Top > CCA-Seed_125氏_第17話
HTML convert time to 0.022 sec.


CCA-Seed_125氏_第17話

Last-modified: 2007-11-10 (土) 19:11:32

とあるMS格納庫

ド派手なピンク色をしたザク・ウォーリアのコクピットの前で、いつも通りのジャケット姿のアムロと重役秘書のような格好をした女性が並んで立っていた。

「説明してもらえるかい」
渋面のアムロが横で艶然と起立しているサングラスの女性…サラに声をかける。
「あら、なにを?」
ラクスが着替えを行なっているであろう控え室を見ながら、素知らぬフリで返す。
「ぼくを彼女のエスコート役に選んだ理由と、なぜ君が彼女のマネージャーなんてやっているか…さ」

予め質問を予想していたのだろう、サラは平然としていた。
「どちらも答えは簡単よ。一つ目は予定していたパイロットが急な体調不良で辞退、急遽べつのパイロットをあてがおうとして白羽の矢が立ったのがアナタ。
二つ目は、このご時勢だもの。プラントのお姫様をお守りする専属のボディガードは必要でしょう?同姓ということもあって、白羽の矢が立ったのがワタシ。
お分かりいただけて?」
「……それを納得しろと?」
目つきが険しくなるのを自覚しつつ、横目でサラを見る。
「それは貴方の勝手よ。貴方が納得しようがしまいが、事実は変わらないわ」
艶がある含み笑いでアムロを見つめ返すサラ。

よくもまあ、いけしゃあしゃあと言えたものだ
内心、疑念がとぐろを巻いているアムロにとって、サラの言った事は胡散臭いことこの上ないモノだった。
自分を指名したのは明らかに議長の指示だろう。
その目的は恐らく…ラクス・クラインという少女と自分を引き合わせるため…
(それが何を意味するかは分からないが…)
そしてつい一昨日にアムロに接近してきたこのサラという女性も<ソレ>を監視するために送り込まれたと見るべきだ。
しかし、彼女は…ラクス・クラインは何も知らされていないようだ。
つまり…あの子を使って自分から何か情報を引き出すつもりか、或いは懐柔するつもりか……
「サラ、一言だけ言っておく。おれは君らの策略に乗せられる気は毛頭ない…これからもな」
「……参考程度に留めておくわ。じゃあ参考ついでに、どうかしら?議長との会食の後に、お酒でも酌み交わさない?……私の部屋で」
サングラスを外して切れ長の双眸を濡らしつつアムロを見る。

「やめておく。虎穴に入った挙句に、虎の尾を踏みかねないからね」
この手の駆け引きには慣れているのか、視線を受け止めつつ答える。
「あら、残念ね。お互いを知るいい機会だと思うけど…それとも、先約があった?」
「・・・・・・・・・・・」
黙殺の構えのアムロに肩をすくめるとサングラスをかけ直す。ちょうどそのタイミングでドアが開き、ステージ衣装に身を包んだラクスが現れた。
「ごめんなさい、お待たせしました」
「いいえ、今ちょうど打ち合わせが終わったところですわ、ラクス様。アムロ大尉、では…打ち合わせ通りに」
先程までの、滲み出るようなオンナの色香から一変、やり手のキャリアウーマンの顔になったサラが目配せする。
「了解した……、では、ラクス嬢?準備がよければコクピットに移るが」
「あ、はいっ、よろしくお願いしますわ」
少し緊張気味に答える。

アムロが先導し、コクピットに入り込む。その後ろ姿をじぃっと見つめるラクスにサラは、
「ラクス様、ご安心を。こちらのレイ大尉は歴戦の超一流パイロットですわ……貴方様は安心して、身を任せていれば結構ですから…」
「え、ええ…」
「……少し、狭いが」
アムロがコクピットから身を乗り出して手を差し出すと、遠慮がちに手を添え、怖々コクピットに入り込む。なんとか身を落ち着ける場所を確保するのを見届けてからサラに目配せしハッチを閉じる。

格納庫の外に向かって歩く機体をガラス越しに見つめながら、サラはなんともいえない表情を浮かべた。

「安心して身を任せて…ね…。近い将来…それが現実にならないといいわね『歌姫様』?」

人身御供となるであろう少女にほんの少しの憐憫を滲ませつつも…隠しようのない愉悦を表情で、声であらわにする。
(そうなった時、貴方たちはどうするのかしら…。願わくば、その場に居合わせたいものだわ…)

