Top > CCA-Seed_◆ygwcelWgUJa8氏_08
HTML convert time to 0.043 sec.


CCA-Seed_◆ygwcelWgUJa8氏_08

Last-modified: 2012-09-23 (日) 18:14:30

 医務室のベッドの上で、キラはうっすらと目を開けた。全身に巻かれていた包帯の数は減り、機械とキラを繋ぐ管《くだ》のようなものも目に見えて少なくなっていた。

 

 「――目が覚めたかね?」

 

 ふいに横から声をかけられて、キラは我に帰る。備え付けの椅子に、ハルバートン提督がゆったりと佇んでいた。すぐ側にはマリューと、モーガンが興味深く見守る。

 

 「おはよう、キラ・ヤマト君」

 

 ハルバートンは優しい声音でたずねた。名前を呼ばれると思っていなかったキラは、少し硬くなって「ど、どうも……」と頷く。

 

 「報告書を見ているのでな。――しかし、君のような少年がコーディネイターとはな」

 

 君のような少年、と言った意図を読み取れずキラは硬くなった。だが、ハルバートンの目には、ごく普通の少年を見るような色しか見出せなかった。

 

 「ええと……」

 

 キラは返答につまる。ハルバートンはそんな彼を暖かい目で見つめ、ふと言った。

 

 「君のご両親はナチュラルだそうだが?」
 「え、あ……はい」
 「どんな夢を託して、君をコーディネイターとしたのか……」

 

 キラはどきっとした。そんなことを、両親に聞いてみた事がなかったのだ。今となっては聞くのが怖い。

 

 「……何にせよ、早く終わらせたいものだな。こんな戦争は」

 

 優しそうな笑みを浮かべて言うハルバートンの後ろから、マリューが優しく声をかけた。

 

 「あなたには本当に大変な思いをさせたわ……ここまでありがとう」

 

 彼女は深く頭を下げ、思いもかけぬことにキラは目一杯動転してしまう。

 

 「そんな、艦長っ……」

 

 赤くなってしどもどしていると、顔を上げたマリューが、にっこり笑いかけた。

 

 「口には出さなくても、みんな、あなたには感謝しているのよ。――こんな状況だから、地球に降りても大変かと思うけど……」

 

 彼女は横たわっているキラの手を優しく握る。

 

 「……がんばって」

 

 彼女の手は、あたたかかった。少し離れたところから、モーガンも声をかけてくる。

 

 「アムロ・レイから伝言だ。『君はもう戦うな』だと、さ。俺からも礼を言うよ、良いものを見れた――ああそうそう、パルス特務兵は大西洋連邦に来る事になったそうだ」

 

 ニヒルな笑みを浮かべて言う男に、ハルバートンが苦笑しながらつけたした。

 

 「やれやれ、シュバリエ大尉がうらやましいな。私には少し見えなかった」

 

 笑みをこぼすハルバートンに、キラも少し笑みをこぼしてから遠慮がちにたずねる。

 

 「あの……爛◆璽エンジェル瓠帖張薀潺▲溝膂咾燭舛蓮△海譴ら……?」
 「爛◆璽エンジェル瓩呂海里泙淬狼紊惺澆蠅襦H狃らはまた戦場だ。爛好肇薀ぅ瓩離僖ぅ蹈奪箸魯僖襯江尉が継続することになる」

 

 当たり前のようにハルバートンは答えた。
 いや、当たり前なのだ。マリューたちは軍人でこの艦は戦艦なのだから。
 だが、キラはいつのまにかこの艦に――クルーに、そして爛好肇薀ぅ瓩紡个靴討気┐癲愛着のようなものを感じていた自分に気づく。
 彼の逡巡を見てとったハルバートンが、口を開いた。

 

 「君がなにを悩むかはわかる。……たしかに魅力だ、君の力は。軍にとってはな」

 

 キラは彼の意図を読み取ろうと、その表情をさぐった。だがハルバートンには、言葉とは裏腹にものほしそうな様子はまったくうかがえなかった。彼は笑って言う。

 

 「だが、君がいれば勝てるというものではない。戦争はそんな甘いものではな。……自惚れるな。――意思がないものに、何もやりぬくことはできんよ」

 

 そう言った男の目には、たしかに強固な意志の存在をうかがわせる光りがあった。
 そのとき、ふと顔を顰めたモーガンがハルバートンに声をかけた。

 

 「――閣下、嫌な感じがします。至急爛瓮優薀ス瓩砲戻りを……!」
 「来るのか……?――やれやれ、君らとゆっくり話す間もないわ」
 「まったくですな。私は爛璽蹲瓩農茲北瓩蠅泙后

 

 ハルバートンは広い肩をすくめたあと、扉を開けて走り去る部下を見送った。そのあと、彼はまっすぐキラを見た。

 

 「ここまで爛◆璽エンジェル瓩鉢爛好肇薀ぅ瓩鮗蕕辰討發蕕辰憧脅佞靴討い襦――良い時代が来るまで、死ぬなよ」

 

 そのまま身を返して部屋を後にするハルバートンを、キラはじっと見つめ続けていた。

 
 

PHASE-8 宇宙に降る星

 
 

爛瓮優薀ス瓩隆廟から敵艦発見の報せが届くころには、爛◆璽エンジェル瓩隆篭兇任發修瞭阿をとらえていた。

 

 「ナスカ級三、ローレシア級二、包囲グリーン八アルファ五○○、会敵予測十五分後です!」

 

 マリューは思わず立ち上がった。おそらくずっと彼らを追ってきた敵だろう。増援部隊が到着したということか?
 それにしても、これだけの艦隊を相手にしかけてくるつもりか? 爛◆璽エンジェル甍貔匹里燭瓩法
 マリューはぞくっと身をすくませる。ムウはあれをクルーゼ隊だと言っていた。顔が見えない敵の、異常とも思えるほどの執念深さを思い知らされたような気分になり、彼女は冷たい手が喉元に迫るような圧迫感に襲われた。
 その感覚を振り払うように、彼女はてきぱきと命令を下しはじめる。

 

 「搬入作業は完了しているわね? 爛瓮優薀ス瓩悗離薀鵐舛蓮?」
 「まだ出ていません!」
 「わかったわ。――総員第一戦闘配備!」

 
 

 カタパルトデッキに行き、キラはあたりを見回した。爛悒螢ポリス瓩らの避難民は、ここでランチに乗り、爛瓮優薀ス瓩悵榮阿靴討らシャトルで地球へ降ろされるという手はずになっていた。

 

 「爛好イグラスパー瓩二機。あとは――おい、あれは組みあがってるな!?」

 

 作業中らしいマードックの声が聞こえる。キラは奥で寝かされている機体をちらりと見た。大気圏内用の戦闘機らしいものと、敵として見慣れた二機のモビルスーツ……。
 X一○二爛妊絅┘覘瓩硲悵譟三爛丱好拭辞瓩任△襦――この二機は月に残っていた予備パーツを爛瓮優薀ス瓩運んできて、それを爛◆璽エンジェル瓩覗箸瀘てた機体だ。しかし実戦の洗礼を受けていないためAIの反応も甘く、爛好肇薀ぅ瓩曚百粟度は高くないのだ。
 作業中のクルーにまじってランチに乗る避難民が集まりデッキはごった返していたが、そこにトールたちの姿はなかった。キラを待たずにランチへ乗り込んでしまったということはあるまい。 念のためハッチから中をうかがったが、乗客はまだまばらで、やはりその中にも仲間たちはいないようだ。キラはデッキに戻り、待つことにした。

 

 「あ!」

 

 子供特有の高い声が響き、キラは振り返る。避難民達のマスコット的存在だった女の子が、キラを見つけて飛び出した。不器用に浮き上がった体を受け止め、キラは彼女を自分の前に降ろした。女の子は頬を赤くしてにっこり笑う。

 

 「おにいちゃん、これっ」

 

 舌足らずな調子で言うと、片手をさし上げる。その手には折り紙の花がしっかりと握られていた。キラは目を瞬かせる。

 

 「……ぼくに?」
 「うん。いままでまもってくれて、ありがと」

 

 キラは汗ばんだ小さな手から、その花を受け取った。なんだか鼻の奥がつんとして、なにも言えなくなる。女の子はバイバイと手を振り、母親に手を引かれてランチに乗り込んだ。
 じっと紙の花を見つめていると、後ろから急にヘッドロックをかけられた。こんなことをする相手は決まっている。

 

 「うわ、やめろよトール! なに、みんないないから……」

 

 笑いながら肩ごしに振り返り、キラは言葉をとぎらせた。背後には仲間達の姿があった。トール、ミリアリア、サイ、カズイ――ただ、みんな軍の制服のままだ。けげんな顔のキラに、トールがひらっと一枚の紙を突きつける。

 

 「これ。持ってけって、除隊許可証」

 

 受け取りながら、「え」と聞き返す。するとサイが言った。

 

 「俺たちさ、残ることにしたから」
 「残る……?」
 「爛◆璽エンジェル瓠宗酬海砲機

 

 キラは目を見開き、仲間達の顔をまじまじと見た。

 

 「どういう……こと? なんで……」
 「フレイが残るって言ったんだ。ラクスって子一人じゃ寂しいだろうからってさ。それで俺たちも……」

 

 サイが答え、キラはさらに驚愕する。彼もやはり、あのフレイが残るだなんて予想もできなかったのだ。それもコーディネイターのために……。細かく問いただそうとしたとき、ふいに艦内に警報が鳴り響いた。

 

 〈総員第一戦闘配備! 繰り返す、総員第一戦闘配備!〉

 

 みんな、反射的に持ち場へ急ごうとする。背後から声がかかった。

 

 「おい、そこの! 乗らんのか? 出すぞ!」

 

 ランチの搭乗員だ。トールが振り返ったキラを、前へ押し出す。

 

 「待ってください、こいつも乗ります!」
 「トール!?」

 

 トールはキラの肩をぐっとつかみ、しばしその顔を見つめたが、やがてにやっとして片目を閉じた。

 

 「これも運命だ! じゃあな、お前は無事に地球に降りろ!」
 「元気でね、キラ」
 「生きてろよ!」

 

 みなが口々に別れの言葉を口にし、最期にカズイが、

 

 「カナードがね、必ず会いに行くからそれまでは死ぬな、とかそんなこと言ってたよ。少し怖かったけど」

 

