Top > DEMONBANE-SEED_ですべのひと_02_1
HTML convert time to 0.016 sec.


DEMONBANE-SEED_ですべのひと_02_1

Last-modified: 2013-12-22 (日) 06:31:49

―――守れなかった。

無力だったのは、妾だ。



赦すものか、獣。

赦すものか、混沌。

次こそは―――必ず。



妾の剣が、剣となった妾達が、貴様らを殺す。







  機神咆吼デスティニーベイン

  PHASE-2「DE MARIGNY'S CLOCK」



夕暮れの中、寄り道をして。

丘の上、街を眺めてる……



丘の代わりに、ビルの一室。

寄り道の代わりに、己の仮住まい。

窓の外、もうすぐ夜も眠らない摩天楼がネオンを纏い始めるだろう。

イレギュラーたる彼、シン・アスカは、此処アーカムシティの街並みをぼんやり眺めていた。



ここは、思っていたより技術が進んでいる。

車が一般的なのは分かっているが、まさかパソコンまであるとは。

まだ民間に広く出回っているわけではないが。

というか、下手をするとコズミック・イラに近い技術もあるかもしれない。

だが、どこか雰囲気はレトロなものだ。

自分の想像していた古き良き時代とは、少し違う。



正直、まだ慣れない。



一応、掃除や洗濯は一通りはできる。

一人で過ごしてきた時間が、他人より長いから。

ただ。

料理となると、やはり自炊だと少し味気無く、

外食だと金がかかる。

なので、時々はライカさんの世話にもなってしまう。

その代わり、金は払ったり孤児達とも遊んだり。

しかしこの孤児達、パワフルである。意外にも。

正直、このトリオを相手にしてきた九郎は凄いと思う。

バイタリティの差か。無論、いろいろな意味で。



しかし。

そろそろ現実問題、働き口は探さなきゃならない。

まさかこの問題まで覇道の世話になろうとは思わないし、

ライカさんだって言っていた。

「ちゃんと働かないと、九郎ちゃんみたいなその日暮らしで精一杯な

 ヒドい状況になっちゃうわよ」

「そりゃねえよライカさん、俺だって今はちゃんと働いて……」

嘘だッ。でなきゃ何故あんたも未だライカさんの世話になってるんだよ。



そういう九郎は、自分のことを魔導探偵とか何とかいってた。

どうやら魔導書アル・アジフのページが一部抜け落ちたようで、

それを回収する仕事らしい。

そこまで大変なことだとは思わない。

「魔力弾をくらえー!」

「うおっまぶしっ」

訂正、やっぱ大変で危険だと思う。

不完全の本体がこんなんだ。

というか、喧嘩に魔力弾なんて持ち出すな。

しかしこの二人、ちゃんと仕事できているのか?



