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CCA-Seed_427◆ZSVROGNygE氏_21

Last-modified: 2009-10-12 (月) 18:13:05

失いし世界をもつ者たち

 

第21話「真実と正義を求める少年」

 

(前編) Edit

 

オーブ諸島は中央に首都のあるヤラファト島、北西にアカツキ島、南西に軍事施設が集中するオノゴロ島、マスドライバーがあるカグヤ島を東に有している。連合軍は北東から部隊を展開している。
西からは台風が接近していたために、南西から南に掛けてはオーストラリアのザフトに対する警戒から、水上には部隊を展開していないようだ。
ザフトに関しては介入してくることを想定しているのだろうが、こちらにとっては都合がいい。それでも水中にはミストラルを配備し、対潜警戒に努めている。潜水艦の可能性は排除できない。

 

戦闘が始まり既に1時間以上が過ぎた。我々はミサイルの迎撃に終始している。連中は長距離ミサイルの波状攻撃でこちらの防衛力漸減と消耗を誘うつもりなのだろう。
物量にものをいわせた戦法だ。

 

現段階において、こちらに到達してくるミサイルは少ない。だが、北東のアカツキ島と本当のヤラファト島には多数のミサイルが降りかかっている。

 

「全くたいした物量ですな。」

 

先任参謀のトゥースが、ため息混じりに言葉を漏らす。

 

「だが、人的被害を減らしたいのであれば有効だ。」

 

その言葉に先任参謀も頷く。オーブ軍および我々は光学兵器で迎撃する。ミサイルはまだ温存すべきという判断からだ。備蓄があると行っても、連合の物量には抗しきれない。
また、いくら何でも1日そこらで生産できる数など少ない。我が艦隊の背後にあるモルゲンレーテが、補給物資の生産を行っているけれども、生産量は限られる。

 

「艦長!北東方面の主力と思われる艦隊が前進を始めました!!機動兵器も確認!」

 

10時23分、オーブ第1護衛艦隊30隻が、ヤラファト島北東に展開する連合の主力艦隊と思われる35隻の艦隊と艦隊戦に突入した。おそらく水上艦隊の艦隊決戦としては史上でも最大規模の海戦だろう。
第1護衛艦隊は、水上艦隊司令のマツカタ大将が直接指揮を執る。

 

「全艦!!ミサイル一斉射撃!!しかる後に駆逐戦隊を突入させよ!!巡洋戦隊は後方から砲撃!!機動部隊は左右から迂回して挟撃を掛けろ!」

 

提督から命令が発される。指示を見る限り、積極策を採る人物のようだ。第一艦隊から一斉攻撃が行われる。
連合軍は迎撃しつつ、機動部隊を中央から突入させてくる。これでは駆逐戦隊が危険だ。空母と地上基地から発進した機動部隊が、艦隊の両翼から挟撃を掛ける一方で、一部が駆逐戦隊の直掩に付く。

 

「駆逐戦隊は連合艦隊との距離50000で反時計回りに回頭しながらミサイル及び魚雷攻撃をせよ!機動部隊は敵軍機動部隊の挟撃に目標変更!!」

 

連合軍は機動部隊を突入させる一方で、右方向へ転進し単従陣を採る。肉薄を試みたオーブ駆逐戦隊は連合軍スカイグラスパー部隊の攻撃に晒される。スカイグラスパーは爆撃装備に換装されているようだ。
確かにあの機体は、様々な戦闘環境に対応できる優秀な兵器だ。大量で襲来されると、こうも脅威とはな。

 

「第5駆逐戦隊、駆逐艦マツカゼ爆沈します!」

 

初の撃沈艦艇はオーブ側か。機動部隊はSFS搭載のM1と航空機の混成部隊だ。連合軍側はMSを航空ではまだ運用するノウハウがないようだ。スカイグラスパー隊はM1らと激しい戦いに入る。
その間に駆逐戦隊は連合艦隊に攻撃を開始した。もちろん後方では、連合軍艦隊に合わせて左へ転進する巡洋艦隊が攻撃している。

 

この戦線に対して現段階で我々がすべきことはあまりない。私はとりあえず、腕を組みシートに深く座りモニターで友軍の観戦に終始していた。

 

※※※

 

11時30分、北西より20隻の艦隊が、アカツキ島の防空圏に進入してきた。こちらは第2護衛艦隊の第1戦隊10隻が防衛を担当している。
数で明らかに不利である。地上から機動部隊が発進し、艦隊からも砲撃が開始される。対して連合軍は機動部隊を発進させてオーブ艦隊に迫る。

 

「艦長!!北西方面の機動兵器群に新型のMSを確認しました!!空中を飛んでいます、浮遊可能な模様です!!数は3!型はそれぞれ違います!!」

 

新型の投入か、おそらく型式が違うということなら試作機だろう。遊撃戦力として運用するなら、それなりの機体のはずだ。
かつてのホワイトベースやアーガマのように。それにしても単独浮遊可能とはな。

 

「データ採っておけ!」
「了解!」
「艦長!ハルバートン副司令から電文!『新型機ハG計画の後継機ト思ワレル。残念ナガラ詳細ハ不明』以上です!」

 

なるほど、ストライクのデータ等は渡っているはずだからな。当然後継機の開発は行っているだろう。提督は左遷されていて後継機の開発にはコミットできなかっただろう。
それでもこうやって連絡を入れるのは、信頼醸造を培う機会を増やすためか。
オーブ軍は艦隊を単従陣で進入する艦隊の側面攻撃を試みさせ、機動部隊を敵の正面から攻撃させる。第2護衛艦隊司令カトウ中将が号令をだす。

 

「機動部隊と同時攻撃を掛ける!!全艦攻撃開始!!」

 

