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GUNDAM EXSEED_EB_13

Last-modified: 2016-01-12 (火) 20:31:16

「第二ラウンドだ」
リヒトは転送によってジェネシスガンダムのコックピットに収まると、フードを脱ぎ、そう言いつつ、ポケットから銀のケースを取り出すと、中の注射器を首筋にあてて、中身を自身の体内に注入する。
(各種の生体反応が異常な数値を示しています。これ以上の戦闘行動は危険と判断します)
リヒトは、そんなことは自分でも理解していることなのだから、黙っていろと思いながらも、それを口にすることすら面倒、というよりは余裕がなかった。それよりも言わなければいけないことがある。
「アテネ、冷房をかけろ。可能な限り低い温度でだ」
アテネは何も言わずに、コックピット内に冷房をかけ始める。涼しさによって、リヒトは燃えるような感覚に達していた身体が僅かだが元に戻るような気がした。だが、それは感覚だけであり、実際には体温は下がっていないこともリヒトは理解していた。
それでも、目の前の敵を相手にしなくてはならない。リヒトは視界にユウキ・カーボンの乗るGゲイツを見据える。そして、あと何分戦えるかも考えるのだった。
「甘く見積もって10分」
通信でユウキ・カーボンの声が聞こえると共に、ユウキ・カーボンのGゲイツが一気に距離を詰める。100年近く前のMSであるゲイツに酷似した機体は、リヒトが知る限りでは、最速クラスのスピードを見せる。
リヒトは直感で機体を後退させると、ジェネシスガンダムがいた空間をGゲイツの刀が斬り払う。
「反応速度は上がってもな!」
リヒトが前回の反省から、ジェネシスガンダムに新たな装備を用意してきたのは、見た瞬間に分かる。左腕の三日月のように弧を描く形状のブレード、そして右手の肘にはランスのような武装が取りつけられ、脚には蛇かムカデを思わせるような装備をつけてきている。
MS戦で優位を取るための装備なのだろうが、ユウキ・カーボンからすれば、機体本来の動きを阻害し、運動性を損なわせる余計な装備だ。
「動きが重くなってるぞ!」
んな、こたぁ分かってんだよ、カーボン野郎。リヒトは心の中で毒を吐きながら、ジェネシスガンダムの左腕に取りつけられた装備、マンティスエッジを起動させる。
三日月のような弧を描く刃が前方にスライドし、更に刃が展開し、三日月のような刃は、それが連続し、大きく波打つような形の刃となる。そして、先端の三日月の弧の内側には刃の光があり、それは鎌を思わせた。
ユウキ・カーボンはその形状を見た瞬間に“ギフト”だと予想する。武装の形としては合理性が全くないからだ。
実体剣として扱うには全体が細すぎるうえ、形状も中途半端だ、ショーテルという剣があるのは知っているがアレは盾を躱して相手を攻撃するために、大きく半円を描くなどしているが、ジェネシスガンダムの左腕の刃はそれを行うには中途半端な形状だった
武器としての合理性が無いならば、“ギフト”である可能性を疑うべきだということは、ユウキ・カーボンが、カーボンヒューマンとして蘇った時に、現代の情勢などを聞いた時に思ったことだった。
羽クジラの化石からデータを抽出して得た、人類の常識を超えた技術が“ギフト”だとユウキ・カーボンは理解しており、その技術を現代の科学技術に落とし込むには常識を逸脱したものになることも、理解していた。
「それで、どんな手品を見せるんだ?」
そう言いながら、ユウキ・カーボンは機体を前進させながら刀を振るう。対してジェネシスガンダムは左腕の刃で、ユウキ・カーボンのGゲイツの刃を受け止めた。その瞬間である、ユウキ・カーボンは自機が勝手に別の方向に向かっていくのを理解した。
なんだこれは!?ユウキ・カーボンは急いで、機体の動きを制御する。機体が勝手に、別の方向へと向かおうとする。それが脚の関節が向かない方であってもだ。ユウキ・カーボンは機体をギリギリで操り、なんとか、脚の関節が折れることを防いだ。
その直後、向きを変えた、Gゲイツに向かって、ジェネシスガンダムが右腕のビームトンファーを振るう。しかし、Gゲイツは体勢を崩していたのにも関わらず、ギリギリで回避しながらジェネシスガンダムを蹴り飛ばすと、上空へ舞い上がる。
「対応能力が並じゃないな、やっぱり」
(人間の反応速度の限界を超えています)
アテネの言葉に対してリヒトは別に驚くこともなく返す。

 
 

実力では勝てない。ステータス差かスキル差か、それとも両方か、とにかくリヒトは自分とユウキ・カーボンには明らかに差があることは理解していた。
だから手っ取り早い方法を取ることにした。ゲームで言えば、一時的にステータスアップするアイテムやら何やらをボス戦前に大量投入にしたうえで、装備も最高に変えてきた。その結果、なんとか、渡り合えているわけだ。
リヒトは取り敢えず、自機もGゲイツと同じ目線に立たせるように浮遊させる。だが、その前に一つの仕込みは終わらせる。角度的には見えないはずだと思いながら。
「随分と小手先に頼るんだな」
ユウキ・カーボンが言う。対してリヒトはそれがなんだという調子で返す。
「自分より強い相手に、小手先や小細工を弄せず戦うのは馬鹿未満だ。少なくとも僕は自分を馬鹿よりは上だと思っているので、強いのが相手の時は色々とやるのさ」
「小細工も小手先の技も効果が無ければ、馬鹿未満にも劣るぞ」
ユウキ・カーボンのGゲイツが刀をジェネシスガンダムに向ける。その行為に対してリヒトは特に何も思わず。とりあえず仕込みの二番目が達成された。とりあえずはこれでいいと、リヒトはジェネシスガンダムの左手に、ビームライフルを転送させ、即座に引き金を引く。
ユウキ・カーボンのGゲイツはビームの一射を容易く躱しながら、スラスターを噴射させ、一気に距離を詰めてジェネシスガンダムを斬り捨てようとするが、ジェネシスガンダムは再び、左腕の刃でGゲイツの刀を受け止める。
その瞬間、ユウキ・カーボンは機体が別方向に流されるような感覚を覚えた。ユウキ・カーボンはそれだけでジェネシスガンダムの左腕の刃がどういう性能を持っているのか。理解した。
だが、理解しても、ユウキ・カーボンのGゲイツは強制的に向きを変えられ、無防備な体勢になる。そこにジェネシスガンダムの右肘にあったランスが可動し、伸縮式のアームを伸ばし、ユウキ・カーボンのGゲイツに襲い掛かる。
リヒトは攻撃をしたもののまだ無理だなと思った。実際、ランスはGゲイツのシールドによって防がれた。だが直後にランスが盾に割れ、四つのクローとしてGゲイツのシールドを固定するとランスの内部に隠されていたニードルがレールガンの理論で撃ちだされる。
それに対してGゲイツはシールドがクローとなったランスに固定された瞬間、シールドを手放し、手に持った刀で、ランスだった武装を斬り裂いた。
「クソ以下だ」
リヒトは毒づきながら右腕のランスの武装の基部をパージしながら、Gゲイツに向かって、一旦間合いを取るために前蹴りを放つ。対してGゲイツはガードの体勢を取ろうとした瞬間、蹴り脚が変化し、前蹴りがハイキックになりガードをすり抜ける。
そして、ジェネシスガンダムの蹴りはGゲイツの頭部に直撃し、Gゲイツは衝撃で機体を揺らす。その間に、ジェネシスガンダムは一旦間合いを取る。
本当に良い機体だとリヒトは思う。ジェネシスガンダムは徹底して人体と同じ可動域を持つように造られている。多少マニュアル操作を加えれば、完全に人間と同じ動きが出来る。
それは一概にメリットとは言えない。普通にMSを造った方が可動域は広く柔軟であるためだ。分かりやすい例としてジェネシスガンダムの手首は基本的に180°程度しか動かない。それも、回転するのは一方向に180°であり、人体の関節や可動に準拠している。
一般的なMSが360°手を回転できることを考えれば、明らかに劣っているが、考えようによっては習得した技術の全てをMSでも発揮できる。これはリヒトにとって充分以上のメリットだった。
Gゲイツは距離が離れた瞬間、ビームライフルを抜きジェネシスガンダムに向けて撃つが、リヒトは回避せずに、左腕の刃でビームを受け止めるような構えをする。ビームが左腕の刃に触れようとした瞬間、ビームが不自然に方向を変え、ジェネシスガンダムを避ける。
ユウキ・カーボンはそれを見て、ジェネシスガンダムの左腕の刃の機能について予測する。おそらく斬るための武器ではなく、防御用の装備。それも防ぐというよりは流すための装備だ。接触か一定の範囲内に入った相手を無理矢理、方向転換させる装備。
理屈は分からないが、分からないのが“ギフト”という物だと納得して、ユウキ・カーボンは機体を動かす。防御用の装備であるがいくらでも対応の方法はあると思い。