……と、まあ疑問もいろいろとある。

が、割り切るしかないようだ。でないと死にかねない。



ふと、ぼんやりと窓に向けていた視線を外す。

そろそろ夕食の時間か。

食材も切れかかっているし、明日には買い物に行くか。



……携帯電話で時間の確認。

充電器の規格が、この世界のと同じでよかった。

違っていたら大変なことに……閑話休題。

この世界では、最早時計とデジカメくらいにしかならない。

でも、この中には。

自分が失くしたものが詰まっている。



親との、マユとのたくさんの思い出。

みんなで紅葉狩りにも行ったよな。

いきなり人の顔に葉っぱバラ撒いてきたよな、マユ……



一度だけこの携帯で、友達や先輩と、五人で取った集合写真。

最後の一枚、容量は本当にギリギリだ。

ヴェステンフルス隊長……いや、ハイネが半ば強引に撮ったっけ。

皆の端末にも、このとき取った写真は残ってるんだ。



……今となっては、懐かしい想い出。帰れない時間。

マユもハイネも、元の時代に帰ってきたところで、死んでいるんだ。



遂げた復讐。

それでも、晴れない心。

俺は、俺はこれからどうすればいいんだ。

誰も、答えられはしないだろう。



……少し気分がヤバくなってきた。

決めた、今日もライカさんのところにお邪魔しよう。

今は一人でいたくない。

一人でいたら、押し潰れそうだから。

見えない、何かに。



救いだった。

ただひたすらに。

優しくて、あったかい世界があったから、まだ俺は俺でいられるんだ。

感じたのは。

結局、平穏な日常が一番心が安らぐんだろう。



そういったことが。

今の俺の、唯一の救いだ。





―――此処は玉座にして祭壇。

以下略。



単刀直入に話すと、

我等が世紀の大天才はまたもや責任を問われることになっていた。



「だから、未完成のまま行くのには反対したのである!」

「見苦しいッ! いいかげん、自分の非を認めたらどうなのかね……」

必要以上にウェストを責める褐色の男。

彼の名はアウグストゥス。

ブラックロッジが大幹部「アンチクロス」が一。



もはや彼に食ってかかるドクターの姿は日常茶飯事。

そして―――



「もうよい」

この一言で場を黙らせる、一見この場に不相応な青年の姿も。



マスターテリオン。

彼こそが、ブラックロッジを統べる「魔人」。

その強さは、常人が理解できる範囲を

軽く髪先一本ですら凌駕できるであろう。

……人間の語彙では、正確に表すことは困難だ。

「あれは余がついでで頼んだこと。必要数は既に回収してある。

 ご苦労だった、ウェスト」

こう言われて、大幹部にまで口の減らない彼が頭を下げるのは

マスターテリオン以外に誰があろう。

「お言葉ですが大導師、貴方は奴の肩を持つとでも言うのですか?

