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CCA-Seed_125氏_第20話

Last-modified: 2007-11-10 (土) 19:12:17

ガチャッ
バスルームのドアが開き、ガウンに成熟した肢体を包んだタリアが出てきた。

「はぁ…、凄くスッキリしたわ」

そう呟きつつタリアはソファーに座る彼・・・アムロ・レイに目をやる。
もう身支度を済ませていたアムロはどうやら自分が出るまで待っていたようだ。

「タリア」
「駄目よ、アムロ」

なにか言いかけたアムロをタリアは制する。
彼が何を言いたいかは判るが・・・それは自分が言わなくては・・・

「後悔はしないわよ、今も…そしてこれからも」
「・・・・・」
「…勘違いしないでね。私は貴方を受け入れることは出来ても…一緒にはなれないわ」
「?」
「私は、こうしてアナタに身体を開くことしかできない。それはあくまでも一時的な慰めにすぎないわ。それは多分、これからも変わらないでしょう」

言葉を発しながらアムロに近づき、座っている彼を跨ぐ形で膝の上に乗る。
アムロの鼻腔に石鹸の香りと、微かなオンナの残滓が入ってくる。
目の前にはほんのすこし上気したタリアのふくよかな胸の谷間。

「…アムロ。貴方、ルナマリアのこと、どう思う?」
「え?」
「貴方も朴念仁じゃないんだから、気付いてるでしょう」
「身近な年上の異性に憧れるのはよくあることじゃないかい?」
「逸らそうとしたって駄目。今が平和で、私たちが普通の立場だったらそれでもいいけど、生憎といまは戦争の真っ只中で私たちはその最前線。ここまで言えばわかるでしょ?」
「しかしね」
「……想いも遂げられずに戦場で死ぬなんてことは、常に身近に孕んでるわ。だから…ね?」

これは艦長としてのお願いでもあるのよ、そう言って軽くアムロに唇を触れさせる。

「今すぐどうこう、と言ってるんじゃないの。その時がきたら…抱いてあげて頂戴」
「タリア、それは…」
「オンナを甘く見ちゃ駄目。あの子は結構一途だから、そうしないとずっと先に進めないわ。一度の関係で終わるならそれはそれでいいのよ、オンナにはね」
「・・・・・・」

「覚えておきなさい、『オンナは情に流されやすい生き物だけど、オトコは情に縛られやすい生き物』だってね。どっちが始末に負えないと思うかしら?」
「オトコとして否定したいが…」
「できないでしょう?男のほうが立ち直りが遅くて次の恋を見つけられない間に…オンナはどんどん先を行ってるのよ」

深夜の薄暗いホテルの廊下を歩きつつ、アムロは反芻する。

(だから…ね、貴方と経験するのはルナマリアにとって、結果がどうあれいい思い出になるわ)

そう言って自分を送り出したタリアの微笑んだ顔が脳裏から離れない・・・そういえば、自分は昨晩から一睡もしてなかった気がする。これでは考えもまとまらない。
とりあえず、眠りたいな…いまは…
とりとめもない事を考えながら、廊下の角を曲がった刹那、
『ハロ?』ゴツッ!
『イテ』

・・・ん?
足に何か蹴った衝撃があって寝惚けまなこの視線を下げると、そこには…ころころと転がってる『赤いハロ』がいた。どうやら自分はコレを蹴ったらしい。

「変だな、電源は落とした筈なのに…」そう呟くとおもむろに拾い上げる。ハロは目をチカチカと点灯させながら掌の上でくるくると回っている。
ああそうか…修理は少し寝てからにしよう、そう思いつつ愛着があるハロに声を掛ける。

「何しに出て来たんだ?」
『キミヲワライニキタ』

また…か。
このハロは…<あの男>かもしれない、と今なら認められる…か?

