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CCA-Seed_125氏_第25話

Last-modified: 2008-01-09 (水) 20:21:33

ポートタルキウスにおける沿岸の小さな港に横付けされた”ミネルバ”は前回の会戦で受けた損傷を癒しつつ鎮座していた。
そんな”ミネルバ”の中央カタパルトから一機の戦闘機が飛び立った。
シンの愛機<インパルス>の根幹を為す、コアスプレンダーである。

 

しかし、青と白のカラーリングであるはずの機体は、黒と白のツートンカラーに変わっていた。
淀みなく上昇したコアスプレンダーは、続けて発進したチェストフライヤー、レッグフライヤーに合わせるようにスピードを落とし、寸分の狂いもなく合体を終えて<インパルスガンダム>となった。
そして、ヴァリアブルフェイズシフト装甲の発動により、機体色がみるみる変わっていくのだが、これもやはりシンの機体とは違っていた。
胴体部と肩部、つまり本来ならば青が占める場所が黒く変わったのだ。

 
 

色合いが変わるだけで、まるで違う機体に見えるな。
それとも、操るパイロットのせいだろうか。
誰よりも見知っている機体が、自分以外の手によって操られていることに何だか不思議な感慨を実感しつつ、シン・アスカは甲板の上から群青の空に映える機体を見上げていた。
「見事なものだな」
「・・・・・・レイ」
後ろからの声にシンが振り向くと、金髪の髪を陽光にキラキラ輝かせているレイ・ザ・バレルがいつの間にか立っていた。
レイは何も言わずにシンの横に並び立つと、眩しげに見上げる。
「もうあのように扱って見せている」
「・・・・ああ、そうだな」
シンが口にした同意の言葉に、レイはシンに目を向ける。
「? なんだよ」
「イヤ、少し意外に思っていた・・・抵抗のようなものは感じなかったのか?」
レイが何を言いたいのか理解したシンは、頭を掻きつつ柵に寄りかかった。
「自分でもさ、不思議なんだよな・・・。 専用機・・って言ったらおかしいかもしれないけど、そんな感じに思ってた機体に他人も乗るなんて何時もの俺なら、さ」
「・・・ああ」
「だけど、そんな気分にならないんだよな。 あの人だとイイよな・・・っていうか、しょうがないっていうか・・・うれしいっていうか。
 勿論、全然悔しくないわけじゃないんだ。 けど逆に、張り合いが出て来た、っていうか」
自分でも上手く言えないのだろう、紡ぎ紡ぎ話すシンの顔はしかし、そんな負の感情とは無縁な風に晴れ晴れとしていた。 
そんなシンをじぃっと見つめていたレイだったが、ふと目を逸らすと、こちらに着艦しようとする機体に目をやる。

 

(変わったなシン、・・・その変化を、俺は、どう捉えるべきなんだろうな)
(アムロ・レイ・・・・彼は・・)

 

「そういえば、ルナは? アスランも見かけないけど」
「・・・ああ、彼らは艦長からの命令で、単独行動中だ」

 
 

重低音を響かせ、MS格納庫に着艦したインパルスを即座に整備員が取り囲んだ。
コクピットが開き、中からジャケットを着込んだ人物・・・アムロ・レイがゆっくりとタラップに降り立つ。
「どうですか、アムロ大尉。インパルスの調子は」
「ああ、流石にザクとは反応性がまるで違うな。 合体もスムーズに行えたし、安定感も抜群だった。」
「まあ、前例があれではね」

 

苦笑しつつ、技術主任マッド・エイブスは格納庫の隅に置かれ、バラバラに分解されている元は<ザク・スプレンダー>だった機体を見つめる。
先の戦いの折、フリーダムと互角に渡りあえた機体は、そのあまりの負荷に内部のフレームがガタガタになってしまっていた。
もともと実験機にすぎない機体にしてはよくもってくれたと言うべきかもしれないが、もともと部品が少なく、修理にも手間がかかるのを考慮に入れてやむなく補修部品として分解されることに決まったのだ。
そして、新しくアムロの乗機として白羽の矢が立ったのが<インパルス>だったのである。
「本部も気の利いたことをしてくれる。補給が戦闘機一機と聞いたときはどうしてくれようかと思いましたが」
「ああ、コアスプレンダーならこちらにある予備のフライヤーを使うだけで済むしね」
整備士から受け取ったスポーツドリンクを喉に流し込みつつアムロも同意する。
そして自分の機体を見上げると呟いた。
(偶然とは怖いもんだな)
かつて自分が設計し、搭乗した愛機を連想させるカラーリングに苦笑していると、横からデータを取っていたヨウランが口を挟んだ。
「でも、せっかくのヴァリアブルフェイズシフト装甲なのに、こんなに出力を落としたら勿体無いですよ」
「俺にとってはこれでいいんだよ、ヨウラン」

 

〜数時間前〜

 

インパルスの搭乗にあたり、アムロが付け加えた注文は整備班の面々を呆れさせるに充分なものだった。

 

「フェイズシフトは可能な限り、電圧を落としてくれ。 なんならOFFにしてしまってもいい」
「無茶ですよ! エネルギーの伝達回路も兼ねてるんですから、OFFには出来ないし、それにあったほうが・・・」
「当たるかどうか定かじゃないことに活動時間を削るなんてナンセンスだ。 それに戦場のど真ん中でいつでもデュートリオンビームを受信できるともかぎらないんだ」
「しかし・・・」
「・・こんなことは言いたくないが 『アタラナケレバドウトイウコトハナイッ!!(すっごく嬉しそう)』 ・・・誇らしげに言うんじゃないっ・・・まあ、そういうことだな」

 

(肩にペットロボット乗せながら真顔で言う言葉じゃないよな、シュール過ぎるぜアムロさん)
(けど、確かにアムロさんは被弾らしい被弾は殆どないんだぜ?)
(つうか、ナニ? あのロボットは? 議長の声を使用していいのか?)

