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CCA_電波◆Oa7bLA.9Wg氏_第5話

Last-modified: 2007-11-10 (土) 18:12:18

 コズミック・イラ73年10月3日。百年単位で安定軌道にあったユニウスセブンはその軌道を大きく離れていき、地球へと向かって動
き出していた。
 これに気付いたプラントは緊急事態として、ボギーワンを追撃していたミネルバに乗艦していたギルバート・デュランダルに報告。デュ
ランダルはこの事態を重く見て、全世界に向けてユニウスセブンの落下という重大な事実を伝えた。プラントはザフトからジュール隊をユ
ニウスセブンの破砕に派遣、衛星軌道上に近かったミネルバもデュランダルの命の下、そのジュール隊の破砕作業の支援という事になった。

 

 しかし、それは思いも寄らぬ道筋を辿っていた。

 

 ジュール隊が『メテオブレイカー』によって破砕作業を行なっている最中に所属不明のモビルスーツ部隊に襲われた。襲撃にあったジュ
ール隊は作業と同時に応戦を開始。後方で待機していたミネルバは支援要請から援護要請に変更、その携行武器も破砕を行なう為ではなく
、戦闘の為にという事に変更された。
 だが、事態はそれだけに止まらなかった。
 存在を明らかにしていなかったボギーワンが突然姿を現したのだ。ボギーワンはモビルスーツ部隊を出撃させ、その中には強奪されたカ
オス、ガイア、アビスの三機の新型モビルスーツの姿もあった。ユニウス落下という事態でありながら、三つの勢力は入り乱れながら戦闘
を行なっていた。

 

 唯一つ、誰も予期せぬ事態が起こっていたとは知らずに……。

 
 

 ユニウスセブンが地球への落下が未だ止まらぬ中で無数の光が交差する。交差する度に時間を置いて爆発するのはユニウスセブンが瓦解
する光ではなく戦闘するモビルスーツの爆発だ。そこには作業しているジュール隊のモビルスーツもあり、無防備となった背中を撃ち抜く
黒と紫の色彩に彩られたジン・ハイマニューバ況燭魯咫璽爛ービンを外殻に設置されたメテオブレイカーへと照準を向ける。
『―――!?』
 が、ビームカービンから光の一条は放たれず、ジン・ハイマニューバ況燭脇庸‖μ未ら襲い掛かった巨大な光条に貫かれて二つに分か
れて爆散した。
「おいおい、これじゃあ作業する前に落ちちまうぜ?」
 長大な砲身を構えた緑色のガナーザクウォーリアーのパイロット、ディアッカ・エルスマンは常の陽気な冷静さからは考えられない焦り
の声を出す。ガナーザクウォーリアーのモノアイは左へと動き、作業の邪魔をしようとするジン・ハイマニューバ況燭鯊えると脇に構え
たオルトロスを向け、その咆哮を響かせた。
 しかし、それを悟っていたのか寸前で上昇して避けたジン・ハイマニューバ況燭瞭阿にディアッカは思わず舌打ちする。
『泣き言を言うな!それでもザフトか!!』
 その側面、青に彩られたスラッシュザクファントムが長柄の斧を形状としたファルクスを上体を捻りながら相対するカオス目掛けて振り
被る。カオスは後ろに下がる事で避けようとするが、ファルクスの牙から逃れる事が出来ずに左肘から先を寸断させられる。だが、スティ
ングは数度打ち合っただけでスラッシュザクファントムの欠点を見抜いていた。
