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CCA-Seed_427◆ZSVROGNygE氏_34-3

Last-modified: 2012-04-20 (金) 03:05:11
 

失いし世界をもつものたち
第34話「ボアズ攻略作戦」(後編)

 
 

会議からロンデニオンに戻り、こうして作戦行動に入るまでの日々は、めまぐるしいものであった。
キラの父親の葬儀に始まり、艦隊の再編成と防衛問題や、オーブとの交渉、
アムロとこの世界のエースとの模擬戦闘や、サイコフレームに関する問題など、
作戦準備と合わせるとタイトというほかない日々だった。

 

私は目前の戦場に思考を戻す。
予備兵力という立場であるので、まだ戦線に参加していないからこその所行だ。
それに、考えて見ればこうして後方から戦局全体を眺める機会などなかった。
今作戦は私にとっても学ぶべきものが多くあろう。

 

ボアズ要塞は、周囲を機雷原で囲まれ複雑な空間を形成している。
ザフト側は、その空間を利用して火線を集中させようとしているのだ。
連合軍は、当初核攻撃による機雷原除去も検討したが、
初手から切り札を見せずともビームによる艦砲射撃で十分対応可能と踏んだ。
こちらにはハイメガ砲やローエングリンもある。
だが、相手の意表を突くためにも、こちらは正攻法で進軍しているように見せる必要があった。
そのために先鋒第7艦隊とEEF第2艦隊が機雷の回廊へと進入していく。

 

「第7艦隊が、Nフィールド要塞進入口に進入します」
「艦隊より強行偵察型コスモグラスパーを中心とした強襲偵察部隊が出撃」
「続けてEEF第2艦隊がSフィールド進入口に到達」

 

次々にあがる報告が、メインスクリーンに反映される。
第7艦隊の偵察隊が、機雷の回廊がふたつに分かれている先に、
回廊出口付近に艦隊や機動部隊がいることを確認する。

 

「これは、早急に機雷群を破壊すべきではないでしょうか。
 ハイメガ砲ならば、充分艦隊を進軍できる穴を作れるかと思います。
 突破できないとは思いませんが。先発艦隊の被害が予想よりも大きくなるかと思います」

 

スミス中尉が、明らかになるボアズの戦力配置を見ながら具申する。
一理あるが、このことは総司令部も予想しているだろう。
こちらからハイメガ砲の使用を持ちかけるのもどうかといえる。

 

「強襲偵察部隊とザフト前衛部隊との間に交戦開始を確認!!」

 

スクリーンに視線を戻すと、第7艦隊の強襲偵察部隊が長距離から攻撃を仕掛け、
それに反応したザフト部隊が応戦を開始した。
強襲偵察部隊とは、偵察機能に特化したコスモグラスパーの他に、エールパックで速力を上げたダガーと、
高速エンジンに換装したマルセイユ3世級輸送艦を機動部隊の母艦にし、
その護衛を同じく高速エンジンに換装したドレイク級5隻で編成されている。

 

「偵察部隊が単に調べるだけと思わないことだ。強襲の意味を思い知るがいい」
強襲偵察分艦隊に所属するドレイク級フィリップス艦長イアン・リー少佐はそう述べると、
分艦隊司令の指示の元にミサイル攻撃を開始したという。
ザフト側はその戦力から威力偵察とまでは想定していたが、
一気呵成にその火力をたたきつけてきたことに多少の動揺が見られる。おそらくは新兵の存在だろう。

 

「よし、引きずり出すぞ!適宜攻撃しつつ、平行追撃を誘え!!」
ビラード提督の号令が掛かると、強襲偵察分艦隊は攻撃をしつつ徐々に交代して見せた。
分艦隊は6隻である。対するザフト艦隊は30隻以上が布陣しており、機動部隊の戦力差も大きい。
ザフト側は逆にその戦力差に翻弄されたことに我慢ならないのか、交戦中の部隊が追撃を始める。
しかし、高速改装しているので、したたかな逆撃を食らう。
これには、部隊方針として近接戦闘の絶対回避と長距離攻撃に専念という指示が
徹底されていたということもある。
さらに直径5キロから成る機雷の回廊という空間が、少数部隊に有利に働いていると言うこともあろう。

 

「左回廊突入の部隊が通信傍受!!
 ザフト軍ウィラード隊が追撃を慎むように他の部隊に呼びかけている模様です。
 しかし、一部部隊は戦力差から対応できることを理由に追撃を続行する模様!!!」

 

ザフト軍の命令系統の欠点が浮き彫りになるな。
こうしたときに上位指揮権保有者がいないと、前線部隊指揮官の連携に致命的だ。
そのうえ統制回復が困難となる。
私は内心でウィラードという指揮官に同情しつつ、戦局の成り行きを見守る。
Y字に別れたもう一方でも偵察分艦隊は陽動に成功し、徐々に分岐点にまで引きつけ始める。
これではかえってザフト軍の戦力集中を招くのではないかと危惧するが、
ビラード提督は分艦隊の後退速度に差を付け、素早く引きつけた右翼側のザフト艦隊と
戦力優位な状況で戦闘を進めることができていた。

 

「全艦主砲一斉射!!!敵の進撃の出鼻をくじいたところに、機動部隊を送り込め!!!」
ローエングリンなども含まれる一斉射撃に、追撃艦隊はにわかに混乱に陥る。

 

「艦隊はこの位置にて固定!!左翼側からの追撃に警戒!!
 右翼分艦隊は補給のために回廊から離脱せよ」
その指示が発せられるころには、シュバリエ少佐指揮の機動部隊が追撃ザフト部隊と交戦に入った。

 

「各機に告げる!!集団戦闘だ!!無理にタイマンかける必要はない。
 小隊ごとに囲んでたたき落とすぞ!!機雷原に注意しろ!」
第7艦隊は、艦艇に出血を強いられつつも、機動部隊戦で優勢に立って時間を稼ぐことに成功している。
エドワード・ハレルソンの指揮するソード・カラミティ部隊や
ジェーン・ヒューストンが率いるレイダー制式採用部隊等の連合軍独自で完成させた機動部隊が、
ザフトのMS部隊を圧倒する形となった。

