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GUNDAM EXSEED_EB_1

Last-modified: 2016-01-12 (火) 19:53:43

C.E.170
世界は地球連合、クライン公国、コロニー同盟の三つの勢力によるバランスよって仮初めの平和が築かれていた。しかし、戦いが世界から消えたわけではなく、未だに世界の各地では小規模な紛争が絶えず起きていた。

 

ガンダムEXSEEDエデンブレイカー

 

雨が降り、薄暗い空を車の後部座席からボンヤリと眺める少年がいた。
極めて美しい少年であった。寸分の狂いもなく完璧に整った造形の顔もさることながら、なにより印象的なのは、その髪と瞳だった。
適当に伸ばしたことが明らかな少年の髪は異常なことに完全なプラチナであり、少年が退屈そうに頭を揺らすと、そのプラチナの髪が揺れ、その瞬間、その髪が白銀に光輝いていた。
そして、少年の瞳、それは見続ければ吸い込まれ意識が奪われるような、恐怖すら感じさせるような深い大空の蒼をもった瞳であった。
「……飽きたな。行こうか?」
少年は、男の視線すら奪いかねないような艶めかしい唇から、美声を発する。その声は、気を抜けば人を一瞬で虜にしかねない物であった。
「もう少し、お待ちを……」
答えるのは運転席の男であった。黒スーツにサングラスという明らかに堅気ではない風体、しかし、実際のところ、男は後ろに座る少年が恐ろしくて仕方なかった。
最初は綺麗な顔をして多少優秀な少年とだけ聞いていたが、一緒に仕事をして分かったが、後ろに座る少年はバケモノだ。今では、綺麗な顔も怪物らしさを助長させる要素になっている。
それに、男は既に何度かミスを犯している。少年は初めて会った時に言った。
「それじゃ、ルールを決めよう」
そう言って笑顔でサイコロを出し、空中に放り投げ、掌に乗せた。その時に出た目は三。
「ということで、三回までのミスなら互いに見逃そう」
そう後ろの少年は言った。男の方は既に二回ミスを犯している。三回目にミスを犯したらどうなるのか、少年のこれまでの行動傾向から明らかだった。間違いなく殺される。男は全身に汗をかいていた。
「それじゃ、ルールを決めようか?」
ああ、また始まった。男は恐れながら言う。
「ぐ、偶数で」
そう言うと、少年はサイコロを投げ掌に乗せる。出た目は4で偶数だった。ああ、神様すみませんと男は、天に謝罪をしてハンドルに額をこすり付ける。
「当たりが出たから、施設の人間は基本的に殺しの方針でいくから。それに4で死と音も良いしね」
聞こえる声は、歌や音の神が作り出したものとしか思えないが言っていることは死神そのものだ。
少年は男との仕事の初回から初めにサイコロを使う。相手を殺すか否かを決めるために。
少年曰く、余計な業を背負いたくないらしい、殺したい人間は問答無用で殺すが、殺したい気持ちもなければ、殺したくない気持ちも無い人間に関して全て天に任せることにしているという。
男がサイコロの偶数か奇数かを当てれば、とりあえず殺す。外せば殺さないというのが少年の方針だった。
自分で決めないのは、自分が先にゲームを提案しているからであり、ゲームを提案した人間が勝手にどっちか決めるのはフェアではないというのが少年の理屈らしい。
正直言って、全く男には分からない話だ。業やら何やらの時点で分からないし、自分の勘で人が大勢死ぬのも訳が分からず、精神的に限界に近かった。
そんな男の精神状態など少年は完全に無視して、口笛を吹きながら戦闘の準備をしていた。
手に持っているのは、45口径の拳銃。それも恐ろしく古い時代、西暦の二十世紀初頭から使われている拳銃だった。それを適当に磨き終えると、腰のホルスターに収める。
そしてもう一丁磨き、腰のホルスターに収め、マガジンを腰の右と左に二つずつ合計四つを準備し、黒のアンダーウェアには胸部分にのみ黒のボディアーマーを身に着ける。
そして改造したガンベルト斜め掛けにし、腰のベルト連結し、斜め掛けのガンベルトには巨大としか言いようのないリボルバーと同じく巨大な弾丸を五発ベルトに収める。
それを終えると少年は両腕にアームガードを装着し、両手を軽く開いたり、手首を回してみて、何かの確認を終えたように頷く。