艦隊と機動部隊から一斉に攻撃が開始された。接近中の航空機や、前衛の駆逐艦に被弾する。

 

「連合軍駆逐艦1隻撃沈、2隻に被弾の模様!!」

 

連合軍側はひるまず反撃する。ビームとミサイルの雨が護衛艦隊に降り注ぐ。オーブ側は回避と迎撃を試みるが、自分たちよりもはるかに優勢な戦力による一斉攻撃の前に次々と撃破されていく。

 

「巡洋艦アサマに直撃!!機関出力低下、艦隊速度維持できません!!」
「駆逐艦サザナミ大破!総員退艦の許可を求めています!!」
「駆逐艦アマオト、機関に被弾!誘爆します!!」

 

オーブ第2護衛艦隊の第1戦隊は最初の反撃で戦力の3割を喪失する羽目になった。カトウ中将の命令が再び出される。

 

「ひるむな!!第3ミストラル部隊に連絡!!魚雷攻撃を開始せよ!!」

 

第1戦隊が攻撃を受ける間に、アカツキ・オノゴロの間に配備されていた第3ミストラル部隊が、海中より接近し魚雷攻撃を掛ける。
20機のミストラル改から2本ずつ、合計40本の魚雷が連合艦隊へ向かう。連合艦隊は回避行動に入るが、回避しきれず2隻が撃沈し、3隻が被弾した。

 
 

「ミストラル改、使えますな。」

 

メランがつぶやく。

 

「小回りが利くからな、水中では有利だ。連中がアクアジムみたいなものを投入してこなければ、十分戦力になる。」

 

そこに軍令本部から、アカツキ島の放棄命令が出された。

 

「第1戦隊に後退を開始せよ!!予定通り島の空港及び軍事施設の部隊に撤収命令!!第1戦隊は損傷艦を下がらせ、ロンド・ベルの左翼に展開せよ!北西艦隊は第3ミストラル部隊と機動部隊で対応する!!」

 

軍令本部総長ハシモト大将が号令する。戦力に圧倒的な差がある以上、可能な限り戦力を集約して戦う必要がある。
そこで、我々はアカツキ島の全市民をヤラファトに疎開させた上で、初戦でダメージを与えたら即座に島を放棄して後退することにした。
ヤラファト―オノゴロラインで戦線を形成するのである。もちろん島を利用されてはかなわないので、防衛施設は全て爆破する。それも連合軍が上陸したところを計らって、である。
但し、地下施設は入り口の爆破に止めるそうだ。しかし、連合軍の機動部隊はこちらの想定よりも迅速に島の上空に到達してきた。

 

「いかん、連合の進撃速度が速すぎる!これでは空港の撤退が間に合わないぞ。」

 

トゥースが危惧する。確かにこのままでは、撤収前に空港を押さえられてしまう。

 

「こちらの機動部隊はどうした?」

 

私の問いに副官のレーゲン・ハムサット少佐が、部下を押さえて答える。

 

「どうやら敵の新型機に苦戦している模様です。SFSなしで空中戦闘可能のようですからね。もともとこの領域にはM1の配備数も少ないということもありますが。」
「だが、それでも脆すぎるな。」

 

アカツキ防衛に配備された機動部隊は、既に半数が撃墜されている。新型機の活躍が大きいが、味方MSの練度が低いようにも見える。

 

「援護を出しますか?」

 

少佐が確認してくる。確かにオーブ軍だけに任せてはおけない状況ではある。

 

「ふむ、だがアカツキ島の失陥は既定路線だが。」
「しかし軍事施設、とりわけ空港が無傷で占領された場合、増援や補給部隊の拠点となります。」

 

先任参謀が提案する。確かにその場合、一番その攻撃の矢面に晒されるのは我が艦隊だ。不利な状況は避けたい。しかし施設を爆破した上で降伏させればいいのではないか。

 

「だが、爆破すればいいのではないか。」
「もちろん、それはそうです。ですが、2点支援することに意義があります。第1に支援をこちらから提案することで、オーブ側から政治的な信頼を得ること。
第2に、敵新型の戦闘データの入手と敵の戦力の確実な削減です。友軍よりかは確実でしょう。投入戦力は遊撃部隊とリゼル部隊とします。これは作戦参謀たちの統一見解でもあります。」

 

ふむ、第1の利点は戦後どれだけの布石になるかは疑問ではあるが、無駄ではあるまい。第2の点はデータもさることながら、どのみち北西艦隊がオノゴロに向かってくることを想定すれば、戦力を減らすことに意味はある。

 

「よかろう、遊撃部隊とリゼル部隊を出す!!ウエスト隊とタイラント隊を先に出せ!!軍令本部にも連絡を入れろ!」
「了解!!」

 
 

ちなみに我が艦隊後方のオノゴロ島にある軍令本部では、カガリ・ユラ・アスハがウズミ代表の名代として元帥号を与えられて最高司令官代行となっている。
正直に言って悪い冗談に聞こえるが、全軍の指揮はハシモト大将が行っているので飾りというわけだ。
カガリ嬢も自分の立場は把握しているようで、用兵策には口を出していない。カガリ嬢は支援の連絡に顔を明るくしていた。命令は迅速に通達され、2分後ラー・カイラムのカタパルトから、リゼル部隊が発進していく。

 

「リゼルR7、ロバート・マクニール出ます!」
「リゼルR8、ジュリア・ニール行きます!」

 

若手から順次発進していく。私は両隊長に指示を徹底した。

 

「タイラント、ウエスト両隊長には目的は先ほど話したが、あくまで主目的は支援ということを忘れないでくれ。無理をする必要は決してない。」
「わかっています、艦長!ダニエル・タイラント、R2出る!」

