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CCA-Seed_427◆ZSVROGNygE氏_38-2

Last-modified: 2015-05-25 (月) 01:14:08
 

失いし世界をもつものたち
最終話「終わらない明日へ」(中篇)

 
 

アムロ達と別れた我々の方でも混戦は続く。
実は、ジェネシス陥落の時点で、イザーク・ジュールはアスランと協議して
状況確認のためにも停戦を申し入れていた。
これにキャナダイン大将は即座に同意して、こちらの戦線は片が付くかに見えた。
ところが隠れジェネシスの登場は、サトーら抗戦派に戦闘意欲を惹起させ交渉は失敗に終わってしまう。
イザークは、無念のほぞをかみながら祖国防衛線に参画する。
サトーの檄はイザークにとっても邪魔なものであったろうが、
この状況で妥協することは政治的にも不可能だろう。
それでもイザークは、連合軍との抗戦を自分たちに任せて、残りの全軍を我々へと差し向けさせた。
これにはアスランとのプロレス的意味合いもあっただろう。
そして主戦派を丸ごとこちらに向けることで、我々に過激な連中を排除させる魂胆ともいえる。
もちろん、数の暴力で撃破できればそれはそれで、
ザフトが戦後処理で優位に立つくらいは考えたかもしれない。

その結果、我々はザフト残存戦力の大半を相手にする有様になったのだ。
もちろん、連合軍もただ包囲を許すわけがなく、EEFのエクスマス提督と本多提督が
後方から包囲を崩すべく攻撃を開始する。
だが、イザーク部隊との交戦や包囲を防ごうとする部隊との交戦、そして疲労からうまく突破できずにいた。

 

こうして我々は、完全に包囲の中にある状況だ。私は休ませていた全機動部隊に出撃を命じる。
指揮をするのは、ジャックとセネットだ。

「すまない、アムロがいない中で無理をさせる」
「ブライト艦長、何を言うのです。アムロ隊長がいないとき、俺たちがこの船を守り続けたんですよ」
「ええ、奴らにロンド・ベルが白い悪魔だけにあらずと思い知らせてやります」
「ふっ、アイルランド人は粘り強いさが信条だぜ」
「・・・こういう時こそ僕たちが支えるときですから!」

タイラント大尉とウエスト大尉も緊張しつつ、覚悟を決めた精悍な顔を見せる。

 

彼らだけではない、頼もしい各艦のパイロット達も続く。
「そのとおりだなエドワード。ここには元ティターンズとエゥーゴのエースがいるんだ。
 下手な部隊じゃ、手に負えないってことを思い知らせてやるさ。なぁ、エミリオ」
「ああ、その通りだエリアルド」
「さすがはエリアルド隊長ね!!!」
「ハンター隊長にいいところ、見せなきゃね?」
「・・・おまえんとこの部下、もう少しどうにかならんのか」
「・・・諦めたよ」

年齢よりも若く見えるエリアルドが、年相応のため息をつく。

 

一方、ルイズ・キョルショー大尉が発憤して構える。

「あたし達がいるのに、他の部隊に目移りするなんて、失礼だってことよね」
「「「姐さんのおっしゃる通り!!」」」
「こんな時までやめなさい!!後でひっぱたくわよ!!」
「「「よろしくお願いします!!!」」」
「言ったわね!!!後悔させてやるんだから!!!」

 

やっぱりしまらない。いや、あえて普段のように振る舞い、
最後まで気のいい戦友と共にあろうという気持ちなのかもしれない。

 

各機体は交戦状態に突入し、ザフト軍の包囲攻撃をはねのけるために奮戦する。
最初の突撃をはね除けると、ザフト軍は陣形の乱れを利用して混戦に持ち込み分断撃破を目論んできた。

「クルーゼ隊に要請してドラグーン装備部隊をこちらにも投入せよ!!!このやり方は有効だ!!!」

混戦の中でそういった初老の男の声が傍受される。
こちらとしては、そのやり方にむざむざやられるわけにはいかない。

「TMSは近場の艦艇を攻撃不能にせよ!!!沈めなくてよい!!
 決め手を潰せばどうにでも対応できる!!!」

要するに、火力の大きな兵器を排除するのだ。
リゼル隊は、パイロットの疲労や機体の損傷から、6割程度の稼働率だが各艦相手に奮戦してみせる。

 