 それはスラッシュザクファントムが接近に特化した機体だという事だ。長柄の武器は自然と両手で握らねばならなくなり、ビームライフ
ルは持てなくなる。あの肩部に付いている二門の銃砲もすぐには使えまい。カオスは右手で握ったビームライフルで既に狙いを定めており
、後はトリガーを引くだけ。スティングはほくそ笑み、
『この程度で俺を―――なっ!?』
 スラッシュザクファントムの脇からカオスに迫ってきたハンドグレネードの存在に驚愕した。ハンドグレネードはカオスの前で爆発して
、その爆風でカオスを吹き飛ばす。スティングは衝撃に悶えながらもモニターに映った映像に僅かに目を見開く。
 スラッシュザクファントムの背後、ディアッカが乗るガナーザクウォーリアーが後ろを向きながら片手だけをオルトロスから手を離して
カオスに掌を向けていた。ディアッカは咄嗟にハンドグレネードを放り投げてスラッシュザクファントムを守ったのだ。
「でもこれじゃあどうしようもないぜ?イザーク」
 そう呼ばれたスラッシュザクファントムを駆る、イザーク・ジュールは背中合わせになった親友のとぼけた言葉に不甲斐無さから来る怒
りを声に出す。
『ならばどうにかしろ!こんな物を地球に落とさせるわけにはいかんぞ!』
 ディアッカは、やれやれ、と思いながらもイザークのそういう真剣な所が面白いから良いんだけど。等と不謹慎なことを考えた。
「はいはい、それじゃあさっさと済ませようか」
『行くぞ!!』
 イザークの掛け声と共に二機の機体はそれぞれ別方向へと駆けていく。
 落下するユニウスの地表に背後に光を追随させ、フォースインパルスが幾度目かアビスとの激しい攻防を見せつけていた。
 アビスが展開してビームランスで横一閃に薙ぎ払って距離を取ろうとする。対するフォースインパルスもアビスの火力の高さは理解して
いる為に機動防盾を構えて距離を詰め防ぐ。
『お前、さっきから邪魔なんだよ!』
「チィ……ッ!作業はまだかよ!?」
 焦燥する気持ちをシンは叫ぶ事で冷静にさせようとする。
 その後ろにはジュール隊所属のゲイツRがメテオブレイカーに取り付いて作業を続けていた。それを見つけたアビスはゲイツRを撃墜し
ようとした所をインパルスが阻んだ。そして、シンはゲイツRを守りながら守勢に回ざる得なかった。アビスもゲイツRを墜とそうとする
が、フォースインパルスがアビスに接近戦を仕掛ける事で己の能力を発揮出来ずに今に至る。
『この……ッ!』
 しかし、膠着した状態に苛立ったのかアビスがスラスターを全開にして突撃してきた。片手で握り直したビームランスの切っ先はビーム
刃の煌めきを残光を見せながら刺突を繰り出す。シンはその動きを好機と見て、機動防盾の外部装甲を上下に縮ませスライドさせる。同時
にインパルスの上体をアビスの半身より下に屈ませる。
『なに……!?』
 アウルがフォースインパルスの一連の動作を見て危機を直感的に悟る。
 だが、インパルスは既にビームランスの辿るだろう軌跡から外れ、取り回しが良くなった機動防盾をアビスのビームランスの切っ先の表
面に滑らせて防ぐ。重く鈍い音を、無音の宇宙空間に響かせるのは想像に難くない。
「今だっ!」
 瞬間、シンの言葉に応じてフォースインパルスは機動防盾を持つ左腕を上へと爆ぜさせた。軽い光を散らせてアビスのビームランスを握
っている腕を弾かせたのだ。シンは体勢の崩れたアビスの懐へインパルスを潜り込ませて、下に構えていたビームサーベルを袈裟斬りに跳
ね上がらせる。

