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CCA-Seed_98 ◆TSElPlu4zM氏_第26話_前編

Last-modified: 2007-11-10 (土) 18:22:18

アークエンジェルのブリーフィングルームにはマリュー、ムウ、アムロ、キラが、その反対側にはバルドフェルド、アイシャ、ダコスタが腰を下ろしている。
 最初はまだ和やかな雰囲気だったのだが、この戦争の討論を始めた辺りからピリピリとした空気が漂い始めていた。
 その為か、両軍指揮官達は極力冷静に努めていたが、そうは上手くは行くものでもない。
 この中で特にヒートアップしてしまったのが、ムウとダコスタであり、その二人の罵り合いに近い遣り取りをアイシャは頬杖を着きながら可笑しそうに見ていた。

「――キラや他の協力的なコーディネイターならまだしも、プラントのコーディネイターを信用しろなんて、すぐに出来る訳無いだろっ!」
「そんな事はありません!クライン議長は地球側との話し合いを行い戦争を止めようとしています。歩み寄ろうとしないのは地球側じゃないですかっ!」
「そのクラインがNジャマーなんてもん落としたんだろうが!あれでどれだけの人間が死んだと思ってるんだよっ!」
「地球軍はユニウス・セブンに核兵器を使ったじゃないですかっ!」

 この二人の罵り合いを、何度も止めに入ったマリューは諦めた様に項垂れていた。
 その反対に座るバルドフェルドの顔には、この建設的で無い罵り合いが「何時まで続くのか」と言った呆れ返った表情が浮かんでいる。
 勿論、バルドフェルドもマリューと共に止めに入り、一度は収まったのだが再びこの様な結果と相成ったと言った所だ。

「罵り合いをしても仕方ないだろう!ムウ、抑えろ!」
「ダコスタ、止めないか!」

 業を煮やしたアムロがムウに自制する様に目を向けると、バルドフェルドもそれに乗り再度止めに入った。

「……分かったよ」
「……申し訳ありませんでした」
「お二人とも冷静にお願いします。……はぁ」

 ムウとダコスタはバツの悪そうな顔で謝罪をすると、マリューが疲れた顔を見せて溜息を吐いた。
 そのマリューの様子を目にしたアイシャは、同じ女性と言う事もあって同情的な態度を見せる。

「苦労してるわね。もう一杯どう?」
「……ありがとう。ここで罵り合っても何も解決しないものね」
「そうね」

 少し儚げに微笑むマリューに、アイシャは頷きながら空のカップへとコーヒーを注いだ。
 その二人の遣り取りを目にしたムウが、首の後を片手で摩りながら口を開く。

「……だから悪かったって。言い合うつもりは無かったんだけどさ」
「私も申し訳ありませんでした……」
「この話は止めにしようぜ。それにしても、砂漠の虎はホント良い趣味してるぜ。済まないけど、俺にももう一杯もらえるかい?」

 ダコスタも謝罪をすると、ムウが話を切り替え空になったカップを前に差し出した。
 アイシャは軽く頷き、ムウのカップにコーヒーを注ぎ込む。それを見ながらバルドフェルドがムウの方に顔を向けた。

「せっかく地球にいるんだ。誰だって楽しみたいと言う物が一つくらいあるだろう」
「彼には良いのか?」
「いいえ、私は結構です」

 水を啜るダコスタを見てアムロがバルドフェルドに顔を向けるが、当のダコスタは首を振ってバルドフェルドの代わりに答えた。
 雰囲気が戻った事で笑みを見せるバルドフェルドは、背凭れに体を預けるとアムロの問いに答える。

「ダコスタ君はコーヒーが苦手らしいからな。この味が分からないとは勿体ないと思うんだがね」
「そんなに良い物なんですか?私は苦味が苦手で……」
「でも人の味覚なんてそれぞれだからな。苦手なら苦手で良いんじゃないの?」
「そうですよねぇ」

 コーヒーの事で主張をするダコスタを、意外な事にムウがフォローする。
 先程の事があるとしても戦争以外には相容れない訳では無いと言う主張を実践する様に頷くダコスタに、バルドフェルドは苦笑いを浮かべてマリューの方へと顔を向ける。

「まあ、そう言う事だな。エンデュミオンの鷹殿の言う様に、この話はここまでって事で一つ聞きたい事があるんだが」
「何ですか?」
「ラクス・クラインが乗っていた民間船に攻撃したユーラシア艦艇の事さ。君達が討ったんだろう?」
「どうしてそれを!?」

 マリューは事の内容に目を剥いた。
 ユーラシア艦がモニターしていたアークエンジェルやストライクの戦闘記録を、ザフト軍は完全に引き出しているからこそデータがあるのだ。
 だが、こうなってしまった以上、今更な事でもあった。
 それにザフト軍がユーラシア艦艇との戦闘を知っていると言う事は、アークエンジェルがユーラシア連邦側に逃げる算段が着かないのを知っているのと同義であって、この時点で北に逃げる様に見せるルートが消えた事になる。
 その事でアムロは苦渋の表情を浮かべた。
 ただでさえ連携の上手く行っていない連合組織の内情に、バルドフェルドは口の端を吊り上げてマリューへと答える。

