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CCA-Seed_787◆7fKQwZckPA氏_04

Last-modified: 2010-05-01 (土) 09:24:43

〜人生には選ばなければならない瞬間がある。
自分自身の人生を充分に、完全に、徹底的に生きるか、
社会が偽善から要求する偽の、浅薄な、堕落した人生をだらだらと続けるかの、
どちらかを〜(オスカー・ワイルド)

 
 

「アスラン!」
「くそ、……ここもだめか」
二人の周りは真っ赤に燃えている。人の死体や瓦礫、破壊されたMS。
そして死をばらまいている緑と、青と、黒の機体。オイルと肉の焼けるのにおいが混じり合い、何とも言えぬ混沌とした状況を作り出していた。
アレックス・ディノ……いや、アスラン・ザラは、カガリ・ユラ・アスハの手を引きこの状況から脱しようと地を駆けていた。
崩れ落ちる瓦礫を避け、飛んでくるMSの破片から逃げ、そして何よりも死に見舞われた人間の上を飛び越さなければならなかった。
自分はともかく、共にいる彼女のことが心配だった。
プラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルとの会見の最中、事件は起こった。
プラント側が開発していた新型の“G”が三機も奪取され、あたりを手当たり次第に破壊し始めたのだ。
運の悪いことに、このアーモリーワンに配属されている兵士達は悉くが新兵だったり、
前大戦でもあまり前線に出ることもなく終わった者達ばかりらしく、先ほどからいいようにやられている。

 
 

彼女を安全な場所に連れて行こうにも、先ほどからどんどん状況は悪くなる一方だ。
「なんで……、なんで、こんな!?」
 カガリが胸中の思いをはき出すや、上空から落ちてくる何かに気づく。
「……!? あぶない!」
落ちてきたのは、二つに裂かれた『ディン』の片割れであった。
それはまっすぐ彼らの真横にある格納庫の天井を突き破り、中で爆発を起こし、建物の壁や中にあった施設が崩れ始める。
アスランはカガリを守るため彼女に覆い被さる。
背中を、熱風や飛んできた破片がかすめ身体をこわばらせるが、
幸運なことに怪我になるような事は無かった。
しかし、ここにこれ以上いてはまずい。
アスランは、身を起こしてあたりを見渡した。ふと、先ほどの爆発で路上に倒れ込んでいたMSに目がいった。
会見中目にした、緑色に塗装された新型機。
それが『ザク』という呼称である事をアスランは知らないが、
少なくとも走って避難するより遙かにマシに思えた。
「来い、カガリ!」
「え!?」
戸惑う彼女を強引に担ぎ、彼は仰向けに倒れたザクに駆け寄り、コクピットの中へと滑り込む。
シートに座った後、彼はコクピット全体を見渡して、
「……よし!」
助かった。
二年前のMSと、細かいところは多少違いがあるが基本的な箇所はほぼ同じだった。
彼は以前のようにとまではいかないものの、慣れたようにMSを起動させる。

 

「おまえ……」
「こんなところで、君を死なせるわけにいくか!」
エンジンの駆動音と、モニターに光が点る音が、彼を二年前に引き戻すかのような感覚を与えた。
彼はそれを振り払い、ペダルを踏み込んで、ザクの身を起こさせる。
シューッという、熱せられた空気がザクの胸から噴きだし、
ゆっくりと巨人はその巨躯を持ち上げ、立ち上がった。

 

ただ、タイミングが悪かった。

 

前方数十m先に奪われた機体の一体『ガイア』が、アスランの機体に気が付き、向き直ったのだ。
彼は急ぎ機体の装備を確認するが、グレネードとトマホークしかない事に舌打ちした。
この距離ではビームライフルを持つ向こう側が有利だ。
足下のモニターを見ても、ライフル類など落ちてはいない。
「ちぃっ!」
ガイアは銃口をこちら側に向け、彼はそれと同時にレバーを握りペダルを踏み込み、ザクを横へ飛び退かせていた。
右側ギリギリををかすめていく光の束は、二人の背中を冷やし、
彼の胸中に熱い何かを甦らせる(それが『闘争心』であるなどと、彼は認めたがらないだろう)。
着地と同時に彼は肩のシールドからトマホークを抜き放ち、
ペダルを再び踏み込んで、機体を前方へ突っ込ませた。
ガイアはそんな彼の反撃を許すことはなく。
いつの間に抜いてあったのか、サーベルを一閃させをトマホーク逆に切り落としてしまった。
「くっ……」