 取り逃したあれは覇道の手に渡り、現在はおそらく解析でもされているかと……」



「心配は無用だ」

言って、膝元の少女の頭を撫でるマスターテリオン。

「覇道側には優秀な操者がいない。

 今から訓練したとしても、到底来るべき時に間に合うものではない。

 よってあれが我々に対する剣になる確率は低い。

 もっとも……そうなったところで、ウェストの機械一機程の能力で関の山だが。

 此方は、ウェストに何らかな手だてがあるらしいのでな。

 それを見てからでも遅くはないだろう」

言いたいことを言い切ったのか、玉座の上に居る彼はけだるそうにしている。

意外と今回の件については饒舌だった印象。

「……仕方ない。

 だが、アル・アジフの断片回収の件では、

 こうはならないことを覚えておくがいい」

結局アウグストゥスが折れ、

ドクターは窮地を脱したのだった。



研究室に戻ったドクターは、先ずはアウグストゥスの鼻をくじくために

何やら別の研究を始めた。

前回の任務ではレーダーに不備があったことが原因の失敗だったが、

それはすぐ直して済むことと判断したらしい。

果たして、今度の来るべき時には

確実な結果を残すことができるのだろうか。



以上、ここまでの記録者は人造人間エルザ。



「自分で人造人間と書くのも、変な感じロボ」

と思いつつ、先ずはそこの煩いギターを止めにかかるエルザであった。



「うわらば!」





「ド・マリニーの時計?」

「うむ、それが今回の騒動の原因であろう」

またこいつの断章の仕業か。

本当にこいつといると事件が耐えない。

迷探偵ともなると事件の方から向かってくるとはよく言ったもんだ。

誤字にあらず。



そう、また怪事件の発生だ。

なんでも、外出した人が行方不明になったという現象が頻繁に起こっているらしい。

その行方不明者のひとりが数日後帰ってきたのだが、

主に時間軸で言っていることが噛み合わない。

自分は至って普通に帰ってきた、というような物言い。

時を超えるようなことでもしなければこんなことは起きない筈だ。

あれこれ原因を考えた結果、アルに心当たりがあったかと思えば……

どうやら奴の断章が原因という説が一番確証性が高いという話に。

それで、冒頭の台詞になるわけだが。

「全く、貴方はこのアーカムシティに来たときに

 どれほど騒動の種をこの街にバラ撒いたのでしょうね」

口を挟む姫さんの声は棘ばかり。

「仕方なかろう。逆を言えば、

 断章だけでも妾はあそこまでの力を持っているということだ。

 今まで妾の力に何回助けられたと思っておる、小娘」

その助けられるような原因を作ったのは誰だ。



「そもそも貴方がいなければ、このような事態は起こらなかったのですわよ。

 そこらの意味をはき違えないで下さいまし」

またすぐこのパターンになるのか。

口論になる前に、話を強引に進めさせる。

でなきゃ絶対矛先が向くのは俺だ。

「あ……アル。とにかく、」

『『む゛!?』』

言葉の途中で睨まれ、気押される。

その動作はどうみても息ピッタリです。本当にありがとうございました。

いいから続けさせてくれ。

「……と、とにかくだ。

 そのド・マリニーの時計ってやつの事を詳しく教えてくれ。できる限り。

 でなきゃ解決のしようがない」

「……うむ。あれは名だけは時計だが、

 実質は時空を超える能力を持つ物らしい。

 おそらく妾の断章が力を暴走させて、時の流れが歪んだ空間を

 作り上げているのだろう」

「つまりは、タイムマシンだ、ってか」

「言葉をかみくだいて話せばそうなる。

 だが、この力はアイオーンですら使用が極度に難しかったものだ。

 デモンベインで動かせるものとは思わない方がよい」

つまり、回収しても使いきれないってか。

だが、こういう事件は俺の領分だから、やるしかないか。



「だが、これは断章の抜けている今の時点で、

 辛うじて妾が記憶しているものだ。

 他の詳しいことはわからん」

まあ、そこまで聞ければ十全か。

決して気を抜かず、かといって気負わず、

いつも通り向かっていけばいいだろう。

席を立とうとした矢先。

「……待ってください!」

姫さんに呼び止められた。

「どうした、姫さん?」

「いえ、そういえばあの機体のパイロット……

 確かシンさん、でしたわね。彼もまた、過去に来たとかいう内容のことを

 言っていた筈ですわ。もしやその断片の力で時を超えて

 わたくし達の前に現れたのではないかと」



言われて思い出す。

数日前、突如俺達の前に現れた、人型の謎の機械。

そして、未来から来たという少年。

行方不明者の証言の方向性との共通点。

確かに、そう考えるとつじつまが合う。

「そうであれば、最善は我等が断章を取り戻し、力を取り戻すことだ。

 といっても、歴代のマスター・オブ・ネクロノミコンでも

 使えるのはごく少数である程の難易度を誇る呪法、まだ経験の浅い九郎に使えるとは到底思えんが」



何故だか侮辱されたような感じを受けたのは気のせいですね。

言ってることは正論だし。

それが逆にムカつくが、いいかげん胸のうちにしまっておく。

「それが一番確実なようですわね。

 では、くれぐれも被害はなくすように、慎重にお願いしますわ」無茶を言う。

しかし、姫さんをこれ以上怒らせるわけにはいかない。色々な意味で。

そうでなくとも。

「……アル、現場に行くぞ。先ずは何がどうなってるのか

 実際に確かめるんだ」

―――放っておけるわけがない、俺の性分として。





(……今回の事件、どこか引っ掛かる)

しかしアルは、この事件に何かを感じていた。

あまりに、あまりに漠然すぎて、頭のしこり程度にしか考えられないが。

(ド・マリニーの時計……)

