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CCA-Seed_427◆ZSVROGNygE氏_37-3

Last-modified: 2015-04-21 (火) 06:03:23
 

失いし世界をもつものたち
第37話「少年の終わり青年の始まり」(後編)

 
 

しかし、我々は彼らの全滅と引き替えに貴重な進軍を果たせたのだ。
第4艦隊が攻撃に晒される間に、我々はウィラードが完成させた強固な陣形を突き崩す事が出来た。
これはザフトの右翼部隊が第4艦隊にかかり切りになっていたためともいえる。
一方でイザーク・ジュールが指揮する左翼部隊は、EEF第1艦隊に殺到した。
ここが突破されると、いよいよ後方からの攻撃も覚悟しなければならない。
そこで、第1艦隊は後退、つまり我々の進撃する方向にザフト艦隊と相対したまま後退し、
主力の外縁部を守る第6、第7と連携しようと試みた。

「第6、第7艦隊は左右に展開し、後進しながら戦線を整えろ!主力への攻撃を防げば、我らの勝利だ!!」

エーヴァーハルト大将の号令により、これまで突破した回廊で主力通過の時間を稼いでいた両艦隊は
第1艦隊の両翼に移動して後顧の憂いに備える。
ただし、その代わりに進軍する部隊には、これまで両艦隊が防いできた戦力が襲いかかることになった。

「EEF艦隊は両翼に展開し、第1艦隊並びにロンデニオン・オーブ連合艦隊を援護せよ!
 あと少しで前面を突破できる!!」

 

一方、ザフト側ではウィラードが中央の布陣を後退させ、両力の部隊を前進を命じて
陣形をより包囲体制にさせようと試みてきた。
さらには機動兵器による近接攻撃を仕掛けさせ、混戦に持ち込みローエングリンやハイメガ砲の使用を
容易に出来ない状況にしようとしたのだ。
加えて要塞側からの砲撃は苛烈を極める。キャナダイン大将は、ここで主力の機動部隊投入を決断した。

「全艦、機動戦力を出撃させろ!!!」

いよいよだ。艦橋の面々も気を引き締めている。

「よし、機動部隊を発進させる」
「了解!!全MS出撃せよ!!!!」

私は再びアムロに繋げる。

「アムロ、ともかく突破するんだ。
 いま前面に展開している戦力を排除できれば、ジェネシスは何とか出来る。
 クルーゼの件はそれからでも遅くはない」
「そうだな、ではいってくる」

そういうとアムロはカタパルトにνガンダムを移動させた。

「ガンダム、出る!!!」

νガンダムが出撃すると、次々にMSが出撃していく。これで前面は突破できるはずだ。

 

「艦長、ヤキンから予備戦力が投入された模様です!
 総数艦艇25、機動兵器は最低でも100機いる模様です!!」

向こうもここで一気に押しつぶすつもりだろう。
だが、逆に言えば、これで向こうの戦力は本土の戦力以外は打ち止めだ。

「艦長!!!ザフト予備兵力はこちらに来ません!!戦線後方を大きく迂回進撃しています!!」
「後方に回り込む気か」

オペレータの報告に私は相手の行動が目指すねらいを思考するが、
脇に控える信頼すべき部下達が次々に声を上げた。

「ハンニバルと戦うな、ということかもしれませんな」
「或いは本土防衛の戦力も統合する気では?」
「わかる話だ。だが、いずれにせよ、我々はあの迂回進撃をする部隊には対応できない。
 後方に注意を喚起するにとどめよう。先ずは前面を突破する」

トゥースが予測し、メランがそれに応じて答え、レーゲンが控えめに提起する。

前面の防御は度重なるローエングリンの波状攻撃にも耐え抜いているが、
さすがに数度の攻撃で射線上から避ける事を優先としていた。
しかし、それは戦列を崩していることを意味する。ここでの機動戦力投入は、戦線突破に有効だろう。
ただ、一方で直接指揮下の部隊に損失を招く可能性がある。
いくら熟練兵といえども、混戦では被害を覚悟しなければならない。

 

アムロもそのことは念頭にしていたのだろう。ロンド・ベル各隊に安全策を指示する。

「混戦に持ち込ませないで射撃で対応、各部隊ごとにロングレンジで落とすんだ!」

アムロの指示に応じて、さっそく各部隊の中距離支援機が牽制をはじめ、
隊列が乱れたところに容赦ないビームが降り注ぐ。ジンやゲイツが次々に火球となっていく。

「よし、崩れたところに砲撃を加えて道を作れ!!主砲!!!」

ラー・カイラムを皮切りに次々に艦隊から砲撃が加えられ、ザフト側の布陣が突き崩された。

「よし、俺のケツについてこい!!!」

連合軍の機動部隊を預かる指揮官が、デュエルダガーを駆り、切り込んでいく。
後方からはストライカーパックで多様な装備をしたダガーや、全面突破を重視して
エクスマス提督の指示でこちらにまわされたジム局隊が次々に突き進んでいった。

しかし、充分にそれを予想したウィラードの艦砲射撃とハイネ隊の側面攻撃は、
第1次攻撃部隊を各個撃破していった。

 

