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CCA-Seed_427◆ZSVROGNygE氏_12

Last-modified: 2009-05-07 (木) 14:47:00

失いし世界を持つ者たち
第12話「ガダルカナルの戦い」

 

艦橋には戦闘配置を告げる警報が鳴り続ける。先任参謀が作戦を各指揮官に伝達する。

 

「各艦へ!これよりニューカレドニア方面の敵をNC、南東の敵をSE、背後の敵をB、サンタクルーズ方面の敵をSCと呼称する。
それらの敵に対して我々は、艦隊戦力を二手に分けて対処する!!まず高機動戦力部隊を臨時編成し、BとSCを攻撃、艦隊及びその他部隊はSとNCにあたる!!
高機動戦力はν、ペーネロペー、リゼル及びアークエンジェル隊を持って構成する!!時間は限られている、迅速に行動せよ!!」

 

アークエンジェルから、回線が入る。

 

「司令、こちらから予備のスカイグラスパーも作戦に参加させたいと思います。」

 

ラミアス艦長の言葉に興味を覚える。確かに戦力は多い方がいい。だが予備人員がいるのか。

 

「パイロットは?」
「ケーニヒ2等兵です。」

 

ケーニヒ?あの艦橋にいたヤマト少尉の友人か。ゴシップを教えてくれた印象くらいしかないが、素直そうな青年だったと思う。そういえばモニターで訓練していたな。

 

「実戦経験は?」
「ありません。モニター訓練のみです。」

 

論外だ。

 

「だめだ、飛行訓練もなしに投入などできない。」
「司令!!」

 

バジルール中尉が進言する。

 

「長期にわたる作戦時間が想定されます。我々も不安は残りますが、ストライクの予備バッテリーとして有効と考えます。」

 

そうか、これは私が迂闊だったな。この世界のMSは光の巨人よろしく時間制限があるのを失念していた。
もっとも宇宙警備隊の隊員よりも遙かに稼働時間はあるが。しかし中尉の提案を勘案してもほとんど素人に航空機を任せるのは論外だ。
少なくとも、未熟練兵を投入しなければならないような状況にない。だがバッテリー問題は考慮すべきだな。

 

「わかった、但し宅配便以上のことは絶対にさせん。命令あるまで出撃は禁止する。」
「了解しました!」

 

彼らの戦術に関する制限を留意すべきと考えかけた時、艦内通信が入る。

 

「ブライト司令、よろしいか。」

 

高等弁務官ユウナ・ロマである。若干興奮の表情を見せている。

 

「なにか。」
「観戦を希望したい。正直に言って、外も見えない部屋で死ぬのは不本意だ。」

 

明らかにトゥースに不快の表情が浮かび上がる。私も眉をひそめたかもしれない。
この忙しいときに、余計な問題を増やしてくれるな。ここはあまり会話を長引かせたくない。

 

「わかりました。通常艦橋での観戦を許可します。但し、武官の立ち入りは認めません。
さらに先任参謀の指示に必ず従うことが条件です。この件に限っては、一切の妥協は致しません。」

 

ユウナ・ロマは一瞬笑みを見せると、即断した。

 

「わかりました。では直ちに艦橋に参ります。」
「ご随意に、いや案内をやりますので、お待ちください。」

 

少々オブラートが足りなかったかもしれない。ユウナ・ロマは意に介したふうではなかった。通信が終わると同時に、トゥースが咎めてくる。

 

「司令!!なぜ許可を与えたのですか!!」
「今は下らんことに時間を割いてはいられないからだ。トゥース、貴様に任せるから、騒いだらさっさとたたき出せ。」

 

参謀も目前に迫る敵の方が重要で、私の言葉を聞くとすぐに頷いた。

 

「了解です、では参謀席には?」

 

その質問に対して、通信パネルを操作する。

 

「ウィラー!!弁務官を艦橋に案内してから、戦闘ブリッジへ来てくれ!!先任参謀はVIPの相手をせにゃならん!作戦室はコレマッタ少佐に任せる!」

 