 

返す一振りでザクを葬らんとしたガイアであったが、上空から注いだ緑の光にサーベルを溶かされた。
それはガイア本体に当たることはなかったが、驚かせるには十分であった。
ガイアは飛び退き、アスランもそれを見計らってザクを大きく後退させる。
二機の間に、一機の『ゲイツR』がその姿を見せつけるかのように着地し、ガイアに銃口を向けていた。

 

「……そこのザクのパイロット。聞こえるか?」

 

「「議長!?」」

 

通信機から聞こえてきた声に、彼とカガリは度肝を抜かれた。
先ほどまで言葉を交わし、戦闘とは無縁のように思わせる人の声が、
MSから聞こえたのだ。驚くはずである。しかし、向こうはそれを気にすることはなく、
「二人? ……まあいい。とにかくミネルバに向かえ。七時の方向だ」
怒気を含んだ声で告げられ、そのゲイツはアスランのザクに手に持ったライフルをほうった。
それと取る前から、ゲイツはもう動いていた。
腰に下げていた予備のライフルを取り、注意を引きつけるように戦っている。
二年兵役から離れていた彼から見ても、優雅な動きであった。
弾道やサーベルの軌道が読めるのか、どれもギリギリかつ確実に避けて、
攻撃をかわすと同時にライフルを確実に、正確にガイアにたたき込む。
それをガイアはシールドで防ぐが、その隙にジリジリとガイアとの距離は縮まっていく。
相手の雰囲気に気圧されたのか、ガイアは距離を置こうと機会をうかがうが、
ゲイツはそれを許さず、形成は一気に傾いたかのように見えた。

 

しかし、ゲイツは急にガイアから機体を離した。
(……なぜ?)
そう思ったのもつかの間、ガイアの後ろ上空から青いGが放った赤い奔流が、ゲイツのいた地を丸ごとえぐった。
『アビス』だ。
ゲイツから見て九時の方向には、緑のG、『カオス』の姿も見える。
二対三。それも此方は旧型が一機とライフル一丁のザクが一機。向こうは新型Gが三機だ。
圧倒的劣勢にしか見えなかった。その時、またも空から一機のMSが降ってきた。
トリコロールの、アスランがよく知るMSに似た形状のGだった。
それは、ガイア、カオス、アビスに牽制の射撃を加えつつ、ゲイツの横に降り立った。

 

「何でこんなこと……、また戦争がしたいのか!? あんた達は!」

 
 
 

機動戦士ガンダムSEED DESTINY IF
〜Revival of Red Comet〜
第4話

 
 
 

シャア・アズナブルは、周りが慌ただしく、MSの駆動音と至る所で人の怒鳴り声が響く中、
人工的に造られた青い空を見上げていた。
彼の手元には、ミネルバに積み込むウィザードの目録がある。
今回、ミネルバにはブレイズとガナーに加え、
『スラッシュウィザード』
『イージーウィザード』
の二種が追加された。
近接格闘に特化したスラッシュと、
ブレイズより簡略化した、ブースターとビームサーベルのみのイージー。
この二つが増えたのはありがたい。彼からすればあの重いブースターを背負っての戦闘は遠慮願いたいところだった。
今は、その積み込み予定のイージーと、ザクに改修を施してもらっている最中である。
これは先の模擬戦直後から行っており、調整はあと表面の塗装を残すのみである。
肩の邪魔なシールドは一つ取り払い、右肩のは小さく削り小型に、
左肩にはウォーリアのスパイクを、三本とも円錐にして付けてもらった。
左腰のハンドグレネードは外し、トマホークを装着。
そしてイージーの左側に、ウェポンラックを増設させている。予備のライフルやバズーカを使用する局面になった際必要だと感じたからだ。

 

