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CCA-Seed_631氏_第6話

Last-modified: 2007-11-10 (土) 18:55:11

「何だって、キラたちが襲われただと!!それで・・・それで、キラ達は無事なのか?」
襲撃のあった翌朝、カガリはマーナから昨夜のことを聞かされ、大仰に椅子から飛び上がった。勢いよくテーブルを叩き、カップが波を立てている。
「はい、家は襲撃の際、粉々になってしまいましたが、誰一人怪我をされることもなく元気なお姿だと言うことです」
マーナは久しぶりにカガリに目通しされるや、昨夜のラクス襲撃の一件を報告した。
カガリはセイランとの婚儀のためにすでにセイラン家に入っており、今まで仕えていた者達とも離され、半ば軟禁状態になっていた。
本来なら、マーナですらカガリに目通しできない状態であったが、カガリの弟が襲撃されたとあって、制限が有りながらも面会を許可された。
「そうか、よかった」
ほっと息をつき、椅子に座り直る。
「だが、いったい何故?何故、キラたちが襲われなければならない」
「まだ調査中なので、詳しいことは分かっておりません。ですが、相手もかなり本腰を入れてかかってきたものと思われます。最初は家に侵入して仕留めようとしたようなのですが、それに失敗すると次はMSを持ち出してきて」
「MSを!!」
カガリは目を見開いて驚いた。いくら人通りが少なく、人目につく可能性が少ないとはいえ、MSなんて出せば大事になるのは敵も分かっていそうなものだが。
「それじゃ、キラがMSに乗って迎撃に出たと言うことなんだな?」
「はい。ですが、キラ様だけではありませんが」
「どういうことだ?」
「以前お話なさいました異世界の2人も、キラ様と一緒にMSに乗って迎撃に出たのです。2人ともキラ様に負けず劣らずの戦いぶりを見せてくれたということです」
「異世界の奴らが!!一緒に出たって事は、フリーダムと共に格納されていたルージュとムラサメでか?」
「そのようでございます」
「あんなMSでキラのフリーダムと互角の戦闘をするなんて・・・」
まだセイラン家に入る前、その二人のことは聞いていた。謎のMSと共に浜辺に打ち上げられて、孤児院に助けを求めてきたという。カガリはその二人に会ったことが無いので、最初報告を受けたときも、半信半疑で信じていなかった。
今でこそ、その二人の言動や行動、そしてこの世界には無いMSというのを聞かされ、さらにはキラやラクス、
バルトフェルドも疑いを持っていないということから一応信じてはいるが、アムロとシャアの戦闘を実際に見たことが無いカガリは、キラにも負けない戦いをすることが信じられなかった。
「それでお嬢様・・・キラ様たちは今後どうすれば?」
アムロとシャアを考え込むカガリに、マーナは問いかける。
「えっ、ああ、そうだな。とりあえず、仮の家を手配しておく。それとマーナ、今から一筆書くからキラたちに届けてほしい」
「手紙でございますか?それならマーナがお伝えいたしますが・・・」
「いや、今回のこともそうだが、今後のことを・・・な。もう、後何回あいつらに会えるか分からないからな」
カガリはマーナに心配を掛けないようにと無理やり笑ってみせる。しかし、カガリの苦しみが分かるだけに、そういう態度を取られることが返って辛かった。
「こんな時、アレックス様がいらっしゃれば・・・」
「マーナ・・・。仕方が無いさ、アスランはプラントに行っているんだし。それに、あいつは力がある。こんな情勢を変えることのできるような力がな。私のボディガードとして括り付けておくのはもったいない」
カガリは指輪を摩りながら、アスランの擁護をする。
「ですが・・・」
マーナは食い下がる。
実際、マーナは怒っていた。確かにカガリの言う通り、アスランは頭もいいし力もある。この世界の情勢を見て、自分も黙って入られないとプラントに言った正義感も大いに認めるところだ。
しかしマーナからすれば、今回アスランがいないことが、カガリの結婚に拍車を掛けたと見えるようだ。実際、アスランが居ようと居なかろうと、
セイランが本気で迫れば一介のオーブ市民に過ぎないアスランにはどうしようもないことではあるが、カガリになかなか会えない苦しみを、そんなアスランにぶつけずにはいられなかった。
「とにかく私は大丈夫だ。今はなかなか会えないが、結婚した暁にはマーナもこちらに来てもらう。マーナの小言が聞けないのは私も寂しいからな」
「お嬢様・・・」
カガリは使用人を呼ぶと、便箋を持ってくるよう手配した。

