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GUNDAM EXSEED_EB_4

Last-modified: 2016-01-12 (火) 20:13:06

ところ変わってニューヨーク。リヒトとミリアムはジェネシスガンダムでニューヨーク近くまで来ると、降りてヒッチハイクをしてニューヨーク市内に入る。
武器類を完全収納した大型のスーツケースにボストンバッグを持つリヒトと、リヒトが見繕った服とそれを収納したスーツケースを持ち二人は、なんとなく旅行客の雰囲気を出していた。
リヒトに関しては、髪と目が目立ちすぎるため、髪は黒く染め、瞳はブラウンのカラーコンタクトを着用していた。
「とりあえず、従妹って設定な。兄弟だと似てないにもほどがある。一応、呼び方は、お兄ちゃんで、あと男みたいな喋り方もできるなら控えろ」
「わかった、お兄ちゃん」
しょっぱなから駄目そうだなぁとリヒトは思いながら、とりあえず市営のバスに乗ると、ニューヨークの中心部から離れた閑静な住宅地へ向かう。
「すぐに調査をするのではないのか?」
「したいけど、とりあえず先に安全な拠点の確保と、ミーちゃんのスキルアップがしたい」
そう言って、リヒトはミリアムをうながし住宅街の真ん中でバスを降りる。
「グランパとグランマがいてくれたらいいけど」
そう言ってリヒトは迷いなく住宅街を進む。それについていく、ミリアムはグランパとグランマという言葉が気になった。リヒトの祖父と祖母かとミリアムは考えるのだった。
リヒトは歩きながら二人がいるかどうかを心配していたが、問題ないと分かった。殺気が一瞬飛んできたからだ。一瞬の殺気、つまりは警告だ。こちらが武器を持っている人間と認識したから殺気を飛ばしてきた。
リヒトはミリアムもいるし、どうしたものかと思うのだった。正面から突破するのは、あの二人相手だったら無理なんだよなぁと、半ば諦めモードに入ったリヒト。装備の事情でゴーストムーブも使えない以上、こっちの素性を明らかにするしかないと思った。
そしてリヒトが取った行動は指サインである。ニューヨークヤンキースのNとYを指で示す。これが小さいころからのグランパとの合図だった。
ミリアムはリヒトが何をやっているのか分からなかった。だが、まぁ気にせず無視することにした。
その瞬間、穏やかな気配が住宅街に戻ったような気がしてリヒトは、再び歩きはじめ、一軒の家の前に立つと、自然な動作でドアのベルを鳴らした。するとすぐに、ドアが開き、白髪に立派な白髭を生やした大柄な老人がリヒトを抱きしめた。
「ただいま、グランパ」
「おかえり、リヒト」
そしてグランパと呼ばれた老人はミリアムの存在にも気づき、ハルドを離すとミリアムの全身を眺め意味ありげな視線をリヒトに向ける。
「仕事の相棒。とりあえず従妹って設定のミリアム」
ハルドが小声で言う。
「そうか、ミリアムも良く来たなぁー!」
グランパはそう言うとミリアムを抱き上げ、心の底から喜んだ表情を浮かべながら、ミリアムを家の中に入れ、リヒトは若干警戒しながら家の中に入り、ドアを閉める。
「おかえりなさい、リヒト君」
言えの中に入ると真っ白な長い髪の老女が立っていた。
「うん、グランマもただいま」
そう言って、リヒトはグランマを抱きしめる。
「ミリアムも久しぶりね」
ミリアムは初対面の相手に久しぶりと言われるのが、理解できなかったが、グランマはミリアムを抱きしめ、リヒトとミリアムを奥の部屋へと案内する。

 
 