トマス・ウィラー中佐が敬礼するや通信を切る。エゥーゴ時代からの部下で作戦主任参謀を務めている。ロンド・ベルの中でも特異な経歴の持ち主で、元々はジオン出身である。1年戦争時はジオンの技術試験隊へ派遣されていた。
それほどザビ家にも、ジオ二ズムにもシンパを抱いていなかったそうで、彼に言わせると、生まれた所がたまたまサイド3だっただけだ、とのことだ。そういった思考の持ち主だからこそ、連邦への再就職を可能にしたことは間違いない。
参謀はトゥースを筆頭に、作戦・人事(兼務)、補給、情報・通信(兼務)にそれぞれ主任が置かれ、作戦参謀のみ中佐で、他は少佐で構成している。各主任には4名の部下が就く。
元々は独立機動艦隊であったため、参謀の人員は正規の艦隊に比べて多くない。通常はトゥースが戦闘ブリッジに下りて、ウィラーが会議室で参謀を統括しているが、弁務官を諫める役割は、艦隊首脳でなければ無理であろう。
ちなみに、アンドレア・コレマッタ少佐は情報主任参謀である。一族皆が軍人という家系で、叔父に陸軍で早くからMSを委ねられた部隊を指揮したミケーレという人物がいる。

 

「戦闘ブリッジ!!!早く開くの!!」

 

檄を飛ばすや椅子は稼働し、戦闘ブリッジへと滑りこむ。降りるとそこには薄暗い部屋に、戦闘に関する情報が、網羅的に浮かび上がる。諸々を確認していると、そこへ右の梯子からウィラーが下りてくる。

 

左にはメランが、右にウィラーが座る。円形のホログラフをはさんで、ハムサットと砲雷長と航海長が座り、その前をメイン・オペレーターが3人並んで座る。状況報告が連続して上がってくる。

 

「ソノブイ投下完了、近辺に水中機なし!」
「確認された敵機群は包囲を狭めつつあり!」
「機種確認!!空中の機体はすべてディンです!」

 

アムロから回線が入る。

 

「ブライト、いいのか。」
「出てくれ、艦隊は主力部隊ともにNCに対処する。
聞いていると思うが、Bから反時計回りに進撃し、サンタクルーズ諸島方面の敵を撃破した後、ガダルカナルへ向かってくれ。そこで合流しよう。指揮は任せる。」

 

アムロは頷き、声をあげた。

 

「アムロ!!ガンダム、行きまーす!!」

 

νガンダムがカタパルトから下駄に乗り発進していく。今回、ガンダムにはジェガンのライフルとアスカ氏による装甲で制作した、ジェガンのシールドを白く塗装して持たせてある。
本来ならば、既に失っているファンネルや、専用のビームライフルは持たせたかったが、現時点でガンダムに関する装備品発注は時期尚早と判断された。

 

「レーン・エイム、ペーネロペー出る!!」

 

ペーネロペーも基本的にはジェガンのライフルを装備させ、ファンネル・ミサイルを装填すべきところには、通常弾頭を装填している。現在のところ予備弾薬はないが、また発注すればいい。
装甲はチタン・セラミック複合材で補修した。強度や速度は低下するが、それでも艦隊において最速を誇る。ペーネロペーに関してはそれこそペーネロペー・ユニットの装甲に関する情報だけで飛行機能が盗用できるわけがない。

 

続けてリゼル隊が発進していく。彼らには連戦させてしまう形となるが、それは我々も同様だ。パイロットを信頼しよう、ヤマト少尉たちも含めて。アークエンジェルからも機体が発進するのを右手に確認しつつ、回線を開く。

 

「ソートン!艦隊は長距離砲撃を3分後に開始する。左右から挟撃してくれ。艦隊は直掩部隊で持たせる。」
「了解!!出撃します!」

 