 
 

「だいたい予測がつくころだな」
(不用意に見せすぎでは?)
アテネの言葉には多少咎めるような響きがあったが、リヒトは無視をして、Gゲイツの動きに合わせて機体を操る。ビームライフルを連射しながら、接近してくるGゲイツに対して、ジェネシスガンダムは距離を取りながらビームライフルを撃ち、応戦する。
リヒトはユウキ・カーボンがどこまで読んでくるか探っていたが、距離をあからさまに詰めてくる時点で、戦いの流れを読む能力はこちらに分があると思った。
結局の所、実戦経験の差があるとリヒトは思った。MSの操縦に関してはユウキ・カーボンは、反応速度などを考えれば人間離れしているが、それは所詮、動かすのが上手いに留まると。
父さんやオジサン、その他のリヒトが知る実力者が相手ならば、ユウキ・カーボンは全く相手にならないだろうとリヒトは思う。リヒトが知る実力者たちは、MSの操縦が上手いというよりはMS戦が強いのだ。
極めて抽象的だが、上手いことと強いことは違うとリヒトは知っている。だから、ユウキ・カーボンの操縦技術に関しても、今となっては、さほど脅威を感じない。リヒトは接近してくるGゲイツを見ながら、そう思う。
Gゲイツはジェネシスガンダムのビームライフル回避しながら、接近してくる。回避技術は確かに高い。だが、それが、戦闘で絶対的なアドバンテージを獲得するわけではない。リヒトはそう思いながら、左腕の刃を振るう。
(何をしているのですか)
アテネが言う。だが、リヒトは気にしなかった。
アテネは人格的には人間に極めて近くなっているが、それでも人間ではない。アテネからすれば、既に機能を見破られている装備を使うのは理解できない。とは言っても、人間でも理解はできないかもしれないが、と思いながら機体を操る。
直後に、Gゲイツは刀を振るう。その軌道はジェネシスガンダムの左腕の刃で防げるものだった。その結果、Gゲイツは、不自然に機体全体の軌道を歪められ、別方向に向かうが、ユウキ・カーボンにとっては、それは事前に予測したものだった。
Gゲイツは、強制的に機体の向きと向かう方向を変更されながらも、何の苦も無く、機体を整え、片手で刀を払う動きを見せる。その刃の先にはジェネシスガンダムの存在があった。
強制的に向かう方向を変えられようとも、それを想定して動けば何の問題も無い、ユウキ・カーボンはそう思い、刃を振るう。対して、ジェネシスガンダムは、再び左腕の刃で防ごうとするがユウキ・カーボンは無駄だと思った。
すでに機能は理解している。いくら機体の向きを変えようとも、いくらでも対処できるとユウキ・カーボンは思い、そのまま刃を振り抜こうとした瞬間だった。
ジェネシスガンダムの左腕の刃に刀が触れても、機体の方向は変わらず、逆に刀がジェネシスガンダムの左腕の刃に固定される。
ユウキ・カーボンは予測と違った結果に一瞬、機体の操作が遅れる。対してジェネシスガンダムは動きが止まったGゲイツに対してビームライフルを撃つ。それに対して、Gゲイツは刀を手放し、後退することでビームライフルから撃たれたビームを躱す。
効果は一つじゃないのかと、ユウキ・カーボンは思いながら、至近距離で回避行動を取りながら、ジェネシスガンダムの左腕の刃に固定された刀を取り戻すために動く。
その動きに対して、リヒトは考えが甘いと思うのだった。一度、手から離れた武器は無くなったと思った方が良いということをユウキ・カーボンは分かっていない。だが、その考えの甘さも予測の範囲内であり。既に刀にはいくつかの仕掛けをした。
後は仕掛けにはまるのを待つだけ。そのためには一旦だが刀を返してやる必要があったので、リヒトは演技をしてGゲイツが刀を取り戻すのを見逃した。Gゲイツは刀を取り戻すと、即座に刀を跳ね上げるようにして振るうが、ジェネシスガンダムは回避する。
リヒトは既に勝利を確信していた。仕込みは全て完了。現状、気づかれている気配はなし。気づかれてもプランはいくらでもある。必殺のルートは完全に整った。後は相手をルートに誘導するだけだ。
Gゲイツが刀を横薙ぎに振るうのに合わせ、ジェネシスガンダムは左腕の刃を動かすとGゲイツは露骨な動きで刀を止め、後ろに下がる。
明らかにジェネシスガンダムは左腕の刃を警戒した動きだった。まぁ、それもしかたないとリヒトは思う。なにせ、ユウキ・カーボンが予測していたのだろう能力とは違う物が、急に出てきたのだから。

 
 