 と伝言を口にした。彼らはキラに手を振ると、あっさりと去って行く。
 そんな――!
 キラは呆然と立ちつくした。
 取り残される不安感が急速に襲ってくる。同時に、さっきからじりじりと感じていた、これでいいのか、という焦燥が、さらに強さを増してのしかかってきた。
 敵の存在を知らせる警報が、耳に突き刺さって思考をかき乱す。
 爛◆璽エンジェル瓩話狼紊惺澆蠅襦そのあとはどうなるのだろう。そして、アスランは……?
 彼と戦うのは嫌だとずっと思ってきた。だがここで戦場を離れれば、確かに戦わなくてすむかもしれないが、彼とはこれっきりになってしまうかもしれない。こんな中途半端のまま、すべてを投げうって逃げ出していいのだろうか?
 彼は両手を目の前にかざす。右手には除隊許可証、左手にはさっき女の子がくれた折り紙の花がある。それらを交互に見て、彼はかたく目を閉じた。
 これ以上同胞たちと戦わないですむ。この苦しみから逃げ出せる……。
 ふと、遠くから話し声が聞こえてきた。

 

 「――爛好肇薀ぅ瓩六箸┐覆い鵑世福」
 「ああ、右腕の取り付けが完了していない!」
 「……チッ。艦隊戦なら爛丱好拭辞瓩能个襦」

 

 カナードが整備班のマードックと出すモビルスーツの会話をしていたのだ。そうだ、彼も残るのだ。そしてアムロも残るというのを、モーガンが言っていたのを思い出す。

 

 「おい、早くしろよ!」

 

 背後から搭乗員のせわしげな声がかかる。その声にせかされるように、キラは決断した。
 彼はぎゅっと右手を握りしめた。同時に床を蹴る。

 

 「――行ってください!」

 

 彼は肩ごしに搭乗員へと叫び返し、くしゃくしゃになった除隊許可証を投げ捨ててカタパルトデッキを離れた。
 ――ぼくは、みんなといっしょにいたい……!

 
 

 〈全隔壁閉鎖、各科員は至急持ち場につけ!〉

 

 爛モフ甦脇發法∪鐺が近づいていることを報せるアナウンスが響く。

 

 〈モビルスーツの発進は三分後、各機システムチェック〉

 

 その放送を聞きながら、イザークはコクピットの中で息をついた。

 

 「爛▲汽襯肇轡絅薀Ε畢瓩領呂撚,契擇譴譴个いい……」

 

 狭いコクピットの天井を仰ぎ、彼は愛機に向かって静かにつぶやいた。
 爛▲汽襯肇轡絅薀Ε畢瓠宗修泙襪燃擦里茲Δ傍‖料澗里鯤いδ媛蛋備。それは爛妊絅┘覘瓩硫侘蓮⊃篆蔑呂魍蔽覆剖化するものだ。右肩には一一五ミリレールガン爛轡凜´瓩、左肩には二二○ミリ怪五連装ミサイルポッドがマウントされる。
本来これは爛献鶚瓩筬爛轡亜辞疝僂縫スタマイズされた後装備されるものなのだが――各部分にハードポイントが多数取り付けられている爛妊絅┘覘瓩覆蕕任呂諒法だった。

 

 〈ずいぶん弱気じゃないか、イザーク〉

 

 「そうもなるさ」

 

 爛丱好拭辞瓩らディアッカが通信を入れてくる。それに続くように、別の通信が入る。

 

 〈でも、今回の狙いは『足つき』だけだろ? 何とかなるっしょ〉
 〈イザーク先輩の足手まといにならないよう、私も頑張りますので……〉
 「ふ、そうだな……。――イザーク・ジュール、爛妊絅┘覘畚个襪勝」

 

 明るい口調で言うラスティとシホにイザークは苦笑しながら答え、爛妊絅┘覘瓩鯣進させた。無線から全モビルスーツに呼びかけるラウの声が流れてくる。

 

 〈目標はあくまでも『足つき』だ! ほかに時間を食うなよ!〉

 

 もちろんイザークも、ほかに時間を食うつもりなどなかった。

 
 

 地球連合の駆逐艦、戦艦から爛瓮咼Ε広瓩モーガンの爛璽蹲瓩鮴萋にして次々と飛び立って行く。そしてザフト艦からもモビルスーツが放出された。

 

 〈全艦密集陣形にて迎撃態勢!〉

 

 通信機を通して、爛瓮優薀ス瓩離魯襯弌璽肇鹹麁弔ら命令が下される。

 

 〈爛◆璽エンジェル瓩脇阿な。そのまま本艦につけ!〉

 

 爛◆璽エンジェル瓩隆篭兇任蓮⊇填譴靴ど坩造魎兇犬覆ら、みながモニターを見つめた。

 

 「爛ぁ璽殴襯轡絅謄襯鶚甬動! 後部ミサイル管爛灰螢鵐肇広畫填!」

 

 ナタルが次々と武装システムの立ち上げを命じていく。

 

 「爛乾奪肇侫蝓璽鉢瓠↓爛蹇璽┘鵐哀螢鶚疊射準備!」

 

 手一杯のトノムラが小さく「くそっ」と毒づく。この少ないクルーで、アラスカまでなんとかやっていかなければならないのだ。そのとき――。

 

 「すみません、遅れました!」

 

 ドアが開き、少年たちの明るい声が響いて、マリューたちは驚いて振り返る。トール、サイ、ミリアリア、カズイ――爛悒螢ポリス瓩粒慇乎が、元気よく入ってきて以前からの自分たちの席についた。

 

 「あなたたち……」

 

 マリューが呆然とつぶやく。

 

 「志願兵です。ホフマン大佐が受領し、私が承認いたしました」

 

 事態を知っていたらしいナタルが短く説明した。マリューは目を見開く。

 

 「あ、キラは降ろしました」

 

 CICに入ったサイが、マリューの困惑に答えるように言う。

 

 「俺たちじゃああいつの代わりまでは無理かもしんないけど、ま、ないよりはマシでしょ? フレイもすぐ来ると思いますし」

 

 コパイロット席についたトールは、パイロットのノイマンに合図を送り、トノムラは背後の二人をちらと見て笑みを浮かべる。メリオルはミリアリアと軽く手を合わせている。いつのまにか仲良くなっていたようだ。はじめはあっけにとられていたクルーたちも、今は嬉しそうに彼らの存在を受け入れていた。
 だがマリューの胸中は複雑だった。少年たちの決意がありがたいと同時に、重荷となって彼女の肩にのしかかる。彼らなりに思うところあっての決意なのだろうが、それはあまりに幼く、甘いものだ。今後の彼らの人生に、この決意はいったいどんな影を落としていくのだろう――と、彼女は考えずにはいられなかった。

 
 

 爛献鶚瓩散会した。暗い真空の海に、ぽつぽつと炎の花が咲く。爛瓮咼Ε広瓩鉢爛献鶚瓩互いの砲門を開いた。爛瓮咼Ε広瓩諒つミサイルをかわし、爛献鶚瓩バズーカを撃ち込む。 そしてその爛献鶚瓩皚爛璽蹲瓩離譟璽襯ンでコクピットを撃ち抜かれて爆散していく。
爆発するモビルスーツを尻目に、戦場をかいくぐってくる赤い機体があった。
 爛ぁ璽献広瓩くるりと変形し、クローの合間から爛好ュラ瓩魴發辰拭たちまち三機の爛瓮咼Ε広瓩炎につつまれる。爛丱好拭辞瓩鉢爛妊絅┘覘瓩發修竜‘偉呂醗掬歸な火力で、次々と地球連合軍のモビルアーマーを落とし、艦隊へ迫る。
 爛瓮優薀ス瓩隆篭兇任修譴鬟皀縫拭爾靴討い織魯襯弌璽肇鵑うめく。

 

 「くそっ……Xナンバーか……!」
 「確かにみごとなモビルスーツですな……だが、敵に回しては厄介なだけだ」

 

 副官のホフマンがとなりで冷ややかに言った。

 

 「爛札譽Ε灰広疊鐫董∪鐺不能! 爛サンドロス當戚曄」
 「爛▲鵐謄ゴノス瓠↓爛廛肇譽泪ぅス畄眥澄」

 

 爛瓮優薀ス瓩隆篭兇法▲ペレータのうわずった声が響く。当初は冷笑的だったホフマンが、愕然として立ち上がった。

 

 「なんだと!? 戦闘開始後たった六分で……四隻をか!?」

 

 そのとき、はるか前方の敵艦が動いた。

 

 「――敵ナスカ級、およびローラシア級接近!」
 「爛札譽Ε灰広瓠↓爛サンドロス瓩縫譟璽供湿伴諭」
 「なにっ……!?」

 

 クルーの報告に、ハルバートンは耳を疑う。敵艦がレーザーを照射して、砲撃の狙いを定めたのは、たったいま被弾して戦闘能力を失った二艦だった。

 
 

 「アスランとニコルは甘いな……」

 

 爛凜Д汽螢Ε広瓩隆篭兇任蓮▲薀Δ薄く笑いながらひとりごちた。

 

 「……人を残せば、そいつはまた新たな武器を手に、来るぞ」

 

 爛凜Д汽螢Ε広瓩鉢爛モフ瓩離潺汽ぅ襪敵艦目がけ、発射された。だがそれは何者かに狙撃され、艦に届くことなく爆発していく。

 

 「あれは……連合の爛丱好拭辞瓠? まだ爍猫瓩残っていたとは……」

 

 アデスが驚きの声をあげる。しかしたった一機ではどうすることもできず、連合のモビルアーマーは次々に沈められていく。

 

 「しかし……。やはりあの色無しがいないと楽ですな。……前を向いて戦える気がします」

 

 アデスがなかば冗談、なかば本音でそう応じる。ラウは笑った。

 

 「先の戦いであれだけの犠牲を出した甲斐もあったというものだ……」

 

 ラウは氷のような声で、独り言のようにつぶやいた

 

 「――人の光りを見せぬまま、ここで消えていくがいい……!」

 
 

 盾になるように前へ出てきた爛丱好拭辞瓩留覗がモニターに映し出されていた。歓声があがった爛◆璽エンジェル瓩隆篭尭發如▲泪螢紂爾呂曚辰閥擦鯢錣撚爾蹐靴劼箸蠅瓦舛襦

 

 「パルス少尉が間に合ってくれのね」

 

 ふいに、キャプテンシートの通信機が着信し、マリューは受話器を取った。

 

 〈おい! なんで俺は発進待機なんだよ!〉

 

 焦れたようなムウの声が伝わってくる。

 

 〈第八艦隊ったって、あの数相手じゃヤバイぞ!〉
 「フラガ大尉……」
 〈……ってまあ、俺一機出たとこで、たいして変わんねえだろうがさあ!〉
 「パルス少尉が間に合わなければ、地球へ降下後の艦を守れるのは大尉だけになってしまうのです。引き続き待機してください」