「とりあえず、座っていてちょうだいね。すぐにお茶を出すから」
そう言われ、リヒトとミリアムはソファーに座る。グランパはリヒトたちと向かい合うように座る。
「地毛で来ればいいものを、分からんかったぞ」
グランパが言うが、リヒトはなんともといった表情で言う。
「僕の地毛だと目立ちすぎるんだよ。瞳だって、目立つからこうしないと、結構心配なの」
「そうは言っても、顔の良さは隠せんのだから、それほど効果的でもないぞ。やるなら本格的に変装でもせんと、リヒトは目立ちすぎる」
そりゃ分かってるけどねぇ、変装を本気でやると面倒なんだよなぁ。そんな思いがあり、リヒトは変装に関しては二の足を踏んでいた。
そんな話をしている内にグランマがお茶を全員分カップに入れて運んできた。
ミリアムはお茶を飲むこと自体初めてなので、好奇心に任せて飲んでみたが、思ったより苦かった。
「お砂糖いれましょうか」
グランマが優しく言い、ミリアムの紅茶に砂糖を少し多めに入れると、ミリアムは満足げに飲むのだった。
「本気で、この嬢ちゃんが仕事の相棒か?」
「多分使えると思ったから拾った。ニューヨークで仕事をするから、その間、ここに泊めて欲しいのと、このミリアムのスキルアップをグランパとグランマにお願いしたいんだ」
リヒトの言葉に対して、グランパは露骨に困った表情を、グランマの方は困ったような笑顔といった表情を浮かべていた。
「まぁ泊めるのは構わんが、リヒトのことは子どもの頃から面倒を見ていたことだし、しかし、お嬢ちゃんのスキルアップと言われてもな」
「電子戦で僕のバックアップが出来る程度まででいいよ。ニューヨークの仕事もそんなに長引かないかもしれないから、基礎的なところだけでいいんで、頼むよグランパ」
リヒトにお願いされると、どうしても断れないのがグランパだった。本当に小さいころから面倒を見ていたから孫同然のリヒトからお願いされると断りづらく、グランパはグランマの方を見る。
「まぁ、良いじゃないですか、お爺さん。孫が増えたと思えば」
「うーむ、じゃあまぁ基本的なところだけだぞ」
グランパは折れることにした。そんな中、茶を飲み干したミリアムが何となく質問した。
「二人はリヒトの祖父母なのか?」
否定したのはリヒトだった。
「違うよ。グランパはグランド・ファーザー(偉大なる父)って異名で、グランマの方はグランド・マザー(偉大なる母)って異名で二人とも、伝説級の特殊工作員。グランパとグランマは、異名から来た愛称だね」
リヒトの説明に頷きながら、グランパは言う。
「儂の本名はマキシム・レイノルズ。リヒトの父親の師匠の師匠といったところだ」
続けて、グランマが自己紹介する。
「私は、マヌエル・レイノルズ。同じくリヒト君のお父さんの師匠の師匠」
ミリアムは素直に人間関係の繋がりとは凄いものだなぁと思うのだった。
「二人はレイノルズ・システムっていう地球連合軍の特殊部隊用のCQB戦闘術を開発したことでも有名。屋内戦でレイノルズ・システム習得者と戦うと100%殺されるって感じに有名にもなった」
そう言っても、グランパは不満そうだった。

 
 

「本来はMS戦も含めた全領域での戦闘術となるはずだったが、結局、全領域戦闘術として習得できたのはリヒトと、リヒトの父親に、その師匠だけだった。そして儂も妻も、リヒトの父親の師匠にやられて軍を引退した」
対して、グランマは笑顔だった。
「今ではそれも良い思い出ですよ。仇は取ってもらいましたしね」
ミリアムは聞きながら、やはり何とも色々とあるものだなぁと思うのだった。
「とりあえず、僕は今日の夜から、ニューヨークを探ってみるから、その間ミリアムは、ここで少しトレーニング。そんな感じで行こうと思うんだけど、最近の夜のニューヨークはどんな感じ?」
リヒトが尋ねるとグランパが答える。
「なんともだな、夜警隊(ナイトウォッチャー)とかいう奴らが、夜中に不良やゴロツキども、ギャング連中などを殺し回っていて、物騒だ。一般人は殺されてはいないが、暴行を受けたという話しもある。注意していくべきだな」
夜警隊ね。自警団みたいなものとも違いそうな気配があるし気をつけるにこしたことはないかな。と思い、リヒトはとりあえず、夜までレイノルズ宅でゆっくりとすることにした。
そして、夜中、リヒトはいつものハーフコートを着て、ある程度の装備を整えると、ニューヨークの市街に繰り出すのだった。
リヒトは適当に歩いても仕方ないと思い、まずはユウキ・クラインが留学していたという、ニューヨーク大学のキャンパスがある地区を回ることにした。
ニューヨーク大学の校舎はワシントン・スクエアを中心に分散しているから、ワシントン・スクエア、を中心に色々と調査するのが定石だろうと思い、夜のワシントン・スクエアを通り抜けようとした瞬間、リヒトは手荒い歓迎を受けた。
いきなり銃で撃たれたのである。だが、ゴーストムーブでリヒトは無傷で銃弾を回避していた。そして、自分に対して発砲してきた者に対して、容赦なく拳銃での反撃を行う。
同時に背後から、金属の棒を持った何者かが襲い掛かって来たので、リヒトは背後の何者かを蹴り飛ばす。
囲まれているな。リヒトは気配で何人かが自分を取り囲んでいるのを察し、フードをかぶり、顔を隠す。
やがて相手も姿を現す、相手もリヒトと同じく黒い服にフードを被った人々だった。そして、リヒトが撃った相手も、蹴り飛ばした相手も問題なく起き上がる。防弾チョッキや耐衝撃のスーツを着ていることが予想できた。
「そっちも殺す気だったし、こっちも殺して問題ないよな」
リヒトはそう言うと、素早く動き、フードの一人の首筋に右手のリストブレードを突き刺し、同時に、左手のリストブレードをすぐそばにいたもう一人のフードの人間の心臓付近に突き刺す。
金属の棒で殴りかかってくる相手には、その手首にリストブレードを突き刺し、武器を落とさせてから、喉をもう一方のリストブレードで貫きながら、その相手を回転させながら投げ飛ばし、自分の盾とする。
投げ飛ばされる男にフードの一団の目が行く隙にリヒトは地面を這うように移動し、フードの一人の足首にリストブレードを突き刺しながら、脚を引っ張り上げ転ばすと。倒れた相手の喉元にリストブレードを突き刺し、仕留める。
この段階でフードの一団は不利を察したのか、撤退していく。リヒトはそれを追おうとは思わず、とりあえず仕留めた人間の顔などを確認することにした。