 

ここまでの戦況を鑑み、ハルバートン参謀長代行は先のスミス中尉の提案を却下した。
「中尉、とりあえずまだいいだろう。我々は予備戦力と言うこともあるし、あえて損耗を請け負うこともない」
中尉も納得して頷く。
「確かに、このまま行けばこちらの戦線は、問題ないと思います」

 

第7艦隊がこのように戦闘を始めた頃、エクスマス提督の第2艦隊は、
SフィールドのX字上の回廊に左側から進入すると、
交差点で回廊出口付近からザフト側のミサイル斉射を受ける。
EEF艦隊は光波防御帯を持ってそれに対抗する。

 

「長距離ミサイル程度、これでどうにでもできる」
エクスマス提督は会心の笑みを見せたという。
先のコロニー群奪回作戦で、我々とEEFは光波防御帯の可能性に注目して共同研究を行っていたのである。
EEFとしてもジム購入の代価のひとつとして、また奪回作戦時のハイペリオンの件で後ろめたさもあり、
ロンデニオンに技術提供をするとともに艦搭載型の開発を行っていたのである。
それにしても、かなりの防御力だ。その性能に自信を持ったエクスマス提督は、
10隻程度の戦艦主軸の分艦隊を右翼に向け、残りを左翼に回す。

 

「機動部隊発進!!!部隊は艦隊の両翼、回廊ぎりぎりから進軍せよ!!
 中央は防御帯を一部解除して艦砲射撃で押し切る!!!」
艦隊からジム兇肇瀬ー、メビウスの混成部隊が出撃していく。

 

「よし、全機出撃!!!連中にナチュラルの、いや普通の人間の底力を教えてやるぞ!」
IWSPパックを装備したジム兇魘遒襦機動部隊隊長エミール・ミシュレ大佐の号令で
機動部隊がザフト部隊に襲いかかる。
ジム兇寮能はジンやシグー、さらにはゲイツのそれを上回っており、
ダガーやメビウスで牽制したところを艦砲とジムで撃破する戦術で有利な状況を演出した。

対してザフト側は、右翼配備の艦隊全てを前進させ、EEF右翼分艦隊を排除した後に
背後から挟撃しようともくろんだ。対する分艦隊は、無理をせず後退を開始した。

 

「敵が食いついたぞ!!もっともらしく慌てて見せろ!!」

副司令官のエドワード・ブルックス少将が後退しつつ、中心点から左翼へと周り、本隊へと合流しつつある。

 

「来たか、後方の艦隊を分艦隊と合流させ、後輩の敵に備えよ。直奄もそちらに回せ!ここが正念場だ!!」

エクスマス提督は、あえて挟撃を受けることで、回廊の片方をがら空きにしようと試みたのである。
これは光波防御帯を保有するからこそできる作戦だ。
果たして、ザフト艦隊は食いついた。ザフト側にも、十分な目算があっただろう。
それというのも右翼側は、統制のとれた追撃を見せ、Nフィールドに比べて組織だって行動している。
つまり、敵の誘いを受け、あえて追撃し連合軍が想定するよりも早く
EEF艦隊を挟撃してしまおうと企図したのだ。
しかし、ザフト側にとって不運だったのは、光波防御帯が予想以上に堅固だったことだろう。
もちろん負荷を越える攻撃にEEF艦隊の損害は徐々に出始めていた。
そこにザフト右翼艦隊後方から新たな艦隊が現れた。EEF第1艦隊である。
ザフト右翼艦隊は目標を達することができずに挟撃を受けることになった。

 

「機動部隊は回廊出口のザフトにあたれ!一部艦艇以外は反転して第1艦隊と挟撃する!」
「第2艦隊の負担を増やすな!!全艦攻撃開始!!!」

EEF宇宙艦隊司令長官たるエーヴァーハルト提督指揮するEEF第1艦隊が、
右翼回廊から進入しザフト右翼回廊防衛部隊の後背を取ったのである。

 

「EEF第2艦隊の方が、疲労が濃い!!このまま戦線を突破します!!!」
「接近戦に持ち込めば同士討ちの危険もあるから、機動部隊戦が勝負になる!
 それならこちらにもまだ利があるぞ!!!距離を詰めて近接戦闘に持ち込む!!!」

右翼部隊のグラディス隊とラドル隊が、包囲を突破しようと試み、ザフト友軍もそれに続く。

 

「ナチュラルにしては、相当な戦力に練度だ!全員気を抜くな!!」

ハイネ・ヴェステンフェルスが部下を鼓舞するが、
彼の部隊は味方離脱の援護のために多くの被害を出すことになる。

「無理に防ごうとするな!!!艦隊中央の陣を空け、半包囲状態で敵戦力を打ち減らせ!」

この結果、第2艦隊に1割、ザフトSフィールド防衛艦隊には3割の被害を出すことになったのである。

※※※

緒戦は連合軍優勢というところであろう。総司令部も双方での優勢を持ってたたみかけるようだ。
いつぞやのオーブ戦でも感じたが、連合軍はなかなか人材が揃っている。
この連帯性はどこか私に、1年戦争時の連邦軍を思い起こさせた。
あのときは、今日にも地球が滅ぶという立場の違いを超えて共有したものだ。

 

「艦隊司令部より入電!!
 5分後にローエングリン一斉射撃によって機雷原に穴を開ける、
 連絡艇などは斜線上に入らないよう警戒されたしとのこと」

 

いよいよか。

「第2段階ですね」

オルトヴァン中佐が、優勢であることに安堵したのか、その言葉に心なしか余裕が見られる。

「うん、第2陣の突入だ。ここまでの状況を見るに連合軍のMSも有効のようだな」
「緒戦は有利ですが、まだ我々は要塞宙域の外縁です。
 これで回廊を突破した連中が主戦力と衝突するでしょうな」