 

 意識の戻らぬアムロを当てにするわけにもいかず、しかし、と受話器の向こうの相手が言いつのろうとするところで、マリューは通信を一方的に切った。ムウはめったになく苛立ってるようだ。古くからの友人だと言っていたモーガンが頑張っているというのに、指をくわえて見守るばかりの現状に、ストレスを感じているのだろう。
 マリューも彼と同じ気持ちだった。この艦を守り、無事に本部へ送り届けることが、現在の第八艦隊――マリューたち自信を含む――の最重要課題だ。爛丱好拭辞瓩世韻覆蕕个泙世靴癲▲侫薀がいなくなってしまったら、もうアラスカへたどり着くことは不可能に近くなるのだから。だが――このまま手をこまねいていていいのだろうか。
 彼女はしばし思い悩み、そして、決断に至った。

 

 「爛瓮優薀ス瓩悗弔覆い如」

 

 モニターにあわただしげな表情のハルバートンが映った。背後で「ビームを使え!」「落とせ!」などという怒鳴り声がしている。

 

 〈――なんだ!?〉

 

 ハルバートンは怒鳴るのに近い声でただした。マリューは答える。

 

 「本艦は艦隊を離脱し、ただちに降下シークエンスに入りたいと思います。許可を!」
 〈なんだと!?〉

 

 ハルバートンの表情から片手間の調子が消え、驚愕に置き換わる。横から副官のホフマンが割り込む。

 

 〈自分達だけとっとと逃げ出そうという気か!?〉

 

 マリューはきっとして答えた。

 

 「敵の狙いは本艦です。本艦が離れないかぎり、このまま艦隊は全滅します!」

 

 ハルバートンが苦いものを噛んだような顔になる。これだけの艦隊が、たった五隻の艦と数十機のモビルスーツ相手に持ちこたえられないという現実、それらを自らの部下にあっさりと告げられたのだ。

 

 「――アラスカは無理ですが、この位置なら地球軍制空圏内へ降りられます! 突入限界点まで持ちこたえさえすれば、爛献鶚瓩肇競侫抜呂録兇蠕擇譴泙后」

 

 マリューは懸命に訴えた。一歩も退く気はなかった。

 

 「閣下――!」

 

 ハルバートンの顔に、苦笑が浮かんだ。

 

 〈……相変わらず無茶なやつだ。マリュー・ラミアス〉

 

 マリューも笑ってみせる。

 

 「……部下は上官に習うものですから」
 〈いいだろう! 爛◆璽エンジェル瓩呂燭世舛帽濂悉猗に入れ。限界点まできっちりと送ってやる。送り狼一匹も通さんぞ!〉

 

 凛然と言うハルバートンに、舌打ちをしてからホフマンが続く。

 

 〈その無茶に付き合わされる私の身にもなって欲しいが――。ええい仕方あるまい! 良いか、必ず生きてアラスカへ届けるんだぞ!〉

 

 マリューの熱意が彼らの心にも火をつけたようだった。ホフマンの言葉に彼女は意気込みを覚える。
 ハルバートンは頼もしげな笑みを肩頬に浮かべ、クルーに向き直った。

 
 

 「降りる!? この状況でか?」

 

 ムウは振り返ってマードックの顔を見た。この激しい戦闘のさなか、爛◆璽エンジェル瓩六を移さず地球への降下を開始するという。それは一種の賭けだった。

 

 「俺に怒鳴ったってしゃあねえでしょう? ま、このまんまズルズルよりゃいいんじゃねえんですか?」
 「だがなあ……」
 「――ザフト艦と爛献鶚瓩録兇蠕擇譴討癲△△了裕,問題ですよね」

 

 割り込んできた聞き慣れた声に、ムウとマードックがぎょっとして振り返る。

 

 「――坊主!?」

 

 パイロットスーツを着込んだキラが、いつもとかわりない様子でやってくる。ムウたちはしばし唖然とした。そんな二人の前を通り過ぎながら、とっくに艦を降りていたはずの幼いパイロットがあっさりと言う。

 

 「爛好肇薀ぅ瓩蚤垉,靴泙后1ο咾眥召辰燭澆燭い世掘
 「お、おいおい……。そりゃ直したがさ。本当に良いのか、坊主」

 

 コクピットへ漂っていく少年に声をかけながら、マードックが続いた。その様子を見ながら、ムウが低くつぶやいた。

 

 「あんま若いころから、戦場とか戦争なんかに浮かされちまうと、あとの人生キツイぜ……」

 

 その声にはいつもの飄然とした調子はなく、どこか寂しげな響きがあった。
 今漏らした言葉、それは、自らの経験だったのだろうか……。

 
 

 爛瓮優薀ス瓩ら全艦に向けて、通信回線が開かれた。

 

 〈爛瓮優薀ス瓩茲螻憧魯灰鵐肇蹇璽襦宗祝楷呂呂海譴茲蝓大気圏突入限界点までの爛◆璽エンジェル甕羝酲姫卆に移行する……〉

 

 ハルバートンの深い声が、真空中で繰り広げられる死闘を圧して響き渡る。

 

 〈厳しい戦闘ではあると思うが、かの艦は明日の戦局のために、決して失ってはならぬ艦である。陣形を立て直せ! 我らの後ろに敵を通すな!〉

 

 彼の情熱を注ぎ込んだ結晶であり、前線で戦う生身の兵士達の希望――爛◆璽エンジェル瓩鮗蕕譟
 言葉を超える、強い意志の力が、すべての兵士を奮い立たせる。

 

 〈――地球軍の底力を見せてやれ!〉

 

 ハルバートンの演説のさなか、爛◆璽エンジェル甦脇發離蹈奪ールームでは、少女達の言い合いが繰り広げられていた。

 

 「――だから、あんた何言ってんのよ!」
 「人が死んでいるのです、今こうしている間にも! ですから、わたくしにもできることが、あるはずです!」

 

 パイロットスーツを着込み外に出ようとしている少女を必死に抑えつつ、赤毛の少女が怒鳴り声をあげる。

 

 「アイドルなんでしょう!? そんなんでモビルスーツを使える訳……!」
 「それでも、わたくしは――!」

 

 少女の声には、普段の温和さは無く焦りの色を含んでいた。それは、己の無力さを垣間見た苛立ちからくるものか。
 その時、ふと赤毛の少女――フレイのポケットの『お守り』から光りが溢れ、わずかに怯えた彼女はラクスにつかむ手を振り払われた。

 

 「わたくしには……力があるはずなのです!」

 

 慌ててフレイはパイロットスーツを着る暇も無く、ロッカールームを飛び出したラクスを追いかけた。

 
 

 激戦の中、六人の赤と二人のエースパイロットに爛凜Д汽螢Ε広瓩らレーザー通信が届いた。

 

 「爛◆璽エンジェル瓩降りる!?」

 

 たった今爛轡凜´瓩覇鶺,劉爛瓮咼Ε広瓩鯏砲辰織ぅ供璽が、驚愕の声を上げる。彼はぎりりと歯を食いしばった。

 

 「――させるかよ!」

 

 彼は密集して一機も通すまいとする構えの先陣に、爛妊絅┘覘瓩魘遒辰得擇蟾んだ。仲間の七機もそれに続き、慌ててもう一機の爛献鶚瓩それを追った。
 駆逐艦が退きながら全砲門を開いて迎撃する。数知れぬミサイルを、ビームを、しかし九機のモビルスーツはものともせずかわしていく。爛妊絅┘覘瓩劉爛轡凜´瓩駆逐艦のエンジンを捉え、突撃してくる爛瓮咼Ε広瓩鬮爛轡亜辞瓩やすやすと落とし、
爛丱好拭辞瓩離薀鵐船磧爾鉢爛轡亜璽妊ープアームズ瓩離咫璽爐艦の横っ腹に大きく穴を穿つ。
 橙に塗られた爛轡亜辞瓩鉢爛献鵐魯鵐泪縫紂璽亅瓩巧みなチームワークで爛瓮咼Ε広瓩鮟鎧兇蕕靴討い。爛屮螢奪牒瓩敵を翻弄し、固まったところを爛ぁ璽献広瓩離好ュラが射抜く。それに続いてついてきた爛献鶚瓩盥欧討督匹い垢る。
 爛瓮優薀ス瓩亮臻い火を噴いた。暗い宇宙空間が一瞬あかあかと照らし出される。しかし、彼らを止める力にはならなかった。爛妊絅┘覘瓩箸第一隊列を突破し、続く第二隊列もかわしていく。なだれ込むように、八人の勇者達がそれに続いた。

 
 

 キラは爛好肇薀ぅ瓩離灰ピット内でいぜん待機中だった。その手でもてあそんでいた折り紙の花を、コンソールの隙間に挟み込み、微笑む。これは彼の人生ではじめての勲章、誰かを守りきれたという証拠だった。
 降下シークエンスが続いていた艦内に、突然チャンドラの驚愕の叫びが響いた。

 

 「敵モビルスーツ隊、先陣隊列を突破! 爛ぁ璽献広瓠↓爛妊絅┘覘瓠↓爛丱好拭辞瓠↓爛屮螢奪牒瓩魍稜А」

 

 キラはさっと緊張する。続いてトノムラの声が、〈爛瓮優薀ス瓩交戦中、パルス少尉の爛丱好拭辞瓩モビルスーツ隊を抑えています!〉と状況を告げる。キラは爛璽蹲瓩妨かって呼びかけた。

 

 「フラガ大尉!」
 〈ああ、わかってる〉

 

 間をおかずムウが応じ、艦橋へ呼びかける。

 

 〈艦長、ギリギリまで俺たちを出せ! あと何分ある!?〉
 〈なにを馬鹿な――『俺たち』……?〉

 

 マリューの声に途中でけげんな調子が混じる。そこへキラが割り込んだ。

 

 「カタログ・スペックでは爛好肇薀ぅ瓩話餌里任盥濂鴫椎修任后
 〈――キラ君……?〉

 

 マリューが息をのむ雰囲気が伝わり、ミリアリアの〈キラ!?〉という叫びが重なる。そこでキラは、自分がこの艦をとっくに降りたことになっていたことに思い当たった。ばつが悪いような誇らしいような複雑な気分になる。

 

 〈キラ君、どうしてあなた……そこに!〉

 

 呆然としたマリューの声に、叱るような調子が加わる。彼女は本当に、キラを解放したつもりだったのだろう。潔い人だ。
 そんな人が艦長だったからこそ、自分は戻ってこれたのかもしれない、とキラは思った。