手紙を持って帰るマーナと入れ違いになるように、セイラン家の跡取りにしてカガリの婚約者、ユウナ・ロマ・セイランがカガリの部屋に入ってきた。
「カガリ、マーナとの久しぶりの再会どうだった?わざわざ気を使って二人きりにさせておいたんだよ」
「そう思うなら、せめてマーナだけでも私に付き添わせてくれてもよかったんじゃないか」
「それはだめだよ。そんなことしたら、家の品格が問われちゃう。セイラン家の使用人は、てんで使い物にならないってね。それじゃ使用人だけじゃなく、それを雇っている僕らさえも品格を疑われるよ」
はははっ、と相変わらずのにやけた笑みを浮かべる。カガリはユウナのこの白々しい顔が嫌いだった。マーナとの再会の余韻も消えてしまうと、カガリは顔を背け頬杖を突く。
「しかし、災難だったね。君の弟君も」
そんなカガリの心情など気にすることも無いように、ユウナはカガリの正面に移動してくる。
「まあ、でもいい機会だったんじゃない。丁度、住む家も無くなっちゃったことだし」
「何が言いたい?」
「君が彼らと手を切るには、いいチャンスじゃないと言っているんだよ」
「なんだとぉ!!」
ユウナの軽口が頭にきたカガリは、胸倉につかみ掛かる。
しかし、ユウナはそんなカガリの手を引き離し、冷静に対応する。
「カガリ、僕は前にも言ったよね。君の弟君はいずれどうにかしなきゃならないって。大西洋連邦と同盟を結ぼうと言うこの時期に、代表の弟がコーディネーターでしたなんて知れたらたまったもんじゃない。君は危機意識に欠けているよ」
「だが、あいつらは私の家族だ。それに、また家を失ったんだぞ。そんな追い討ちを掛けるようなことができるか」
「僕は今だからこそ言っているんだよ。いずれはどうにかしなければならないんだ。それなら、今こそいろいろな対処もできるってものだろ。また家を与えてしまっては情も移る」
「しかし、それでは・・・」
カガリは何か反論しようとするが、いい案が浮かばなかった。
カガリが今いる家はセイラン家。悪く言い換えれば敵の巣窟である。そんな中にたった一人で放りこまれているうちに、カガリは自分に自信が持てなくなってきていた。
「大丈夫だよ、カガリ。仮にも君の弟だよ、僕らが結婚すれば僕の弟にもなるんだから、そんな荒っぽいことをする気はないよ。それに僕だって鬼じゃない。しばらくは猶予をあげるつもりさ。でも、それも僕らの結婚式がリミットだね。それまでに身の振り方を決めてもらおう」

カガリの肩をそっと抱き、告げるユウナ。最後通告のつもりなのだろう。
「それに、孤児院はちゃんと作り直させるよ。子供たちに罪は無いからね。君の弟君を含めた数人のコーディネーターたち以外は、今まで通りの生活を保障させるさ」
そんなユウナの言葉に、カガリはただ俯き歯噛みするしかなかった。
自分の力を過信しているわけではない。最愛の父に比べれば、自分がどれだけ未熟であるかが見て取れるし、キラやアスランに比べても、正直劣っていると思う。
しかし、それでも自分は代表なのだ。オーブを統べる者なのだ。そんな自分が血のつながった弟や大切な親友を守れないのが何よりも辛く、そして悔しかった。
「そうそう、話は変わるけど昨日MS戦になったとき3機で迎撃したらしいね」
ユウナはキラたちの話は終わりとばかりに言ってくる。
「一機は君の弟君として、後の2機を操縦していた人は誰なんだい?何でも、2人の身元不明人物が彼らの元に居座っているそうだけど」
「さあな、私には分からん。大方、今回のユニウスセブン落下の被害者かなんかじゃないか。行き場をなくして、世話になってたんだろ」
知らない振りをするカガリ。実際、言ったところで誰が信じるでもないし、何よりユウナに対するささやかな仕返しでもあった。
「それは無いよ。彼らはユニウスセブンが落ちる前から居たようだしね」
「いくら言われようと知らないものは知らない」
カガリはだんまりを決め込もうとした。
「ふうん、カガリは知らないか。なんか目撃者の証言では、物凄い操縦技術だったって言うから気になっちゃってね。どこから来たんだろう。
オーブ国内かな、それともプラントかな。いや、案外別の世界から来たのかもしれないねえ」
そんなユウナの言葉に、カガリは食いついた。
「べ、別の世界って・・・。何でそんなこと考えるんだ?」
「ん、僕はただ可能性を言ったに過ぎないよ」
「可能性って・・・。異世界なんて存在すると思ってるのか?」
「なんだい、やけに異世界に食いついてくるね。何か、心当たりでもあるのかい?」
そんなユウナの言葉にたじろぐカガリ。しかし、すぐに平静を保つ。
「なっ、何を馬鹿なことを。お前があんまり下らないことを言うからびっくりしただけだ」
「そうかい」
ユウナはそんなカガリを見て、曰くありげな顔を見せる。そして、「そろそろ戻らないとね」と残し、部屋を出て行った。