だが、一番引っ掛かるのはこの単語。

何か。

そうだ、何か忘れている気がする。

この単語に関して。

何か……



「アル?」

はっ、と我に返る。

妾としたことが、思考が深みに入りすぎたか。

「いや、何でもない」

おそらく、何かの夢に違いない。

そうだ。今までの主は全て記憶されているというのに。

何ゆえ、見覚えのない光景が一瞬頭に浮かんだのか。



見覚えのない、光景が。





交差点。

安全確認は命を守る。

この時代でも必須のことだ。



右見て、左見て、前を確認。

もう一度。

右見て、左見て、前を確認。



……リピートアフタミー。

右見て、左見て、前を確認。



右見て、左見て、前を確認。

右見て、左見て、前を確認。

右見て、左見て、前を確認。



……迷った。

「こんなに入り組んでたとは知らなんだぁぁぁぁ!?」

シン・アスカ、失意体前屈。

ごめんなさいマジで迷いました。



というか、道中でそんなに叫んでいいのか。

人々からは奇異な目で見られないのか。

まあ、事実は単純。

そもそも見ている人がいない。

今のここは人の流れが極度に少ないのだろうか。

それにしても、アーカムシティにも交通量ゼロの場所があるのか。

道路幅はこんなに広いのに。

とにかく、人がいない事実がそこにある。

不自然なまでに。



「というか、本気で文句のひとつも飛んでこないのかよ」



Q:罵声ひとつ浴びせられない、正しい理由は何なのかな? かな?

A.転校した B.偶然全員出払ってる

C.皆寝てる D.また別の世界に飛ばされた



どれも有り得なそうだから、50:50で。



Q:罵声ひとつ浴びせられない、正しい理由は何なのかな? かな?