 

タイラント大尉が軽快に答えて出撃する。ウエスト大尉は黙って頷き発進した。続いて遊撃部隊が出撃する。本艦からνガンダムとペーネロペー、アークエンジェルからはフリーダムとストライクだ。
ちなみにストライクはSFSに乗る。またケーニヒ准尉はまだ完全な状態ではないこともあり、出撃はさせない。

 

「アムロ、無理はしないでいい。ともかく友軍が撤退するまでだ。30分から1時間程度時間を稼いでくれればいい。」
「わかった。ガンダム!行きまーす!!」

 

遊撃部隊4機と8機のリゼル部隊は編隊を組んでアカツキ島へ向かう。アカツキ島上空では、既に航空機は壊滅しつつあり、M1も残り3機という状況だ。
海岸部では強襲揚陸艦と上陸艇が殺到しつつある。ミストラル部隊が上陸を狙うも、連合軍駆逐艦隊の対潜攻撃に阻まれ思うような戦果を上げられていない。

 

「リゼル隊は突撃して牽制しろ!」

 

アムロの命令で、リゼル隊は連合軍スカイグラスパーを中心とした航空機部隊を急襲する。突然の攻撃に晒された航空機部隊は、隊列を乱していくつかの機体は火球と化す。

 

「今だ!レーン!キラ!!」

 

続けてアムロとレーン、キラがそれぞれ広域攻撃を開始する。フリーダムはレールガンとビームで、ペーネロペーとνはミサイルでそれぞれ攻撃を行った。
νガンダムには今回の作戦からファンネルが装備されるべき場所に、ペーネロペーと同規格のミサイルを取り付けている。これはファンネルの代用措置で、むき出しのミサイルを装備するなど危険とオーブ技術者には指摘された。
しかし整備班長のシェリトン少佐と主任のトラジャ大尉がアムロ中佐なら、第一撃を加えるには有効だとしてごり押し、あるいはメカニック狂の趣味ともいうべきか、取り付けたのである。
アムロは苦笑いをしたが、運用に幅が広がることには賛成だったので容認したので採用され、このたびの投入となった。
連合軍航空機部隊はこの第2次攻撃で完全に展開戦力の半数近くを失い、瓦解した。そこにフラガ少佐とクワトロ大尉がトドメをかける。

 

「落ちろ!!」

 

何とか回避した航空機に容赦なくビームを斉射する。さらに反転してきたリゼル部隊が後方から襲いかかる。瓦解する連合軍部隊を見て、私は遊撃部隊の戦力充実を頼もしく感じた。連合軍にしてみれば悪夢にも等しいだろう。

 
 

「これは頼もしいものだな。」
「ええ、小規模な部隊なら彼らだけで何とかなってしまいますな。」

 

メランも感嘆して応じる。私は感嘆もそこそこに状況を確認した。

 

「アカツキ島の状況は!」
「北西のアメミヤ海岸と北東のサミダレ海岸に上陸されました。特に北東部はミストラル部隊の迎撃がカヴァーできず、無傷で上陸されつつあります。揚陸艦からはMSも確認しました。パナマで投入されたダガーです!」

 

部下の報告が挙がる。2つのポイントからの揚陸か。第3ミストラル部隊では連合北西艦隊の対応関係からも、北東部には手が回らないだろう。

 

「迎撃はどうなっている!?」
「トーチカ群は人員を後退させ、アカツキ島南方の空軍基地で管制して砲撃をさせています。しかし成果は芳しくありません。トーチカ群はMSの攻撃によって撃破されつつあります!」
「だろうな。オーブの機動部隊はどうした?」
「全機喪失しました。敵の新型はかなりの火力を有しています。」
「なるほど、よし!リゼル部隊は北東の上陸部隊を妨害させろ!遊撃部隊は敵の新型を牽制せよ!」
「了解!!」

 

リゼル隊が北東へ向かい無傷の揚陸部隊を、遊撃部隊はトーチカを攻撃している敵の新型とMS部隊と戦闘に突入する。

 

「フラガ少佐とクワトロ大尉はダガーを!新型は俺とレーン、キラで対応する。」
「「了解!」」
「オーケー!」
「わかった!」

 

遊撃部隊はアムロの指示で散開する。レーンはTMSに攻撃をしかける。

 

「新型だが何だろうが!!」

 

ペーネロペーがラックからミサイルを2発撃ち出す。回避行動を取る敵機に、メガ粒子砲を打ち込む散弾だろう。ところが、敵機は自らミサイルの方向に突進した。

 

「なんだと!」

 

おそらくフェイズシフト装甲なのだろう。レーンは不意を突かれる形となる。TMSは変形したのち、私やアムロに場違いにも懐かしさを感じさせる兵器を打ち出した。

 

「ハンマーだとぉっ!!」

 

ペーネロペーはドリルが回転するかのように空中で回転してハンマーをよける。なるほど、SFSで浮遊する機体では、熟練パイロットでなければ回避できない。なるほどM1部隊では荷が重い。

 

「くそっ!!」

 

レーンは毒づきながらも、反撃に移る。ビームライフルで牽制してメガ粒子砲の射程に誘い込むつもりだ。しかしTMSは変形して高速戦闘態勢に入る。

 

「ちっ、いやな感じがする敵だ!!」

 

変形したTMSに対して、ペーネロペーも高速戦闘態勢に入る。高速戦闘なら、ペーネロペーの方が遙かに有利だ。しばらく間合いの取り合いを行う。

 
 

一方、νガンダムに目をやる。どうやら空中戦闘ができない機体に攻撃を仕掛けている。アムロもまた背中に残ったミサイルで攪乱を試みていた。アムロはレーン以上に相手に違和感を持ったようだ。