「ああ、味方がユーラシア所属艦を拿捕したそうでね。そうでなければ、この船の名前も知らないままだったさ。差し詰め、君達は正義の味方とでも言えば良いのかな」
「あれは……」
「理由はどうあれ、そのお陰で歌姫が無事だったんだ。重ね重ね感謝に絶えんよ」
「その……ユーラシア艦に乗っていた者達は?」
「さあ、僕には分からないね」

 マリューが眉を寄せてユーラシア艦の乗組員の事を聞くと、バルドフェルドはただ首を横に振るだけだった。
 その時、突然扉が開き、アークエンジェルの警備兵に伴われたザフト兵士が入って来た。

「失礼します!」
「ん、どうした?」

 バルドフェルドが顔を向けると、兵士は警備兵から離れて歩み寄り一枚の紙を手渡した。

「……何だと、こんな時にか!?」

 紙に書かれている内容に目を通したバルドフェルドは、顔を顰めつつも呆れた様な声を上げた。
 マリューがその様子を見て、不安気に聞いた。

「あの、何か……?」
「ああ、レジスタンスが動いた。彼らには呆れて物が言えん。申し訳無いが、これで失礼させてもらう」
「はあ」
「……そうそう、言い忘れたが、レジスタンスがこの艦に攻撃をしてくる可能性も考えられる。そちらの準備もお願いしたい」

 ザフト軍一行はブリーフィングルームを後にする為に席を立つと、バルドフェルドが思い出した様にマリューに告げた。

「共同戦線ですね……。分かりました」

 マリューは腰を上げ眉間に皺を寄せながらも頷いた。
 アークエンジェル、レセップス両艦は停戦協定に基づき、一時的に共同戦線を張る事となった。

 レジスタンス“明けの砂漠”のリーダーであるサイーブは、エドルを始めとする、暴走してしまった一部のメンバー達を追い掛けていた。
 サイーブにしても、暴走した彼らの気持ちは分からないでは無いが、“明けの砂漠”に取って停戦終了後の地球軍との共同戦線は、ザフト軍を追い出すまたと無いチャンスなのだ。それを見す見す逃す訳には行かない。
 遥か前方を砂を巻き上げながら疾走する一団を、サイーブは歯軋りをしながらバギーを走らせる。そこにもう一台のバギーが後方から近付いて来た。
 サイーブは近付く車両に目を向けると、来るはずの無いカガリ、アフメド、キサカの三人の顔が揃っている事に表情を歪めて怒鳴った。

「――お前達!?どうしてついてきた!?」
「当たり前だ!私も一緒に戦う為だ!」
「馬鹿な事を言うな、戻れ!」
「嫌だ!」

 バギーの助手席に座るカガリはその金色の髪をなびかせながら、サイーブに対して思い切り怒鳴り返した。
 するとカガリの後ろにいるキサカが、サイーブに向かって声を張り上げた。

「サイーブ、このままでは全滅するだけだ!奴らをどうやって止めるつもりだ?」
「――!?キサカ、何を言ってるんだ!」
「カガリ、状況を見誤るな!策も無いのに勝てる訳が無いだろう!無駄に命を散らすだけだ!」
「――だからって!」

 自分の腹心がそんな事を言うとは思っていなかったカガリは、振り返ってキサカを睨み付けた。

「あれだけの数だ、そう簡単には止められん!何か無いか?」
「この状況ではな!」

 カガリを無視したサイーブは、この状況で唯一頼りになりそうなキサカに向かって何か策が無いかと問うと、キサカは苦々しい表情で首を振った。
 その答えにサイーブは顔を歪めて舌打ちをするとアクセルを更に踏み込み、スピードを上げた。
 自分達を引き離そうとするサイーブに向かって、カガリが興奮した表情で怒鳴った。

「いくらでも戦い様はあるだろう!」
「お前は今まで何を見てきた!?この行動がどんな結果を生むか、想像が着かないのか?」
「やりもしないで想像だけで物を言うな!仕掛けなら使うはずの物があっただろう!」

 諌める様にキサカが言うと、カガリは振り返り顔を真っ赤にして怒鳴りつけた。
 本来ならば地球軍のモビルスーツを餌にして、ザフト軍のモビルスーツを纏めて葬り去るはずの仕掛けがあったのだが、餌であるストライクが自分達の事を無視した為に、仕掛けは使う機会さえ無かった。
 そのカガリの言葉に、運転するアフメドは同意し頷きながら言う。

