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CCA-Seed_125氏_第10話

Last-modified: 2007-11-10 (土) 19:09:34

正直、意外だった。
何がと言われれば、今の自分の状態が…。

わたしは戦場ジャーナリストの道を選んでからは何事も慎重になることを信条にしていた。
女の身で戦場をうろつく訳だから様々な危険が付き纏うのは勿論のこと、ひとりでいろんな国を廻る訳だから色々とオトコからモーションをかけられたりもした。その全てを相手にもしなかったけど……別に、『あいつ』を気にしているという訳じゃない。
あいつとの関係は少なくとも<恋人>じゃない。
わかりやすく言えば……<友達平均〜恋人未満>かな、心情を正確に吐露すると。

あの戦時下において、わたしも大切なヒトを亡くした。
そして、その原因の一因であるアイツを憎み……許すことにした。
そのあとは…なんだかんだで色々話してみて…アイツもわたしを気にかけてるみたいで、戦争が終わって…あれ?最後に声聞いたのいつだったっけ?

・・とまあこんな感じで、自分で言うのもなんだけど結構ドライだと思ってた……筈…なのに…現在、わたしは知り合って間もない男性の船室に居る訳で……

こうなった経緯はというと、あれからお互いの自己紹介をして会話に華が咲いて、船内のレストランで食事を一緒にしてオーブに着くまで同行することになって「折角だからもっと話しません?」って(私から)言って…アムロさんの部屋に案内されて現在に至る……
(わたしと同じような船室だなあ、据え置きのテレビと冷蔵庫に…シャワー室に……ベッド………は、なるべく視界に入れないようにしよう。わたしだって経験がないわけじゃない……この状況だと、その、OKだと思われてるんだろうか…)
なんてことを思いながら簡素なテーブルを挟んで対面に腰掛けてるアムロさんをチラリと見ると、相手もこちらを見ていた。
「あ、その」
「ひとつ聞いてもいいかい?」
「は、はい。なんでしょう」

・妙に畏まってしまう。
「おかしな質問かもしれないが……この世界は、好きかい」
「………え?」
「すまない、意地悪な質問をしているというのは重々承知のつもりだ。だけど、戦場カメラマンとしていろんなものをみた君にどうしても聞きたいんだ」
………初めて。こんなこと聞くヒト
「好きかと言われれば正直…悩むけど、嫌いかと言われればはっきりと『嫌いじゃない!』って……言える、かな」
そう、嫌いじゃない。
この世界はわたしから、わたし達から大切なものをたくさん奪っていった。
いまでも、ナチュラルとコーディネイターの遺恨は深い。…あちこちで醜い争いを目にしてきた。
でも、同時に奇麗なモノもたくさん…たくさん見てきた。
「うん…、嫌いじゃないですよ!(笑顔でいうのもおかしいかな)」
そんなわたしをじっと見ていたアムロさんは…ふぅ、と息を吐くと、
「ありがとう、ミリアリアさん。本当にありがとう」
と微笑みながら口にした。
「あ、いえそんな」
こちらが恐縮してしまう(変な……ううん、おかしなヒト)

そのあと、私は自分が見聞したことを色々聞かせた。
アムロさんも熱心に聴いてくれて、次第に饒舌になったころ……ちらりと腕時計に目をやる。日付が変わって午前2時ちょっとか。
「…ああ、ごめん。もうこんな時間になってしまったな」
「あっいえ、わたしから言ったことですし…」
「明日の夕方にはオーブに着くようだから、もうお開きにしよう」
「そう…ですね。それじゃあ、おやすみなさい」
なぜか後ろ髪ひかれる思いで彼の部屋を後にする。
自分の部屋に向かうがてら、さまざまな想いが交錯する。
(……オンナとしては微妙なところね、あの環境で誘われないっていうのは…。…今日の夕方でお別れ…か)
「やめた……。そのとき決めよ」
どっと眠気に襲われ、無意識のうちに呟きながら部屋に帰ると、どっとベッドに沈み込む。

「……ん」
肌寒さを感じて身じろぎする。
身体を横に向けると逞しい身体に触れて…それに身を寄せると大きな手が髪を梳かしてくれるのがわかった。うっすらと目を開けると…太い手が私を抱き寄せた……
「あ……」
「…………ん?」
相手の声が聞こえる………………アム、ロさん……?

