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GUNDAM EXSEED_11

Last-modified: 2015-02-26 (木) 23:00:56

ハルドから通信が入る。ベンジャミンも同意見だった。
マスクド・ハウンドの艦メリアルージはそうそうに、艦隊の戦列から離脱し独自行動を開始する。良く見れば、戦場勘が聞く小型艦の艦長の艦は艦隊での戦列機動を捨てて、独自に動いている。
「思うことは。一緒ということだな」
ベンジャミンは艦に要塞の背後へ回るような機動を取らせる。構造上、ヘクター要塞は後方に攻撃できないという欠陥要塞だからである。とはいえ、完全に後ろに回っても何もできない。ヘクター要塞の後方には侵入口というものも無いからだ。
「どうするハルド?」
もう出るかと聞こうとした時だった。
「マスクド・ハウンド。ハルド機出るぞ」
準備は万全の様子だった。
カタパルトにストライクΔが設置される。それと同時にじぃ様から通信が入る。
「今更、言うまでもないと思うが、ベルゲミールと違って、メリアルージは格納庫から直接武器を出すことは出来ん」
格納庫からカタパルトを経由して外に出るという形式だからだ。
「いいな、すぐに武器は出せんぞ」
「わかってるよ、じぃ様」
分かっているとは言うが、やはりどうにも落ち着かないものだ。
「ハルド、装備は?」
「バックはヴァリアブルスラスターパック。他はスラスター。武器はビームライフルとシールドをくれ」
ストライクΔのバックパックに地上では使わなかった装備が付く。
それは、大型のスラスターが内蔵されたポッドが2基に、それらに1本ずつ自由に稼働するアームが付いた無重力三次元の領域で高い機動性を発揮するユニットパックである。
「久しぶりに使うが、行けるか?」
「心配するな。整備はしてある」
言われ、少しハルドは安心感を覚える。
「ならいいや、ストライクΔ。ハルド機、出撃する!」
漆黒の宇宙にストライクΔが発進した。
直後、ハルドのストライクΔは敵機のゼクゥドに接触したが、ライフルの一射で敵の動きを停止させる。
「ベン、MS隊が近いぞ!」
艦を先行させすぎだとハルドは言いたかったが、言わずともメリアルージは艦の速度を減速させていた。
ハルドは動きを停止させた機体に対して止めとしてコックピットにビームを撃ちこんだ。
直後、2機のゼクゥドがハルドの機体に突進してくるが、片方は横から飛来してきたビームに貫かれ、もう片方は大型の砲弾の直撃をくらい、2機とも撃墜される。
ビームはサマーの機体の狙撃で、砲弾はライナスの機体によるものだった。
サマー機はいつもの狙撃用装備、そしてライナス機はハルド機と同じヴァリアブルスラスターパックに両肩両脚ともにミサイルポッドという装備そして手にはバズーカとシールドが握られている。
「おまえ、そんなデカものを……」
ハルドはライナスのバズーカを見て呆れた声を出す。
「良いじゃないですか。宇宙でもないとこういうデカ物は使えないですから」
確かに無重力のおかげで大型武器も取り回しはマシになるが……まぁいいかとハルドは思うことにしたライナス機も一応は腰に通常のライフルを懸架しているので武装的には問題ないはずだ。ハルドはそう思うことにした。
「聞こえますか隊長。少し遠くから、1機のはぐれと4機組みの1小隊合計5機が来ます、通信妨害入れますか?」
ギークの機体からハルドの機体に通信が入る。ギークの機体はいつも通り電子戦装備だ。
「頼む」
一言だけで済ませるとハルドとライナスの機体は、ギークが捕捉した集団に向かって、スラスターを噴射させる。
サマーはメリアルージにアンカーを打ちこむと、メリアルージの外壁に機体をアンカーで固定し、機体を安定させる。

 
 