 

「なんだ!?パイロットに迷いがない?この感覚は!!」

 

アムロはSFSを加速させ、距離を詰める。対して大型の火砲を備える新型機は、ミサイルが1発直撃するが、動じた様子もなく後退する。その主兵装から接近戦が不得手か。

 

「このぉ!」

 

アムロはビームと白く塗装されたジェガン・シールドからミサイルを斉射する。対して新型機は火砲を放ち、アムロはそれを難なく交わす。
だが新型機はそこにシールドからビームを放ち、次いで大型ビームを胴体中央から打ち出したたみかけてきた。

 

「よくもそう武装している!」

 

敵のシールド・ビームをジェガン・シールドで防ぎ、大型砲は下駄を右にずらして受け流してみせる。さすがだな。だが、これでアムロの攻撃は不発に終わる。一旦上空を高速で通過したアムロは、反転して再度攻撃を試みる。

 

「やはりこの感覚は・・・そういうことか!」

 

アムロはそうつぶやくと、下駄をまるで宇宙にいるときのように上下左右斜めと動かし、攪乱させつつ攻撃を掛ける。照準を定めさせないつもりだ。新型機も、大型火砲の攻撃はあきらめてシールド・ビームとバズーカで攻撃を掛けてくる。
普段のアムロなら下駄をぶつけるだろうが、補給を考慮して自重している。もちろんこの戦闘が時間稼ぎであるということも踏まえているからだろう。
けれども攪乱によって優勢かと思われた矢先に、フラガ少佐とクワトロ大尉の攻撃を突破したダガー部隊が、νを背後から攻撃し始めた。挟撃される形になったので、アムロは一度大きく後退して距離を取って挟み撃ちを回避する。
それによって挟撃は避けることができたものの、新型機に再び大型火砲の使用を許す形となってしまった。アムロはそれを回避して、ダガー部隊に攻撃の矛先を替える。もちろん適度に新型にも攻撃して他の2機に対して援護をさせない。

 
 

フリーダムはというと、死に神のような鎌を持つMSと戦闘している。ペーネロペー同様に双方とも空中戦可能な機体のため、海上で戦闘している。
キラだけでなく私を驚かしたのは、その新型機の防御能力である。フリーダムがビーム攻撃をしたところ、ビームが偏向したのである。

 

「ビームが・・・曲がる!?」

 

キラが戸惑う。無理もない。戦闘艦橋でそれを確認した私やオペレーターの何人かも驚いているのだ。しかも新型は、自らの攻撃するビームすら曲げて見せた。

 

「馬鹿な!!リフレクターなしにビームが偏向するのか!!」

 

驚く我々に気付いて、モニターに目をやったメランが叫ぶ。メランの叫びを咎めるものはいない。私自身も驚きだ。これは量産化されたら脅威だぞ。

 

キラは突如曲がったビームをシールドで防ぐが、シールド自体は右手首と共に吹っ飛ばされた。

 

「くそ!これなら!!」

 

キラは回転しながら、腰のレールガンを撃ち込む。ところがレールガンの直撃にも決定的なダメージは与えられない。なんて防御力だ。再び偏向ビームを放つが、今回はキラも想定していて、回避に成功する。

 

「ヤマト少尉が戦う機体は、単独で立ち向かうには厳しいと思われます。クワトロ大尉なり、フラガ少佐に援護させるべきです。」

 

トゥースが進言してくる。確かにそうだ。キラも撃墜されるほど劣勢というわけではなく、十二分に対応しているけれども、決定打が加えられていない。
おそらくあの機体の撃墜には近接攻撃が必要だろう。キラもそのことを考えているのだろう。接近を試みるが、誘導ビームに苦戦している。だからこそ支援攻撃が必要だ。

 

やはりいくらアムロたちとはいえ、1対1では圧倒的な優位とはいえないか。リゼル隊はというと、どうやら北東に上陸した部隊に襲いかかっていた。
だが、連合軍の戦力はMSを除いては工兵中心の部隊で抵抗が弱かったので、予想以上に損害を与えている。そこに新たな報告が挙がる。

 

「艦長!!東部のオニガハマ海岸に揚陸部隊を確認!!」
「索敵班!!どこを見ていた!!・・・時間差による揚陸か、よくやる。撤退状況はどうか!?」
「既に7割程度が後退しました。アカツキ島の基地司令部は北西海岸部のトーチカは自爆させています。」

 
 

これ以上の戦闘は無意味か。少なくともMS以外の航空戦力は排除し、艦隊にもミストラルが少なからず打撃を与え、揚陸部隊にも出血させた。
目的は達したと言って良いだろう。だいたいこの段階までにオーブ軍はミストラル部隊が奮闘するも、オノゴロやヤラファトからの支援がないことにも不満を覚える。我々がこれ以上消耗する理由もなかろう。

 

「頃合いだな・・・。」
「小官もそう思います。」

 

先任参謀が同意する。だが、あの新型機が追撃してくる可能性は無視できない。バッテリーで時間制限があるとはいえ、楽観は禁物だ。
リゼル隊で後方から攻撃させ、遊撃部隊を引き離させるか。私が思案していると、新型機は突如後退を始めた。しめた!!