想像しただけでカラダが震えてくる………、アムロ・レイ……ワタシもアナタに…

「…そういえば、あの丸いロボットが見当たらないわね」

『みなさぁ〜〜〜〜〜ん!!こんにちわ〜〜〜〜!!!ラクス・クラインでぇーーーす』

「・・・・・・・」
無事にコンサート会場に降り立ったアムロはザクの両の手のひらに乗っけているラクスを何とはなしに眺めていた。暇なのである。
満員の客に向かって元気良く手を振るラクスの姿はアイドルそのものといった感じだ。しかし…
「メイリンから聞いたイメージとは違っていたな…」
もっとこう…オペラ歌手の歌姫のように思っていたんだが…首を傾げつつ歌い踊る少女を見つめる。

(アムロは気にも留めていないが、至近距離でラクスの姿を見ている…つまりは超特等席なのだ!アムロのいる場所はっ!
ファンなら大金を支払ってでも望むことをノホホンと見ているアムロだったが、後にこのことを知ったミネルバのクルーが怒りに燃えることとなる。
曰く、『なんで録画しなかった!』『ラクス様と握手した!?その手に触らせてぇっ!!』といった具合だ)

それはともかく、アムロも男だからして、視線は己ずと彼女の肢体を沿ってゆく。

年齢にしては大きく発達した胸
ぎゅっと絞り込まれた腰から悩ましげなハイレグ、ヒップへと続くライン
伸びやかでスラリとした手足
そんな魅力的なカラダがキラキラと汗雫を反射させながら踊り歌う姿は確かに魅力的だ

ルナマリアと甲乙つけがたいな……ルナマリアを牝豹としたら彼女は牝鹿みたいだ

ここのところご無沙汰のせいか寝不足のせいか、思考が段々ピンク色になっていくアムロ…いかんいかんと頭を振り腕を組む…が!!

「・・・・・・・・いいな『アア、イイ』・・なにっ?」

思わず呟いた言葉に全然予想しない返事が返ってきたのでアムロは慌てて狭いコクピットを見渡すと…
『ハロ?』
機器と機器の隙間にすっぽり入る形で、居た・・・・・赤いハロが・・・
「何時の間に…。そうだっ、何故お前に奴の声が…っ!」ピキーーーーーーーン
『ハロ?』
己の脳裏に突然閃いた勘にアムロは流石に押し黙った。
普段のアムロなら、自分の勘(ひらめき)を無視したりはしないのだが今回は流石に荒唐無稽すぎたのだ。
殺しても死なないヤツだとは思っていたが…まさか、ハロにヤツの魂が乗り移った?
「そんなSFじみた事が……」
己の考えを笑おうとしたが、

『ハロー♪ハロー♪ザクグフズゴックリックドム♪ザクグフゲルググリックドム♪』

聞いたことあるような歌?をだしながら狭いコクピットの中をテーーンテーーンと飛び跳ねるコイツを見てると……
「…頭痛がしてきた」
『アムロ様?もしも〜〜〜し』
何時の間にかコンサートがひと段落ついたのかラクスが外から声を掛けていた。
「しまった!すまないっ、いま……」
慌ててハッチを開ける操作を行なって、ハッチを開放した…正にそのタイミングで!!
「「あ……」」
ちょうど何もなくなった空間に、今まで飛び跳ねていたハロが…空を切ってしまった。

『ドウトイウコトハナーーーーーーーーーーーーーーーーイ!!!!!!』
叫び声?を発しつつ15メートルの高さから落下していくハロを唖然と見送るしかないアムロとラクス…。
下のほうでグシャッとなにかが潰れる音がしてやっとお互いの顔を見つめると…
「お、降ろしましょう、ラクス嬢」
「そ、そうですね、お願いします」
そのときのコクピットの空気は……………痛かったっ!!!!!

数十分前、コンサート会場にほど近い浜辺で…
「さーさ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!!最早絶滅し、昔の漫画でしかお目にかかれない伝説の『浜茶屋』オープンだよ〜っ!!
 海水浴といったら浜茶屋!浜茶屋といったら海水浴!照りつける太陽の下、伝説のメニューを食さずにはいられないぞ、皆の衆っ!!」

海水浴客で賑わっている浜辺でなんとも暑苦し、もとい!なんとも熱気盛んな一画が存在した。
アロハシャツに麦わら帽子とサングラスという出で立ちの男が、海に負けじ?と声を張り上げていたのだ。
「今日を逃せば二度と食べられないメニューばかりっ!!『粉っぽいカレー』に『伸びたラーメン』、『原型を留めないおでん』だぁっ!!他じゃまず食べられないよっ!!!」
「当たり前だ…」

