるように苦しさが増して行く。
 角を曲がったところで、彼は立ち止まった。向こうからやってくるのはカトウゼミの仲間達……あのフレイまでいる。 だが――?

 

 「トール……みんな……どうしたの、その格好?」

 

 少年達はみな、地球連合の制服に身を包んでいた。

 

 「ブリッジに入るなら軍服を着ろってさ」

 

 カズイがしゃらっと言う。サイが几帳面に襟を治しながら、尚も訳が分からない顔のキラに説明した。

 

 「僕らも艦の仕事、手伝おうかと思ってさ。人手不足だろ? 普通の人よりは機会やコンピュータの扱いには慣れてるし」
 「わ、わたしは反対したのよ? ……危ない事は嫌なんだからね」

 

 サイの肩ごしから、フレイが不機嫌さを隠そうともせずに言った。

 

 「まあまあ。でもさ、軍服はザフトの方がカッコイイよな。階級章もねえから、なんかマヌケ」

 

 トールがおどけながらまぜっかえすと、つきそっていたチャンドラ伍長が「生意気言うな!」と叱りつけた。キラはまだ呆然としている。その彼に向かってトールは、にやっとした。

 

 「お前ばっか戦わせて、守ってもらってばっかじゃな……俺達もやるよ」

 

 ミリアリアも言う。

 

 「こういう状況なんだもの。私達だって、できる事をして……」
 「……みんな……」

 

 キラは言葉に詰った。仲間達の気持ちが、胸に熱かった。
 ――ぼくは、ひとりじゃない。

 
 

 格納庫に、キラがパイロットスーツを着て現れると、ムウがからかうような口調で言った。

 

 「やっとやる気になったってことか? そのカッコは」

 

 キラはばつが悪そうに、口を尖らせて答える。

 

 「大尉が言ったんでしょ。今この艦を守れるのはぼく達だけだって。……戦いたいわけじゃないけど、この艦は守りたい。みんな乗ってるんですから」
 「俺たちだってそうさ」

 

 ムウは応じた。

 

 「意味も無く戦いたがるやつなんざそうそういない。戦わなきゃ守れねぇから、戦うんだ」

 

 キラは改めてこの男を見直した。そうか、と思う。 軍人なんて自分とは遠いものと思っていたが、根本的にある気持ちは同じなのだ。
 何となく照れくさくなって、キラは話をそらすように言った。

 

 「……ちょっと大きいです、これ」

 

 パイロットスーツの襟を引っ張る。ムウは目を細めた。

 

 「お前の方が規格外なんだよ、やせっぽち」

 

 あわただしくブリーフィングを終え、キラは爛好肇薀ぅ瓩法▲爛Δ廊爛璽蹲瓩妨かった。爛璽蹲瓩瞭鷭泥魯奪舛閉じるのを見た後、キラもコクピットに乗り込んだ。OSを立ち上げ、シートベルトを締める。

 

 〈……本当に良かったのかい〉

 

 先に爛┘姚瓩愍茲蟾んでいたアムロから通信が入る。彼の表情は重い。キラは少し恥ずかしそうに答えた。

 

 「友達が……乗ってますから。それに、ぼくも何かしたいんです」

 

 モニターの中にいるアムロが、少し悩んでいるように見えた。だが、やがて顔を上げ、キラの事をじっと見つめてきた。

 

 〈君は艦の対空砲火から離れないようにするんだ。敵は僕が落とす。なるべく君の援護にも回れるようにする〉

 

 そう言ったアムロの表情は優しさを残しながらも、戦士の顔だ。

 

 〈ローラシア級、後方九○に接近!〉
 〈艦長、そろそろタイムアウトだ。出るぞ!〉
 〈はい。お願いします〉

 

 艦橋のやりとり、ムウとマリューの会話が通信回線から流れてくる。

 

 〈坊主にも作戦は説明した〉

 

 作戦――それは、ムウの発案だった。いずれ追いつかれ、見つかる爛◆璽エンジェル瓩法敵の攻撃が集中してる間に、ムウが爛璽蹲瓩婆かに先行し、前方のナスカ級を叩く、というものだ。

 

 〈――この作戦はタイミングが命だからな。後はよろしく頼む!〉
 〈わかりました。……お気をつけて〉

 

 艦橋との通信を終えると、ムウはキラにも話しかけてきた。

 

 〈じゃあな、坊主。とにかく艦と自分を守ることをだけを考えろ。――なぁアムロ、それ本当に使えるんだな?〉
 〈大丈夫だ。何とか使える〉
 「た、大尉もお気をつけて!」

 

 モニターの中で、ムウはにやっと不敵に笑った後、通信を切った。

 

 〈ムウ・ラ・フラガ、出る!――戻ってくるまでに沈むなよ!〉

 

 爛璽蹲瓩、フワ、と落ちるように艦から離れた。
 ムウが十分敵に接近するまで、たった二機で爛◆璽エンジェル瓩鮗蕕蕕佑个覆蕕覆ぁキラはプレッシャーを感じずにはいられなかった。

 

 「……うまく行くでしょうか」
 〈行くさ、僕達がついている〉

 

  ――ぼくを、安心させようとしてくれてる……?
 その時、通信機から聞き慣れた声が飛び込んできた。

 

 〈――キラ〉
 「ミリアリア!?」

 

 インカムをつけたミリアリアが、モニターの中で真面目くさった顔をしていた。

 

 〈以後、私がモビルスーツ及びモビルアーマーの戦闘管制となります。……よろしくネ〉

 

 最後に照れ隠しのように笑いながらウィンクして、後ろからトノムラに「『よろしくお願いします』、だよ!」と叱り飛ばされている。キラは思わず笑った。別のモニターに映っているアムロからも、ククっという笑い声が聞こえる。

 

 〈こちらこそよろしく頼む、ミリアリアさん〉

 

 モニター越しのミリアリアが「はいっ!」と元気な声をあげるのを見ていたキラは、少し、緊張がほぐれたような気がしていた。

 

 〈装備は爛─璽襯好肇薀ぅー瓩髻爛◆璽エンジェル瓩吹かしたら、あっという間に来るぞ、いいな!?〉

 

 トノムラが念を押す。

 

 「はいっ!」

 

 ガントリークレーンに吊り下げられたユニットが、機体背面に装着される。翼が生えたようなそのユニットは、四基のバーニアスラスターにより、宇宙空間、
あるいは大気圏内においても爛好肇薀ぅ瓩竜‘粟を飛躍的に高める追加装備爛─璽襯好肇薀ぅー瓩澄I雋錣藁掌に収納されたビームサーベルと、五七ミリビームライフルとなる。
 装着と同時に翼が十字状に展開するのを確認し、キラは爛好肇薀ぅ瓩鯤發せ、カタパルトを装着した。 反対側のデッキでは、アムロの乗る爛┘姚瓩発進体制に入ったのも見える。

 

 〈エンジン始動! 同時に主砲発射! 目標、前方ナスカ級!〉

 

 マリューの声と同時に、エンジンが低い唸りを上げた。両弦から、ニニ五センチニ連装高エネルギー収束火線砲、爛乾奪疋侫蝓璽MK71瓩競り上がる。

 

 〈主砲、撃て!〉

 

 砲口から眩い光がほとばしった。
 まもなく、チャンドラの叫びが通信機から伝わった。

 

 〈――前方ナスカ級よりモビルスーツ発進を確認! ――爛ぁ璽献広瓩任后〉

 

 その声にキラは硬直する。――アスラン! 
 ミリアリアが、どこか気遣わしげな表情で、インカムに向けて叫んだ。

 

 〈キラ! アムロさん! 発進です!〉
 「……了解」
 〈了解だ、先に僕が出る。君は後から来てくれれば良い。――アムロ、爛瓮咼Ε后Ε┘姚畚个襪勝〉

 

 銀色の爛┘姚瓩カタパルトから射出される音を聞いた後、爛好肇薀ぅ畭Δ離魯奪舛ゆっくりと開き、その向こうに瞬かない星空が見えた。
吸い込まれそうな錯覚と、既に何度か経験した戦闘への恐怖が沸き上がり、自然とレバーを握る手が震えだす。キラはぎゅっと目を閉じた。
 だが、まぶたを閉じた暗闇に、仲間達の顔が浮かんだ。
 ――ぼくは、ひとりじゃない。
 キラは目を開いた。 しっかりと、前を見つめる。

 

 「キラ・ヤマト! 爛好肇薀ぅ瓠行きます!」

 

 カタパルトが爛好肇薀ぅ瓩鮗予个垢襦5涎磴砲かるGに、キラは顔を歪めるが、次の瞬間には、虚空に投げ出されていた。

 

 「フェイズシフト起動……火器管制ロック解除……」

 

 メタリックグレイだった機体が、トリコロールに色づく。キラは敵を求めてモニターやレーダーを見回した。

 
 

 艦橋では、チャンドラが一足早く、敵の機影を捉えていた。

 

 「後方より接近する熱源五! 距離六七! モビルスーツです!」

 

 来たか、という緊張がクルーのうちを走る。ナタルの声が響く。

 

 「対モビルスーツ戦闘用意! ミサイル発射管、十三から二十四番爛灰螢鵐肇広畫填! 爛丱螢▲鵐鉢疥掌控動! 目標データ入力急げ!」

 

 正規の兵士に混じって、トールたちも真剣な表情でコンソールに向かっている。トールの座るコパイロット席のサブシートでモタモタしているフレイがノイマンに怒られもしたが、
ややあって艦尾で全十二門の大型ミサイル発射口が開き、両翼の外側にある丸いプレートから、折りたたまれて収納されていたリニアカノン爛丱螢▲鵐MK8瓩突き出した。
 戦闘準備が整った中、敵機の情報分析をしていたチャンドラが意気を飲んだ。

 

 「機種特定、爛献鶚疇鶺  そして――これは……! Xナンバー、爛妊絅┘覘瓠↓爛丱好拭辞瓠↓爛屮螢奪牒瓩任后」
 「そ、そんなに沢山……!?」

 

 怯えた声をあげるフレイを咎める者などいなかった。先ほど彼女を叱ったノイマンですら、驚愕で目を見開いているのだ。

 

 「……奪った爍猫瓩鯀瓦禿蠧してきたというの……!?」

 

 マリューは、絞り出すような声で一人つぶやいた。
 少し間をおいて、アムロから通信が入る。

 

 〈こちらアムロ・レイ。後方より接近する敵機に攻撃を仕掛ける〉
 「たった一機で!?」

 

 あまりにも抑揚のない言い方だったので、思わずマリューは聞き返してしまった。アムロは気にも留めず、答える。

 