 
 

「若いな」
フードを取って顔を見るとリヒトはそう言った。と言っても、自分より年上で、おそらく大学生くらいだとリヒトは考えた。
そして全員のフードを剥いでみるとリヒトが殺した中には女性もいたが、リヒトは死んだ女性には興味がなかった。
それよりも仕事が重要なので、とりあえず全員の懐をまさぐると、殺した四人中三人は、身分を明らかにするものは何も持っていなかったが、一人だけ、財布をそのまま持っていた。
マヌケがいると大変だな。そう思いながら、財布の中身を確認すると、図書館の利用許可証が出てきた。
なんだこりゃ?と思いながらもそれ以外に、財布には小銭と少額の紙幣しか入っていなかったので、リヒトは財布を捨てると、取り敢えず死体の顔写真だけは全員分保存して、さっさとその場を去るのだった。
たぶん、あれが夜警隊とかいう連中なんだろうが、どうにも変な集団だと思った。
装備は割と良い癖に動きは素人くさい。しかし半端に鍛えられているような感もあり、どうにも集団の全体像が掴めなかったが、ただのチンピラ集団ではなさそうだとリヒトは思うのだった。
とりあえず、さっきの襲撃に関しては、自分をピンポイントで狙ってきた感が強い。危険も多そうだと思い、リヒトは今夜の調査は、やめておこうと思い、ニューヨークの雑踏に紛れ、レイノルズ宅まで帰宅するのだった。
帰宅すると、レイノルズ宅には誰もいなかった。リヒトは恐らく地下だろうと思い、地下室に降りていく。レイノルズ宅の地下一階は大量のコンピューターが並ぶ情報管制センターのような有様だった。
「おう、おかえりリヒト。この嬢ちゃんはすごいな。教えたら、ハッキングを完全に理解した。ペンタゴンのコンピューターにも、もう潜入できるようになったぞ」
そりゃすごいとリヒトは思いながら、とりあえず、武器と上着を外して地下室の一画の机に置く。
「あら、戦闘してきたの?」
グランマが何でもないような口調で言うとリヒトは頷く。
「防弾と耐衝撃の兼用装備をした連中と戦った。とりあえず四人ほど殺して手に入れたのが、これだけ」
そう言って、図書館の利用許可証を机の上に置く。
「ニューヨーク大学の新図書館の方の利用許可証だが、おかしいな。そちらは建物の構造にトラブルが見つかったということで、出来てそうそう閉鎖されたそうだが」
そら変な話だ。調査の必要があるな。後は写真のデータだ。リヒトはとりあえず、ハッキングの技術を習得したらしい、ミリアムに頼もうと思い写真のデータを渡しながら言う。
「たぶん大学生だろうから、ニューヨーク大学学生のリストを洗ってくれ」
「うん、わかった。お兄ちゃん」
あれ?と思い、リヒトはグランマの方を見る。
「頭が良い子だから、すぐに要領を覚えたわ」
クスクスと笑いながら言うグランマに対して、リヒトはそりゃまぁ素晴らしいね。と一日で必要なスキルを粗方習得してしまった、ミリアムに対して感服するのだった。

