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Char-Seed_シャアとキラ_第02話

Last-modified: 2007-11-10 (土) 19:32:32

「キラ君、少しいいかな、君と話しがしたい」
「あ、はい」
シャアの申し入れにキラはやや戸惑いの表情を浮かべた。シャアはこの5日間の間、マルキオ、カリダ、ラクスと話しをし、彼等を通じてカガリ、アスラン、マリュー、バルドフェルトらとも話しをしこちらの世界情勢を一通り識り得た。
その中で、シャアはキラと次にラクスに強い感心と興味を寄せていた。
「君は、毎日、夕方のこの時間帯に座っているね。ここはお気に入りかい」
「そうですね、ここから眺める夕日が……」
キラがいつもこの時間帯になるとマルキオ邸の入口の椅子に座っている。
「そうか、……何を思い、夕日を見ているのだい」
「答えのでない答えを探しているんです」
「どんな答えだい」
「戦争のない世界」
やはりそうかとシャアは思った。だけどキラの心はここに非ず事もシャアは敏感に感じ取っていた。
「(彼は、自分やアムロと同様に、還らぬ人に魂を囚われているのか?)」
「難しいな」
「難しい?」
「そうだ」
キラより人生経験が豊富なシャアは、人が人である限り争いを止める事が出来ず、自らの欲望を制御出来ずに暴走してそれが戦争を誘発するのを見て来た。
「人が人である限り争いは亡くならないだろう。だが、人が争いの根幹と本質を理解すれば、戦争を事前に抑制する事が可能だろう」

「そうかも知れません。でも、一人の憎しみの感情が全ての人の思いを壊す事もあります」
「……………」
シャアはこの少年は何を見て来たのだろうと思った、年相応さとは無縁に悟り過ぎているキラに、シャアは危惧を抱かずにはいられなかった。

「キラ、アズナブルさん、もうそろそろ、お食事の時間ですわ」
「ラクス、分かった」
「もうそんな時間か」
「はい」
シャアはキラにこれから毎日、話し掛けていく事にした。何故、自分が似て非なる世界に来たのかわ解らないが。もしかしたらこの少年に出会う為に来たのかも知れないと。

「艦長、降下シークエンス、フェイズ・スリー」
副長アーサーからの状況報告にミネルバ艦長タリア・グラディスは、最悪の結果を避ける決断を下した。
「タンホイザー起動」
「艦長、シンのインパルスとアスラン・ザラのザクの位置が特定出来ません」
索敵担当のバートは、二人の位置が特定出来ないのに陽電子砲を撃つのは危険ではと見た。
「ユニウス・セブンの落下阻止は、なにがあってもやり遂げねばならない任務だわ」
タリアは冷徹に言い放つ。「照準、右舷前方、構造体!」
「タンホイザー照準、右舷前方、構造体」
チェンの苦しげな復唱と同時に、艦首が開き、『陽電子砲QZX-1・タンホイザー』の砲口が覗く。
「−−てーっ!」
タリアの号令と同時に、ミネルバの艦首から陽電子の渦と光りが走りユニウス・セブンを直撃をした。

「恐いよー」「何がおきてるのー」「お家に帰りたいよー」「大丈夫よ大丈夫ですわ」「落ち着いてね」
ユニウス・セブンの残骸が地球各所に降り注ぐ中、マルキオ邸がある島も例外ではなく、島とその周辺にも幾つ物残骸が墜落し、その都度に核シェルターにも衝撃が伝わる。
「シャアおじさん、大丈夫だよね」
6歳ぐらいの男の子が、今にも泣きだしそうな顔でシャアを見つめる。
「ああ、大丈夫だよ」
それが、気休め程度でしかないのはシャア自身が解っていたのだが、悪戯に小さい子供達を恐慌状態にする訳にもいかず。平然と嘘を尽くしかなかった。

そこに、ラクスが突然、歌を歌い出し全員がラクスに視線を向ける。シャアは上手いタイミングで歌を歌い出したと考えた、子供達が恐慌状態にならない為にも、この場でのラクスの歌は絶妙なタイミングであった。

「やれやれだな」
シャア達はユニウス・セブンの残骸が地球に降り注いでから、二日して、気象状態を落ち着きを戻してから漸く核シェルターの外に出られた。
「酷いよー」「お家がなくなってるー」「えーんえーん」
子供達の、子供の声を借りる間でもなく島の様相が一変化していた。

「アズナブルさん」
「ん、何だね。キラ君」
「大きな、嵐が来ます」
「そうだな。……私も、そう思う」
そう、シャアは敏感に感じていた。休息の時は終わったのを。そして、それはキラの休息の終わりを意味していた。
「ともかく、救援要請を出そう。」