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CCA-Seed_125氏_第21話

Last-modified: 2007-11-10 (土) 19:12:34

見渡す限りの大海原・・・

晴れ渡る青い空、眩しい太陽、潮風が心地よく吹き抜けている・・・
そんな景観を損ねる煙、轟音・・・硝煙の狼煙。

最早、戦場と化した大海を滑る様に移動しりつつ、アムロは見上げる……天空を………。

「……ガンダム、か」

形容しがたい因子が含まれているような言葉だった。
彼方に在りしは翼を広げて佇む一機のMS・・・そう、ガンダムの姿があった。

時間は少し溯る

ディオキア基地を出航した戦艦・・・ミネルバは黒海を行進中、きたる出撃に備えて主なクルーによるブリーフィングを行っていた。
「・・・・・では、今後のMSの部隊運営は以上の通りだ・・・・なにか異論のある者は?」

ブリーフィングルームにてアスランがパイロット達を前に確認をする。
特にこれといった声も挙がらなかったのでアスランは頷くと解散の指示を出して退室していった。
それを見送ったアムロは同じくアスランを見ていたハイネと目が合った。
「…どう思います?」

「考え込んでいるようだな、色々と」

やはり同じことを考えていたらしく、ハイネは軽く息を吐くと「どうしたもんかね」と言いつつ黄金色の髪を軽く撫で付ける。
アスランの考えていることは二人には見当がついていた。
今や敵国となったオーブのことだろう。
つい最近までオーブに居てのに今やそれと戦うザフトの兵士なのだ。
頭ではそのことを理解していても気持ちの整理までは追いついていない・・・それがアムロとハイネの感想だった。
「…で、どうします?」

「ん?」

「ハッパをかけるにせよ、愚痴を聞くにせよ、早くしないことにはね」
確かに、迷いを抱いたまま戦場に出ることは可能な限り避けさせたい。
それがそのまま死に直結するのが戦場なのだ。
ここは自分が・・・・・
「俺が行きますよ」

「あ?ああ…頼めるかい?」

「これもコミュニケーションの1つってヤツだしね」と笑いながら、アムロの背後をチョイチョイと指差すハイネ。
振り向くとブリーフィングルームの入り口にメイリン・ホークがこちらを伺っていた…が、目が合うと咄嗟に隠れてしまった。
その仕草にクックックとハイネは笑うとアムロの肩をポンと叩く。
「ひとつ・・・貸しですよ?」

「・・・オトナをからかうんじゃない」

ハハハと笑いながら颯爽と歩き去るハイネ。

いい青年だなと思う。
彼がこのミネルバに来たことはクルーたちにとってプラスになるだろう。
俺もお払い箱かな?そう苦笑いしつつ、さて…とメイリンの方を見やる・・・・

プシューとドアが開き、アムロと…そしてメイリンが入ってくる。
「さあ、入るといい」

「は、はいっ。失礼します」

少し緊張気味なメイリンがおずおずとアムロに続く。

あれから、アムロがメイリンに話を聞こうとすると向こうから近づいてきてこう言ったのだ・・・「アムロさん、今、お時間いいですか?出来れば二人っきりで」と。
自分の耳を疑った。
目を丸くする自分を見てメイリンは真っ赤になりながら言うには・・・・。

備え付けの椅子に座らせるとコーヒーを手渡し、自分はベッドに腰掛けるアムロ。
メイリンはキョロキョロと視線を泳がせている。
「言いたいことは分かるよ、メイリン」

「えっ?」

「何故…ナチュラルの僕がコーディネーターに味方するのか、分からずに不安だったんだろう?」

「あ。あの…そういう意味じゃ」

「いいんだよ、別に。そう思うのも当然のことだ」

そう言って穏やかに笑うアムロに安心したのかメイリンはポツポツと疑問を口にする。
「どうして…ですか?」

「無いさ。これといった理由なんて」

「え?」パチクリと瞬きするしかないメイリンの様子に苦笑するとコーヒーを一口飲む。

「オレにとってはナチュラルも、コーディネーターも大して違わないんだろうな、恐らくは…。
遺伝子を弄くろうが、それによって様々な恩恵が得られようとも突き詰めればお互い人間だろう?
腹が空いたら飯を食うし、眠くなったら寝る。惹かれ合った者同士が恋愛する。
お互いが笑って、泣いて、怒って、憎んで、愛し合うんだ・・・何も違いなんてありはしない」

「はあ」

「メイリンはいつ僕がナチュラルだと分かったんだい?」

「えっと、お姉ちゃんから聞いて…それでビックリしちゃって」

「それまでは俺のことをナチュラルだとは思わなかったんだろう?つまり、そう言うことさ」

まだ分からないという顔をしているメイリンに「この続きは宿題だ」と意地悪そうに笑うアムロ。
そこで、やっとからかわれていることに気付いたメイリンは少し頬を膨らませつつ「もう、知りませんっ!」とそっぽを向く。
なんだか思い悩んでいた自分が馬鹿みたいだと思い始めたメイリンは不思議と心の中の疑問が氷解していくのを感じた。

(ああ、だからなんだろうな。こんな人だから、姉は惹かれているんだろうな。初めて会うタイプだもんね)

心のしこりが減ってフフフと微笑みを浮かばせるメイリンは部屋の片隅におかしな物を見つける。

「あれ、アムロさん?」

「ん?なんだい」

「あの赤いダンボールってなんですか?」と興味深げにソレを指差す。
その先には・・・・・四角のダンボールにペンキか何かで赤く着色し、ザクのモノアイみたいなものが描かれている上にツノみたいなものが接着されている…なんとも珍妙なものだった。しかもカタカタ小刻みに揺れているような・・・・

(あれ、なんか書いてある・・・『ザ…ザクポン』?)

「ああ、あんまりにも赤くしろだのツノつけろだの五月蠅いんでね、ご要望に答えたまでさ」

「へ、へぇ・・・」

その後、メイリンはアムロと『ザクポン』の内部に居た<赤い物体>の言い争いを目にすることになる。
ソレを目の当たりにしつつ、メイリンは「カワイイ」なんて思ったりもしたのだが、どちらについて思ったのかは・・・名誉のためにも伏せておくことにする。