「僕たちが、ラー・カイラムを守ってみせる!!みんな踏ん張るんだ」

珍しく、熱くなったテックス・ウエスト大尉が部下を鼓舞する。
彼は元々情熱を内にこもらせるタイプの男だが、仲間の危機により奮起したのだ。
果たして、リゼル隊は乱戦のために機動力が十全に発揮できない。
それでもヴェテラン達は、危険を可能な限り排除して見せた。

「さすがウエスト大尉だ!エミリオ!!!」
「遅れるなよエリアルド!!!」

言うと、ふたりは部下には支援射撃を指示したうえでザフト軍に突撃する。
エリアルドが大型ミサイルを全て撃ち出し、その大きな爆発にザフト軍の編隊が乱れる。
そこにボティ大尉がビーム・ライフルを斉射して目前でバランスを崩したジン1機を火球にすると、
腰のハンドグレネイドを射出して右手からくるシグーに直撃させる。
そこにミサイルパックをパージしたエリアルドが、同じくライフルを
編隊の隊長と思われるシグーに狙いを定めて撃墜する。
続けて左手に持ったビーム・ジャベリンをその僚機に投げつけて串刺しにする。

「いい加減に頭冷やせ馬鹿野郎!!!」
「お前らの上があんなに馬鹿してにまだ闘うか!お前たちの掲げる旗はなんだったんだ!!!」

エリアルドのスタークとボティのジェガンが背中合わせで回転しながら周辺に乱射してかき乱す。
エリアルドはマウントしていたメガマシンキャノンを左手に持ち、
ボティはライフルを左手に持ち替えて、エリアルドに渡された拡散バズーカを撃ちまくる。
ふたりのコンビが肉薄を試みる機体を次々に撃破していく。
ザフト側は躍起になったようにふたりに襲いかかるが、部下達がそれを許さない。

「隊長をやらせるなぁ!!!」
「落ち着け!!!後方から援護射撃して無理にあの混戦に踏み込む必要はない!!
 リゼル隊もいるんだ、直接的な支援は彼らに任せ!!!」

セネット大尉が突撃しない部隊をまとめて支援射撃をさせる。
こうして包囲体制の中で我々は決定的な打撃を与えさせないままに戦闘を続けたのだった。

 

しかし包囲下にあるために、光波防御帯で友軍を守るには限界がある。
少しずつ、光波防御帯を持たない連合軍のアークエンジェル級などに被害が出始めた。

「光波防御帯は持ちそうか?」
「オーブ艦隊と連合軍のアークエンジェル級を守るために負荷が増大していますからな、
 各艦ともに限界に近いと思われます。このままではいずれ・・・」
「包囲網は突破できないか」

「正面でなければ。しかし、それではいつまでもヤキンには迫れません」

参謀長と議論していると、スミス参謀が意見を具申してきた。

「司令、意見具申があります」
「何か?」
「EEF所属艦隊は、後方から半包囲を試みていますが、
 包囲網を突き崩す方法に変更すべきであると考えます。
 ネェル・アーガマ隊も後方から来るのです。二点同時攻撃を行えば、この包囲攻撃は和らぎましょう」

トゥースが首肯して答える。
「このまま、陣形を広げて連合軍には半包囲させた方が後方撹乱にならないか?」
「こちらがそれに耐えられる時間がないかと思います。
 われわれならまだしも、連合とオーブの艦隊は間もなく限界かと思われます。
 この際、拙速であろうとも、敵陣を突き崩して、組織的な攻撃を困難にさせるべきです」
「なるほど、貴官の言う通りだ。司令?」
「ああ、連合軍総司令部に支援要請だ!!!」

 

連合軍部隊は、こちらの要請に応じて攻撃を開始する。
さらにイザークの部隊がアスランの部隊と戦う隙をつき、連合軍本体から機動戦力を
こちらに回して支援を試みたようだ。
キャナダイン提督も、できうる限りのことをしてくれたのだろう。
アーガマ隊も包囲陣後方に取り付き、こちらと合流すべく攻撃を開始した。
これが成功すれば、状況は好転するはずであった。

 

だが、恐れていたことがついに起きた。
ついに、オーブ艦隊は攻撃を支えきれずに彼らの防いでいた戦線は崩壊をはじめた。
もともと包囲攻撃下にあり、光波防御帯によるフォローは行き届かない状況になりつつあったのだ。
オーブ軍はこれまで十分奮戦したといえよう。