MS隊隊長、アーネスト・ソートン中佐が、量産型νに乗って発進していく。武骨な男だが、一方で気配りのできる人物で部下からも信頼されている。
アムロ帰還時に、自ら隊長職をアムロに譲ると申し出たが、無理に変更する必要がなかったので、却下している。
見た目に似合わず料理が趣味で、先日アスカ氏とガーデン・パーティをした時、その体格に似合わぬ料理への拘りとエプロン姿は、マユ・アスカを爆笑させていた。
彼は少し傷ついた様子だった。子供は時として無自覚に大人を傷つける。もちろん、非難すべきことではないが。

 

「司令!!MS部隊展開完了!!」

 

報告は私の意識を戻させた。

 

「よし、全艦長距離砲撃用意!!30秒後に1斉射!その後挟撃開始まで砲撃する。挟撃以降はウェポンズ・フリー!!有効射程内で各個射撃!!」
「了解!!各艦へ連絡!一斉射撃を30秒後に行う!以後挟撃開始までウェポンズ・フリー!!」

 

30秒後、戦端は開かれた。

 
 

※※※

 

モニターには、別動隊の画像が映し出されている。B群は潜水艦のミサイルにさえ気をつければ、問題ない。オーブで対潜兵器も補給している。

 

我々は現在のところ最大機数を誇る、NC群へと砲撃を加える。最初の斉射で2機を撃ち落とした。続く砲撃を回避しつつ進撃してくる。もう少し減らしたいな。

 

「よし、ミサイルの波状攻撃も併せて行う!全艦ミサイル一斉斉射用意!!」
「全艦ミサイル用意!!」

その間に1機撃墜する。電波妨害等は存在しているとはいえ、非ミノフスキー粒子下の戦闘がこうも容易とはな。各艦から準備完了の報告が上がる。

「第1派ミサイル、発射!!」
「てぇーい!」

ミサイルが一斉に打ち出されていく。モニターに目を向けると、ペーネロペーを中心にリゼルが射撃を加えながら突進し、ディンの小隊に仕掛ける。
B群の5機は鶴翼の人で半包囲を試みる。けれども速度に対応しきれず懐に迫られ、中央の機体が撃ち落とされる。
そこからリゼル隊は鮮やかに中央突破を行い、左右に分かれて4対2に持ち込む。そこにペーネロペーのミサイル援護が襲いかかる。これでは持つまい。
一方でこれと並行して低空からアークエンジェル隊とνが潜水艦に攻撃を仕掛ける。潜水艦は急速潜航を始めるが、ランチャー・パックを装備したスカイグラスパーの射撃が命中し爆発を起こした。
Bは終わりだな。視線を眼前に戻す。

 

「続けて第2派用意!」
「第2派ミサイル装填!!」

 

第1派ミサイル群がNCに接触する。砲撃は続けて行われているから、回避により追われることになる。敵機群は射撃も行い回避するが、回避しきれずにもう1機が火球になる。

 

「第2派ミサイル発射!!」
「てぇーい!」

 

直後に報告が上がる。

 

「ソノブイに反応あり!!水中機と思われる反応が西方より接近中!!その数4!」
「第3派ミサイル!!対潜弾装填!!」
「各艦第3派ミサイルは対潜弾頭装填!」

 

そこにNC群22機に対して、左右からソートンとベアードが指揮するMS部隊が襲いかかる。
先ずはミサイルの一斉射撃、後は接近せずに中距離からのビーム斉射でとどめを刺していく。こちらは補給が可能になったとはいえ、機体そのものは相変わらず回復力がないのだ。損傷の可能性はできる限り避けたい。

 

「第3派!!水中に叩きこめ!」
「発射!!」

 

各艦から対潜弾頭が水中へ打ち出されていく。アムロ達はB群からSC群へ向かいつつある。

 

「各艦へ!以降ミサイルは対潜攻撃へ対処せよ!」
「了解!」

 

「艦長!!ソノブイに反応!東方からも来ます!!その数4!別同隊には目もくれずに突っ込んできます!」
「艦長!!SE群のMS部隊が潜水艦と別れてこちらに来ます!このままでは右翼ソートン隊の背後を突かれます!」

 