ユウキ・カーボンは思考の沼にはまっただろうとリヒトは考える。能力が一つだと思ったら、全く別の能力が出てきたのだから困惑するのも仕方がない。ユウキ・カーボンは二つ能力があるのだから、三つめもあるかもしれないと考えているかもしれない。
そんなリヒトの考えは正解であり、ユウキ・カーボンはジェネシスガンダムの左腕の刃に警戒していた。現状、遠距離戦では決め手がないため、嫌でも接近戦を挑まなければいけないという事情がGゲイツと、そのパイロットのユウキ・カーボンにはあった。
刃に接触したものの方向を無理矢理変える機能、刃に接触したものを吸着し固定する機能は間違いなくある。それを織り込んで接近戦を行う。ユウキ・カーボンはそう決断し、行動を起こす前に攻める手筈を検討する。
「無駄な思考だ」
リヒトは四本目の注射器を首筋にあて、中身を体内に注入する。よし痛みは引いた。リヒトは注射の効果を即座に感じながら、間合いを離し、攻撃手段を考えているGゲイツを見据えた。
(限界です。能力の使用をやめてください。命に関わります)
「力を切ったら、奴の動きについていけなくてやられるだけだよ」
アテネの心配はありがたいような迷惑なような、その両方のような気がした。リヒト・グレンは全力、いや死力を尽くしていた。戦闘に特化したEXSEEDとしての能力の全てをリヒトは使っていた。それは命の危険があるものであり、アテネが心配するのも当然であった。
リヒト・グレンはEXSEEDである。EXは特殊を意味し、EXSEEDは特殊なSEED能力者という意味である。リヒトの遺伝子上の母親であるリーザ・アインもEXSEEDであった。といっても母と自分の能力は明らかに違うことをリヒトは父の話しを聞いて理解していた。
能力に差があるわけではない。能力の方向性が問題なのだ。母の能力を聞くとリヒトは思うのだった。母の能力は人との関係を築くもので、自分の能力は相手を征するものであると。
リヒトは自分の能力が他者より優位に立つためのものでしかないと思っていた。実際にリヒトのEXSEEDとしての本質は争いに特化したものだった。
高速並列思考と高速反応兼高速反射そして認識能力拡大。これら全ての同時発現。これがリヒトのEXSEEDとしての本来の能力だった。
高位高速並列思考とは同時に複数の物事を思考し答え出す能力だが、リヒトのそれはレベルが違っていた。思考によって未来予知まで可能にしていた。それを可能にするのは高速反応によるものでもあった。
高速反応、これだけならば反応速度が良いというだけで済むが、リヒトの場合は違っていた。視界に入った瞬間に全てのものに対して、高速並列思考が発生する。これは認識能力拡大のせいだった。
リヒトの感覚で言うならば、視界に入る全てに関して、同時に思考し分析する能力が発動するというものであり、それらに関して制御はできない。つまりは視界の中に入るものに対して、思考と分析が生じる。
見えるならば落ち葉の一枚一枚、小石の一つ、認識できるならば、砂の一粒にすら、脳が反応し思考と分析を自動で行う。ありとあらゆる情報が視界内に入り、その全てを分析し、思考することができ、その結果として、リヒトは一瞬で未来が予測できた。
そして未来を予測する力に付随するかのように、異常な反応速度と異常な反射神経を得た。リヒトは反応速度と反射神経だけでよかったが、それはおまけのようなものだということも、高速並列思考で理解していた。
一瞬で未来を予測できる。それだけならば、素晴らしいことかもしれないかもしれないが、当のリヒトはそれで何度も死にかけていた。結局の所、人間の身体はそこまで便利に出来ているというわけではなかった。
リヒト本来のEXSEED能力を使えば、脳がその負荷に耐えられないのだ。視界に入るもの、百や千で済めばいいが、場合によっては万や億を超える情報を同時に処理する能力は人間の脳には元々備わっていなかった。
そのため、リヒトは乳幼児期には何度も死に瀕する状態になった。それはEXSEEDの能力が無意識に発現したことによる脳の過負荷だった。乳幼児期のリヒトは無意識にEXSEEDの能力を発揮し、その結果、発狂死寸前の激痛を脳が襲っていた。
そうして命の危機に陥った結果、リヒトの脳は肉体を生かすために、ある手段を取った。
それは、リヒトにとっての“僕”と“俺”の分離であった。リヒトの生存本能は、リヒトのEXSEEDの能力を切り離した。
リヒトのEXSEEDの能力は使えば自滅に追い込まれる。リヒトのEXSEEDの能力は人類が使うには早すぎるものであった。EXSEEDとしての能力を完全に移した“俺”という存在をつくり、本来の“僕”と分けた。

 
 

だが、今は、その“俺”の能力を惜しげもなく使っている。これは何故か、リヒトは薬を使って、脳にかかっている負荷と、過敏すぎる反応を軽減していたためであった。
リヒトが注射していた薬は、強い鎮痛剤であり、副作用は意識の朦朧であった。それによって、脳にかかる負荷から生じる激痛を軽減し、そして、わざと意識を朦朧とさせることで、認識範囲を限定し、能力の負荷が戦闘を妨げないようにしていた。
とはいっても意識を朦朧とさせる薬を使用しながらも意識が朦朧としていないことに関して、リヒトは薬を使わずに今の状態を続けることは危険だと痛感していた。薬の残りは注射器一本。時間はギリギリだと思った。
だが、時間がギリギリでも焦って動くような真似はしない。冷静に対処する。仕掛けは充分に用意した。仕掛けにはめて殺す。そうリヒトが決断した瞬間だった。ユウキ・カーボンのGゲイツが動く。
変わらず、凄まじい速度であったが、対処できる。いや対処する必要も無かった。ユウキ・カーボンのGゲイツは、ジェネシスガンダムの右側に回り込んで刀を振るう。その動きは、明らかにジェネシスガンダムの左腕の刃を警戒し、それから逃れる動きであった。
ジェネシスガンダムの左腕の刃に触れれば、強制的に向きを変えられるか、もしくは動きを固定されるという二つの可能性がある。ユウキ・カーボンはそのリスクを避けるため、少しでも左腕の刃から遠い位置を取ったのだろうが。無意味だ。
ジェネシスガンダムの左腕の刃――マンティスエッジという名の“ギフト”の機能はたった一つ。ぶつかった物の軌道を強制的に変えることだけだ。
その名前は蟷螂の斧の故事に由来する。ある国の王が自分の馬車に向かってくる蟷螂の勇気に感服し、道を譲ったことからつけられたものである。
マンティスエッジもその蟷螂の斧の故事のように相手の進む道を変更させるものであり、相手の動きを固定する機能などは全くない。本来は戦艦等の装甲に運用しようとしたが無理だったという。装甲にするまでの技術が人類にはまだないからだ。
だが、何も知らないユウキ・カーボンは完全に自機の動きを止めたのも左腕の刃――マンティスエッジによるものだと思っている。
だからだろう、ユウキ・カーボンは全く気付いていない、ジェネシスガンダムの右側に回り込むのがどういうことかを。そこは騙し誘導したポジション、リヒトにとって必殺の領域であった。
「スパイダーブレード、最大強度」
リヒトがそう言った瞬間、ジェネシスガンダムの右側に向かおうとしたGゲイツの動きが止まる。ユウキ・カーボンは訳が分からなかった。機体が何かに絡まり、動きを封じられたということしか理解できなかった。
ユウキ・カーボンはすぐに機体を動かし、機体に絡まった何か解こうともがく、その瞬間であった。
「紡ぎ強固な糸になれ」
リヒトがそう口にすると。ユウキ・カーボンのGゲイツにまとわりついていた何かが、形を成す。それは金属の光沢を持つ糸であった。それがGゲイツを拘束していた。
「ホントに馬鹿なんだな、アンタ」
リヒトは通信でユウキ・カーボンに聞こえるよう、嘲る調子で言った。
「全てが俺の手の上だぜ」
調子に乗りすぎだ。ユウキ・カーボンはGゲイツを操り、機体に絡まる糸を切り裂こうとする。だが、その瞬間、ジェネシスガンダムの手には転送された大剣が握られており、それを機体に叩きつけられる。
Gゲイツにはある程度までのダメージなら無効化できるバリアが備わっているが、それが対応しているのは機体への損傷のみであり、衝撃までは無効化できない。その結果ユウキ・カーボンはコックピット内で衝撃に襲われていた。
無視をするしかないとユウキ・カーボンは思った。バリアがあるため、何度か大剣叩きつけられても耐えることは出来る、その間に何とか機体に絡まる糸を切ろうとしていた。
「おら、どうした!なんかしろよ、こら!」
リヒトは良い気になったような声を通信で聞かせていたが、思考は徹底的に冷静であり、状況分析も完璧だった。薬で鈍らせても、視界内の情報が全て頭に入る。ユウキ・カーボンが何をしたいのかも全て理解した上で、ひたすら大剣を叩き込んでいた。
リヒトの目は糸を切ろうとしているGゲイツの動きを見逃していない。だが、ユウキ・カーボンは、それを知らない。
それが明暗を分けた。Gゲイツは刀で機体に絡まる糸を切り裂くと、そのまま刀で大剣を受け止める。そして、大剣を斬れる、ユウキ・カーボンはそう思っていた。なぜなら、Gゲイツの刀も“ギフト”の理論によるものだからだ。
だが、結果はユウキ・カーボンの予想とは違っていた。Gゲイツの刀はジェネシスガンダムの大剣を受け止めるだけに終わっていた。