オーブ軍を切り捨てた防衛線の再構築が必要だ。この状況では救援どころではない。
私がそう決断しようとしたとき、オーブ艦隊旗艦クサナギから通信が入ってきた。

「ブライト司令、こちらの状況がいよいよ危険になってきた。
 カガリをラー・カイラムへと移乗させたい!!
 彼女はMSも使えるので下手なシャトルよりかは安全にそちらへ行ける!!」
「ユウナ!!!」
「有無を言わさないよ、カガリ。ここで君が死んだらオーブは終わりだ。
 僕も死にたくないが順番はある。君が最優先だ。僕も男の子でね、意地は張る。司令、よろしいか!?」

艦橋の視線が集まる。選択肢などありはしないだろう。
何より、ユウナ・ロマの決意した顔に心動かされた。

「いいでしょう。すでにそちらは危険な状況だ。
 カガリ・ユラには艦を脱出し、残存部隊機動戦力の一部とこちらに来てもらいましょう。
 だが、ユウナ・ロマ、貴方も艦隊戦力を後退させて、防衛線を整えてほしい」
「僕も死にたくはないので最善は尽くすつもりです。
 なにぶん机上の男なのでね、うまくいくかどうかはわかりません。
 ですから提督、カガリはわがオーブにとって篝火なのです。頼みます」
「武運長久を」
「長くなくてもいいですよ、ここさえしのげれば・・・」

 

そこにさらに危機感を呼び起こす報告があがってきた。

「艦長!!!クルーゼです!!!
 これは・・・クルーゼ機と同タイプの機体が12機ほど接近してきます!!!
 そのうえ、機動兵器多数!!ナスカ級8隻も随伴してきます!!!」

その報告に、画面のユウナだけでなく、各々が緊張する。

「迎撃!!!弾幕!!!」

号令に呼応した、オーブ軍のM1が次々に火球となる。
クルーゼは戦線崩壊をしたオーブ軍方面から、自らの子飼いと共に鋭く切り込んできた。
オーブ軍はそれでも迎撃を試みるが、もはや組織抵抗が可能な状況ではない。
クルーゼは、そのままカガリたちの方向へ突き進む。
オーブの戦士たちは、自らの君主のために、さながらワーテルローにおけるナポレオン近衛兵のごとく、
その身をささげて散っていく。
カガリは無念のほぞをかみ、後退しながらビームを打ち続ける。

「おまえたち・・・くそぉ!!!」
「カガリ様!!!ここはわれわれが防ぎます!!!」
「明日のオーブのために、お逃げください!!!」

そう叫んだふたりの戦士は、他の兵にカガリをゆだねると、反転して突撃する。
しかし、オールレンジに翻弄されて光の粒子になった。

 

「私は、彼らの犠牲に見合う何かをできるのか・・・」
「考える前に、この世から消えるがいい!!!」

クルーゼはこちらを追撃するついでに、カガリを亡き者にしようとするつもりだ。

「いかん!!!!右反転!!!本艦を前に出す!!!直掩隊は続け!!!!」

ここで、カガリを死なせるわけにはいくまい。そう考えたのは私だけではなかった。
ユウナ・ロマはクサナギをクルーゼとカガリの間に割り込ませる。

 

「カガリは早く、ラー・カイラムへ!!!」
「ユウナ!!!」
「さかしいぞ、ボンボン息子!!!」
「黙れ!!! 私はオーブ氏族のユウナ・ロマ・セイラン!!!
 貴様のような男にさげすまれるいわれはないッ!!! 艦長!!!打ちまくれ!!!」

 

クサナギはすべての兵器を持って迎撃を開始して、クルーゼを一瞬後退させる。
だが、後ろに控えた部隊の攻撃を受け、クサナギは被弾し中破する。艦橋近辺にも着弾したようだ。

「ユウナッ!!!」
「あのバカ息子!!!恰好つけやがって!!!」

到着したセネット大尉ら直掩隊が、一方がカガリを囲み、もう一方はクサナギ周辺に展開してみせる。
クルーゼは一度後退すると直ちにこちらへ襲いかかってきた。

「クサナギは本艦の後ろへ下がれ!!!」
「艦長!!!直掩機が分散させられてしまいました!!!危険です!!!」
「だが、ここで本艦が前に出なければ本当に部隊が瓦解する!!!」
「集中砲火!!!!!きます!!!!」
「防御帯で持たせろ!!!!」