「やってくれるな」
「こちらが中央突破することは解っていることですからな。
 戦列が伸びたところへの側面攻撃はしてやられました。これには・・・」

トゥースが、ザフト側の戦術を称賛しつつも対応策を思案している。
突破できると踏んだけれども、我々自身の消極策が却って戦力損失を招いたところは否めない。
そこにダニエル・タイラントが叫び、テックス・ウエストは頷いて応じる。

「アムロ隊長!!!切り込みます!!!」
「・・・わかった!!リゼル隊はレーンとともに突破口を開け!!残る各機は援護射撃!!」

アムロは逡巡したが、MS乗りの矜持を信じることにしたようだ。
アムロの指示に呼応して連合軍機動部隊も援護射撃をかけ始める。

「よし、機動部隊に呼応しろ!!!先ほど崩してまだ回復しきっていないポイントに集中砲火!
 艦砲射撃の威力を見せつけろ!!!」

ラー・カイラムを中心にクラップ、サラミス各艦の砲撃がプリズムに集中する光のごとく、
一点に集まっていく。体制を整えつつあったザフト軍は次々に火球に屠られていった。

「TMSは混戦でその真価が発揮できる!God Save the Ireland!!!」
「各機は、やれることやれるときにやるんだ!」

リゼルを駆る2人の指揮官は、再び砲撃で崩した戦列に突撃を仕掛ける。

「くそっ!!ちょろまかと!!!」

ザフト側の指揮官だろうか。焦りといらだちを隠せない声が混線する無線の中で聞こえ、
同時にザフト側防御線は乱れ始める。
リゼル隊とレーンはハイネ隊の側面攻撃を回避しつつ、
ザフト軍防御線の柔肉部分ともいうべき部分をえぐり続ける。

 

「よし!!道が開けたぞ!!!続けぇ!!!」

ベアード少佐の指示と共に機動部隊が次々に進撃を開始した。
ジャックはインコムを展開し、近づくザフト隊をなぎ払い、味方ジェガン部隊を守ってみせる。
量産型νを駆る彼は、ヴェテランとして、アムロ不在のロンド・ベルを支えた機動部隊指揮官として
戦い抜いた力を持って、次席指揮官としてのつとめを果たす。

「アムロ隊長!!!リゼルの削った部隊が立ち直る前に、オールレンジ攻撃で回廊を作り上げましょう!!
 くわえて側面攻撃を牽制するのです! ジェガン隊は止まったらやられます!!
 自分と中佐、クワトロ大尉、キラでやれば!!!」
「そうであるか!!!」

νガンダムは、少佐に応じるようにファンネルを展開し、
ジェガンやダガー部隊に砲撃を加えようとした艦艇を撃沈させた。

「レーン!!突破したら戻ってくれ!!ブライト!!!艦隊を!!!」

アムロの言葉に呼応するように、艦隊が前進する。
連合軍のドレイク級の部隊が機動部隊と共に浸透し始めた。
そこに後方から友軍が到着する。切り裂きエドたちだ。

「第7艦隊機動部隊!!突入部隊に合流する!!」

ラー・カイラムの脇をすり抜け、徐々に壊れつつある戦線へ赴く。
しかし、ウィラードはある段階でこのこと想定していたのだろう。後方戦力で陣形を再編し始めたのである。

 

※※※

 

ようやく我々が突破口を開き、いよいよ本隊を突入させようとしたとき、
参謀長が相手の戦術分析を終えてコンピュータに入力した。

「司令、連中の目論見はこうです。後方を迂回進撃していた予備戦力が、大きく時計回りをして
 右翼に再布陣するつもりでしょう。これでは左翼方面からかなりの攻撃を受ける危険があります」

メインモニターにザフト軍予備戦力の予測進路を映し出す。

「後方のEEF艦隊で妨害は出来ないか?」
「EEF艦隊派はあくまで我々の後背を守るために布陣し、戦線を縮小しつつ
 こちらに後退している部隊です。そのうえ、こちらに機動戦力を振り分けている状況です。
 後方に留まり続けると、分断される危険もあります。おそらくそれも見越した動きでしょう」
「対応は?」
「先ずザフトの迂回進撃が完了する前に主力と後方部隊が、
 現在突破中の戦線を抜ききることが必要ですが」

向こうはそんなこと百も承知だろう。易々と許すわけがあるまい。
尤も、トゥース本人も自覚があるようだ。
通信画面に映るハルバートン提督が、参謀長の懸念も汲んで指摘する。

「こちらの突破を許せば、連中も終わりということがわかっている。
 突破をさせないために死にものぐるいで来るでしょうな。
 既に混戦でハイメガ砲の射線をとることは困難だ。
 だが、ここまで連中が追い込まれれば、例の件はうまくいきやすいかもしれない」

ましてや、ミラーを破壊されてジェネシスはしばらく無力化されている。
回復するまでに宙域を維持しなければ、ザフトの勝利はない。そうなれば・・・。

 