 

 「爛レイトス瓠↓爛▲鵐謄ゴノス瓠↓爛┘Ε瓮優広畄眥澄」

 

 パルの声に慌ててモニターに目をやると、そこには黒く塗られた三機の爛献鵐魯ぅ泪縫紂璽亅瓠△修靴頓色をした爛轡亜辞瓩旅みな攻撃により、あっというまに沈められた艦の姿があり、マリューは驚愕する。

 

 〈このままじゃ、爛瓮優薀ス瓩盍蹐覆い任垢茵 艦長!〉

 

 キラの声に、マリューは決断を迫られた。トールがさっきから複雑な顔でこちらを見ている。こんなはずではなかったという当惑と、友と離れなくてすんだという喜びが、幼い顔の上でせめぎあっている。
 なぜ戻ってきたのだ。マリューは苦い思いをかみしめる。
 それは――自分達の、トールたちのためだろう。優しすぎる子だ。だが、戦場ではその優しさが命取りになりかねない。
 そして、この状況で、爛瓮優薀ス瓩鉢爛◆璽エンジェル瓩魑澆Δ燭瓩鉾爐棒錣┐噺世Δ里? ひとつ間違えれば地球という重力の井戸の底へ落ち込む、ギリギリの縁で。
 だが彼女の逡巡は、ナタルによって打ち破られた。

 

 「わかった! ただしフェイズスリーまでに戻れ」

 

 ナタルはいつもの冷徹な口調で言った。

 

 「スペック上は大丈夫でも、やった人間はいないんだ。中がどうなるかは知らないぞ。高度とタイムはつねに注意しろ!」

 

 〈はい!〉というキラの声とともに、通信は切れた。マリューは立ち上がった。

 

 「――バジルール少尉っ!」

 

 ナタルは髪の毛ひとすじ乱した様子もなく、彼女の憤怒を真っ向から受け止めた。

 

 「ここで本艦が落ちたら! 第八艦隊の犠牲の全てが無駄になります!」

 

 二人はしばし、睨みあった。

 
 

 カタパルトハッチが開くと、視界一面が青い地球で覆い尽くされた。まるでそのまま、真っ逆さまに落ちていってしまいそうな錯覚を覚える。

 

 〈……こんな状況で出るなんて、俺だってはじめてだぜ〉

 

 スピーカーからいつもより硬いムウの声が入ってくる。キラはぎゅっとレバーを握りしめた。いつものように励ましてくれるアムロがいてくれないのが、これほど不安な気持ちにさせるのかと内心驚きながら、声をあげる。

 

 「――キラ・ヤマト、行きます!」

 

 カタパルトが爛好肇薀ぅ瓩魑空に放り出す。直前にマードックの〈な、何やってんだ!?〉という声が聞こえたが、淡く白い雲のヴェールをまとった地球が目の前に迫り、息をのむ。方向転換しようとしたが、フットペダルが重い。

 

 「くっ……重力に引かれてるのか?」

 

 キラは操縦系統を微調整し、フットペダルを踏み込んだ。向かう先は、火線の入り乱れる戦場だ。だが、そこに到達する前に、コクピットに警告音が鳴り響いた。あちらが先に見つけてくれたらしい。

 

 「――爛妊絅┘覘瓠」

 

 X一○二爛妊絅┘覘瓩良充┐モニターに出る。が、目視した機体は記憶と外見が異なっていた。装備が変わっているのだ。あれは、カナードが爛献鶚瓩冒備していた爛▲汽襯肇轡絅薀Ε畢瓩箸いΔ發里忙ている。
ライフルで狙撃するが、装備のために運動性が高まったのかあっさりかわされ、あっという間に迫られる。

 

 「くうっ……!」

 

 振り下ろされるビームサーベルをすんでのところで避け、キラは焦って後退した。キラはサーベルを手に持ち、切りかかろうとする。そのとき、ロックオンを告げる警報《アラート》が鳴り響いた。
 反射的に、爛好肇薀ぅ瓩鵬麋魃親阿鮗茲蕕擦襦するとさっきまでいた位置にビームがふりそそぐ。見ると、そこには青色をした爛轡亜璽妊ープアームズ瓩函∠瑤劉爛轡亜辞瓩自分を狙っていた。

 
 

 「爛戰襯哀蕁璽劉畄眥澄」
 「限界点まであと五分!」

 

 爛瓮優薀ス甦篭兇如▲曠侫泪鵑叫んだ

 

 「閣下、これ以上は……! これでは本艦が保ちません!」

 

 だがハルバートンは断固として首を横に振った。

 

 「……まだだ!」

 

 ついに敵の爛丱好拭辞瓩猟狭皀ぅ鵐僖襯好薀ぅ侫襪爛瓮優薀ス瓩北臣罎掘艦橋にまでその振動が伝わる。そのとき、オペレータの声に、ハルバートンは声を上げた。

 

 「爛◆璽エンジェル瓩茲蝓■悵譟五爛好肇薀ぅ瓠↓爛瓮咼Ε后Ε璽蹲疊進!――X一○二爛妊絅┘覘瓩眸進しました!」
 「――なんだと!?」

 

 モニターにその姿を求め、地球光を反射して白く輝く機体を見つけて拡大する。爛好肇薀ぅ瓩賄┐劉爛妊絅┘覘瓩搬儘気掘⊃兇蟆爾蹐気譴織機璽戰襪鬟掘璽襯匹納け止めた。
激しい火花が散る。その一撃をすり流し、爛好肇薀ぅ瓩魯咫璽爛薀ぅ侫襪魴發舛覆ら下がった。そこを爛轡亜璽妊ープアームズ瓩鉢爛轡亜辞瓩ライフルを放つが、爛好肇薀ぅ瓩魯丱襯ンで応襲する。
 あの機には誰が乗っているのか――?
 問うまでもない。あのキラ・ヤマトという少年だ。ほかの誰があの機体を、ああも楽々と操れるだろう。
 しかし、と彼は思った。爛好肇薀ぅ瓩鯆匹Δ茲Δ暴亰發靴拭悗發Π豕 戮劉爛妊絅┘覘瓩砲話が乗っているのだ。素人同然の動きをしながら無重力に振り回されているあの機体にはいったい誰が――?
 ムウの爛璽蹲瓩皚爛ンバレル瓩鯏験し、爛丱好拭辞瓩坊發舛かる。撃ち返したXナンバーの砲弾をかわしていくのは、さすがに『鷹』と呼ばれるだけのことはある。そして『鷹』は、『狂犬』と合流し、同時にいくつもの火球をあげていく。
 突然、前方からビームを撃ちかけられ、ハルバートンは目前で戦う機動兵器から目を離した。そして、その目を見張る。

 

 「ローラシア級接近――!」

 

 いつのまにかザフト艦のうちの一隻が、爛瓮優薀ス瓩悗版っていた。

 
 

 「爛モフ瓠⊇于瓩だぞ! 何をしている!?――ゼルマン!」

 

 爛凜Д汽螢Ε広瓩隆篭兇如▲▲妊垢身を乗り出して叫んだ。もともと突出ぎみだった爛モフ瓩、今は完全に敵の隊列の内側へ入り込んでいる。通信回線が開いた。

 

 〈……ここまで追い詰め……引くことは……元はと言えば我ら……〉

 

 爛モフ甦歪垢離璽襯泪鵑世辰拭5離があるため、ジャマーの影響で映像も音声も酷く乱れている。ノイズの合間に時折聞こえる声は、妙に平静で、アデスはゼルマンが既に覚悟を決めていたことをしる。
変色し、歪んだ画像が一瞬正常になり、ゼルマンの表情を映した。その顔はいつものように、生真面目そうだった。

 

 〈……狢つき瓩鷲ず……〉

 

 距離が開きすぎたのだろう、それきり通信は途絶えた。アデスは呆然としていた。 幾度となく機会を得ながら、爛◆璽エンジェル瓩鬚海海泙覇┐憶笋咾気擦討靴泙辰燭海箸蓮確かに失策だ。
ことに単独行動中、爛▲襯謄潺広疉婉瓩猫爛◆璽エンジェル瓩鬟蹈好箸靴燭海箸蓮▲璽襯泪鵑砲箸辰突縦螻阿慮躬擦任△辰燭世蹐Αだがそれとて、ゼルマンだけの責任ではない。

 

 「――クルーゼ隊長……」

 

 アデスはやりきれない気分で上官の顔を見やり、ふいにぞっとした。
 ラウはモニターを見つめていた。そこには爛瓮優薀ス瓩竜霏里貌佑湛んでいく爛モフ瓩留覗が映し出されている。
 一心に見入るその口元は、かすかに笑っていた。

 
 

 一斉射撃をしながら遮二無二突き進んでくる爛モフ瓩鮖澆瓩茲Δ函駆逐艦が爛瓮優薀ス瓩料阿惱个襦7磴靴け射がなされたが、駆逐艦は炎を上げながら沈み、その横をゆっくりと爛モフ瓩通り過ぎる。
二機の爛璽蹲瓩慌てて接近しようとするが、三機の黒い爛献鵐魯ぅ泪縫紂璽亅瓠∠色の爛轡亜辞瓩冒砲泙譴討靴泙Α

 

 「――刺し違えるつもりか!?」

 

 揺れる艦橋で、ホフマンが立ち上がる。きつく歯を食いしばっていたハルバートンが、やおら命令を下した。

 

 「すぐ避難民のシャトルを脱出させろ」

 

 虚をつかれたホフマンが、その意味するところを悟り、顔色をなくす。ハルバートンはそんな彼を叱咤するように叫んだ。

 

 「ここまで来て、あれに落とされてたまるか!」

 

 爛瓮優薀ス瓩亮臻い爛モフ瓩鯀世Αしかしそれよりも早く、橙の爛轡亜辞瓩房臻い撃ちぬかれ爆発する。慌てて味方の爛丱好拭辞瓩爛モフ瓩魴眥世靴茲Δ帆阿砲任襪、黒い爛献鵐魯ぅ泪縫紂璽亅瓩力続攻撃で砲身を破壊される。
 ハルバートンは死を覚悟した。しかし、突然カナードの駆る爛丱好拭辞瓩動きを変え、迫り来る艦に向かってバーニアを吹かせ突撃していくのは予想だにしないことだ。

 

 「パルス少尉が前へ出たのか!? 何をする気だ!」

 