「被害の異常な部分があるな」
ベンジャミンは戦域図をみながら、大型艦が次々に撃破されているエリアの存在を確認していた。それはアッシュ・クライン率いるクライン小隊がいる戦域だったが、ベンジャミンらには知るよしが無い。
「厄介なのがいるのは避けるぞ」
既にコックピットで待機しているハルドから通信が入る。ベンジャミンも同意見だった。
マスクド・ハウンドの艦メリアルージはそうそうに、艦隊の戦列から離脱し独自行動を開始する。良く見れば、戦場勘が聞く小型艦の艦長の艦は艦隊での戦列機動を捨てて、独自に動いている。
「思うことは。一緒ということだな」
ベンジャミンは艦に要塞の背後へ回るような機動を取らせる。構造上、ヘクター要塞は後方に攻撃できないという欠陥要塞だからである。とはいえ、完全に後ろに回っても何もできない。ヘクター要塞の後方には侵入口というものも無いからだ。
「どうするハルド?」
もう出るかと聞こうとした時だった。
「マスクド・ハウンド。ハルド機出るぞ」
準備は万全の様子だった。
カタパルトにストライクΔが設置される。それと同時にじぃ様から通信が入る。
「今更、言うまでもないと思うが、ベルゲミールと違って、メリアルージは格納庫から直接武器を出すことは出来ん」
格納庫からカタパルトを経由して外に出るという形式だからだ。
「いいな、すぐに武器は出せんぞ」
「わかってるよ、じぃ様」
分かっているとは言うが、やはりどうにも落ち着かないものだ。
「ハルド、装備は?」
「バックはヴァリアブルスラスターパック。他はスラスター。武器はビームライフルとシールドをくれ」
ストライクΔのバックパックに地上では使わなかった装備が付く。
それは、大型のスラスターが内蔵されたポッドが2基に、それらに1本ずつ自由に稼働するアームが付いた無重力三次元の領域で高い機動性を発揮するユニットパックである。
「久しぶりに使うが、行けるか?」
「心配するな。整備はしてある」
言われ、少しハルドは安心感を覚える。
「ならいいや、ストライクΔ。ハルド機、出撃する!」
漆黒の宇宙にストライクΔが発進した。
直後、ハルドのストライクΔは敵機のゼクゥドに接触したが、ライフルの一射で敵の動きを停止させる。
「ベン、MS隊が近いぞ!」
艦を先行させすぎだとハルドは言いたかったが、言わずともメリアルージは艦の速度を減速させていた。
ハルドは動きを停止させた機体に対して止めとしてコックピットにビームを撃ちこんだ。
直後、2機のゼクゥドがハルドの機体に突進してくるが、片方は横から飛来してきたビームに貫かれ、もう片方は大型の砲弾の直撃をくらい、2機とも撃墜される。
ビームはサマーの機体の狙撃で、砲弾はライナスの機体によるものだった。
サマー機はいつもの狙撃用装備、そしてライナス機はハルド機と同じヴァリアブルスラスターパックに両肩両脚ともにミサイルポッドという装備そして手にはバズーカとシールドが握られている。
「おまえ、そんなデカものを……」
ハルドはライナスのバズーカを見て呆れた声を出す。
「良いじゃないですか。宇宙でもないとこういうデカ物は使えないですから」
確かに無重力のおかげで大型武器も取り回しはマシになるが……まぁいいかとハルドは思うことにしたライナス機も一応は腰に通常のライフルを懸架しているので武装的には問題ないはずだ。ハルドはそう思うことにした。
「聞こえますか隊長。少し遠くから、1機のはぐれと4機組みの1小隊合計5機が来ます、通信妨害入れますか?」
ギークの機体からハルドの機体に通信が入る。ギークの機体はいつも通り電子戦装備だ。
「頼む」
一言だけで済ませるとハルドとライナスの機体は、ギークが捕捉した集団に向かって、スラスターを噴射させる。
サマーはメリアルージにアンカーを打ちこむと、メリアルージの外壁に機体をアンカーで固定し、機体を安定させる。

 
 

「サマー機、先制します」
サマー機のスナイパーライフルが1機だけはぐれていた機体のコックピットを貫く。同時に、ギークの通信妨害が起こり、敵小隊の連携が崩れる。
その瞬間を見逃さず、ハルドのストライクΔが敵小隊に突撃し攪乱。すれ違いざまに1機をビームサーベルで切り捨てると、即座にその場を離脱。
完全に隊列がばらけた小隊各機に向けライナス機がミサイルを広範囲に乱射する。撃墜した機体が1機、被弾させた機体が2機。
「コストパフォーマンスが悪いんだよ、お前は」
被弾した2機のコックピットをほぼ同時に撃ちぬきながら、ハルドはライナスが言う。
「いや、狙う武器じゃないんで、これ……」
ライナスが言い訳を始めるが無視だ。
「ギーク次は?」
ギークに索敵を頼むハルド。しかし返事は芳しくない。
「いや、どうにもですね。こっちは手薄いというか、索敵圏内敵影なしです」
ということは、もっと要塞に接近しなければ敵は無しということか、
「あんまり、守りの良い要塞じゃねぇな」
ハルドは敵に不甲斐なさを感じながら、機体のスラスターを噴射させ、要塞へと向かって、進んでいくのだった。

