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CCA-Seed_427◆ZSVROGNygE氏_35-3

Last-modified: 2012-09-08 (土) 06:47:29

「これが我らの創世の光だ!!!」

 

幸い、要塞中核部は崩落程度で済んでおり、ボアズの要塞会議室は1時間ほどで簡単な会議を行える状況にこぎ着けた。
そこで各司令官が目にしたのは、パトリック・ザラの演説である。何とか自軍を立て直した指揮官たちが思い思いに映像を見ている。
このニュースは一連の戦闘が収束に向かった頃に、プラント本国のTV局で流れていたものだ。特に隠すつもりもない、というよりも積極的に喧伝したいのだろう。
映像は安易に受信できた。最高評議会議長パトリック・ザラは、自信に満ちあふれた笑顔である。

 

「これは、ボアズに対して非道な仕打ちをした連合に対する報復でもある!!!我々は、本来このような兵器を用いることにはためらいがあった。しかし、連合軍は・・・」

 

彼らの主張を要約すると、連合軍の強力な兵器、おそらくハイメガ砲であろうがそれに脅威を感じたこと、そして降伏した兵士に対する残虐な仕打ちを確認し、その報復のため発射したそうだ。
幹部はその演説に対して非常に冷めて眺めている。もっとも、ブルーコスモスのお歴々は怒りに震えていたが。しかし、とりあえず彼らの主張は聞こうという雰囲気だ。

 

「・・・戦争は勝って終わらなければ意味がないのだ!!!これは歴史的な勝利であると言えよう!私はこの勝利を持って地球連合政府に対し、対等な講和を求めるものである。
ひとつ、我がプラントの無条件独立の承認!!ひとつ、食糧自給生産の容認!!!ひとつ、ユニウス・セブン事件の第三者機関も含めた公正な手段による真相解明と賠償である!!
これ以上の戦争は、互いにとって不幸なものである。我らの願いはささやかなものだ!!!仮に応じないというならば、地球連合はその非寛容さと自らの存立基盤すらも否定する不名誉を歴史に残すことになろう。
そして、なおも交戦にこだわるというのであれば、我々の未来を照らすこの光が、再び連合軍に降り注ぐことを予告しよう!!!24時間以内に交渉等の連絡がなければ、第2撃をボアズ要塞中心部に放つことを宣言する!!
その後は順次軍事施設に対する攻撃を行いその継戦能力を無力化するだろう!!!」

 

会議室は嫌な沈黙に包まれていたけれども、エクスマス提督が皮肉げに口を開いた。

 

「早期和平はないな。久々の勝利に浮かれているのか知らんが、この言い方で本国の連中が応じるとは思えん。
あと一回はでかい戦をしないとならんだろう。少なくとも来月はカリブでバカンスという予定は無理のようだ」
「被害が甚大すぎる。月面やアルテミスの予備艦隊どころか、各地の防衛戦力もかき集める必要もあるかもしれん」

 

本多提督が頭をかきながら言う。西嶋少将が頰杖しながらあきれて言う。

 

「しかし強気に出たものだ。あの言い方は正気なのか?ザフトの被害も少なくはなかったはずだが」
「あれがあるからだろう」

 

ブルックス少将が画面を指さす。画面に映るのは、ジェネシスと呼称される超大型レーザー砲である。

 

「結局あれはなんなんだ?」

 

カガリ・ユラが説明を求める。しかし、総司令部の機能は事実上崩壊しており、代行で司令部機能だけは無事のEEF側が応答した。
E.E.F.宇宙艦隊総参謀長のベルンハイム少将が立ち上がる。

 

「解析の結果、あれは巨大なγ線レーザー砲と解りました。防御手段はかなり困難であると言わざるを得ません。おそらくミラージュコロイドで隠してたために、動きを把握できなかったのでしょう。
あの巨大な機構ですが、円盤状のものが本隊で、尖塔状のミラーを取り替えて使用するものと思われます。
つまり、映像に見られるように、あの先端部を交換する限り砲撃が可能です。付け加えていえば、その気になればかなりの間隔で放てるものと考えていいでしょう」
「つまり、まともな防御手段がないうえに、連射可能な兵器ということか。情報部は何をしていたんだ。給料泥棒どもめ。目の前にいたら絞め殺しているところだ」

 

エクスマス提督が椅子に背中を預ける。ユウナ・ロマが、右手を額にあてつつ確認する。

 

「それで、現在の被害の総計は出たのですか」

 

キャナダイン大将は沈黙しているが、頷いてベルンハイム少将を促す。

 

「全体ではおよそ4割の被害が出ています。特に幹部クラスの被害が深刻です。
総司令部はキャナダイン大将閣下こそ、軽傷で済みましたが、総参謀長のムルンバ中将が崩落に巻き込まれて殉職されました。
そのときに総司令部スタッフの半数が殉職し、残りの半分も重軽傷を負っています。第6艦隊のグレイス中将は戦死、第7艦隊のビラード中将は重傷、両艦隊ともに半数近い戦力を喪失しています。
第4艦隊はフェイル提督こそ健在ですが、やはり4割近い損害です。EEFは、第1艦隊が半数の被害を受けました。第2と第3艦隊は比較的軽微ですが、2割ほどの戦力喪失です。
ブライト司令の予備戦力にも1割の損害が出ています。これらはまだ最終確定ではありませんが、ざっくりとした数字としては以上のような状況です」

