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CCA-Seed_125氏_第16話

Last-modified: 2007-11-10 (土) 19:11:16

黒海沿岸ディオキアにて

時刻は深夜を回った頃…
マハムールでの残務処理を終えたミネルバは、補給と整備のために黒海沿岸の都市であるディオキアにあるザフト基地につい今しがた入港した。
そして明日、この基地ではラクス・クラインの慰問コンサートが催されるのだ。
そのため、深夜にも関わらず基地内は明日の準備やらなにやらで活気に満ちていた。

「あ〜ん!良かった〜〜っ!!ラクス様のコンサートに間に合ったよ〜〜!!!」
食堂にて嬉しそうな声を上げているのは、ついさっき当直を終えたメイリンである。
年頃の少女にありがちなミーハー精神を持つメイリンとしてはぜひともこのビッグイベントをこの目で見たかったのだ。
「ちょっと、はしゃぎ過ぎよ」
姉のルナマリアがそんな浮かれ気味のメイリンを注意する。

「だって初めてなんだよ?この目でラクス様のコンサートを見るのって!軍に入ったからもう絶対に見られないって思ってたのに!!」
「あんた、CD沢山持ってるでしょ?ライブ映像だって散々見たでしょうに…」
呆れがちに呟く。なんせ妹に付き合わされて嫌というほど聴かされたのだ。
ルナマリアもナマでラクス・クラインを拝めるというのは、まあ楽しみではあるが…

「あっ!!…そういえば、アスランさんとラクス様って婚約者同士だったよね!?」
「ザラ隊長と?…あ〜、そういえばそんな噂だったわね……ふぁ」
興味なさげにあくび混じりに呟く。それと比較してメイリンは瞳をキラキラさせながら姉に迫る。

「サイン、もらえるかな!?」
「やめときなさい。そういうのは野暮ってものよ」
「え〜〜〜っ、でも〜〜」
そんな感じにホーク姉妹が会話していると、食堂にアムロが眠たげに入ってきた。

「あっ、アムロさんだわ、アムロさーん」
「っ!?」
ルナマリアが腰を浮かしてアムロに手を振る。対象的にメイリンは肩をビクッと震わせると、さっきまでのはしゃぎようが嘘のように顔を俯け、無意識かスカートの端を手で押さえるようにした。

「やあ、ルナマリア…にメイリン」

アムロは二人が座っているテーブルに近付き、空いた椅子に腰掛ける。そして横目でメイリンを見ると、顔を俯かせていた。心なしか耳が赤いような…
(うーん。一昨日のこと…まだ尾を引いてるようだな。まあ、メイリンの年頃なら無理はないか)
そう思いつつ心の中で頭を掻き掻きしていると、微妙な空気に?マークのルナマリアが声を掛けてきた。

「アムロさん、今から当直ですか?」
「ああ、とはいっても特にすることもないんだが……」
「…?アムロさん…寝てないんですか?目が充血してますけど」
「いや、一応は寝たさ。だけど…どういうわけか最近寝付きが悪くてね、おかしな夢ばかり見るんだ」
そういうアムロは確かに少し眠そうにしている。一方ルナマリアは興味を引かれたのか身を乗り出す。

「へ〜ぇ、どんな夢なんです?」
「なんて説明したものかな……

以降繰り下げ→おまけに続く

とまあこんな風に、主にアムロとルナマリアが会話し、メイリンは上目遣いにちらちらと二人を見上げているだけだったが、そんな状態が破られたのはアムロのこんな一言が原因だった。

曰く、「ラクス・クライン?誰それ」である。

これにはホーク姉妹、特にメイリンは驚いた!!いや、驚いたなんてモンじゃないっ!!!
その驚きようといったら……
「ええええええええええ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!?」とさっきまでのだんまりが嘘のような絶叫を食堂に響かせるほどである。
姉以上に身を乗り出しながらアムロに詰め寄る。

「アムロさん!本気で言ってるんですか!?」
「あ、ああ、すまない。そんなに驚くようなことかな?」
「う、うそ…」

メイリンからしてみれば信じられないなんてもんじゃない。
『ラクス・クライン』といえばプラントの歌姫なのだ。
只のアイドルではない。平和の象徴なのだ。
プラントのどこを探しても『ラクス・クライン』を知らない者なんていないだろう。いや、ナチュラルの中にだっているかどうか。
そんな超希少種が身近に、しかも目の前にいるなんて……呆れを通り越して感動してしまう。
至近距離でつぶらな目を見開いたまま唖然としているメイリンに気圧されながらアムロはルナマリアに聞く。