 
 

「天気悪いね」
少年は世間話感覚で、男に話しかけるが、男は沈黙するだけだった。少年は別に気にもせずに上着を着る。見た感じでは黒く、撥水素材独特の光沢があるハーフコートであった。
少年はそれを着ると。ファスナーを上まで締め。首に黒いマフラーのような布を何重かに重ねて巻く。
「もう行くよ。後は合流地点で」
男はやはり沈黙していた。少年はマフラーのような布を鼻の穴が隠れる高さまで上げる。これで、毒物は100%シャットアウトできる。少年の所属する組織で開発された特殊素材の布であった。
そしてハーフコートについてあったフードを被る。フードはハーフコートのサイズから見てもかなりサイズが大きく、少年の頭がすっぽりと覆われる。
その瞬間であった、ハーフコートの光沢が失われ、闇に溶け込むような色合いと変わり、そして何よりもの変化は、フードの中の人の顔が外部からは完全な暗闇となって見えなくなったのだ。
どんな分析ソフトを使ったところでフードの中の顔は見えない。これも少年の所属する組織の持つ最新技術で作られた装備だった。
少年は自分の隣に置いていた銃を手に取り、車のドアを開ける。少年の手に握られていた西部劇に出てくるような騎兵銃つまりはカービンだった。その外見は、木材が大量に使われているのが見て取れたが、特殊な改造が施されているのも明らかだった。
それは45口径の銃弾が装填されたマガジンが、装着されていること。実戦ではこのタイプでさらに西部劇に出てくるような形をしたカービンはない。そのことから完全なオーダーメイドの銃であることが分かった。
少年は相棒のカービンを肩に担ぎながら、雨の中を車から離れて歩き出す。
「雨は濡れるから好きじゃないんだよなぁ」
銃も濡れるから困る。相棒のカービンだって銃床なんかは木製だから終わったら手入れをしなければいけないのだ。
少年ははた目からはチンタラといった感じで歩くが、そのスタイルは極めて整っていた。長い手足、細身に見えるがどこか野性を秘めた全身。少年は顔の完璧さと同じく肉体も完璧であったが、歩き方は面倒くさそうにチンタラ歩いていた。
そうして、少年が歩いて辿り着いたのはとある研究所であった。色々と名前があった気がしたが、少年は興味がないので、忘れた。ただターゲットがここにあることを除いて。
少年は、ダラダラと歩きながら、研究所の正門に辿り着く。高さは2mぐらいかと思い、少年は、ジャンプし、正門上のへりを手で掴むと軽く身体を起こして、門の内側に降りた。
即座に警備員らしき人間。よく見ればサブマシンガンらしき物を持っている男二人が、少年を拘束するために近づくが、少年は相棒のカービンを片手で持ち、即座に一人の男の頭を撃ちぬいた。そして、一瞬で狙いを切り替え、もう一人の男の頭も同様に。
まぁ、こんな流れだが、警備員の装備が物騒すぎる。軍の最新モデルのサブマシンガンに、よく見ればグレネードまで持っている始末だ。確信を持って訪れたが、ここがマトモな研究所でないことは明らかになった。
少年は誰にも表情が見えないフードの中でニヤリと笑う。少し楽しいかなと、そう思いながら、カービンを肩に担ぎ研究所内へと歩き出した。
どうすっかなぁ、と思いながら、研究所に侵入する少年。警戒する様子は全くなかった。そうして、歩いていると偶然、警備兵の集団と遭遇した。
少年は取り敢えず、驚き口を開けている男の口の中にカービンをぶっ放し、頭を吹き飛ばし、すぐ近くにいた男に対しては、左腕の内手首から伸ばしたナイフを首筋に突き刺し、絶命させる。
手首のナイフに関連する武器は全部、オジサンから教えてもらった。もっとも暗殺用の武装なので、実戦用に自分で改造したが。
少年は突き刺したナイフを引き抜くと、即座に別の男に掌を開いて、内手首を見せる。その瞬間、強力なガスによって噴射された鉛玉が、無音で発射され男の頭を貫いた。
最後に一人残った男は銃を連射するが、少年は霞のように消え、気づくと男の隣に立ち、左腰から拳銃を抜き放ち、その銃口を男の頭に突きつけていた。