 
 

「……うん、お兄ちゃんの言った通り、みんな大学生だったよ」
「へー」
リヒトは気の無い返事をしながら、銃の整備とリストブレードを磨く作業をしていた。作業をしながら、リヒトは適当に情報をまとめてみる。
フードの一団が夜警隊(ナイトウォッチャー)なら、その構成員はニューヨーク大学の大学生がメインかな。多分、裏のサークルみたいなもんなのかもしれないとリヒトは考えた。
「悪いんだけど、何十年か前、正確にはユウキ・クラインがニューヨーク大学の学生だった頃に、チンピラとかギャングが連続して襲撃される事件がないか調べて」
リヒトはミリアムにお願いすると、ミリアムはすぐに調べ出した。恐らく事件はあったろうとリヒトは見当をつけていた。
「うん、あった。ギャングとかが襲撃される事件。っあ、夜警隊の襲撃か?って書いてある」
ほら、来た。いい感じだね。あとついでに調べて欲しいことは……
「ニューヨーク大学の新図書館の建設に関して寄付した人間のリスト。とにかく徹底的に洗ってほしい。たぶん名前を公表していない人間がいる。
それと、図書館の建設業者の代表の出身大学、建設中止にした人間の出身大学。あと、そいつらの大学時代の写真を見つけられるなら、それも頼む、なるべく多くの友人と一緒に写っている写真がベストだ」
リヒトは殆ど確信に近いものを得ていた。時間は相当かかるだろうが、間違いなくあの男に関係のある情報が発掘できるだろうと思っていた。
「とりあえず、今日は夜だし、調べるのはほどほどにして、明日から本格的にやった方が良いかもね」
そう言って、リヒトは先にレイノルズ宅に用意された寝室で眠るのだった。

 

そして、早朝、リヒトはグランパと組手をしていた。お互いオープンフィンガーのグローブをしての本気とは言い難い組手だった。
リヒトがコンパクトな構えから左のジャブを何発か打ち込むがグランパはガードを固めて防ぐ、その瞬間、リヒトはサウスポースタイルにスイッチし、右拳のジャブを何発か叩き込むと即座にローキックを入れるが、全てガードされた上で、ローキックもカットされる。
直後、グランパがオーバーハンドの超高速右フックを放ち、リヒトのガードを崩すと、即座に左のオーバーハンド気味の超高速ボディーブローがリヒトのわき腹に突き刺さる。
「はい、終了」
グランマが二人の組手をそこで止める。リヒトとグランパはグローブを軽く打ち合わせ、終了の挨拶とした。
「本気で打ってないにしても、少し軽いな。リストブレードに頼りすぎて、打撃を軽視してないか?」
グランパが注意するような口調で言うと、グランマが続く。
「リーバス・コンビネーションをガードした時点で判断ミス。少し格闘戦の実戦勘が鈍っているかもしれないわね」
まぁ、確かになぁと思いながら、リヒトはわき腹をさすりながら思う。師匠との組手は“ギフト”使用ありでやっていたから、純粋な格闘戦は、しばらくしていない。
任務中は、だいたい銃かリストブレードで片をつけるし、それほど気を使わなくても殴り殺せる人間の方が、この世には多いのだ。そのため、格闘戦に関しては甘くなっている自分がいるのは否めない。

 
 

