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CCA-Seed_98 ◆TSElPlu4zM氏_第03話

Last-modified: 2007-11-10 (土) 17:35:52

 コズミック・イラ70、『血のバレンタイ』の悲劇によって、地球、プラント間の緊張は、一気に本格的武力衝突へと発展した。
誰もが疑わなかった、数で勝る地球軍の勝利。が、当初の予測は大きく裏切られ、戦局は疲弊したまま既に11ヶ月が過ぎようとしていた――。

 
 

 宇宙コロニー『ヘリオポリス』。地球の衛星軌道上、L3に位置し、厚さ100メートルに及ぶ合金製のフレームの内壁を大地とし、多くの人が住む。
 つい10分程前までは、街並みは地球のどこでも見られるような、ありふれた風景だったが、コロニーの所々から炎が上がっていた。

 

――General
   Unilateral
   Neuro-Link
   Dispersive
   Autonomic
   Maneuver……

 

「ガ……ン・ダ・ム……?」

 

 少年、キラ・ヤマトはモビル・スーツ、“ストライク”の狭いコックピットシートの隙間に体をねじ込んだ状態からモニターを見つめた。シートには髪の長い女性が座り、ストライクを動かそうとしていた。
 ストライクの両目が光り、関節がうなりを上げ、機体を固定していた部品を次々と弾き飛ばす。爆炎の中、ストライクは機体を朱く照らし、その大地に立ち上がった――。

 

 赤いパイロットスーツに身を包んだアスラン・ザラは奪取したモビルスーツ“イージス”に乗り込み、幼少期を共に過ごした友、キラ・ヤマトの事を気にしつつも、味方であるザフトのモビルスーツ“ジン”と合流した。

 

「ラスティは失敗だ!むこうの機体には地球軍の士官が乗っている!」
「なに!?ラスティは?」

 

 アスランは首を横に振り、“ジン”のパイロット、ミゲル・アイマンにラスティの戦死を伝える。
そこに、ストライクが覚束ない足取りで現れた。ジンはマシンガンをストライクに向け放つが、ストライクはよろけながらも辛うじて避けた。

 

「なら、あの機体は俺が捕獲する。お前は先に離脱しろ!」

 

 ミゲルはジンのサーベルを抜き、ストライクに切りかかっていく。ストライクはバーニアから蒼い炎を上げ後方に跳んだ。

 
 

「うわっ!」

 

 キラは着地の揺れに絶えられず、女性の胸に頭から突っ込んだ。

 

「下がってなさい!死にたいの!?」

 

「す、すみません!」

 

 キラは身を起こしながらモニターに目を向けると、ジンが切りかかって来る様子が大きく映し出され、思わず悲鳴を上げた。

 

「くっ!」

 

 女性はコンソールのボタンを押す。すると、灰色だったストライクのボディが瞬く間に青赤白のトリコロールの色に変わり、両腕で火花を散らしながら、ジンのサーベルを防いでいた。
 ジンが後方に跳び、間合いを取る。
 そのジンの傍には奪取された機体、“イージス”もフェイズシフトを展開させ、ボディを赤い色に染め上がっていた。
イージスは対峙するストライクを確認するかのように見つめると、イージスを天高く飛ばし、離脱してゆく。
 キラ達がイージスに気を取られてる間に、ジンがすかさずストライクに攻撃をしかけて来る。
 ストライクはジンに向け、頭部のバルカンが火を噴くが、当たる事はなかった。

 

 ――あっ!これって、まだ……。 

 

 キラはこの時、気付いた。このモビルスーツが不完全である事を――。
 ストライクはジンの攻撃を喰らい、建物を押しつぶすように倒れそうになるが、なんとかこらえ体勢を立て直す。
 その時、キラはストライクのモニターを通して、逃げ惑う人達の中に友人達を見つけた。今、ストライクの後ろには友人達がいるのだ。これ以上、後ろに下がる訳にはいかない――。
 ジンがサーベルを突き立てるようにストライクに突っ込んで来た。
 キラは身を乗り出し、コンソールのスイッチを押し、女性が握る上から無理やり操縦桿を引かせる。ジンのサーベルが肩口で火花を散らながらもストライクは身を沈め、肩で押す形でジンを吹き飛ばす。

 

「君!?」

 

 ストライクのシートに座る女性、マリュー・ラミアス大尉は驚きの声を上げた。

 

「ここには、まだ人がいるんです。こんな物に乗ってるんだったら、なんとかしてくださいよっ!」

 

 キラはコンソールのスイッチを押しながらモニター画面に目を向け言った。

 