 
 

「四神剣、モード3」
全部が自分の手の上だ。リヒトはそう思う。Gゲイツの刀には“ギフト”が使われていることは想像がついていた。リヒトは最初の戦闘で腕を斬りおとされた時点で想像がついていた。Gゲイツの刀には切断に特化した機能があることを。
なにせ、バリアが健在だったジェネシスガンダムの腕を苦も無く斬りおとしたのだから、それぐらいは想像がついた。だから、試してみたのだ。四神剣のモード3は壊れることのない剣。
それを使ってGゲイツの刀とぶつけてみた結果、何も起きなかった。リヒトにとっては笑えてくるほどに思い通りの結果だった。Gゲイツの刀は斬ることに関しての障害を無効化するようなものだという見当をつけた。
相手にならない。俺の勝ちだ。リヒトは既に確信していた。不確定だった要素も確認し脅威が無いと判断できた。後はルートに乗せるだけだ。
ジェネシスガンダムは鍔迫り合いの状態からGゲイツを思い切り、突き飛ばす。ユウキ・カーボンとしては、一旦距離を取りたかったため願っても無い行動だった。
何があるか分からないことを理解した、ユウキ・カーボンは再び慎重になる必要がある。そう思った直後だった。
「スパイダーブレード起動」
リヒトの言葉に合わせ、ジェネシスガンダムの周囲にワイヤーが現れる。いつのまに仕掛けた?ユウキ・カーボンが困惑する中、ワイヤーはGゲイツを中心に、張り巡らされたワイヤーを見回す。
「中央に収束」
リヒトの言葉に合わせて、ワイヤーは一気に中心のGゲイツに迫る。Gゲイツは迫ってくるワイヤーを刀で切り払う。だが、全方位から迫ってくるワイヤーを完全に防ぐことは出来ず、Gゲイツにワイヤーが触れる。
その瞬間、ユウキ・カーボンは振動を感じた。そして、そこからユウキ・カーボンはワイヤーが高周波振動を行い、振動ブレードとして機能していることを理解した。
普通の機体ならば、一瞬でバラバラにされるがGゲイツにはバリアがあるため、即座にダメージが生じることはない。それでも、ワイヤーに触れているだけでバリアの耐久が一気に削られていく。
「くそ」
ユウキ・カーボンは毒づき、Gゲイツの刀を振るい、自機を取り囲むワイヤーの中から脱出を試み、そして成功する。その時だった。
「センチピードバイト」
リヒトの言葉に応えるように、突然、Gゲイツの真下から、ムカデの頭部のような物体が襲い掛かり、Gゲイツの脚に、その頭部が食らいつく。それも一つではなく二つがGゲイツの脚に噛みついたのだった。
ムカデの頭はGゲイツの脚に噛みついたまま、その圧力を増していく。それにより、Gゲイツのバリアの耐久が更に減る、
これは、いったいどこから?ユウキ・カーボンは危機を感じつつも、そんな疑問を抱かずにはいられなかった。ユウキ・カーボンは自機の両脚にくらいつくムカデ頭がどこから来たのかを考え、死角となっていた真下を見ると、地面に穴が空いていた。
地面を通って来たのか?ユウキ・カーボンがそう考えると、その考えを読み取ったようにリヒトが言う。
「もう少し、アンタが地面に近づいてくれていた方が良かったんだが、まぁ仕方ない。予想通り、地雷のように使う武器だよ」
ユウキ・カーボンはリヒトの言葉を無視して、刀でムカデの頭を切り裂く。しかし切り裂いても、それは返って悪い結果を引き起こした。
切り裂かれ、機能を停止したのは頭部だけであり、頭部から下に僅かについていた節のようなパーツが伸び、Gゲイツの脚に絡みつく。何だ!?ユウキ・カーボンがそう思うと同時にリヒトは自機の腰に巻き付いていたセンチピードバイトを外す。
すると、リヒトの腰に巻き付いていた部分と、Gゲイツの脚に絡みつく、部分が吸い寄せられるように繋がり、頭のない巨大なムカデがGゲイツの脚に絡みつくような姿となった。
センチピードバイト――使い方は見ての通り敵に巻き付いて動きを封じるなり、ムカデの頭部で敵を噛み砕くなどするような武装だ。今も実際にGゲイツの両脚に絡みつき、両脚の動きを封じている。
もっとも、手は自由なのだから、そのままでいるわけはない。Gゲイツは刀を動かし、脚に絡みつくセンチピードバイトを斬ろうとする。だが、リヒトの方も、そう簡単にやられるようにはしていない。
「スパイダーブレード起動」
リヒトがそう言った瞬間、Gゲイツはパイロットのユウキ・カーボンの操縦とは全く違う動きで、自身の左腕を刀で斬りおとした。
「なんだっ!?」
ユウキ・カーボンが驚愕する間にも刀は勝手に動き、Gゲイツの右手から滑るように離れ、吸い寄せられるように、ジェネシスガンダムの手に渡る。
「少し欲しかったんだよな、これ」
ジェネシスガンダムは左手にGゲイツの刀を持つと軽く振り回す。

 
 

