Top > GUNDAM EXSEED_04
HTML convert time to 0.005 sec.


GUNDAM EXSEED_04

Last-modified: 2015-02-25 (水) 14:12:01

[海上 ベルゲミール]

 

「おい、じじい殺すぞ」
ハルドがじぃ様に食って掛かっていた。場所は格納庫である。
「俺の機体がどうしてこうなっているか言ってみろ!」
ハルドが指さした先にはストライクΔがあったが、その有様は酷いものだった。
「全身に絆創膏張ってんだねー」
言ったのはリーザである。実際間違いではない。
ハルドのストライクΔには各所にパッチが張られており、それはどう見ても絆創膏だった。
「この間の戦闘で、思ったより傷が多くての。装甲板が足りなかったんじゃ」
だからって、傷跡を布で覆うのか?
「後で硬化スプレーで固めるから、大丈夫じゃ。中身は完全に直してあるしの」
だからといって、自分の機体の装甲が一部は布製ですというのはハルドは許せなかった。
「ま、待ってくださいハルドさん」
脇から女の声が割り込んできたこれは確か、レビー・シカードである。
「た、多分、色味が白だから気に入らないんだと思います。ちょっと待っててくださいね」
そう言うと、レビーはスプレーを片手にストライクΔのパッチに色を塗り始めた。
「ああ、元の装甲と同じ色だね」
リーザが言う。で、だからとハルドは思うのだった。
「こ、これでどうでしょうか?」
「いや、色塗っても同じじゃん。根本的には……バカにしてんのか!」
ハルドが怒鳴るとレビーは怯えた表情を浮かべた。少々、怖がりかたが異常な気がした。
「あの、殺さないでください」
レビーが言う。殺すわけないだろうとハルドは思うのだが。脇からじぃ様が口を挟んでくる。
「その子はお前がやったことを見たんじゃよ。入隊初日にな」
入隊初日……レビー・シカードが入隊した日。ハルドは記憶を遡ってみる。とりあえず、誰かを殴った記憶が思い浮かんだ。
「このスパナではどうじゃ?」
先端が赤黒くなったスパナを渡され、ハルドは急に記憶が蘇った。
「そうだった」
ハルドは思い出す。何だか調子に乗ったパイロット候補がいたことを、キザでカッコつけ、速攻で鼻を折ったら、ぐちゃぐちゃと言いだした奴。
ここで鼻を折られても立って敬礼できればマスクド・ハウンドのパイロットなのだが、それができなかった奴だ。
あんまりにもうるさいのでスパナで頭を何度も殴った奴だ。最後には皮膚を破って骨が見えていたことだけは覚えている。
ああ、そうかとハルドも察する。その場にレビー・シカードもいたのだ。そのせいで自分に恐怖を持っていることも察した。
そりゃあ、普通の世界で見たら、会った直後に鼻パンチを決め、スパナで乱打するようなやつを普通とは見ないよな。
うん、和解しようとハルドは思った。
「大丈夫、殴るのはパイロットだけだから」
極めて優しくレビーに言ったら、誤解は解けた。終わって思う、これとは関係ないが、俺の機体はどうなるんだろうと。
「出撃するのは問題ないが、常識外れの高速戦闘はマズイなこれ」
じぃ様はそれしか言わなかった。
「内部系は完ぺきに直したが、外側がな。布のパッチを万全の処理で覆っているが。高空行ったり、そこから下降したらもたんぞ」
「沖縄基地で補給した装甲やらがあるだろう!」
怒鳴るのはハルドである。自機が改めてのっぴきならない状態とわかり格納庫に通いづめだった。
「そりゃ、グラディアル用の装甲じゃ。向こうが好意でパーツ単位で送ってくれたおかげで、ばらさにゃ、ストライクΔに使えん」
「じゃあ、ばらしてくれよ」
ハルドは言うが、じぃ様は困った顔で
「ばらすのは構わんが時間がのぉ」

 
 

「ギーク機行きまーす」
ギークが爽やかな声を上げながら、自分の機体にビームサーベルを持たせて、パーツ単位で解体されたグラディアルをさらに細かくしている。
「なるほど、こういう手間があるわけか」
「しかも、ビームサーベルで切断された断面の処理に何時間もかかる」
爽やかな声で解体作業を進めるギークに対し、二人は、
「あいつの機体をなんで直した」
「すまん。勢いじゃ。真っ二つになった機体をみたら整備士魂がの」
「その分、俺のに回してくれれば」
「だからすまんと言っとるじゃろ。儂の一生の不覚じゃ」
ハルドもじぃ様も何とも言えない表情だった。
「まぁ、カリフォルニアに着くまでには、おぬしの機体もマシになるじゃろう」
「その前に敵が来ないと考えるのが整備士の気楽なところだぜ」
そう言って、ハルドがじぃ様と別れようとした時だった。リーザが慌てて駆け込みながら叫ぶ。
「鷹さんが来るよ!」