 ホフマンが叫んだ。『鷹』と『狂犬』の爛璽蹲瓩何とか敵の猛攻を掻い潜り、その一瞬の隙に、眼前まで迫った爛モフ瓩遼づ磴反篆壁瑤魴發組瓦い拭そしてすかさず爛丱好拭辞瓩その横っ腹に体ごとぶつかり、メインスラスターを全開にしてがっしりと爛モフ瓩虜幻燭魏,靴討い。

 

 〈ハルバートン、貸しにしてやる! あとで返せよ!〉

 

 カナードの生意気な物言いに動じようともせず、ハルバートンは驚いて声をかける。

 

 「何をする気だ!?」
 〈起動を逸らすっ!〉

 

 爛瓮優薀ス瓩ら一機のシャトルが放出され、徐々に離れて姿勢を制御する。ホフマンはそれを見て安堵の表情を浮かべた。突如、『あの時』かすかに聞こえた声が、今度ばかりははっきりと聞こえた。ハルバートンが声をあげる。

 

 「――撤退しないと全滅するだと!?」
 「……はっ?」と情けない声を出したホフマンを無視して、ハルバートンは顔をしかめた。確かに、そう言った。これは、私だけか――?
 〈――閣下!〉

 

 そこへ慌てた様子のモーガンから通信が入った。ハルバートンは即座に決断して、命令を下す。

 

 「面舵!――本艦はこれよりこの宙域を離脱する!」

 

 わずかに起動を反れた爛モフ瓩爛瓮優薀ス瓩隆秡阿砲泙杷り、それは左舷の装甲を抉るように擦り通って艦橋内に鈍く嫌な音が響いた。だが、それだけであった。
航行能力を失った爛モフ瓩呂修里泙淦鐺空域の外へと吸い込まれるようにして、ただ漂うのみである。ハルバートンはふうっと深いため息をついた。
 あとは、爛◆璽エンジェル瓩無事に目的地にたどり着くだけだ。ハルバートンは爛◆璽エンジェル瓩了僂鯡椶望討付けるようにじっと見つめつづけた。

 
 

 激戦の中、爛◆璽エンジェル瓩隆篭兇任呂舛腓辰箸靴織僖縫奪になっていた。突然爛妊絅┘覘瓩許可もなく出撃し、素人のような動きをしているのだ。マリューが驚きも隠さず、格納庫に通信を入れた。

 

 「マードック曹長、あの爛妊絅┘覘瓩蓮?」

 

 〈それが……クラインの嬢ちゃんとアルスターの嬢ちゃんが勝手に出ちゃいまして……こっちにも何がなんだか〉
 「あの二人が……!?」

 

 しどろもどろに答えるマードックに、マリューは言葉を詰らせる。彼女達が、なぜ……? サイたちも驚愕の表情で凍り付いてしまった。ナタルが苛立ちも隠さずに怒鳴った。

 

 「なぜ出したのかと聞いているのだ! 許可を出した覚えはない!」

 

 〈こっちだってありませんよ! カタパルトが勝手に動いて、ハッチが勝手に開いたんです! こんなのどう説明しろってんですか!?〉

 

 ナタルが「なんだと……?」と固まっているところに、突如報告が入る。

 

 「艦長! フェイズスリー――突入限界点まで二分を切ります! 融除剤ジェル、展開用意」

 

 ノイマンの声に、ナタルが反応する。

 

 「爛璽蹲瓩鉢爛好肇薀ぅ瓠↓爛丱好拭辞瓩鮓討嗅瓩察――爛妊絅┘覘瓩歪命を切っているのか!?」

 

 マリューは手に汗を握りながらモニターを見つめていた。
 満身創痍の爛瓮優薀ス瓠∋賃鹸和發力を振り絞って帰路へつく。それに追いすがる多数の爛献鶚瓩髻必死に爛璽蹲瓩応戦する。

 

 「ハルバートン提督……!」

 

 少しずつ離れていく爛瓮優薀ス瓩妨けて、マリューは拳を握りしめた。
 ――閣下……。その思い、しかと届けます。
 心に強く念じてから、マリューはキッと前を見据える。

 

 「爛好肇薀ぅ瓩膨命を。 爛妊絅┘覘瓩魏鷦させて! 爛丱好拭辞瓩榔羝遒髻」

 
 

 右も左も上も下もわからぬような状況で、ラクスは必死に機体を操作しようとしていた。

 

 「コーディネイターなのになんで動かせないのよ!」
 「訓練をしなければ無理です! わたくしは訓練をしていませんので――」
 「じゃあなんで出てきたの!」
 「だって――放っておけない……!」

 

 フレイは一度顔を顰めてから、「馬鹿っ!」と怒鳴った。だがラクスも負けじと声をあげる。

 

 「きっと戦いを止めてくださるはずです、わたくしにはそれが――」
 「そんなの知らないわよ! どうすんのよ、何もできないじゃない!?」
 「そんなことありません!」
 「何もできていないじゃない!」

 

 ラクスには、もはやつまらぬ意地しか残されていなかった。人を導く力、幼き頃から、ずっとそう言われ続け、その為の教育を受け、その為だけに生きてきた。己の中に人の革新があるのだと、そう言われ続け……。
他者の為の人生――。自己の全てを犠牲にすることで、それが世界の平和の為になるのならそれで良いと、ラクスは思っていた。――この艦に、来るまでは。
 あまりにも、無力であった。あなたこそ人を導く光だと言われたラクスの目の前で、はじめてできた友達の父が、ラクスの同胞によって命を奪われた。声も届かず、心も届かず……無様であった。それがたまらなく悔しい。では、何故わたくしは今まで生きてきたのと声をあげたくなるほどに。
 彼女は明らかに冷静さを欠いていた。十六年もの間行われ続けた精神の教育の根は深く、己の無力を否定する前に、少女はある行動をおこした。
自分の言葉が、声が人の道を正すのだと思っていた少女は、訓練もせずにモビルスーツに乗るあの少年を見、自分の力を間違った形で受け止めようとしたのだ。それはあまりにもおろかな夢、幻であり、すなわち、現実逃避である。
きっと、自分には眠れる力があって、それは声によるものではなく、戦うための才だったのだ、と。
 だが今、彼女の逃げ道は絶たれた。
 目の前に爛献鶚瓩現れ、二人は驚愕して声をあげた。

 

 「わ、わたくしは敵ではありません……!」
 「――いや、死んじゃう!」

 

 爛献鶚瓩諒ったバズーカが迫る。ああ、ここで死ねたら楽かもしれないと思ったところでもう一人の少女のぬくもりがラクスの心を現実に引き戻し、友人の胸のうちが輝いた。
その淡い光は爛妊絅┘覘瓩料甲すらも透け、前面に膜のようなものを張ると、バズーカの弾が消滅した。怯んだ爛献鶚瓩妨けて、爛妊絅┘覘瓩ら爛ぁ璽殴襯轡絅謄襯鶚瓩勝手に放たれ、爛献鶚瓩龍軋里魴蠅世蕕韻砲垢襦

 

 「助かったの? 今光ったわよね!?」
 「……人が、わたくし今、人を殺して……」
 「やらないとやられてたわよっ!」
 「ですが――!」

 

 人を救うために生まれたわたくしが、自分可愛さゆえに人を、殺す……? 心臓の鼓動が早くなる、息が苦しい、何をしているの、わたくしは……。
 ふいに、フレイが口元を押さえ、苦しみだした。

 

 「フ、フレイさま……?」

 

 彼女は全身を震わし、目を見開いている。現実から目を背けるな、戦えと運命が言っている。今ラクスが全てを投げ出したら、彼女はどうなる。己の為に他者を道ずれにするつもりか、と。少女の怯える声が、ラクスをわずかに冷静にさせた。

 

 「な、なにこれ……人が入ってくる……。頭の中に……」

 

 苦しんでいるフレイの体から蒼い光りの粒が漏れ始める。その輝きは美しく、思わずラクスは光の中心にいる赤毛の少女に見惚れた。
 その時――
 『地球軍の底力を見せてやれ!』

 

 頭の中に響いてきたそれに、ラクスははっとして辺りを見回す。だが、そこには狭苦しいだけのコクピットに埋め尽くされた機材と、モニターに映し出される外部の様子しか見えない。フレイは虚ろな目のまま呆然としている。すると、また別の声がした。

 

 『爛◆璽エンジェル瓩鉢爛好肇薀ぅ瓩蓮必ず送り届ける!』
 『あの艦にはラクス・クラインが乗っている! なんとしても地球へ降ろす前に……!』
 『希望を絶やすわけには……!』

 

 不思議と、恐怖は感じなかった。

 
 

 〈ゼルマン艦長――!〉

 

 ニコルの悲痛な叫びがスピーカーから聞こえた。アスランはしばし呆然と、力尽き漂う爛モフ瓩鮓ていた。
 〈戻れ〉という命令が、レーザー通信で彼らのコクピットには届いていた。
 たしかに――今からあとを追っても、彼らにできることは何一つない。だがアスランは、帰投することも忘れて、目の前で繰り広げられる一大カタストロフに見入っていた。
 これ以上は無意味だ。『足つき』には追いつけず、無駄な犠牲であったのかと苦心せずにはいられない。ならば、今は少しでも犠牲を減らすために、撤退に全力を注ぐべきでは無いのか。
 頭ではそう考えているのに、ただこの光景に圧倒されるばかりの自分がいる。これだけの破滅を招いたそれぞれの人の思いが、背筋を駆け上がり肌を粟立たせる。
 燃えていく。人々の思いが、憎しみが、希望が、絶望が、母なる大地に向けて落下していく。
 これらの思いが、いつかどんな実を結ぶのか――それとも……大地に根付く前に焼かれて消えてしまうのか――?
 その時、アスランは見た。戦場には似使わぬほど暖かく優しい光をまとい、虚空の闇を滑るようにして飛ぶ敵の爛妊絅┘覘瓩了僂髻
 ――なんだ……?
 ふざけているのか、と自分の脳内を疑ったが、爛ぁ璽献広瓩離皀縫拭爾鳳任靴世気譴襪修譴聾充造里發里任△蝓▲咫璽爛薀ぅ侫襪鮃修┠發弔戮かと己に問うと同時に、妨害電波が薄くなってることに気づき、ふと漏れ聞こえる通信に耳を傾けた。

 

 〈だれか、わたくしの声が聞こえていますか、フレ――〉

 

 誰かの名を呼びかけたところで、通信が途切れるも、アスランはどくんと心臓が高鳴るのを知覚していた。
 ――ラクス!
 彼女の声を聞き間違うものか! 彼はフットペダルを思い切り踏み込み、爛妊絅┘覘瓩鯆匹Α