「アテネ、この刀、使える?」
(武器管制システムとの同期は完了しました。問題なく使用できます)
そいつは何よりだ。リヒトはそう思いながら、悠々と5本目つまりは最後の注射を済ませる。
「なにをしたんだ……!」
「言う必要があんのか、カーボン野郎」
もう充分だと思い、リヒトは残りのスパイダーブレードに起動命令を下す。すると、Gゲイツの機体表面に、辛うじて肉眼で確認できるレベルの細さの糸が大量に現れ、それらが何本もより合わさり、ワイヤーとなってGゲイツを縛り上げる。
左腕を無くし、武器すらない状態のGゲイツには機体を縛り上げ、拘束するワイヤーに抗う手段はなかった。これで詰みだ、とリヒトは思いながら、Gゲイツの持っていた刀に付着していたスパイダーブレードの糸の切れ端を回収する。
スパイダーブレード――これも別に大した武器ではない。手首の小さなボックス状のユニットから糸を射出するというものである。ただ、糸の材質が特殊であり“ギフト”に由来する点が特殊ではあるが。
糸の性質は基本的に吸着性がある以外は自由自在に動くというもの。そもそもボックス内にある状態では糸ではなく、不定形の金属であり、射出の際に糸の形状を取るというだけである。
糸の細さも太さも自由自在、見えないレベルまで細くすることもできる。ついでに言えば強度も自由自在である、軟らかくすることもできるし、硬くすることも出来る。
弱点は糸がボックスに繋がっていないと操作が出来ない点である。逆に言えば、ボックスに繋がってさえいれば、どんな操作もできる。
リヒトはスパイダーブレードを使って徹底的に罠をはっていた。空中でGゲイツと向かい合った時には、すでに、糸を大量展開し、糸のトラップを作り上げていた。
それは見えないレベルの細さに加え、触れても何も感じないほど軟らかな、それでいて強力な吸着性を持つ糸の壁。ユウキ・カーボンは何度、真っ正直に突っ込んできて、糸を機体に絡ませたか。分からないが。とにかく大量なのは間違いない。
なにせ、見える太さにしたら機体の表面に、びっしりと糸が絡まっていたのだから。相当だ。
リヒトは糸を見える太さにすると、それを全身に伸ばし、より合わせて千切れることのない頑丈なワイヤーを作り上げ、それでGゲイツを縛り上げると強度を最大に上げ、ワイヤーでの完全な拘束を行った。
機体の周囲にも見えない細さの糸の壁を造り、それに触れた瞬間、Gゲイツを絡めとるような準備もしており、ユウキ・カーボンは見事にそれに引っかかった。
ついでに言えば、マンティスエッジで、Gゲイツの動きを止めたのも、Gゲイツの刀に糸を巻き付けて、接近した瞬間に強度を最大限に上げ、刀を止めただけだった。もっともすぐに、強度は下げて、Gゲイツが取り戻せるようにしたが、その際にも糸は付けたままだった。
何も知らなければ混乱するだけだとリヒトは思い、それを利用していた。ユウキ・カーボンは訳が分からないことになったのは間違いないだろうと考えてのことだった。
刀で自機の腕を斬りおとしたのもリヒトが糸を操作して、刀の向きを無理矢理変えさせたからであり、刀がGゲイツの手を離れ、ジェネシスガンダムの手に渡ったのも、単に糸を引っ張っただけであった。
だが、そんなことを知らないユウキ・カーボンは混乱することしかできない。頭の中は疑問符でいっぱいだろうが、リヒトに教えてやる気はなかった。
「小細工ばかり……」
ユウキ・カーボンの声が聞こえたが、その声には明らかな悔しさが感じられた。
「小細工を見抜けない奴が悪いんだよ」
自分の経験値やセンスの無さから来る、分析能力の無さや、戦い方の甘さを恨めと思いながら、リヒトはジェネシスガンダムに大剣を投擲させる姿勢を取らせ、真っ直ぐに投げ、そして言う。
「四神剣、モード4」
ユウキ・カーボンは無駄だと思った。バリアがある以上、大剣の攻撃は効かない。だが、そう思った、直後に、それは否定されることになる。その理由は単純で、Gゲイツの腰の辺りに大剣が深々と突き刺さっていたからだった。
しかし、奇妙なことにGゲイツのコックピット内には何の警報もない。大剣が深々と腹を貫いているのにも関わらずだ。そして奇妙なことはもう一つ、ユウキ・カーボンは何の衝撃も感じていなかったことだ。
リヒトは困惑していると思い、ユウキ・カーボンに伝える。

 
 

「俺の、その大剣の名前は四神剣って言う。四神と言っても青龍とか朱雀とかじゃなく、神剣が四つという意味で四神剣という名がついている。“ギフト”を使って神剣とか、そういうのを再現するって武器だ。
“ギフト”を四種類使ってるから、相当にヤバいシロモノ。まぁ、神剣と言っても色々あるから、理解が難しいだろうけど、今使ってるのは一番シンプルな何でも斬れる剣ってやつだ」
だが、その剣は斬れずに、Gゲイツの腹を貫いている。
「まぁ、斬れてないのが不思議だろうけど。すぐに理解する……四神剣、解除」
リヒトがそう言った瞬間、Gゲイツは腰の辺り、大剣が突き刺さっていた部分から、上半身と下半身で真っ二つに割れたのだ。
ユウキ・カーボンは何が何だか分からず、大破した機体のコックピットの中で混乱しながら地上へと落ちていくのを感じた。
「なんでも斬れる剣なんて作れるわけが無いから、とりあえず斬った感じになるようにって作られたのがモード4だ」
ジェネシスガンダムは大剣に結び付けていた糸を引っ張り、大剣を改修し、パイロットのリヒトは聞こえていないだろうと思いながらも、とりあえず言ったのだった。
四神剣のモード4は、大剣を透過状態にさせることで、どんな装甲も防御手段も無効化し、刃を相手に触れさせることができるが、それだけでは攻撃手段にはならない。攻撃力を発揮するのは透過を解いた瞬間である。
リヒトには理屈は分からないが、大剣を透過状態にして相手に触れさせ、その状況で透過状態を解くと、もとの大剣に戻る。そして元に戻った瞬間、大剣が触れていたものは急に出現した、大剣によって押しつぶされる。
斬るというようなことは何一つないが、このモード4によるダメージ後はそれとなく斬ったような形になるので、それで良いということになったとリヒトは聞いている。
それはどうでも良いが、とにかくモード4は絶対に防御できず、必ず相手に損傷を与える。だが弱点もある。モード4の時には大剣で防ぐことが出来ない。透過状態になるため、大剣を全てがすり抜けるからだ。
鍔迫り合いなどしようものなら、大剣をすり抜けた相手の剣が襲ってくる事態になる。リヒトはそういう状況を避けるため、絶対にあたる相手にしかモード4を使わない。ここまで罠をはって、Gゲイツを無力化させたのも、確実に大剣を当てるためだけだった。
そして、結果、リヒトはユウキ・カーボンのGゲイツに圧勝したのだった。
「アテネ、奴の反応」
(ありません。撃破した可能性が高いと思われます)
と言われても、直に確かめないとな。リヒトはそう思い、機体を降下させる。降り立ったのは市街の荒野だった。随分と流されたな、そう思いつつ、リヒトは荒野に転がる上半身だけのGゲイツを見据えた。
「卑怯な奴め」
ユウキ・カーボンの声がした。どうやら通信関連はまだ生きているようだった。
「卑怯って言われてもな。これがスポーツとかなら、僕も少しは反省するが、これは殺し合いだし、殺し合いやりながら卑怯も何もないだろう。丁寧な殺し合いのルールブックでも書いてこの世の全員に配って、ルールが周知のものになったら僕も卑怯な真似は控えるが」
「全く悪びれないとは、良い性格をしているな。……まぁ、負けは負けだから、こちらも、これ以上は何かを言うつもりもないが」
そいつはありがたいとリヒトは思う。これでも、まだグダグダと話しをされても、ウンザリするだけだからだ。
負けて死ぬ人間の言葉に意味はない。どんなに格好をつけても、死んだら意味がない。ユウキ・カーボンが理想を語ろうが、もうじき死ぬので、その言葉に意味はない。死んだら、それで終わりだ。
だから、殺す。リヒトはユウキ・カーボンの全てを無意味にするために。自分との関係も、会話の一つ一つすら、無意味な存在にし、記憶する価値のないものにまで貶め、そして記憶から消し去るために殺すのだ。
ジェネシスガンダムはゆっくりと歩き、上半身だけで荒野に転がる、Gゲイツの前に立つ。
「なんか情報くれたら見逃してやってもいいけど?」
リヒトはそんな気は全くないが、そう言った。
「嘘つき野郎め。そんな気は全くないくせに良く言う」
ユウキ・カーボンはリヒトの殺意をハッキリと感じ取っていたし、リヒトもそれを隠そうとはしていない。答えても答えなくても、結果は同じだが、まぁ頑張ったご褒美というものを与えても良いかもしれないとユウキ・カーボンは思い、口にする。
「北極星を目指せ」
ユウキ・カーボンが発した言葉はそれだけであった。