メランは慎重な姿勢を崩さない。もちろん回廊を防御した部隊も決して捨て駒ではないだろう。
実際、EEF艦隊の挟撃に遭いながらも戦中突破を計った部隊はなかなかの練度だった。

「連合軍第2、第6艦隊とEEF第3艦隊がマルチ隊形を取り、
 アークエンジェル級及びローエングリン保有艦艇による、一斉射撃体勢に入ります」
「盛大な天体ショーですね」

スミス中尉はやや不謹慎なコメントを吐くが、ほぼ全員が同じ気持ちだったこともあるので
誰もとがめなかった。

 

「全艦!!!ローエングリン発射ぁ!!!」

 

総司令官キャナダイン大将の号令の元、各艦から放たれた陽電子の光は矢というよりも、
もはや小さな流星となって機雷原に大穴を空ける。
そこには直径6キロの円筒状の空間が現れた。

「よし!!!各艦隊突入!!!!!!」

3つの大穴に、各艦隊が突入していく。
ザフト側は空けた大穴に防衛戦力を振り分ける必要が生じて戦力が分散する。
そのリスクを回避するために、ザフトは要塞周辺戦力を集結させることにした。
要塞司令官は緒戦で被害を受けた艦隊を一度要塞内に下がらせ、
一部予備戦力を投入して対等な戦力、要塞を含めれば優位な戦況で迎撃態勢を整える。

対して、連合軍は、進入した後に陣形を広く展開し、ボアズ要塞を平面的にではあるが包囲下に置いた。
球形に包囲すると、陣形が薄くなりすぎるためである。

 

艦隊の陣形が再編される過程でも、交戦は継続された。機動部隊は前進しザフトと戦い続ける。

「陣形再編まで時間を稼げ!要塞に向けミサイル斉射開始!!艦砲は機動部隊の支援!!」

キャナダイン大将は、陣形が再編を終え次第、一挙に要塞を無力化しようと考えているのだろう。

 

「ここを落とされたら、一気に不利になるんだ!!なんとしても落とすぞ!!」

イザーク・ジュール率いる一隊を中心とした部隊が連合第4艦隊に襲いかかる。

 

「こちらのGを奪って使っている奴か、GにはGで対抗させよ!」

フェイル中将は、レイダー制式採用機部隊を回す。

 

対してジュール隊は、イザーク自身だけでなく、よく鍛えられた部隊で連合軍機動部隊を撃退していく。

「ふん、Gに乗っているとしても、この程度の腕じゃなぁ!!」

デュエルガンダムは、迫り来るMA形態のレイダーにも動ぜず、
むしろその直進的な攻撃にいち早く対応して見せた。
部隊をふたつに分け、正面から迎撃しつつ、
後方に下がらせた部隊に、戦線突破直後に反転し攻撃しようともくろむ機体に集中砲火を加えたのだ。
もちろん、デュエルだけでは包囲もされよう。
しかし、カスタム機ともいえるシグー・ディープアームズが、イザークの背中をしっかりと守る。

「ジュール隊長はやらせない!!!!」

 

レイダー隊は、大きな損害を与えられていく様に、フェイル提督は憤慨して叫んだという。

「全くなんという様だ!!馬鹿どもめ!!Gとカスタム機が著しく優秀なパイロットとしてもだ!!
 片方はひと世代前の機体ぞ!選抜されてGに乗っているのだ!
 正面が無理なら反包囲でも何でもして戦力減衰を狙わんか!!!」

 

そこに、機動部隊の指揮官も同調する。

「確かにいいMSに乗っていても、敵を倒せなければ意味がないね!!!
 おまえ達!提督の指示は聞いたね!! バスター隊は後方から半包囲して射撃!
 デュエルにはデュエルをぶつける! デュエルダガー隊は近接戦闘!!」
「「「了解!!!!!」」」
「少佐に恥をかかせるなよ!!」
「「おおっ!!」」

レナ・イメリア少佐は、バスター・ダガーで直接指揮下にある部隊を持ってジュール隊の主力にあたる。

 

「くそっ!!急に動きがよくなった!シホ!!!」
「えっ!?いきなり名前ですかっ!!!あのっはい・・・イ・イザーク隊長!!!」
「しっかりしろ!このままでは不利だ!1度後退し、後方のラドル隊と連携するぞ!」
「えっ?了解!!!」

イザークはすぐに後ろを見せずに、殿をしつつ後退する。
部隊は出血を強いられながらも要塞の重点支援宙域まで後退させた。
イメリア隊は構わず追撃し、ジュール隊が後退した空間を確保し、第4艦隊の進路をあける。

 

「よし、よくやったイメリア!!
 コスモグラスパー隊と再編したレイダー隊はたたみかけろ!! 突破口を開け!!
 しかる後に、艦隊は近接攻撃に入る!!!僚艦にわれに続けと発信!!!」

第4艦隊旗艦イスは、発光信号をあげつつ突撃を開始する。
その様を見たビラード中将は興奮と苦笑いで混ぜ返した表情を作ったという。

「フェイルの奴め、火が付いたな。よし、補給を済ませた切り裂きと白鯨を出せ!
 第4艦隊を孤立させるわけにはいかない。我が艦隊も近接戦に入る!!」

第7艦隊は、第4艦隊に呼応する形で進撃を開始する。

 

キャナダイン大将は、当初の目標である半包囲による戦力削減を断念し、
第1艦隊の全面に展開する3個艦隊を突撃させて短期決戦を仕掛けることにした。
第1艦隊は3個艦隊の突撃の支援として、要塞に対する長距離砲撃を仕掛ける。
要塞には陽電子砲ローエングリンが備え付けられており、これまで陣形再編作業などを妨害し、
こちらに出血を強いていた。
キャナダインが早期決戦に切り替えたのも、そうした理由もあった。
さらに、艦隊をザフト艦隊と肉薄させることで、ローエングリンを同士討ちの危険から
使用できない状況に持ち込んだのであった。