オペレーターが立て続けに報告する。敵もこちらに余裕を与えさせないな。そうだろう、向こうとしては、包囲で圧迫しようとしていたのだからな。
こちらが包囲陣を突き崩すのであれば、予備戦力も投入し波状攻撃で出来る限り消耗させたいだろう。それにNCに戦力を集中させることもわかる。
戦力を集中させ戦線を立て直すつもりだろう。水中隊の行動も解る、別同隊がMSで編成されている以上は、艦隊への攻撃を優先させるはずだ。何といってもこの世界のMSには時間制限が厳しい。

#br                                                
「直掩隊を対潜装備で対応させ!!ソートン!!反時計回りに移動し、ベアード隊を基軸に半包囲体勢を再編させろ!」

 

「「了解!!」」

 

「こちら別動隊だ!SC群がガダルカナル方向へ後退を始めた。これより追撃に入る!!」

 

アムロの報告に敵が再編していることを確信する。

 

「アムロ!!ガダルカナルにはおそらく本命がいるはずだ!数によっては引き返せ!!」
「わかった!レーンを先行させる!!レーン!先行して偵察しろ!!絶対に交戦はするな!!」
「わかりました!!」

 

ペーネロペーは加速し、一足先にガダルカナルへ向かう。正面では反包囲されたNC群がソートン隊へ向けて進撃する。
すでに半数以上が撃墜されているが、果敢に攻撃をしてくる。大きな被害はないが、装備品や盾などに被害が出ている。だが直後に報告が入る。

 

「艦長!!直掩のD3が被弾!!左手を盾ごと持ってかれました!!」
「後退させろ!!」

 

私より先にメランが指示する。中破は初めてだな、向こうさんはかなりの戦力をそろえてきているからな。それに本質的に我が艦隊は対水中戦が不得手だ。ある程度の被害は覚悟している。

 

「艦長!!D3の撤退により、東方水中機群に戦線を突破される恐れがあります。留めて支援攻撃はさせるべきです。片腕でも十分やれるかと考えます。」

 

ウィラーが進言するが、私は却下した。被害は覚悟しているが、人的な損害は可能な限り避けたい。矛盾しているようだが、この戦いは損傷した機体を投入し続けなければならないほど苦しいものではない。

 

「いや、突破されたら直掩機と艦隊で挟撃すればいい。西方の水中機はどうしたか!」
「半数を失い、後退を開始しています。」
「よし、対潜弾の目標を東方に向けさせ!!」

 

モニターに目を向けると、レーン・エイムがSC群を迂回して追い抜き、ガダルカナルに到達した。

「P01よりラー・カイラムへ、ガダルカナル島で敵機確認、戦車タイプ4、動物型6、ガンダム・タイプ3機を確認!これより別同隊へ戻る!!・・・おっと!!」

 

ペーネロペーが攻撃を受ける。戦車タイプの対空砲火だ。モニターを見るとSCともまもなく接敵してしまう。

 

「データ照合!!戦車型はTFA-2 ザウート、動物型はTMF/A-802 バクゥと一致しました!!」

 

この世界のMSは必ずしも人型、というより2足歩行にこだわっていないようだ。

 

「艦長!別同隊はP01の救援に向かう。逃げ切れないとは思わないが、挟撃される形になったからな。被害が出るかもしれない。」
「そうだな。我々もできる限り早くそちらに向かう!」
「頼む。」

 

アムロとの通信を聞いた、バジルール中尉が進言してくる。

 

「司令!ストライクのバッテリーが不安です!!換装することを提案します!!」
「よかろう!!だが換装後はすぐに下がらせろ!!これは厳命させておくことが条件だ!!」
「はっ!!」

 

モニターに目を向けると、前方の敵はすでに後退を開始している。進行方向を考えると、ガダルカナルへは向かわず、戦線を離脱するのであろう。

 

「よし、前方の敵はもういいだろう。各艦へ!!これより艦隊は敵残存水中部隊と交戦しつつ、別同隊と合流するためガダルカナル島へ向かう!!」
「「了解!!」」

 
 

※※※

 