 

「今だ!!遊撃部隊とリゼル隊は後退しろ!!」
「追わなくていいのか、ブライト?」

 

私の指示に、アムロが確認してくる。

 

「そうだ!これ以上の戦闘は無意味だ!!連中の新型も体勢を立て直すために後退している!それに合わせてこちらも後退せよ!!」

 

その言葉に、レーンとキラはそれぞれ別の反応から反対意見を述べた。

 

「司令!!いまなら追撃して打ち落としてみせます!!」
「司令!!まだ撤退中の部隊があります!援護させてください!!」
「レーン!!まだ後がある!!無理に追撃する必要は無い!!ヤマト少尉!!撤退の支援はこれまでの戦闘で十分行った!!必要は無い!」
「ですが、このままでは撤退している人たちが!」
「彼らだって覚悟はしている!!それに君の機体は損傷しているのだ!オノゴロ島攻撃前に早く直す必要もある!!戻るんだ!!これは命令だ!!」
「・・・はい・・・!」

 

唇をかんでキラはその命令を受け入れる。アムロは直ちに信号弾を上げて後退を開始した。12時25分のことである。その15分後、最後の撤退部隊は追撃に遭ってしまった。
そのため最終便の航空機は全て撃墜され、搭乗していた待避中の基地司令部要員は全員戦死した。

 

12時55分、軍令本部は自爆システムを作動させ、アカツキ島の軍事施設を破壊した。こうしてアカツキ島の攻防戦は、連合軍に少なからず損害を与えたものの、全体の戦局としては敗退に終わったのである。

 

(後編) Edit

※※※

 

14時10分、カグヤの北から新たに20隻の艦隊が防空圏へと現れる。こちらはトダカ1佐率いる第2護衛艦隊の第2戦隊10隻が迎撃する。戦隊が正面から迎撃する一方で、第2ミストラル部隊が側面から攻撃を掛ける。
このミストラルの奇襲は成功し、優位に戦闘を進めることができた。こちらの戦線は15時58分には連合艦隊は4割の被害を出して後退した。オーブ側は第1ミストラル部隊が3割、水上艦隊に2割の被害であった。

 

また14時34分、南西方向よりカグヤとオノゴロの間を狙い潜水艦隊が進入して来たが、第5ミストラル部隊とオーブ潜水艦隊の迎撃で完全に撃退することに成功した。
ミストラル部隊と潜水艦隊は、連合潜水艦隊を完全に包囲した上で、魚雷の飽和攻撃を敢行したのである。こちらは包囲攻撃が成功したものの、撃沈寸前の反撃で潜水艦2隻、ミストラル3機を失った。
第5ミストラル部隊は補給のため、オノゴロ島に後退し、潜水艦隊は警戒のため海域に待機する。

 

15時5分、北西より大挙して輸送機部隊が進入してきた。ミストラル改の偵察や残留して情報収集と後方攪乱に残っている部隊から、映像が入ってくる。

 

「やられましたな。」

 

先任参謀が悔しさをにじませる。モニターには、着陸していく輸送機と短時間で滑走路を修復した連合軍工兵部隊と輸送機から降りてくるMSが映る。
連中はアカツキ島を迅速に確保して、そこを拠点にオーブ諸島制圧を展開するつもりだ。工兵部隊主体の揚陸で気付くべきだった。こちらの戦線縮小は想定の範囲内ということか。
加えていうなら、第1護衛艦隊と交戦する艦隊は主力に思わせた陽動で、今後は北西からの攻撃が主軸となるだろう。
連合が滑走路の修復姿勢を見せたことに慌てたオーブ軍令本部は、第2護衛艦隊と第3ミストラル部隊を再突入させたが、逆に反撃に遭い、戦力の半数を失う形になった。
我々もリゼル隊を再突入させ、一度は空港施設を破壊した。だが連合軍は防空態勢を整え、2度目の攻撃を断念せざるを得なくなった。
その対応策としてスミス中尉がペーネロペーの強襲を提案したけれども、防空施設が徹底して強化されたことと、待ち伏せの可能性を危惧された。
また連合軍の増援が本格的に到着したので、実行されることはなかったのである。

 

この連合軍の手際を見て、私は自分を恥じた。連合軍を過小評価していたわけではないが、どこかに異邦人としてのオーバーテクノロジーを持つことで驕りがあったのではないか。
そういう感情におそわれたのである。もちろん錯覚かもしれないが、私は自分自身を強く戒め、次の戦闘に対して姿勢をただして迎えようと決意していた。

 
 

※※※

 

16時00分、連合軍北西艦隊は、輸送機部隊と共にオノゴロ島とヤラファト島に進撃を開始した。
アカツキ島からは、後方から到着した航空機が次々とこちらに向かって発進している。艦隊及び地上施設を爆撃するつもりなのだろう。
さらに偵察部隊から、揚陸艦だけでなく輸送機にもMSが搭載されている報告が届く。おそらく降下攻撃をするつもりだ。敵前での強襲降下とは大胆な作戦を採る男だな。私は一瞬、先に布告をしていた連合軍指揮官ダーレス少将の顔が浮かぶ。

 

北西艦隊は、損傷艦をアカツキ島の港湾に残して13隻でこちらに向かってくる。こちらは第2護衛艦隊とロンド・ベル艦隊で14隻と数の上では互角だ。だが宇宙艦隊が5隻存在しているので、戦力的にはこちらが有利ともいえる。
そのためか第1護衛艦隊と交戦する連合軍北東艦隊は、アカツキ島方面に転進し北西艦隊に合流を試みる。
けれどもその行動は、第1護衛艦隊と水中で待ち伏せていた、第2ミストラル部隊に阻まれている。これで敵の戦力集中は一時的でも防げたか。私は少し安堵する。

 

連合艦隊対して、艦隊は左翼に私が指揮する宇宙艦隊、右翼にオーブ第2護衛艦隊、中央にハルバートン提督の水上艦隊を布陣し、その両翼に機動部隊を展開して迎撃する。
しかし、混成艦隊である上に右翼のカトウ提督は私より階級も高いため、右翼の機動部隊も含めて指揮下にはない。そのため連携が不十分な状況で迎え撃つ羽目になった。