 〈爛ンバレル・ファントム瓩離謄好箸盞鵑佑泙后

 

 ガンバレル・ファントム――猖肝遶瓩量召鮖つその兵器こそ、爍瞳伸畉廼の武器である。
しかし新兵器とは名ばかりで、実際は爛璽蹲瓩冒着されているガンバレルから有線を排除し、機動力を上げただけの粗末な品なのだ。開発に携わってきたマリューだからこそわかるその劣悪さ……。
爛┘姚瓩寮能を引き出せる人間などいない、云わば欠陥品。爍猫瓩畔造崟擇蟷イ半里気譴討い燭、爛璽蹲甍幣紊剖力な空間認識能力を必要とするため、扱えるパイロットが一人もおらず、格納庫の奥で埃をかぶっているような代物だったのだ。

 

 「あ、あの。アムロさん!」

 

 フレイが嬉しそうに声をあげた。

 

 〈頑張っているようだね。――ラミアス艦長、艦はキラ君への支援を優先してください〉

 

 一度だけ笑みをこぼした後、真剣な表情に戻ってアムロは言った。マリューが返事をする間もなく、通信モニターの映像が途切れ、爛◆璽エンジェル瓩箸垢谿磴Ψ舛猫爛┘姚瓩宇宙を舞う。 
 声をかけてもらったのが嬉しかったのだろう。少しばかり嬉しそうに顔を綻ばせているフレイに、マリューは心の中で謝った。
 爛璽蹲瓩離泪ぅ福璽船Д鵐検いや、実験機という意味合いを考えればそれ以下だ。第一モビルアーマーとモビルスーツでは五倍の戦力差があるといわれている。そして相手は地球軍の技術の粋を集めて造られた爍猫瓩任△襦
 アムロという男が無事ではすまないということは、恐らくマリュー以外のクルーも気づいているだろう。だがそういう事を知りえないのが子供であると、あの時ハマナに言われた言葉を思い出し、マリューは一度強く目を瞑り拳を握りしめた。

 
 

 爛好肇薀ぅ瓩離灰ピットでも、敵機接近の警告音が鳴り響いた。キラはバーニアを吹かし、ビームライフルを構える。真紅の機体が接近してくる――爛ぁ璽献広瓩澄

 

 「……アスラン!?」

 

 いいや、あれはアスランじゃない。アスランが平然と人を殺したりするわけがない。強く首を振って否定しようとしたキラだったが――。

 

 〈キラ……キラ・ヤマト!〉

 

 無線から入ってきた声に、はっと目を上げる。

 

 「アスラン? ……アスラン・ザラ!?」
 〈やはりキラ? キラなのかっ?〉

 

 モビルスーツ越しにかつての親友と向き合ったキラは、しばし呆然となっていた。
 だが驚きが冷めると、どうしようもない怒りがこみ上げてきた。

 

 「なぜ……なぜ君がっ!」

 

 キラは泣きそうになりながら叫んだ。軍隊――人殺しの集団に属するなんて、アスランには似合わない。

 

 「ぼく達は爛悒螢ポリス瓩砲叩帖鎮耄のコロニーに住んでいたのに、なんでこんなことをっ……!」
 〈お前こそ……! どうしてそんなものに乗っている!? コーディネイターの君が……何故地球軍のモビルスーツなどにっ……!〉

 

 アスランが叫び返す。

 

 〈同じコーディネイターのおまえが、なぜ俺たちと戦わなくちゃならないんだ!?〉

 

 アスランの一言ひとことが耳に突き刺さる。キラ自信の迷いが、また頭をもたげる。

 

 〈おまえがなぜ地球軍にいる!? なぜナチュラルの味方をするんだ!〉

 

 「ぼくは地球軍じゃない!」

 

 思わずキラは言い返した。

 

 「あの艦には仲間が……友達が乗ってるんだ……!」

 
 

 「もう爛凜Д汽螢Ε広瓩らはアスランが出ている。後れを取るなよ!」

 

 爛モフ瓩ら出撃したイザークは、連合から奪ったXナンバーのうちの一機、爛妊絅┘覘瓩離灰奪ピット内で苦い顔をして怒鳴った。
五機のうちもっともスタンダードなスペックを持つ機体は白と青のツートンカラー、両肩にビームサーベルを装備し、手にした武器は一七五ミリグレネードランチャーを併用する、五七ミリビームライフルと、爛好肇薀ぅ瓩料備と基本的に共通している。

 

 〈オーケー、熱くなりすぎるなよ、イザーク〉

 

 あのディアッカが乗っている所為か、どことなく女好きをしそうな仕草でX一○一爛丱好拭辞瓩ヘラヘラと言っているように感じて、イザークは更に苛立った。
ベースカラーをベージュ、胸部はカーキと赤に塗り分けられた、巨大な火力を持つ後方支援型の機体だ。両肩には二二○ミリ怪六連装ミサイルポッドをマウントし、両肩後部に装着したガンランチャーとビームライフルは、脱離して砲身を繋ぎ、より長射程の火器としても使用可能だ。

 

 〈お二人とも、そう焦んなって。ちゃっちゃと行ってちゃっちゃと帰ってこようぜ?〉

 

 爛献鶚瓩望茲辰織薀好謄が能天気に言った。イザークは苛立ちを隠さずに彼を睨みつける。

 

 「焦るなだと? 奴が爛好肇薀ぅ瓩魴眥討靴討靴泙辰燭蕕匹Δ垢襦?」
 〈そしたら仕事は、終、わ、り! ハッピーエンドだろ?〉

 

 イザークがかっと激昂した。 

 

 「ハッピーな訳無いだろう、手柄を横取りされるんだぞ!?」

 

 昔からそうだ。ディアッカとラスティには緊張感が無い。アカデミーにいたころだって、模擬戦とかで負けたりしても「ヒュー、やるねえ」だとか、「ハハ、負けちまったぜ」とか言って気にした素振りを見せないのだ。
 まったく、信じがたいことだ。
 昔の事を思い出して、更にイライラとし始めたイザークを見かねてニコルがフォローに入った

 

 〈で、でも……イザークならこれからいつでも活躍できますって!〉

 

 宇宙《そら》と同じ黒をベースに塗られた機体、X二○七爛屮螢奪牒瓩蓮東アジア共和国の島国にいたとかいうニンジャのようにすらりとしたボディで、奇襲作戦用の機体だ。
右腕には五○ミリビームライフルとビームサーベル、ランサーダートがセットされ、シールドを兼ねる攻守一体の装備、爛肇螢吋蹈広瓩装備されている。
 イザークはふんっと鼻を鳴した。いちいちフォローに入るようなニコルのことも、いまいちやる気の無さそうなディアッカのことも、手柄を取られそうだというのに喜んでいるラスティのことなど、良いようには思えない。
 やがて標的の爛◆璽エンジェル瓩見えてきた時、橙色をした専用の爛献鶚瓩望茲辰織潺殴襪ら通信が入った。

 

 〈よし、お喋りはそこまでだ〉

 

 隊の年長者であり実力者でもあるミゲルは、よくイザーク達のまとめ役を任される。今回も同様、指揮を取ることとなった。
 これにはイザークも認めている。実戦慣れしたミゲルの動きはまだ自分たちには――アスランにもできないことだからだ。もちろん、すぐに追い抜くつもりだが。

 

 〈目標補足、これより攻撃を――っと、モビルアーマーが接近! 気をつけろ、あれは爛┘鵐妊ミオンの鷹瓩汎韻元‖里妨える!〉

 

 爛◆璽エンジェル瓩ら颯爽とやってきた鋼色のモビルアーマーだったが、イザークにはそれが玩具か何かのようにしか見えなかった。
 連合のモビルアーマーなど……ましてやナチュラルなど、赤を着る自分の敵ではないのだ。

 

 「たった一機か……。舐めるなよナチュラル風情が!」

 

 イザークは爛妊絅┘覘瓩髻¬槁犬ら発進したモビルアーマーに向けた。小手調べなどする気にもならない。シミュレーションで山のように落としてきた連合のモビルアーマー。
少し前に経験した初陣でも、シミュレーション通りどころかそれ以下の動きしかできないようなナチュラルに、イザークは心底落胆していたのだ。
自分が超えるべき相手は、あのアスランだ。やつの先に行かない限り、自分はこれ以上先に進む事はできないのだから。
 少しでも早く爛好肇薀ぅ瓩房茲衂佞べく、イザークはモビルアーマー目掛けてビームライフルのトリガーに指をかけた。しかし――。
 唐突に、ミゲルが叫んだ。

 

 〈避けろぉっ!〉

 

 その瞬間、断続的に激しい衝撃がイザークを襲った。一瞬彼には何が起こったかわからなかった。理解できたのは激しい衝撃とシートに打ちつけられる体の痛み。意識がわずかに遠のく。

 

 〈なんで当たらない!?〉

 

 ディアッカの悲鳴に似た叫びが通信から聞こえてきた。その声は珍しく焦りに満ちている。

 

 〈ヤバイって!〉

 

 この声はラスティだ。ここまで焦った彼の声を過去に聞いた事があっただろうか?

 

 〈イザーク! 無事ですか、返事をしてください! イザーク!〉

 

 今にも泣きそうな声で、ニコルが叫んだ。くらくらする頭を振りモニターを見れば、自分の乗る爛妊絅┘覘瓩鯣澆Δ茲Δ豊爛屮螢奪牒瓩立ちはだかっている。

 

 「な……に?」

 

 呆然としていた頭に、血液が戻ってくる。脳がフル回転し、今の状況を確認していく。目の前に映るのは、鋼色のモビルアーマーに翻弄される仲間達の姿……。

 

 〈――イザーク!〉

 

 ニコルの表情がぱっと明るくなったと同時に、イザークはようやく自分の身に何が起こったのかを理解した。
 そう、あの瞬間――一瞬にしてモビルアーマー本体下部に設置されている対装甲リニアガンを四発、爛妊絅┘覘瓩篭刺瑤肪,込まれたのだ。
直撃さえすれば爛凜Д汽螢Ε広瓩料甲すらも貫くその攻撃から、フェイズシフト装甲が自分を守ってくれた。
 普段のイザークならば、ナチュラルの兵器に命を救われたことに文句の一つも言っただろう。しかし、今はそれどころでは無い。この敵に全力で――ここにいる仲間達で協力し、全力で立ち向かわなければ負けると直感が告げている。
 イザークは、内部機器が深刻なダメージを負ったことも忘れて怒鳴り散らした。

 

 「ちっくしょおお! 何なんだこの色無しは!」
 〈こいつ強え!〉

 