「艦長!!!プラント本国から艦隊が出てきました。本土防衛戦力と思われます!!総数35隻!!!」
「これで打ち止めと思いたいですな」

参謀長の言葉に各々無言で頷く。

「さすがに連合軍にプラント本土攻撃の余力なしと判断したのだろう。実際、ありはしないのだが」

しかし、こちらの戦力はほとんど疲労と消耗しているなか、無傷の艦隊が現れたことに対する
心理的な圧迫感は無視できない。

「艦長!!!ヤキンからも機動部隊確認!!!
 こないだの金太郎飴などの特機や、データにないものも確認しました!!!」
「特機部隊の投入か・・・」
「各員奮起せよ!!!連中が予備兵力を出してきたという事は、もはや向こうに増援はない!!!!」

私の檄に艦橋が引き締まる。ここでの増援は精神的な圧迫感が強いのだ。

 

「チッ、面倒なのが来たぜ!!各機へ、無理に戦う必要はないぞ!!
 俺たちの任務は、あくまで前面の突破だ!!ああいうのは、アムロ中佐や赤いのに任せた方がいい!!」
「了解です、どのみち敵が多くて対応している状況じゃないですがね!!」

タイラントの言葉に、モリオカ中尉がビームを斉射しながら答える。
彼らの進撃速度はひるむことなく突き進んでいたが、後続が追いついていない。
リッターがその危機感をあらわに叫ぶ。

「後方の部隊はまだ追いつかないのか!!!・・ぐわっ」

リッター中尉のリゼルにバルカンが命中し、噴射口が破壊され、速度が落ちる。

「リッター!!!」
「やらせるかよぉ!!!」

フィッシャーとジスカールのリゼルが、ほぼ同時にリッターのフォローに入る。
2機のリゼルのサーベルに、バルカンを放ったゲイツは胴を真っ二つにされ火球となった。

「戻れるか!?」
「出力が落ちたましたが、まだ戦えます!!!」
「バカ野郎!!乱戦での油断は死に繋がる!!さっさと戻れ!!!」

タイラントの檄に、リッターは頭を冷やして頷く。しかし、そこにオールレンジ攻撃が襲いかかった。

「ファンネルだと!!!」

タイラントがメインノズルを思い切りふかしてかわす。
リッターはそれが間に合わずに、さらにダメージを負う。

「こなくそっ!!!」

バックパックはさらにダメージを負い、速度が大幅に落ちていく。

「本体は何処だ!!!!」

混戦の最中、彼らの正面にその場で復元する機能を持つリジェネイト、
さらにはサイコミュのような装備を持つMSが、ジン・ハイマニューバを20機近く揃えて迫ってきた。

「向こうにもNTがいるとでもいうのか!」

タイラントが叫ぶ。対して、テックス・ウエストが応じていう。

「いや、あくまで似たような兵器だろう。ガンバレルがあるから、あり得たことだが・・・」

ねらいが正確すぎる。私も含めて対峙した面々が同時に感じたことだったろう。

 

「諸君はいい加減に目障りなんだよ!!!ロンド・ベル!!!」
「「クルーゼか!!」」

 

アムロとフラガ少佐が同時に叫ぶ。アムロは連合軍の支援をしつつ進撃しているので、
リゼル部隊に追いつくまでもう少し掛かる。
一方でフラガ少佐は中央突破部隊にいたため直ちに速度を上げる。

「リッターは下がれ!!俺がフォローする!!」
「了解!!」

円運動をするように、回避するリゼルは変形して後退を試みる。

「逃がさん!!」

再び、オールレンジ攻撃を試み始めるクルーゼに、リゼル部隊は思い切って距離をとる。

「既にここまで突破口は開いたのだ!!これ以上消耗する必要はない!!
 リッターを引き連れ後退するぞ!!!」

テックス・ウエストの指示は友軍の犠牲を避けるためにも適切なものだ。
それにうまくすれば敵戦力をこちらの主力にぶつけることも出来る。
果たして、クルーゼは乗った。彼自身は機体に自負があるのだろう。
だが、我々は、それこそオールレンジ攻撃をしてくる連中相手に戦ってきたのである。
実際、逃げの一手をとる部隊に、ファンネルは追いつけなかった。

「おのれ!!!」

そこに、ロンド・ベルと連合軍の主力が到着する。

「近距離戦に持ち込んで奴にファンネルを使わせるな!!!」

セネット大尉が連合軍の混成部隊を引き連れ、ザフト軍と衝突する。
ジェガン隊とダガー、ジムが次々とジン、ゲイツ部隊と撃ち合い、斬り合いを始める。
クルーゼは、後退したリゼルを深追いすることを止め、突撃してきた部隊に照準を定める。

「ふん、この集団さえ潰せば、包囲戦術は完成する!!!」

ファンネルは、ダガー部隊から火球にしていく。クルーゼは、確実性を狙っているのだろう。
リゼル部隊が後退したことで、突破力が減退していることも事実だ。
アムロ達を側面攻撃による消耗に対応させたため、クルーゼを警戒しながらも、前線に到達できていない。
レーンも既にアムロの指示の通り後退している。
憎たらしいが、中央突破部隊に対する側面攻撃は、アキレス腱であるために、
おいそれとアムロ達をクルーゼに向かうわけにはいかない。
だが、因縁浅からぬふたりがクルーゼの前に向かう。