「少し、気をつけるよ」
そうハルドが言うと、ちょうどミリアムが家から出てきた。
「腹が減った、いや、お腹すいたんだけど、朝ごはんまだー」
ミリアムも、猫を被るのを頑張っているみたいだし、自分も頑張るかとリヒトは思うのだった。
とりあえず、全員が朝食の卓につくと、グランマが尋ねる。
「スクランブルエッグとベーコンエッグ、どっちが良い?」
「どっちも」
ミリアムが間髪入れず答える。まぁ成長期だし、良く食えば、良い身体になるからリヒトは反論する気はなかった。
グランパも何も言わないので、リヒトも黙ってミリアムの食いたいようにさせることにした。それよりもグランパが読んでいる新聞の内容が気になった。
「僕が殺した奴らの情報出てる?」
「……ないな」
隠ぺいされているのか、それとも新聞社が記事にする気が無かったのか。後者はないだろうとリヒトは思うのだった。
常識的に考えて、大学生四人が同じ格好をして、公園で皆一様にナイフのような刃物で、しかも鮮やかな手口で殺されていたら、それなりに注目するはずだ。
「隠ぺいか、死体は回収されたかな」
「まぁ、そんなところだろう」
そんな風に事件について話していると、テーブルに朝食が置かれたので、話しは中断することにした。
朝食はシンプルなのか分からないが、一つの皿にソーセージとスクランブルエッグにベーコンエッグ、そして別の皿にサラダ。中央にパンが山盛りになった皿と、バターにジャムが置かれていた。
まぁ充分だろうと思い、リヒトはパンに手を伸ばし、バターを塗りつけ齧る。ミリアムはパンのトーストを要求し、その上で、バターとジャムを併用していた。なんだか生意気な気がするが、リヒトは許してやることにして、ノンビリと朝食を済ませるのだった。
朝飯食ったら二度寝としゃれ込みたいが、正直そういう訳にもいかなかった。
「グランパ。武器借りてもいい?」
そんな風にリヒトが言うと、グランパもグランマも、何も言わずに地下室の更に下、地下二階への扉を開く。そこは完全に武器庫だった。
「ちょっと相手が硬そうだから、なるべく良い銃が欲しい。あと弾も」
そう言うと、グランパは武器庫の棚からアサルトライフルを取り出した。リヒトも見たことのない形状のものであった。
「地球連合軍のテストから落ちた物が内に届いた。性能は文句なし。最高性能の防弾装備でも貫通ないしは衝撃で人体にダメージを与えられる」
「弾は?」
「新型だ。だからテストで落ちたが、うちには百発ほどあるから心配はいらない」
じゃあ借りよう、そう思い、リヒトはアサルトライフルを手元に引き寄せる。凄く近未来な形状だと思ったが、造り自体はシンプルで堅そうなこともありリヒトは気にいった。
「あとは、特製の弾丸ね。いわゆる徹甲弾だけど、私たちの手で改良しておいたから、防弾ベストも問題ないはず。それに45口径だから問題ないと思うわ。これも百発程度あるから持っていっていいわ」
「ありがと、グランパ、グランマ」
リヒトはお礼を言ったうえで、二人と一緒に二階に戻ると、ミリアムが調査を終えたのか、待ち構えていた。

 
 

「寄付した人間はユウキ・クライン。そして建設業者の代表と、施設の使用中止を宣告したのもニューヨーク大学出身者だ。ちなみ、その全員が同時に写っている写真がある」
まぁ、そうだろうと全てがリヒトの予測した通りになった。これで色々とストーリーが作れるというものだ。
リヒトは頭の中で情報を組み立てる。
まずユウキ・クラインはニューヨーク大学に留学していた。そして、おそらく悪党を懲らしめる夜警隊(ナイトウォッチャー)を結成した。建設業者の代表なども夜警隊の人間だろう。
ユウキ・クラインの卒業後も夜警隊は残っていたと考えるのがベターだな。一種の神秘的な裏サークルとして残っていたのは間違いない。
ユウキ・クラインはわざわざ寄付をして新図書館を建設させたが、昔の仲間に掛け合っていろいろと細工をさせた。そして施設が完成した後は人が立ち入らないように、施設の封鎖に関しても昔の仲間に掛け合った。
全ては想像だが、まぁ想像するだけなら自由だろうと思い、リヒトは続ける。
わざわざ、仲間を使って建設させた建物を封鎖させる。なんのために?夜警隊が最近ニューヨーク大学の周辺に出没して、暴力沙汰を起こしているのを考えると、何かから遠ざけたい?遠ざけたいようなものは新図書館くらいしかないよな。
「まぁ、当然だけど、新図書館に行かなければならないかな」
リヒトはそう言って、夜を待つのだった。
「どうして、夜なんだ?」
「秘密の集団が集会をやるのは夜って定番だから」
まぁ、勘なので昼間行っても同じかもしれないなぁとリヒトは思ったが。とりあえず、夜まで待つことにした。
夕飯にアメリカンな感じの分厚いステーキを二枚とマッシュポテトを大目に食い、食後にコーラを飲むと、リヒトはレイノルズ宅から出発する。
ハンバーガーはアメリカ、ステーキは日本、タコスはテキサス。ラーメンは宇宙だな、とリヒトはニューヨーク大学の新図書館に向かう間、そんなことを思っていた。
まぁ、食い物はとりあえず満腹なので考えても仕方ない。けれど、ミーちゃんにはニューヨークのハンバーガーと、最高級店のステーキ、それにニューヨークヤンキースの試合を観戦させなければならない。人生の楽しみを教えてやるのも年上の務めだ。
と、リヒトは思ったが、今シーズンオフじゃん。ということを思い出した。ああ、ヤンキース最高の球団だ。父さんはジャイアンツファンだが、その点は理解できないとリヒトは思う。
とにもかくにも、シーズン中にミーちゃんを連れてヤンキーススタジアムを訪れないとな、その時は、ホットドッグだ。色々と食い物を買って観戦、最高だぜ。
出来れば試合はリック・ロジャース、通称R2の登板日が良いな。ナチュラルの癖に最速167km/hのストレートと巧みな変化球を操る根性と知恵を併せ持つピッチャーだ。R2のサインボールを死ぬ思いで手に入れたことは、リヒトの12歳の最高の思い出だった。