 

※※※

 

一方、EEF艦隊は、正面にザラ隊とフェイス主力部隊、サトー隊といった機動戦力の主力と交戦していた。
そこに、再編成を済ませたグラディス隊とウィラード隊が加わり、士気も十分な部隊と戦うことになった。

「やれやれ、フェイス等に加えてさっきの連中こちらか。運がないな」
「内心喜んでいるかと思いましたが?」

ぼやくエクスマス提督にスキナー参謀長は苦笑いして混ぜ返したそうだ。
エクスマス提督は大戦初期に、グリマルディ戦線でフェイスにかなりの被害を受けた経験を
踏まえていたのだろう。

 

「ふん・・・。全艦!!!機動部隊を前に出せ!!精鋭と正面とやり合い消耗することはない。
 友軍艦隊と長射程の砲撃で敵を引きつけろ。
 こちらに主力がいるのだ。ならば大西洋連邦の連中が要塞に肉薄するだろう。
 こちらは光波防御帯などを駆使して要塞砲を警戒しつつ、敵戦力を削る!!長官にも具申しろ!」
「わかりました」
「こちらは大西洋連邦に比べて機動兵器が大幅に遅れている。
 ロンデニオンのジムや連邦のダガーがあるとはいえ、ハイペリオンのようなカスタム機は数が少ない。
 ザフトが高性能機を出してきたら不利を免れないだろう。
 フリーダムと対をなす機体もいるようだ。ハンニバルと戦うな、これで行くぞ」

エヴァーハルト中将はEEF第2艦隊の方針を直ちに採用し
艦隊を当初の包囲陣を崩さずに戦闘を進めることにした。
ローエングリンによる妨害はあったが、こちらは光波防御帯を巧みに運用することで、
連邦ほどの被害を出さずに部隊展開ができたのである。

 

「ちいっ!!!長距離攻撃に徹するつもりか!!
 要塞司令部に連絡!!ミサイルの長射程攻撃で支援を求む!
 サトー隊長!!ジャスティス以下機動力の高い部隊で攪乱する!!乱れたところに攻撃を!」
「おお!我が部隊は重装備の機体が多い!!貴公の部隊で攪乱してくれるとありがたい!」
「ディアッカ!!!」
「ああ!!しかし、参ったね、この上こっちにロンド・ベルが来て欲しくないぜ」
「そうだな!!!だが、今はプラントを守る事に専念しよう!!!」
「オーケー!!」

ジャスティスと火器運用試験型ゲイツが、ジン・ハイマニューバを率いて近接攻撃を仕掛ける。

 

「各機迎撃せよ!!エール隊とソード隊は前面に!!バスター及びライトニングは後方から攻撃!!」

ミシュレ大佐の号令で、様々な装備をしたジムとダガーが散開していく。
このときあるまで準備した各種装備は、ザフトに見劣りするものではなく、
ジン・ハイニューバだけでなくゲイツなどを擁するザラ隊に引けを取らなかった。

「くそっ!以外に突破に手間取るぜ!
 異世界の機動兵器はこっちで作られても、そこそこどころじゃないぜ!!」

 

ディアッカが舌打ちしていた頃、EEF艦隊も同様に苦戦を実感しつつあった。
もっともこの場合、EEF側は我々の世界の兵器の力を過信しているきらいがあった。
パイロットの練度としては、やはりザフトに一日の長があったのである。

「こちらが数が上なんだぞ!!!複数で接近する敵を確実に打ち落とせ!!!
 たとえひとりが一機を撃墜しても、接近する前に撃滅できるはずだ!!!」

本多提督の副司令官、西嶋貞治朗少将が叫んだのも新規戦力への自信があったのだろう。
アスラン・ザラの駆るジャスティスが、第3艦隊の機動部隊を次々に撃破していく。

 

「この戦いで終わらせるわけにはいかない」

バックパックをSFSとして運用し、ジムやダガーを上回る機動性で翻弄しつつ
配下の部隊にとどめを刺させる。
彼は後にこう述懐している。

「もちろん、再びキラやアムロさん、クワトロ大尉、そしてカガリと戦うときが来ることに
 迷いがなかったら嘘になります。
 でも、あのときはこちらにも目的がありました。
 たとえ目の前に現れても、迷うわけにはいかないと思っていました」

 

この劣勢に対し、エーヴァーハルト中将は、
予備戦力であるロンデニオン投入もやむなしと思いかけたという。
しかし、このとき大西洋連邦軍は、第一戦を突破し、要塞に肉薄し始めた。
この報告が5分遅ければ、キラとアスランは再び戦うことになっていただろう。
大西洋連邦が第4及第6艦隊による戦線突破に成功した事に対して、
ザフト要塞司令部はフェイスとウィラード隊、ハイネ隊をEEF側の戦線から
大西洋連邦側戦線へと移動させた。
一歩間違えば戦線崩壊にも繋がりかねない行動であったが、
要塞司令部は予備戦力全てを投入することで、戦線瓦解を防ぎきった。
この手並みは、私だけでなくハルバートン少将やクワトロ大尉も驚かされるかたちになった。

 

※※※

 

EEF艦隊や第7艦隊が苦戦を強いられているとはいえ、全体の戦局は依然としてこちらに有利といえた。
もう15分も戦えば、第4か第6艦隊は要塞に揚陸部隊を送れる。
このまま進めば、運がよければ我々の出番はないかもしれない。
あるいは、キャナダイン大将が前線の犠牲を減らしたいということであれば、そろそろ攻撃命令が来るか。