ただメカニックの人たちは、改修、特にシールドに関して一言言っていた。
『こんなに小さくして問題はないんですか?』
『当たらなければどうと言うことはあるまい』
薄々感じてはいたが、この世界ではシールドは自分置いたU.Cより重要な位置にあるらしい。
防ごうにもシールドの意味がなかったあちらとは違うようだ。

 

だからといって、奇異な者を見る目はやめて欲しいものである。

 

はぁ、とため息をつくと、彼はチラリと、コロニーの向こうに広がる闇に目をやった。
この日の朝、異様な気配がコロニーの外からヒシヒシと伝わってきて、
何年ぶりか解らない安眠も妨げられた。
あまりに強烈で、ドロドロとした殺意を感じ取れば当然であるが、非常に残念だった。
朝の内に念のため、議長と通信だけでもしようとしたのだが、
今日は遠方からの客人との会談が入っているそうで、もうすでに客人と客間で会談中だとのことだ。
なのでアーモリーワン基地司令部に、
コロニー外周の警備を今日明日のみ早急に強化するよう要請しておいた。
周りのこの状況だと、きっと難しいだろうが……。
「隊長!」
「む? シンか」
ふと、自分を呼ぶ声が聞こえ、その方向を見やると、シンがこっちに走ってくるのが見える。
その向こうには、ルナマリアやメイリン、
そして先日新たにミネルバに配属されたデイルとショーンの姿もある。
各々、自分の期待の調整が終わり、皆で買い物に行くらしい。

 
 

「隊長もどうですか? 一緒に」
「せっかくだが……いや、一緒させてもらおう」
良い機会だ。この世界ではどんな本があって、
どんな歌手がいたりするのか純粋に興味があったし、こういったものを楽しむのも悪くはない。

 

そう思ったのだが、少し後悔することになった。

 

本はまだ良い方だ。
言論の自由はコーディネイターが殆どのこのプラントでも守られているので、
偏った知識のみ入ってくる心配はない(地球よりの考え方をする筆者は肩身が狭いようだが)。
地球の本やCDも、専門の商店があるらしい。
反コーディネイター思想は片っ端から排除しているだろうが、小説や娯楽作品は手に入るようになっている。
後悔したのは、その店に入って少し経ってからだ。
大抵の店では流行の曲や新曲をかけるのは普通といっていいのだが、
どれもこれも同じ歌手の歌とはどういう事なのだろうか?
シンによれば、この歌は『ラクス・クライン』なるプラントのトップアイドルだった人物の歌らしい。
最近は姿を見せていないので、
『彼氏と遁走した』だの、
『どこかで療養中なのではないか』
などという噂も立っているらしいが、正直それはどうでも良かった。
彼女の歌声は、確かに優しい声音で清純派アイドルを思わせるものがある。
しかし、聞いててこう、ザワザワとした不愉快な感覚が時折襲うのだ。
言葉で形容するには少々難があるが、彼はラクスという少女の声は好きになれない。
そう彼がこぼすと、シンはシャアに、
「本気で言ってるんですか?」
と言った。
周りを見回してみると、他の客達が不思議な物を見る目でシャアを見ていた。
ただ彼には、何故そんな目で見られなければならないのかが理解できなかった。

 

自分はただ自分の感想を述べただけなのに。

 

しかし、シンに促され、逃げるようにシャアは店を後にせざるを得なかった。
そうして、店から出た直後のことである。

 
 

「……意外だな」
と、シャアは思わず呟いていた。
シンも、冷や水をぶっかけられたような顔をしている。
ある人物が、『ある筋の人々』が行くようなホビーショップの中から、
綺麗にパッケージングされた箱を愛おしそうに抱えて出てくるのを、見てしまったのである。
きれいな金色の髪を持ち、
端正な容貌と普段のクールな雰囲気から女性クルーに人気の高い少年、
レイ・ザ・バレルを、だ。
その少年が本当に嬉しそうに、欲しい物を買ってもらった子供のような顔をして店から出てきたのだ。
『ビデオ戦○レザリ○ン』
『U○O戦士ダイ○ポロン』
『光速電○アル○ガス』
『機○艦隊ダイ○ガーXV』
と書かれていたのは、気のせいだと思いたい。
誰かそうだと言って欲しかった。特にあの黒い長髪を持つ人に。
レイは、二人の姿を捉えると、ハッと身をこわばらせた。
顔色はどんどん青くなり、脂汗が、だらだらと顔をつたう。見ていて痛々しかった。
「た、隊長。……し、シン。あの、これは」
「「……気にするな。私(俺)は気にしない」」
「……そのなま暖かい目は何なんですか」
黙ったまま、シンやレイの荷物をトランクに載せ、
合流したルナマリア達の荷物もまとめて押し込み、トランクを閉めた。