 
 

「何かの暗号?」
「そんな大層なもんじゃない。キミなら調べれば、すぐに分かるだろうさ」
リヒトはユウキ・カーボンに質問する。
「そこに何がある?」
「行って確かめれば良い――なんて、意味の無いことを言っても仕方ないので言うと、Gモデル、キミのジェネシスガンダムが作られた理由が分かる。そして、オリジナルのユウキ・クラインへ辿り着くための確実な道でもある」
「そりゃあいい」
随分と楽な話しではないかと、リヒトは思い。もう聞きたいこともないので、殺すことにし、ジェネシスガンダムの大剣を振り上げ、そこで一旦、止まり、最後に尋ねる。
「何か言い残すことは?」
リヒトの言葉に対し、ユウキ・カーボンは短く答えた。
「また会おう――」
その瞬間であった、ジェネシスガンダムの大剣が半分に断ち切られた。リヒトは即座に、大剣を捨て、Gゲイツから距離を取る。
不意打ちか?リヒトは、そう考え、辺りを見回すが、周囲に敵の姿は見えない。そう思った瞬間であった。ジェネシスガンダムが大きく弾き飛ばされた。
(前です)
アテネの言葉を聞き、リヒトはすぐに機体を立ちあがらせると、目の前には背中に巨大な灰色の翼を持ったモノアイの頭部を持つMSの存在を認識した。
「援軍かよ」
リヒトが口を開いた、瞬間、灰翼のMSは一瞬で距離を詰め、ジェネシスガンダムにビームサーベルを振るう。
その動きはあまりにも速く、能力の限界を引き出したリヒトでも追えない。直感的に回避しようとしたが、直感が回避のしようがないと判断し機能しなかった。
ジェネシスガンダムは、ビームサーベルの直撃を受けるが、バリアで何とか無効にするが、一瞬でバリアの耐久が、半分になり、灰翼のMSは即座に蹴りを叩き込み、ジェネシスガンダムを後退させる。
バリアの耐久がごっそりと削れたのは、敵のビームサーベルの出力が高すぎるのだと、リヒトは理解した。そうでなければ、大剣が真っ二つになることなどない。四神剣をモード3にしておけば防げたかもしれないが、済んだことを考えても仕方ないと、リヒトは思う。
まずは、灰翼のMSから取れるだけ情報を取る、それが最優先だ。リヒトはそう考え、ジェネシスガンダムの右腕のビームトンファーを出力させ、その上で左腕の刃――マンティスエッジを盾として扱うように前に構える。左手にはGゲイツから奪った刀もあった。
「さて、どう動く」
灰翼のMSはビームサーベルを右手に持ち、真っ直ぐに突っ込んでくる。速いが、今度はギリギリ目で追えた。しかし、ビームサーベルを振るう間合いになった瞬間、再び灰翼のMS姿を消す。
だから、それは何なんだよ。リヒトはヤケクソでビームトンファーを振り回すが、それに合わせたかのように、ジェネシスガンダムの頭部が大きく揺らされる。
(ハイキックが頭部に直撃しました)
アテネが説明してくれる。見えるなら代わりに戦ってくれと言いたかったが、アテネでは無理なのはリヒトも知っている。見えていても相手の動きに対応するようなスキルが無いために無理なのだと。
(次、ビームサーベルが左から来ます)
アテネの声が聞こえるが遅すぎるし、相手が速すぎる。アテネが声を出した時には敵は既に別の方向にいる。
リヒトは一方的にやられるだけであり、何が起きているのか理解できなかった。ただひたすらに、自分の機体がパンチにキック、そしてビームサーベルを受けていることしか、分からない。
パイロットとしての技術に差がありすぎる。リヒトはそう判断するしかなかった。こちらは限界まで自分を強化しているのにも関わらず、この敵はそれを遥かに凌駕している。
そう思った直後、不意に灰翼のMSはジェネシスガンダムの前に立つ。リヒトは挑発だとしか思えなかったが、同時に最大のチャンスでもあり、ビームトンファーを振るうが。その瞬間、灰翼のMSの姿が消える。
それとほぼ同時、ジェネシスガンダムの頭が蹴飛ばされ、脚を蹴り払われ、ビームサーベルで左腕が斬りおとされた。三つの攻撃、それらは全て同時に行われたのだった。
とにかく強すぎるとしかリヒトは思えず。力の差がありすぎて、相手の何がどう優れているのかさえ、リヒトには分からなかった。
そして、一瞬、意識が遠くなり、気づいた時にはリヒトは青空を見上げていた。ジェネシスガンダムがあおむけに倒れているためであった。

 
 