 

「クルーゼぇ!!!!」

フラガ少佐の駆るリゼルが、ウェーブライダー形態で肉薄していく。

「貴様か、ムゥ・ラ・フラガ!!!異世界の機体を駆るとはなぁ!!!」

クルーゼは早速ファンネルを展開する。

「てめぇだけは俺の手で倒す!!!」
「そうかい!!親が子に勝てるとでも!?」
「貴様が親父面するな!!!」

フラガ少佐は、アムロとの特訓の成果なのか、一気に距離を詰めて変形し斬りかかる。
ファンネルを封じ込めようとしているのか。

「ちっ!!!」
「これで!!!」

ビームサーベルでの斬り合いで周囲に光が爆ぜた。互いに慣性的な動きで2機は離れていく。
リゼルが再び距離を詰めようとすると、側面からリジェネイトが攻撃してくる。

「邪魔すんじゃねぇ!!!!」

振り向き様にリジェネイトにビームを浴びせ、機体はコアを残して爆発した。
だが、それは、クルーゼにファンネルを使う隙を作るには十分といえる。

「さよならだムゥ・ラ・フラガ!!!」

ファンネルがリゼルを捉え、オールレンジ攻撃がその標的に向かう。

「この野郎!!!」

フラガ少佐は、初撃でメガ・ビームランチャーを失うも、変形して高機動による回避を試みる。
長い得物であったランチャーこそ失ったが、うまくよけることが出来た。
しかしながら、執拗な攻撃がリゼルにダメージを与えていく。

 

「いかん!!少佐を支援しろ!!!」

私は思わず叫ぶ。ジェガン部隊は各々が交戦中で対応できない。

「ムゥさん!!!」
「隊長!!!」

アーク・エンジェル所属の部隊と、キラが各個にクルーゼ機に攻撃を仕掛ける。

「助かったが、キラ以外は後方に引け!!!あの攻撃はおまえらじゃ無理だ!!!」
「しかし隊長!!!」
「その機体の損傷じゃ!!!」

ボン中尉とユリア少尉が口々に叫ぶ。

「俺なら、まだ・・・!!!」
「部下思いだな!!!だが!!!」

そういうと、ファンネルはふたりに攻撃を仕掛ける。

「いけない!!!」

キラが割り込み、フラガ少佐と共にふたりをガードするが、キラはフラガよりも
オールレンジに不慣れであった。そのため、フラガ少佐の部下に被弾を許してしまう。

「ぐわっ!!!」
「きゃあ!!」

ユリアは右手を、ボンは左足とシールドを腕ごと持っていかれた。

「ははっ!!!いくら異邦人とはいえ、これらはそうそう対応できまい!!!死ねっ!!」
「「くっそうぉぉぉぉ」」

フラガ少佐の叫びに呼応したのか、セネット大尉とラー・カイラム直属のジェガン隊が割り込んできた。

「やらせるかよぉぉぉぉ!!!」
「なにっ!!」

セネットとその指揮下のジェガンは、中破した機体をかばいつつ、クルーゼ機に一斉射撃をかける。

「気が散れば連射も出来ねぇだろ、シャアもどき!!!」
「フラガ少佐はこの隙に後退を!!!」
「ファンネル相手なら任せて下さい!!!」

頼もしい部下達だ。私の胸は喜びに満たされる。しかし、それはほんの一瞬に過ぎなかった。

 

「俺を忘れんじゃねーよ!!!」

リジェネイトの大型ビームが、彼らのガードを突き崩す。

「んだとぉ!!」

完全に不意を突かれた。ミカエル・ソクラテス中尉のバックパックに命中する。
それは、MSにとって機動性を失うことに直結する。

「ミカエル下がれ!!!」

セネットの叫びに、ミカエルは覚悟を決めた声で答える。

「ここで下がったら、ユリアちゃんを見捨てちゃうじゃないですか。
 いい女を守って戦うなんて、人生そうそう無いんです。
 ・・・やらせて下さい。シンの親父を助けられなかった俺もこれで相殺ですよ・・・」
「おまえ・・・」

機体そのものにダメージがあり、本人も負傷していたのか。
フラガ少佐とセネットが苦虫をかみつぶした声で答えた。

「すまん・・・」
「・・・後退支援頼むぞ」

ユリア少尉が叫ぶ。

「ソクラテス中尉!!!!」
「ムハンマド、頼むぜ」

イブン・ムハンマド中尉は無言で応じる。ビームが乱れ飛ぶ中で、彼はボンとユリアを後退させ始める。

 