「無茶苦茶だ!こんなOSでこれだけの機体を動かそうなんてっ!」
「まだ全て終わってないのよ!仕方ないでしょ!」
「どいてください!早く!」

 
 

 キラは入れ替わるように無理やりシートに体を滑らせ、横からキーボードを出し、尋常でないスピードで叩きだす。

 

 ――この子は……。

 

 その様子を見たマリューは予感がよぎった。
 そうしてる間にもジンは体勢を立て直し、サーベルを片手に攻撃を仕掛けて来る。
 再び、ストライクのバルカンが火を噴き、今度は嘘のようにジンに命中していく。
 たまらず、ジンは横から回り込み、サーベルで切りかかる――が、ジンの攻撃を避けると、ストライクは右腕がジンの顔を殴り飛ばしていた。

 

「――キャリブレーション取りつつゼロ・モーメント・ポイントおよびCPGを再設定――運動ルーチン接続、システム、オンライン、ブーストトラップ起動……」

 

 キラはジンが倒れている間にもキーボードを叩き、ストライクのOSを完全な物に書き換えてゆく。
 ジンの体勢を立て直し、サーベルからマシンガンへと武器を変え、ストライクに向けて発砲する。
 キラはペダルを踏み込み、操縦桿を前に押し込むと、ストライクは上空に向かって跳んだ。
 ジンもストライクを追うようにマシンガンを撃ちながら跳ぶが、ストライクはその攻撃をかわしてゆく。

 

「武器――」

 

 キラは再びキーボードを叩き、武器の情報をを呼び出す。

 

「――あとは……、アーマーシュナイダー……、これだけかっ!」

 

 ストライクの両手にナイフが装備され、着地すると同時にジンの攻撃の中を走り出した。

 

「――こんなところでっ!――やめろーっ!」

 

 キラは叫びながらストライクを急旋回、バーニアを吹かし、ジンの懐に潜り込み、肩口と喉にあたる部分にアーマーシュナイダーを突き立てた。ジンは火花を散らし両腕を垂らす。ジンのコックピットカバーが爆発とともに外れ、中からパイロットが脱出してゆく。

 

「あっ!まずいわ、ジンから離れて!」

 

 マリューが叫ぶ。

 

「えっ!?」

 

 キラがマリューの方向に顔を向けた瞬間、ジンが自爆し、ストライクは爆炎に巻き込まれた――。

 
 

「こちらGAT−X105ストライク、地球軍、応答願います――」

 

 ――なんで、こんな事になっているんだろう……。キラはストライクから緊急コールを呼びかけながら思った。
 マリューの指示でストライクに装備にさせるらしい。トレーラーのコンテナが開き、ランチャー・ストライカーと呼ばれる、大砲とガトリング砲が姿を現す。
 突然、コロニーのセンターシャフトが爆発を起こし、その中から灰色のモビルスーツ“ジグー”と橙色のモビルアーマー“メビウス・ゼロ”が飛び出してきた。
 ジグーはストライクを見つけると方向を変え、低空から近づくが、メビウス・ゼロがそれを阻む。

 

「装備をつけて!早く!」

 

 マリューは怪我した肩をかばいつつストライクへと走った。
 ジグーとメビウス・ゼロが戦っている中、キラはキーボードを叩き、ストライクの換装に追われる。今、攻撃を受ければストライクは大破する。このままじゃ、みんなも爆発に巻き込まれる――。
 上空ではジグーとメビウス・ゼロが激しいドック・ファイトをしているが、小回りが利くモビルスーツの方が有利だった。しかも、メビウス・ゼロは有線ガン・バレル4基があるばずなのだが、コロニー内に進入されるまでに、全て打ち落とされていた。
 ジグーがサーベルを抜き、メビウス・ゼロの上方からせまる。

 

「くっ!」

 

 メビウス・ゼロのパイロット、ムウ・ラ・フラガ大尉が機体をジグーの襲い掛かってくる方向へと向ける――。が、方向を向けたところで、ジグーがサーベルで、メビウス・ゼロの砲身を叩き切り、ストライクへと襲い掛かる。

 

「今のうちに沈んでもらう!」

 

 ジグーのパイロット、ラウ・ル・クルーゼは、その仮面の向こう側からストライクをにらみつけた。
 ストライクは、まだランチャー・ストライカを装備しきってなかった。アグニと呼ばれる大砲を装備すればいいだけだが、ジグーの攻撃が先かどうか、タイミング的にギリギリだった。
 その時、ノイズが混じってはいるが、オープンでの通信回線が割り込んできた。

 