 

 取った……っ!!

 

 絶対の確信はアビスの隙を詰めた事で確実となる。

 

「―――えっ?」

 

 筈だった。
 側部に衝撃が走る。それが何かに吹き飛ばされたと気付いた時にはアビスは危機を脱していた。
「くそっ!一体なんだ―――って、ルナぁ!?」
 シンは愚痴りながらぶつかってきた相手を確認すると、フォースインパルスに前でくっ付くように居たのは赤という特徴的なカラーリン
グを施されたガナーザクウォーリアーだった。コクピットのサブモニターに映った少女、ルナマリア・ホークは頭を擦りながら気の抜けた
声を出した。
『痛たたた……っ』
「何やってんだよルナ!」
 シンが怒鳴るのも無理はない。せっかく追い詰めたアビスを墜とせなかったのだ。その邪魔をした原因に憤りをぶつけるのも当然と言え
る。
 ルナマリアもシンにあからさまにそんな事を言われるものだから口を尖らせて拗ねた表情をする。
『そんなに怒鳴らないでよ、私だって好きで邪魔をしたわけじゃない―――うっ!?』
「だったらなんで―――クッ!?」
 問い詰めようとしたらフォースインパルスの左に緑光が通過した。シンは正面に向き直るとアビスの前に出て、ビームライフルを構えた
ガイアの姿があった。シンはすぐに状況を理解してビームサーベルを刀剣状から解除する。仄かな光を散らせてビームサーベルを発生機器
の柄をフォースシルエット上部に収納し、背部に接続していたビームライフルを取り出す。
「ルナは援護!俺が分断させる!」
 シンはそう言うや否や、ルナマリアの返事も聞かずにメインスラスターから漏れ出る輝きを発して正面から突撃した。ルナマリアは遠ざ
かってアビス、ガイア二機に向かっていくフォースインパルスの背中を見ながら呟く。
『もう、せっかち……ね!』
 しかしその手は一切休めずにオルトロスの砲門をフォースインパルスの脇へと照準を合わせ、その咆哮を轟かせた。
『ステラ!来るぜぇ!』
「わかってる」
 アウルの言葉に端的な呟きで答えたステラは、接近してくるフォースインパルスに狙いを定め―――
「なに……っ!?」
 フォースインパルスの脇から赤い大きな光を見た。赤光はユニウスセブンの小さな破片を巻き込んでガイアとアビスに迫ってくる。その
砲撃から逃れようとアウルは上へ、ステラは左へと動いた。赤光はガイアとアビスには当たらずに落下するユニウスセブンの表面を溶解さ
せ、砕いた。
 破片が飛び散る中でステラはガイアの頭部を動かしてフォースインパルスを探そうとして、
『バカッ!上だ!!』
 アウルの叫びがコクピットに響く。ガイアは上を向くと、上方からフォースインパルスが猛烈な勢いでガイアへと迫っていた。ガイアは
ビームライフルを撃とうとしたが、突如、瓦礫がガイアの視界を遮った。
『はあぁぁぁぁぁ―――ッ!!』
 だが、それはフォースインパルスも同じ。しかし、シンがその勢いをもって叫んでフォースインパルスを各部のバーニアスラスターで姿
勢制御を行いながら、瓦礫に向かって蹴りを繰り出した。フォースインパルスの速度を以ってぶつかった瓦礫はガイア目掛けて動き出す。
 突然起こった事態にステラは理解出来なかった。動き出した瓦礫はガイアを潰そうとして、ステラは咄嗟に機動防盾を前面に突き出した
。衝撃と混乱、その二つが同時にやってきてステラを後ろへと吹き飛ばした。
「くうぅぅ……っ!!」
 苦悶の声を出すステラ。すぐ後ろにはユニウスセブン地表が迫る。それを横目に捉えたステラはレバーを押しながらガイアの姿勢制御を
しようとするが勢いは止まらない。ならば、と思ってステラはガイアを変形させた。四足の獣の姿となったガイアは、地表へと四つの足を
落として煙と破片を散りばめさせながら着地する。各部のスラスターから光を噴射させてガイアはようやくその動きを止めた。
「……お前ぇぇぇ!!」
 表情を怒りに変えたステラは吼えた。
『コイツ、まだ!?』
 シンは獣の如く走るガイアに、標本でしか見たことのない狼を彷彿させる。
 ガイアは背面、姿勢制御ウイング前面に淡いビーム粒子を漏らし、バクゥに搭載されている口吻部ビームサーベルと同様の原理で固定化
させる。翼のように伸ばしたビームブレイドはガイアが左右へと跳びながらフォースインパルスに迫る。
 後方にいるルナマリア機はオルトロスを構えて阻止しようとするが、横合いからアビスが両肩部シールドを拡げて胸部のカリドゥス複相
ビーム砲と三連装ビーム砲の一斉発射が邪魔をする。
『くっ、邪魔よ!』
『へっ、やらせないってね!』
 シンは二機の交戦を感じるが気を向ける余裕はない。モニターの端には未だ作業を続けているゲイツRの姿があり、今下手に動けばガイ
アがゲイツRの方に行くかもしれない。フォースインパルスはガイアに向けてビームライフルを撃つ。しかし、ガイアの不規則な動きがそ
れを許さない。
「だったら!」
 フォースインパルスのビームライフルを手放してビームサーベルを引き抜く。ビームが集束して刀剣条に固定化されるとインパルスはガ
イアを待ち受ける。

 

 当たらないなら引き付ければ良いだけの話しだ!!

 

 シンの思惑通りにガイアはフォースインパルスの手前で地表を強く踏んだ。それが跳び掛かる動作だと察知して、シンはいつでも合わせ
られるように手足に力を籠めた。
 ガイアが跳ぶ。
 フォースインパルスが構える。
 ステラの言葉にならない叫びを木霊した。
 シンは無言でガイアの挙動を一切見逃さない為に目を細めた。

 

 そして、二機の機体が交差を―――

 