 

「それから、レッグフライヤーを切り離した後で無線誘導出来るようにしてほしい。場合によっては囮か、敵にぶつけるか出来るからな」
「ええ!?そんな勿体無いっ!回収すれば・・・」
「戦場では使えるモノはなんでも使うさ。それでパイロットが生き残れれば御の字だろう? 
 なにより、足程度なら 『足ナンテ飾リデスッ!偉イヒトニハ、ソレガワカランノデ…(バシッ) イテッ』 ・・・ゴホン・・ああ、とも言うな」

 

(凄え屁理屈をきっぱりと言い切ったぁ!?)
(ヨウラン、いい加減学ぼうよ。 この人は理屈は通用しないんだ)

 
 

〜現在〜

 

「しかし、兼ねてより不思議に思っていたんだが」
「なんです? 大尉」
「何故、インパルスの機構を量産しないんだ? これは脱出機能としては申し分ないのに」
そのアムロの疑問にヴィーノが答えた。
「ああ、やはり最大のネックはコストですよ。 機体構造の複雑化による整備性の悪化、それに伴う高コスト化に、なにより専用艦でなければ満足に運用できないときてるんですから」
「いらないだろ」
「・・・・・はい?」
「量産化の意味が分かってるのか? なにもインパルスをそっくりそのままにする必要はないだろう。
 デュートリオンビーム送電システムとヴァリアブルフェイズシフト装甲なんて真っ先に除外して然るべきだし、なんなら残すのはコアブロックだけでもいいんだ。
 合体機構も抜かしたら僅かの回収でどの艦でも扱えるし、ここまででも大幅なコスト削減だ」
「は、はぁ」

 

アムロは時々、この世界のMSに対する不満を漏らすことがある。
しかも、その一々がごもっともな内容ばかりなので反論しようにもできないのだ。
ヨウランとヴィーノは助けを求めるかのように技術主任に視線を向けるが、当の本人はウンウンと頷くばかりで逆にメモをとったりしている始末。
そんな時である。
アムロの視界の端に空を横切る物体が横切った。
「・・・ん? セイバーか? あれは」
「あれ? ルナマリアじゃん。 どうしたの」
それと同時に、慌てた様子で格納庫に走りこんできたルナマリア・ホークは、私服姿のまま小型ジャイロに飛び乗った。
それをみたアムロは何を思ったのか、いきなり走り出してルナマリアに向かって行った。

 

バババババババババババババ

 

今まさに飛び立たんとしていたルナマリアは、こっちに来るアムロにぎょっとしてしまう。
その隙を突いて、ジャイロに登ったアムロは車軸の片方に足を乗せてきた。
「え、ちょっ、アムロさん!?」
「ボクも行こう、ルナマリア!」
ローター音に負けないよう声を張り上げる。
「ちゃんと任務の詳細はグラディス艦長から聞いているし、許可も得ている!!」
「そ、そうじゃなくて! これ1人乗りですよ!!」
「ルナマリア」
しかし、アムロはにこやかに微笑むと、ゴーグルを装着しながらルナマリアのヘルメットをポムポムと叩いた。

 

「為せば成るさ」

 

「い、意味違うと思いますけど・・・」

 

惚れた弱みと言うなかれ。
結局、ルナマリアが強引に押し切られる形で二人を乗せたジャイロはセイバーの反応を追って飛び去って行った。

 

「あ〜あ、行っちゃった」
その一部始終を、アムロを労おうとわざわざ降りてきたメイリン・ホークが見ていた。
「先を越されちゃったなぁ」
ふぅ、と軽く息を吐いてから戻ろうとすると、足元に丸い物体がコロコロと転がってきた。
「あら?」
言うまでもなく、それは例の<赤いハロ>である。
「貴方もお留守番なの?」
『ハロ』
「待ち惚けって辛いよねえ」
『ハロハロ』
「あ、分かる分かる! アムロさんって時々すっごくストイックな時があるもんね。 でも、そこが結構いいんだよねぇ」
『ハロ、ハロハ〜ロ、ハロ?』
「や、やだもう、そんなことないってばっ」

 
 

ザワザワ・・・・

 

格納庫の片隅で、とはいえ、こんな異次元の会話をされては目立つことこの上ないのだが、二人(?)は気付くことなく談笑(?)しながら歩き去って行った。
「お、おい何て言ってたか分かるか?」
「分かるわけないじゃん」
「大丈夫か、メイリン・・・。CICも板挟みで結構ストレス溜まりそうだしなぁ」
「でも、ルナマリアも結構、あのロボットと口喧嘩してたりするぜ」
「ロボットと口喧嘩かよっっ!!」