「前線の各司令は優秀ですね」

スミス中尉の意見に対し、ハルバートン少将はその本質を分析してみせる。

「ビラード中将の第7艦隊とエクスマス中将のEEF第2艦隊の力だな。戦端開始して以来、
 あのふたつの艦隊が、優位に事を進めたおかげで将兵に自信が付いた。
 『コーディネーターに勝てる』と言う意識をね」
「なるほど、何だかんだいって、EEF艦隊以外ではここまで大規模に戦闘はしていない。
 宇宙においても物心両面で対抗できる、この意識を緒戦で持たせたのは大きいですね」

 

オルトヴァン中佐はふたりの応酬を聞きつつ、メイン・モニターの戦況を見て敵戦力を検討する。
「警戒すべきは、フェイスにサトー隊、ウィラード隊、グラディス隊、ラドル隊、ハイネ隊、ジュール隊、
 そしてザラ隊といったところですね。練度や配備兵器の面で優れています」
「確かに、個人個人では優秀だが、連携のとれているときと、そうでないときの落差が些か激しいな。
 そこをつけ込まれているところはある。我々にはありがたいが・・・」

ハルバートン少将が濁すが、スミス中尉がはっきりと言ってみせる。

「なんというか、個としての優秀さを突き詰めたゆえに、
 個人主義を軍という組織でやってしまうとこうなるという悪い見本ですね。
 一方で、彼らの思想として明快でありますが」
「はっきりいう。しかし、要塞司令部が統制しているから一概にばらばらというのも言い過ぎだろう。
 横の連携は、連合軍側とて完璧といえるほどほめられたものじゃない」

やりとりをそこまで聞いて、私は画面を改めて見てふと疑問がわき起こった。

 

「クルーゼ隊がいないというのはどういう事だ?」
「そういえば見かけませんな。ヤキンに配備されているのかもしれません。ですが・・・」
「そんな出し惜しみできる状況ではないはず、だな」

メランが同じくいぶかしむ。

「予備兵力として要塞内にいるのかもしれませんし、
 ヤキンからこちらに向かっているのかもしれませんが、
 結局はこの状況で議長の片腕ともいえる人物の姿が見えないのは怪しいですな。
 何かあると考えるべきでしょう。
 まともに考えれば、ここが陥落したらさらに不利になることは明白です。
 戦略レベルで何かあるのかもしれませんな」
「そうだな、早期警戒ジム靴鮟个察ヤキン方向の警戒にあたらせよう」

そこにオペレーターから報告があがる。

 

「艦長!!!大西洋連邦第6艦隊に・・・大型MA接近!!」
「なんだと!?」

要塞から出撃したと見られる、新たな信号が突破直前の第6艦隊に襲いかかろうとしていた。

 

※※※

 

「なんだあれは!!」
「イージスに近い形ですが、大型のコンテナ・ユニットが付属しています!すごい加速です!・・・っ!
 第6艦隊の機動部隊が戦線を突破されました!!」
「いかん!!」

 

紫色のMAは大型コンテナの推力も得たかなりの機動力をもって、一挙に艦隊に肉薄した。
そして超大型のビームとミサイル斉射を第6艦隊にたたみかける。
降り注ぐミサイルとビームに近くの艦艇が数隻火球となっていく。
さらに不意を突かれたために艦隊旗艦が射程に捉えられてしまった。
MAは容赦なく第2射を旗艦に定めミサイルを放った。
果たして、艦隊旗艦を防御すべく、2隻のドレイク級が、旗艦レイキャビックの前に割り込む。
上甲板にミサイルが降り注ぎ、ドレイク級はミサイル等に誘爆し轟沈した。

「こうもやすやすと・・・。直奄は何をしている!!!
 艦長!!旗艦は急速後退!!!レイダー隊を戻せ!!!」

第6艦隊は、不意打ちを受けつつも、即応して直奄のメビウスやストライクダガーを出すが、
混乱状態になり、戦線はきわめて危険な状況になった。
機動部隊を揚陸隊支援のため宙域確保に前進させていたのが裏目に出たのである。
グレイス中将は、自らの機動戦術に自信を持っていただけに、無念のほぞをかんだという。

 

「まずいな・・・」

私の危惧は、総司令部も同様に考えていたようだ。旗艦から指示が届く。

「総旗艦オデッセウスより入電!! 予備兵力は進軍を開始し、第6艦隊を支援せよ、
 その後は要塞突入部隊の支援に当たれ、とのことです」

 

「司令・・・」
「うん、こういう時の予備戦力だろう。確かに私も投入しどきであると思う。
 ワシントンとクサナギ、ネェル・アーガマに打電、進撃開始用意!!!
 ネェル・アーガマとアークエンジェル、ドミニオンに
 ハイメガ砲とローエングリンの発射準備するように伝え!!
 機雷群に回廊を造り第6艦隊の左翼に布陣する!!!」
「照準は?」
「ハイメガ砲なら100%で放てば要塞にもダメージを与えられる。
 が、あまりに強力な威力を出せば警戒もされよう。
 70%で放ち要塞外郭を揺さぶる程度でいい」
「伝えます」

ロンド・ベル、オーブ、連合混成艦隊は、長射程兵器の艦艇を前に出して紡錘陣形を取り、
先頭3隻がエネルギー充電に移る。そこにオルトヴァン中佐が報告する。

「司令、コレマッタ少佐から分析です。
 例の機動兵器は、ラクス一党が保有するエターナルに搭載されている追加モジュール・ミーティアと
 酷似しているとのことです。おそらく同様のものかと思われます。
 我々の世界においては、デラーズ紛争時に用いられたガンダム3号機のオーキスや、
 ペズンの反乱時にてプランだけ存在した、Sガンダムの強襲兵装プランというところでしょうか」

私は渡された報告書に簡単に目を通す。
率直に言って、ふたつの事件は概要こそ把握しているが、使用された兵器の詳細までは
把握していなかったので、例えですぐに連想することはできなかった。
前者こそ、大型の兵装があったという認識があったが、後者のプランだけの内容までは押さえていない。
Gアーマーやディフェンサーのようなものだろうか。この報告書を詳細に読む時間的余裕はなさそうだ。
とりあえずミーティア関連のところだけに目を通す。
なるほど、これはやっかいかもしれない。すでに強襲を受けている第6艦隊には特に分が悪い。