「…夢……見てた、はじめて会った日の夢……」
「…そうかい」
汗ばんだ身体が冷えてちょっと寒い。でも、動くのも億劫な状態だ。
するとアムロがわたしをさらに胸に抱き寄せた。顔が上気するのが自分でもわかる。
目線を下にむけると……何も着けてない乳房がフルフル震えているのが見えた………更に上気…

カフェテラスでアムロさんがザフトに身を置いてると聞いた直後、わたしは得体の知れない感情に襲われた。
自分でもわからない、この激情ともいえない感情。
気が付いたらアムロさんの手を引っ張って歩き出していた。
「ミリアリア?いったいどうし・・・・・っ!?」
わたしが歩みを止めたのは・・・・わたしが部屋を取ってる宿泊ホテルの前でだった。
その後は殆ど強引に彼を中に連れ込み(その間、わたしも彼も一言も口を開かなかった)自分の部屋に入ると自分の身体で塞ぐようにドアを閉じた。
興奮しているせいか肩で息をしているわたしを無言で見つめる…
「・・・・どうし「自分でもわからない!!!」・・・・・」
「あなたがザフト軍にいるって聞いた途端、堪らなくなった。いろんな感情が溢れてきた」
「・・・・・」
「戦争がまた始まって、これから多分たくさんの人が死ぬ。それに貴方が加担するかと思うと…凄く嫌だった」
「・・・・・」
「トールみたいに、貴方も戦場で死ぬのかと思うと居ても立ってもいられなかった!!」
「ミリアリア」
「どうして!?どうしてあなたがザフトに!?アムロさん、ナチュラルでしょう!!?なのに、どうして!!………どうして、戦争なんか……」
ズルズルとドアにもたれ掛かりながら沈み込む。

5分ほど経って…無言でアムロはミリアリアに近づくと、ひょいっと両手で彼女の身体を持ち上げた。
「・・・軽いな(こんな身体で戦場カメラマンを)」
と呟くが、ミリアリアは顔を俯かせたままだ。そのままベッドのところまで彼女を運ぶ(腕の中のしなやかな肢体が強張るのがわかった)とそのままベッドに腰掛けて自分の膝の上に彼女を下ろす。
「…ちから……強いんですね」
胸に頭を傾けたミリアリアがポツリとこぼす。
「MS乗りだからね……」
「全然、そうは見えなかった」
「……ミリアリア、戦争の悲惨さは君以上によくわかってるつもりだ。僕だって戦争なんかに参加したくないさ」
「だったら……」
「でもね、戦場にあっても守れるものがあるんだよ。そしてぼくはそれを見つけた。見つけた以上、見て見ぬ振りはしたくないんだ。その為に、ぼくは自分のもてる力を全て使う。その結果敵の兵士を殺めてしまってもね」
「…………偽善ですね」
「自覚してるよ。……いや、全ては建前かもしれない。本当は……生きる目的がほしかっただけかもしれないな」
「生きる目的?」
「……それを最初にくれたのは君なんだよ、ミリアリア」
顔をあげて至近距離のアムロの顔を見つめる。
「初めて会った時、話してくれただろ?『この世界は嫌いじゃない!!』って。……その言葉に凄く救われた気がしたんだ」

「アムロ……、誓ってくれます?絶対に死なないって」
「誓うよ、死にはしない」
そうは言っても明日はどうなるかわからないのが戦場である。それを数々の戦争を経験したアムロはよくわかっていた。
宇宙世紀において『最強の兵士』といわれたアムロといえど、一度戦場に出ればどうなるかわかりはしないのだ。
ミリアリアもそれは理解していた…絶対の保障なんてないことを……しかし、
「証明、して下さい」
「え?」
「いまの言葉が本当かどうか…」
そう言ってアムロの首に両手を絡ませ、じっと見つめる。
アムロも彼女の細い腰に手を回し……唇を重ね合わせた。