「ア、アイドルか何かかい?」
「え、ええ、まあ」
「わかりましたっ!!!!」
「「わっ」」
いきなり絶叫したメイリンに思わずハモってしまう二人。

「アムロさん!今度わたしと一緒にラクス様のライブ映像の鑑賞会しましょう!!私、沢山のビデオクリップに、アルバムに、写真集持ってるんだから!!!
そうすればアムロさんにもラクス様の素晴らしさがわかります!!!徹夜ですよっ!?次の休暇は空けておいて下さいね!!??」
「そ、そこまでするほどのモノかい?」
「当然ですぅ!!もし巷でさっきみたいなこと口走ったりしたら捕獲されますよ!?新聞にデカデカと『驚愕っ!!世界にいないと思われたラクス・クラインを知らない人間!!!???』って題でぇっ!!!!!!!!!!」

ハアハアと肩で息をしつつ己を見つめるメイリンに、こちらも何故か感動に近いモノを感じてしまうアムロであった・・・・が

「ああ、アムロ。こんな所にいたの?ちょっといい?」
食堂の入り口からタリアに呼ばれるとハッと席を立つ。

「そ、それじゃあ。二人とも」

そう言ってタリアと何処かに行くアムロ・・・・残るは姉妹のみ、さもありなん・・・

艦長室にて

「え?俺を司令部が呼んでる?」
「ええ、ついさっき連絡が来てね。アムロ・レイに大至急、来てもらいたいそうよ」
「…何故、俺だけを?」
「さあ、わからないわね。なんだか向こうは少し慌て気味だったけど……どうする?アスランも一緒に行かせましょうか?」
「いや、いいさ。大した用じゃないんだろう。それに彼は当直を終えたばかりで疲れているだろうしな」
「そう?…まあ呼びつける位だから重要な事柄じゃないでしょうし…」
そういうとタリアはアムロに近付くとチョイチョイと髪を指差す。

「寝癖、ついてるわよ」
「えっ、しまったな。直したと思ったのに…」
と見当違いのところを押さえるアムロに見かねたのかタリアが手を伸ばす。
「ここよ。ちゃんと直してから出頭しなさい」
そう言いつつ手で押さえてやる(・・・・・・・今のこの状況、ちょっと見せられないな(わね)・・・・・・・・)
などと暢気に思いつつ、ホンワカ少々、気恥ずかしさ多量を含む雰囲気であった。

基地の中

明け方近くに出頭したアムロを待っていたのは慌ただしい空気だった。
聞けば、もうすぐこの基地に超が付く程のVIPが二人も来るらしいのだ。
そのせいか、司令部は大変な喧騒に包まれており、結局アムロはある控え室に通されたままじっと待つ羽目になった。
(やれやれ、呼ぶだけ呼んでこれか。・・・・・・・眠いな)
最近寝不足気味のアムロは、シーンと静かな室内に一人だということもあり先ほどから睡魔が襲ってきていた。
椅子に座りながらうとうとしていると・・・・・・

『ハロー♪ハロー♪チャチャ♪チャチャ♪シャア!シャア!シャア♪チャチャ♪チャチャ♪』

遠い昔に聞いたような音声にはっと目を覚ますと、音がする方に目を向ける…そこには……
「ハロッ!!??」
『ハロ?』
何時の間にいたのか、『赤いハロ』が室内をコロコロ転がっていた。

・・・・自分は夢を見ているのか?そう自問せずにはいられなかった。
まさか自分の目の前に…ハロがいるなんて。恐る恐る手を伸ばすと向こうからテーンテーンと跳ねてきてアムロの手に飛び乗ってきた。
「…驚いたな、大きさと色こそ違うけど…ソックリじゃないか」
しげしげと眺めていると、かちゃっとドアが開き誰かが顔を覗かせた。
「もう、どこに行ったのかしら……あら」
そこに居たのは、ピンク髪の、星印の髪留めが印象的な少女だった。