 
 

「バケモノ」
少年は別段、怒りもせず、引き金を引いた。
「バケモノよりノーフェイスって言ってもらいたいんだけどな」
各国の軍部からは自分が“ノーフェイス”と呼ばれていることを知っていた。各国の軍部には父さんの知り合いもオジサンの知り合いもいるから、機密情報も父さんとオジサンにお願いすれば、情報を集めてきてくれる。
少年はそんなことを考えながら、必死で抵抗をする警備兵を殺し回っていた。だいたいはカービンで仕留めるが殴り殺すことも多々あった。
何とも大変だろうな、自分の相手は。と少年は銃弾を躱しながら思う。銃弾を躱す技術は師匠から教わったものだ。師匠とは十回組手をしても三本しか取れない。
とりあえずといった感じで少年は銃弾を躱しながら、左手の45口径ピストルを警備兵の頭に撃ち込む。
アメリカンなら45口径だ。これだけは譲れない、だからカービンもオーダーメイドで45口径のピストル弾専用にしている。
9mmは男の武器じゃねぇ、女子供が使うもんだ。と、少年は幼少期に教わっていたので、45口径を愛用していた。やっぱり男は45口径かそれ以上でないと、と少年は思う。使う気は全くないコート下のリボルバーも西暦のものだが、45口径より威力が上の上物だ。
そんな風に適当なことを考えながらだが、少年は警備兵を粗方だが片づけていた。少年は左目をつぶり、感覚を研ぎ澄ますと、無害なものと牙を持っているが怯えているイメージがいくつも見えた。
無害なのは研究員か何かだろう。牙を持っているが怯えているのは警備兵か銃を持った研究員だと思った。
少年はあまり使いたくないなぁ、と思いながら、自分が殺した警備兵の死体のすぐそばに座り込み、両目をつぶり、より精神を集中させる。
(もしもし、声が聞こえますか?もしくは僕をイメージとして視認できるかい?)
これで多分反応はあるはずなんだが、どうかと思うと、少年のアンテナに何かがひっかかるようなものを感じた。
(?……!……)
一応見つけた、距離は500m圏内だ。そんなことより、クソなのはここの研究者が何も理解していないということだ。テレパシーの仕方ぐらい教えとけと思いながら、少年はチャンネルを変える。
比較して一番重い奴だ。権限の強さは心に出る。必ず見つかると思い、少年は、意識を限界まで広げた。すると脳裏に赤いマークが見えた。
「二階か」
力を使うたびに母さんありがとうと思え。と父さんには言われている、少年は胸元から小さなアルバムブックを取り出すと、父と母が一緒に笑っている写真のページを開き両親にキスをした。
父さんは僕の方がイケメンだと言うけれど、父さんの方がイケメンだし、母さんは今でも世界一の美少女だ。
そんなことを思い、なんとか頭痛を和らげながら、少年は研究所の二階へと足を進める。
ほとんどの警備兵はビビッてしまい外へ出てこないらしい。都合が良いと思い。少年は左目をつぶり、人間の気配をイメージで探る。少し強気に戻りそうなのがいるなと思うと、少年はその少し強気になった人間に対し、僅かにドアを開き相棒のカービンをぶっ放した。
その瞬間に、少し強気になった以外の全員の気持ちが弱るのが見えた。
少年は能力を少し使いすぎだと反省をした。けっこう脳味噌がギチギチしている、それが少年の思った、そのままの言葉である。
警備兵など、銃弾を避けて撃ち殺す殴り殺す蹴り殺すなどすればいいだけなのに、面倒に力を使ったと少年は思い、必要なドア以外、内側からは開かない細工をして、目的地へと進む。
少年は疲れを癒しながら、最奥のドアを開けた。その瞬間に銃弾が飛んできたが、少年は霞のように消え、銃を持っている男の横に立ち、こめかみに銃を突き付けていた。
「“ゴーストムーブ”これが技か科学か超能力か、分析はそっちに任せる。ちなみに“銃弾避け”はナチュラル、コーディネーター関係なく習得できる技だ。だけど、僕の“ゴーストムーブ”は違う、現状は僕だけのオリジナルとだけ言っておく」
そう言って、少年は、銃口を男のこめかみに突きつけたまま、全員に大人しくするように言った。
すると、銃を持っていた男も諦めて、少年に銃を渡しひざまずく。