 

「いつも、先手を取られ航空防御が取られているな。なぜだろうか」
アッシュ・クラインは機体を操縦しながら疑問に思っていた。
「先読み、スパイ……可能性は捨てて任務にあたる!」
アッシュは迷いを捨てて、部下に指示を送る。
「各機、機動戦闘。ガンダムは僕が倒す」
仲間には申し訳ないが実力差がありすぎると感じていた。
シーエルとリチャードではガンダムのパイロットの相手はできない。ニコラスでも実力的には五分以下だろう。
仮にリチャードたちがアッシュと一緒にガンダムのパイロット戦うことになっても一瞬のスキを突かれてリチャード達は沈められる。
という未来しかアッシュには予測できなかった。ならば、実力的に拮抗した相手同士にぶつけるのが、仲間の身的には安全だとアッシュは考えていた。
「慎重に過ぎるか……、だが仲間を失うわけには」
アッシュという男には人命を軽んじるという選択が出来る強さはなかった。

 
 

「上から来るぞ戦闘用意だ!」
ハルドが総員に向けて叫ぶ。
「警戒番はサマーだな!当たらなくてもいいからライフルを撃て。タイミングを見て換装。航空戦闘をするぞ」
「了解」
「ライナス、ギークも航空戦闘用意だ。ミスるなよ」
「「了解」」
ハルドはせわしなく動きながらいつもと違う指示をする。
「ばぁ様、砲撃手をやってくれ」
「アタシで良いのかい?味方も撃っちまうかもしれないよ!」
「アンタに撃たれりゃ味方も本望さ!」
ハルドはパイロット用のノーマルスーツに着替え、コックピットに乗り込む。
外側はアレだが中身は完ぺき。流石じぃ様だ。ハルドはコックピットからグッとサインをじぃ様に送る。
「ハルド・グレン。ストライクΔ出るぞ」
「了解、ハッチ開いてます」
スラスターを噴射しストライクΔが出る。装備はいつも通り、徹底的な高機動使用。そして、武器はビームライフルにシールドだ。
さて、来るか籠の鷹。リーザの言葉を思い出した瞬間、ビームライフルが飛来する。
「常識ありすぎだぜ鷹さんよ」
海上すれすれを機動しながら、赤いガンダムタイプを引き付ける・

 
 

「やはり、貴方が!」
パイロットは分からないが、古い機体で相当の腕。アッシュは自分より年上だと確信していた。
「こちらは覚悟を決めている!撃ちますよ、切り札を!」
ハルドの視点からは赤のガンダムタイプが急に止まり、そして変形したように見えた。それは砲身のような形だった。
そして全周波通信で叫ぶのだった。
「こちらは、陽電子砲を撃つ用意がある。即刻リーザ・アイン嬢を解放しろ!」
そう叫んだ声を聞いてハルドは行動する。
「バカか、おまえは!」
武器を使わない体当たりでイージス・パラディンに突っ込んだ。
「そんな大火力兵器、脅しにできるわけねぇだろが!」
ハルドは籠の鷹という言葉、その言葉に引っかかっていたが合点がいった、この鷹の坊ちゃんは何も知らないのだということに。
「なんだ貴様ストライクΔのパイロットはどうした!」
「俺がデルタのパイロットだよ、ぼっちゃん!」
激突しながらストライクΔとイージス・パラディンは上昇していく。
「ふざけるな!ストライクΔのパイロットは思慮深い壮年の男性のはずだ」
「思い込みが過ぎるんだよ鷹野郎! ガキが乗って悪いか!」
ストライクΔがイージスを弾き飛ばす。
「腕は立つがヘボだな、鷹野郎!」
ライフルを撃ちながら直角的な戦闘機動を取るのはストライクΔである。
「思い込みは貴様もだロートル乗り!」
全く同じ機動でついていきながら、アッシュは叫ぶ。超人的な空中戦闘が繰り広げられていた。
「絆創膏つきが粋がるな」
「流行のファッションなんだよ!」
パッチが貼られた機体を揶揄されて、負け惜しみを言うハルド。上空で戦闘する二機を見ながらばぁ様は微笑んでいた。
「本当に良いガキどもだよ!そのまま飛び続けな、絶対に邪魔は入るが、それを無視して飛べる才能がアンタたちにはある!」
言いながら、ばぁ様はベルゲミールの主砲を撃った。
「今日の邪魔はアタシかもしれないがね、それが残念だよ……」
ライフルの狙いは不思議と定まった。アッシュは自分の感覚を異常に感じるレベルに達していた。
相手の機体はボロボロ。直撃は受けてないのに、高速戦闘の影響でパッチは剥がれて、機体の装甲内が見えている。
それでも動きは鈍っていない。しかし、当てられるという確信がある。撃ったビームは相手のビームライフルを捉え、破壊した。
「勝ったぞ、僕の勝ちだ!」
思わず、そんな声を上げてしまうほど、相手のストライクΔとの戦いは楽しかった。
「アホか!」
直後、敵機のバルカンが直撃し、イージスのライフルが破壊される。これでは……
「決着の着けようがないだろうがー!」
サーベルを抜き、突撃するイージス・パラディン。同様にストライクΔもビームサーベルを抜き、突撃する。
「だいぶ楽しそうだな」
「ああ楽しいよ」
もはや、アッシュは敵の声か自分の声の、そのどちらの声か分からないほど意識は混濁していた。
「いや、そうでもない」
何かを否定するようにアッシュの意識はクレバーだった。
「仕留めるぞストライクΔ」
「来いよ、鷹の坊ちゃん」
そう言ったハルドだったが、相手のヤバさは感じていた。何かを超えた、そんな気がする相手だった。