艦隊は一部被害を受けたり消耗したりしたMSの補給を行いながら、ガダルカナル島へ進撃する。
その間に我々はモニターから別同隊の状況を確認する。アムロ指揮の部隊は、SC群に背後から強襲をかける。
特にリゼル隊はコストダウンを要求され、だいぶ簡略化されたと言っても、TMSとしての価値は失っていない。その機動を持って背後から仕掛ける。

 

「対策は取っていたのでしょうが!!」

 

テックス・ウエスト大尉の声が上がる。リゼルは左右に2機ずつ別れてディンのマシンガンを回避し続ける。

 

「そこだ!!」

 

アムロがそこへストライクとともにνが中央から射撃を加える。SC群10機の内、6機が後方のアムロ達に備えていたが、翻弄され次々に火の玉になっていく。ことにアムロの射撃は正確で、リゼルにかく乱される敵を確実に戦闘不能にしていく。

 

「ムゥ!!キラと先に行け!!特にキラは換装する必要があるし、換装後は飛べないのだから、早く陸地に行く必要がある!!到着後は地上戦力攻撃に専念しろ!空はレーンに任せるんだ!!!」
「オーケー!!」
「了解!!」

 

ストライクとスカイグラスパーが中央を突破していく。ペーネロペーは海岸線を低空に飛行して回避している。この様子ならすぐに合流できよう。スカイグラスパー2号機ことA3は、まっすぐその戦場へ向かう。あと1分程度で合流できよう。

#br
「司令、ベアードかソートンのどちらかの隊を先発させてはどうでしょうか。」

 

ウィラーが進言する。確かに、現在のところ別同隊は優勢だが戦力の差は徐々に現れていくはずだ。

 

「そうだな。よし、ベアード中隊を先発させ!!」
「了解!」

 

ベアード隊は1機を整備に待機させ、10機に再編したうえでSFSを吹かせて進発する。一方モニターでは、レーン・エイムが包囲を突破せんとしていた。

 

「あたるものかよ!!」

 

レーン・エイムが自分に対する自信、過信も加味されているが、吐き捨てるように敵の攻撃をかわしていく。

 

「ここで使い切る!!」

 

ペーネロペーから全方位に一斉にミサイルが打ち出される。包囲する敵は回避に追われていく。そこへストライクとスカイグラスパーが到着した。

 

「決めさせてもらう!!」

 

スカイグラスパーがアグニという重火器で地上を掃射する。ミサイルに気を取られていたザウートはまず1機が爆発炎上する。
フラガ少佐とヤマト少尉は集中してザウードを狙う。重火器を保有する機体を先ずは片付けるべきだ。

 

「このおぉ!」

 

ストライクがエール最後のエネルギーでライフルを斉射する。ザウード隊は後退しながら砲撃を加えるが、ストライクの攻撃でもう1機を喪失する。ストライクのバッテリー残量はもうわずかだ。

 

「キラっ!!」

 

ケーニヒ機が到着し、ソードパックに換装を行う姿勢を見せる。その時突如、ブリッツと周囲に人型で一つ目のMSが5機も現れる。

 

「なんだ!!あれは!!」

メランが叫ぶ。

 

「ミラージュ・コロイドという奴か・・・。」

 

ウィラーが何とも言い難い感情を洩らす。画面では必死に回避するケーニヒ機が映る。

 

「艦長!!支援を!」
「そうだな、だが艦砲射撃はケーニヒが避けきれない可能性がある。ベアード隊にミサイル支援をさせ!!」
「了解!!」

 

既に最大射程に到達していたベアード隊から一斉にミサイルが放たれる。A03を追ったブリッツはミサイルを受けて、そちらへと注意が向く。
その隙をつき、再接近したA03はパックを投下させ、ストライクは空中で換装に成功する。

 

「よし!!A3は後退せよ!!」
「司令!!意見具申します!!交戦は禁止したうえで、周囲の策敵はさせていいのではと思います!」

 

コンタリーニ艦長だ。そうだな。

 

「Bell1よりA03へ、後退し周辺の策敵にあたれ!!だが交戦は絶対に禁止する!!敵を見つけたらさっさと逃げろ!!」
「りょ、了解!!」

 