前に出ると、ナスカ級の一斉射撃が着弾する。艦全体が大きく揺れた。

「まだ持つ!!!味方は!!!」
「後背の敵も全面攻勢に出てきました!!!こちらに回す戦力なし!!!」
「クルーゼ隊の部隊が、クサナギとカガリ機に殺到!!直掩がこちらにこれない!」

包囲が狭まり、相討ちを避けるために艦砲射撃が弱かったり、控えられていることが救いだな。

「主砲!!!焦点拡散!!!クルーゼを近づけるな!!!」

本艦両脇に陣取る、ジェガン重装型も長距離砲で牽制のため乱射を始めた。

 

「ようやくこの時が来たな。母艦をつぶせばあとは烏合の衆!!!
 ブライト・ノア!!!おまえにはここで死んでもらう!!!」
「貴様などにくれてやる命などない!!!!各員奮起せよ!!!
 奴を倒せばこの戦争は半分ついたも同然だ!!!
 ウェポンズ・フリー!!!!有効射程に入ったら打ちまくれ!!」

 

檄を飛ばしながら、私はアムロたちが到着するまでの時間を稼がなければと考えていた。
次の一斉射撃を食らえば、いよいよ光波防御帯も負荷の危険域だろう。
完全に各個撃破の状況に追い込まれている。
そして無理に本艦だけで戦うことは、いらぬ犠牲を出しかねない。
すでに、オーブ軍の戦線崩壊を支えている状況でリスクは抱えているのだ。
「ナスカ級!!!第2射きます!同時にドラグーンのオールレンジくる!回避不能!!!」
「ジェガン隊!!!弾幕を張ってドラグーンをたたき落とせ!!!」

何とかいくつかのドラグーンを撃ち落とすものの、艦砲射撃は直撃を受ける。

「光波防御帯、出力80%ダウン!!!次は持ちません!!!」
「それでも展開できるうちはしておけ!!・・・休めた場合、どのくらいで再使用可能か?」
「もともと負荷がかかっている状況でした。
 冷却システムをフル回転させたとしても・・・1時間以上は・・・」
「では展開したままでいい!!!クサナギは!?」
「オーブ艦隊と合流して、中央に後退しつつあります」
「では直掩機を戻せ、カガリ君は!?」
「こちらがこの有様ということもありますが、追撃を振り切れていません。
 ですが戦況は優位です。クルーゼはこちらへの攻撃に集中している模様!!」

カガリはこちらに向かわせるよりも、ラー・キェムに回収させたほうがいいかもしれない。
私が思案をしていると、クルーゼのガンダムがついに本艦へ肉薄してきた。

 

「やらせない!!!」

ジェガン重装型が迎撃に出る。
彼らはオールレンジにはそれなりに対応できるパイロットたちだったが、いかんせん数が多すぎた。
撃墜こそされないがキャノン砲などの兵装を破壊されていく。

「ファンネルの数が多すぎる!!!!」
「おのれぇ!」

さらに、クルーゼは肉薄して支援機的な彼らを撃破しようと試みた。
果せるかな、そこはただ支援をしてきたようなパイロットではない。
オター5のアンリ・ド・シールが、サーベルを構えて逆にクルーゼと切っ先を結ぶ。

「モビルスーツ乗りは格闘戦ができて一人前ってねっ!!」
「ふん、小賢しい!!!」

クルーゼは一度離れると再度切っ先をオター5に向けるかに見えた。
「私が付き合うと思ったか!?」

勢い良く上昇すると、ナスカ級の砲撃が襲いかかる。その砲撃はまっすぐ私をも狙っていた。

「なんとぉ!!!」
「回避しろ!!!!」
「いけません!!!」
「取り舵いっぱい、下げ舵70!!!総員!!!対ショック防御!!!」

オター5の両足をもぎ取った光は、本艦へと突き進む。
ラー・カイラムは、光波防御帯の衣をはぎ取られ、ついに被弾した。

 

「第35通路に被弾、空気流出!!!」
「上甲板第5から13センサー大破!!!」
「37番通路の天井喪失!!!」
「2番砲塔エネルギー伝達回路に異常!!!使用不能!!」
「光波防御帯喪失による負荷のため、エンジン出力低下!!!」
「メラン!!!ダメージコントロール!!」
「了解!!!ダメージコントロール!!!隔壁閉鎖!!!機関室!!!エンジン戻せ!」

