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CCA-Seed_427◆ZSVROGNygE氏_外伝01

Last-modified: 2010-04-28 (水) 09:38:37
 

失いし世界を持つ者たち
外伝1

 
 

 オーブに到着してからは時間もとれず、交渉等に費やす日々であったが、ようやく落ち着いたので、先の戦いを検討しようと会議を開くことになった。予定時間よりもかなり早かったが、私はその日に限っては特にやることがなく一足先に会議室へと向かった。

 

 作戦会議室には誰もいなかった。ここには普段参謀が常駐しているはずだ。誰もいないと言うことは、おそらくトイレにでも行っているのだろう。作戦行動中ではないから、叱りつけるほどのことではないが、注意はするべきだろうか。
 だが平時のデスクワーク中に少しトイレに立つ程度は大目にみるべきだ。私は部屋を無人にしている部下に対して、寛大に対応しようと思い、席に座ると不意に机の上にあった手紙が目に入った。不用心だな。しかし誰が誰に充てるつもりだろうか。
私は、特にやることもなく、若干の好奇心が芽生えたので、ついその手紙を手に取ってしまったのだ。

 

 

《チャールズ・スミスの手紙》

 

――真実の友、レズリー・アノーへ――

 

 親愛なる友よ、この手紙が果たして君の元へ届くかどうか、はなはだ疑問だ。なぜならば僕は異世界にいるのだから。このように書くと君はまたジョークと思って笑うだろう。
 だがここに書くことは紛れもない真実なのだ……既に君には3回も同じ冒頭で書き出してしまっているから、これが届くときの君の反応を思うと少し可笑しく思う。

 

 今回の手紙はこの世界に来て初めてできた友人について記したいと思う。実は僕はいま飲みすぎたことを反省している。昨日はブライト・ノア司令らと、オーブの技術者ユウジ・アスカ氏とささやかなパーティーをしたのだ。
 というのも、昨日のお昼過ぎに休憩していると、司令がアムロ・レイ中佐と仲良く楽しげに歩いているので、声をかけて理由を問いただしたのだ。すると司令はバツが悪そうに、頭をかいて笑って話してくれた。

 

 曰く、先日の外出で偶然知り合ったオーブの技術者に招かれてバーベキュー・パーティーをする、とのことだ。私は早速みんなでいくことを提案した。こういったイベントはみんなで盛り上がるべきだからね。
 司令は先方に聞いてみないといけないといったので、自分が連絡して幹事を行いたい旨を提案した。司令はとりあえず自ら動いてくれるといってくれた。やはりできる人は自分から動くものだと感じさせられたよ。
 中佐が苦笑いをしていたけど、何故だろうか。親愛なる友よ、先日も中佐にサインをもらったときの話を書いたが、彼は控えめな人だと思う。笑うだけで何も言わないのだから。

 

 さて、業務の関係でパイロットの半分と、士官クラスから私を含めて数名がお邪魔することになった。
また大勢になったことで、司令はいい機会だからと、アークエンジェル側の面々にも声をかけ、マリュー・ラミアス艦長とナタル・バジル―ル副長、ムウ・ラ・フラガ少佐にキラ・ヤマト少尉ら野戦任官組も同行することになった。
 彼らの方は艦が修理中でやることがないらしい。そうでもないと思うけどね。僕らは先にオーブ政府から支払われた金銭を以て食材を買い、アスカ氏の家へ向かった。
 買い物の時に驚いたことは、MS戦隊長のアーネスト・ソートン中佐が料理に煩い人物であることがわかったのだ。
 やれ南半球では季節感が変わって野菜の選別に困るなど、オーブの食材は豊かだの、ただし輸入品が多いから鮮度がどうなの、普段の寡黙さが嘘みたいで僕にはとても滑稽だったよ。
 僕にいわせればスペース・コロニーから豊富でバラエティに富む食材が、いつでも手に入る時代なのだから、その土地の季節感なんてどうでもいいと思うのだけどね。
 それをいったら、「君は料理の持つ視覚・文化的な(ry」と、うだうだと演説を始められたのでうんざりしたよ。

 