「えっ……?」
『うっ……!?』
 寸前、宇宙が揺れた。
 次の瞬間にはユニウスセブンの中心から広がるように光が発した。それは交戦する者達も、破砕作業する者も、そこに居た全ての者を呑
み込んで、包んでいった。
「何が起きたの!?」
 ミネルバのブリッジではタリアは予期せぬ事態に声を荒げた。
「艦内の計器が異常な数値を出しています!インパルス、他三機にも通信出来ません!」
 答えたのは管制官のメイリン・ホーク。赤を着るパイロットであり姉のルナマリアを持つ彼女は冷静に努めて報告する。
「なんだってぇ!?どうしましょう艦長!?」
 だが、それに驚いた叫びを出すのは副長のアーサー・トライン。アーサーは副長という立場とは思えない気の動転振りでタリアの方へと
身体ごと向く。タリアも自分以上に混乱しているアーサーを見て、冷静になった。
 アーサーは優秀ではあるが、こういった突然の事態に弱い。生来からの気の弱さのせいか実力を出せないでいるのは艦長としては歯痒い
気持ちになるが、アーサーのような存在は自分にとっては冷静さを与えてくれるのである意味良かったりするのだが……と、タリアはそん
な考えを頭を振って消して、後ろに座っているデュランダルに意見を問う。
「どう思われますか?」
「どう……とは?」
「この光の事です。出来れば議長にはもしもの時に備えて脱出して貰いたいのですが……」
 光。タリアを除くブリッジ要員の全員は先すら見えない光に目を奪われている。しかし、その中でデュランダルだけは冷静な面持ちで光
を見ていた。
「君はこれが敵の仕業だと考えるのかね?」
「断定は出来ません。ですが、良い状況とは思えません」
「そうだな。だが、まだ破砕作業を行なっているのだろう?」
「ええ……」
「なら懸命に作業を行なっている彼等に任せて、我が身可愛さで私だけ逃げるわけにはいかないよ」
「ですが」
 言葉を続けようとしたタリアにデュランダルは首を振って遮る。
「わかっている。もしもの時は君に従おう……タリア」
 最後に語尾を優しく、そして懐かしむような目でデュランダルはタリアに視線を移す。タリアは少し目を伏せて、
「はい……」
 すまなそうに頷いた。
 フォースインパルスのコクピット。シンは突然発せられた光の中で首を回して状況をなんとか把握しようとしていた。
「なんだよ、これ……」
 最初は敵の兵器かと思ったが、無防備になったフォースインパルスに何の衝撃もない事からガイアにとってもこれは予定にない事態だと
わかった。しかし、それだけではこの状況が変わるわけではない。シンはミネルバに通信を行なって対処しようとしたが、この光は何らか
のジャミングもあって出来なかった。
「くそっ!これじゃあ何にも―――」
 そう言い掛けて、目の前の光に大きな影が浮き彫りになっていくのが見えた。
「なんだ……?」
 その光景にシンは不気味に思った。それが敵なのか味方なのかという事ではなく、ただ不気味としか思えなかったのだ。
 影は段々と鮮明になって姿を現す。その大きさからモビルスーツクラスのものと理解して、シンはようやく気を引き締める。影が鮮明に
なっていく程に広がった光も収まっていくのに気付いたからだ。
 足はペダルをいつでも踏めるように力を籠め、
 手はスロットルを握って一切手を離さず、
 目は一瞬も逃さないように鋭くなり、
 口は真一文字に引き締まり、

 

「なっ――――」

 

 呆然と我を忘れた。
 光が消え、目の前に現れたのは見たこともないモビルスーツだった。突如、現れた白く塗装されたインパルスの頭部に似たモビルスーツ
は静止していたガイアとフォースインパルスの間に、その通り、静かに佇んでいた。
 静止する三機のモビルーツ。しかし、先に動いたのはガイアだった。
『なんだ、お前……』
 疑問は当然だ。ステラは自分の邪魔をした目の前の白いモビルスーツを睨み付ける。だが、それに反して白いモビルスーツは沈黙を守っていた。
『なんだ、お前はああぁぁぁ!!』
 ガイアがモビルスーツへと変形してビームサーベルを引き抜く。そして、ステラの叫び応えてガイアが白いモビルスーツへと目標を変え
て跳び掛かる。
「不味い!」
 シンはガイアの行動に思わず声を大きくする。シンの懸念は当たって白いモビルスーツは動きを見せない。ガイアのビームサーベルは白 いモビルスーツを断ち切ろうと振り払い、
『えっ―――く、ああぁぁぁっ!!』
 突然動いた白いモビルスーツに跳ね飛ばされた。
 シンは一瞬、その動きに目を奪われた。振り払われたビームサーベルを僅かに動かしたシールドで受け、ガイアの腕に掛かる力を利用し
て外側に流れるように微細な調整をした。受け流されたビームサーベルごと体勢を崩されたガイアに、反撃すら許さずに右側のバックパックに収められた「鍔」を持つ独特な形状をした大型の柄を取り出す。
 白いモビルスーツは手に取った柄を振り上げ、瞬間的に曲刀状に形成されたビームがガイアの右腕を切断する。ガイアの右腕はあらぬ所に飛んでいき、
白いモビルスーツは懐へと飛び込んで蹴りを見舞わした。ガイアは今度はユニウスセブンへと叩き付けられた。その一連の動作にシンはただ見惚れていた……。

 
 
 

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