ついに、本艦への被害を許してしまったか。幸い外郭周辺だから被害者はいない。
ナスカ級8隻の集中砲火でこの被害なのだから御の字だろう。だが、次は・・・。

「アムロたちはまだか!!!」

トゥースが焦燥感を隠さず叫ぶ。われわれも打たれ弱くっているということか。
そういう私も飛ばした檄に焦りがあっただろう。

「ひるまずに弾幕を張れ!!!間断ない弾幕ですきを作るな!!!
 主砲は後方のナスカを牽制、いや沈めるつもりで撃て!!!」

 

だが、オター5が両足を失いながらも迎撃して見せる中で、アンリを後ろに押しのけて、
ディアス6のリンダ・サマロとローズ6のジョン・ブルーがジェガン重装型でクルーゼ隊の前に出る。

「オター5は後ろで支援しろ!!俺達でこの仮面野郎を追い払う!!」
「母艦はやらせない!!!」
「健気だが、これ防げるかな!?」

クルーゼは、僚機とともにすべてのファンネルを放ち、100基を超えるそれが襲いかかってきた。

「くそがぁ!!!!」
「撃ち落とす!!!」
「対空射撃!!!なぎ払え!!」

ファンネルの半数はラー・カイラムに、残りは重装型にオールレンジ攻撃を加える。

「やられる!!!」

オター5はメインカメラを、ディアス6は兵装を、直掩3機は被弾して戦闘能力を喪失していく。
何とか致命傷となる攻撃を避けているにすぎない有様だ。そして・・・。
「第6対空砲沈黙!!!」
「第24通路に被弾!!!」
「第4対空砲に直撃!!!!」
「第5倉庫で火災発生!!!爆発が起きた!!」

次々と被害報告が上がってくる。

「隔壁!!!消火剤防御!!!」

指示を出す傍らで、私はこぶしを握り締めて戦力分断の憂き目にあった自分に怒りが湧いてくる。
このままでは救援が来るまでに、直掩隊が壊滅してしまうが、こちらも支援しきれない。どうする。

 

そこに格納庫から報告があがってきた。

「ブライト艦長!!!シンの奴に出撃命令を出しましたか!!?」

何を言っているんだ。

「出すわけないだろう!!!どういうの!?」
「シンの奴、バンシィに乗り込んで・・・!!!」
「何だと!?モニター正面回せ!!」

私は急いでバンシィのコクピットにつなげる。そこには決意をした少年の顔があった。

「艦長、やらせて下さい!!!機動兵器が足りないのでしょう!!!
 訓練はしてきました。後方支援ですが出撃経験もあります!
 このMSは、完全な状態です!!!やって見せます!!」

確かに今は1機でもいれば・・・、しかし彼をこの戦局で出すのは無謀すぎないか。

「まて、その機体が難しいことは知っているだろう!!!せめてリゼル、いやジェガンで・・・」

だが、ジェガンやリゼルではそれこそ的ではないか。それに、このままでは艦内にいても危険である。
私は目を閉じ、大人として、いやかつてしてきた愚かな行いと同じ決断をすることを決意した。
所詮は進歩できないオールド・タイプか。

 

「いいだろう・・・」
「か、艦長!?」
「司令!?」
「下手な機体で出しても無駄死にするだけだ。バンシィならI・フィールドもある。
 アムロ達、いやセネット達が来るまでの数分持たせればいい」

ハムサットもメラン、トゥースも覚悟を組みつつも自らの情けなさを悔いているような顔だった。
だが、いまこのとき時間は宝石よりも求められている。

「シン・アスカ准尉、君をバンシィのパイロットとして認める。本艦の直掩をせよ。
 後部デッキから出るんだ。カタパルトは使わずにな。
 絶対に深追いしないこと、命令には絶対従うことが出撃を条件だ」
「・・・はい!!!」

信頼してくれた嬉しさからか、シンの顔には歓喜の表情が浮かぶ。
私の言葉にシンは表情を引き締める。

 

「かならず戻ってこい。マユを泣かすな。
 ・・・それに、私は短期間に2度も息子を失いたくない。家族を泣かすな」
「・・・ハイっ!!!!」

 

蛇足だったかもしれない。カツの時のように情から出た言葉にすぎないものだったかもしれない。
だが、言わずにはいられなかった。

シンは、はっきりと深紅の瞳を私に向けて、そのまっすぐな瞳を離さずいたが、
最後だけは照れて目をそらして言った。

 

「了解しました。・・・と、とうさん」

 

馬鹿、泣かすものじゃない。最終回みたいじゃないか。私は目を閉じて涙が出ることを耐えた。

 

こうして、シン・アスカは出撃することになる。