 僕にとって興味深いのは、お酒かな。日本国と縁があるらしく、その割には変な国家体制だけどね、日本酒が多くあったことがうれしかったよ。日本酒は好物だからね。
 僕が好きな『浦霞』と『澤乃井』が、この世界にも存在していたことは全く以てすばらしいことさ。君もそう思うだろう。特に後者は驚きさ。まぁ君は『八海山』が好きなのはわかっているから、くれぐれも手紙で反論しないでくれよ。
 もちろん、洋酒も20世紀あたりから続く銘柄はだいたいあったね。最近飲んでいる『GRANT’S』があったのはありがたいよ。こないだ先任参謀にばれて大目玉だったからね。
 前にも書いたけれど、僕は艦内の裏物資取引――そう君とサイド6の学生時代にしたような酒やエロ本とかだ、もちろん神に誓って書くがたばこと麻薬はやっていないよ――そういった物資の取引を同僚と画策して陰でサポートしているから、次に外出したらいろいろ仕入れないといけないな。
 僕としては画像コーナーにあった、『全裸紳士の冒険―ローマン浴場編―』が非常に気になったので、みんなの目を盗んで購入したよ。
 内容はまぁまぁだったかな。君が学者もの好きなのは知っているから、オーブ土産として探しておくよ。

 

 ともかく僕たちは食材を買い込むとアスカ氏の家に向かった。氏の家は日本国の文化を継承している国のくせに、とても大きかった。
 北米地域の住宅とまではいわないが、欧州大陸の中流層が地方に持つ住宅程度の大きさはあったと思う。司令とレイ中佐が代表してチャイムを鳴らす。
 2人とも申し訳なさそうなのは何故だろうかと思ったが、ソートン中佐がやたら材料にこだわり、テックス・ウエスト大尉がやたら酒を買い込んだせいで、時間に3分ほど遅れたからだろう、できる人は時間を守るからね。

 

 アスカ氏は特に待ちわびる風もなく、司令とレイ中佐を暖かく迎えてくれた。温厚な人なのだろう。玄関から庭に案内されると、既に道具がそろっていたよ。材料の支度を始めると、アスカ氏の息子シン君と娘のマユちゃんがやってきたので、互いに自己紹介しあった。
 シン君もマユちゃんも礼儀正しく、アスカ夫妻がきちんとした方なのだという印象を強く持った。

 

 料理の仕込み中で楽しかったことは、やはりソートン中佐のこだわりかな。「バーベキューだけだとつまらん」といって、鍋を借りて、ソーセージとベーコン、キャベツ、にんじん、ジャガイモ、そしてコンソメを以てポトフを作り出したからすごいものだった。
 ただ、滑稽なのは作っている姿だよ。想像できるかい? 2mもある巨漢が、ピンクのフリフリエプロンをして包丁を握る様を。しかも細かい包丁さばきができるから、動きが細々しているからおもしろい。
 マユちゃんやカズイ・バスカーク二等兵はその姿に大笑いしていたよ。シン君も止めようとしたけど、つられて笑っていたよ。僕が笑ったら、包丁が飛んできたけどね。全くパイロットは血の気が高くていけないよ。司令の影響かもしれないな。

 

 パーティー自体は、みんな各々で飲み食いを楽しく過ごせたよ。居残った連中に悪いから、彼らのためにも今度艦内でパーティーをしてあげたいとおもう。
 僕にとっていくつか印象深いのは、司令とレイ中佐らと話せたこと、アークエンジェル側の面々と交流できたことだ。いくつか印象深いものを君に伝えたい。
 何杯か目のワインを飲んで庭をうろついていると、ヤマト少尉とフレイ・アルスター二等兵とサイ・アーガイル二等兵が、暗い顔して沈黙していたので僕は声をかけた。パーティーなのに黙って食べるのだけではおもしろくないからね。
 私が声をかけると、アーガイル二等兵が苦笑いをする。全くいまどきの少年少女はパーティーの楽しみ方を知らないと見えるとそのときは思ったんだ。
 僕が「なんだ? 暗い顔して修羅場かな?」と声をかけると、少年少女は何ともいえない顔を浮かべたので、地雷を踏んづけてしまったことに気付いたが、もう遅い。
 故に僕は酒の勢いで引っかき回してごまかすことにしたんだ。いや友よ、責めないでくれ。そもそも楽しいパーティーで修羅張ることが悪い。会話も再現して書くとしよう。

 
 

「これだけ魅力的なお嬢さんだと争いもあるだろうからね。どうかな?後腐れなくここで勝負しては」
「勝負ですか?」

 

 2人の少年は、困った顔をする。

 

「そうだ、確か少尉はコーディネイターだったのだな」
「は、はい」
「じゃあ力が絡むのはだめだな、何か運的なもので勝負しよう」

 

 僕はそういうと、コップを持ってきて、水をなみなみと注ぐ。そして今は役に立たない連邦の通貨を取り出す。

 

「このコップに交互にコインを入れて、こぼした方が負けだ。入れるコインは自由だ。1枚でも5枚でもいい。運というより度胸、あとは集中力も必要かな」

 

 2人が顔を見合わせたので、私は以下のように言い放った。

 

「あのな、度胸とか集中力は遺伝子でどうにかなる訳がないだろう。どうも君らの世界の連中は聞く限りやたら遺伝子にとらわれているが、それだけで世の中どうにかなるわけない。まずはやってみろ!」
「「はっ、はい!」」