嬉しそうに声を張り上げる男の横で、サンバイザーで顔を隠した金髪でTシャツ姿の少女が仏頂面で呟く。
しかし、そう言いつつも鉄板のうえで焼きソバをかき回す手は止まらないが…
「なんだいなんだい、<リオンヌ>!何度も説明しただろう?まだ拗ねてるのかい?」
男がハイテンションのまま声を掛ける。ちなみに<リオンヌ>というのはフランス語で、<牝獅子>という意味。
「納得いくわけないだろうバル…えっと、<タイガー>。国家元首である私を誘拐したと思ったら、いきなり商売をするから手伝えなどとっ!
 私をなんだと思ってるんだ!!しかもザフト基地の目と鼻の先でっ!!」
ぶつぶつと不満をぶつける<リオンヌ>に<タイガー>はやれやれと肩をすくめると、
「まったく君はいつまでも女々しいねえ、そんなことじゃ「私はオンナだぁっ!!」グハっ!!」バキィッ!!
なにか気に障ることを言われたのか、<リオンヌ>がいきなり<タイガー>を殴りつけた。

「まったくっ!キラといいアイツといい!!」
「御免なさいね、<リオンヌ>さん」
オトコどもを後ろに引き連れつつ客引きしていた、その魅力的なナイスバディを超絶ビキニに押し込めた女性が帰ってきた。
「オーブを出てからこっち…資金が底を尽いちゃって、自分たちで稼がなきゃにっちもさっちもいかなくなっちゃったのよ」
「……それなりに貯えはあった筈だがっ?マリュっああっと…<マリア・ベルネス>」
「それがねぇ…」
照れ照れと頬を掻きながら<マリア・ベルネス>が言うには…
「……ほう、『天使湯』の取り付け作業に予想以上に費用がかかった、と」
「まあ、ねぇ。ほかにもメンテナンス代も馬鹿にならないし、戦艦一隻の補給でしょ?もうあっという間にスッカラカンで…」
「・・・・・・・・」

「へーえ、浜茶屋だってさ。ヨウランなにか食ってみたら?」
「面白そうだな、えっと」
「よう、けっこう美味そうじゃね?スティング」
「よせよ、どうせならもっと美味いもん…」
「いいじゃん。ものは試しってね。ステラは?」
「ワタシいらない」
「へいらっしゃいっ!!なんに致しましょう!?」
パンチのダメージから復帰した<タイガー>が客を逃すまいと叫ぶ。
「じゃあ、オレはカレーね」
「オレは…ラーメン頼むぜ」
「まいどっ!!!・・・・・・・・・・・へいお待ちっ!!」ズルズル、パクパク
「「まずい……」」
「あったりまえよ!!!!!!」
誇らしげに叫ぶ<タイガー>。

「まったく、商業道徳の欠片もないな」
<リオンヌ>はそんな光景を横目で呆れがちに見つつ焼きソバの焼き加減を見ようとすると、屋台の前で焼きソバをじぃっと見つめる金髪の少女が目に入った。
「・・・・・・」
「どうした、お前。焼きソバ食いたいのか?」
それには答えずひたすらじぃっと焼きソバを凝視する少女。ふうっと一息つくと、適量に器に盛り付け…
「ほら」と少女に箸つきで手渡す。
「え…?でもステラ、お金持ってない」
「いいから食え。お前、いまにも日射病で倒れそうだぞ?ソレ食べて、もうちょっと覇気覇気しろ」
「……………ありがと」
そう呟くように言うと、大切そうに支え持つ。そのころ横では…

「ふつーこんなまずいもん売りに出すか!?」
「そうだそうだ!?金返せ!!」
「やれやれ君たちは何も分かってない。浜茶屋のメニューはね、まずくて当たり前なんだよっ!!?美味いほうが間違いなのさっ!!」
「「なんだとうっ!!」」
そんな感じにぎゃーぎゃー叫んでいたが、折れたのかタイガーの方から…
「やれやれ、わかったよ。それじゃあこの僕特製の『タイガーブレンド・コーヒー』を進呈しよう。これを飲みながら食べてみたまえ。
 それでも不味いならお代はいらないよ」ゴクゴク パクパク、ズルズル
「あ、なんか後味すっきりな……」
「おお、あんな不味いモノが苦もなく飲み込めるぜ。しかも後から旨味が滲み出てくる…」
「そうだろう、そうだろう。あ、コーヒー代500円追加ね」
「「・・・・・・・・・・」」

「まったく、アウルの奴、なにやってんだ?お?ステラ、なに食べてんだ?俺にも……」バキィッ!!!
「駄目……、ステラが食べる」
「痛ってぇっ!!おま、グーで殴らなくてもいいだろうが!!!」
「・・・・・・・・(ツルツル)」
「ったく!!遊びに来たんじゃねのにっ!!おい、アウル!行くぞ!!」
「・・・・・・・・・(ぷるぷる)」
「…アウル?」
「オクレ兄さんっ!!!」