「逃がすと思っているのか!!!」
「甘いぜ!!!ロンド・ベル!!」

クルーゼと、リジェネイトが追撃を仕掛ける。

「うるさいぞ変態どもが、お前等みたいな奴に戦友を殺させはしない。そうでしょう?少佐、キラ」
「そうだな」
「ですね」

大破したジェガンと小破したリゼル、そしてフリーダムをクルーゼとリジェネイト、
加えて彼の護衛らしき部隊が囲み始める。

「メラン、支援は回せないか!?」

私の言葉に、トゥースが代わりに答える。

「各戦線の維持で手一杯です!!!
 ようやく後続が追いついたおかげでアムロ中佐の部隊がむかっていますが・・・」

間に合わない。私は歯ぎしりしてモニターを見つめていた。
損傷機を収容したリゼル部隊は補給中である。確かに我々は半包囲下、いや、半ば包囲の中にある。
それを突破するために前進し、作り上げた回廊を維持しなければならない。
我々はまさにカンナエのローマ軍に近い状況である。
クルーゼを引きつけたことで、連合軍の一部とベアード指揮のジェガン部隊は敵の後方まで浸透できた。
こうして考えている間にも、艦隊そのものも攻撃に晒されている。
両舷からの挟み撃ちにあっているので、その対応に追われていのだ。
前面の敵は鶴翼陣のように布陣して中央を後退させて両翼を左右に広げて挟み込んでいる。
私は覚悟した。

 

「させるかよ!!!少佐ぁ!キラ!!リジェネイトを潰す!!頼むぜぇ!!!」

本体のスラスターで姿勢を制御したジェガンは、グレネードを全て打ち出して、ビームサーベルで突進する。

「ふん、所詮は量産機!!」

リジェネイトはグレネードに対応しつつ、突っ込んでくるジェガンに照準を合わす。
さらにクルーゼのファンネルが、ダメージを与えようと襲いかかる。
そこにフラガのリゼルが、ビームライフルでクルーゼを牽制した。

「貴様に中尉の花道を汚させはさせん!!!」
「さかしいぞ!!だが!」

数発のファンネルが、数機のジンが、ソクラテスのジェガンに砲火を集中する。
バランスを崩しながらも、リジェネイトに向かう。

「邪魔はさせない!!!」

キラの一斉射撃がジンの部隊を牽制する。

 

「何で落ちない!!!」

リジェネイトのパイロットは、ダガーならばとっくに火球になっているだろうダメージに驚愕しつつ、
変形してパーツの一部を投げ出しソクラテスに叩き付けようとする。

「さかしいぜ!!!」

ジェガンのサーベルはそれを真っ二つにしてリジェネイトに斬りかかる。
ひとつめ部分を熱で溶かしてリジェネイトはついに破壊したかに見える。

「コア・ユニットはどれだ!!」

鬼気迫る彼の叫びにひるむごとく、コア・ユニットが逃げるそぶりを見せる。

「それかぁ!!!」
「びびっていると思うのかクソ野郎・・・なんてなぁ!!!」

直後、リオジェネイトはミラージュコロイドで雲隠れする。

「このやろうっ!!!」

ソクラテスが叫ぶと同時に、キラの攻撃をくぐり抜けたジン・ハイマニューバが、
リジェネイトの機体とジェガンの大破部分に攻撃を命中させた。

 

「・・・っぷぁ!しまらねぇな・・・ソートン隊長・・・俺も人並みに守れましたよね」

 

その言葉を言い切るのが早かったのかはよくわからない。
だが、ソクラテス中尉の最後の思いは我々の心に刻まれた。

 

「へっ、切り札はこうして使うもんだぜ」

ミラージュコロイドを解いて、リジェネイトは再び元の状態に戻り、
クルーゼはキラと少佐を挑発してみせる。

「どうだ、ムゥ・ラ・フラガ、キラ・ヤマト!!その無力さを味わう気分は!!」
「クルーゼェェェェェ!!!」
「ラウ・ル・クルーゼ!!!僕はあなたを許すことが出来ない!!!!」

フラガ少佐とキラの反応に、クルーゼは心からの喜びで応じる。

「君たちの感情は私にとってはよろこびだよ!!!」
「ラウ・ル・クルーゼ!!!あなたという人は!!!」
「キラ君!!!私を恨むというなら間違いだよ!!!こうした世界が現実にあるのだからね!!!
 まもなく世界も終焉を迎えよう!!!数多ある予言の日が来たのだ!!!」
「うるさい!!!怨念だけで人は生きているなどという、弱い男が言うことか!!!」

キラは、そういうとジンを排除しながらクルーゼに接近戦を仕掛けようとする。
そしてフラガ少佐も呼応した。
しかし、リジェネイトとファンネルは彼らの行く手を阻む。

「そんな機体で私に勝てるかな!!ムゥ!!そしてキラ君!!!」
「その口を閉じやがれ!!!」
「あなたが言うほど、人間は弱くも、醜くもない!!!
 人は、人と人がわかり合おうと努力すれば、変わることが出来る!!!」