 ディアッカが必死に爛丱好拭辞瓩鯀爐蠅覆ら言った。
 イザークは虚空を舞うように飛ぶ鋼の鷹を目掛けビームを放つ。しかしモビルアーマーは嘲笑うかのようにするりと回避し、闇の中へ消えていった。
 緊迫した様子で、ニコルが告げる。

 

 〈ラスティは下がってください!〉

 

 はっとイザークは表情を変えた。爛妊絅┘覘瓩皚爛屮螢奪牒瓩皚爛丱好拭辞瓩癲既にフェイズシフトが無ければ五回は撃墜されているほど被弾している。爛献鶚瓩望茲襯薀好謄では……。ニコルが続ける。

 

 〈ここは僕達がなんとか持たせますから、急いで!――う、うわっ〉

 

 ニコルが映るモニターに、突然雑音が走る。

 

 〈ニコル!? どうした、何があった!〉

 

 ラスティの慌てた声を聞いて、イザークは驚いて爛屮螢奪牒瓩鮹気靴拭
 既にニコルの乗った機体は、力尽きたように虚空を漂っていた。
 やがて爛屮螢奪牒瓩凌Г落ち……これは、フェイズシフトダウンだ。
 イザークの背筋に冷たい戦慄が走る。

 

 「ニコルっ!」

 

 すぐさま駆け寄り、爛屮螢奪牒瓩僚發箸覆襪戮躍り出た。目の端で敵を探しながら、イザークは爛屮螢奪牒瓩了僂鬚泙犬で目視する。損傷箇所は……多くは無い。致命傷は免れている。

 

 「無事か、ニコル!」

 

 乱れたモニターの映像が、少しずつ元に戻っていく。その中に、激しく息を吐き、全身を震わせているニコルの姿が映り、イザークは心底安心した。
 敵の姿は、また見えなくなっている。

 

 〈な、なにも……。はっ……できませんでした……〉

 

 死の恐怖に晒された所為か、息も荒く言う彼に、イザークは自分でも驚くほど優しい声で言った。

 

 「わかってる。一人で戻れるなニコル」

 

 のろまの草食動物を狩る側であった自分達が、突然狩られる側に回った気分だ。進化した人類である自分達がこれほどまでに恐怖心を抱いていることに、イザークは腹を立てた。
 しかし、認めなくてはならないと、もう理解していた。まるで百獣の王であるライオンが支配するサバンナの平原に、突然大昔から絶滅したはずの恐竜がやってきて自分達を食い荒らしているかのようだ。

 

 〈次の攻撃が来たら、俺が囮になる。ニコルはその隙に帰投しろ!〉

 

 何時に無く真剣な表情で言ったのはミゲルだった。彼が続ける。

 

 〈イザーク、ディアッカ、ラスティ。おまえらがヤツを落とすんだ。良いな〉

 

 彼らの間に緊張が走る。もしも自分達がしくじればミゲルは……。
 ディアッカが悔しそうに口を開いた。

 

 〈あれが、爛ンバレル瓩辰討笋弔覆里よ……〉

 

 エネルギーの尽きた爛屮螢奪牒瓩魄呂Δ茲Δ法↓爛妊絅┘覘瓠↓爛丱好拭辞瓠△修靴篤鶺,劉爛献鶚瓩警戒を怠らずに集う。

 

 〈いえ――恐らく違います〉

 

 幾分か落ちつきを取り戻したニコルが爛屮螢奪牒瓩侶彜錣鯱りながら言った。

 

 「違う?」
 〈辛うじて確認できた事なのですが――爛ンバレル瓩箸蓮⇒線誘導によって操作され、四方から攻撃を仕掛ける機動端末のことです。しかしあれには……〉
 〈線がついてなかった、ってか?〉

 

 いつものようにラスティがからかうように言った。だが彼の声も震えている。
 イザークは今までこのお調子者の事を、ただの能天気馬鹿程度にしか見てなかったのだが、ひょっとしてこの口の軽さは自分達の緊張や不安を紛らわすためなのではないか、とようやく思い立つ事ができ、少しばかり彼を見直した。
 そしてそれはニコルにも同じ事が言える。臆病者で引っ込み思案で、命を賭けるに値しない軟弱者だと思っていたのだが……ああそうか、こいつはこういうときに頼れるやつなのか。

 

 〈ええ。それと――す、少し待ってください〉

 

 急いで計器を弄りながらニコルが答えた。三百六十度、全方位に神経を集中させながらイザークは次の言葉を待った。

 

 〈データにありました! TS‐MAニmod.XX爛瓮咼Ε后Ε┘姚瓠∈蚤腓瞭団Г蓮帖通祇誘導式爛ンバレル瓠宗臭爛侫.鵐肇爿瓩搭載され――〉

 

 そこまで聞いて、イザークは「幽霊かよ……」とつぶやいた。ニコルが続ける。

 

 〈――それにより、有線式爛ンバレル瓩茲蠅睛擇に高い機動力を得た。――しかし、操縦可能な者が見つからず放棄処分が決定!?〉
 〈おいおい、そんじゃ今俺たちが戦ってるのは何なんだっての!?〉

 

 ラスティが苛立ちを孕んだ声で怒鳴った。ディアッカが低く呻く。

 

 〈ハッ、マジで幽霊なんじゃないの……? ナチュラルの恨みは半端無いってさ……〉

 

 冗談を言っているようには、聞こえなかった。おそらくディアッカ自身も本気で言っているのだろう。

 

 「だがディアッカ、今更――」

 

 イザークが否定しかけたところで、空気が変わった。
 全身の毛が逆立つほど凄まじいプレッシャーが、ビリビリと音を立てているように感じられる。恐らく仲間たちもみなこれに気づいているはずだ……。
 ミゲルは先ほどから何も言わない。ひたすら全周囲に向けて神経を研ぎ澄ませ続けている。
 通信越しからは、ニコルの怯えたような息遣いが耳につく。いや、ニコルだけではない。ディアッカも、ラスティも――イザークでさえも、同じように息が荒くなっていた。
 ミゲルが短く言った。

 

 〈来るッ〉

 

 オレンジの爛献鶚瓩、スラスターを吹かせた。それに呼応するかのように、爛屮螢奪牒瓩予備電力を使い全速力で爛モフ瓩悗凌墨を取る。それを目の端で捕らえながらも、イザークは必死に橙の爛献鶚瓩鯆匹辰拭
 ミゲルの爛献鶚瓩法∋擁からの火線が上がる。爛献鶚瓩魯瓮ぅ鵐好薀好拭爾鯀干にさせジグザグな機動でそれらを必死に避けていく。イザークが叫んだ。

 

 「ヤツは……爛瓮咼Ε広瓩呂匹海砲い襦」

 

 急がなければ、ミゲルが……!

 

 〈爛献鶚瓩慮こう! 俺たちの真正面!?〉

 

 ディアッカが驚いたように声を上げた。爛瓮咼Ε后Ε┘姚瓩、爛献鶚瓩鉢爛丱好拭辞瓩醗貭樟になるように迫ってきたのだ。すぐさま爛丱好拭辞瓩砲撃可能な位置に移動する。
 ラスティが先に仕掛けた。

 

 〈――当ったれよ!〉

 

 爛献鶚瓩手に持つマシンガンから、無数の銃弾が放たれる。しかし爛┘姚瓩狼い砲睥韻瓩困法▲潺殴襪劉爛献鶚瓩鉢爛丱好拭辞瓩板樟上になる位置を維持し続ける。

 

 〈これじゃ撃てねえ!――イザーク!〉

 

 ディアッカが助けを求めるように叫んだ。もちろん、イザークとしてもそのつもりだ。

 

 「貴様が亡霊だと言うのなら、ここで倒す! 落ちろぉっ!」

 

 渾身のビーム粒子を連続して放つが、すれすれの所で爛┘姚瓩料ヂ里鯣燭譟▲咫璽爐龍擇空しく尾を引くだけだ。
 ここまで来ればもうイザークにも――いや、この宙域にいる誰もが理解できた。照準のミス、機体の不備、そんなものでは断じてない。敵のモビルアーマーが、攻撃の軌道を全て読みきり、最低限の回避運動を取っている。まるで何かの達人が、素人の攻撃を軽く受け流すかのように――。
 イザークは歯噛みした。
 爛┘姚瓩直進し、ミゲルの爛献鶚瓩貿る。回避に専念していた橙の爛献鶚瓩二本の重斬刀を抜き、爛┘姚瓩妨き直った。

 

 「――ミゲル!」

 

 慌てて援護に入ろうとする爛妊絅┘覘瓩料阿法一機の樽型をした物体――猝祇誘導式ガンバレル・ファントム瓩立ちはだかった。四基搭載されているうちの一基を爛妊絅┘覘瓩法△發Π豐陲鬮爛丱好拭辞瓩法∋梓靆椶鬟薀好謄の爛献鶚瓩悗侶涎發忙箸ぁ∈埜紊琉豐陲亘楝隆霽瑤北瓩靴討い襦
 イザークは目の前の爛侫.鵐肇爿瓩魴發鼠遒修Δ班死にビームを放ちつつ、ちらと橙の爛献鶚瓩鮖覲Δ紡えた。
 爛献鶚瓩爛┘姚瓩寮菽爾冒備されたリニアガンを警戒しつつ、胴体部分を捻らせるようにして二刀の重斬刀を打ち据えるべく、滑り込むようにしてふところにもぐりこむ。
爛┘姚瓩倭覗瓩爛侫.鵐肇爿瓩鯤離し、爛献鶚疚楹櫃韻涜療たりを仕掛けさせた。すぐさま爛献鶚瓩枠娠し、それを左手に持った重斬刀で切り払おうとしたが――。
 重斬刀が、空しく宙を切った。爛侫.鵐肇爿瓩蝋況發琉媚廚鮓せることなく、スラスターを吹かせてずれるようにして回避運動を取り、そこにはミゲルだけが取り残された。
 ほんの一瞬だけ間をおいて、爛┘姚瓩離螢縫▲ンが爛献鶚瓩妨けられる。それに応戦すべく、ミゲルの爛献鶚瓩マシンガンに持ち替えた時……潜んでいた爛侫.鵐肇爿瓩砲茲詛惴紊らの一撃。

 

 〈うおおおっ!〉

 

 ラスティが雄たけびを上げながら、頭部を失い背後のスラスターを完膚なきまでに破壊されたミゲル機の前に躍り出た。彼の機体もまた、左足を失っている。ラスティの爛献鶚瓩両腕を胸の前でがっちりとクロスさせた瞬間、その両腕にリニアガンが命中し、弾け飛ぶ。

 

 「――ミゲル、ラスティ!」
 〈嘘だろおい!〉

 