「そうそう、あれをでモビルスーツを吹き飛ばしてやる!」
「餌も無いのに上手く行くと思うのか?」
「うるさい!」

 キサカが二人に向かって厳しい視線を向けると、カガリは怒鳴りながら後ろにあったロケットランチャーを両手に抱えた。
 一方、先に行ったサイーブはどうにか暴走する一団へと取り付き、先導しているエドルのバギーへと併走させていた。

「エドル、引き返せ!死にたいのか!」
「うるせえ!腰抜けはとっとと帰りやがれ!」
「この馬鹿がっ!どうしてお前は、あいつらの停戦を上手く使おうと考えない!」

 サイーブはアクセルを踏み込み、エドルの乗るバギーの前に出ると暴走を止める為にブレーキを踏んだ。

「――っつ!あっぶねぇだろうが!殺す気か!?あんたはどっちの味方してんだよ!」

 目の前でサイーブのバギーがブレーキを掛けた事で、エドルは慌ててハンドルを切ってギリギリの所でかわして停止すると、睨みつけながら吐き捨てて再び走り始めた。
 結局、暴走を止める事の出来なかったサイーブは、慌ててアクセルを踏み込む。

「エドル、待て!」
「サイーブ!不味いぞ、このままでは地球軍艦の前に出る事になる。下手をすれば両軍から攻められる事になり兼ねんぞ!」
「くそっ!あいつら先走りやがって、死ぬぞ!」

 そこへ、ようやく追い着いたキサカが叫ぶと、サイーブは苦々しい表情で吐き捨てた。
 暴走するエドル達が向かっている先は、ザフト軍の戦闘母艦レセップスのある方角なのだ。ましてやそれは、アークエンジェルまでもが停泊している場所でもある。
 そこに攻撃を仕掛けて、リーダーであるサイーブの言う通り、万が一でも生きて帰って来れる見込みなどありはしなかった。
 二人の遣り取りを耳にしたカガリが、心底腹立たしい顔で怒鳴った。

「キサカもサイーブも、やりもしないで決めつけるな!」
「……ならばカガリ、その結果がどうなるのか、自分の目で確かめて見ろ」

 キサカはカガリを一瞥すると、厳しい顔付きで前方を見据えながら言った。
 灼熱の砂漠はその目に見える風景を歪ませていた。

 アークエンジェルの格納庫は再び慌しく動き、各機の出撃準備が行われ始めていた。
 パイロット達は各々、自分の機体へと向かって行く。その中、マードックと整備兵の一人がアムロへと歩み寄った。

「大尉さん、本当に出るんですか!?」
「いや、まだ分からない。レジスタンス次第だ」
「……あんまりνガンダムに無茶させないでください。そろそろ、右腕の駆動系がそろそろ限界に近付いてるんですよ」

 νガンダムへと向かうアムロが二人に答えると、マードックは神妙な面持ちで言った。
 その言葉にアムロは歩みを止め、眉間に皺を寄せて聞き返す。

「……どのくらい持ちそうだ?」
「あの……内容次第なんではっきりは言えませんが、指折り数えるくらいとしか……。出来れば、右腕でサーベル振るうのは止めた方が良いです」
「左腕は……まあ、まだマシって感じですけど、いずれは……」

 整備兵が言い辛そうに答えると、続けてマードックが髪を掻き毟りながら言った。
 νガンダムはシャアとの戦い以降、パーツ交換すら出来ずにいる。加えてヘリオポリスからの連戦を鑑みれば、その消耗度合いにアムロは納得せざる応なかった。
 しかし、アークエンジェルは安全圏に到達した訳でも無く、孤立無援の上に敵のど真ん中なのだ。
 停戦が終了すれば戦闘は再び再開される事は明白であり、そこでνガンダムが使えないとなれば戦力は大きく減り、更に辛い戦いを余儀なくされる。
 アムロは現状で対応策が無い事に少しの間顔を顰めるが、仕方ないと言った様子で頷く。

「そうか……。とにかく、今はまだ大丈夫なんだな?」
「ええ、無茶しなければですけれどね」
「了解した。二人とも面倒を掛けて済まない」
「いいえ、こんな珍しい機体いじくらせてもらってますからね」

 目の前の二人を労うかの様にアムロは礼を言うと、整備兵は首を横に振って答えた。
 その様子にアムロは苦笑いを浮かべてνガンダムへ乗り込む為に踵を返した。

「大尉さん、頼みますよ!――お前ら、モタモタすんなよ!」

 マードックはアムロの背中に声を掛けると、すぐに近くの整備兵達に向かって怒鳴り声を上げた。
 そして数分の後、アークエンジェルのパイロット達は、それぞれの機体のシートへと腰を下ろして発進準備を完了させる。

「スカイグラスパー、OKだ!いつでも出れるぜ」
「ストライクの準備完了しました!」
「νガンダム、出撃準備完了した。指示を頼む」
「……各機とも現状のまま待機をお願いします」