 

 2人が勝負を始める。勝敗は結論を先に書けば、3勝2敗でキラ君が勝った。ただ最初に2連勝したのはサイ君だ。彼は勝負をしながら、これまでの経緯を話してくれた。
 今思えば本人にその気がなくとも、キラ君への精神攻撃だったと思う。僕の見たところ、攻撃的ではなかったけれど、少しは責めていたと思う。
 まぁ経緯を聞くと、なるほどそりゃキラ君がいただけない。(註、この後数行にわたり経緯が書かれているが、割愛する)だが恋愛というのは論理や方程式ではないからね。僕の口からは何とも言いかねるよ。
 サイ君が2連勝したところで、第3戦で今度はキラ君の反撃、というよりも謝罪と告白が始まった。
 少年の告白の中身をここで書くのは悪趣味だから割愛するけれど、正直に書けば、僕は何でこの場にいるのだろうと、疑問を抱いたね。
 彼の独白の途中で、フレイ君がキラ君の名前を呼んだことで、サイ君が動揺したことが、第3戦の命運を分けた。その後の2人は何か憑きものがとれたような表情になったことは印象的だった。
 ただフレイ君はキラ君の名を叫んだものの、まだうまく感情が処理できていないようだった。まぁ若きウェルテルのように恋に悩めと思うよ、ティーン・エイジャーなんだから。
 勝負の後、3人は気まずさが少し紛れたようだったよ。特に男の間では。やはりパーティーは楽しくないといけない。

 
 

 その場を離れ、串焼きを確保しようとしていたら、途中で人だかりができていたので、何事かと覗くと、ラミアス艦長がウエスト大尉と飲み比べをしていたんだ。
 ラミアス艦長は相当酒に強い人で、ウエスト大尉と黙々と杯を重ねていたよ。2人とも飲み過ぎだ。大尉がウワバミなのは、部隊でも有名だけれど、ラミアス艦長は意外だったね。

 

 脇にいたフラガ少佐が、私に声をかけてきた。私に声をかけた理由は、先の買い物(エロ画像)についてであった。少佐にはばれていたらしく、人だかりから離れて話があると、庭先の外れに呼ばれたんだ。
 注意されると思ったのだけれど、自分にも物資を分けてほしいと要請された。確かに艦長副長と美女で固められると大変だろうと思う。性的な欲求が。艦長の胸はすごいもの。君がおっぱい星人であることはわかっているから、画像も添付するよ。
 気になると思うからね。ともかく、僕は少佐の気持ちを察したので2つ返事で了解したよ。少佐は「おまえさんは話がわかる奴だ!」と言って、僕の肩を叩きながら酌をついでくれた。今後とも少佐とはうまい酒を飲めそうだよ。
 少佐とはその後しばらく、エロ話をしていたよ。もちろん若い娘もいるので、ごまかしながらだけどね。例えば、戦闘中における山地の攻略と盆地の攻略について議論する形にしてね。

 

 少佐が酔った艦長を解放(本人の表現)したいと去っていたので、串焼きを取り忘れていた僕は、再びコンロのそばへ向かうと、トール・ケーニヒ二等兵とミリアリア・ハゥ二等兵が、シン君と話していたところに出くわした。
 おもしろい組み合わせだけど、この面々の中では年が近いからだろうと思う。そこへレーン・エイム中尉がやってきたので、僕も参加することにした。シン君が工業カレッジについて、2人に聞いていたそうだ。
 父親が技術者だから、興味があるのだろう。僕が将来について聞くと、この国は工業が主な産業だから、具体的にはまだだけど、父の仕事には興味があるそうだ。また男の子として純粋にMSには興味があるという。
 それを聞いたレーンが、乗り気になってパイロットを目指せと焚きつけている。地味にこれ以上はまずいぞと思い始めたところ、トール君がレーンに「自分にも操縦を鍛えてほしい」と言い出したので、彼がパイロットであることがばれた。
 シン君は目を輝かせどんなMSに乗っているのかを聞いてきた。私はこの場にいると拙いことを感じたので、食べ物をとってくるといって、その場を離れたよ。これは司令にばれたらまずいからね。東洋の戦術書にもあるだろう、逃げるが勝ちと。

 

 ようやく串焼きを確保すると、ちょうど司令とレイ中佐がバジル―ル中尉と歩いてきたので、声をかけた。
 やはり司令は僕にとってあこがれの存在だからね。話す機会があると未だにどきどきするよ。そのときの会話も書いて伝えよう。

 
 

 司令は、僕の顔を見ると突然ふっと笑い出したので、理由を聞くとこう答えたんだ。

 