 イザークとディアッカが同時に声を上げた。イザークは仲間二人を救うべく、必死にスラスターを吹かせるが、爛侫.鵐肇爿瓩腕泙襪茲Δ房機を翻弄し、隙を見せようものなら容赦の無い攻撃を加えてくる。こんな機動端末の一基も落とせないとは……!
 もはやここまでなのか。そう思った瞬間、慌てた様子の爛┘姚瓩転進し、来た道を戻っていく。

 

 「な、なんだ!?」

 

 その隙に、すぐさま爛丱好拭辞瓩大破した二機の爛献鶚瓩剖遒唄鵑辰拭

 

 〈おい! 返事くらいしろって!〉

 

 ややあってから、通信から声が聞こえてきた。

 

 〈うあ……。超痛え……〉

 

 苦しげな声だったが、それはいつものラスティだ。

 

 〈奴はどうなった!?〉

 

 荒く息をつきながら、ミゲルがモニターに映った。イザークは彼らが無事だった事に安堵しつつ、見たままのことを伝えた。

 

 「わからん……。突然爛侫.鵐肇爿瓩箸笋蕕鯡瓩靴燭隼廚辰燭蕁引き返して――」
 〈戻ってった……?〉

 

 ミゲルの顔色が見る見る内に驚愕に包まれていく。ミゲルがぱあっと激昂した。

 

 〈クソッ。おまえら行けよ! アスランがやばい!〉

 

 はっとしてイザークはすぐさまフットペダルを踏み込んだ。それに爛丱好拭辞瓩眤海。

 

 〈ミゲル、ラスティ! 戻れるな!?〉

 

 モニターの中で、遠ざかりつつある橙の爛献鶚瓩左手をあげ、親指を上へ突き立てて見せたのを見て、イザークはふっと息をついた。

 

 「行くぞディアッカ! あのモビルアーマーを落とす!」

 

 三機のモビルスーツを撃退したという爛┘姚瓩諒鷙陲法艦内は騒然とした。そんな中、トールが嬉しそうに声を上げた。

 

 「すげえ……。すっげえ!」
 「モ、モビルアーマーで……」

 

 マリューの背後から、カズイが信じられないといった声でつぶやいた。

 

 「当然じゃない。だってアムロさんだもの!」

 

 興奮した声をあげていたトールの横で、フレイが胸を張って言った。――当然……? そんなはずは無い。モビルアーマーで、モビルスーツ五機を相手に無傷で撤退に追い込んだのだ。
そんなことが信じられるだろうか。否、この話を誰に言ったとしても、鼻で笑われるだろう。しかし……これは紛れも無い事実。
 その時、ミリアリアが悲鳴を上げた。

 

 「――キラ! キラ!」

 

 マリューははっとして彼女に問いただした。

 

 「どうしたの!?」
 「爛好肇薀ぅ瓩、爛ぁ璽献広瓩砲されています! このままじゃキラが……」

 

 一瞬の逡巡ののち、マリューは決断した。――一機だけなら……!

 

 「全速前進! 本艦は爛好肇薀ぅ瓩僚發砲覆蠅泙后」
 「――艦長!?」

 

 ナタルが避難の声を上げた。

 

 「爛好肇薀ぅ瓩鮗困Δ錣韻砲呂いないわ。それに、爛ぁ璽献広甍豕,覆蕕仍ちこたえれるかもしれない!」
 「ですが! 爛好肇薀ぅ甍豕,里燭瓩頬楷呂魎躙韻忙すわけには――」
 〈爛好肇薀ぅ瓩危険なんだな?〉

 

 艦内に、落ち着いた鋭い声が響いた。

 

 「あっ、アムロさーん」

 

 フレイが嬉しそうに手を振った。モニターに映ったアムロは一度苦笑してから、すぐに真面目な顔に戻って言った。

 

 〈ミリアリア・ハウさん。爛好肇薀ぅ瓩虜舵献如璽燭鯏樵してくれ〉
 「ですが!」

 

 マリューは思わず反論した。たった今、モビルスーツ五機を相手にしてきたのだ。弾薬など底がつきかけているだろう。しかし――。

 

 〈爛侫.鵐肇爿瓩呂泙聖つはずだ〉

 

 と断言する彼の言葉に、マリューは迷った。爍猫畛圧,魴眤爐靴討澆擦身爐覆蕕弌帖弔箸いΥ待はある。しかし爍猫畛圧,鯀蠎蠅砲靴討たのだ、今行かせるというのは、『死ね』と言うのと同じことではないのか?

 

 「ハウ二等兵! ただちにデータを転送しろ!」

 

 凛として命令を下したのは、ナタルだった。マリューは驚愕して彼女を見た。

 

 「――あなた……!」
 「迷えば迷った分だけ、生き残る確率が減っていきます。私は直ちに彼を行かせるべきだと判断したまでです」

 

 どこか咎めるような表情で言うナタルに、マリューは顔をそらした。確かに彼女のいう事は正しい。正しいのだが……。
 座標データを転送し終えると、爛┘姚瓩牢嵌韻い譴困僕擇遠方に向かってリニアガンを放ちだした。
 マリューには彼が何をしているのかわからなかった。

 
 

 爛好肇薀ぅ瓩離灰ピットでは、息を切らし、必死で機をコントロールするキラがいた。

 

 「アスラン……!」

 

 執拗に攻撃を仕掛けてくる爛ぁ璽献広瓩法▲ラは迷いつつも必死に応射した。

 

 「君こそ……なんでザフトになんか! 戦争なんか嫌だって、君も言ってたじゃないかっ!」

 

 彼のその叫びが、隙となった。爛ぁ璽献広瓩モビルアーマー形態へと変形し、猛然とつっこんでくる。目の前に迫る爛ぁ璽献広瓩霊貭泙里茲Δ淵◆璽爐法▲ラは戦慄を覚えた。恐怖で身が竦み、身体が思うように動かない。
 ――やられる!
 次の瞬間感じたのは、サーベルに切り裂かれる衝撃でも、ビームに撃たれる熱でもなかった。鈍い音とともに、機体に急加速時のGがかかる。キラはぎょっとして目を開けた。
 爛好肇薀ぅ瓩廊爛ぁ璽献広瓩霊貭泙砲っちりと捕らえられていた。
 アスランが、爛好肇薀ぅ瓩瓦肇ラをひっさらったのだ。

 

 「アスラン……! どういうつもりだ!?」

 

 キラの叫びに、アスランが応じた。

 

 〈このまま爛モフ瓩慙行する〉
 「いやだっ! ぼくはザフトの艦へなんか行かないっ!」
 〈いいかげんにしろ!!〉

 

 アスランの声に含まれた気迫に押され、キラの反論は宙に浮いた。スピーカーから入ってくる声には、苦渋が滲んでいた。

 

 〈来るんだ、キラ。でないと……俺は、おまえを撃たなきゃならなくなるんだぞ!〉
 「アスラン……!」
 〈犒譴離丱譽鵐織ぅ鶚瓩琶譴盪爐鵑澄帖帖2兇呂叩帖弔海谿幣紂帖帖

 

 爛好肇薀ぅ瓩離灰ピットで、キラは息をのんだ。二人がかわす言葉を失った、そのとき――。
 いきなり横殴りの衝撃が襲った。キラは慌ててモニターを食い入るように目をやったが、そこには星の瞬きが小さく見える漆黒の闇が広がっているだけだ。すると、また――。
 今度はその衝撃の正体を知る事ができた。長距離からの狙撃――。誰がやったのかは知らないが、目視できないほど遠くから――いや、キラの優れた視力は、それを辛うじて捕らえることができた。
そこには見覚えのある鋼色の機体――アムロの爛┘姚瓩太陽光を受けて鋭く輝いている。もう一度、正確な狙撃が爛ぁ璽献広瓩鮟韻辰拭
 防御形態をとるために、爛ぁ璽献広瓩魯皀咼襯◆璽沺七疎屬魏鬚ざるを得ない。自由になった爛好肇薀ぅ瓩離灰ピットに、アムロの声が飛び込んできた。

 

 〈君はそのまま帰投しろ! 良く持ちこたえてくれた、後は俺と爛┘姚瓩面倒を見る!〉

 

 爛┘姚瓩劉爛侫.鵐肇爿瓩展開し、爛ぁ璽献広瓩鯤餔呂垢襦

 

 「……わかりました」

 

 キラはその宙域を離脱した。

 

 〈キラ――!〉

 

 追いかけてくるアスランの声が、胸に突き刺さった。それを振り切るように、キラはバーニアを吹かす。
 離脱する爛好肇薀ぅ瓩墨凸椶眇兇蕕此↓爛妊絅┘覘瓩鉢爛丱好拭辞瓩爛┘姚瓩貿る。爛◆璽エンジェル瓩らの援護射撃もかわして、猛然と爛┘姚瓩帽況發魍始した。
 一瞬キラは、アムロの援護に戻ろうかと考えたが、それはすぐに杞憂となった。
 合流し三機となったザフトの爍猫瓩廊爛┘姚瓩頬殤されるように無駄弾を撃ち続けている。
 そんな中、一基の爛侫.鵐肇爿瓩爛好肇薀ぅ瓩亡鵑蠹困Δ茲Δ防困辰討い襪里鮓てキラは慌ててフットペダルを踏み込んだ。
 このままでは足手まといだ……。

 
 

 爛◆璽エンジェル瓩如▲船礇鵐疋蕕計器を見なおし、叫び声を上げた。

 

 「――前方ナスカ級よりレーザー照射、感あり! ロックされます!」

 

 艦を素通りしていったモビルスーツに注意を集中していたマリューたちは、その報告に青ざめた。ナタルがためらいなく指示を出す。

 

 「爛蹇璽┘鵐哀螢鶚疊射準備! 目標、前方のナスカ級!」

 

 艦長席のマリューが慌ててCICを振り返り、その指令を制する。

 

 「待って! フラガ大尉の爛璽蹲瓩接近中です!」

 

 特装砲爛蹇璽┘鵐哀螢鶚瓠宗縦招發垢譴弌∪鏨呂鬚皸豬發覗鬚詛鵬力を有する陽電子破城砲――そんなものを撃って、もし作戦通りに爛璽蹲瓩敵戦に接近してた場合、無事では済まないだろう。

 

 「危険です! 撃たなければこちらが撃たれる!」

 

 ナタルが叫び返す。だがマリューは頷かなかった。

 

 「撃てません!――艦、回避行動!」

 

 彼女はきっぱりと言った。ここで浮き足立って自ら作戦を崩すような真似をしたら、せっかく掴みかけた勝利も露と消える。モビルスーツは辛うじて抑えた。だが、爛◆璽エンジェル瓩鯀世ε┐倭宛紊貌鸚匹い襪里澄4歪垢任△襯泪螢紂爾蓮▲爛Δ鮨じなければならない。
 だが、握り締めたその掌は、じっとり汗でぬれていた。