 
 

「小さい銃だね。あんまり好きじゃないな」
45口径を愛する少年からすれば、男の持っていた銃は許しがたいものだったが、怒りをぶつけるのも格好が悪いと思い、銃は分解して放り捨てた。
少年はひざまずく全員を見渡すと極めて端的な質問をした。
「モルモットはどこだい?」
そう言われ、全員がビクリとなる。少年が言うモルモットは最重要機密のはずだとその部屋にいる全員が思ったが。少年はアホばかりだと思い、目をつぶり意識を集中する。
(つまらんゴチャゴチャは無しで。アンタらがEXSEEDを確保し研究材料にしているのは理解している。すでに僕は本人と交信した。隠しても無駄だ)
少年はテレパシーでその部屋にいた全員に伝えた。多くの者が信じられないという顔をしているが、少年には短く済んでちょうど良かった。テレパシーはきちんと能力が開発された者同士ではないと、相当に辛い作業なのだ。
「あの、あなたはEXSEEDなのですか?」
くだらない質問を、と思いながら少年は答える。
「母さんゆずりだ。これ以上の質問は答えない。モルモットの場所を正確に教えないなら、一人ずつ殺す」
そう言うと、研究者は何故か少年に対して崇拝の眼差しを向けながらカードキーを渡すのだった。
「部屋は奥です。あのすいませんが他にできることは!?」
少年はカードキーを受け取り、さっさと消えようとしたが、一応質問に答えた。おそらくEXSEEDというものに対して、何か特別視をしている研究員だということは想像がついた。マルキオ教の信者かなと、リヒトは見当をつけた。
「静かにしてろ。何もするな、していいのは息だけだ。それ以外をしたら、戻ってきて、お前らを殺す」
そうリヒトは言って、左目をつぶると、その部屋の研究員が全員、忠犬のイメージに見えた。とりあえずは、これで良い。何か事を起こせば忠犬のイメージは消える
もう良いだろと少年は、さっさと部屋を出ると。カードキーを使って研究所の最奥に足を踏み入れた。
カービンを下げながら、適当に歩くが研究所の最奥は幼稚園のようだと少年は思った。
たぶん、この距離なら余計な神経を使わずにテレパシーが出来ると思ったが、どうにも上手く行かなかった。なるほど、テレパシーで発声する方法を持たないのだと少年は歩くと。一際大事に部屋に置かれている黒人の幼児を発見した。
(こんにちわ)
少年はかなりレベルを下げたテレパシーを使った。レベルを下げるということは、他にEXSEEDがいれば盗み聞きされる恐れがあるのだが、その心配は必要ないと思った。おそらく、この研究所はこの幼児のためだけの施設だからだ。
(こんにちは)
知的には普通かと少年は思った。日常会話と同じレベルで出来るテレパシーだ。少年の方にも苦ではない。幼児の方も楽に出来るようだった。
(ここから出たくない?)
(あんまり)
(ここを出たら友達がいっぱいできるよ)
(じゃあ、でてもいいかも)
まぁ、ここの生活の方が、この幼児には楽園かもしれないが、こちらは一応仕事だ。騙しても、この幼児にとっての楽園を破壊しても心は痛まない。
少年は適当にカードキーを使い、幼児の部屋に入ると、その身体を抱き上げ、研究所を出るべく歩き出す。
「お別れはいいのかい?」
「?」
幼児はイマイチ分かっていなかったようだった。ここを出た瞬間に、この幼児が全てを自由にできる楽園は消えるのだ。
自分は楽園を破壊した。もう、幸せな檻の中には戻れないということを伝えなかったのは悪いと思いながらも、少年は全て無視して、己の道を歩く。
そして研究所を出た瞬間だった。防衛用のMSが十数機見えたが、少年は、気にもせず。一つ名前を呼ぶ。少年が絶対に信頼する最高の存在だ。
「アテネ。敵を足止めしろ」
その少年の言葉とともにガンダムタイプのMSが地上に突如現れた。
(機体の性質上、パイロットの搭乗が無ければ敵機は破壊できません)
少年の脳に直接声が聞こえるが、少年はフッと笑った。
「破壊できなくても足止めは出来るだろ?愛してるから頑張ってくれ」
(では、なんとか)
「愛してるってなに?」
もう少し大人になれば分かるよ、と思いながら、少年は止めてあった車に幼児を乗せる。