A.     B.

C.     D.



いや、それは100:0だから。

最早クイズじゃあない。正解はないのかよ。せめて正解率1%で頼みたい。

全部消すな。



とまあ、脳内漫才とか展開できるくらいには余裕があるみたいだが。

しかし、実質問題奇妙すぎる。

何かがおかしい。

早く帰りたくなってきた。雨も降りそうだ……今一粒落ちた。

「げ、雨足が強くなってきてる!?」



たまらず走り出す。

まだ家まで戻れないのなら、どこか雨宿りできるところはないか。



未だ分からない何かに向かい、走り出した。



おかしい。

何かがおかしい。



探し人は目の前にいた。

そこまで移動も早くはなかった。

追い付ける。

普通なら、追い付ける筈だ。だが。

走っても走っても、彼には届かず。

付きの魔導書と分断させようとしても、全く干渉できず。

一番考えやすいことは。

すでに妾が、何らかの干渉を受けていること。

自分以上の力で。



そして

 確たるものは

  背後に。



雨が降ってきた。

あれから、どのくらい逃げただろう。

見当もつかない。

だが、撒くことには成功したようだ。今は。



しかし、どうも雨は好きになれない。

確かに、それはあらゆるものを洗い流す。

だが、大事なものは何ひとつ流せない。

むしろ苛烈なまでに、人の心を蝕む。



あの事実だけで十分だと言うのに



周囲を見渡すと、誰もいない。

人ひとり居なかった。

静まりかえる。

あたりには、雨の音ばかり。



だが……



何か、近づいてきた。

足音が雨に紛れながら。

その存在は確かに。

この、どうしようもない孤独の世界に。



確かに在る、もうひとつの存在になるべく。

走ってきた。





「先ず、1ペア」

何処かに在る闇が、呟いた。





正しく時を刻むもの。

それは、紛うことなき時計だった。

綺麗に見事にアナログに、針を動かし続けるそれは、時計だ。



ところで、だ。

何故にこの時計は浮いているのか。

宙に掛かっているとでもいうのか。

掛け時計が、空中で静止している。

此処はビル群のひとつの屋上。異変は、確かにそこにあった。



「どうやら、此が妾の断章らしいな」

アル自身が言うんだ、十中八九、いや確実にそうだろう。

見た目は何の変哲もない時計。しかし、何が起きるかわからない。

それは魔導書の断章が変化した姿といえど、『ド・マリニーの時計』なのだから。

「……特に変わった動きはなさそうだな」

「ああ。だが油断するな、相手は我が断章の中でも強力な一種だ。

 直接攻撃する術はなくとも、油断すれば我等とてやられる危険性はある」

言われなくとも、この類の奴はヤバいってことは十分に分かっている。



しかし。時空を操る能力となると、何をしてもヤバいんじゃないか。

俺が今使える能力は、まずマギウス・ウイングの使い方。

それと、アルの力によってアトラック=ナチャ、バルザイの偃月刀。

あと、一回も使ったことのない現在封印指定のクトゥグア。以上。

……ものの見事に接近戦用。

あれこれ悩んでいるうちにループ思考になってしまいそうなので、

思い切ってバルザイの偃月刀でかかろうと



した

瞬間



後ろに退く。

危なかった。あと数瞬遅かったら横からバッサリだ。

「九郎、右から!!」

アルの声で右に目を向ける。

すると、それは。

それは。



確かに避けられた。

先程左から襲いかかってきたものと一緒に、弧を描いて一点に還っていく。

だが。

それはどう見ても―――

「バルザイの偃月刀!?」



偃月刀を『手にした』闇は、ヒトの形を作り出す。

逆立った髪に、己とよく似た黒衣。

二振りの偃月刀を構えたそれは。

「汝は……!?」

微かに記憶にあった、名も知らぬ者の面影に似ていた。



形勢は不利。

偃月刀を手元に戻したところから一気に突っ込んできた黒い奴に押されっぱなし。

受けに徹する。

幸い、敵の攻撃は偃月刀の二刀流のみ。

マギウス・ウイングも使って落ち着いて対処すれば、受けられる。

勿論、黙って受けているばかりではない。

空いた片方のウイングを使って反撃。

当てた……だが、それだけ。距離を取られる。

正直、距離を取ってくれたのは助かる。



「アトラック=ナチャ!」

こいつは、この距離の方が使いやすい。

足を止めるくらいにはなる。切り払われると同時に当たるように、

タイミングを見計らって、右手に持っていた偃月刀を投げる。

相手は両方を避けるか、強引に切り払うか、どちらか。

こちらから見て右側に狙いをずらした分、普通は避けるだろう。

だが、それらの攻撃は囮。アトラック=ナチャは、アルがやったものだ。

それを気休め程度に、俺が叫んで掻き消した。

モーションを途中で強引に変えて左側に滑り込んだ俺は、

二段構えで奴の注意を引き寄せているうちに、思いっきり殴った。手応えあり!

この勢いで一気に攻めて行こうと、そのまま蹴りの体勢に入る。

だが、二発目ともなると流石に受けられるか。ならば次の手を……



とれなかった。

「おああっ!?」

「九郎!?」

引っ張られる感覚。奴に『投げられている』。

脚が偃月刀に凍り付いていたのか。

強引に、斜め後方に叩きつけられる。

完全な不意だった。しかも、床にまで凍り付いてやがった。抜けない。

そこに投げ込まれる偃月刀は、明らかに赤熱している。

このままではかわせない。受けることもままならない。

それに、確定状況に追撃は決まっているようなものだ。

動けない中で受けとなると、圧倒的に不利になるのはこちらだ。

迷っている暇はない……イチかバチかだ。



「何とかなってくれよ!」

後方上にアトラック=ナチャ。

引っかかったのは、ビルの貯水タンク。

一気に引っ張り、さらに腕力でも床を押す。

これで漸く抜けた、と同時に、音を立ててタンクが外れる。

あとは後ろに飛んで、階段に続くドアまで下がり。

これでうまく、偃月刀とタンクが、カチあってくれれば……



「九郎っ!?」

崩れる音がした。途中からは、何も見えなくなっている。

水蒸気だ。

回避したと同時に、これで追撃してきた奴から姿を眩ませることができる。

先に飛び出したのは九郎。一気に空中まで飛び出した。

成る程。九郎はどんどん戦いに慣れていく。

とりあえず、九郎がこちらに来る。さっさとあやつの肩に乗ることにするか。

短い間で余裕がないとはいえ、放置などされては困る。

これで妾を忘れたなどと言ったら、我が主たる器を疑うぞ。



しかし。偃月刀の赤熱は、九郎が似たようなことをアンチクロスとの戦いでやったことがあるが。

まさかその逆の現象を引き起こすとは、あの者。

「これはやはり―――我が主となった者の影響が、何かしら?」

呟く。

覚えなど、まるでないのに。







】【戻る】【