 

「全艦!!一斉射撃!!オノゴロに向かってくる上空の敵をたたき落とせ!!」

 

艦隊からの攻撃は、露払いに来襲した航空機部隊に放たれ、その多くが火球と化す。

 

「第2次斉射は艦隊へ攻撃!!その後は各個に目標を撃破せよ!連中は輸送機からの降下も狙っているようだ。攻撃はそれを優先して行え!!機動部隊は、各指揮官の判断に任せる!第3ミストラル部隊は艦隊を攻撃!!」
「司令、後方に配置している、第4ミストラル部隊も投入しませんか。」

 

第4ミストラル部隊は、対ザフト及び潜水艦隊警戒のためにオノゴロ島南西に配置されている。確かに第3ミストラル部隊で戦闘可能な機体はこれまでの戦いで6機まで減らされている状況だ。
だが、現状で前線投入されていない部隊については、オーブ軍令部に伺いを立てなければならない。

 

「その辺りは軍令部に君が提案してみてくれ、私の承認は貰っているといってな。」
「了解です。」

 

先任参謀が軍令部と通信を始める。私は来襲する敵に注目する。連中は確実に戦力が減少している第2護衛艦隊に攻撃を集中するだろう。こちらは時計回りに動いて半包囲する作戦である。だから左翼に機動性の高い宇宙艦隊を配備したのだ。

 
 

「敵航空機群、右翼に向かってきます!艦隊もヤラファト島へと進路を取りました!」
「よし!半包囲作戦を開始する!!上陸を許すな!!」
「艦長!!例の新型です!!2機がオーブ艦隊に急速接近!!!」
「こちらが側面を突くまでの時間くらいは持たせられるだろう。今度はM1中心の直掩部隊なのだからな。」

 

しかしその期待は裏切られ、直掩部隊は突破される。

 

「右翼直掩機はなにやってんの!!」

 

私は思わず指揮下にない部隊に対して指示を出す。

 

「数の有利を生かして包囲しろ!!」
「間に合いません!!」

 

新型の2機はさながら特攻するかのごとく、右翼艦隊を急襲した。死に神型がM1部隊を偏向ビームでなぎ払う。
そしてトリのような漆黒のTMSが、対空砲火をはじき返して接近し、単従陣の戦闘にいた旗艦に対してハンマーを打ち込む。第2護衛艦隊旗艦の艦橋は完全に押しつぶされた格好だ。

 

「第2護衛艦隊旗艦フソウ艦橋に直撃!!司令官のカトウ中将を含め艦橋いたものは全員戦死の模様!!!・・・いま爆沈しました!!」

 

何て様だ。もう少しくらい押さえて見せろ。私は友軍にいらだつ。これでは右翼から戦線が崩壊する。いや、すでに右翼は壊滅しつつある。
その方向に輸送機と揚陸艦が一斉に向かう。オノゴロよりもヤラファトに橋頭堡をたてることを優先したようだ。陸上戦力の攻撃を受けながら、ヤラファト東部のシラユミガハマ海岸に最初の揚陸艦が突っ込む。

 

「主砲は輸送機を打ち落とせ!!遊撃部隊を急行させろ!!ペーネロペーとフリーダムは出せるか!?」

 

「あと5分待ってください!!」とトラジャ大尉。
「あと3分待ってください!」とラミアス中佐。

 

「わかった5分待つ!!先に展開している3機の遊撃部隊で右翼を立て直す!!アムロ!!かまわないから右翼残存部隊はおまえが指揮を執れ!!
戦線を立て直す!!予備兵力を投入するぞ!!ルイス!!キルケー部隊に連絡しろ!!オノゴロを発進して、ヤラファトの東部海岸に揚陸する部隊の側面を攻撃させるんだ!!」
「了解!!!」

 

そして私はいらだちも隠さず先任参謀に怒鳴る。

 

「先任参謀!!事後承諾となってしまったが、改めて軍令部に崩壊しつつある右翼の指揮権をこちらに回させるよう伝えろ!!!指揮系統を再編しないとどうにもならん!!」

 

軍令部は多少逡巡したが、カガリ嬢が一喝してオノゴロ領域のオーブ実戦部隊指揮権を暫定措置であるが、私に与えられることになった。こういうとき、少女の純粋な気持ちは時として有益である。
私は直ちに右翼残存艦隊をハルバートン副司令の部隊に合流させ、同艦隊を単従陣で反転させ、上陸部隊と平行する形に展開させ砲撃させた。加えて後方配置の第4ミストラル部隊も戦線へ投入させることにしたのである。

 
 

そしてアムロは、混乱していた右翼オーブ軍M1部隊を指揮下に入れたうえで、上陸した部隊に北から攻撃をかけた。
ちょうどキルケー部隊と挟撃する形になる。防衛するオーブ陸軍と併せて半包囲攻撃を行っている。

 

連合軍新型機は、一度後退した上で空戦できない機体を伴い戦線に復帰してきた。そこに報告が挙がる。

 

「ペーネロペー、フリーダムが発進可能と連絡あり!!」
「出させろ!!遊撃部隊に合流させ揚陸を阻害させ!!」

 

命令を受けすぐに両機がそれぞれの艦から飛び立つ。海岸には大型揚陸艦が3隻到着し、MSと歩兵が展開しつつある。この上陸は防ぎたいな。
だが砲撃で撃破した輸送機は大爆発するものもあれば、胴体着陸をして何とか戦力を着陸させようとする部隊もいた。なかなかどうして気骨があるな。
思わず感嘆を覚えたが、楽観できる状況ではない。こちらの攻撃を潜り抜けた連合軍は激しい戦闘の中で、ヤラファト島西部の海岸にとりつくことに成功したのである。

