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GUNDAM EXSEED_13

Last-modified: 2015-02-26 (木) 23:03:56

【基地襲撃編】

 

「さて、次は私の番だな」
レオの声がしてビームが飛来する。ハルドには、どこからか撃ったか分からない狙撃である。
とにかく遮蔽物に隠れる必要があると思い、ハルドはストライクΔを基地内の物陰に隠そうと移動させようとした。
その瞬間だった、ストライクΔのバックパックが撃ちぬかれた。ハルドは誘爆する前にパージする。
「くそが、狙撃戦がしたいならしてやるよ」
ならば武器がいる。
「サマー、お前の機体、動かせるか?」
「上半身だけなら」
「ならスナイパーライフルを寄越せ。お前より俺の方が狙撃は上手い」
サマー機は機体に接続されたスナイパーライフルをストライクΔが取りに行けるであろう位置まで放り投げた。
「わるいな。借りるぞ」
ズタボロのストライクΔが走り、ライフルを取りに行く。バックパックが破壊されたせいで、まともな移動手段は走るくらいだった。その隙をレオが見逃すはずがなかった。
ストライクΔの右脚部にビームが直撃し、風穴が開く。威力が低い?距離が遠いのか?足が千切れ飛ばなかったことをハルドは、
天に感謝しつつ、滑りこむようにしてスナイパーライフルをキャッチ、そのまま物陰に隠れる。
「ハルド、悪いしらせじゃ」
じぃ様から通信が入る。
「その足じゃと、走れて数分もつかじゃ」
うん、まぁそんなものだろうとハルドも理解していた。あと数分でレオを撃ち殺す。やってやれないことはないだろう。
そう思った瞬間である。ストライクΔの頭が吹き飛ばされた。
「はぁ!?」
物陰に隠れているから当たらないつもりだったが、相手の位置を読み違えたのか。
ハルドはビームが飛来してきた方をスナイパーライフルの望遠スコープ越しに見るが、それらしい影はない。
「くそ!」
止まっている危険は大きい。ストライクΔは立ち上がり走り出す。動くたびに機体が軋む気がする。
「ハルドよ。お前は嫌いだが感謝もしてるよ。ジャックを殺してくれたからな、私はあいつも嫌いだった」
嫌いな人間多すぎだろと思った瞬間、ビームがストライクΔをかすめる。
「くそ、なんでお前らこんなことをやってんだ」
基地を破壊したり、俺と戦ったりとハルドは思う。
「決まっている。エルザの命令だからだ」
「あんなイカレ女がなんだってんだ。わけわかんねぇ……」
ハルドが、そう言った直後ビームが左脚部を貫く。やっぱり、威力が弱い?ハルドは不審に思った。
「お前には分からんさ。あの狂気に魅せられていないお前には」
「わかりたくねぇよ」
再びストライクΔは物陰に隠れる。だが、ビームは再び、ストライクΔをかすめる形で飛来した。

 
 

おかしいとハルドは思い、位置の計算を始める。するとすぐに疑問の答えは出た。レオは遠距離から狙撃などしていないということを。
射線上に物があっても、物ともせずにストライクΔに当てているという情報から考えるに、近場でこそこそ隠れながら、ストライクΔを狙っているわけだ。
しかし、それが分かったとしてもどうやって隠れているのかが分からない。それにおかしい点はビームの威力だ。近距離で撃っているはずなのに妙に威力が低い。
「じぃ様、グラディアルの制式採用型に狙撃用装備というのはあるか?」
聞いてみると、すぐに答えが返ってきた。
「スナイパージャケットという装備セットがあるのう。データを送ってやろう」
じぃ様からのデータはすぐに送られてきた。それを確認すると、ハルドはニヤリという笑みを浮かべた。
「レオよ、昔から小狡い野郎だとは思ってたが、ここまでとは」
ハルドは勝利を確認した。ストライクΔが動き出す。その動きは極めて頼りないが、何とか歩いていた。
目指す先は、基地内の今は使われていない倉庫。埃だらけの場所にストライクΔを隠す。
そして待つ。
「終わりだハルド」
「そうだな。覚悟を決めた。だから最後に教えてくれ」
ハルドはレオに訪ねる。多少の時間稼ぎの意味も含めて。
「なんで、一対一にこだわった。二人がかりなら楽勝だったろうに」
そうハルドが言うとレオは鼻で笑い返した。
「一対一で勝たねば、エルザに認めてもらえないからだ」
またエルザか、こいつらも、とことんイカレてる。
「もう、うんざりだ」
「では、終わりにしてやろう」
そうだな、後は運任せだ。
「お前をな!」
ストライクΔが出力を抑えたスナイパーライフル乱射する。狙いなどつけずに滅多やたらと。それによって倉庫内の埃が舞い上がり粉塵が生じる。
「見えたぞ。レオ」
倉庫内に埃によって、何かが浮き上がる。それは確かにMSのシルエットをしていた。
「クソ!?」
シルエットが撃つより、ストライクΔの射撃が早かった。シルエットが地面に倒れ伏す。
それと同時にシルエットが被っていたマントが宙を舞う。マントの下からはグラディアルが現れた。
「ミラージュコロイドマントねぇ」
ハルドは宙を舞うマントを眺めながら呟いた。
ミラージュコロイドマント。スナイパージャケットのオプション装備らしくしようすることで機体を透明に見せることが可能だという。
しかし、問題点もありミラージュコロイドマントの使用には大きなエネルギーを消費するため、ビームの威力が極端に下がるという。欠陥品だが、そこに助けられたとハルドは思う。
「じゃあな、レオ。嫌だと思うがジャックと仲良くやれよ」
基地を襲撃していた2機は倒した。後の問題は……大破しているストライクΔを何とか動かし、倉庫の外へ出たハルド。
だが、そこでストライクΔは限界だった。両脚が半ばから折れ、機体は地面に倒れ伏す。その拍子に突き刺さったままの対艦刀が折れ、ストライクΔは完全に動けなくなった。
「後の問題はジャックとレオをけしかけたエルザだ」
そう結論が出た時、ハルドへ通信が入る。