(足払いをくらって倒れました)
まぁ、そうだろうなと、リヒトは思い、ゆっくりと機体を動かし、立ち上がらせる。余裕の態度ではなく、諦めの態度だった。この段階で、リヒトの思考はどう逃げるかにシフトしていた。
勝てないんだから、逃げるのは、リヒトにとっては当然の判断であるが、正直なところリヒトには逃げる算段などはなかった。逃げようとした瞬間にやられるだけとしか、考えられなかった。
しかし、灰翼のMSはジェネシスガンダムに対し、興味を無くしたかのように背を向け、Gゲイツの上半身を持ちあげ、回収していた。
こちらに興味がないのならば、それで良い。背を向けているなら尚更だ。リヒトは灰翼のMSと戦おうなどという考えは既にない。仕留める予定だったユウキ・カーボンも、自分の無事を考えるならば、見逃しても仕方がないと思うのだった。
そうして、リヒトが逃げようとした時だった。
「逃げるなよ」
通信越しに女の声が聞こえ、リヒトは即座に辺りを警戒すると。ジェネシスガンダムの周囲に実体弾が連射され、土煙を上げる。
(もう一機います)
「わかってる」
リヒトは冷静に辺りを見回すと、ゆっくりと歩いてこちらに近寄ってくるMSの存在を見つける。それは一般的に見るMSよりは明らかに細身で、どこか女性的なシルエットを持つMSだった。
リヒトは、その細身のMSも灰翼のMSの仲間であり、ユウキ・カーボンの仲間であることを理解した。細身のMSは右手にサブマシンガンのような小型の銃を持ち、その銃口をジェネシスガンダムに向けたまま、近寄ってくる。
「誰だよ?」
リヒトは通信が繋がっているので尋ねた。
「キミの父親の知り合いだよ。そっちの翼持ちのMSのパイロットと同じでね」
女の声は低いが穏やかなものだった。だが、リヒトは声の奥に強烈な悪意があるのを理解していた。
「そうだね。キミの父親を育てたのが私だから、言うなれば私はキミのお婆ちゃんと言っても良いかもしれないな。もっとも、今では私とキミの父親の間の肉体年齢の差は無くなってしまったけれどもね。若いお婆ちゃんで嬉しいと思ってくれるとありがたい」
「身内だったら、僕に銃を向けるなよ」
そうリヒトが言うと、細身のMSは銃を腰にマウントし、それと同時に爆発的なスタートを切って、ジェネシスガンダムに接近する。
リヒトはそう来るだろうと予測しており、右腕のビームトンファーを振るうが、細身のMSは左腕でジェネシスガンダムの右腕を抑えビームトンファーを振るう動作を止め、直後に右手を開いてジェネシスガンダムの頭部に伸ばす。
パンチか掌底、リヒトはそう思って機体を動かそうとするが、同時に視界が塞がれる。メインカメラを潰されたわけではない、単純に細身のMSが開いた右手でジェネシスガンダムのメインカメラを覆っただけであった。
リヒトは即座にそれを理解し、機体を後退させようとするが、機体は逆に細身のMSの方に引っ張られる。その理由は、ジェネシスガンダムの右腕が細身のMSの腕に絡め取られていたからであった。
細身のMSはジェネシスガンダムのメインカメラを手で塞いだうえで、左腕をジェネシスガンダムの右腕に絡め、自分の側に引っ張っていた。そしてメインカメラ遮っていた右手を、そのままジェネシスガンダムの頭部を抑えるように伸ばし、頭部を掴む。
そして
流れるような動きで、ジェネシスガンダムの足を払い、僅かに体勢を崩させると、右手は頭部を掴んだまま、引き倒すようにジェネシスガンダムの頭部を動かす。
そして、右腕を絡みとっている左腕を巻き取るように動かすと、細身のMSは自然な流れで、ジェネシスガンダムの背後を取っていた。
そうなった瞬間、細身のMSは両腕をジェネシスガンダムから離すと、ジェネシスガンダムを背中から、左手で頭部を固定し、右腕に対して右腕を絡める。
そして、絡めとったジェネシスガンダムの右腕を細身のMSが全力でねじると、凄まじい音を立て、まずジェネシスガンダムの右肘がへし折られ、次に右腕が右肩と胴体の接続部から、引きちぎられる。
リヒトは何が起きたのか全く分からなかった。それも無理はなく、全てが一瞬で行われ、リヒトは反応することも出来ず、右腕が失われた段階でようやく状況を理解したが、それと同時にジェネシスガンダムが、地面にうつぶせになる。
細身のMSがジェネシスガンダムの頭を押しながら、両膝を背中から蹴り飛ばし、地面に倒したのだ。細身のMSは、流れるような動きでそのままジェネシスガンダムの頭部を踏みつける。

 
 

「随分とまぁ育て方が甘い。これでは嬲るにも脆すぎて、撫でるだけで壊してしまいそうだ」
聞こえてくる声に対して、リヒトは否定の言葉が思い浮かばない。正直なところ相手が何をしたのかも理解できないのだから、仕方がない。レベルが違いすぎるのだ。
明らかにユウキ・カーボンよりも強いし、もしかしたら自分の父より上かもしれないとリヒトは思うのだった。
「お前の父親――ハルド・グレンならば、こうやって無様に転がっていることもなかったな」
「言ってろ、クソ女」
リヒトは強がりを言ってみせた。その結果、細身のMSは通信機越しに笑い声をあげていた。
「いいなぁ、お前の親父もそうだった。どんなにいたぶっても、そうやって強がる。おまえの母親も痛めつけたが、簡単には泣きださなかった。ホントいい、最高だ。遺伝子だけの繋がりとはいえ、お前は両親の血を継いでるなぁ、いいぞ、いいぞ」
細身のMSのパイロットの女は歓喜の声を上げていた。
「いますぐ、お前を連れ帰って、いたぶり、私に許しを請う姿が見たい。お前の両親にやったように、お前を苦しめたいよ、リヒト君」
女の声は興奮のせいか、僅かに上ずっていた。普段ならリヒトは、それを馬鹿にするくらいはするのだが、そんなことは出来なかった。細身のMSひいてはパイロットの女から生じる強烈なプレッシャーがリヒトの精神を押し潰していたからだ。
殺される――リヒトは戦いにおいて初めて純粋な恐怖を感じていた。今までは、自分が死ぬことは絶対にないと思っていた。負けることはあっても、絶対に逃げられる。だから、死なない。リヒトはそんな確信を持って今まで戦っていた。
ユウキ・カーボンに最初に負けた時も、生き延びる手段はいくらでも、考え付いていた。
だから、恐れなど抱いていない。灰翼のMSに関しても、逃げられる確信はあった。だが、自機の頭を踏みつけている、機体とそのパイロットの女に対しては無理だという確信があった。
リヒトの心に諦めが浮かんだ時である。それまで黙っていたユウキ・カーボンの声が響く。
「連れていくのは無しだ。俺に勝ったんだから、決めておいた手筈でいく」
ユウキ・カーボンの言葉はリヒトを見逃すような意味であるとリヒトは感じた。直後に女の舌打ちが聞こえ、細身のMSは踏みつけていたジェネシスガンダムの頭部から足を離す。
「運が良いし、父親よりも恵まれているなぁ、リヒト……いや、名前を呼ぶにも値しない未熟な奴。そうだな、ベイビー・グレン。それがいい」
女がそう言った直後、細身のMS倒れ伏す、ジェネシスガンダムの頭部を蹴飛ばし、背を向け、その場から立ち去る。その最中に女の声が聞こえる。
「また会うこともあるだろう。それまで元気で、未熟で弱いベイビー・グレン君」
女はリヒトを嘲笑う言葉を残すと、乗機を浮遊させ、去って行く。
「俺を仕留められなくて残念だったな。だが、また会う時は来る、決着はその時にだ」
ユウキ・カーボンはそう言って、大破した乗機を灰翼のMSに運ばせてリヒトの前から去って行く。
リヒトは敵がいなくなっても、しばらく何も出来なかった。頭の中を無力感が支配していた。結果的に生き延びることには成功した。それは別に良い、情けをかけられたのも気にはしていない。
リヒトに無力感を与えたのは、ユウキ・カーボンの援軍として現れた、二機のMSだった。あの二機に勝つための方法が思いつかない。それがリヒトの心に無力感を与えていた。ユウキ・カーボンとは違い、小細工の効く気配など全く無い、あの二機。
考えても勝利するための手段が思いつかない。大抵のことに関しては、冷静に考えれば何とか出来ていたリヒトにとっては、どんなに考えても勝利するという答えが思い浮かばない相手の存在は、初めての挫折に近いものであった。
「どうすっかな……」
このまま、ユウキ・クラインを追うことをしていれば、おそらく、あの二機と戦うことになるだろう。勝ち目のないのに戦う理由は無い。死んだら終わりなのだから、関わりたくはない。
そんな風にリヒトが憂鬱な気分になっていると、そこへ突然通信が入る。
「私だ。近くにいる。引きこもっていないで、出てきてくれ」
その声は男のものであり、リヒトの良く知ったものでもあった。このタイミングでか。本当についていないと思いながら、リヒトはコックピットから降りて、地面に立つ。
「勘弁してくれ」
リヒトは地面に立って、そうそうに両手をあげ、ウンザリした口調で言った。なぜ、このようにしたかというと理由は単純で、突然、背後に気配を感じたからだ。