 各パイロットがブリッジへと報告すると、若干いつもよりトーンの低いミリアリアの声がコックピットに響いた。
 今回、スカイグラスパー二号機のパイロットであるトールは、同一号機の複座へと身を沈めている。
 それはムウの意向でもあり、モビルアーマーから見た戦場を経験させる為でもあったのだが、その事が原因でミリアリアは声を落としていたのだった。
 だが、そんな事を気に掛ける暇などありはしない。
 キラがストライクのコックピットで呟く様な声で聞いた。

「あの……本当にやるんですか?」
「いざとなれば、やるしかないだろうな」
「奴ら何を考えてんだか、全く……」
「生身の人間相手に……僕は……」

 アムロとムウからの通信が返って来ると、キラはνガンダムの戦闘記録を見た時にモビルスーツの手に因って、握り潰されて死んだパイロット――ケーラ・スゥの事を思い出し、躊躇いがちに言った。
 モビルスーツやモビルアーマーではなく、生身の人間相手に戦闘経験の無いキラは戸惑いを隠せない様子だった。

「キラ、まだ、やり合うと決まった訳じゃない。だが、やる事になれば生身の相手だとしても、気を抜けば命取りになるぞ」
「そうそう、人間死んじまったらお仕舞いなんだから、全力でやって生き残れ。今は下手な事を考えるな」
「……はい」

 先輩パイロットであるアムロとムウの言わんとする事は理解出来るし、アークエンジェルを守る為には必要な事なのだが、自分達がネオ・ジオンのモビルスーツと同じ様に生身の相手を殺さなければならない事にキラは声を落とした。
 だが、その様な甘い考えに付き合っていられる様な時間は、この船に乗る者達には無い。
 アムロは判断を仰ぐ為に最高責任者であるマリューに声を掛ける。

「ラミアス艦長、どうするつもりだ?」
「あっ、はい。今は、成り行きを見守るしかないでしょうね」
「レジスタンスが攻撃して来ないにしても、もし、仮にアンドリュー・バルドフェルドから要請が来たら、どう対応する?」
「……気は引けますが、こちらの姿勢をザフト軍にも見せなけば怪しまれますし、応じる以外は無いかと思います」
「なら、砲塔上げといたら?レジスタンスも迂闊に近付かないだろ」

 マリューはアムロの問いに苦慮する様子で返答すると、ムウがアークエンジェルの主砲であるゴットフリートを威嚇の為に上げておく事を提案して来た。
 するとムウの提案に対して、ナタルは硬い口調で異を唱える。

「しかし、今の段階で上げてしまうとザフト側に不信がられる可能性もありますし、ゴットフリートを本当に撃つ事になれば、この狭い戦場ではザフト軍機に当たりかねません。それにレジスタンスとは言え、我々に取っては脱出時の戦力となる可能性もあります」
「……そうね。停戦終了後の事を考えるとね……」
「だがな、レジスタンスの連中、自業自得なんだぜ。虎の奴は警告してたんだし、勝手に全滅しても文句は言えん立場だろ?それにこっちだって、要請が来たら断る訳にはいかないんだ。分かり切った事じゃないか」

 艦長であるマリューはいかにも困ったと言う感じで言うと、ムウが少し呆れた様子で言った。
 ムウとてレジスタンスを殺したい訳でも無いし、ザフト軍の味方をしたいとも思っている訳でも無い。
 だが、レジスタンス達はアンドリュー・バルドフェルドからの提案を蹴って尚、攻撃をして来るのだから、敵とは言え同じ軍人であるムウからすれば、彼らの行動は自業自得としか言い様が無く、呆れる程馬鹿な事と言えた。
 ムウの言う様にレジスタンスの迂闊な行動に対しては同意しながらも、アムロは今朝、脱出ルートを検討した際に自分の意見を尊重してくれたナタルを庇う。

「ムウの言う事は最もだが、ナタルの言う様に脱出時の戦力も欲しいのも事実だ。……俺達がレジスタンスに対して攻撃をすれば、停戦終了後の協力すら白紙になる可能性の方が高いな」
「ええ、その場合は仕方ないと思いますけれど……」
「レジスタンスが馬鹿な事をしてくれたばかりに……」
「だけど、何か方法があると思うんです……。回避する方法が……」

 頷くマリューの言葉にナタルがレジスタンスを非難すると、キラの声が苦悩を現す様に小さく響いた。
 今のアークエンジェルは、アンドリュー・バルドフェルドの要請があれば受けなければならず、完全な板ばさみとなっていた。
 キラの呟きに、アムロは少し考え込むと徐に口を開いた。

「方法か……。レジスタンスを逃がすだけなら、方法が無い訳じゃないんだが……」
「アムロ大尉!?何か方法が?」
「ああ、だが上手く行くとは限らないし、無駄な努力になるかもしれない。それに逆に全滅させてしまう可能性さえある。上手く行ったとしても、恐らくレジスタンスとの停戦後の協力は得られなくなるぞ」