 
 

「私だ。ハルド」
この騒ぎの元凶、エルザ・リーバスだった。ご丁寧にモニターで映像も繋がっている。
「アンタ、とうとうやってくれたな!」
ハルドは怒りを抑えず、言葉を続ける。
「自軍の基地の襲撃をけしかけるなんてマネが許されると思ってんのか!」
「別に許しを請う気はないよ。そもそもどうでも良いしな」
どうでも良いだと?何を言っているんだ、この女は?
「まぁ、そんなことよりジャックとレオを殺ったのは上出来だ、褒めてやろう」
「ふざけるな!あんた、これからどうなるか分かってんだろうな!」
もういい、この女と言葉を交わすのは無駄だ。すぐに憲兵隊がやってきて銃殺してくれるはずだ。
「これからどうなるか、か?別にどうにもならん。私は今までの通り、勝手にやるだけだ」
そんなこと出来るわけがない。とハルドは言いたかったが、妙な不安を感じ始めていた。
「まぁ、連合で働くのも潮時と思っていた所だ。少し職場を変えようと思ってな」
ある種の嫌な予感がハルドの胸で大きくなる。
「私は宇宙に行くよ、ハルド。クライン公国に知り合いもいるしな」
「アンタ、スパイだったっていうのかよ!?」
「そうだよ。まぁそんなに真面目に行動はしていないがね」
みんな騙されていたということか?
ストライクΔのモニターから、マスドライバーにシャトルが設置されるところが見えた。
「ふざけんな!待て!」
「まぁ待ってもいいぞ。しかし、そんなに時間はとれんが。お前に大事な話しをする時間はあるだろう」
大事な話しと聞いた瞬間、胸の不安が一気に大きくなる。
「私はいつもお前の大事な物を壊してきたような気がするんだが、どうだろうな?」
やめろ。という声が頭から離れない。
「私は大事な物を手放してしまう、お前にも非があると思うんだが?」
「アンタは何を……」
「大事な物は肌身離さず持っていないとなぁ?」
胸の不安は大きくなる一方だ。不安を振り払うためにストライクΔを動かそうとするが、動いてはくれない。
「惨めだなぁ。這いつくばって、そんなに大事か?」
そしてハルドは凍り付いた。
「この娘が」
リーザがいたのだ。
「リーザ……?」
エルザの後ろにはリーザがいた。
つまりはシャトルにいるということ、そしてこのままエルザと宇宙へ――
「エルザぁぁぁぁっぁぁっぁぁっぁっぁっぁぁぁっ!!」
「ははははは、いいぞイヌ。その顔が見たかった。」
殺す。殺してやる。
「リーザ!リーザ!」
ハルドは叫ぶが、その声はリーザに届かない。そしてエルザの後ろで叫ぶリーザの声もハルドには聞こえない。
「私は、この娘を宇宙に連れていくよ。何をするかは教えてやらん」
絶対だ。絶対に殺してやる。
「この娘が大事なら追ってくるんだな。その方が私も退屈しないで済む」
「殺す、殺してやるぞエルザ」
絶対、絶対にだ、追いかけて殺す。
「忘れるなよ。いつだって、お前の大事な物を壊すのは私だということを。それを、一生消えないように刻んでやろう。それではな」

 
 