 

その直後のことだ。

 

「…………む!?」
「シャアさん?」
無性に嫌な気配が、格納庫方面から感じられた。
強烈な殺意と、‘死’の感覚。コロニー向こうの虚空にも、殺意がちらついている。
彼は皆を半ば無理矢理車に乗せると、アクセルを思いっきり踏み込んだ。
ショッピングモールでも基地とほど近い所にあったのと、人が少なかったのが幸いだった。
「どうかしたのですか!? 隊長!」
彼らからしてみれば、目の前の男が気を違えたようにしか見えなかったが、
その鬼気迫る顔に気に何も言えなかった。
シャアは黙ったまま、車を全速力でザクの格納庫へ走らせ、

 

そして、…………サイレンが、高々とアーモリーワン内に鳴り響いた。

 
 

「出撃できんだと?」
目の前で瓦礫に埋もれたザクを目にしながら、シャアは呻いた。
流れ弾が、格納庫に直撃し、機体が瓦礫の下となっていたのである。
ルナマリア機やレイ機も同様で、今現在撤去作業が続いているが、そんな暇を敵が許すはずはない。
「君、あの機体は動かせるのか!?」
彼は近くにいた整備員を捕まえ、まだ健在な格納庫の中にある灰色の機体を指さし訪ねた。
確か、『ゲイツ』という名称の量産MSだったと思う。
「え? あ、はい。あちらはすでに整備も済んで……!? あ、ちょっと!」
その言葉を最後まで効かず、彼は機体の方へ走り出した。
今はザクを掘り出すまで待つより、あのガンダム三機をコロニーから出さないことが先決だ。
そろそろ、シンもミネルバに到着している頃だろう。
ゲイツのコクピットに滑り込んだ彼は素早くゲイツを起動させ、モノアイに灯を入れた。
「武器は……、ビームライフルとレールガン。……サーベル内蔵のシールド!?」
装備は平均的で申し分ないが、シールドは使いづらそうなことこの上なかった。
だが、今はそう言っていられない状況だ。彼はゲイツを歩かせ格納庫から出ると、スラスターをふかした。
それにしても、
「全く、ここの警備システムはザルか!?」
正直な感想だった。小規模であるとはいえ、軍事基地なのである。
こういった式典前後の、気の抜けるような一時であっても、
誰かは重要な箇所の警備を怠ってはならないはずだ。
そんななか、こうも易々と新型を奪われるなど、警備が手薄だったか、
「……やはり内通者がいたのだろうな」
事前に、この基地やGの情報が外部に漏れ出ていたとしか考えられない。

 

彼が想像している以上に、このZAFTという組織は穴が多いのかもしれない。

 
 

※※※※※※※※※

 
 