 ナタルが聞き返すと、アムロ自身があまり良いアイデアでは無いと思っているだけに、念を押すかの様に言った。
 だが今の状況では、解決の糸口すら見えない。どんなアイデアでも喉から手が出る程欲しいと言うのが全員の本音だった。

「それでアムロ大尉、どんな方法なんですか?」
「どうと言う事は無いんだが、正攻法で討って出てレジスタンスを追い返す。彼らが早めに逃げてくれれば、それだけ生き残る率も高まる」
「だけどさ、奴らがこっちの意図に気付くとは思えないんだがな。それに下手にやって虎の奴にバレやしないか?」
「本当ならザフトよりも先に出る事が出来れば何とかする事も出来たのだろうが、もうこの段階では無理だ。こちらがあからさまにやれば流石に気付かれる。最悪の場合はレジスタンスを討つ事になるだろう」

 事の内容を聞いたムウが、その事で停戦が不意になる事を心配すると、アムロは頷いて最悪の事態を回避する為の方法を口にした。
 今後を考慮に入れ、なるべくレジスタンスの損害を最小限に食い止めたいマリューは難しい表情を見せる。

「一芝居打つとして、レジスタンスへは後日、説明と言う訳にはいかないわよね……」
「そりゃそうだろう。それに俺達がそこまでやる義理は無いんだしな」
「俺自身も上手く行くかは見当もつかないからな。この際、レジスタンスは切り捨てるべきなのかもしれないな……」
「だけど、後々の事を考えれば、この地域のザフト軍への抵抗勢力が無くなってしまうのは、連合に取って大きな損失になり兼ねないのも事実なのよね……」

 ムウとアムロの言葉に、どうすれば良いのかとマリューは頭を抱えた。
 何時までも話が纏まらないままではどうしようも無い。と、言った感じでムウは全員に問い掛ける。

「そんで、どうするよ?」
「賭になりますね……。ただ本当に上手く行くかどうか……。フラガ少佐の言われる通り、我々にそこまでの義理はありませんし、それに生き残ったレジスタンスが本艦を狙って来る可能性も否定出来ませんね」
「レジスタンスがアークエンジェルをですか……?」
「最もそうなれば敵って事だ。ぶっ倒す以外には無いだろう」

 ナタルの言う事にキラはまさかと言った表情を浮かべるが、ムウは平然とした口調でさも当たり前の様に答えた。
 そうしている間にもレジスタンス達は近付いて来ているのだから、時間を掛ける事などは出来ない。
 アムロは最高責任者の判断を仰ぐ為にマリューに問い掛ける。

「どちらにしてもこの現状では、そう選択肢は多く無い。艦長であるマリューに決めてもらうしか無いが、どうする?」
「……このまま見ていても、レジスタンスが何か言って来る事は明らかでしょうね。それなら艦の安全を優先してやれるだけやってみる。と、言う事でどうでしょう?あくまでもザフト軍にばれない様にですけれど……」
「もしヤバくなったら、レジスタンスを討って見せて知らぬ存ぜぬを推し通すって事で良いんだよな?」
「仕方ないですが、そう言う事です」
「了解!んじゃ、一丁やるとしますか。指示頼んだぜ!」

 問いにマリューは割り切った様に頷くと、ムウは大きく頷いた。
 全員が示し合わせた様に準備に入ると、マリュー慌てた様子でムウ達を呼び止める。

「あっ……、ちょっと待ってください!」
「ん、どうした?」
「あの、今回はただの戦闘ではありませんし、それに……一芝居打つ為にモビルスーツの細かい連携やタイミングの問題もあります。出来れば今回は、フラガ少佐かアムロ大尉に指揮をお願いしたいんですが……。良いでしょうか?」
「それは構わないけど」
「……それじゃ、お願いします」

 ムウが気にしない顔で言うと、マリューは小さく息を吐いてから戦闘指揮権をムウに託した。
 ヘリオポリスからの事や停戦などの折衝などを考えれば、心労が祟っていても可笑しくは無いが、今から戦闘が始まろうとしているこの時に、上官の覇気と言うのは多いに戦闘に差し支える。
 眉を顰めながらもムウはマリューを叱咤する。

「おいおい、艦長がそんな自信無さ気でどうすんの?胸張って戦闘指揮を任せるって言ってくれりゃ、それで良いんだって!」
「……済みません」
「謝るなよ。マリューは何でも背負い込もうとし過ぎだぜ。……ったく、今は後回しだ。俺よりも適任なのはアムロだと思うんだけどさ、なあ、イメージ出来てるんだろ?」

