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CCA-Seed_590 ◆4BazVYzDuE 氏_オットー・ミタスの憂鬱

Last-modified: 2011-09-09 (金) 00:37:11
 

オットー・ミタスの憂鬱

 

大気圏突入 
それはユニバーサルセンチュリーであってもコズミックイラであっても極めて危険なことである。

 

ましてやMS単機での降下はフェイズシフト搭載のMSであれば可能というレベルであり、
ザフトの使用した降下ポットを使用した降下が比較的メジャーであった。
(ザフトで作製されたフリーダム並びにジャスティスはシールドにラミネート装甲を使用しているため
 比較的容易に降下出来るようだが。)
そこへロンデニオンが新たに「バリュートシステム」「フライングアーマー」という
二つの大気圏突入のオプションを拡大ユーラシアに提示したのであった。

 

バリュートシステムの売りは比較的安価であることであろう。
しかしそのバリュートそのものは比較的もろく(もちろん大気圏突入には問題ないレベルだが)
宙域の確保は最低限確保されなければ非常に危険を伴う。
それに対してフライングアーマーはやや高いもののそれ自体がある程度の機動力を持ち、
バリュートの機動性の低さをある程度補完することができる。
しかし実際それが使い物になるのか?どのような形での運用になるのか?と
顧客である拡大ユーラシアでも疑問の声がささやかれていた。
そこでロンデニオンとしてもきちんとこの技術を示すべきと拡大ユーラシアに働きかけ
今回の公開試験となった。
今回大気圏突入試験を行うのは「ブリッツ」「ストライク」の二機にプラスして
もう一機が先行試作型リゼル3号機(ウィングユニット搭載型)である。
ロンデニオンに駐在していた拡大ユーラシアの武官達と私を載せたネェル・アーガマが試験宙域に到着し、
試験の準備作業が始まった。

 

***

 

今回の試験の少し前ジェガンのデータから作成されたUC仕様のバリュートシステムで
パソコン上での模擬突入試験が行われた。
ジェガン等のUC仕様のMSでは問題が無かったものの、CE製のMSでのデータでやや問題が生じた。
バリュートが想定以上に加速し、場合によっては破裂しかねないというのである。
原因は比較的軽量なジェガンのデータから作製されたためか、
CE製のMSの中でもやや重量のある機体の場合加速しすぎる為であった。
その為バリュートの大型化とスラスターの大容量化、さらに冷却ガスボンベの大容量化を行い
問題を解決しそのデータから突入試験に使用するバリュートが試作された。
その後実際に約85トンの水の重りを載せたバリュートを大気圏へ突入させその性能を確認も行い、
無事突入試験もクリアしている。

 

ブリッツとストライクがCE製のMSで選ばれたのは
やはりCE製のMSで実験するべきだという意見ともう一つ裏があった。
順調にジェガンの生産が進んでいる今、あえてロンデニオンでの規格外である2機を運用する意味が
低くなることを指すものでもあった。
逆に先行試作型リゼル3号機はロンデニオンの技術力を示す意味が大きい。

 

フェイズシフトの電圧を調整され本来の黒から白い色に変えられたブリッツに
バリュートが載せられカタパルトに運ばれる。
カタパルト上でバリュートの開傘をチェック、異常の無しを確認しバリュートを再収納して発進していった。
次に同じく白く変えられたストライクがフライングアーマーに乗り
ネェル・アーガマのカタパルトから宇宙に舞い上がる。

 

***

 

やや遅れてアムロ中佐が乗る先行試作型リゼル3号機も発進する。
この機体は純白に彩られ肩にはユニコーンのマークも入れられていた。
(今回のこの試験の為にカタパルトをCE製のMSでも運用できるように調整が加えられた。
 柔軟な運用が出来るのがネェル・アーガマの強みなのだろうが
 倉庫で封印処置されているアレも何とかして欲しいものだが。)

 

ニコル少尉もフラガ少佐も今回の試験の為にバリュートシステムとフライングアーマーの運用を
一から学んではいたがモニターの2人の表情はやや堅いままであった。
アムロ中佐は手慣れたものかリラックスした表情であった。
ちなみに今回の試験では万が一に備えてと対空監視をかねてZプルトニウスにラムゼイ大尉が、
デルタプラスにサイモン少佐が乗って常に宙域を飛行している。
非常時にはフライングアーマー代わりになり大気圏に突入する予定だ。
さらにトライスターの3人もジェガンに乗り換えて同じく宙域監視を行っている
ロンデニオンからネェル・アーガマ1隻にMSは試験を行う機体も含めて8機、
拡大ユーラシアも地上と宇宙から小規模ながら支援を行っている。

 

降下目標地点は拡大ユーラシアのマダガスタル仮設基地。手元の時計では試験開始まで後360秒。
シートのインターコムで艦内への放送を行う。

 

「総員に通達、これより第2種戦闘配置発令。これより3機のMSの大気圏突入試験を開始する。
 これよりブリッツをA1、ストライクをA2、リゼル3号機をA3と呼称、認識する。
 対空監視を厳ととなせ。諸君らの奮起を期待する。」

「こちらA1 バリュートおよびパラシュート自動開傘高度設定確認、
 システム正常に作動中、バリュート開傘予定時間まであと310秒」

「こちらA2 フライングアーマーとのリンクは正常、推進剤圧力、温度正常、
 大気圏突入予定時間まであと315秒」

「こちらA3 機体のステータスは正常、システムオールグリーン
 大気圏突入予定時間まであと315秒
 ムウ、ニコル君2人ともあまり堅くなるな。こんなもんは注射みたいなもんだ。
 目をつぶっていればすぐ終わるさ。」

思わず艦橋に笑いが走り、モニター上の2人の表情もやや柔らかくなっていた。

 

***

 

「僕 注射とか地上に降りるときに打ったのくらいですよ。 システム正常 あと310秒」

「そっかコーディネーターだもんな、と 同じくシステム正常 あと305秒」

「もっともムウの場合は刺されるより刺す方がいいのかな?あと305秒」

 

アムロ中佐のやや滑ったギャグに乾いた笑いが艦橋に響いたが
何かモヤモヤとしたものがそのとき発生した気がしたのは気のせいだろうか?

 

その後先にバリュートを開傘したブリッツの周囲をストライクとリゼル3号機がフォローしつつ
大気圏突入シーケンスは進み3機とも何事もなく無事大気圏突破を果たした。

A1,A2から大気圏突破後に通信が入ったが二人ともやや興奮気味に通信してきたのが印象的だった。

地上の拡大ユーラシアのマダガスタル仮設基地からも通信が入り3機は無事地上に降り立ったそうである。

インターコムで艦内に戦闘配置解除を通達し副長に指揮を任せて自室へと移動した。

 

アムロ中佐の機転で2人がリラックスした為か順調に試験は進み、
バリュートシステムとフライングアーマーの運用には一定の目途がついた。
拡大ユーラシアの武官達もロンデニオンのエンジニア達も試験の成功に喜んでいたのだが
リゼルやデルタプラス、Zプルトニウスへの関心も上がってしまったようである・・

実は今回排除はしなかったもののジャンク屋ギルドのマークを付けた複数の艦艇が
試験中ずっと監視を行っていたとの報告も受けている。

パイロットによれば
「あれはジャンク屋には見えない。あきらかに偽装した監視船だ。」
との意見も添えられていた。

少なくてもこちらに敵対せず、ジャンク屋のマークを付けている以上無理に排除も出来かねる。

それでなくてもあの組織との関係は微妙なのだ。

ああ紅茶でも飲んで休もう。報告書はその後でいいか。

 

−終−

 
 

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