簡単に終わりそうにない。
そう思ったのは、G三機と対峙して少し経った頃だろう。三時方向に大きな爆煙が揚がり、地が揺れた。
ブリッジからメイリンの通信があり、宇宙港が攻撃され、
同時に外壁回収用トンネルが爆破されたのだという。
その位置は、ちょうど新型Gの予備・修理用パーツを積み込んだコンテナが収容されている区画に繋がっており、
先ほど爆発したのがそのあたりだ。
宇宙港は内部で爆破があった事から、攻撃したのは別働隊。それもMSだろう。
こうして強奪事件を起こす以上、運び手となる戦艦も近くに潜んでいるはずだ。
彼女曰く、トンネルの爆発によって出来た大穴から、案の定MSが五機ほど進入し、
コンテナを次々運び出しているそうだ。あのあたりはGがすでに大暴れを終えた箇所で、
他の部隊が対応する頃にはコンテナは闇の中だ。
宇宙港は潰され、消去法で考えるとミネルバしか強奪犯を追うことは出来まい。
「ぬぅ……」
シャアは歯噛みした。先ほどから良いように相手方のペースに乗せられている。
目の前の三機を始末すれば話は済むのだが、ミネルバからは『捕獲せよ』とのお達しだ。
無茶を言うなと切り返したいが、今は命令できる立場にない。
それに、先ほどから状況は押したり引いたりである。
ガイアとアビスはパイロットが単純なのか動きは読みやすいが、問題はカオスだ。
直情的なパイロットが乗っている二機とは違い、
カオスのパイロットは冷静で戦況を見るのに長けているようで、
二機を巧く大穴の方へ移動するよう仕向けている節すら動きの中に見え始めた。
どうやら、先ほどの爆発が『タイムオーバー』の合図らしい。
先ほどからザクの動きが悪いのも大きかった。
いや、機体の動き事態は悪くはないが、いやに消極的なのだ。まるで戦うことを躊躇しているような…………

 

その時、
「やっと来たか。シン! 黒いガンダムを狙え! 私はあの緑色をやる」
「了解!」
背後から二つほど何かが近づいて来て、それが知っている感覚であると知るとシャアはシンに言った。
スラッシュに換装したルナマリアのザクと、ガナーを装備したレイのザクがこちらに向かっていたのだ。
ただ、それは敵を動かす起点となるのもまた当然のことであった。

 

迂闊だったのは、カオスが手近なザクの残骸から『ソレ』を取り外していたのに気づけなかったこと。

 

カオスが手を振りかぶり、その手中にあるモノを視認したシャアは、
「全員、耐閃光フィルター起動!」
そう叫んだ。
その瞬間、モニターは暗めの画面に変わり、カオスが投げたグレネードが凄まじい閃光を放つ。
光学フィルターによってモニターが死ぬことはないが、見づらいことに代わりはなかった。
さらに、フィルターの展開法を知らなかったのか、ノーマルザクの動きがおかしい。
その状況を敵が逃すはずはなく……。
「ええぃ!」
カオスがザクにライフルを向けるのを察知した彼は、立ちすくむザクを蹴り飛ばした。
中には二人乗っているのだが、死ぬよりマシである。
ザクの経っていた空間をビームが通り過ぎ、
その時うまれた一瞬の隙をついて敵方の三機は穴への離脱を図る。

 

「行かせるかよ!」
シンが勇んで斬りかかろうとし、ルナマリアはアックスを掲げてそれに続こうとする。
しかし、レイは機体を浮かせて、穴の方角に砲塔を向けていた。
シャアも、穴の方からヒシヒシと感じる殺気に身をこわばらせた。
「シン! ルナマリア! 下がれ!」
そう叫んだとき、シンとルナマリアの機体を閃光が襲った。
辛くもシールド展開が間に合い、二人とも無事だったが、三機はみるみるうちに穴の中へと消えていってしまった。
「な、何なの?」
「くそっ、誰だ!?」
「…………………」
二人を撃った閃光は、あの穴の中から放たれたものだった。
穴の中には連邦のGM…この世界ではダガーと言うべきだが、
それらに尖鋭さを加えたシルエットを持つMSが二機、その姿をのぞかせていた。
一機はラセットブラウンと黒を主体にした、砲戦仕様と思われる形態。

 

そしてもう一つは、‘あの男’が乗っていたMSと同じ色を持っていた。

 

両機とも、並々ならぬ殺気を放っていた。今朝方感じた殺気と同じモノ。ただ…
「……………」
この気配を、彼は知っていた。殺気があまりにドロドロしていて、ここまで近づかねば見分けが付かなかったのだ。
いや、むしろ信じたくなかったのかも知れない。
自分が知る‘あの男’は、ここまで禍々しい殺気を発する男ではなかったはずだ。

 

一体、何があればそこまで‘堕ちる’のだ?

 

思わず、シャアは口を開いていた。
「……お前に何があったというのだ、アムロ」

 
 
 

第4話〜完〜

 
 
 

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