 
 

 突然ラウは、はっと頭を起こした。ぞわりと肌を伝うような、この感覚――すっかり馴染みとなった、彼の身の内に憎悪と、愉悦にも似た戦慄を呼び覚まさずにはいられない、この感覚は――。

 

 「アデス! 機関最大、艦首下げろ! ピッチ角六○!」

 

 唐突に、彼の口から命令が飛び出した。アデスは虚を突かれ、ただラウの顔を見るばかりだ。無理もない。彼にこの感覚を伝えることなど不可能だ。だがこの瞬間、その反応の鈍さにラウはどうしようもない苛立ちを覚える。
 その時、管制クルーが驚きの声を上げた。

 

 「本艦底部より接近する熱源っ!――モビルアーマーです!」

 
 

 「うおりゃあああっ!」

 

 ムウが声を上げながら、最大加速で爛凜Д汽螢Ε広瓩貿る。寸前で爛凜Д汽螢Ε広瓩離┘鵐献鵑轟音を立て、スラスターを噴射したが間に合わない。
爛璽蹲瓩麓動防御装置の迎撃をすいすいとかわし、爛ンバレル瓩鬟僖辰氾験させた。目標は唸りを上げる巨大な機関部。ムウはリニアガンを連射し、ありったけの火力をぶち込む。
 すれ違いざま機関部が火を噴くのを見て、ムウは「おっしゃあ!」とガッツポーズを作った。そのままの速度で、爛凜Д汽螢Ε広瓩両緤へ抜けながら、爛璽蹲瓩らワイヤーが射出される。
爛凜Д汽螢Ε広瓩粒以匹縫▲鵐ーを打ち込み、振り子のように慣性で方向転換した後、ムウはワイヤーを切り離し、素早くその宙域を離脱した。

 
 

 爛凜Д汽螢Ε広瓩隆篭兇老磴靴揺れ、警報が鳴り響いていた。
 クルーの悲鳴のような声が、次々と艦の状況を伝える。
 小賢しい真似をする――と、歯軋りしながら、アデスはラウに振り返った。そこで一瞬、息をつめる。

 

 「ムウめ……!」

 

 ラウは唸り、砕けるほどの力でアームレストを握り締めていた。仮面から覗く顔は、悪鬼のごとく憤怒に歪んでいる。上官がこれほどの激情をあらわにするところを、アデスはこれまで見たことが無かった。

 

 「ニコル機、爛モフ瓩惷杁浹投! エネルギー切れとのことです!」

 

 アデスは一瞬、眉をしかめた。まだ戦闘が始まって十分も立っていない。ニコル・アマルフィはイザークと違って敵につっこむようなこともしなければ、ラスティのようにサボったりもしない。素直で真面目なパイロットだ。そんな彼が、こんな早くに?

 

 「ミゲル機、ラスティ機被弾! 緊急帰投!」
 「ミゲルがやられただと? 爛好肇薀ぅ瓩!?」

 

 赤こそ着ていないが、牴昏の魔弾瓩箸いΠ枳召魘遒襪曚匹離─璽好僖ぅ蹈奪箸、出撃してすぐやられてくるなどというふざけた報告に、今度こそアデスは声を荒げる。

 

 「違うようです! 報告によると、銀色の――新型のモビルアーマー爛瓮咼Ε后Ε┘姚瓩箸了です!」

 

 舌打ちをしながら、一体何が起こっているのか、と必死で思考を巡らせた。その新型のモビルアーマーはそれほどまでに圧倒的な性能だったのだろうか。いや、そんなことあるはずが無い。モビルスーツならまだしも、モビルアーマーと言われては笑い話にもならない。
 そんな警報が鳴り響く艦内で、ラウは滑らかな動作で立ち上がり、こう告げた。

 

 「私も出るぞ」

 

 そこには、先ほど見せた憤怒も、激情も無い、何時ものラウ・ル・クルーゼであった。

 
 

 「フラガ大尉よりレーザー通信! 『作戦成功。これより帰投する』!」

 

 爛◆璽エンジェル瓩隆篭兇亡神爾上がる。トール達は思わす顔を見合わせ、ほっと胸を撫で下ろした。

 

 「なーんだ。楽勝だったじゃない」

 

 悪びれた様子なく言ったフレイに内心呆れたが、その隣でトールが「おいおい……」と首を振っているのを見たので小言を言うのは止めにした。
 マリューは握り締めた拳をやっとほどき、すぐにしゃんと背筋を伸ばした。

 

 「この機を逃さず、前方ナスカ級を撃ちます!」

 

 クルーに間に再び緊張が戻る。

 

 「了解! 爛蹇璽┘鵐哀螢鶚甍貳屐二番、発射準備!」

 

 爛◆璽エンジェル瓩領掌拘麓鵑砲△覘爛蹇璽┘鵐哀螢鶚瓩糧射口が開く。

 

 「――てぇッ!」

 

 ナタルの号令と同時に、特装砲爛蹇璽┘鵐哀螢鶚瓩火を噴いた。その圧倒的な火力。
 プラズマの渦が宇宙空間を貫く。それが、傷ついたエンジンで必死に回避行動をする爛凜Д汽螢Ε広瓩留Ω燭鬚すった。凄まじい衝撃が艦を襲う。
 爛凜Д汽螢Ε広瓩牢袷瓦棒鐺能力を失い、戦線を離脱するしかなかった。

 
 

 爛ぁ璽献広瓠↓爛妊絅┘覘瓠↓爛丱好拭辞瓩了圧,蓮¬椶涼爾蚤えた特装砲の威力に息をのんだ。その自分の大きすぎる隙に、アスランはしまったと前を見据えたが、攻撃は来なかった。
意外に思いながらも、すぐさま前を見据え、虚空を切り裂くように飛び続ける鋼色を見やる。時折太陽光を反射し、ギラリと輝くそれは、触れたもの全てを切り裂く剣のようにも見え、一瞬ぞっとする。
 戦力差は圧倒的だった。今までザフトは数で勝る連合に、質で勝負を挑み、勝ち続けてきた。そして今戦っている相手には、数でも質でも勝っている――はずだったのだ。

 

 「くっ。こいつは何なんだ!? それに他のみんなは!」

 

 敵機の攻撃をシールドで防ぎながらアスランは必死に応射した。

 

 〈ミゲルは撃墜、ラスティはそれを回収して帰投! ニコルはエネルギー切れだよ畜生ぉっ!〉

 

 何時になく苛立ちが込められたイザークからの返事にアスランは驚愕する。

 

 「それだけの大群がいたのか!?」
 〈それがさぁ、大群も何も、最初からこの一機としか戦ってないんだよねこれが!〉

 

 まさか……たった一機のモビルアーマーに、ここまで追い込まれているのか? いや、だがこの実力なら……。思考をめぐらしていると、すぐにイザークから更に苛立った声で通信が入る。

 

 〈俺たち三人が揃っていて、こうも……こうも弄ばれるのか!〉

 

 それは許しがたい事実だった。コーディネイターはより力を得た人類だ。だが、その代償として失ったものは、決して少なくない。
だというのに……もしも、ナチュラルがナチュラルのまま自分達コーディネイターを超えていくということは――それは……。アスランは叫びたい衝動に駆られたが、ぐっと堪えた。

 

 「落ち着けイザーク やつの残弾も残り少ないはずだ。俺たち三人ならば勝てる!」

 

 アスランは爛┘姚瓩妨けてビームライフルを放った。爛┘姚瓩呂修譴鬚罎辰燭蠅犯鬚院↓爛丱好拭辞瓩冒世い鯆蠅瓩襦
 爛丱好拭辞瓩慌てて対装甲散弾砲を向け、放った。広い面を攻撃できる散弾ならば、あのモビルアーマーを捉えることができるかもしれない……。
 しかし、放たれた散弾の合間を縫うようにして直進し続ける爛┘姚瓩法▲▲好薀鵑惑惷擇鬚召辰箸気擦拭

 

 〈う、ウソぉ!?〉

 

 ディアッカの怯えた声が聞こえた。爛┘姚瓩らリニアガンが放たれ、対装甲散弾砲に被弾し、誘爆した。更に爛┘姚瓩藁て続けに二射ほどリニアガンを撃ち、爛丱好拭辞瓩領章咾隆慇瓩鮗揚瓦、そのまま腕を千切れ飛ばした。
 アスランは慌てて援護に入ったが、そこにもう爛┘姚瓩了僂鰐気ぁ

 

 「おい、生きてるな、ディアッカ!」
 〈すまんアスラン!〉

 

 悪態をつきながら帰投するディアッカを援護するように、イザークの爛妊絅┘覘瓩前に出る。相手がただのナチュラルならば、両腕が無くても照準はつけられるし、発射もできる。
だが、この敵を相手に両腕を失うったとなるとそうもいかない。左右のマニュピレーターによる正確な照準でも無ければ、弾除けにしかならない。そして、アスランは友人を弾除けに使う気など毛頭無かった。

 

 〈クソッ……どうする、どうすればヤツを落とせる!〉

 

 イザークの悪態を聞きながら、アスランははっと閃いた。あの機体は……確かに知らない機体だ。しかし、爛ぁ璽献広瓩離如璽織戞璽垢砲呂靴辰りと登録されているし、スペックだって詳細に載っている。もしや――!