 

17時23分、ヤラファト西部の海岸で両軍の機動部隊は衝突することになる。

 

※※※

 

我が艦隊が北西艦隊の戦力を確実に減らす一方で、ヤラファトの海岸では機動部隊の攻防戦が続いている。

 

「後方から強襲を掛けるぞ!!全機突入せよ!!リゼル部隊はジェガンの花道をあけろ!!」

 

ソートン中佐の指揮するロンド・ベル主力部隊は、リゼル部隊がまず先行して攪乱攻撃を行い、次いでジェガン部隊によるミサイル飽和攻撃を後方から仕掛けた。
一瞬ではあるが揚陸部隊は包囲攻撃に晒されたのである。その攻撃に連合側は防御を固める。

 
 

「いまだ!!デステ大尉!!密集した敵集団に攻撃しろ!!特に機動兵器と重火器に集中攻撃するんだ!!」

 

アムロの指示で挟撃する部隊は、主力部隊の強襲で防御するために密集した部隊に集中砲火を加える。
連合軍も果敢に反撃し、強襲した部隊のうち、3機がSFSを失う形となった。その機体群は地上に着地して、オーブ地上軍と共同で攻撃する。

 

「セネットを向かわせろ!!降りた部隊の指揮を任せる!!降下後は基本的に中長距離からの攻撃に終始させるように伝えるんだ!」
「了解!!」

 

セネット大尉はジェガン部隊で、ベアード少佐の次席指揮官である。ジャックをおろしてもよかったが、空中の主力部隊に止めておこうと考えた。オペレーターが報告する。

 

「艦長!!オノゴロ北東から新たな艦隊を確認!!」
「何だと!!」

 

モニターで戦場全体を確認する。艦隊が北東方向から進撃している。確かに主な戦線が西部に移ることで、ヤラファトの北東部は手薄になっていた。連合軍はどの程度の戦力を投入する気なのだ。

 

「これは・・・一度カグヤ攻撃に失敗して後退した戦力が、防空圏の外に出てから再侵入してきたのでしょう。後退した戦力と、数が一致します。」

 

なるほど、先にヤラファトに橋頭堡を確実に築く算段か。それに北東の攻撃は失敗しても、いま西部に投入しているオーブ機動戦力の一部は迎撃のために転進しなくてはならない。実際にオーブ軍の一部は転進を始めた。

 

「第2機動部隊!!北東の迎撃に回れ!!第1艦隊も転進しろ!!北東艦隊の合流阻止は第2と第3、第4ミストラル部隊で行う!!」

 

ハシモト大将が指示を出す。こちらの戦力をあてにしているのだろうが、される方はたまったものではない。そうぼやきたいところだが、確かにこれまでさんざん世話になったことも事実だ。私は頭を振る。

 

「旗艦艦隊は前進して敵艦隊を圧迫する!!水上艦隊は現行の任務を維持!」
「了解!!」

 

艦隊は南西方向から、前進して連合軍北西艦隊に圧力を掛ける。これで上陸を支援する北西艦隊を北東方向へ向かわせる。艦隊喪失を避けた北西艦隊はこちらの期待通りに後退を始めた。
この間に連合上陸部隊をどうにかしなければならない。艦隊はアカツキ島からの航空機を迎撃に充てる。

 
 

「よし!!前方から飛来する航空機群を打ち落とせ!!!」

 

そして遊撃部隊が再び新型に攻勢を掛ける。アムロはM1部隊をフラガ少佐に任せて、先ほど戦った新型機に攻撃を加える。

 

「シャア!!援護してくれ!!」

 

アムロがクワトロ大尉とタッグを組む。SFSで回り込みながら距離を詰め、火砲の目標を攪乱する。そうすることでその火力も前線に投入できないよう試みているのだ。

 

「やってみるさ!!」

 

ドレッドノートが前方から射撃を加える。そこに反撃を加えようと一緒射撃を行う。そのタイミングを狙い側面から、νガンダムが一気に近接攻撃にかかる。
新型機は気付くが対応しきれない。ドレッドノートがその隙も与えずライフルで攻撃を加える。

 

「このぉ!!」

 

新型機は背部から伸びる砲身とバズーカをサーベルで切り落とされる。アムロは、そのモーションからSFSを低空でさながら遊園地にあるコーヒーカップのごとく回転して見せ、射撃体勢に入る。
そこに連合軍ダガー部隊が間に入り、味方を守ってみせる。アムロはその姿勢から射撃を行い、間に入ったダガー2機を撃破した後に間合いを取り直すために後退した。新型機は味方の支援攻撃を受けつつ、撤退していく。

 

キラは再び死に神と対峙した。彼は死に神型を避けようとしたが、鳥形はペーネロペーに攻撃してきたのである。鳥形はまるで速度競争をするかのごとく、ペーネロペーに食いついている。

 

「ふん!このミノフスキークラフトのマザー・マシンに空中戦で勝てると思うな!!」

 

敵のある種の挑発に対して、闘争心に火が付いたようだ。レーンは速度を音速近くに上げて、一気に追い抜き鳥形の進行方向の前に回り込む。
そして進行方向の正面からミサイルを一斉に撃ちだし、ビームをたたき込む。鳥形は変形してミサイルで隙を見せることを避けようと、一気に接近してハンマーを打ち込もうとしたが、レーンの射撃が命中してシールドごと右腕が吹っ飛ばされる。

 

「待避などさせん!!!」

 

レーンは追い込もうとするが、そこへ北西艦隊からの支援攻撃が行われて、とどめを刺し損ねる。レーンは舌打ちして悔しがる。

 

「このまま追撃してもいいが・・・。」

 