 
 

「とりあえず、面倒な目に合わせず生きさせてやってよ」
少年は車の運転手の女性に叫ぶ。
「了解です」
そうすぐに返事が返って来た。だいたいはこれで安全だと思うと、少年は自分が乗っていた車に銃を置き、そしてハーフコートをすら脱ぎ捨て、車内に置きさる。
「いいぜ、アテネ。こっちは絶好調だ」
(私も好調です。今、MSを殴り倒しました)
なら、いい感じかと思い、少年は口にする。絶対勝利の言葉をそして応えるのは機体。
「コード:ジェネシス」
(承認――転送します)
突如、ガンダムの目が緑に変わる。それは真の搭乗者を得た証。
少年はコックピットの細かな設定を済ませる。毎回やってやった方が機体も喜ぶ。一種の愛撫だ。細かく色々してあげた方がいいのは女の子も、この機体も同じ、感度が良くなって自分自身も気持ちよくできるというものだ。
眼前には十数機のMS。相手にならないだろうと機体の自立OSは自らの名を呼びながら、戦闘態勢に移る。
(自立型戦闘支援OSアテネ。戦闘モードに以降。パイロットの承認を要求します)
「ジェネシスガンダムCode-Adam起動。OS要求を承認。各種プロセス処理はOSに一任。パイロットはリヒト・グレン。ジェネシスガンダム。戦闘を始める。」
その機体は白をベースに赤と青を加えたトリコロールがメインに配色されたMSであった。頭部はガンダムタイプ。それ以外は徹底的にシンプルであり特徴らしきものは無い。だが、強いて言うならば力強く男性性を感じさせるシルエットであった。
「武装、いけそうなのは?」
(ありません)
「なんで?」
(機体を隠すため長時間に渡ってミラージュコロイドを展開していたためです)
リヒトと自らの名前を宣言した少年は、機体を操り、十数機のMSが放つビームライフルの攻撃を回避していた。
敵の機体はジルベルト。地球連合軍の最新鋭機だ。開発経緯は十何年か前にアプリリウスで地球連合がコロニー同盟からパクったヴァリアントガンダムを研究して、開発した機体だ。
特徴的な機能は無いが、基本性能と堅牢さに優れていて、恐ろしくタフな機体だということをリヒトは知っていた。
しかし、地球連合全体でもまだ配備が進んでいるとはいえない機体が十数機もいるとはよっぽどだなと思いながら、そんなにあの研究所が重要か?と思ったが、貴重なサンプルを保管していたのだから重要と言えば重要かと一人で結論を出す。
「武器出せない?」
少年は機体を巧みに操りながら、ジェネシスガンダムにビームをかすらせもせず、機体の統合制御AIであるアテネに話しかける。
(武器はMサイズが一つなら、ここまで転送可能です)
「じゃあ、ビームスマッシュライフルで」
リヒトがそう言うと、直後にジェネシスガンダムの右手にビームライフルが現れ、ジェネシスがそれを握り締める。
ジェネシスガンダム前にしたジルベルトのパイロットたちは、ライフルが突然ジェネシスガンダムの手にライフルが現れたようにしか思えなかった。
実際その通りである。ライフルは突然にジェネシスガンダムの右手に現れた。もっともリヒトやアテネが転送と呼ぶ手段によってだが。
(このワープドライブで、特殊機能用のエネルギーゲージはゼロです)
「いいよ、ライフルだけあれば」
そう言って、リヒトはトリガーを引く。その瞬間、戦艦の主砲を遥かに上回る威力のビームが発射され、ジルベルト数機を融解させ、そのビームが着弾した地点が凄まじい爆発を起こし、さらに数機のジルベルトを巻き込み大破させる。
たった一発で、ジルベルトの部隊は半分以下となった。リヒトはやっぱり大火力だなと、コックピットの中でウンウンと頷く。そして流石マクバレルのオジサンだと、ライフルを作ってくれた人物に感謝の念を送る。
(あまり、撃つのはお勧めできません。これ以上の破壊行為を行うとなると正規の部隊が動きます)
リヒトはまぁそれもそうかと思い、ライフルを腰後ろにマウントして、目の前の敵に素手であると見せる。