 ムウは苛付いた様子で髪を掻き毟り、指揮の話しに戻すとアムロに問い掛けた。

「ああ。だが良いのか?」
「スカイグラスパーは全体を見渡すには良いかもしれんが、移動しっぱなしになるからな、地上戦だと流石にキツイ。それにあれだけの事をやって来てるんだ、アムロになら俺は任せられるぜ」
「大尉は経験豊富ですし、私も異論はありません」
「僕も無いです」
「俺もです」

 ムウが自信を持って答えると、ナタルとキラ、そしてトールも続く様に同意した。
 戦闘指揮を執る者が決まった所で、マリューがアムロに対して口を開いた。

「大尉……よろしいでしょうか?」
「……分かった。ラミアス艦長、今回の指揮権をもらえるか?」
「はい、お願いします」
「了解した」

 今戦闘の指揮権を託されたアムロは静かに頷くと、指示を出す為に再び口を開いた。
 現在、DNA鑑定の行われている医務室のある区画を除いた艦内にアムロの声が響き渡る。

「アムロ・レイ大尉だ。この戦闘は俺が指揮を執らせてもらう。全員、気を引き締めてくれ。各員、所定の位置へ着け。各員の奮闘を期待する」

 アムロはそこで艦内向けの言葉を区切り、個別に指示を出して行く。

「ナタル、君にはミサイルでの牽制を担当してもらう。場合に因っては主砲を撃ってもらう事になる。準備を頼む」
「了解しました、お任せください!」
「ムウとキラはカタパルトデッキにて待機。ストライクはバルカン砲が使えれば良い。ランチャー装備で出撃準備を」
「了解了解!」
「了解しました!」
「俺はアグニにケーブルを繋げたらブリッジ上で待機する。ブリッジ、俺が上に上がったら、ザフト軍に回線を開いてこっちに回してくれ」

 指示を出したアムロは、νガンダムの操縦桿を握りペダルに力を込める。

「νガンダム、出るぞ!」

 アムロの声と共にνガンダムの目が光り、その四肢が動き始めた。

 窓の外には当たり前の如く砂漠が広がり、大気が熱で揺らめいていた。
 バルドフェルドはレセップスのブリッジで、その光景に目を細めながら呟く。

「レジスタンスには警告はしたんだがな、全く……。彼らは余程、死にたい口らしいな」
「――距離、約四〇〇〇、敵車両数、多数!このままだと、約六〇〇秒後に地球軍艦アークエンジェルの前方約八〇〇で戦闘が行われる事になります!」
「隊長、バクゥと戦闘ヘリで対応します」

 近付くレジスタンスの報告と共に、素早くダコスタがその対応をした。
 バルドフェルドは軽く頷いて見せるとダコスタは歩み寄り、周りに聞こえない程の声で言う。

「あの……隊長、どうするんです?あの少尉とラクス様の……」
「ダコスタ、あの二人をどうするって?レジスタンスと関係無いだろう」
「……済みません」

 事の内容にバルドフェルドは一瞥すると、ダコスタは謝ってから一歩引いた。
 シーゲル・クラインを信じている訳では無いバルドフェルドに取って、ラクスの事などはどうでも良い事だった。
 だが、クラインを盲信するダコスタに取って、ラクスの事は一大事である。引いてはプラントの将来にも大きく関わる事なのだ。

「マーチン君、野暮な事考えてると馬に蹴られるわよ」
「……はぁ」

 アイシャが微笑を見せながらからかうと、難しい顔をしていたダコスタは、毒気が抜かれた様に溜息を吐いた。
 そうしている間にも状況は動いて行く。バルドフェルドはアークエンジェルとの連携を取る事を想定して、オペレーターに向かって指示を出す。

「一応、アークエンジェルに教えてやれ」
「了解しま……、待ってください!アークエンジェルの……アムロ・レイ大尉から通信が入っています」
「何だ?……繋いでくれ」
『こちらは、地球軍第八艦隊所属アークエンジェル、アムロ・レイ大尉だ。こちらの戦闘指揮は私が執る事になった。よろしく頼む』
「エース自ら指揮とは、こちらとしても心強いな。対応を感謝する」

 レセップスのスピーカーにアムロの声が響くと、バルドフェルドは口元に笑みを見せた。

『アンドリュー・バルドフェルド、買い被りはやめて欲しいな。それでだが、こちらは既に迎撃体勢に入った。いつでも攻撃可能だ』
「早いな……。今の段階で、貴艦が攻撃を行かなければならない理由は無いはずだが?」

 アークエンジェルの対応の早さにバルドフェルドは感心しながらも、些か何か引っ掛かったのか質問を返した。

『こちらが動けないのは知っているだろう。的になる事は避けたいが、今はそちらとの協力関係を優先する。レジスタンスへは先日、警告してある上でこれだからな。牽制も兼ねて、こちらから攻撃の口火を切る事にしたい。了承してもらえるか?』
「ほう……。それは有り難いが、それでは確実に攻撃される事になるぞ」
『近付けさせなければ問題は無い。それに守ってもらえるのだろう?こちらからは主に狙撃と空爆での支援となる。当たらない様に相手との距離を取って迎撃してもらいたい』