 

「第6艦隊では対応が難しいな」
「早急に援軍を回す必要があります」
「機雷原進入と同時に、アムロ、レーン、キラ、リゼル隊を先発させる。
 特務艦隊にもエール装備のダガーとレイダーにフォビドゥン、カラミティはリゼルに乗せて先発させよう。
 オーブ軍も選抜した部隊をリゼルに乗せろ。後続の指揮はクワトロ大尉とジャックに執らせればいい」
「わかりました」

そこに報告があがる。

「司令、各艦エネルギー充填完了しました」
「よし、撃て!!!」

号令すると、陽電子とメガ粒子は機雷原に大穴を空け、後者は要塞に着弾する。
光のあとには進むべき道が開かれた。

「進撃開始!!!」

体にわずかなGがかかる。混成艦隊は、速度を上げていよいよ戦場へと進む。
ザフト側は、一瞬動揺するも、先に第6艦隊を撃破できると踏んだのか、
即座に体勢を立て直して攻撃を続行する。

 

「アムロ、出てくれ。第6艦隊をこれ以上打ち減らされるわけにはいかない。
 それと、特務隊の強化人間には気をつけてくれ。
 我々と敵対するとは思えないが、時間制限が来ると無防備になる」
「わかった」

連合軍特務艦隊に所属していた、新型ガンダム3機のパイロットは、強化人間と言っても差し支えないだろう。
物議を醸したが、友軍である以上は考慮して運用しなければならない。
本来はクワトロ大尉に任せたいところだが、アムロを先発させる以上は
混成軍の指揮を執らせる人物は残したい。
前面にSFSとして展開したリゼルにνガンダムは、出撃するとテックス・ウエスト少佐の機体に捕まる。

「少佐、頼む」
「任せて下さい」

同じように、フリーダムもダニエル・タイラント少佐のリゼルに乗る。

「お願いします!!」
「任せな!God Save Irish!」

オーブ軍は、M1AアストレイというM1のカスタム機を中心とした部隊がリゼルに搭乗する。

「オーブ艦隊機動部隊所属ワイド・ラビ・ナダカ1尉です。M1A9機、お供させていただきます」
「頼む」

そこに、カラミティがアムロと同じリゼルに捕まった。

「オルガ・サブナック少尉・・・頼むぜ」
「ああ」

互いにどこと無いぎこちなさが残るのは、刃を交えたからか、それとも強化人間だったのかわからない。
その間はすぐにレーンが破った。

「アムロ隊長!!!いけますか!?」
「ああ、各機行くぞ!!!第6艦隊を救助する!!!」
「「了解!!!」」

先発隊が、速度を上げて一気に回廊を突破する。

「間に合うか!!」

 

このとき第6艦隊は、陣形が乱れたところにウィラード指揮するナスカ級高速艦隊の近接攻撃も受け、
中央から分断される形になっていた。

「クールズ副司令官に、分断された側の指揮を委ねる!!!援軍が来るまで持たせろ!
 こうなれば、我が艦隊は友軍の防壁となる!!!
 機動部隊は全てこちらに戻せ!!こちらに攻撃を引き受けさせろ!!第7と第4艦隊にはこの旨伝え!!」

グレイス提督は、ずたずたにされた状況を見て、ザフトの攻撃を自らに集中させた。
攻撃続行よりも防御に徹すればまだ持てる。
そして、ザフト側は自分の艦隊を壊滅させれば戦線崩壊に結びつけられると踏んでいるだろう。
ならば、こちらに攻撃を集中させて、全体の勝利に貢献しようと考えたのであった。

「くそぉ!!!このまま死ねるかよぉ!!!」

第6艦隊に所属するアダム・ジョーン少尉は、ストライクダガーのコクピットで絶叫する。
確かに、戦力は3割近い被害を出し、分断された時点で半ば崩壊しかけていた。
しかし機動部隊が戻り、各艦が旗艦の意図を踏まえると、徹底的な防戦に徹し、
全軍崩壊をすんでの所で防いでいる状況であった。
ジョーンは、自分の部隊の隊長も同僚も全て大型MAに撃破され、次は自分と死を覚悟したと、
後に述懐している。
そのとき、後方からメガ・ビームランチャーが大型MAを牽制した。

「なんだ!?」

まさにそのとき、先発隊が戦場に到着したのだ。
アムロがリゼルにビーム攻撃を指示し、その熟練した感覚をもって
第6艦隊を攻撃していたMSを火球に仕上げていく。

 

「各機小隊ごとに行動開始!!第6艦隊攻撃中の敵機動部隊を撃破しろ!!!!
 レーン!!キラ!!サブナック少尉!!ブエル少尉!!アンドラス少尉は、
 例の大型MAにあたるぞ!!」
「「了解!!」」
「・・・わかった・・・ぜっ!!」
「了ー解」
「滅殺!!!」

私は、ブーステッドマンと呼ばれる強化人間達の調整に不安を覚えるが、
サザーランド少将と話すのは、戦闘後でいいだろう。

「まずはコンテナを破壊する!!!」

アムロは、拡散バズーカを相手の予測移動ポイントに発射する。

「こぉおのぉゴミくそがぁぁぁぁぁぁ!!!そんな豆鉄砲が通じるかぁぁぁぁ!!」

MAのパイロットからは、クルーゼほどでは無いにしろ、かなりの怨念めいた感情が感じとれたという。

 

「レーン!!」
「任せて下さい!!ファンネル!!!」

アムロが声をかけると、レーンはすぐにその意を汲み、ファンネルを射出した。
ファンネル・ミサイルは、コストの割に合わないということで増産を見送り、
同形状のファンネルをフィン・ファンネルの実験として開発したのである。
フィン・ファンネル自体も開発に至ったが、稼働時間はペーネロペーと同じくきわめて短く、
決定的な場面で有効に活用するしかない。
アムロは即断する。まずはこのMAを撃退しない限り、立て直しは不可能だ。
ならば、まずは全力でこれを撃墜するべきだと。