しばらく二人と一個?は目を瞬かせたまま静止していた。
先に我に返ったのは年の功というべきか……
「あっすまない。これは君のかい?」
「え!?ええ、まあ」
「いつのまにか部屋に入り込んでいたようで…、その…珍しかったメカだからつい眺めてしまった。すまなかったね」
「あっ、いいえそんな…、謝らなくても…」
そう言いつつ首をかしげながら、目をパチクリしながらアムロを見つめる。アムロもその少女を見つめるが、ふとおかしい事に気付いた。
目の前の少女の格好は年頃の少女が着るような服装だ。街中で見掛ける分には全然問題ないが、ここは軍の基地の中なのだ。場違いも甚だしい。

「君は…軍の家族関係の人かい?」
「・・・・・・・・はい?」
「迷ったのなら警備の人間を呼ぶけど……」
「あ、あの、わたくしをご存知では?」
「?……すまないが、どこかで会ったかな」

ガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!
メイリンの衝撃を遥かに上回るであろうショックを少女は受けた。
(知らない?わたしを?『ラクス・クライン』を?知らないの?この人は、え、何故?どうして?こんな人がいたなんて・・・・・冗談で)

『ジョウダンデハナイ!!』

ガタタッ!
今度はアムロが驚愕する番だった。少女のふくよかな胸に抱きしめられている赤いハロが突然喋ったのだ!
そう、さきほどまでの機械音声ではない。なんというか、意志のこもった…しかもその声音はアムロにとって忘れられない人物の声だったのだ!
椅子を蹴って立ち上がったまま目を見開きそのハロを凝視する。

シ、シャア・・・・か?

一方の少女は男の尋常ではない空気に気圧されていると「・・・クス・・まー?」とドアの向こうの声に我に返り、「そ、それでは失礼しますわ!」と脇目も振らずに部屋を飛び出した。アムロは放心状態でボーーッと立ち尽くすしかなかった。

(奴が……奴も…この世界に…?)


おまけ1
夢か幻か?

「俺がまだ新兵の姿でね、バズーカ片手に生身でカタパルトに乗せられて射出させられてMSと戦闘する夢だったり、腐れ縁の男とよりによってどつき漫才していたり、
なによりも恐ろしいのは…思い出すのも嫌な仮面を付けたピンク色の体毛のヒヨコがピヨピヨいいながら僕に迫ってくる夢だな。最近そんな夢ばかりだ」
「へ〜〜〜〜(ねぇメイリン。アムロさんって…意外とお茶目?)」
「・・・・・(それは違うとおもうよ、お姉ちゃん)」


おまけ2
オンナの悩み

アムロが退出した後、タリアはハァとため息つくと帽子を外して椅子に座り込む。
「・・・あ〜〜、駄目ねぇ。最近ドツボにはまってる気がしてきたわ。いい加減ケジメをつけないと深みにどんどん沈みそう…」
そう言うとタリアは「ふぅ」となんとも悩ましげな吐息を漏らした。


おまけ3
議長の陰謀、またの名をフラグともいう

基地内のとある部屋
「今日の慰問コンサート、頑張ってくれたまえ。期待しているよ…。?…どうかしたのかな、上の空みたいだが…」
「い、いいえ、なんでもないです!頑張りますっ!」
「うむ。……そうだ、本番前に君に会わせたい人物が二人ほど居てね、一人は今紹介しよう。……入りたまえ」
ガチャ…コツコツコツコツ…
「……初めまして、ラクス様。只今より貴方の専属マネージャーを務めさせていただきます。サラ、とお呼び下さい」
「え?」
「君も同姓のほうが何かと相談しやすいと思ってね。前の二人はここまでだ。・・・・もう一人呼んであるんだが、どういう手違いかまだ来てないようだな。
彼に今日の君がコンサートで乗るザクのパイロットを頼もうと思ってね…まあ顔合わせはその時でもいいだろう」
「え?え?」
「なかなか興味深い男性ですわよ、ラクス様」
「え?知って…らっしゃるの?その人」
「ええ、残念ながら…全てではありませんけど…ね、フフフ」

『キミハアムロ・レイトイウジンブツヲシッテイルカネ』

「……なにか仰いました?」
「いや、私はなにも言ってないが……私の声だったな」

「あ、あははは(汗)」

びみょ〜〜〜な空気が室内に流れ始めた頃・・・・コンコン。
「失礼します、アムロ・レイ大尉をお連れしました」と静寂を破る鶴の一声。
「ああ、来たようだね。入ってくれ」
かちゃ
「失礼します……っ!?」
「あっ(驚愕)」
「あら(微笑)」
「ふむ(思惑)」
『ハロ?(ニヤリ)』