換装に成功したストライクは、自由落下でブリッツに切りかかる。

 

「うわぁぁぁぁぁ!」

 

掛け声とともにソードストライクの主兵装たる対艦刀は振り下ろされた。支援攻撃に気を取られたブリッツは振り向きざまに右腕を切り落とされ、ストライクときりもみしつつ落下した。そこに地上にいた機体が殺到する。

 

「ヤマト少尉を援護しろ!!」

 

ベアードが叫ぶと、彼の部隊は落下地点に殺到するザフトに攻撃を仕掛ける。量産型νを先頭に5機がその周辺に低空で接近する。残りは後方から支援射撃を続ける形だ。

 

その様子を見て、上空で戦っていたイージスが地上に向かう。ブリッツを支援するつもりだろう。ペーネロペーは妨害しようとするが、バスターに阻まれる。ヤマト少尉は起き上がり、バクゥに切りかかる

 

「データ照合確認!!人型はZGMF-1017ジンと確認!!」
「A03よりBell1へ!!南東からディン21機を確認!!こちらに接近してきます!!」
「なに!!」

 

先ほど戦線離脱した連中か。戦力を再編したのか、それとも新手か。いずれにせよガダルカナルの戦場には近づけさせたくない。

 

「ソートン隊をあたらせ!!」
「司令、ベアード隊も新手に回すべきかと。」
「前戦の戦力が著しく低下しないか。」
「少なくとも、新手は1番消耗していないはずです。直掩隊も投入して敵よりも多い兵力を持って対処すべきと考えます。」
「一理あるが、ベアード隊は交戦中だぞ。」
「艦砲射撃で混乱させ、その間に戦力を引き離します。」
「わかった。ルイス!!作戦をジャックに知らせ!!」
「了解!!」

 

オペレーターが連絡する。ジャックの了解と同時に号令した。

 

「よし、各艦海岸部へ砲撃開始!!」

 

艦砲射撃が開始される。海岸部分はたちまち爆発と巻き起こる砂塵で着弾地点周辺は視界をふさがれる。
その隙に低空にいた部隊は浮上を試みするが、1機がSFSを攻撃され落下した。

 

「司令!!」

 

ウィラーが焦りの色を見せる。私は動揺を抑え込めるためにも怒鳴りつける。

 

「落下した機体はアムロに支援させろ、ベアード隊は離脱に専念するんだ!!」

 

アムロとレーン、フラガ少佐は、SC群残存のディンをリゼルに任せ、地上に向かう。だが、残るバスターとデュエルが接近する。アムロはレーンを突進させて、フラガ少佐とともにこれに対応する。

 

「ちぃ!」

 

アムロは牽制としてデュエルにライフルを斉射する。デュエルは腕ごとシールドを吹っ飛ばされながらも、体制を整えつつ反撃する。対してνは回避してジェガンのシールドミサイルをたたみかける。
数発命中してバランスを崩したところでライフルを持ってSFSを打ち抜いた。デュエルはそのまま海中に落下していく。

 

一方でバスターの散弾でスカイグラスパーが被弾し、フラガ少佐は後退する羽目になった。追撃を試みてきたバスターを艦隊はその射程にとらえる。

 

「撃てぇー!」

 

艦砲射撃に捕らえられ、バスターは右腕と両足を破壊されて地表へ落下した。止めを加えようとした時に、投稿信号が打ち出されたため、アークエンジェルにその対処を任せて、艦隊は進撃を再開する。

 

一方、ヤマト少尉は落下したジェガンを助けるべく、包囲している敵機に切り込む。

 

「やらせるもんかぁぁぁ!!」

 

叫んだ直後、突然ヤマト少尉の動きに無駄がなくなる。彼はいつぞやの戦いもそうだが、どこか戦いをためらう節があったが、今の彼にそれがない。
追い詰められたことと、友軍を守るという行動がそうさせたのか。目の前にいたバクゥを真っ二つに切り捨て、包囲を突き崩していく。そこへレーンが到着した。

 

「ふん、たかが2機に袋叩きかよ!!」

 