 今は一時的な協力ではあるが、元来は敵であり、あれだけの戦闘をするパイロットが狙撃をするのだから、心強いのだが、それを口実に自軍のモビルスーツを落とされたら堪った物では無い。
 眉間に皺を寄せたバルドフェルドは、アムロを問い質す。

「こちらのモビルスーツを狙い撃つつもりじゃないだろうな?」
『そんな真似をして、停戦を不意にするつもりは無い。少しは信用をしてもらえると有り難いがな』
「……分かった、先制攻撃は任せる。協力を感謝する」

 状況を考えれば、アムロの言う様にアークエンジェル側が停戦を破棄する様な真似をしてくるとは考え難く、バルドフェルドは眉間の皺を緩めて、一応納得したように返答をする。
 それから二、三、遣り取りをすると地球軍側との通信を切った。

「あー、全員良く聞け。この戦闘は地球軍艦アークエンジェルとの共同作戦となった。それに伴い、地球軍モビルスーツ、モビルアーマーによる先制及び、支援攻撃が行われる。レジスタンスとは距離を保ち迎撃を行え。
 それからだが、停戦協定上、ラクス・クライン嬢が乗ってる事もあって、アークエンジェルを守らなければならない。レジスタンスがアークエンジェルを攻撃した場合は最優先で守れ。一応だが、地球軍の動きにも注意はしておけよ!」

 自分の部下達に向かってバルドフェルドは大声で指示を出すと、隊は活気付いた様に再び動き出した。
 太陽の光は益々強くなり砂漠を白く染めて行った。

 灼熱の砂漠に風とともに砂塵が舞い上がり、それと同時にアークエンジェルのブリッジには声が響いた。
 モニターには拡大して尚小さく見える、砂を巻き上げながらレセップスに向かおうとするバギーの一団が映し出された。

「――来ました、レジスタンスです!距離、二〇〇〇!」

 アークエンジェルのブリッジ上で待機するνガンダムが左膝を着き、右膝を立たせた状態でアグニを構える。
 アムロは間髪を入れずに、スカイグラスパーで待機するムウへと回線を開いた。

「スカイグラスパー発進良いか?ムウ、レジスタンスに対して空爆での牽制を頼む」
「当てなきゃ良いんだよな?」
「そうだ。その上でレジスタンスが撤退を始めたら追跡に入ってくれ」
「追跡?……それで、どうすればいい?」

 追跡と言う選択肢が出て来るとはムウは思っていなかった様で、どの様な行動をすれば良いのか指示を仰いだ。
 アムロは軽く頷くと、その内容を簡単に説明し始める。

「ザフト軍に追跡をされれば全滅の可能性が高い。ある程度追跡した所で、ザフト軍の追撃する気を削いでくれ。やり方は任せる」
「なるほど。要は追跡不可能とか、逃げられたって事にするんだな。もしばれそうなら、さっき決まった通りやっちまって構わないんだろう?」
「ああ、その場合は仕方が無い。こちらの安全を優先してくれ」
「了解した!」

 アムロがハッキリした口調で淀み無く答えると、ムウは力強く頷いた。そして、そのまま自分の後ろのシートに座るトールへと声を掛けた。

「トール、行くぞ。覚悟出来てんな?」
「はい!」

 スカイグラスパーの後部シートに身を沈めていたトールは、腹から声を出して応えた。
 やがてカタパルトデッキに外の光が差し込み、目の前に砂漠が広がる。

「進路クリア。……スカイグラスパー、発進どうぞ!」

 管制担当であるミリアリアがスピーカーから響き、その声には淀みと些か張りの無さが感じられる。恐らくトールを心配しているのだろ。
 ――どいつもこいつも、全く!少しは集中しろってんだ!
 マリューの弱気発言の事もあって、ムウは苛立った様に心の中で吐き捨てた。

「ムウ・ラ・フラガ、トール・ケーニッヒ、スカイグラスパー出るぞ!」

 ムウが怒鳴ると、スカイグラスパーは瞬く間に大空へと飛び立って行った。
 スカイグラスパーの出撃を確認したアムロは、すぐにキラへと指示を出した。

「キラ、砲撃と同時に出撃だ。こちらに向かって来るレジスタンスの進路をバルカンで遮れ。いいな!」
「了解しました!カタパルトのハッチを開けてください!」
「了解!キラ、少し待ってね。アムロ大尉とタイミング合わせるから」
「分かった、任せるよ!」