「いや、すまん。結果的に君の提案でこうしてみんなと食事ができたのはいいことだと思う。楽しんでいるか」

 

 僕はうれしくなり、心から楽しんでいることを伝え、司令はどうでしょうかと返した。

 

「もちろん楽しんでいるよ。ユウジ君やシン君とゆっくり話せたからね。なぁアムロ」
「ああ、それにしても、こうなるとは考えてもいなかったけどな」

 

 レイ中佐の視線の先には、楽しげに会話している連中がいた。ラミアス艦長は酒瓶でフラガ少佐の頭をかち割っている。周りが止めてないところをみると、おそらくエロスなことをしたのだろう。
 ベアード少佐がウエスト大尉に絡まれている。酒癖の悪い人だと感じたね、普段は寡黙で穏やかな人なのに。さらに他に目をやると、レーンがトール君とシン君の誓願に辟易していた。
 またソートン中佐がマユちゃんに料理を教えている風景とかも目に入った。エプロンは取るべきだと思ったね。僕の腹筋のために。それにしてもまさかロリコンじゃないかと怖くもあったな、その光景は。
 もっともそのマユちゃんは、作った料理を脇目も振らずに兄であるシン君に食べさせていた。シン君はミスター味っ子の味皇みたいなリアクションを見せ、ミリアリア君を引かせていたね。これには僕とレイ中佐は顔を見合わせ笑ってしまった。

 

 もう一本串焼きを食べながら、ふと司令とレイ中佐の他にバジル―ル中尉もいたので、おもしろい組み合わせであることを彼女に振ると、先ほどまで司令に武勇譚を聞いていたそうなんだ。
 僕はうらやましく思ったね。やはり直接の上司には聞きづらいいからね、そういったことは。彼女によると中佐からかつて司令のことを聞いてから、ずっと憧れていたのだそうだ。無理もない。
 ただ僕のみるところ、視線は中佐に向いていたけどね。もちろん、そのような野暮なことは口には出してはいないよ。僕だって空気は読めるさ。
 なかなかかわいいよ、少女のように中佐に視線を向け、中佐が振り向くと顔を赤くして下を向いている姿は。もっとも中尉の行動は、お酒がだいぶ入っていたからかもしれないけどね。
 彼女はあまり強くないようだが、雰囲気に飲まれたのだと思う。ただ実のところアムロ中佐は、中尉の行動を知っていて楽しんでいる節がある。さすがニュータイプだ。
 でも中佐は確かベルトーチカ・イルマさんという内縁の方がいたと思うのだけれど、いいのかな。友よ、君ならどうする?

 

 もうひとつ、印象深かったことは、司令と中佐がアスカ氏の子供を大いに気にかけていることだ。司令はもしかすると息子さんのことを思い出されているのだろう。
 そう思うと胸が詰まり、涙が出てきてしまって、たまたま隣にいたベアード少佐に心配をかけてしまった。もっとも、マユちゃんは司令に対して髭がおじん臭いと言ってのけ、しばし司令は立ち尽くされていたが。
もちろんそれを聞いて涙は引っ込んでしまった。

 

 僕は最後にしんみりしてしまったけど、パーティーは成功でとても楽しいものだった。アスカ氏もまたやりたいといっている。僕個人の意見だけど、今度は彼らを船に招待したい。

 
 

 以上が昨日のパーティーで印象深かったところだ。ただ今朝に後日談的な出来事が艦橋であったんだ。笑えることに、司令が昨日の言葉に相当傷ついたらしく、髭を剃っていたんだ。
 司令は思ったより子供っぽいところがあるようだね。全くおじさんと呼ばれても仕方ない年齢だというのに。やはり、私のように堅実な参謀がいると司令も安心してそういった行動ができるというものだ。
 このように書くと君はいつも笑うが、僕は本当に艦隊を下から支えている。東洋の諺でいう縁の下の力持ちという奴だ。元の世界に戻れたら、すぐにコロニー公社にこの手紙を届けたい。
 君は技師だからね、どこにいるか見当もつかない。もっともそれは今の僕もだけど。君と再会することを切に祈っている。

 
 

 U.C.105年改めC.E.71年3月31日

 

 第13独立機動艦隊改め、ロンド・ベル作戦参謀
 チャールズ・スミス中尉

 

 

 ・・・・・・。
 私は手紙をそっと元に戻して自分の席に戻った。そこへ間の悪い男が部屋に入ってきた。

 

「司令!! お早いですね!」
「ああ、中尉。少しいいかな?」
「なんでしょうか!」

 

 彼にとってこの後に起きた数時間は再び手紙のネタとなっただろう。その後の会議で彼には自習室にて謹慎処分が下された。
 また今期のボーナスを失いしものともなったのである。