 

「あれ?見たことのない機体がありますよ、隊長」
途中、ライナスがそんなことを言い出し、ハルドもその機体を小画面でモニターに表示する。
確かに見たことのない機体だとハルドも思った。
全体的な形状はグラディアルに似ているが、全体的に少し太めかと感じる。
特に胴体とバックパックのスラスターが大型化されている。それに脚部にスラスターが増設されている。
「グラディアルの制式採用型じゃろう。おそらく月で生産したのを持ってきたんだろうて」
なるほど、月は地球連合軍の大型基地であり、MSの生産もしていたはず。
このヘクター要塞は月からも近いから、テストにはちょうどいいということか。
そうハルドは結論付ける。
「データを見る限り悪い機体ではないぞ。
重量型MSに区分されるようになってしまったが、スラスターの増設などで、動き自体は軽いじゃろう。
それに胴体を厚くしてパイロットの安全を考えておる」
じぃ様の話しを聞く限り、良い機体のようなので、なるべく早く配備してもらおうとハルドは考えた。
「新しい機体になんか負けてられませんよ。隊長!」
サマーは急に敵愾心を燃やしている。本音では新型が羨ましいのだろう。新型機を欲しがるのはMSパイロットの性だ。
自分は違うがとハルドは思う。自分はストライクΔで十分だ。
「新型は気にせず。さっさと仕事を済まそう。頑張り次第で新型を貰えるぞ」
実際はそう言うものではないが、隊の士気を高めるためにハルドは隊員に、そう言うのだった。

 
 

「想像以上に厳しいな」
ヘクター要塞。ハルドとは別の場所で、アッシュは苦戦を強いられていた。
想像以上に敵の大型艦の砲撃が厳しい。このままでは要塞がもたないとアッシュは思っていた。それに味方部隊の動きも精彩欠いている。密集せず散らばっては各個撃破されている者もいる始末だ。
「クソっ」
イージス・パラディンは飛び出し、砲撃形態に変形し陽電子砲を発射する。その度に1隻の戦艦を潰せるが、それでも効率が悪い。何より、敵のMS隊が攻勢に出てきて、砲撃をするのもままならなくなっている。
砲撃形態のイージス・パラディンを狙う1機のグラディアルがあった。すぐに気づいて、MS形態に戻り、ビームライフルで逆に仕留めたが、段々と余裕がなくなってくるのがはっきりとしてきた。
「このままでは……」
アッシュが悪い予想をした直後だった。それは起きた。
「Fゲート、突破されました!」
アッシュが予想した通り、侵入口がこじ開けられたのだ。
「クライン小隊。司令部を守るぞ」
アッシュは隊員に命令して、イージス・パラディンをヘクター要塞内部へと戻らせるのだった。

 

「そろそろフけるよ。ディレックス君」
「まだゲートが1つ突破されただけですが」
「そうだね」
ロウマ・アンドーは、もうこの要塞に見切りをつけていた。というか最初からだ。見栄で地球連合軍の拠点の真ん前に建造した要塞など守る価値はない。
まぁ、もとよりロウマにとって守る価値のある要塞などこの世に1つも存在しないのだが
ロウマは悠々と歩き、余裕を持って、自分専用機のところにたどり着く。後ろにはディレックスが付いてきている。
ディレックスにはゼクゥド・クルセイダーを乗機にさせている。ディレックスが乗り込むのを見てから、自分も乗り込む。その時、近くにいた整備兵が、
「御武運を大佐!」
と自分に言ってきたことに内心では大爆笑だった。よりによって自分に御武運をかと思う。まぁ、何も知らない人間は幸せで良いと思いながら、ロウマは機体を起動させる。
「ゼクゥド・是空。出るぞ」
ロウマを乗せた機体が発進する。
ゼクゥド・是空はロウマ・アンドーの専用機である。
ゼクゥド・クルセイダーを極限まで軽量化した機体のフォルムはゼクゥド系列とは思えないほどスマートである。そしてバックパック。大型のスラスターをまとめた、スラスターバインダーは高い機動性を与える。
軽量化とスラスターの強化により、驚異的な機動性を発揮するのがゼクゥド・是空の特徴であるが。
他にも、目立つ点が1つある。それは武装であるゼクゥド・是空は腰に一本の日本刀状の実体剣しか装備していないのである。剣一本で戦う機体ということである。
機体を発進させながら、ロウマは正直ウンザリしていた。彼はこの機体が嫌いである。理由は名前にある。
まともに戦う気がなかったから、シャレのつもりで付けた名前だが、なんと通ってしまった。
彼の人生では最大の誤算である。
そんなことを考えている内にレーダーに敵機の反応が生じる。
「面倒だぁ」
どうやら要塞内に完全に敵が入り込んでしまっていたようだ。まさか自分の帰り道に迷いこんでくる奴らがいるとはロウマは思ってなかった。
「大佐、自分が前に立ちます!」
「そうだね」