 

 「イザーク、良く聞け、あれを倒せるかもしれないぞ!」

 

 ガチン、互いに背中合わせになり、アスランは真正面にシールドを構えた。

 

 〈なんだと!? 本当だろうな、アスラン!〉

 

 「さぁな! だがやってみる価値はあると思う! それに、これしか思いつかない! 文句があるなら自分で考えろ!」

 

 一々突っかかってくるイザークには、どうしても一言多い言い草になってしまう自分に苛立ちながらも、イザークが話に乗ってくれるのを祈った。イザークが駄々を捏ねればお終いなのだから。

 

 〈……良いだろう。言え、早く!〉

 

 次の瞬間、再び爛侫.鵐肇爿瓩旅況發忙されるが、何とか持ちこたえながらアスランは作戦を説明する。

 

 「全く……! 良いか、あの色無しは新型じゃない!」
 〈そんなことはわかっている!〉

 

 アスランは苛立ちながらも、必死に応射しつつ続けた。

 

 「――爛ンバレル瓩琉厠呂皀如璽燭砲△覘爛璽蹲瓩箸いうのと変わりは無い! 並外れた技量を持つパイロットなのだろうが、それでも――」
 〈それでも……何だ!?〉
 「――パイロットは軍人じゃない!」
 〈なっ――!?〉

 

 「奴は戦艦の主砲に驚いて一瞬動きを止めた! その証拠に、俺があの威力に気を取られた時、攻撃は来なかった!」

 

 イザークに反論される前に、アスランが怒鳴るようにたたみかけた。この答えが正しい自信は無い。しかし、もはやこれに賭けるしかないのが現状である。

 

 〈なら、どうする!?〉
 「どんな達人だろうと、初めて見る攻撃には一瞬隙ができるはずだ! 奴が主砲に驚いてくれたのなら、この爛ぁ璽献広瓩冒備されている爛好ュラ瓩砲盒辰い討れる! だから、最低出力で撒き散らせば目暗ましにもなるっ! その隙におまえが撃て、イザーク!」

 

 爛好ュラ瓠宗愁皀咼襯◆璽沺七疎屬吠儼舛垢觧で繰り出す事のできるそれは、爛ぁ璽献広瓩了つ最強の武器。四本の鉤爪の中心にある砲口から放たれるのは、五八○ミリ複列位相エネルギー砲だ。
 もはや返事を待っている余裕は無かった。猛攻に晒され、エネルギー残量が凄まじい速さで減りつつある。このままでは、頼みの爛好ュラ瓩魴發弔海箸垢蕕泙泙覆蕕覆ぁ
 イザークが全身を震わしながら激昂した。

 

 〈クソッたれ! ああそうかいそうかい、やってやるよ畜生! しくじったら化けて出るぞ、アスラン!〉
 「その時は俺も死んでるよ」

 

 緊張と恐怖、危機感が極限にまで達すると、こんな冗談まで言えるようになるのか、とアスランは内心苦笑した。
 しかし、彼らのその覚悟は本物だった

 
 

 〈爛丱好拭辞畸翡法 緊急帰投!〉

 

 コクピットに入った通信に、ラウ・ル・クルーゼは目を細めたが、それは仮面に阻まれて確認できない。モビルスーツ隊が出撃して十数分。たったそれだけの時間で、四機が戦闘不能に陥るとは……。
 前回の戦闘からそれほど立ってはいないが、良く修理されている爛轡亜辞瓩縫薀Δ亘足し、艦橋のアデスに指示を出した。

 

 「私が出撃した五分後にニコルとディアッカ、ラスティへの出撃命令を爛モフ瓩愾信しろ」
 〈は、何故です!?〉
 「爛凜Д汽螢Ε広瓩呂海谿幣紊寮鐺は耐え切れん。幸い、まだ色無しはアスラン達が止めてくれているそうだ。私単機で爛好肇薀ぅ瓩鯀世Αそれでも五分が限界だろう、爛┘鵐妊ミオンの鷹瓩盻个討い襪里世らな」

 

 モニターの中でまだ理解できないでいるアデスに笑いかけた後、ラウは愛機を発進させた。
 虚空に投げ出された爛轡亜辞瓩離灰ピットで、ラウは再び眉をしかめた。この宙域に、ムウとは別の何かが壁となって存在している感じがしたのだ。

 

 「これは……。私やムウ以外にも、この力を持つものがいるのか?」

 
 

 「来たか……ラウ・ル・クルーゼ!」

 

 戦場を走る凶悪な黒い波動を感じ、ムウが叫んだ。爛璽蹲瓩ら爛ンバレル瓩ぱっと展開される。ムウが敵の存在を認識し、その敵意に向かう爛ンバレル瓩燭舛傍す腓鬚けた。

 

 「――行けよ、爛ンバレル瓠」

 

 すると、爛璽蹲瓩ら線に繋がれて伸びる爛ンバレル瓩蓮△泙襪膿┝蠅里茲Δ砲垢襪蠧阿出し、爛轡亜辞瓩鯤餔呂掘∋擁からの攻撃を加えはじめる。
 爛轡亜辞瓩呂修譴鯑颪覆回避し、ライフルで次々と落としていく。脳をつんざくようなノイズに、苦痛に顔を歪めるが、すぐにリニアガンを向け、爛轡亜辞瓩妨かって放った。
 ラウもこちらに敵意を向け、ライフルを向けた。――勝負だ! ムウが意気込んだ。
 そのとき、二機の間を一条のビームが切り裂いた。ムウははっとして顔を上げる。

 

 「――坊主、何しに来た!」
 〈だって、爛◆璽エンジェル瓩――〉
 「ヤツの狙いはお前だ、下がれ!」

 

 そう言ってから、ムウは自分の口にしたことに驚愕した。何故そう思う? ヤツの針路は爛◆璽エンジェル瓩惴かっていたはずだ。わざわざ爛好肇薀ぅ瓩鯀世ν由も、その考えが浮かぶ理由も無いはずなのに……。だが、その疑問はすぐに確信となって襲い掛かってきた。 

 

 『来たか、爛好肇薀ぅ瓠』

 

 喜々としたラウの声が聞こえた。通信機などは介していない。宿敵の声が漆黒の宇宙を駆けぬけ、自分の頭に響いてくるのだ。
 爛轡亜辞瓩鰐造Δ海箸覆、爛好肇薀ぅ瓩妨かい、ムウは必死にそれを阻もう前へ出た。

 

 「やらせん……!」

 

 二機はもつれ合うように飛び交い、応射する。爛轡亜辞瓩諒った銃弾が、爛璽蹲瓩竜‖里魎咾い拭

 

 「くっ……!」
 『ついでにさよならだ、ムウ。――お父上によろしくな』

 

 底冷えのする声が、頭の中に響き渡った。そのとき――。

 

 〈やめろぉぉぉっ!〉

 

 今、止めを刺さんとする爛轡亜辞瓩法↓爛好肇薀ぅ瓩猛然と迫った。
 爛轡亜辞瓩涼罎如⊇錨┐身の毛もよだつほどの冷たい笑みを浮かべたのが、はっきりと見えた。

 
 

 爛璽蹲瓩鮗蕕襪戮躍り出たものの、爛轡亜辞瓩力続攻撃に翻弄され、爛好肇薀ぅ瓩呂泙箸發僻新發垢蕕任ない。

 

 「キラ……!」

 

 その様子を見ていたミリアリアが、不安げな声を上げた。

 

 「援護して!」

 

 マリューが言うが、ナタルはすぐに反論する。

 

 「この混戦では無理です!」

 

 確かに、目まぐるしく入れ替わり、すれ違うモビルスーツ戦に、下手に介入すれば味方を撃ってしまう。

 

 「爛好肇薀ぅ瓩離僖錙嫉栂未心配です」

 

 ナタルが声に焦りをにじませた。

 
 

 爛好肇薀ぅ瓩離灰ピットでは、息を切らし、必死で機をコントロールするキラがいた。――守りたい。その一心で恐怖を振り切り、敵に立ち向かっているキラには、鳴り始めている警告音にも気づかない。
敵を近づかせないために必死でビームライフルを撃つ――すると、トリガーが反応しなくなった。

 

 「――――!」

 

 キラははっとゲージを見た。さっきから鳴っていた警告音が、急に大きく耳に飛び込んでくる。エネルギー残量を示すゲージは、レッドゾーンにまで下がっていた。

 

 「パワー切れ!?……しまった!」

 

 爛好肇薀ぅ瓩料甲から色が抜け落ち、本来の暗い鋼の色に戻っていく――フェイズシフトが『落ちた』。
 それを見て取った爛轡亜辞瓩再び距離をつめる。

 
 

 「キラっ!」

 

 見ていた仲間達が思わず叫び声を上げた。
 冷たい戦慄がマリューを襲った。最も恐れていた事が現実に起こってしまった。唯一残っていた機体がザフトに破壊されてしまう。しかもそれには、彼女達が無理強いをしてパイロットにした民間人の少年が乗っているのだ。

 

 「ちょっと、あの子助けてあげないんですか!?」
 「キラ、逃げて!」

 

 フレイとミリアリアが声を上げる。その少女らしい声が、マリューの胸を切り裂いた。自分達は、一人の少年の運命を完全に狂わせてしまったのだろうか。
 その時、震えるミリアリアの背面で、入ってきた通信文にトノムラが目を見開いた。

 

 「艦長! フラガ大尉よりレーザー通信――『爛薀鵐船磧璽好肇薀ぅー瓠▲タパルト射出準備せよ』!?」

 
 

 突如、爛轡亜辞瓩旅圓手を遮るように、一基の樽型の物体が躍り出た。その色は、目も覚めるほどの白銀。それが太陽光を受け、きらりと輝いた。

 

 〈下がれキラ、ここは僕がやる!〉

 

 その本体である爛瓮咼Ε后Ε┘姚瓩鋭く割って入る。

 

 「アムロさんっ! で、でも――」
 〈その機体では無理だ、下がれ! 来るんじゃない!〉

 

 爛轡亜辞瓩鷲古をアムロに絞り、目まぐるしく宙を切り裂く爛侫.鵐肇爿瓩法鋭い射撃を放ち、吸い込まれるように命中し爆散した。
 キラはその時、失いかけていた最初の気持ちが再び湧き上がってくるのを感じた。アムロ・レイに死なれてしまうという恐怖が、この短い時間でそれが杞憂に過ぎないと感じ始めていたあの恐怖が、すぐ背後にまで忍び寄ってきた。

 

 〈――行け!〉

 

 アムロの上げた声に、キラははっと顔をあげ、慌ててその宙域を離脱した。
 エネルギーの尽きた爛好肇薀ぅ瓩任蓮足手まといにしかならない。ならば――!