リジェネイトとファンネルの攻撃は、次第にキラと少佐を追い込むかに見えた。
事実、ファンネル攻撃は、キラのフリーダムをついに捉え、その羽をもぎ取りつつあった。

「はははははは!!私に説教して見せてこれかね!!!」
「くっ!!!僕は負けるわけにはっ!!!・・・いかないっ!!!」

キラは損傷しながらもフラガと背中を合わせてクルーゼの波状攻撃に対応してみせる。
しかし、リジェネイトのミラージュコロイドを駆使して行う攻撃は徐々に彼らの機体に損害を与えつつある。
そしてついに2機をファンネルが捉えるかに見えた。

「さよならだ!キラ・ヤマト!!ムゥ・ラ・フラガ!!!」
「「くっそぉおおお!!」」

 

そこに、一筋のビームがファンネルを打ち落とし、別の方角から放熱版のような板が、
フリーダムを囲むようにバリアを張った。

「よくいったな。キラ」
「かっこよかったぜ?だったらケリつけなけりゃな」

アムロとレーンが、ついに間に合ったのである。

「アムロさん!!!レーンさん!!!」
「アムロ・・・すまねぇ・・・」

νとペーネロペーは、ペーネロペーを半ばSFS代わりに駆けつけたのだ。

「ラウ・ル・クルーゼ!!!まだ人類は貴様ほど絶望しちゃいない!!!
 貴様のエゴに人類を巻き込むな!!!」
「貴様みたいな奴に、人類の未来を好きにさせてたまるかよ」

νガンダムとペーネロペーは、ライフルをマウントするとビームサーベルを手に持つ。

「この世界の異分子が人類を語るのか!!!!!笑わせるな!!!!」

クルーゼはそういいつつも不利を悟り、後退して距離をとり、ファンネルと護衛を前面に出す。

「レーン!!!リジェネイトは任せる!!!キラ、ムゥ!!!俺に続け!!!」
「「「了解!!!!」」」

そういうと各機が各々展開する。突き進むνの両脇にフリーダムとリゼルが続き、
レーンはリジェネイトに向かう。

「はっ!!!特機が来ようと!!!」

リジェネイトがジンに攻撃させつつ姿を消す。攻撃の時まで隠れる算段であろう。

「賢しいんだよ!!!!」

レーンは、ファンネルを展開させるとジンを次々に火球にする。

「死ねぇ!!!」
「そこだっ!!!!」

ペーネロペーは敵意を感じて振り向き様にリジェネイトを打ち抜く。

「ばけものか!!!だが!!!」

リジェネイトは再び分離して逃走するかに見えた。
だがレーンは、ミサイルを駆使して後方から来た予備パーツを火の玉にする。
それでも、なおも大量に来るパーツに、レーンは戦局を見通して叫んだ。

 

「大尉!!!!」
「間に合ったようだな。いつまでも同じ手口が通じると思わんことだ」

 

クワトロ大尉が追いつき、コア・ユニットに照準を定める。

「なっ!!!」
「貴様らが二手三手読むのであれば、我々は四手五手読むだけのことだ。
 いつまでも、もどきにでかい面をさせるわけにはいかないな。レーン・エイム!!」
「退避などさせん!!!!」

クワトロ大尉の放ったバズーカとレーン・エイムが放ったメガ粒子砲はコア・ユニットに直撃し、
その光はミカエル・ソクラテスへの手向けとなった。
リジェネイトのパイロットが最後に何を思ったか知るよしはない。

 

アムロはというと、その絶妙な感覚で護衛のジンどころかファンネルをたたき落としてクルーゼに迫る。

最初に現れたファンネルはアムロのビームライフルに捉えられて火球となった。
第2射がジンを落とすと、その隙を突いてクルーゼがオールレンジを試みる。
するとアムロは回り込んだファンネルを自らのファンネルで落とす。
続けてシールド・ミサイルで牽制とファンネル撃破を同時にしてのけた。
さらにそれにひるむ護衛ジン部隊をキラとフラガ少佐がすかさず撃墜して、にわかにクルーゼは窮地に陥る。

だがそのとき、ナスカ級がアムロ達に割り込んできた。

「割り込め!!!隊長を死なせるな!!!!」
「ちぃ!!!」

アムロは艦橋と砲塔にライフルを命中させて船を無力化するが、クルーゼの逃走を許す結果となった。

「くそっ、ここで決着をつけられないとはな」

フラガ少佐が吐き捨てるように言う。

「ああ、だがムゥ、後退して補給と応急修理を受けた方がいい。キラもな。
 レーン、シャア!!他の支援に向かうぞ!!」
「了解!!」
「わかった!」

彼らがこうしてクルーゼとの戦いをしていた頃、戦局全体は新しい段階へ移行しつつあった。

 

※※※

 

ザフト軍の必死の抵抗は、連合本隊や我々を徐々に消耗させ始めていた。
クルーゼの後退で正面をついに崩せたが、そこを押さえようとする力と突破部隊の交戦は
泥沼の様相を見せ、その間に少しずつ艦隊戦力を減らし始めていた。
この混戦を見てザフト側はあえて突破された空間を開かせ、突き崩した出口に要塞砲と連携した
十字砲火ポイントを作り、連合軍の突破部隊に損害を与えていた。
覚悟していたとはいえ、指揮下の機動部隊の3割が補修と緊急整備で前線投入が出来ない。
しかも、帰還したパイロットの何名かは負傷して復帰も困難な状況である。
光波防御帯がなければ、艦艇にも被害が出ていたことだろう。