ユウナは数日前の出来事を思い出していた。
まだ、ユニウスセブンが落下する前。モルゲンレーテを視察していたユウナは、ある技術仕官に呼び止められた。ここではちょっとと前置きをして、ユウナを無人の部屋に案内した。
「それで何なんだい。こんなところで一体・・・」
「先ほどマリア・ベルネスが妙な物を見ていまして」
「マリア・ベルネス?誰だい、それは?」
「2年前、アークエンジェルの艦長を務めていたマリュー・ラミアスの偽名です」
マリュー・ラミアス。その名前には聞き覚えがあった。
フリーダムのキラ・ヤマト。ジャスティスのアスラン・ザラ。エンデュミオンの鷹、ムウ・ラ・フラガ等と共にアークエンジェルを浮沈艦と言わしめた人物の一人である。
戦後はカガリのつてでモルゲンレーテに勤めていることは知っていたが、ナチュラルであるし、あまり気に留めたことが無かった。
「それで、彼女が何を見ていたんだ?」
「それが・・・MSの設計図らしきものなのですが」
「設計図?それがどうした。ここに居ればそんなもの見ていても不思議じゃないだろ?」
「いえ、それがどうも見たことの無い物でして」
「見たことが無い?」
「図面にスペック等も載っていたのですが、どうも現行のMSの数倍のパワーがあるようなのです。さらに言うと、あのフリーダムをも軽く凌駕するほどの・・・」
「フリーダムを凌駕するだと!!」
それを聞いて唖然となった。スペックなどを言われても、技術に疎いユウナには分からないが、フリーダムという言葉はユウナを驚かすには十分であった。
2年前のMSとはいえ、未だに最強を欲しい侭にしている機体を凌駕する機体の図面。
マリュー・ラミアスは一体それを何処で手に入れたというのか。
「本当なのかい。フリーダムにも劣らないというのは」
「あくまで、スペック上の話ですが。しかも、他にもいろいろな技術が詰め込まれているようでして・・・チラッと図面を見ただけでは分からないのですが・・・とにかく、現在の技術で造れるものではありません。プラントでも造れるものではないでしょう」
技術仕官は自信が無さそうに呟いた。
ユウナは「このことは2人だけの秘密だよ」というと、すぐさま家に戻り、マリュー・ラミアスの周辺を調べ始めた。
数日の調査を経て、興味深い出来事が浮上してきた。マリューが身を寄せている孤児院付近の浜辺に、奇妙なMSが打ち上げられているのを、周辺の人物が目撃していた。しかも、孤児院には2名の身元不明の人物が居るという。
十中八九、このMSの図面だろうとユウナは当たりをつけた。そして、この2人がそのMSのパイロットであろうということも。
早速、対応を取ろうとした矢先、ユニウスセブン落下のごたごたでそれどころでは無くなってしまった。ユウナ自身も昨日の襲撃事件があるまで忘れてしまっていた。
しかし、昨夜、おそらくプラントからの襲撃であろう攻撃を難なく退けた3機。それを聞いたとき、再びユウナはそのことを思い出した。
カガリに異世界と聞いたのはなんてことは無い、冗談のつもりだった。
しかし、カガリの反応は興味深いものだった。元々、嘘がつけない性格である。カガリの顔が「何故、それを!!」と言っているのを見るや、カガリとお喋りしている場合ではなくなった。
無論、異世界などそうそう簡単に信じられるものでない。カガリにしても本気で信じているのかどうか。
だが、少なくともカガリに異世界から来たと信じ込ませるに値するものはあったと見るのがいいだろう。そしてそれは、ユウナにもあることだった。
(異世界のMSとパイロット・・・か。そう簡単に信じられないけど、少なくてもその力は本物のようだね。これは相応の対応は取らなければならないな。うまくいけば、大西洋連邦にもプラントにも水をあけることが出来るかもしれないし)
ユウナはすぐさま側近を呼ぶと、重要な指令を出した。