 
 

その瞬間、一機のジルベルトが突進してくるが、ビームサーベルがジェネシスガンダムを斬りつけた瞬間、ジェネシスガンダムは霞のように消え、ジルベルトの斜め後ろに突然現れると掌底をわき腹の後ろに叩き込む。
その一撃で、ジルベルトは機能を停止した。少年としては一応、父さんが乗ってた機体をベースにしているんだから、もう少し頑張れよ。と思うのだった。
(“ゴーストムーブ”は可能な限り少なくしてください。機体フレームが歪みます。現在、ナノマシンが修復中なので問題はありませんが。連続使用をすると全身が砕けます)
じゃあ、気をつけようと思い、ジェネシスガンダムは倒したジルベルトに手を触れる。その瞬間、赤い光がほとばしる。
「どんな感じ?」
(フレームの修復は完了。良い素材を使っているので、こちらの修理も済みました。特殊武装用エネルギーに関しては1%も溜まっていませんが)
見るとジルベルトのフレームや装甲が、何かに食われたように穴だらけになっていた。それを見てジルベルトの部隊を率いる隊長は思った。コイツは機体を喰うのか?と。
リヒトは少しイラッとした表情になった。精神のラインを切り忘れていたせいで、強い焦りが自分の心の表面をゴリゴリとしてきた。
「アイツ、殺るか」
偶然でも心に触れられるのは気持ちが良いものではない。僅かな怒りを覚えリヒトはジェネシスガンダムを前進させる。
ジェネシスガンダムの両腕に内蔵されたビームサーベルがその状態のまま出力され、ビームトンファーとなって、ジェネシスガンダムの両腕に発生する。
「アテネ、ゴーストムーブ」
(連続使用は二回までです)
了解と思いながら、ジェネシスガンダムは、ジルベルト部隊の隊長の前で姿を消し、次の瞬間、すぐ横に立つジェネシスガンダムがジルベルトの隊長機を真っ二つに斬り裂いた。
そして、再び霞のように消え、別のジルベルトのコックピットをビームトンファーで貫いていた。
残る機体は、後退しながら、ビームライフルを撃つが、その全てをMSの常識からは考えられない柔軟さで回避しながら突進しつつ、ビームトンファーをスライドさせ、ビームサーベルとして持ち直し、敵の真っ只中に斬りこみ、ジルベルトの部隊を全機、斬り刻む。
「……アテネ、戦闘評価」
(……Cです。遊びが過ぎます)
まぁ、そんなもんだろうとリヒトも思う。正直遊びすぎだ。しかしオジサン曰く、戦いには遊びも重要と言っていたしなぁと、リヒトは困った表情を浮かべながら、機体から降りようとする。
(……外はまだ雨が降っているので、もう少しコックピットにいるべきです)
アテネがそう言うが、外の雨は止んでいた。
「ちょっとやることあるから、ごめんね。終わったら戻ってくるから」
最近、独占欲みたいなものを覚えてきたんだよなぁ、アテネは。と思いながらリヒトは、ゆっくりと歩いて車に乗り込む。
「お疲れ様です」
「うん、お疲れ。今日も外れ、EXSEEDのガキを助けただけだ」
「それでも、まぁ……」
そう男が言おうとした瞬間、後部座席のリヒトの手が、恐ろしい速さで伸び、男の頭を固定する。
「三回目のミスだ。ブラザー」
そう言われても、男は自分のミスが分からなかったそれよりも、車のシートに頭を抑えつけられているだけなのに、全身が動かなくなるのは何故なのか訳が分からなかった。
「僕は仕事上のミスは何回あっても一回と計算するが、それでも三回オーバーだよ。第一にジェシカが先に来ていた。子どもの保護担当のジェシカがだよ。
つまり、キミはジェシカが、子どもがターゲットと分かるようなことを分からなかった。そして、研究所とMS部隊の関連性も調べていなかった。なので、僕はMS部隊に囲まれた上、ワープドライブのエネルギーを無駄に消耗した」
リヒトはそこまで言うと、サイコロを取り出し、言う。
「それじゃルールを決めようか」
男は完全に震え上がり、リヒトに反抗する気力など完全に消失していた。