 

連合本隊とオーブ艦隊は、既に撃沈が続出してその戦力を減少させていた。
キャナダイン大将が檄を飛ばす。

「密集しろ!!!!装甲の厚い艦が装甲の弱い艦の盾となるんだ!!!光波防御帯も活用せよ!!!」

ハイメガ砲を撃たせる暇も与えない。艦隊が前進して十字砲火ポイント周辺に集結しただけ、
ザフトの包囲網も狭まり周囲からの砲撃も苛烈になっていたのである。
だが、防御に徹することで後方のEEF艦隊が追いつきつつある。
集結した戦力で再度突撃を敢行すれば突破できるだろう。
艦隊司令部もそう踏んでいるからこそ、密集して防御に徹しているのだ。
包囲攻撃下では、全方位へ警戒と対処をしなければならない。
私はアムロとレーン、キラ、クワトロ大尉の臨時小隊とリゼル部隊を遊撃部隊として
各戦線に投入して対処させる。

 

ぐらり、艦艇が揺れる。ついに一部砲火を旗艦へと許している状況だ。

「光波防御帯があるとはいえ、旗艦に攻撃を許す羽目になるとは・・・」

メランが疲労の色を隠して愚痴る。トゥースは悔しさをにじませていう。

「なまじ突破できそうだと思わせ、誘い込まれているところがありますな」
「だからこそ艦隊司令部は戦力低下を避けて、後方の部隊が合流するまで待っているのだろう。だが・・・」

EEF艦隊とて後詰めで消耗している。次の突撃でケリを付ける必要があるか。
私が総司令部と通信を考え始めたとき、新たな報告があがった。

 

「艦長!!!!プラント本国から、さらなる艦隊を確認!!!
 ・・・いや、これは・・・エターナルです!!」
「何だと!?」
「間違いありません!!!エターナル艦隊、プラント本国から急速接近中」
「成功したのか!?」

ユウナ・ロマの叫びは願望もにじませていたものだった。
果たしてそれは、その願望に答える言葉が戦場に響いた。

 

「連合、ザフトは戦闘を停止せよ!!」

外相アイリーン・カナーバの声である。

 

「プラント最高評議会は先ほど、議長不在であるが地球連合軍との一時停戦協定に同意した!!!
 議長の地球攻撃案件は、人類がすべき判断ではなく正常さを欠いているとの結論に達した!!!
 直ちに戦闘を止めよ!!母なる星を滅ぼしてはならない!!!!」

 

カナーバ外相等主導のクーデターが本土で成功したのである。
ザフトは戦力を全てこちらに投入したために、結果的に本国の守備が甘くなっていたので、
彼らに有利に運んだのだ。

ザフトは一瞬、混乱を見せるものの、連合軍の猛攻にさらされている部隊などは、
動揺など見せようものなら即座に原子へと還元されてしまう。
すぐに立ち直ったのは、彼らの生存本能なのか、それともウィラードとハイネの統率なのか。
そこに、外相の宣言に続いてクーデターの軍事的主導者となった、
アスラン・ザラの叫びが戦場にこだまする。

 

「ザラ議長がこの期に及んで人類に地球が不要というならば、それはもはや政務担当能力を失うほどの
 錯乱状態にあると考える!!!人類の故郷を人類の手で滅ばすわけにはいかない!!!!
 これより議長を拘束する!!!これはフェイスとして、正当な権限行使である!!!」

 

カナーバ外相もアスランもこれが逃れようもない利敵行為とわかっていた。
それでも人類を滅ぼすよりかはという思いで叫んだのだろう。
そして、歌姫が切なる願いを訴えた。

 

「みなさん、私はラクス・クラインです。
 私たちの未来は、地球という美しい水の星を失って得るものではありません!!!
 これは、ナチュラル、コーディネーター、異邦人であろうと変わりはないのです!!!
 その証明に地球に対する思いを、異邦人達の言葉で伝えたいと思います!!
 ・・・全ての戦場にいる兵士のみなさん、聞いて下さい!」

そういうとエターナルからオープンチャンネルで、曲が流れ始める。私たちの世界で流れた、あの曲が。

 
 

    蒼く眠る水の星にそっと
    口づけをして生命の火をともすひとよ
    時間という金色のさざ波は
    宇宙の唇に生まれた吐息ね
    心にうずもれた優しさの星たちが
    炎をあげ呼び合う・・・
    波間さすらう難破船のように
    もう泣かないで
    いまあなたを探している人がいるから
    お前に逢いたいよと

 

    愛はた多分誰かのためそっと
    捧げられた永遠い祈りなのね
    人はひとりではいられない
    淋しさの星座から
    こぼれた花片だからね
    あなたが祈るたび
    宇宙に帆があがる
    優しさにひかれて
    蒼い眠りを解かれた美しい星よ

 

    もう泣かないで
    いまあなたを探している人がいるから
    お前に逢いたいよと

 