レーンの意志が宿る、3つのファンネルは不規則な軌道を描き、大型MAに襲いかかる。

「なにぃぃい!」

拡散バズーカで動きが鈍るMAに、ファンネルが襲いかかった。

「くそぉぉぉぉ!!この、くそがぁぁぁ!!」

パイロットと思われる人物の絶叫が周囲にこだまする。
ファンネルは出力もまだ不十分といえたが、後部の高機動ユニットは充分無力化できた。

 

「やれるか!?」

その様子を見たオーブ軍M1Aが接近戦を仕掛ける。

「やめるんだっ!」

キラが叫ぶも、おそらくパイロットには伝わらなかっただろう。
突如MS形態に変形した機体は、大型ビームサーベルを持ってM1を真っ二つにした。

「ガンダムタイプか!!」

アムロは、そう漏らすと再びバズーカで牽制する。
ファンネルの寿命は早くも来てしまう。

「キラ!!サブナック少尉!!火力で対抗しろ!」

フリーダムとカラミティが大型火砲を持ってあたる。その刹那、MAは後部の推進器をパージして回避する。

「必殺!!!」
「さっさと死ねぇ!!」

そこにクロト・ブエルとシャニ・アンドラスが接近戦を試み襲いかかる。

「ごみがぁ!!!このリジェネイトがナチュラルのMSに負けるものかよ!!」

大型ビームソードを振り回し、2機を振り払う。

「この野郎ぉ!」
「うざい!!」

しかし、振り払った動きを適格に見抜いたアムロが、ビームライフルで狙撃した。

「そこだ!!!」

ビームは左腕のユニットを腕とともに破壊し、さらには右足を吹っ飛ばした。
追い打ちをかけるように、レーンとキラが自機の最も出力の強い兵器で狙い撃つ。

「落とす!!!」
「いっっけぇー!!」

カラフルともいえる砲撃は、下半身を完全に吹き飛ばした。

 

「やったのか!?」

艦橋の誰かが叫ぶ。だが、不明機は損傷箇所を分離して、一気に引き上げる姿勢を見せた。

「逃がすかよっ!!」

ナダカ1尉は部下をやられた事で激昂して追撃を始め、ブーステッドマンたちも続く。

「待て!!まずは、第6艦隊の安全確保に努めるんだ!!!」

アムロが怒鳴る。
果たせるかな、分離して脱出装置にすぎないと思われた機体に、
後方から射出されたパ−ツがドッキングし、MSは元の姿を取り戻した。

「戦場で完全な形に戻るだと!?」
「おいおいおい!!!」

振り返ると、MSはロングライフルを放ち、追撃してきたM1Aとエールダガーを火球にし、
続けた砲撃でフォビドゥンにも放つ。
しかし、フォビドゥンはビームを曲げて回避する。
もっとも、回避したビームはクロトに直撃し、機体は損傷する形となったが。

「てめぇ!!シャニ!!!曲げる先くらい考えろ!!!」
「・・・うるさい」

「いい加減にしろ!!!!戻るんだ!!!まだ敵は少なくない!!!」

アムロが、改めて統制を回復させようと努める。そこに我々が到着した。

 

「全機動部隊発進!!!!分断された第6艦隊の左翼から進軍し、前線に割り込む!!!」

各艦艇から移動部隊が出撃していく。すでに戦闘を続けて疲労している部隊に、混成艦隊がたたみかける。

「オーブ艦隊突撃!!!」
「連合軍の力を見せよ!!!」

カガリとサザーランド少将の号令で、オーブ・連合艦隊が急進する。

「後れを取るな!!機関最大出力!!!防御帯を展開しながら突進せよ!」

コンタリーニ艦長が、防御帯の力を持って本来の攻撃的性格を存分に発揮する。

「ミサイル発射管!!前門解放!!!!
 ターゲット!!1番から3番は左舷前方ナスカ級A!4番、正面ナスカ級B!!
 5、6番は右舷ナスカ級C!!!噴射口を狙え!」
「目標固定!!!!」
「ファイア!!!!」

ラー・ザイムからミサイルが放たれ、我々の前方にいたナスカ級に全てではないが着弾する。
そのうち一隻は当たり所が悪く噴射口から誘爆轟沈した。

「よぉし!!よくやったぁ!!!続けて装填!次を狙うぞ!
 主砲は一部防御帯を解除し、弾幕展開!!道を開く!!!」

それを見て、レディング艦長が苦笑する。

「コンタリーニの奴は、この世界でたまった鬱憤でも晴らしているのか?困ったもんだ。
 後ろに付けろ!支援する!!機動部隊!!周辺的戦力を排除せよ!!!」
「ラー・エルム前進します!!」

両翼が急進したので、ともに前進する我々は、光波防御帯の性能に自信を深め、積極的に前に出る。
第6艦隊とその前方に展開するフェイスに割り込むと、
さらに前進して第6艦隊を分断するウィラード隊の後方を押さえる。

「これで、半包囲が完成しましたね」
「よし、メラン!!!最大戦速!!!射程にいる敵艦艇を確実に沈めるんだ!!!」
「了解!!機関全速!!!」

さらにその後方に、ネェル・アーガマがドミニオンとアークエンジェルを両脇に展開し、
その後ろをクラップ級とサラミス級が続く。

 