 
 

そんなことを考えている内に、リヒトは新図書館の傍まで近づいていた。一応ハッキングをマスターしたというミリアムに連絡する。
「ミーちゃんさ、衛星ハッキングして、図書館周りで銃器を持っている奴を見つけてくんない?
多分、軍事衛星ならいけるから、そしたらデータを俺の右目のコンタクトレンズに転送して。コードはアイ、ラブ、ファミリー、プロメテウス、リヒトで、そのまま俺のいる座標にネットワークでコード打ち込めば良いから」
「オッケー、お兄ちゃん」
すげぇなグランマ、ほぼ完璧に妹キャラだよ。そうして、リヒトが待つこと数十秒、その短時間で、リヒトの右目のコンタクトレンズに周囲の情報が一括で送信される。
すげぇな、並じゃねぇ、僕の視力の範囲内の人間が持っている武器が映し出され、それを持つ人間が赤くマーキングされる。
「結構、多そうだな。もっと詳細データはいける?銃を持っている奴の向いている方向、それと安全そうなルートを俺のコンタクトレンズ内に表示、安全なルートかどうかはグランパかグランマに聞いてくれ。
そう言って、一分ほどで銃を持っている人間の向いている方向や詳細情報が、リヒトの右目に映る。はは、すげー、ミーちゃん相棒にして良かったぜ。そう思っている内に安全なルートがリヒトの右目に映される。
リヒトは念のため、左目をつぶり周囲を見渡すが、見えるイメージは殉教者だ。面倒だなぁとリヒトは思う、イメージ像で人型が見えるのは大抵厄介だ。人型は知性や狂信性に繋がっているというのがリヒトの解釈だった。
関わりたくない。そう思い、リヒトはフードをかぶり顔を隠すと、安全と示されたルートを真っ直ぐ進んでいこうと思ったが恒例のアレをやっていないことを思い出した。
「ミーちゃん、相棒の仕事にプラス1。俺が仕事で人を殺すかどうか決定する仕事」
リヒトはサイコロを取り出しながら言う。
「ミーちゃんが偶数か奇数を言う。それが当たったら、俺は基本的に殺しの方向性で行く。外したら、殺さない方向性で。なんでこんなことをするのか理由はまぁ、その内。とりあえず決めてくんない?」
何を言っているのかと、ミリアムは思ったが、まぁ仕方ないと思い、二択から答えを選び伝える。
「偶数」
言われてリヒトはサイコロを投げ、掌の上に落とす。掌の上のサイコロは6の数字だった。
「6で偶数だから。殺し有りで」
そう言って、リヒトは図書館までの道を進んでいく。すると何事もなく、安全に新図書館に辿り着く。さて、ルートでは、このまま真正面の入り口から入っても安全とあるがどういう根拠だろうかと思い、ミリアムに尋ねる。
「中の監視カメラが生きてたから暗視用のソフトも使って、ルート探索をしたよ。でも気をつけて、お兄ちゃん。図書館内は真っ暗だから。必要だったら、こっちで明かりを点けるから言ってね」
良いね、頼りになる妹は。そう思い、リヒトは図書館内に侵入するのだった.

 
 

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