 
 

ロウマは、その瞬間スラスターを全開に噴射する。超絶的な加速でゼクゥド・是空が動きだす。敵はすぐに発見できた。グラディアルの制式採用型である。多分、クライン公国でデータを知っているのは自分くらいのものだろう。
ゼクゥド・是空を発見したグラディアルがライフルを撃つ。その瞬間、ゼクゥド・是空は同時に動いていた。
“抜刀”
ゼクゥド・是空は踏み込んでライフルを回避しながら居合い抜きの要領で、グラディアルを真っ二つにしていた。
他のグラディアルが危険を感じ、ライフルを連射する。ひとしきり連射し終えた後、敵の様子を見るグラディアルの部隊だったが、驚愕することになった。
なぜなら敵は無傷で立っていたから。
「いやー、運があるな、キミらは……」
ゼクゥド・是空が無傷で立っている理由、それは実体剣の刃で、全てのビームを弾いていたから。尋常な技量でなせる技ではない。
ロウマはコックピットの中で笑みを浮かべていた。それはコックピットの中でしか見せない、蛇を思わせるようなニヤリとした笑みだった。
「俺は、騎士団の中でも強いほうだからさ……」
直後、ゼクゥド・是空が動く、異常な加速であり、グラディアルのパイロットは全く追えず、グラディアルは日本刀型実体剣で縦に真っ二つにされた。
そして、ゼクゥド・是空は止まらず動く。残りのグラディアルは2機だった。都合よく隣りあった位置にいた。横一線に薙ぎ払う。すると、2機のグラディアルは真っ二つになり倒れ伏す。
「そんな奴と戦えて幸せだろ」
まぁ“今の”騎士団では実は“一番”強いのだが、それをこいつらに言う必要もないと、ロウマは思った。
「さて、帰るよディレックス君」
「大佐、要塞内では、まだ戦闘中ですが」
「そうだね」
ロウマはゼクゥド・是空を機動させ、要塞内から出る。行く先は、まぁ適当に決めることにし、ロウマは陥落が始まりつつあるヘクター要塞に一瞥をくれることもなく、この宙域から去って行った。

 

「Cゲート、突破したぞ」
ハルドは全軍へ向けての通信を送った。激戦ではなく、割とあっさりと、侵入口を確保できたのだ。
「メリアルージとサマー機、ギーク機は待機して侵入口を確保。ライナスは俺と来い」
「2機で大丈夫ですか」
ライナス心配そうな声でハルドに訪ねるが、「知らんよ」
一言で切って捨て、ストライクΔが侵入口から要塞内に突入する。要塞内は迷路のようだが、先行している部隊が各所でマップを作ってくれている。
「これって結構ヤバいんじゃ……」
ヤバいよと、ハルドが心の声で答えた瞬間、通路の角から、敵機が現れる。
「うわっ」
ライナス機が思わずバズーカを発射し、敵機に直撃、撃墜する。
「馬鹿野郎!味方だったら、どうすんだ」
実際に味方だったシャレにならない、冷静に対応しなければ、そう思った瞬間、敵機の後続が現れる。
現れた機体にライフルを撃つストライクΔと、バズーカを撃つライナス機。敵機はまさかのビームキャノンでの応戦だった。
「敵さん。もうヤケクソですね」
要塞内がどうなってもいいというつもりで大火力兵器を持ち出してきているのだ。
「もう、諦めてくれりゃいいんだがな」
シールド構えながら、ライフルを撃ち、ビームキャノン持ちの機体を撃墜したハルドがうんざりした調子で言う。
しかし、ハルドの思いとは裏腹に要塞内での戦いは長引きそうな気配を見せていた。

 
 