 
 

 とうに爛好肇薀ぅ瓩悗龍縮が失せていたラウは、仮面の上からでもわかるほどに口元を吊り上げ、高らかに叫んだ。

 

 「この戦場の壁は貴様かっ! アムロ・レイ!」

 

 相手の名前など、当にわかっていた。

 

 『貴様は……ラウ・ル・クルーゼとかいう男か!』

 

 爛┘姚瓩ら力強い波動が発せられる。ラウはまた笑みを浮かべた。

 

 「――言葉を走らせた……! ハッハッハッハ、これは良い! 貴様は私と同じかムウと同じか? それとも全く別の存在なのかな!」

 

 ライフルを連射するがどれも虚しく虚無へと吸い込まれていくだけだ。今まで感じたことの無いプレッシャーにラウは全身を震わせた。間近に迫る死の恐怖。すぐ背中にまでやってきて今にも自分の首を狩り取りそうな錯覚を覚えるほどの戦慄。これこそが、今生きているという証明……。
 そこへ、既にボロボロの爛妊絅┘覘瓩函△泙栖分か余力を残しているように見える爛ぁ璽献広瓩バーニアの尾を煌めかせてやってきた。

 

 〈隊長、コイツは今までの連中とは格が違います。気をつけてください!〉

 

 二人の間に水を刺されたことにラウは少しばかりむっとした。しかし、とラウは思う。

 

 「ああ、わかっているよアスラン。イザークは随分やられたようだが、まだいけるな?」
 〈当然です!〉
 〈作戦があります、私が隙を作りますので、支援を頼みますっ!〉

 

 そう言って爛┘姚瓩貌遊發鬚垢覘爛ぁ璽献広瓩鮓ながら、ラウは久々に気合を入れた。この男と戦うのは、自分の欲求を満たしてくれるものだ。
 しかし――。戦士としての、そして策士としての感覚が告げている。アムロ・レイは後々面倒な敵になる、と。
 今ここで消しておかなければ、この先全ての事柄に支障をきたす事となる。

 
 

 回避運動も無しに迫る爛ぁ璽献広瓩鯢埒に思いつつも、アムロは向き直り、リニアガンを構えた。既に推進剤も尽きかけている。弾薬も残り少ない。いち早く戦闘を終わらせる必要があるのだ。

 

 「爛妊絅┘覘瓩了僂見えない……?」

 

 爛侫.鵐肇爿瓩魑動し、一基を爛ぁ璽献広瓩亮囲に、もう一基を爛轡亜辞瓩亮囲に展開させ、集中砲火を仕掛ける。
残ったエネルギーと弾数に目をやり、爛侫.鵐肇爿瓩砲茲觜況發呂海譴最後になると考えたアムロは、少しでも多くを命中させるように勤める。これでもずいぶんと長く持ってくれた。
 だが、爛轡亜辞瓩廊爛侫.鵐肇爿瓩竜粟廚鯑匹漾↓爛┘姚疔楝里砲泙波新發魏辰┐討るから侮ることはできない。
 アムロ自身、爛侫.鵐肇爿瓩了藩僂砲六誘貳苦していた。本来ならば起動すらできないであろうこの兵装。パイロットスーツのポケットに忍ばせたサイコ・フレームが無ければ、とっくに撃墜されていたかもしれないと思うとぞっとする。
流石にこんな実験機で、これだけの敵を相手にするのは辛い。照準もでたらめなら、機体バランスも最悪だ。
パワーがありすぎるじゃじゃ馬だというのならまだ良いのだが、この機体はただ単に使いづらいだけなので何も良い事がない。良くこんなものを使えと頼めたものだ、とアムロは内心毒づいた。
 激しい攻防の末、遂に爛侫.鵐肇爿瓩爛轡亜辞瓩鯊えた。放たれた弾丸が爛轡亜辞瓩了融茲鮹イ辰討い。それと同時に……まるでカウンターを仕掛けるかのように爛轡亜辞瓩魯薀ぅ侫襪鯑鷦諭∪騎里貌鶸陲劉爛侫.鵐肇爿瓩魴發舛未い拭
 流石にこれにはアムロも驚愕した。今のはラウの攻撃は、捨て身の攻撃だ。それも、部下を守るため、だというような感情から来るものではないことなど当に感知できている。今、あの瞬間。ラウは心の底から楽しんだのだ。
自分の命がここで終わるか、それともまだ生きながらえられるか――死のギャンブルを。
――狂っている。アムロはそう感じた。
 爛ぁ璽献広瓩、突如、爛┘姚瓩妨けて加速をかけた。コーディネイターであろう爛ぁ璽献広瓩離僖ぅ蹈奪箸任垢蕁△修裡任法苦痛で顔を顰めずにはいられないだろうほどの加速で爛┘姚瓩貿る。

 

 「よく動く!」

 

 アムロは突撃してくる爛ぁ璽献広瓩鯲篝鼎紡仆茲靴覆ら、リニアガンを叩き込んだ。

 
 

 激しい振動の中で、アスランはぎゅっと唇を紡いだ。隊長が、そしてあのイザークでさえもが、自分の作戦に命を賭けてくれたのだ。
 ――このまま好きにさせる訳にはいかない……!
 アスランの中で、何かが弾けた。
 何もかもがクリアに感じられた。爛┘姚瓩ら打ち出される弾の軌跡どころか、銃弾の形までもが手に取るようにわかる。次のどんな行動をするのかも……。だからこそアスランは確信した。
 ――勝てない。
 だがそれで良いのだ。自分のやるべき事は勝つ事では無いのだから。
 不思議だった。今まであんなに苦手だったイザークのことを、心の底から信頼しているのだ。ひょっとして、戦友とはこういうことを言うのだろうか。
 共に語り合い、笑いあうことで築く友情ではない。生きるか死ぬかの命を賭け、共に戦うことで築かれるもう一つの友情。
 アスランは更に拳を握りしめ、前を見据えた。

 
 

 「――プレッシャーが壁になった!?」

 

 突如、爛ぁ璽献広瓩ら発せられる気迫が変わった。今までアムロが知覚していた殺意と敵意を帯びた光の条が一度消え、弾け飛び壁となって立ちはだかったのだ。
 自分に伸びる敵意の糸を探り、それを手繰り寄せた先に敵がいる、というのはアムロの感じているものである。
 アムロは舌打ちをしつつ、すぐさま爛ぁ璽献広瓩ら発せられる攻撃の意思を手繰り寄せ、もう二つの殺気に注意しつつリニアガンを二射、撃ち放った。
 爛ぁ璽献広瓩ばっとモビルアーマー形態に変形し、それによって生じた反動でリニアガンを回避した。先ほど見せたように、自分を捕獲しようというのだろうか……? いや、違う……。これは――!
 アムロは機体を動かした。爛ぁ璽献広畸羶瓦妨えるのは、砲口。攻撃が来る!
 目が眩むほどの閃光が、爛┘姚瓩離皀縫拭爾鯔笋畤圓した。

 
 

 一瞬、爛┘姚瓩瞭阿今までのナイフのような鋭いものからぐらりと変わり鈍重な重石のように変わる。
 アスランの作戦は見事に成功したのだ。あえて回避運動を取らず、直線的な動きをする事で、相手の油断を誘う――いや、これほどの相手ならば油断などしないだろう。ただ、何を企んでいる? という疑問を持たせるだけで良い。その一瞬の隙を突けば……。
 そこからは運との戦いだった。何しろこんな戦法は初めて取るのだ。最低出力の爛好ュラ瓩鮃範囲にばら撒く事で目暗ましになれるという保障など無かったのだ。
 虚空に向かって断続的に発射し続けられた爛好ュラ瓩領鎧劼蓮互いに干渉し合い、モビルスーツなどのカメラに一瞬のダメージを与える。相手がナチュラルならば、数秒の視力障害にもなるだろう。

 

 「やった……!――イザーク!!」

 

 彼は思い切り息を吐いて、戦友の名を呼んだ。
 アスランの合図を聞いたイザークもまた、不思議な感情に駆られていた。自分より一歳も年下の癖して、アカデミーでは常にトップ。父親は国防長官で婚約者はアイドル。
憎くてたまらなかった相手だというのに、彼の作戦が成功した事を心から喜んでいる。「やりやがった」と思えてくるのだ。そのことに不思議と腹は立たなかった。

 

 「当たれぇぇっ!!」

 

 怯んだ爛┘姚瓩妨かって、全身全霊を込めたビームを連射した。その攻撃全てが、今までのイザークには想像もできないような、正確で力のある射撃だった。

 
 

 残された最後の爛侫.鵐肇爿瓩鮟發砲靴覆らも、懸命に回避を続ける爛┘姚瓩了僂廊爛◆璽エンジェル瓩任眤えていた。

 

 「ねぇ何で助けないの! 何で助けてあげないのよっ!? アムロさんが死んじゃうじゃないっ!」

 

 艦内にフレイの叫びが空しく響いた。マリューは、特に彼と親しいわけでもないし、戦闘に参加してくれたことに感謝もしているが……。彼女は違うのだろうと思うと、マリューの胃が重くなる。恐らく、シェルターの中でずっと面倒を見てくれていたのだろう。
 あまりにも生々しく、凄まじい戦闘に、元々技術仕官であった彼女にはこの状況を打破する良い作戦が思いつかないのだ。先ほどムウが言ったように、爛薀鵐船礇好肇薀ぅー瓩亮予仆猗はさせているのだが……。
 やがて、爛好肇薀ぅ瓩了僂はっきりと確認できる距離にまでやってくる。とりあえずは無事の姿に、マリューはほっと胸を撫で下ろした。

 

 〈マリューさん、爛薀鵐船磧璽好肇薀ぅー瓩髻急いで!〉

 

 モニターの中のキラが叫んだ。この少年までもがムウと同じ事を言うのはいったい何故なのだろう。

 

 〈ハッハッハ。わかるようになったな坊主! 艦長、出してやれっ!〉

 

 ムウが嬉しそうに声を上げた。マリューの頭の中で、自分の設計したGの性能が並べられていく。フェイズシフトダウンをした爛好肇薀ぅ瓠射出要請された爛好肇薀ぅーパック瓠そして、フェイズシフト装甲。敵に残された二機のGの性能……。
 マリューははっと顔をあげ、命令した。

 

 「爛薀鵐船磧璽好肇薀ぅー畆予个叩」

 
 

 モニターの中で笑みを浮かべているフラガに、バーニアを吹かせている爛好肇薀ぅ瓩離灰ピットでキラは呆然としていた。

 

 「……ム、ムウさん?」
 〈――位置はどうする!〉

 

 軍人ってのは凄いや、と嬉しくなったキラは、自信を持って答える事ができた。

 

 「爛妊絅┘覘瓩鉢爛┘姚瓩亮誉軸上へ!」

 

 ビーム射撃に晒されている爛┘姚瓩蓮既に視界に入っている。後は、爛薀鵐船磧璽好肇薀ぅー瓩間に合うのを願うだけだ。

 
 

 「――馬鹿な。この状態でどうして避ける!?」

 

 アスランは思わず声を上げる。作戦は成功した、視界も奪った。だというのに……イザークの腕は確かなのは間違いない。腕だけなら、アスランも認めている――。それを、これほどまで回避して見せるとは。
 遂にイザークの放ったビームの一発が、爛┘姚瓩鯲り、一瞬の隙が出来た。
 漂っているだけだった爛轡亜辞瓩離皀離▲い忘討啗が宿る。爛轡亜辞瓩六弔気譴榛埜紊領呂鮨兇蟾覆蝓∋ってきていたライフルとバズーカで一斉射撃を仕掛けた。

 
 

 「……アムロさんっ!」

 