 

 〈アスラン、どこへ行くんです!?〉
 「ラクスがいた!」

 

 〈えっ?〉と聞き返すニコルに、アスランは怒鳴るように言う。

 

 「ラクスがいたんだ!」
 〈ま、待ってください、アスラン!〉

 

 爛屮螢奪牒瓩慌てて爛ぁ璽献広瓩鯆匹辰拭

 
 

 「今度はなんだ!?」

 

 マードックがどたばたした格納庫内で再び怒鳴り声をあげた。

 

 「爛┘姚瓩、爛瓮咼Ε広瓩起動しました!」

 

 整備員のブライアンの声に、マードックが驚愕の色を浮かべる。見れば、淡い光りを発しながら爛┘姚瓩鋭い起動音を上げていた。

 

 「だんなが来たのか!?」

 

 その問いに、彼は驚きを隠そうともせずに叫び返す。

 

 「いえ、これは――無人です!」
 「んな馬鹿な!」

 

 爛◆璽エンジェル瓩慮緝甲板にアンカーを打ち込み、爛璽蹲瓩艦内へ滑り込んだ。
 そのタイミングを見計らったかのように爛┘姚瓩飛び出していく。
 ムウは爛璽蹲瓩ら飛び出し、叫んだ。

 

 「――アムロ・レイはこういうことができるのか!?――それとも、別の……!?」

 

 艦橋では降下シークエンスが最終過程を迎えていた。

 

 「フェイズスリー! 融除剤ジェル展開!」
 「爛妊絅┘覘瓩膨命がつながりません!――フレイ、フレイ! 応答して!」

 

 さっきからミリアリアが懸命に呼びかけているが、通信機から帰ってくるのは擦過音に似たノイズばかりだ。
 パイロットのノイマンが、緊張にうわずった声で告げた。

 

 「艦、大気圏突入!」

 

 爛◆璽エンジェル瓩牢歪貮瑤鮹肋紊妨け、大気圏に突入した。噴出口から透明なジェルが排出され、摩擦熱をもっとも受ける底部全体を包み込む。ラミネート装甲全体の温度が、じりじりと上昇していく。

 
 

 「ええいっ!」

 

 打ち込んできた爛妊絅┘覘瓩離咫璽爛機璽戰襪髻▲ラはシールドで受け、力一杯押し返す。跳ね飛ばされながら爛妊絅┘覘瓩魯薀ぅ侫襪魴發繊↓爛好肇薀ぅ瓩眤爐ながら撃った。
爛妊絅┘覘瓩バーニアを吹かす。それに合わせる様に、爛丱好拭辞瓠↓爛轡亜璽妊ープアームズ瓠∠瑤劉爛轡亜辞瓩たくみに掩護射撃をしてきた。
 キラははっと身を引くが、それ目掛けてもう一機の爛丱好拭辞瓩前へ躍り出た。

 

 「――カナード!」

 

 キラは嬉しくなって通信を入れた。

 

 〈何をやっているんだ! 戻らないと燃え尽きるぞ!〉

 

 そう言いながら肩にあるミサイルを放った。ふいをつかれた爛妊絅┘覘瓩禄發鮃修┐覯砲發覆直撃し、その衝撃で怯んだ。
 この隙に、と、二人は離脱しようとする。逃がすものかとばかりに、離れていく爛妊絅┘覘瓩ライフルを構えた。そのとき――
 応射しようとしたキラの視界を、さえぎったものがあった。
 爛瓮優薀ス瓩ら放出されたシャトルだった。本来ならキラ自身もその中にいたはずの、爛悒螢ポリス瓩らの避難民が乗っているシャトル。それが偶然、後退する二機の爍猫瓩板匹い垢るザフトの爍猫瓩隆屬魏切ったのだ。
 爛妊絅┘覘瓩、シャトルにビームを放った。

 

 「やめろおぉぉぉぉっ!」

 

 キラは絶叫した。バーニアに点火し、〈よせ!〉と静止しようとしたカナードを無視して爛好肇薀ぅ瓩亮蠅鮴紺貲嫂ばす。
 シャトルの横に並ぶ船窓からのぞく、幼い小さな顔が見えたような気がした。
 ――次の瞬間、一瞬でビームを追い抜いた蒼い光がシャトルを包みこんだ。
 やがて、その光に光の粒にビームが吸い込まれていき、ふわっと光が溢れる。

 

 「――!?」

 

 キラは訳がわからず戦慄した。得体の知れない輝きが、ビームを弾いたなどとどうして信じられようか。目の前には何事も無かったかのように地球へ降下していく、シャトルの姿があった。
 苛立った敵が続けてビームを放とうとした時、もう一機の爛妊絅┘覘瓩シャトルを守るようにして躍り出た。その機体には、淡い光が溢れている。

 

 「爛妊絅┘覘瓠? 誰が乗ってるの!」

 

 慌ててキラが通信を入れた。返ってきたのは、震える少女の言葉だった。

 

 〈か、勝手に動いているのです! わたくしにはどうしたらいいか――あっ〉

 

 敵の爛妊絅┘覘瓩ら、ビームが放たれた。援護、盾になるか、間に合うか、と一瞬で思考し、無理だと悟った時、光に包まれた爛妊絅┘覘瓩蓮∧譴里茲Δ焚困笋な動作で両腕をいっぱいに広げ、シャトルを庇う。

 

 「ラクス・クライン!?」
 溢れ出んばかりの光の粒が、ラクスの乗る爛妊絅┘覘瓩僚發箸覆蝓敵が放ったビームの粒子はそれに弾かれ拡散した。そのまま両手を敵へと向けると、淡い光は誘われるようにして広がり、敵のモビルスーツを滑らかに弾き飛ばした。
 そこへビームライフルを連射しながら、入れ替わるように爛ぁ璽献広瓩迫ってきた。

 
 

 爛妊絅┘覘瓩涼罎如▲薀スは焦燥していた。フットペダルを踏んでも、操縦桿を動かしても爛妊絅┘覘瓩倭瓦言うことを聞いてくれない。
 友人が震えたまま縮こまり、意味の無いうわ言を怯えたようにしてうめく。
 ――わたくしの所為で……フレイさんが死んでしまう。わたくしの所為で……!
 ラクスは悔しさと情けなさに大粒の涙をぼろぼろとこぼしながらも、それでも友達を必死に守ろうとした。全ての人を幸せにできると言われ、育ってきたのに、たった一人の人も救えずに……。自分の所為で……。
 その時、爛妊絅┘覘瓩竜韻に導かれるようにして、鋼色の爛┘姚瓩青白いバーニアの尾を引いて迫ってきた。太陽光を受けたその輝きは美しくも頼もしい。しかし――。

 

 「こ、これは……?」

 

 爛妊絅┘覘瓩らあふれる輝きが爛好肇薀ぅ瓩鉢爛丱好拭辞瓩鯤颪漾⊃びた光の帯が爛◆璽エンジェル瓩悗瞭散擇鮠箸蕕后やがて三機の爍猫瓩修瞭散擇魍蠅襪茲Δ砲靴篤海れ、入れ違いに爛┘姚瓩敵に立ち向かう。

 
 

 「ラクスーっ!」

 

 アスランは爛ぁ璽献広瓩離灰ピットで絶叫した。ようやく手に届きそうだった最愛の人が行ってしまう。また、手の届かないところに。必死に追おうとしたとき、ミゲルから怒鳴るように通信が入った。

 

 〈アスラン、あれにラクス・クラインが乗っているというのは本当か!?〉
 「――声を聞いた、ラクスの!」

 

 アスランは同じように怒鳴り返した。通信機の中でため息をついたような音が聞こえる。

 

 〈……聞こえたなお前ら! ラクス・クラインを迎えに行くぞ!〉

 

 そういい終わるか否か、彼らの仲間が一斉に集まってきた。

 

 〈OK。アイドルを助ければ、良い事あるかもしれないしな!〉

 

 こんな状況でもディアッカはいつもの様子を崩さない。

 

 〈サイン貰おうぜ。売りに出せるくらいさ!〉

 

 ラスティの明るい声が聞こえてくる。

 

 〈クライン姫を救出できれば、本国で私の名もあがるかもしれんな〉

 

 冷静な口調で、それでいて軽く冗談を混ぜ仲間達の緊張をほぐそうとしてくれるミハイルは、相変わらず頼りになる。

 

 〈ぼ、僕もお手伝いを……〉

 

 アイザック・マウはいつの間に来たんだろう。よく無事だったものだ。

 

 〈アイザック、足手まといにはならないでね。――先輩、お供いたします!〉

 

 生真面目なシホの声が聞こえてくる。女性ならではの柔らかい口調だ。

 

 〈爛屮螢奪牒瓩寮能ならきっとできますって、アスラン!〉

 

 力強く励ましてくれるニコル。こんなにも優しい友人が、アスランにはいるのだ。そして――

 

 〈俺の爛妊絅┘覘瓩呂泙誓錣い燭っている! 行くぞ、アスラン!〉

 

 イザークだ。少し前まではいつも自分につっかかってきたプライドの高い男。それも今では、頼りになる良い友人となっていた。アスランは目頭が熱くなり、心の中で何度も礼を言った。そしてキッと前を見据える。目の前に迫る敵は――爛瓮咼Ε后Ε┘姚瓠A蠎蠅砲箸辰読埖は無い。

 

 「ああ、みんな行くぞ!」

 

 一斉にバーニアを吹かせ、突撃していくモビルスーツ。それに合わせたかのように、爛┘姚瓩廊爛侫.鵐肇爿瓩鯏験させ、一直線に迫る。
 総勢九機のモビルスーツが一斉散開し、爛┘姚疚楹櫃韻胴況發魍始する。
 まずは爛丱好拭辞瓩了驚橡い火を噴いた。爛┘姚瓩呂修譴鬚わしながら、アイザックの爛献鶚瓩貿る。慌てて応射する爛献鶚瓩鯣澆Δ茲Δ法↓爛妊絅┘覘瓩盾を構え前へ出て爛轡凜´瓩鯱⊆佑靴拭
それを舞うように避けて見せた爛侫.鵐肇爿瓩爛丱好拭辞瓩鉢爛屮螢奪牒瓩鯀世し發帖
 横から爛轡亜璽妊ープアームズ瓩爛侫.鵐肇爿瓩鯡楹櫃院△覆鵑匹皀咫璽爐鯤った。爛献鵐魯ぅ泪縫紂璽亅瓩卑瑤劉爛轡亜辞瓩爛┘姚瓩貿る。二基の爛侫.鵐肇爿瓩応戦しようとしたが、爛献鵐魯ぅ泪縫紂璽亅瓩一機でそれらを受け持ち、
橙の爛轡亜辞瓩爛侫.鵐肇爿瓩遼姫厂屬鯑庸砲靴拭爛┘姚瓩ら放たれるレールガンを爛轡亜辞瓩牢度と無くかわしていく。
 爛┘姚瓩橙の爛轡亜辞瓩傍い鮗茲蕕譴討い觀笋鬚弔、ラスティの爛轡亜辞瓩鉢爛ぁ璽献広瓩一気に加速し迫った。爛┘姚瓩橙の爛轡亜辞瓩振る重斬刀をかわしながらラスティの爛轡亜辞瓩砲佑蕕い鬚気世瓩襦爛轡亜辞瓩蝋欧討峠發鮃修─△修譴魏燭箸凌ぎながら更に接近をする。
爛┘姚瓩泙任△半しの距離で、爛轡亜辞瓩離掘璽襯匹砕けた。