叫ぶと同時に前にいたバクゥに突進してサーベルで切りかかった。

 

「おいっ!!ここは俺がやるから、向こうから来る赤いガンダムをやってくれ!!」
「了解!!」

 

復唱と同時にヤマト少尉は上空からくるイージスへと向かっていく。そこへνガンダムも到着した。

 

「K03!無事か!!」
「何とか無事です。坊やに救われました。」

 

νは射撃をしながら、下駄にジェガンを乗せ浮上する。

 

「アムロ!!一度戻れ!!それと落ちた下駄は爆破しておいてくれ!!」
「わかった!!レーン!ここは任せる!!キラはイージスを!!」
「はっ!!」

 

νはレーン・エイムの支援を受けつつ、こちらへ後退し始める。

 

「艦長!!後方の敵が後退を開始しました。」
「よし、いけるぞ!!各艦は海岸部へ支援攻撃!!これでなんとかなる!!」

 

艦砲射撃が再び行われ、残存機も殲滅されていき、イージスはいよいよ孤立する。イージスはこれでチェック・メイトだ。そこへヤマト少尉から通信が入る。

 

「ブライト司令!!降伏勧告をさせて下さい!!」
「何を言い出す!!たかが少尉が出しゃばるな!!」

 

ウィラーが声を荒げる。私は戦局全体を確認する。すでに敵軍は潰走しつつある。むやみに撃墜しても詮ないことだろう。

 

「いいだろう。」
「司令!!!」

 

ウィラーが咎める。

 

「だが彼が拒絶した時、こちらは攻撃をためらわん。こちらが視認圏に達するまでに説得しろ。」
「・・・はい!!」

 

ヤマト少尉はオープン回線で通告する。

 

「イージスのパイロット降伏してくれ!!もう勝負はついた!!」

 

イージスから回線が開かれる。私はアスラン・ザラという少年の声になぜか聞き覚えがあった。

 

「・・・捕虜にはならない!!」
「アスラン!!」
「手加減はいらないといったぞ!!キラ!!」

 

イージスがサーベルを出して突進する。ストライクは対応しようと構えてイージスへ向かう。
そこへよほど必死なのか、オープン回線が割りこむと同時に、ブリッツが偽装を解除させて突進させてくる。

 

「アスラン!!下がって!!!」

 

反射的にヤマト少尉は構えていたサーベルをそのままブリッツの腰より下へと、袈裟を切るかの如く動かす。ブリッツは胴体下部を斜めに切り裂かれる形になった。

 

「くっ!アスランっ!逃げて下さい!うわっ!」

 

回線はそこで途絶し、ブリッツはそこで機能を停止させた。回線が途切れるとほぼ同時に、アスラン・ザラは激発した。

 

「ニコルゥゥゥゥゥ!!」

 

叫ぶと同時にストライクへ突進する。

 

「キラ!!!おまえはぁぁぁぁ!!」

 

エネルギーも尽きようというのに、我を忘れたか。

 

「ヤマト少尉!!下がれ!!」

 

バジルール中尉の通信が割り込む。しかしこれでは無理だ。イージスは変形し、大型ビームをストライクに叩きつける。

 

「何故お前はここまでして戦うんだぁぁぁ!!!!」
「くっ!アスラン!!」

 

ビームを受け流すが、その隙に急接近したイージスはストライクを抑え込み、停止する。そしてしばらくするとアスラン・ザラが機体を捨て飛び出した。これは・・・まさか。

 

「いかん、ヤマト少尉!!!今すぐ機体から降りてその場から離れろ!!」
「えっ?」
「早くしろ!!!最優先命令だ!!」
「はっ、はい!!」

 

ヤマト少尉も脱出し、走り出した直後にイージスは自爆し、周囲に爆発が起こる。

 

「くっ!」

 

その光はまぶしく、我々の目をくらます。そして、その後には3機のMSの残骸が残るだけであった。

 

第12話 「ガダルカナルの戦い」end.

 
 

【次回予告】

 

「キラは・・・いい奴だったんだぞ!!」

 

第13話 「アークエンジェルが失いしもの」