シャトルが打ち上げ態勢になっていく。それでもハルドは何もできない。
「エルザぁ、エルザぁぁっぁっぁぁっぁぁっぁぁぁ!!」
思い知らせてやる。絶対にだ。殺してやる。確実に。そして、頼む。無事でいてくれリーザ。
ハルドの胸の中には殺意と願いが渦巻いていた。その思いは、もはやハルド自身にも制御できない強烈なものとなりつつあった。
シャトルは高く打ち上げられた。それにむかってハルドは叫ぶ。ただ一つ少女の無事を願って。
「リィィィィィザァァァァァァァァ!!」

 

シャトルが空へと消えてから数時間後。
シャトルは宇宙にいた。そしてエルザとリーザを乗せたシャトルは、大型の輸送艦の中へと格納された。
「しかし、アネさん。あんまり急なのは勘弁してくださいよ」
文句を言ったのはクライン公国のロウマ・アンドー大佐である。
「すまんな。思い立ったら動かずにいられんタチでな」
エルザは全く悪びれた様子はなく言ってのける。
「まぁ、いいですがね。ところで例の物を」
ロウマがそう言うとエルザは何も言わずに情報メモリーを渡した。
「まいど」
ロウマが受け取ったのは地球連合軍のありとあらゆる機密データが詰まった情報メモリーである。その価値は計り知れない。
「では、教団の方には話しを通しておいたんで、そっちは何とでも」
「悪いな」
いえいえとロウマが言うと、その視線は次にエルザの後ろにいる双子に向けられた。
「あれも貰っても?」
「構わんが、コマ以下だぞ」
「いいんですよ。これからはそれぐらいの人間で」
双子は何も言わない。ロウマは手で招くと自分の後ろに立つように指示した。すると、双子は何も言わず、ロウマの後ろに立った。
次にロウマが視線を向けたのはリーザである。拘束衣に目隠し猿轡で行動の自由は完全に奪われている。
「かわいそうなことしますねぇ。綺麗な顔が見えないじゃないですか」
「顔が見えると、いたぶって殺したくなるからな」
そりゃ仕方ない。とロウマはおどけてみせる。
「しかし、1番はもう駄目なんですから。自由にさせてやっても良かったと俺は思いますよ。最後くらい愛する男と一緒にさせるのも人情でしょうに」
「私に人情はない。それに演出には必要なのだよ。最高の舞台の」
そうでしたそうでした、とロウマはお手上げのポーズをする。
「舞台の演出用の大道具も持ってきてるんで、ご自由にどうぞ。この輸送艦もあげますよ」
「太っ腹だな」
エルザは当然のことだと言わんばかりの表情で言う。
「まぁ、俺はしばらく表からフけるんで、あんまり物持っててもしかたないんで」

 
 

「姫と王子の件か?」
「まぁ、そうです」
それだけ言うとロウマはエルザに背を向け、最後に言葉を残す。
「では、人の道に新たな火を」
と言った直後にロウマは何かを思い出したようにエルザに言い残す。
「そっちにクラインの坊ちゃんの方を送るんで、適当に相手をしてやって下さい。まぁ死んじゃっても、たいした問題はないんでご自由に」
ロウマはそれだけを言うと、もう一度別れの言葉を残す。
「では、今度こそ。人の道に新たなる火をっと」
そしてロウマはエルザの前から去った。
その後ロウマが乗り込んだのは小型の脱出艇である。操縦席にはディレックスが座っている。貰ってきた双子はロウマの背後にぴったりと付いていた。
「さてと荷物も置いたし、帰ろうか。ディレックス君」
「しかし、マズイと思いますが。公国の最新鋭機をどこの馬の骨とも知れぬものに与えるのは」
「そうだね」
別に構わないことだとロウマは思う。実際はに彼女“ら”の専用機であり、どうせ公国にあっても宝の持ち腐れだ。
まぁ、MSなどいくらでもくれてやればいい。別にMSにこだわる理由などないのだから。
これから重要なのは“人間”だ。
ロウマはこれからの起きることに思いを馳せながら、ディレックスに脱出艇を出すように命じた。

 
 

エルザ・リーバスのスパイ行為が与えた波紋は大きかった。多くの軍人の身元が改めて洗い出された。
特にエルザ・リーバスの子飼いの部隊であるマスクド・ハウンドへの追及は厳しかった。実際のところ、マスクド・ハウンドのメンバーは10日程度の監禁状態にあった。むしろ、10日程度というのは短すぎるくらいだった。
なのに、なぜマスクド・ハウンドが解放されたかというと理由は単純である。とある任務のためである。それは――
“エルザ・リーバスを抹殺せよ”
極めて簡潔な任務であった。

 
 

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