 キラの中で、何かが弾けた。
 放たれたバズーカの軌跡が、はっきりと見える。
 何もかもが、ひどくクリアに感じられた。千切れた爛轡亜辞瓩力咾ら覗く内部構造のひとつひとつ、爛好肇薀ぅ瓩離┘鵐献鵑林垢蝓∩瓦討侶彜錣しめす数値、吐き出され、拡散するビーム粒子の軌跡までもが、すべて同時に知覚される。
 キラは軽くトリガーを引き、ゆっくりとそれを繰り返す。爛好肇薀ぅ瓩瞭部から放たれたバルカンの一発一発が、確実に放たれたバズーカを撃ちぬき、爆発させていく。
ライフルの銃弾が爛┘姚瓩貿る。それを知覚する頃には、エネルギーが空となった爛─璽襯好肇薀ぅー瓩鮹綯Δ気察↓爛┘姚瓩僚發箸垢襦爛妊絅┘覘瓩らビームライフル発射されるが、銃身のわずかな傾きから次の射線が面白いように読み取れる。
キラはその軌跡を目掛け、対ビームコーティングシールドを投げつけた。くるくると回転しながら虚空を舞うシールドがビームが弾く。そのシールドも、着弾の衝撃で弾き飛ばされる。バルカンの弾も切れた。
爛妊絅┘覘瓩鉢爛轡亜辞瓩呂泙盛況發鮖澆瓩覆ぁ爛薀鵐船磧璽好肇薀ぅー瓩すぐそこにまで迫っていた。キラは、コンピュータに相対速度と姿勢制御を任せ、攻撃に晒されている爛┘姚瓩料阿北り出た。
そして、爛妊絅┘覘瓩諒ったグレネードランチャーと爛轡亜辞瓩侶發張丱此璽が、瓮好肇薀ぅ瓩膨招發垢襦
 一拍おいて、真空の暗闇に凄まじい閃光が広がった。

 
 

 「キラぁぁっ!」

 

 爛◆璽エンジェル瓩隆篭兇如▲函璽襪、ミリアリアが、サイが絶叫する。

 

 「ウソ……あの子、死んじゃったの……?」

 

 フレイが呆然とつぶやいた。すぐ隣のトールが、「ウソだろ、キラ……」と呻くように言った。
 ――と、次の瞬間、爆煙を切り裂くように一条のビームが放たれた。その巨大なエネルギーは、爛妊絅┘覘瓩留ο咾鯊え、一瞬のうちに吹き飛ばす。
 爆煙の中から爛好肇薀ぅ瓩飛び出してくる。 トリコロールの色鮮やかな装甲。

 

 「キラ――!」

 

 巨大なランチャーが火を噴いた。その射線にさらされ、爛妊絅┘覘瓩呂覆垢垢戮睫気ぁD匹てい舛鬚けるかのように、爛┘姚瓩睛銅呂覆ぬ垤兇魏辰┐討い。衝撃に弾かれながら爛妊絅┘覘瓩亮蠡が千切れ、四散していった。
 爛好肇薀ぅ瓩止めの爛▲哀豊瓩鮃修┐燭箸、その砲身が爆散した。そして次の瞬間、爛好肇薀ぅ瓩何かに殴られたように弾き飛ばされた。
 突如、アムロの駆る爛┘姚瓩、何も無い空間に向けてリニアガンを放った。

 
 

 景色が歪み、たまらずに爛屮螢奪牒瓩姿を現す。爛潺蕁璽献絅灰蹈ぅ畢瓩澄2鳥觚線を歪め、レーダー波を吸収するガス状物質を展開し、それで磁場で機体の周囲に引き付けることで、爛屮螢奪牒瓩牢袷瓦法峺えない存在」となるのだ。
 しかし、「見えない存在」であるはずの自分を正確に狙われた事で、ニコルは驚愕していた。

 

 「くぅっ……。でも目的は果たしました。ラスティ!」

 

 目的――。そのために、爛凜Д汽螢Ε広瓩離ルーは艦の修理も止めて、急ピッチで爛屮螢奪牒瓩諒箋襪鮟えてくれた。いや、爛屮螢奪牒瓩世韻任呂覆ぁ

 

 〈よっしゃあ!。機体の回収は終了したぜ。逃げるが勝ちってね。逃げ遅れんなよっ!〉

 

 ニコルは右腕に装備された爛肇螢吋蹈広瓩鮃修─△修瞭睇瑤冒備されたビームライフルを連射しながら大慌てで後退した。
 だがこれで最後とばかりに爛┘姚瓩魯螢縫▲ンを、まるでマシンガンのように叩き込んできたので、爛屮螢奪牒瓩離┘優襯ーはあっという間にレッドゾーンにまで減って行き、彼の顔は青ざめた。
 それを庇うように、遠くからビーム射撃が爛┘姚瓩鉢爛好肇薀ぅ瓩鮟韻辰拭

 

 〈ヒーローは遅れて登場するんだぜ? これで帰れるな、ニコル!〉

 

 爛丱好拭辞瓩澄左足と散弾砲を破壊されながらも、ラウの命令を受け、何とか出撃してきたのだ。その後ろには、ジン瓩了僂盡える。

 

 〈やれやれ、うちはスパルタですね、隊長〉

 

 予備の爛献鶚瓩望茲蝓▲潺殴襪藁章咾鯒鵬された爛丱好拭辞瓩ら伸びる超高インパルス長射程狙撃ライフルで巧みにニコル達の帰投を支援してくれる。

 
 

 ザフトの部隊が離脱していくのを、爛◆璽エンジェル瓩離ルー達は見送り、その機影が完全にセンサーから消えると、みな一様にぐったりと力を抜いた。何とか敵を撃退する事ができた……。
 彼らは生き延びたのだ――。

 
 

 ほぼ時を同じくして、爛モフ瓩らレーザー通信が届く。戦闘宙域からの撤退を命じるものだった。

 

 〈やれやれ、随分と遅い撤退命令だな〉

 

 ふっと笑みをこぼすラウの声が、通信から漏れ聞こえる。
 それとほぼ同時に、ボロボロの爛ぁ璽献広甅爛妊絅┘覘瓩料甲から色が抜け落る――フェイズシフトが『落ちた』のだ。

 

 「……助かった……のか……?」

 

 はっと息をついて、ようやく自分が汗だくであったことに気づいたアスランは、ここまで疲労していることに驚いた。
 イザークから通信が入る。その声色は、今まで聞いた事が無いほど落ち込んでいるように聞こえた。

 

 〈……すまん、撃ち逃した。申し訳ありません隊長、私のミスです!〉

 

 アスランは彼が自分に謝った事に耳を疑った。まさかあのイザークが……。しかし、とアスランは考える。自分の提案した作戦は本当に成功したのだろうか?
否、違うだろう。本当に成功していたのなら、自分達は今頃爛┘姚瓩鰺遒箸掘↓爛好肇薀ぅ瓩離ラも回収し、新型戦艦も落として万々歳といった様子で帰路につけたはずなのだから。
 アスランは思わず反論した。

 

 「いえ、私の作戦ミスです! 隊長まで参加なさったのに――」

 

 いってから、ちらっとイザークの映るモニターに目をやった。そこに映し出されている姿に、アスランは先ほど感じた疑問も何もかもが吹き飛び、血の気が引いた。

 

 「イ、イザーク。おまえ怪我してるぞ!」

 

 アスランの声に、モニターの中の仲間達が一斉にイザークの顔を見やる。ラスティが慌てて声を上げた。

 

 〈おいおいイザーク。まずいってそれ!〉

 

 バイザーは割れ、破片が飛び散っている。割れたヘルメットの奥からイザークが血だらけの顔で睨みつけ、叫んだ。

 

 〈うるさいっ! あのモビルアーマーを落とせなかったのは俺の失態だ! あれを落とせていれば……クソォ!〉
 〈そ、そうか〉

 

 ラスティがあきれ顔でつぶやいた。恐らくイザークは顔の痛みなど、湧き上がるアドレナリンによって微塵も感じていないだろう。アスランは、一刻も早く医務室へ、と思ったが、反論することも忘れなかった。

 

 「あれは俺のミスだ! もっと違う方法があったかもしれない!」
 〈あ、あの、落ち着いてください、アスラン! イザークも!〉

 

 ニコルがあたふたと声をかけるが聞く耳を持たないと言った様子でイザークは怒鳴り散らす。

 

 〈違ぁぁぁうっ! これは俺の失態だ!〉

 

 顔を血まみれにしながら反論するイザークに、アスランは流石に苛立った。文句を言われるのは……まあ、良くは無いが自分が我慢すれば済むことだ。でもこれは駄目だ。自分の所為で友の名に傷がつくのは許しがたいことだ。

 

 「んな!? いい加減にしろイザーク、俺はお前に自分のミスを擦り付けるような真似はしない!」
 〈ふざけるなっ! これは俺の――〉
 〈ですから落ち着いてください! みんな無事だったんだから良いじゃありませんか!〉
 「〈良くない!〉」

 

 アスランとイザークが同時に言った。
 変なところで気が合う二人の噛み合わない口論に、ラスティがため息をついた。

 

 〈……仲良いじゃん〉

 

 そこへ、一人の男がまるで燃え滾る二つの炎に水をさすように口を挟んだ。

 

 〈なるほど。だがしかし部下の失態は隊長の責任でもある。つまり全ての責任は私にある、と。そう言いたいのかね?〉

 

 否。一人の男がまるで高温で煙を上げる二つの油に水をさすように口を挟んだ。
 アスランはぎょっとして声を上げる。

 

 「ち、違います、悪いのは私で――」
 〈俺だぁぁぁっ!〉

 
 

 くだらない言い合いを通信機越しに聞きながら、ディアッカは呆れてしまっていた。慌てて中破状態の爛丱好拭辞瓩婆瓩辰討たらこんな馬鹿なやり取りをしていたのだから。
流石にヒーロー扱いされるとは思ってなかったが、もう少し気の利いた事を言ってくれるとは思っていたのだ。というのに、自分達を完全無視で痴話げんかである。ふとモニターを見ると、一緒に出撃してきたミゲルも呆れかえっている様だった。

 

 〈……こんなんで良いのかねぇ〉

 

 というミゲルの通信を聞いて、ディアッカは苦い顔をしてから、はぁっと深い溜め息をついた。そして大笑いしているラスティの爛献鶚瓩魏L椶狽砲澆弔帖合流した爛妊絅┘覘瓩鬮爛モフ瓩悗醗っ張っていく。
 結局、アスランとイザークの喧嘩は爛モフ瓩北瓩蝓医師からストップがあった後もやり続け、ゼルマン艦長に拳骨を喰らう事でようやく終わりを迎えるのであった。

 
 

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