「もうこの要塞は駄目です。坊ちゃん!」
「分かっている!」
アッシュ・クラインはニコラスに叫んで返していた。
もう要塞内に敵が、相当数侵入している。おそらく、そろそろ味方の数より多くなってもおかしくないとアッシュは思っていた。
「司令部は何をしているんだ」
アッシュは思う、そろそろ、この要塞に見切りをつけて脱出の指示を出してくれなければ、全滅の可能性もある。
「リチャードだ、すまない。シーエルと一緒にはぐれた。2機とも無事ではある」
激戦のさなか、クライン小隊は二つに分裂してしまったいた。
「無事なら良い。そろそろ限界も近い。脱出の用意も考えておいてくれ」
「了解だ。そっちも気をつけて」
とりあえず、シーエルとリチャードの二人が無事ならいいとアッシュは思った。
後は……
「総員に告げる。我が軍は、本要塞を放棄する」
よし!とアッシュは思った。基地の指令の声で全軍に通信がされたのだ。
これで撤退できるとアッシュは思った。
「坊ちゃん、では我々も急いで脱出艇のある区画へ」
「いや、僕らの位置からでは間に合わない。要塞の外に出てから合流するほうが確実だ」
アッシュはそう判断して、要塞のマップを開き、要塞外へ向かう最短のルートを算出する。
「よし行くぞ、ニコラス」
イージス・パラディンが脱出のために動き出した、その時だった。
「ぐわっ」
「ニコラス!?」
ニコラスの苦悶の声がして、アッシュがニコラスの機体を見るとそのの機体は背中を被弾していた。
誰が!そう思い、敵を探すアッシュの視線の先には因縁の相手がいた。
「当たっちゃいましたよ……」
よもやバズーカが直撃するとは思ってなかったライナスは呆気にとられた声をあげた。
「いいぞ、ナイスショットだ」
ハルドは心から、そう思い。目の前にいる赤いガンダムに狙いを定め、ライフルを撃つ。
しかし、容易く。回避され、反撃で赤いガンダムも撃ち返してくる。
「そう簡単にいかないよな」
射撃がことごとく回避され、ハルドはそう思う。
向こうの赤い機体も同じように思ったらしく、接近戦を挑む構えで突っ込んでくる。
「良い度胸だよ」
ストライクΔのライフルからシュベルトゲベール・ツヴァイを起動させる。ライフルの銃身部分にビームの刃が形成される。
ストライクΔとイージス・パラディンが激突する。
イージス・パラディンのビームサーベルをストライクΔはライフルの銃身に発生しているビームの刃で受け止める。
「見逃してくれないか?」
アッシュが言う。
直後、イージス・パラディンが弾き飛ばされる。格闘戦では重量の無いビームサーベルより、ライフルの重量がある分シュベルトゲベール・ツヴァイの方が有利だった。
「そりゃ、感謝の気持ちはあるが」
ストライクΔがライフルを思い切り振り下ろす。銃身にビームの刃がある以上防がなければならない。イージス・パラディンはビームサーベルで守ろうとするが、やはり武器の重量の差の分だけ、力負けする。
「だったら、投降しろって話しになるんだよ。こういう場合は」
それは、アッシュも分かるが、プライドが許さない。
「坊ちゃん、自分は大丈夫です!」
アッシュの耳にニコラスの声が届いた。見ると、ニコラスは敵機を1機、行動不能にしていた。

 
 

