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GUNDAM EXSEED_EB_7

Last-modified: 2016-01-12 (火) 20:20:56

リヒトは自分が荒野に立っていることに気づいた。ああ、この場所かと驚きもせず、淡々と歩くと、荒野のど真ん中に座る自分に出くわしたが、別に驚きもしなかった。失敗や反省するべきことがある時は、ここを訪れる。
「よう“僕”」
「やぁ“俺”」
リヒトは“俺”の前に立つと何も気にせず座って対面する。
「負けちまったなぁ」
“俺”が言うと“僕”はお手上げというような仕草を見せる。
「ちょっと無理、勝てないって」
「そうかぁ?お前は武器を使わずに、真正面から向かっていった、卑怯な手を何一つ使わずじゃん。スゲー下策だと思わないか」
そうだよなぁ、と“僕”は思う。今思えば色々とやりようはあったなと今更、思いいたる。
「舐めてたのは“僕”のほうか?」
「いや、違うな。なんていうか。根本的に“僕”の方がぬるくなってる。ニューヨークに入ってから、ずっとだ。なんか常識的に戦ってないか?」
言われて“僕”はそうかもなぁと思う。正確にはミリアムを味方に入れてから振る舞いが常識的になったようにも思う。かといってミリアムを排除するのは違うような気がした。
「別にミリアムのことは言ってない。あれはあれで使える道具だ」
“俺”の言葉に“僕”は頷く。確かにミリアムは充分以上に役に立つし、数年後は美味しくいただくのだから別にどうでもいい。
“俺”は言う。
「ミリアムとかグランパ、グランマの余計な外野が入ったせいで、“俺”自身の在り方が少し矯正されてきている気がする」
“僕”はそうかもなぁと思った。なんか少しやりづらいんだよなぁ、人が見てると悪いことするの。ミーちゃんの前で人体解体ショーはしたくないし。
「“俺”は人格として存在してるわけではないから、言う権利はねぇけど、今のままじゃ、あのカーボンのユウキは無理だぞ。とりあえずリハビリで狂気を戻した方が良い。精神を共有している友人からの助言だ」
“俺”は心配そうな表情で言う。リヒトは“俺”について考える。これは脳内で物事の洗い出しや反省をするための一種の道具だ。どちらかという客観的な視点で物事を言うので頼りになる、まぁそれ以上に大事な仕事があるのだが。
「“俺”たちの強さの根本は狂気だ。それは揺るがない。父さんから続く伝統だ。今の“僕”は狂気が足りてない。それじゃ勝てねぇぞ――」

 
 

不意にリヒトは目を覚ました。だいたい失敗すると“俺”に会うんだよなぁと思いながら、リヒトは現状を確認した。部屋は取調室で目の前には軍属の女性調査官がいる。
どうでもいいなぁと思いながらリヒトは頭がおかしいふりをしてアテネに呼びかける。
「がーがーびびー、応答、応答してください」
(大丈夫ですラインは繋がっています。武器類の転送も可能です)
「グッドグッド、りりりりりりりり」
女性の調査官が訳の分からない言葉を述べるリヒトに対して困った表情を浮かべる。その間、リヒトは自分の状況を確認する。手錠に足枷だ。古すぎる。リヒトは自分が侮られていると思ったが、相手方にそんな意図は全くなかった。
常識的に手錠をかけているとマトモな攻撃は出来ない。
だが、リヒトの師匠は手錠をされていても、分厚い鉄板を貫通する拳を繰り出せるし、両足に枷があっても、世界記録保持者よりダッシュが速い・そういう価値観で育ったリヒトにとって、手錠足枷程度は侮りに過ぎなかった
「えー、それでは」
「その前にコーヒーかコーラが飲みたい。できればコーラはコカのほうで」
そんな発言をリヒトがすると何人かが、取調室に入って来た。最後尾にはマンイーターのジジイがいて、色々と合点がいった。
おそらくマンイーターのジジイが化石やら聖杯やらの情報を地球連合に漏らしたのだ。人生長生きだと上手い手が思いつくなぁと思い、リヒトは言う、
「ジジイの中華包丁とクレーバーナイフ見たいんだけど適当なところに置いといてよ」
何をと、と思ったがマンイーターはリヒトから発せられる気配に恐怖を感じ、とりあえず言うことを聞くことにし、言われた物を置いて、さっさと一人だけ逃げ出すのだった。
「ありゃあかんわ、人間じゃない。獣だ」
そう言って、マンイーターは急いで遠くへ離れるのだった。
ガタイの良い男が、座るリヒトに対して見下ろすように立つ。圧力かけたいんだろうけど意味ないんだよなぁと思いリヒトは、しれっとした表情でいる。
その表情が気に気わなかったのかガタイ良い男は拳を振り下ろすが、リヒトは容易く躱して気が付いた。足枷と椅子が繋がっていることに、しかし、それが重要な問題だと考える地球連合軍にリヒトはおかしさしか感じなかった。
師匠は言った。足の挙動だけで人間を殺せる一撃を放つのが、私の流派の基本であると。じゃあいいんじゃね、そう思いながらリヒトは足枷と繋がった椅子を部屋に入って来た地球連合軍の人間に叩き込み、椅子を粉砕するするついでに人間を一人再起不能にした。
「さて、リハビリの開始だ、少しなまった俺の狂気を取り戻させてくれ」
そう言いながら。取調室のマジックミラーをオフにして中を見えなくする。
「こうすると音も映像も外には届かなくなるんだよな」
リヒトはそう言いながら、覆ってくるガタイの良い男の両膝を凄まじい速度のローキックで粉砕し、男を地面に屈服させる。
そして残ったのはリヒトの調査を行おうとした調査官だけだった。
「僕はこれからいろんな人に酷いことをするけど見ててよ。絶対にキミに危害は加えるけど、それでも絶対に殺さない。これは約束だ。指を、小指を出して……出せよ、テメーの代わりなんざいくらでも、いるんだから出せや!」
どこまで正気か分からないリヒトの言葉に対して、女性調査官は小指を出すとリヒトは笑顔で言う。