 

 〈アスラン、止めを!〉

 

 ラスティの必死の呼びかけに、アスランの中で何かが弾けた。

 

 爛轡亜辞瓩稜惴紊納蕕蕕譴襪茲Δ砲靴討い伸爛ぁ璽献広瓩、両手両足からそれぞれビームサーベルを出し、四本のサーベルで爛┘姚瓩貿る。
 爛侫.鵐肇爿瓩話膣崔が抑えてくれている。爛┘姚瓩ら、マシンガンのようにレールガンが放たれ、それに晒された一瞬で爛ぁ璽献広瓩離┘優襯ーを奪っていく。だが――。
 ――やれるっ!
 エネルギーが切れるよりも早く、爛ぁ璽献広瓩離機璽戰襪爛┘姚瓩鯊えた。

 
 

 「勝手に動いてる!?」

 

 光りのレールに乗って爛◆璽エンジェル瓩泙捻燭个譴覘爛好肇薀ぅ瓩離灰ピットで、キラは独り言のように声をあげる。ふと目をやった爛妊絅┘覘瓩砲呂辰箸靴独爐歪命を入れた。

 

 「ラクス・クラインさん! どうしてそんなのに乗ってんです!?」
 〈あ、あの。わたくし、何かできないかと思って……〉

 

 申し訳無さそうに声をあげるラクスに、別の通信が入る。

 

 〈貴様、なぜここにいる!……脱走か!〉
 〈カナードさまもいらっしゃる。わたくしもう駄目かと……!〉

 

 キラは自分の疑問を口にする。

 

 「この光りって……なんなんだろう」

 

 激しい光のはずなのに、恐怖は感じない。いや、暖かさすらも感じるこの光りは、いったい……。そしてこの光りは、爛妊絅┘覘瓩鉢爛瓮咼Ε広瓩魴劼い任い襪茲Δ妨える。

 

 〈わたくしにも、よくわかりません……。お声が聞こえてきたのですが……。――ああ、そうでした!〉

 

 何かを思い出したように慌てだしたラクスの声に、キラは顔を顰め、「どうしたんです?」と声をかけた。

 

 〈フレイさまの様子がおかしいのです。苦しんでいるようで……〉

 

 キラはまたぎょっとして「フレイも乗ってるんですか!?」と声を上げた。モニターの中のカナードも、額に手を当て、がっくりとあきれ果てているようだ。

 

 〈あ、あの、わたくしもみなさんのために何かできないかと思って飛び出そうとしたのですが、フレイさまがそれを止めようと……〉
 「当たり前です!」
 〈足手まといめ……。だからオレは嫌だったんだ、こんな馬鹿どもといっしょにいるのは!〉

 

 キラが驚愕して声を荒げ、カナードが舌打ちしてから怒鳴る。しかし、モニターの映るのラクスの瞳が涙に潤んでいるのを見、思わずぎょっとしたキラはしどもどして口走った。

 

 「そ、そういう言い方は良くないよ」

 

 カナードが〈はあっ!?〉と怒鳴り返してきたその時、自分達を包んでいた光が消え、大気の熱がぶわっと機体の周りに広がった。キラは慌てて姿勢を制御する。

 

 「光りが消えた……?」

 

 キラがつぶやいた。爛◆璽エンジェル瓩箸竜離はまだかなりある。通信から舌打ちをする音が聞こえてくる。

 

 〈あと少しだというのに……。――カタログ・スペック状は問題ないはずだが、当てにはならん!〉

 

 爍猫瓩話影箸任梁腟し突入が可能だ。しかし――。

 

 「で、でもやるしかないよ!――ラクス、機体の制御とかできる!?」

 

 所詮は試作機であるから、そのカタログスペックというのは疑わしいものであるし、そういった技術者達の想定したものとの差異を調整して、ようやく機体は完成されるのだ。だからこそ、キラの胸のうちには大きな不安があった。
本当に、無事にできるものなのか、と。心配して声をかけた爛妊絅┘覘瓩らしばらく嫌な沈黙があり、やがて声が聞こえる。

 

 〈よく……わかりません……〉

 

 キラとカナードは今度こそ絶句した。

 
 

 「フレイ、キラ!」
 「キラーっ!」

 

 サイが、トールが叫んだ。艦橋のモニターには、爛◆璽エンジェル瓩北瓩蠅れないまま大気圏突入をする爛好肇薀ぅ瓠↓爛丱好拭辞瓠↓爛妊絅┘覘瓩映し出されていた。

 

 「あのまま……降りる気か?」

 

 ナタルが焦ったようにつぶやく。だが、いまさらあの三機を収容できるはずがない以上、カタログ・スペックを信じてそうするしかない。今爛◆璽エンジェル瓩離魯奪舛魍けば、高温の大気で内部を焼かれるか、降下姿勢を保つ事ができなくなるかだ。
 そのときパルが声を上げた。

 

 「本艦とXナンバー、突入各に差異! このままでは降下地点が大きくずれます!」

 

 ミリアリアが水を浴びせかけられたようにぞっとした表情になり、また必死で呼びかけをはじめる。

 

 「キラ、カナード! 戻れないの!? 艦に戻って! おねがい!」
 「無理だ……爛好肇薀ぅ瓩凌篶呂任呂發Α帖帖

 

 ナタルが沈痛な面持ちで言った。ふと、彼女ははっと何かを思い出し、声をあげた。

 

 「アムロ・レイの爛瓮咼Ε広瓩呂匹Δ覆辰拭出撃したのだろう!?」

 

 その声に、パルは慌てて計器をいじり始める。やがて、ナタルの方へ顔をやり、言った。

 

 「爛┘姚瓩魍稜Аモニターに映します!」

 

 ぱっとモニターに爛┘姚瓩了僂映る。それに艦橋の空気が凍りついた。煌めく鋼色は力尽き、大気の熱で赤く燃えながら地球へ落ちていく――。

 

 「爛瓮咼Ε広瓩……燃えている……。――パイロットの脱出は!?」

 

 ナタルが血の気がうせたように怒鳴った。だがそれに、パルは力なく首を振って答える。

 

 「……確認されていません」

 

 艦橋に沈黙がただよった。
 しばしの間ののち、沈黙を破り、マリューが決断した。

 

 「艦を寄せて! 爛◆璽エンジェル瓩離好薀好拭爾覆蕁△泙聖箸┐襦」
 「しかしそれでは、艦も降下地点……!」

 

 ノイマンから上がった抗議を、ねじ伏せるように封じ込める。

 

 「本艦だけアラスカに降りても意味がない! はやく!」

 

 ノイマンは危ぶむような表情で、スラスターを操作する。ゆっくりと爛◆璽エンジェル瓩三機の爍猫瓩剖瓩鼎い討い。

 

 「――ただちに降下予定地点、算出して!」

 

 マリューがパルを振り仰ぐ。

 

 「ちょっと待ってください」

 

 パルは慌てて計算している。
 その間にも艦は横滑りするように三機の爍猫瓩悗反覆燹

 

 「本艦降下予定地点は……」

 

 パルが叫ぶ。

 

 「アフリカ北部ですっ! 北緯29度、東経18度!」

 

 その声がうわずっている。
 一同が、声に反応して凍りついた。

 

 「……完全に、ザフトの勢力圏です!」

 

 沈黙が支配する艦橋内。そこへ、追い討ちをかけるようにムウが扉をあけやってきた。

 

 「なにやってんだ! このままじゃ嬢ちゃんがやべえ!」

 

 言っている意味がわからず、マリューは呆然とする。

 

 「やばい、とは……?」
 「嬢ちゃんは……パイロットスーツを着てねえんだ――」

 

 パイロットスーツ――。機体の加速から来るGなどから身を守ってくれるそれは、確かに着ていないと困るものだ。マリューの顔に怪訝が浮かぶ。と、そこへ――。

 

 「機内温度だわ……」

 

 メリオルが震えるような声で漏らした。

 

 「スペック上、『機体』そのものは問題ないけれど……。これでは……!」

 

 その先は、言わなくてもわかってしまった。あの爛妊絅┘覘瓩離灰ピットの中で、一人の少女が燃え尽きるその瞬間を想像してしまい、マリューに激しい後悔の念が浮かぶ。

 

 「フレイ! 返事をして、フレイ!」

 

 ミリアリアが必死に爛妊絅┘覘瓩妨討咾けを始めた。だが、もう間に合うまい。マリューは体中から力が抜け、呆然とキャプテンシートにもたれるように座り込んだ。

 
 

 「ここまでなのか……!」

 

 地球に引き寄せられる爛ぁ璽献広瓩里覆で、アスランは唇を噛み締めた。爛┘姚瓩侶眷砲砲論功した。だがその所為で自分達は大気圏から抜け出す事ができなくなってしまったのだ。

 

 〈で、ですが。爍猫瓩話影箸蚤腟し突入が――〉

 

 ニコルが励ますように声を上げた。アスランは顔を顰めたまま答える

 

 「ああ、爍猫瓩蓮△福帖帖

 

 そう、彼らの仲間の中には爛献鶚瓩筬爛轡亜辞瓩いる。ここまで共に戦い抜いてきた、信頼すべき仲間たち――。

 

 〈おいおい、何とかなんないのかよ!?〉

 

 ディアッカが慌てた様子で叫んだ。それに答えられたものなど、一人もいなかった。

 
 

 爛◆璽エンジェル瓩慮緝瑤慍鵑蝓▲掘璽襯匹鮃修┐伸爛好肇薀ぅ瓩蓮↓爛妊絅┘覘瓩鯤きかかえていた。

 