 
 

「別に手をあげる必要はないんだが、とりあえず、こちらを向いてくれ」
リヒトは、そう言われて、素直に後ろを向く。そこには通信の声の主であり、リヒトと同じプロメテウス機関のエージェントのD・ホワイトが立っていた。
リヒトは相も変わらず無個性な男だと思った。顔の系統はアジア系だが、全く印象に残らない。年齢も二十代に見えるような、三十代にも見えると言った感じで、ハッキリとしない。
とにかくD・ホワイトは地味としか言いようのない男であり、個性というものが全く感じられない人物であった。
「ミスが多すぎる」
ホワイトは端的に言う。これだけでリヒトは理解できると分かっていると思ってだ。
「分かってるよ、ホワイト」
リヒトはD・ホワイトに対して、ラストネームで呼ぶ。ファーストネームにしているDに関して、ホワイト自身がダニエルでもデビッドでもダンでも良いと本人が言っており、任務によって、名を変えているので、ホワイトとしか呼びようがない。
「分かっているなら、見過ごすことは出来ないことも理解できるな?」
ホワイトは穏やかな口調でリヒトに尋ねると、リヒトは何も言わずに頷く。
ニューヨークで化石の確保に失敗し、その上でユウキ・クラインのカーボンヒューマンに負けて捕まる。プロメテウスPMCからの依頼の任務では“ギフト”を持ったMSを撃退したが、破壊にまでは至っていない。
そして、今の戦いだ。ユウキ・カーボンを追いつめたものの、結局は取り逃した。つまりは失敗だということだ。ここの所、失敗が多すぎる、そのことでホワイトがやって来たのだとリヒトは理解していた
「状況が悪かっただけで、リヒト自身に極端な問題はないと私は思うが、結果的にはベストな結果を出せなかった。それが機関の上層部の人間には問題なのだろう」
ホワイトは気を遣ったような言葉でリヒトに話し、暗に自分がプロメテウス機関の上層部、ロウマ・アンドーからの命令で動いていたのではないとほのめかした。
「嫌われてんのはショックだなぁ」
「好かれるようなことをしていないのだから、仕方がない。私はリヒトのことは嫌いではないが、一応仕事なのでな」
そりゃ、分かってますよ、指導官殿とリヒトは思う。ホワイトはリヒトがプロメテウス機関のエージェントになる際の指導官として、リヒトに必要な知識を授けてきた。師匠ではないがリヒトにとっては先生と言っていい人物だった。
「別に気にしてないよ、ホワイト。失敗が多い僕が悪い」
リヒトは認めるしかなかった。自分が未熟だということを、ホワイトなら絶対にミスを犯さないことを知っているからだ。
「……充分以上によくやっている。失敗が多いのは若いという理由だけだ。純粋に能力だけを見れば非の打ちどころはない。ただ、相手と状況が悪かったために年季の差が出ただけだ。気にすることじゃない」
ホワイトはそう言うと、リヒトについてくるように促す。

 
 

「アテネ、エリュシオンまで、自律稼働で先に帰れ」
(……了解しました)
「心配しなくてもいい。僕の方はそんなに酷いことにはならないだろうから」
(……了解しました)
エージェントとしての仕事がどうなるかは分からないが、ジェネシスガンダムのパイロットは続くことは間違いないのだから、アテネは心配する必要はない思いながら、リヒトはホワイトの後を追うのだった。

 

リヒトはホワイトの運転する車で、近くの宇宙港へと向かっていた。
「リヒトにとってはMSに乗って帰る方が楽だったろうが、ルールとしてMSに乗せて帰るわけにはいかない」
リヒトは助手席に座っていたが、答えずに黙っていた。そろそろ薬が切れ、限界を超えた能力で戦っていた代償が襲ってくると思っていたので、それに耐えるために、黙り耐える状態に入っていた。
時間的に、そろそろ薬が切れる、リヒトがそう思った直後、リヒトの脳を筆舌に尽くしがたい激痛が襲う。ガクガクと身を震わせるリヒトに対し、ホワイトはすぐに車を停め、リヒトの首筋に鎮痛剤を注射する。
「無理しすぎだ。少し落ち着かせろ」
そう言って、ホワイトはリヒトの調子が戻るまで待ち、リヒトが戻ると、車を出す。
「……見てたんだろ。どう思った?」
リヒトはかすれるような声でホワイトに聞く。ホワイトが遠くからリヒトの戦い観察し、評価していたと想像したからである。
「ユウキ・カーボンの方は普通に戦ったらエージェントが対応できないレベルだ。だが対策を立てれば完封できる程度だ。とは言っても初見で対応するのは難しい。その点も考えユウキ・カーボンに敗北したことに関しては理由があることをきちんと上の方に報告する。
ついでに言うと、後から来た二機に関しては無理としかいえない」
「アンタでも?」
リヒトは現役で動いているプロメテウス機関のエージェントとしては最高クラスのホワイトに聞き返したが。ホワイトは言う。
「無理だ。一対一になったら勝てる相手じゃない。もっとも、リヒトの親父さん――ハルドさんなら、別かもしれないが、それでも私は相手をしたくない。この点に関しても、きちんと上に伝えるつもりだ」
リヒトはホワイトの言葉に、負けたのには当然の理由があることを伝えるつもりであることは理解できた。だが、ホワイトのそれは公正な観点にもとづいたものであり、リヒトに非があれば、それをホワイトが正しく報告するのはリヒトにも予想がついていた。
そうこうしている内に、ホワイトの運転する車は、宇宙港に辿り着く。
「別に心配することはないエージェントとしての適性の再審査など、良く行われていることだ。だが、謹慎期間として部屋に閉じ込められるのは我慢したほうがいいか」
謹慎もまぁ仕方ないかと思い、リヒトは先に車から降りたホワイトの後を追って、宇宙港に入り、大気圏離脱のシャトルに乗り、いくつかの経由を経てプロメテウス機関の本拠地のエリュシオンへと到着するのだった。
そして、リヒトはエリュシオンにある自室へと押し込められ、取り敢えずは謹慎の処分を受け、部屋から出ることすら許されない、日々を送ることになるのだった。

 
 

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