『――GAT−X105ストライク、応答せ――ロン――νガンダム、アムロ・レイ大尉――』

 

「なに!オープン回線だとっ!」

 

 クルーゼは一瞬、動きを止め辺りを見回す。

 

「えっ、味方!?こちら、GAT−X105ストライク、助けてください!」

 

 キラはすぐに回線を開き、叫びながら、フェイズシフト装甲を展開させ、ストライクを立たせた――。

 
 

「――こちら、GAT−X105ストライク、助けてください!」 

 

 突然、νガンダムのコックピットのスピーカーからストライクのパイロットの声が聞こえてきた。

 

「こっちか――!?」

 

 アムロはメインシャフトの破損部分からνガンダムをコロニー内に入れ、辺りを見回すと、ゲルググに似たモビルスーツと、明らかにガンダムタイプのモビルスーツを見つけた。

 

「ガンダムタイプか!?ストライク、援護に向かう!」

 

 νガンダムをストライクの援護に向かわせようとした瞬間、コロニーの内壁に激しい爆発を起こす。その中から白い戦艦が現れた。

 

「ホワイトベース!?」
「もう1機、新型か!?仕留めそこねたか!」
「モビルスーツに戦艦、コロニーの中にか!」
「GATシリーズ!?それにアークエンジェル!」

 

 アムロは1年戦争に母艦としていた船に似ている戦艦に驚き、クルーゼは予定外に現れたモビルスーツと白い戦艦を見つめ、
作戦が完璧でない事を確信し、ムウとマリューはGATシリーズに似た知らないモビルスーツとアークエンジェルがコロニーの外ではなく、
内に入ってきた事に驚いていた。
 クルーゼがジグーをアークエンジェルに向けマシンガンを放つ。

 

「回避、面舵!」

 

 アークエンジェルのブリッジでショートカットの女性、ナタル・バジルール少尉が叫ぶ。アークエンジェルは間一髪、船体を傾け、攻撃を回避する。

 

「フェイズシフト、これはどうだ!」

 

 そのままクルーゼはジグーを旋回させると、ストライクへと攻撃の矛先を変えマシンガンを放つ。狙いはストライクではなく、
周りにいるマリューを含む、キラの友人達だった。

 

「伏せて!」

 

 マリューは少女、ミリアリア・ハウを庇う。

 

「あっ!」

 

 キラはマリュー達を守るようにストライクを盾にした。ストライクの装甲が火花を上げ攻撃を弾く。
 ジグーはシャフト付近まで上昇をかけ、自由落下をしてくるνガンダムに近づきながらマシンガンを放った。

 
 

「その機体性能、見せてもらうぞ!」
「貴様、コロニーで何をしている!」

 

 アムロはクルーゼに悪意を感じ、νガンダムを振り回しながら弾を避け、ビームマシンガンを向ける。

 

「ほう、楽しませてくれそうだ」

 

 クルーゼはニヤリと笑う。

 

「艦尾ミサイル発射管、7番から10番まで発射準備。目標、敵モビルスーツ!――レーザー誘導。いいな、間違えても地表やシャフトに当てるなよ――撃て!」

 

 ナタルが叫ぶと同時に、アークエンジェルからミサイルが発射され、ジンを追いかける――が、ジンは次々とかわし、ミサイルがメインシャフトに当たり爆発を起こし、ワイヤーが切れていった。

 

「何をしている!こんな所でミサイルを撃つ奴があるか!」

 

 アムロはアークエンジェルに叫びながら、バーニアを噴かし、ジンを追いかける。

 

「じょ、冗談じゃない!」

 

 キラは怒りにまかせ、スコープを引き出し、ストライクが“アグニ”と呼ばれるビーム砲を構えるが、動きを止めないジグーをロックオン出来ないでいた。

 

「これ以上、コロニーを傷つければ崩壊する――なら、当てるまでだ!」

 

 アムロはジグーとのダミーバルーンを放ちながら距離を一気に詰め、頭部バルカンを発射し、ジグーの頭を爆発させる。

 

「くっ、なかなかやるなっ!なにっ!?」

 

 爆発のショックで、一瞬だがジンは動きが止まる。

 

「来る!?」

 

 アムロはストライクから攻撃の意思を感じ、ジグーから離れる。

 

「待って、それは――!」

 

 マリューはストライクを止めようと声を上げた。

 

「今だっ!」

 

 ストライクがアグニを発射する。ビームの束はジンの右腕を吹き飛ばし、コロニーの地表を白熱させ、宇宙に繋がる大穴を開けた。

 

「ああっ――!」 

 

 キラは自分のした事の重大さに青ざめた――。