レーンはそうつぶやいたが、フラガ少佐の部隊に対して支援攻撃するために海岸部へと戻ってくる。

 
 

一方フリーダムは、強固防御に対して接近を試みるが、地上の連合支援攻撃などに阻まれうまくいっていない。

 

「くっ!!何とかしないと!!」

 

そこに、連合軍の新型機に支援を行っていた部隊が爆発した。ラー・ザイム機動部隊のジェガン隊が地上に攻撃を加えたのだ。そのうち2機はフリーダムの両脇に付く。

 

「坊や、ガダルカナルの借りを返しに来たぜ!!」
「あたしの可愛い部下が世話になったからね!!援護するよ!!」

 

ラー・ザイム機動部隊隊長のキョルショー大尉と、ガダルカナルでキラに助けられたゴードン・グリーン中尉だ。
ソートンの判断か、やってくれるな。私は笑みをこぼす。キラも同様だ。顔をほころばせうれしそうに答える。

 

「はい!!ありがとうございます!!」
「可愛い顔してくれるわね、後でキスさせてあげるわ!!あたしの足にね!!ゴードン!あたしがミサイルで仕掛ける!おまえは右からだ!」
「了解隊長!!せめてホッペといった方がもてますよ!!」

 

赤く照れるキラをよそに、そういうとキョルショーとゴードンは、挨拶として2機で攻撃を仕掛ける。シールドからミサイルを撃ち出し牽制を掛ける。さらに右から回り込むグリーンがビームを打ち込む。ビームとミサイルの同時攻撃か。

 

「「これならどうだ!!」」

 

死に神型は同時着弾も防いでみせる。

 

「全くなんて機体だ!」

 

グリーンが嘆く。新型が反撃してくるが、偏向を想定しているので、大きく回避行動を取る。さらにビームを発射しようとする新型に、フリーダムが攻撃する。

 

「ともかく攪乱するしかないね、坊や!!あたしとゴードンで攪乱するから、接近して打ち落としな!!」

 
 

やはりこの機体が一番強力のようだ。ジェガンが攪乱攻撃しつつ、フリーダムが接近を試みる。
私は彼らに対する連合軍の横槍を如何に防ぐべきか思考を巡らす。そこにオペレーターが振り向き声を上げた。

 

「艦長!!東部からコード不明の機体が急速接近中!!」
「なんだと!!連合軍の増援か!?」

 

モニターには、まっすぐ南東方向から、ロンド・ベル宇宙艦隊と水上艦隊の合間を縫って進入してくる機体を確認する。

 

「まずいな。」私が声を漏らす。
「警戒するよう前線部隊に伝えろ!」先任参謀が怒鳴る。

 

ちょうどその時、モニターではフリーダムが攪乱の支援で接近して攻撃を仕掛けるところであった。だがジェガンに放たれたと思われた偏向ビームは、急カーブしてフリーダムの後ろに向かっていく。

 

「坊や!後ろだ!!」
「くっ!!」

 

偏向ビームを背後から受ける直前、正体不明機は僚機の間に割り込みビームをシールドで防いで見せた。

 

「こちらはザフト軍フェイス、アスラン・ザラだ。キラ・ヤマトだな。」

 

艦橋に緊張が走る。アスラン・ザラだと。そして艦橋にいる人物以上に、キラが動揺した。

 

「アス・・・ラン?」

 

そういうと、ザフトの新型機は死に神に攻撃を仕掛ける。

 

「どういうことだ!!ザフトが介入するのか!!」

 

キラが叫ぶと同時にザフト新型機とは別の方向から、死に神に接近する。
キョルショーとゴードンも、敵対する様子もないのでフリーダムを支援し直す。赤い新型機、ガンダムタイプはSFSに乗ってビームを加える。そしてキラに対して叫ぶ。

 

「ザフトの総意ではない!この戦闘は目的のために自分がその権限において行っているだけだ!!」
「何のために!!」

 

死に神型がザフト新型機に斬りつけたところに、フリーダムが死角から斬りかかる。死に神型は斬りかかった態勢から姿勢を戻さず回転して避けてみせる。そこでアスラン・ザラは再び叫ぶ。

 
 

「俺は真実が知りたいんだ!」
「アスラン!?」

 

2人は息の合った連携を見せる。死に神型はさすがに数の不利を見たのか、突然反転して後方に下がり始める。
それと期せずして同時に北西艦隊から信号弾が発射される。それを合図に揚陸部隊が後退を開始していく。一度戦線を立て直す気か。こちらも一度立て直す必要がある。

 

「各部隊に帰還命令を出せ!!向こうの後退に合わせる!追撃はするな!こちらも疲労が蓄積しているからな。」

 

私はそう言うと、ため息を吐いてシートに背中を預ける。そこに画像を見ながらメランが問うてくる。

 

「艦長、あれはどうします?」

 

アスラン・ザラが乗るザフトの新型機を指さす。

 

「ともかく連合軍はアカツキ島へ後退したようだ。彼の方は敵対する様子もないし、彼もこちらに誘導しろ。もちろん警戒は抜くなよ。それと、ハーネンフース大使にも連絡しておけ。」
「了解しました。」
「それと損害状況の確認も急いでな。」
「はっ!!」
「警戒部隊はどうします?」
「そのくらいオーブ軍にやらせろ。」

 

私は若干の毒を含ませてトゥースに伝える。こうしてオーブ諸島を巡る戦いは、ひとまずにらみ合いの状況に移行した。
だが、我々の前にいる赤い機体は頭痛の種に違いないなという確信を私に与えていたのである。

 

第21話「真実と正義を求める少年」end.

 

次回予告

 

「死なせはせん!!おまえたちが未来なんだ!!」

 

第22話「刻の涙と虹の光」