 ミリアリアの言葉にキラは頷くと、ゆっくりとハッチが開いて行き外の光が差し込んで来た。
 レジスタンスの一団は、あと数分もすればアークエンジェルの前方に差し掛かる。
 ブリッジの上で待機するアムロは、νガンダムの腕の駆動系に負担を掛けさせない為に、左膝を着けたまま砲身に添えている右手を砲身の下へと移し、右肘を立っている右膝の上に乗せてアグニを構え直させると、レセップスへの回線を再度開いた。

「こちら、アムロ・レイだ。これより砲撃を開始する!」
『了解した。乱戦になった場合は砲撃を中止するなりしてくれ』
「了解している。俺も注意はするが、くれぐれもこちらの砲撃に当たらない様に気をつけてくれ」
『僕の部下も馬鹿じゃない。君に狙われなければ大丈夫だ。さあ、作戦開始と行こう』

 半分おどけた様な口調で言うバルドフェルドの声がコックピットに響くと、アムロは回線を切ってナタルに指示を出した。

「ナタル、ミサイル発射だ!レジスタンスの進路を塞いでくれ!」
「了解しました!スレッジハマーってー!」
「砲撃を開始する!――当たるなよ!」

 ナタルの声がコックピットに響くと、アムロはトリガーを押し込んだ。
 それと同時にアークエンジェルの艦尾にあるミサイル発射管から四発のスレッジハマーが発射された。
 アグニから走る光は、先頭を走るレジスタンスの車両から五〇メートル程先を遮る様に着弾する。熱量が砂を溶かし、爆発が大量の砂塵を巻き上げた。

 レジスタンス達がレセップスへと向けて疾走する最中、右手に見えるアークエンジェルから突然ビームが走ると、車両の数十メートル先の砂を溶かし行く手を遮った。
 ビームは爆発を起こし、それによって舞い上げられた大量の砂が彼らに襲いかかって来た。

「――なっ!?地球軍が撃って来ただと!?」

 エドルは絶句しながらハンドルを切って、降り掛かる砂から逃げようとした。
 他のレジスタンス達も同様で慌てた様に旋回して回避するが、そこへ遅れて飛んで来たスレッジハマーが追い立てるように着弾し、彼らをレセップスから更に遠ざけて行く。
 更に追い打ちを掛ける様に、上空からモビルアーマー――スカイグラスパーからの空爆が彼らを襲った。

「糞っ!地球軍の奴ら、ザフトと手を組みやがって!奴らも敵だ、ぶっつぶせ!」

 エドルの怒鳴り声と共に、一団の右翼にいた四分の一程の車両がアークエンジェルへと向かって走って行く。
 暴走する彼らを追い掛けていたサイーブがアークエンジェルを睨みながら吐き捨てる。

「っ!地球軍は何を考えているんだ!?」
「最悪の展開となったが、今の所被害はゼロの様だ。奇妙だな……」
「あいつらは自分の身を守る為に、ザフトと手を組む様な卑怯者なのが分かったか、キサカ!」

 サイーブの乗るバギーに併走する、もう一台に乗っているキサカが地球軍からの攻撃を見て眉を顰めると、同乗するカガリが怒りを顕わにしながらアークエンジェルの行為を罵った。
 次々と襲い掛かるビームとミサイルに、彼は散り散りになりながらも一矢報いようと必死に走り回る。
 やがて彼らの本来の敵である、ザフト軍のモビルスーツと戦闘ヘリが姿を現し攻撃を仕始めると、アークエンジェルの方から何かが射出され大きな物が着地する振動音が聞こえて来た。
 キサカはその音に反応して、アークエンジェルの方へと顔を向けると表情を一変させた。

「モビルスーツ!?アークエンジェルからもストライクが出て来ただと!?」
「不味いぞ、このままじゃ本当に全滅し兼ねん!地球軍めっ!」

 サイーブは顔を歪めるとハンドルを切り、他の車両の方へと走って行った。
 ザフト軍モビルスーツからの発射された何かが、カガリ達の乗るバギーの近くで爆発する。

「――くっ!」
「――うっ!?私達も攻撃するぞ!アフメド、近づけるか?」
「任せろ!行くぞっ!」

 乗っているカガリ、アフメド、キサカの三人は顔を一瞬歪めるが、すぐにカガリは手にしているランチャーを肩に担いでアフメドに顔を向ける。
 少年は自信たっぷりに頷いて見せた。
 あまりにも無謀過ぎる行為キサカは厳しい視線を向けて怒鳴りつけた。

「やめろ、カガリ!」
「うるさい!」

 カガリは前方で仲間達に攻撃をしているザフト軍の攻撃隊に対してランチャーを向けると、キサカの言葉に対する返答を一言怒鳴り、ランチャーのスコープを覗き込んだ。
 そうしている間にも時は刻み続けるが、レジスタンス達はアークエンジェルからの砲撃が行く手を阻み、実質的な被害を与えているザフト軍攻撃隊の元まで辿り着けずいた。
 ハンドルを何度も左右に切って攻撃を回避して行くエドルは、焦りからか苛つきを隠せずにいた。