    もう泣かないで
    いまあなたを探している人がいるから
    お前に逢いたいよと

 
 

「・・・私たちは、青く美しい星への思いは共有できるのです!!
 どうか、ナチュラルでもコーディネーターでもなく、異邦人でもない。
 人類としての思いで一度、一度でいい、この状況を回避して欲しいのです!!!!」

 

歌の力だけが作用したわけではなかろうが、ザフト軍の一部、特に後方から包囲して
必ずしも攻撃に直面していなかった部隊が攻撃をゆるめた。
なにより、プラント本国で事実上のクーデターが生じたのだ。
カナーバ外相の言葉に対して、双方の軍は引っ込みがつかない状況であったが、
ラクス・クラインの歌で少しずつ砲火はゆるみ、ついに実質的な停戦に至った。

「下手に刺激したら泥沼だ」

キャナダイン大将も構えこそ解かないが、一発の砲火が最悪の事態へ向かう事をよく承知していた。

 

しかして、肝心のヤキンからは音沙汰がない。双方の軍はその奇妙な停戦を不気味に感じていた。
両軍は動くに動けない。あくまで偶発的に生じた停戦状況なのだ。

連合よりも動揺するザフトにヤキンから放送が流れたのは3分後のことだ。

 

「ザフト将兵の諸君!!!プラント本国は売国奴により乗っ取られたようだ!!!
 我々は相対する連合を殲滅し、返す刀で叛乱勢力を抹殺するのだ!!!」

 

ラウ・ル・クルーゼである。
その背後には眼をつむり、深く憂いの表情で祈るように手を組むパトリック・ザラが見える。
なぜ自らの言葉を用いないのか。

「ラウ・ル・クルーゼ!!!!父上・・・いや議長!!!あなたに人類を滅ぼす権利はない!!」

アスラン・ザラが、エターナルからジャスティスで出撃して叫ぶ。

「将兵諸君!!!アスラン・ザラは乱心した!!!叛乱艦隊は寡兵だ!!一気に押しつぶせ!!」
「クルーゼェ!!!」

アスランの絶叫に、ザフトは困惑を隠さない。キャナダイン大将から通信が届く。

 

「ブライト司令!」
「閣下!!」
「これぞ最後の好機だ!!!全ての責任は私がとる!!!
 連合軍はこれよりザフトに通信を呼びかけつつ突撃する!!!
 当方は地球防衛戦力としてジェネシス排除を行うと!!!
 これを阻むものは人類社会、文明秩序の敵としていかなる理由があろうと排除する!!
 外相にも停戦はジェネシス排除を行う後にすると通達する!!これが最後の戦いだ!!!」

 

私は即座に応じる。これが決まれば大勢は決する。

「わかりました、全ての戦力を前方に向けて突進しましょう!!」

カガリ女王も同様に気勢を上げる。

「これで全てを終わらせよう!!!!オーブ全将兵は奮起せよ!!!」

疲労していた将兵に光が宿る。各々が決意したのだ。そして、少年は決意する。

 

「アムロさん!!!ヤキンに突撃しましょう!!!
 ここで議長が何も動かないとなると、やはりクルーゼが何かしたのではないかと思います!!!」
「そうだろうな!!」
「僕は奴を倒します!!そうすることが僕に今できることだから!!!!」
「ああ、今度こそ、決着を付けよう!!!
 ブライト!!!俺たちロンド・ベルはヤキンに向かおう!!!
 この調子なら残存戦力でもジェネシスは落とせる」

 

親友の覚悟がキラにしっかりと響いたのだろう。
キラの思いだけでなく、戦術上においても、要塞砲を黙らせる必要はある。
それに奴がいる限り、この状況を打破することはもはや難しいだろう。

「よし、キャナダイン大将には陸戦要員もこちらに回させるよう連絡!!
 これよりロンド・ベルはヤキンに突撃し、抵抗戦力を撃破する」
「司令!」
「艦長!!!!」

私の決断に両脇のふたりは振り向いて抗議する。

 

「キラとアムロの判断は正しい!!!奴がいる限り、我々自身も安寧の日々はないだろう!!
 奴を排除し、この戦を終わらせる!!!」

 

私は、戦場の熱に身を任せた自覚があった。
それでも、奴には我々にしてきた事への報いをくれてやる必要がある。

 

「お前さんだけに良い格好はさせないぜ」
「奴には我慢ならないからな」
「俺たちのマジを見せつけないとな」
「決着を付けよう」

レーン・エイムを皮切りに、パット、マツバラ、エリアルドたちパイロットが口々にキラに賛同し始める。
キラ・ヤマト、彼は少年の殻をやぶり、青年となったのだ。
私は場違いな感情を抱かずにはいられなかった。

 

そして、もうひとりの少年の覚悟が戦いを終局に導くことになる。

 

第37話「少年の終わり青年の始まり」end.

 

 

【次回予告】

 

「どうしてとなげくのではなく、僕たちはこうなった世界に対して変えていく努力をしていくんだ」

 

最終話「終わらない明日へ」