 
 

そうか種持ちか。ハルドが確信した瞬間だった。
イージス・パラディンは盾を捨て、サーベル二刀流にすると一気にストライクΔに切りかかる。
全ての防御をすり抜け二刀が舞った。ハルドは刃の舞しか見えなかった。ストライクΔが一瞬で切り裂かれた。
「僕には見えたぞ。見えたぞー!」
何が見えたのか、言葉にはできないがアッシュは叫びをあげていた。
だが、ハルドの回避と、史上最高の幸運でストライクΔのダメージは腹部装甲の3分の2を切り裂かれるに納まった。
実際には収まる程度ではなく、腹から真っ二つ寸前であった。
「覚醒しやがったな」
自機の損傷も確認する前にハルドは言った。確認するまでもなく機体は大破しているだろう。後は落ちる先の運次第だ。
不意にベンの声が聞こえた。幻聴だろうか。おっさんの声が幻聴とは運の無い人生だ。
「ハルド、拾えるぞ!」
幻聴ではなかった。確かに聞こえた。
眼前ではイージス・パラディンが追ってくる。見逃せよ。と思うが通じないだろう。
「操舵手!格納庫ギリギリ!格納庫ハッチ開いとけ!」
ハルドは最後の策を使うことにした。カッコ悪いのでいやだったが、しかたなかった。
最後にハルドは叫んだ、
「総員衝撃体勢アンド格納庫スポンジィ用意ぃ!」
ハルドが叫ぶままにストライクΔはベルゲミールに直撃した。
追うべきか一瞬、迷ったが、SEEDとして覚醒したアッシュは追った。
「普段のお前なら追わないさ」
直後、ハルドの呟きがし、ビームがイージス・パラディンの左腕を消滅させた。
大口径のスナイパービームライフルの一撃である。突っ込んだ格納庫の中からひっぱりだしたのである。
それを受けて、イージス・パラディンは退散した。損傷が大きすぎると判断したのだろう。
「普段のお前なら追ってくるよ」
なんとなく寂しい気持ちでハルドは言った。
所詮はライフルだけの一発芸、追撃されれば何もできない。
正直なところ、実戦経験の差が出ただけだった。種持ちいわゆるSEEDホルダーは驚異的な戦闘力を持っている。
反射神経やらのMSパイロットとしての基本スペックは常人と勝負にならない。だが、小手先に異常に引っ掛かりやすいのだ。
騙し手に弱いというか、なまじ高い反射神経や直感力、知的判断がそうさせるのかもしれない。
ハルドは、そうやって何人ものSEEDホルダーを始末してきた経験がある。
SEEDは新人類というが、さっきまで戦っていた相手がSEEDホルダーになったことをハルドは寂しく思った。
「種を持ったら、籠から出られるもんなのかね鷹ってやつは」

 

2回の騎士団の襲撃。それ以降、襲撃は無かった。ハルドが死にそうな思いをした以外は平和な旅だったといえるだろう。
あとはカリフォルニア基地へ向かうだけである。カリフォルニア基地は沿岸に面しており、ホバー艦であるベルゲミールも入港可能だった。
しかし、入港の前にマスクド・ハウンドではパイロット達による大反省会が繰り広げられていた。
正直、ハルドは乗り気ではなかったがライナスが開いた。
「今回、誰が一番貢献しなかったかってはなしなんですけど。どうですかね隊長?」
「知らんよ、俺は種持ちとの戦闘でいっぱいいっぱいだったしな。悪いのは俺なんじゃねぇの?」
「いや、隊長がそれだと会の意味が」
「アタシ帰ってもいいかライナス?つーか帰るわ」
「僕も複数回視聴したいアニメあるんでかえりますよ。じゃあライナスさん」
パイロットの面々は去って行った。
「これでいいんですか隊長!」
精一杯訴えかけるライナスだったが
「いいよ、もう。カリフォルニアも近い。大人しくしてろ。エルザに睨まれたくないだろう?」

 
 

第3話 【戻】 第5話

 

URL B I U SIZE Black Maroon Green Olive Navy Purple Teal Gray Silver Red Lime Yellow Blue Fuchsia Aqua White