 〈おい、ラクス・クライン。シールドはどうした!?〉
 〈落としてしまいました……〉
 〈ぐっ……そのまま死んでしまえ!〉

 

 カナードの苛立った声が聞こえる。だが、キラはそれとは別の事が気になっていた。彼は疑問を口にする。

 

 「……機内温度が、あまり下がらないんだ」

 

 彼のうめきに、カナードはふっとくぐもった声をあげ、慌ててシートの脇からキーボードを取り出し何か計算をしはじめる。そんななか、場に会わないきょとんとした声があがった。

 

 〈えと……、それは何か問題が?〉

 

 状況を理解していないようなラクスの声に、キラはしどろもどろに答えた。

 

 「フレイが……死んじゃうかもしれない……って……」

 

 自分の口から出た言葉に、キラの心臓はわしづかみにされる。ラクスが息をのむ音が聞こえた。

 
 

 ラクスははっとしてフレイを見た。彼女はぐったりとしてうなだれており、ぴくりとも動かない。苦しそうに額に脂汗を流している。ラクスは慌てて彼女を抱き寄せた。

 

 「あ、あの……。フレイさん……!」

 

 だが抱き寄せてからふと思う。今、自分に何ができるのだろう。この状況を打開するような事ができるのだろうか……。人を、救う? どうやって……。
 ――無理だ。
 震える涙声で、ラクスは言った。

 

 「ごめん……なさい……」

 

 結局、何もできなかった。ただ人を殺し、友達も殺し、自分だけが生きながらえただけ……。それは、ラクスにとって絶望でしかない。フレイをぎゅっと抱きしめたラクスは、彼女の唇が動いたように見えて慌てて耳を傾けた。「……パパ。……ママ」と、そう聞こえた。
 その直後、再びあの『お守り』が輝きだした。やがて光りが溢れ――。

 
 

 先ほどから艦橋では暗い沈黙が流れていた。降下地点はザフトの勢力圏内、そしてこれから燃え尽きるだろう少女の運命を思い、誰もが口をつむぐ。
 マリューはふと、うつむいているサイに目をやる。そういえば婚約者だとか言っていたと思い出し、さらに顔を顰めた。そのとき――

 

 「――なに? 心配するなってのか!? だがこの状況を……」

 

 突然ムウが一人で何かを言い出した。一同は彼の方に目をやった。

 

 「――人の……心の、光り、が……?――何いってんだよアムロ!?」

 

 独り言を言い続けるムウに、ナタルはぎょっとしてムウに問いただした。

 

 「か、彼は……先ほど爛瓮咼Ε広瓩如帖帖
 「出撃!? アムロはまだ医務室で眠ってんぞ! ありゃ無人だ!」

 

 無人、とは……? その言葉の意味することが理解できず、マリューは押し黙る。ナタルが「……は?」と呆けた声を上げ、驚いて聞き返そうとするが、その前にムウが口を挟む。

 

 「俺に聞くなよ? 本人に聞いてくれ、俺にも何がなんだかわからん!――そうか……モーガンが言ってたのはこういうことか!」

 

 ムウは一人で納得し、楽しそうに笑みをこぼした。その笑いは次第に大きくなり、声を上げて艦橋全体に響き渡った。
 マリューは、気が狂ったのだろうかと心配そうにムウを見つめていたが、計器を弄っていたパルが驚いたように声をあげた。

 

 「原因不明の熱源感知! 爛妊絅┘覘瓩鮹羶瓦帽がっていきます!」
 「なんですって!?」

 

 マリューたちは驚いてモニターに目をやった。オーロラのような鮮やかな光の膜が、爛妊絅┘覘瓩ら広がり、爛好肇薀ぅ瓠↓爛丱好拭辞瓠△笋ては爛◆璽エンジェル瓩竜霏腓柄ヂ里鬚睚颪濆んだ。

 
 

 地球連合の最大の拠点、アラスカ。海辺のホテルから、夜の空に小さくうっすらと見える光の帯を見つめている男がいた。その男の部屋に、慌てた様子で一人の将官が入ってくる。

 

 「盟主。アークエンジェル瓩呂海舛蕕砲詫茲蕕譴覆い茲Δ任后H爐蕕魯競侫箸寮力圏へ落ちます!」
 「フーン。そうなんですカ」

 

 眉をぴくりともせず、盟主と呼ばれた男は言った。彼は空にうっすらと見える光を見つめながら、側にいた男に問う。

 

 「ねぇサザーランド君。アレ、なんだと思いまス?」

 

 「は……?」とすっとんきょうな声を上げた男に、彼は「アレですヨ」、と空を指差して見せた。
 二人の男は、じっと目を凝らして、光の帯を見つめ続けていた。
 その時、ずん、という小さな振動が彼らを襲う。
 サザーランドと呼ばれた男は、「な、なんだ!」と声を上げたが、盟主と呼ばれた男は、窓から見下ろせる位置にある夜の砂浜に、巨大な何かが打ち上げられているのに気がついていた。

 
 

 「温度が一気に下がった……?――なにやったの!?」
 〈わ、わかりません……!〉
 〈さっきと同じ光りか!?〉

 

 少年少女を乗せたモビルスーツが蒼い輝きに守られ、地球へ吸い寄せられていく。

 

 『フラガ大尉の教え子なんだって?』
 『死ぬなよ。お前ら』

 

 キラははっと顔をあげた。また声がしたのだ。今度は二人……。その声は優しい。

 

 〈キラ・ヤマト! 貴様いま何か言ったか!?〉

 

 カナードが驚いた様子で声を上げる。やがてそのオーロラ光は、遥か向こうに見えるザフトのモビルスーツにも伸び始めた。

 
 

 ふと目覚めた少年は、妙な感覚に襲われて窓に寄った。

 

 「星が流れてる……?」

 

 窓から見えた光りは星ではなかった。オーロラ状の光りの帯が、曇った空に垂れ下がって星のように瞬いていた。

 

 「……なんだあれ……?」

 

 赤色の瞳で必死に空を見ていると、部屋の扉が開いた。この少年の妹なのだろうか。幼い少女もまた、何かに気づいてやってきたようだ。彼はそれに気づいて声をかける。

 

 「……マユ、見てみろよ。なんかすごいぞ」

 

 木々の梢が、かすかに鳴った。

 
 

 あるシャトルの窓から宇宙を眺めていた黒髪の少女が、イヤホンを外して目を凝らした。
 サァーッと地球が入ってきた。

 

 「あれ?」

 

 地球の向こうに太陽の光とは別の鋭い光が、うっすらと見えた。

 

 「なんだろう……?」

 

 少女の様子に気づいたのかとなりにいた男が声をかける。

 

 「どうかしたかね、ミーア」
 「いえ、地球が光ったような気がしたんです」

 

 黒髪の男は、「ほう」と言って窓の外を見やる。目を凝らせば、確かに光の膜のようなものがほんのりと見えた。彼は白い端整な顔を顰めて考えるようにしていたが、すぐに柔和な顔に戻り前を見据えた。慌てた様子で彼の補佐官がやってきたのだ。

 

 「――失礼。突然デブリが現れまして……」
 「ふむ……。その程度のことを報告しにくるということは、何か問題があったようだね」

 

 彼は補佐官に「こちらです」と言われ、船首の方へ向かっていった。それを見ようともせずに、ミーアと呼ばれた少女は地球を食い入るように見つめ続けた。

 
 

 寄り添うようにして地球へ降下しようとしている九機のモビルスーツ。それらを守るように光が覆われている。

 

 〈これってなんだよ? ナチュラルの新兵器ってやつなのか!?〉

 

 ラスティの驚愕した声が通信から聞こえてきた。だがしかし、とアスランは思う。もしもこの光が連合のものなら、自分達を助けたりなどしないはずだ。彼は体を震わせ、その考えを述べた。

 

 「いや……わからない。だが、もしそうだとしたらなぜ俺たちを助ける!?――ミハイルさん、何かわかりますか!?」
 〈私とて万能ではない、このようなことに答えてやれるはずもないが――しかし、これはナンセンスだ……〉

 

 問われたミハイルは、うろたえるように答えた。イザークが慌ててみなに声をかける。

 

 〈爛轡亜辞瓩筬爛献鶚瓩任盥澆蠅蕕譴襪里!? 爆発は!?〉
 〈は、はい! 原因は不明ですが……。機体は正常を保っています!〉

 

 シホがイザークに困惑した様子で答える。と、その時――。

 

 『ザフトのために……!』

 

 九人の仲間は一斉に顔を上げた。この声はいったい……。

 

 『ゼルマン艦長のことは心配するな。大丈夫、死んじゃいないさ』

 

 ゼルマン艦長が……? どういうことなのだろう。それにこの声は爛モフ瓩猟命士の声だ。不思議と、アスランの目に涙が溢れてきた。

 

 『真面目すぎるんだよ。良い人なんだ』

 

 この声も……知っている。たしか……爛モフ瓩良官で――。

 

 〈お、おい……これはなんだ!?〉

 

 怯えたようにディアッカが言った。

 

 〈お化けってやつなんですかぁ!? 僕ぁこれから死ぬんですかぁ!?〉
 〈落ち着けアイザック! そうならないかもしれないから驚いてるんだ!〉

 

 慌てふためくアイザックを、ミゲルが叱咤した。お化け――幽霊とでも言うのだろうか? アスランにはわからない。

 

 〈アスラン、ゼルマン艦長は大丈夫だって。僕にはそう聞こえましたが……〉

 

 ニコルが言った。アスランはそれに答えようとしたが、それよりも早く、ミハイルの独り言のようにつぶやいた声が耳に入ってくる。

 

 〈連合のモビルスーツから、光が漏れている……これは、兵器、なのか……?〉

 

 アスランには理解できず、彼の次の言葉を待った。

 

 〈だが、我々すらも救おうとするこの輝きは……連合ですらも、知りえない何かということなのか……〉

 

 得体の知れない、力。それは脅威でしかない。制御できない力は、ただの暴力でしかないのだから。そんなアスランの思いをよそに、ミハイルの独白が続く。

 

 〈――だがなぜだ! なぜこれはこうも暖かい!?〉

 

 暖かい……。それはアスランも感じていた。

 

 アスランはミハイルの言葉を聞きながらモニターに映る遥か遠くに見える爛妊絅┘覘瓩妨かって手を伸ばす。だが、届かない。最愛の人には、届かないのだ。それでも、彼はそうせずにはいられなかった。

 

 「ラクス……。必ず君を……!」

 

 そう言った彼の目には、涙が浮かんでいた。

 
 

  戻る