「すいません、やられました」
そう言ったのはライナスである。ハルドが見ると、ライナスの機体は両腕がなくなっていた。
「情けなさすぎるぞ、お前!」
しかし、そんなことを言ってもしょうがない。問題は2機を相手にすること。だが、
「やめとけよ」
ハルドは赤いガンダムを守るように立ちはだかる、ゼクゥド・パラディンのパイロットに言う。
「手負いじゃ、俺には勝てない。そもそもあんたなら分かるはずだ。俺とアンタじゃ腕に差がありすぎる」
ハルドは通信で呼びかけたが何の返答もない。
「やめろ、ニコラス!」
アッシュが叫ぶがニコラスの機体は動こうとしない。
「坊ちゃん。私が時間を稼ぐのでその間に脱出を」
「だめだニコラス!」
アッシュの叫びは聞こえず、ニコラスのゼクゥド・パラディンはストライクΔに突っ込んでいった。
「死んでもいいってことだな……」
ハルドは冷静に呟き、そして対処を決めた。敵機はヒートスピアを持ち、突進してくる。
ストライクΔはそれを容易くかわし、銃身のビーム刃でコックピットを切り裂き、その勢いのまま機体を両断し、爆散させる。
その光景を目の当たりにした瞬間、アッシュの思考が覚醒する。
「貴様ぁぁぁぁぁぁぁっ!」
イージス・パラディンがストライクΔに突進し、ビームサーベルで切りかかる。だが、ストライクΔはなんなく、それを回避する。
「やめとけよ。いくらスペックが上がっても、前とは状況が違いすぎる、場所も装備も気持ちも……」
自分に負けはないという確信がハルドにはあった。イージス・パラディンが盾を捨て、ビームサーベルの二刀流で襲い掛かる。
対してストライクΔも盾を捨て、左手にビームサーベル、右手にライフルという構えになる。
「うるさい!貴様だけは許さない!」
ニコラス、幼い時から自分を見守って来てくれた父親のような存在だったのに、それをコイツは。
怒りがアッシュの思考と能力をさらに上昇させる。イージス・パラディンの動きは常人には見切れないものであった。だがハルドは容易く回避する。
「さっきの奴に免じて、今日はこれでいいだろっ!」
ライフルの銃身のビーム刃が驚異的な動きを見せようとしたイージス・パラディンの左手を切り潰す。

 
 

「もう良いだろうが!」
そしてストライクΔの左手のビームサーベルが、イージス・パラディンの右手を切り捨てる。
「手がなきゃ、何にもできないだろ」
「うるさい!」
直後、イージス・パラディンは砲撃形態に変形した。もういい、要塞ごとこの敵を消してやる。アッシュの思考は怒りにより、狂乱状態となっていた。
要塞内で陽電子砲などを撃てば、大惨事になるが、もうアッシュには関係がなくなっていた。
「バカ野郎が!」
陽電子砲の砲口にストライクΔのバルカンが直撃し、砲口が潰れる。これでは陽電子砲は撃てない。
ハルドは、もう駄目かもしれないな。と思い始めていた。目の前で堂々と変形し、堂々と陽電子砲を撃とうとする。冷静に考えれば邪魔をするに決まっている。しかし、赤いガンダムのパイロットはそれを考える冷静さもないのだ。
怒りに溺れ過ぎている。ここで始末してやった方が幸せかもしれないと思い始めていた。
しかし、もう全ての手を使い果たしたことを悟った赤いガンダムは飛行形態に変形し、ストライクΔの前から去って行った。
「貴様だけは許さない!」
そんな捨て台詞を吐いて。
「借りがあるんだがな……」
ハルドはオーブでリーザを救出するための道を切り開いてくれたことを、思い出しながらも、その借りを返すにはどうしようもなくなったと思うのだった。

 

敵が撤退していく以上、要塞の制圧は簡単に済む。マスクド・ハウンドも、これ以上、特にすることはなくなった。
撤退する要塞の残存部隊への追撃戦もないという。要塞を確保したという報告が届く中、
ハルドはあの赤いガンダムのパイロットが無事に撤退できたかどうかだけが、最後に気になっていた。

 

「それで、自分たちはどうするんですかね?」
奪取した要塞近くに停留していたメリアルージ内。食堂ではそんな疑問の声をライナスがあげていた。
「決まってる。帰るんだよ、カリフォルニア基地に」
ハルドは当然のように言った。
「月へは寄れないんですか?」
サマーが尋ねる。ヘクター要塞と月は目と鼻の先であり、月には地球連合軍の基地がある。
「さっさと帰ってこいって命令がエルザから出てるんだ」
ハルドは疑問に明快な解答を与えた。
これだけで、全てのクルーは納得して、カリフォルニア基地に帰ることを了承した。ブリッジではベンジャミンが名残惜しそうにしていたが、どうしようもないことだ。
「宇宙も結構楽しいんだけどね」
まだ、無重力に慣れないリーザが無邪気に言うが、ハルドとしては、
「俺は地に足が付いてる方が好きだよ」
暗に宇宙は苦手だということをリーザに答えたのだった。
メリアルージはすぐに大気圏突入の準備に入り、降下した。問題は全くなく。カリフォルニア基地に到着。
退屈すぎるくらいだと漏らすクルーもいるくらいだ。だが、ハルド言わせれば平安な道のりこそ何にも代え難いものである。
この時のハルドには、まだ知るよしもなかった。ハルドの平安な道のりは、ここで途切れてしまっていることを。

 
 

第10話 【戻】 第12話

 

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