「…そうかい」
そう言い返し、小脇に抱えると自分の部屋に向けて歩き出す。

・・思考能力が落ちたあの時だからこそ為せる瞬間だった・・・・・後にアムロはこう語る。

それから暫しの事、朝方の廊下…

「え〜〜っと」
アムロが泊まってる部屋のドアの前で入念に自分の身嗜みをチェックしているルナマリア・ホークの姿があった。
昨夜、妹に言ったとおり、アムロを朝食に誘いに来たのだ。

(考えてみたら、自分から誘うなんて初めてのことよねぇ)

柄にもなく緊張しながら、コホンと一息はいてからドアをノックする・・・コンコン・・・・?
ひょっとして寝てるのかな?なんて思いつつもう一回ノックしようと腕を上げた瞬間、がちゃっと小さくドアが開いた。

「あっ、おはようございま…す?」
『ハロ?』
なんと目の前(とは言っても目線は下だが)に居たのは、球形をしたロボット?だった。

「・・・・・・」
『・・・・・・』

暫しの間、少女とソレはお互いを見つめていたが…
「なに?このちんちくりん。あれ、でもどっかで…そうだ、アムロさん?」
そう言いつつ、恐る恐る部屋の中に入ろうとする・・・が、

ぱっくんちょ

「・・・ん?」
なにか自分の右手にむず痒い感触が走ったと思えば・・・あの『赤いちんちくりん(ルナマリア評)』が噛み付いていた(?)。
「・・・・ちょっと、放しなさいよ」
『・・・・(かぷかぷ)』
腕をブンブン振っても全く放す気配はない。全然痛くはないのだが、少し鬱陶しい。
「放しなさいってばっ」
『・・・・!!』

そんな感じで騒げば広くない部屋の中、いくら熟睡しようが覚めるもので、
「…何してるんだ?ルナマリア」と言いつつ上半身裸のアムロが眉間を揉み揉みしつつベッドから起き上がった。

「あっ!?ああっと、その…ちょ、朝食でもご一緒にいかがかなと思って」
顔を真っ赤にしながらあたふたと弁明するルナマリア。
…右手に『赤いハロ』を噛ませながら手を上下させるルナマリアは傍目から見て…結構シュールだ。

「ああ、もうそんな時間か。すぐ支度するよ、外で待っててくれ」
「は、はい!」
そう言うや否や、普段の<1.3倍のスピード>で部屋を出て行くルナマリア。ガチャッ、バタン!

(ああ、もうドキドキしたぁ!!それもこれも……)と未だに自分の右手に食らいついた?ままの『ミョーちきりんなモノ』をキッと見据える。
「あんたねぇ」
と文句の一つや二つ言ってやろうとした瞬間…
ポロッ、と今まであんなに放れなかったのに…何があったのか手を開放すると、コロコロと心なしか元気がない様子で反対の壁まで転がり呆気に取られるルナマリアに背を向けた。
しかも、俯き加減(?)でどんよりとした雰囲気を発散させているのだ。
『・・・・・・・・・・・・』ズ〜〜〜〜ン

そんな擬音が聞こえそうなほど落ち込んでる(?)物体を流石に見かねたのか、ルナマリアが声を掛けようとしたら…がちゃっ、と背後のドアが開いた。
「あ、アムロさん」
「ん?どうしたんだ?」
「それが…」
なんと説明したものか、とルナマリアが言いあぐねていると・・・・・

「「あ」」

となにかを吹っ切ったのか、『赤いハロ』がいきなりテーンテーンと跳ねだし廊下を進んでいく。
それを不思議そうに見つめるアムロとルナマリア。
そして8メートルほど進むと、あるドアの前でぴたりと止まる。
「あそこって…」
「ああ、たしかアスランの部屋だったと思うが…」
そんな二人を尻目に、ハロは両脇からマジックハンドを出すと鍵穴を弄くりだした。
そして、それを仕舞うとポーンと跳ねてノブを銜える?とガチャッと開けた・・・その間、実に五秒足らず!!
この手際の良さに思わず、

「「お見事……」」と二人して呟くアムロとルナマリアだった。

そしてこの後に起こった騒ぎは、アスランにとって忘れたい一幕になったそうな。