 
 

「ゲームメイカーからの条件は生か死か傷かだ」
細かい配置は男に委ねられているということだ。ここで、死を拒否するような選択をしてみれば、即座にリヒトに殺されることが分かっていた。
「1か2出たら死で、3か4が出たら生、5か6なら傷で、お願いします」
「シンプルで良いね、好きだよ。そんな感じの配置」
そして、リヒトはサイコロを宙に投げ、掌に落とす。男は直視したくなかったが、頭を押さえるリヒトの手が無理矢理に目を開け、結果を確認させる。
そして、出たのは、黒い点が最大数に並んだ6であった。男は助かった、そう思った瞬間、45口径の拳銃が男の耳を吹き飛ばし、リヒトは車から出ると、ドアを開け、男を車から引きずり出した。そして、男に札束を放り投げる。
「6が出たらこうするつもりだった。金は好きに使うと良い。サービスだ。ただし、一生、余計なことを喋らないこと、それだけは約束だ。絶対な」
そう言うと男は耳を抑えながらも札束を抱え、走り出す。リヒトは自分の必須装備を持ちだすと、車を爆破して、その場を去るのだった。

 

C.E.2XX確か、こんな話だったとエルヴィオ・マルキーニは面倒な文字入力を終えて、一息つこうと思った。
書斎を二階に置いたのは失敗だったと思いながら、エルヴィオは痛む腰に対して我慢の気持ちで階段を降り、新たなコーヒーを入れようとすると、玄関にはまた様々な書籍が積み上げられていた。
タイトルは……
「魔王リヒト・グレンの真実」
「リヒト・グレンは何を成し遂げたが」
「暴虐王リヒト・グレン」
「リヒト・グレンの失政と影響」
「覇王リヒト・グレンの生涯」
エルヴィオは腹が立ち、積み上げられた本を全て蹴飛ばし踏みつけた。何も知らんガキどもが、アイツを語るなとエルヴィオは思う。
貴様らはリヒトが、五年前に急に行方不明になってから書き出した臆病ものだろうが!リヒトが生きている頃は怖くて何も書けなかった弱虫どもが!と、怒りを露わにし、エルヴィオは送られてきた本を踏みつけた。
良くない、良くない。血圧が上がると思い、エルヴィオは家の台所でコーヒーを淹れた。そう言えば、あの男は凝り性だったせいでコーヒーも絶品だったなと思い、書斎のある二階へとエルヴィオは上がり、再び文章を書くために椅子に座るのだった。

 
 

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