「周囲は敵だらけだ!撃ちまくれ!!!」
「ゴットフリート照準!!!右舷ナスカ級!!!」
「ヴァリアント!!!前方照準!!!てっー!」

ここで、我々にも被害が出るが、光波防御帯のない連合艦艇とオーブ艦艇を
サラミス級が巧みにフォローする。
さらに接近する敵部隊はロンド・ベルが容赦なく撃破した。

「敵は疲労しているとはいえ必死に来るぞ!!無理して一対一をせず!集団戦闘でけりを付けろ!!!」

そう叫びつつ、ジャック・ベアードはインコムを展開し、
味方に促す割には自らは複数を単独で撃退している。

「いっていることと、やっていることが違いますよ!!少佐殿!!!」

エリアルド・ハンターは増加装甲を付けたジェガンを駆りつつ苦笑いする。
この機体は、実験的にスターク・ジェガン用装甲をフェイズシフト装甲にしてみたものだ。
最も、ミサイルランチャーも装備せず、シールドも装備しているので、簡単な追加装甲である。
ちなみに色はジェガンと同じなので、あまり追加装甲を装備しているように見えない。

「ま、あのひともたまっていたんだろ!」

今作戦では、新規製造リゼルを駆る、カール・マツバラが応じる。
こうして我々の参入はザフト軍を大いに弱らせることになった。
我々が好き放題できるのも、第6艦隊が耐えきってくれたこともあるだろう。

 

アムロは、統制を回復すると、ブーステッドマンを一度後退させ、
第6艦隊の制空権を回復させようと試みる。
そこに、グラディス隊の機動部隊が旗艦レイキャビックに襲いかかる。
すでにレイキャビックは友軍の支援もありながらも損害を出し続け中破しつつあった。
アムロはそれを認め、レイキャビックの正面に出る。

「近づけさせはしない!!!ファンネル!!!」

ついに、アムロからファンネルが放たれる。
動き出すサイコミュ兵器は、襲いかかろうとしたゲイツ5機を即座に火球にした。
打ち漏らした1機も、ライフルで撃ち落とす。

「さすが・・・!!」

別の敵に当たっていた、レーンが思わず感嘆する。もちろん、あの男も笑みを隠さない。

「それでこそ、アムロ・レイだ!!!」

彼自らは、インコムで敵をなぎ払う。

 

一方キラは、紫色の新兵器と戦っていたが、突然機体は反転して後退する。

「なんだ!?」

キラがそう漏らした直後、ザフト全体に動きが見られた。

「なんだ!?」

キラがそう漏らした直後、ザフト全体に動きが見られた。

「前面の敵が後退を始めます!!!ウィラード隊は、我々が作った回廊にむかっている?・・・これは!?」

要塞司令部から発光信号があがり、ザフトは部隊ごとに戦線離脱を始めた。

「これは・・・どういうことだ!?」

私は思わず声に出してしまった。オルトヴァン中佐も困惑を隠せない。

 

「まだ充分交戦可能な状態でなぜ撤退する?」
「要塞司令部からの信号ということは、まだ指揮系統も健在のはずですね・・・」

スミス中尉が、それに続ける。

「艦長!!サザーランド少将から通信!!!同時にカガリ女王からも通信要請です」
「回せ」

画面には、サザーランド少将とカガリが浮かび上がる。
両者ともやや困惑気味な表情だが、サザーランドの通信内容は意見具申だった。

「ブライト提督!!追撃の許可を頂きたい!!!」

予想通りの反応である。私としてはむやみな追撃を避けたいところだ。
確かに一部で追撃戦は確認できるが、総司令部も出方が解らず当惑しているというところであろう。

「少将、このタイミングでの全面撤退は妙だ。艦隊を一度再集結させ、不意の事態に備えよう」
「司令!!機を逃すべきではない!!」

ここは、強硬派とはいえサザーランド少将の意見は充分解る。
確かに疲労も少ない我々が追撃すれば、もう少しザフトを減らすことはできる。
カガリは、私がどういう判断するのかを窺っているように見える。
これは隣にいるユウナ・ロマの差し金だろう。
私は隣のハルバートン参謀長代行に目をやる。先ほどから画面をじっと見つめて状況を考えているようだ。

 

「ブライト司令!!では、連合軍主体の戦隊だけでも追撃に出していただきたい!!
 むろん、深追いまではしませんし、指示がなければ無茶もしません!!
 我々と交戦したフェイスとグラディス隊らは、相当疲弊している!今ならかなり打ち減らせます!!」

そこに、ハルバートン少将が口を開いた。

「先ほど偵察に出したジム靴浪燭いってきてるか?」
「いえ。後退するザフト艦隊が整然と離脱していくのを確認しています」
「・・・これは、もしかしたら・・・」

参謀長が、意見を言おうとしたとき、総司令部から通信が入る。

 

「艦長!!!総旗艦オデュセウスからです!!
 全軍に追撃中止命令!!まずはボアズ確保を優先せよ!以上です!!」
「ボアズはどうなっている?」
「大西洋連邦軍が攻撃する逆側の港から次々に脱出艦艇を確認!!!要塞を放棄する模様!」

アムロから通信が繋がる。

「ブライト!どういうんだ!?さすがに妙だぞ!」
「再集結信号、一度艦隊を再編する。機動部隊も一度直奄を除いて帰還しろ」
「ブライト司令!!!」
「サザーランド少将、状況が不明すぎる。ここは総司令部の命令の通り、ボアズ確保を優先しよう。
 そもそもの作戦目標は、要塞の確保だ。ザフト軍の殲滅ではない」

サザーランド少将は、なおも食い下がろうとしたが、深呼吸をひとつすると、
最終的には私の命令に従ってくれた。

 

アムロが、難しい顔を崩さずにいう。

「勝ったとはいえ、なんだろうなこの気持ち悪さは。不完全燃焼とは違う、何か別の・・・」

アムロの不安感は、ほとんど私も同じ気持ちであったが、憮然と沈黙しているほか無かった。
ここに、地球連合軍艦隊は宇宙要塞ボアズを攻略した。
本来であれば終戦に繋がるはずの勝利であるが、ほぼ全員がこれで終わるとは思えなかったのである。

 

第34話「ボアズ攻略作戦」end.

 

 

【次回予告】

 

「これぞ我らの創世の光だ!!」

 

第35話「狂気の宴」