 

一同は沈黙する。ともかく、増援が必要なのは確実だろう。この戦力では、厳しい戦いを避けられない。
そこに、士官が入室してキャナダイン大将の副官に耳打ちする。それが終わると副官は立ち上がった。

 

「地球との交信回復しました。連合本部には主要閣僚呼び首脳陣が待機されているとのことです」

 

全員がモニターに向かう。連合本部会議室には、確かに主要メンバーが揃っていた。
おそらくはボアズ陥落後に降伏勧告を共同声明で出すつもりだったのだろう。
幸か不幸かそのため対策するに必要な人物が揃っていた。劉慶主席が苦悶の表情を浮かべる。

 

「キャナダイン君、報告は受けている。残念だ。そして、この損害は前線指揮官である諸君や軍部だけの責任ではない。各国の諜報部が雁首そろえて間抜けだった。すまない」
「・・・」

 

キャナダイン大将はあえて何も言い返さなかった。ランズダウン侯が確認する。

 

「念のため確認するが、残虐行為と目されることはなかったのだね?」
「戦闘行為です。完璧にとはもうしませんが、組織だって行った事実はありませんし、指示もしておりません」
「うん、わかった。さて、すると、いよいよ腰を据えなければなりませんな?」

 

ランズダウン侯は劉慶主席に覚悟を促しているようだ。その脇でアズラエル氏は、達観しているようにも見える。

 

「体勢を立て直す必要がある。講和交渉には応じるつもりだ。但し、あくまで向こうの条件を受諾するという話ではないがね。あの宣言で交渉すらしないと言うほど馬鹿ではないだろう。
もちろんそれを向こうが拒絶すれば名目はたつ。最低でも指揮系統を再編する時間は稼ぐ必要があろう」
「確かに」
「キャナダイン君、君には後方に引いてもらう。もちろん処分ではない。単純に司令部機能が喪失している以上、前線の指揮に耐えられまい」
「不本意ですがやむを得ませんな」
「すでに、月面の艦隊には出撃命令を出している。ヤキン攻略の総指揮は、マクファースン元帥に担当させる事になった。
キャナダイン大将はボアズ防衛司令とする。部隊再編はE.E.F.の宇宙艦隊司令部が行って欲しい。元帥到着までに必要な再編作業をしてくれたまえ」
「承知しました」
「最善を尽くします」

 

キャナダイン大将と、エーヴァーハルト大将が応じる。それを見て、脇に座っていたアズラエル氏が口を開いた。

 

「さて、今後の方針ですが、国防相閣下らと相談した結果、こうなった以上は、勝つためには致し方ありますまい。
ここまでの戦力低下を招いた以上、使わざるを得ないでしょう。核兵器の使用並びにロンデニオン共和国にはお国の最強兵器である、ハイメガ砲をの使用を要請する」

 

軍部側に緊張が走る。アズラエル氏はその空気を察して破顔する。

 

「何も、プラントに打ち込めと言っているわけではないのです。僕の経歴からでは当然だと思うでしょうがね。
それは最後の手段です。少なくとも投入戦力の4割に近い損害を受けた以上、正攻法は無理でしょう。これは、国防省も参謀本部も一致している。
ボアズの際に案ととして出た機雷排除等にも有効でしょう」

 

本多提督が不審げに問う。

 

「しかし、なぜ貴殿が口頭で述べるのです?」
「政治家におかれては、この手の発言は過激派に委ねたいというところでしょう」

 

にこやかに応じるアズラエル氏を、一同は胡散臭げに眺める。彼の素性を考えれば詮無いことだろう。
私自身は彼に大きな変化があったと思うが、あえてここで弁護するような間柄でもない。
それに、向こうにしてもだったが、軍事施設に対するこれらの兵器の使用は、この時点で使用を躊躇う理由はない。
実際にあれを破壊するにはハイメガ砲の使用しかないだろう。劉慶主席は私に視線を向けて、頭を下げてみせる。

 

「ブライト提督、異世界のあなた方を決め手とするのは心苦しい。けれどもあの兵器が存在することで狂気の宴が加速する危険がある。
ボアズ以後も軍事施設の攻撃を示唆しているが、ボアズ以外の軍事施設では民間施設と無縁なものがないのだからね。
そうなるとこちらも非常手段を執らざるを得なくなってくる。こうした言い方が胡散臭いというのであれば、もちろん、我々の勝利のためということも付け加えておきましょう。よろしく頼みます」

 

面子を重んじるであろう中華圏出身の政治家が、こうも頭を下げるとは、貸しの作り方のうまい人だ。
私はやや乗せられてしまっているという自覚を持ちつつも、応じるしかなかった。戦況はそれほど切迫していたからである。
ランズダウン侯がそれに被せるように発言した。

 

「それと、貴国に逗留していた歌姫も投入すべきだろう。ジョーカーの切り時だ」

 

ランズダウン侯はそう言うと、劉慶主席が認めているのだろう。外務大臣を差し置き、終戦への展望を述べていったのである。

 

第35話「狂気の宴」end.

 

 

【次回予告】

 

「それでは人類が滅びる!!」 

 

第36話「ヤキンドゥーエ」