 
 

「指切りげんまん、嘘ついたら針千本のーます」
そう言った直後、リヒトは女性の調査官の片目に親指を突っ込んだ。
「ああああああ!」
悲鳴をあげる調査官の目をグリグリといじりながら。ニヤニヤと笑いながら、言うのだった。
「見るだけだったら、片目だけでいいよね。そんなに悲鳴をあげるなよ、うるさいと殺したくなっちゃうだろ。それに人生は試練と我慢の連続だよ、頑張って耐えなきゃね」
リヒトはそう言うと、指を引き抜き、取調室を出るのだった。
「アテネ、このフロアを隔離しろ」
(了解です)
その瞬間、エレベーターや階段などの、他のフロアと行き来する手段をこのフロアは失ったのだった。
リヒトはすぐそばに置いてあった、中華包丁とクレーバーナイフに感謝し、ゆっくりとフロアを歩き回る。抵抗しそうな人間は問答無用で殴り倒した。そしてフロアの人間を全員集め、その手足を拘束すると、リヒトは満面の笑顔で言った。
「お医者さんごっこをしよう」
そう言うと、リヒトはガタイの良い男を引きずりだし、ズボンを下ろすとその尻にアテネから転送させた、小型の爆弾を、突っ込んだ。
「浣腸とか、そんな感じ?」
リヒトがそういった直後に男の尻は爆発し、腸内の内容物もまき散らして死んだ。
「クソをまき散らして死ぬのと、そうじゃないの。どっちが良い?クソをまきらして死にたい生き物は手挙げろ」
そう言うと、誰も手を挙げなかった。
「みんな潔癖でいいね。嫌いじゃない。だけど、個人的にはルールを決めないといけなくて……サイコロ持ってる人は?」
全員が首を横に振るので、リヒトは仕方ないと思い、六角形の鉛筆の端を少し削り、サイコロ状にする。
「ルールを決めるかぁ、とりあえずサイコロ振って、出た目の人間だけ殺す。シンプルで良いだろ……ところで、妻子持ちとか夫か子どものいる人はて上げてくんない」
リヒトがそう言うと、結構な人数が手を挙げたが、リヒトはふーん、と言うだけだった。
「いや、意味ないよ。だってこれは事故みたいなもんだし、家族がいるから見逃すとか不公平じゃん。だから、ただ聞いただけ。でも少し安心しかけた人がいるみたいだね。そういう風に考えるのも悪くはないと思うよ。僕が急にヒューマニズムに目覚める可能性あるし」
そう言いながらリヒトはサイコロを転がすこともなく、6の目が出るように机に置いた。
「ということで、6人殺す」
もはやサイコロの意味など無かったが、リヒトはどうでも良かった。
「アテネ。俺のお医者さんセットを出せ」
リヒトの手に大型のカバンが現れる。リヒトはこれで道具も完璧だと思ったが、問題あることに殺す相手が決まらなかったので、とりあえず、二人ほど女性を指名してこう言った。

 
 

「殺しても良い人間を決めてよ」
リヒトはにこやかに言って、その二人の肩を優しく叩く。二人の女性は恐る恐る、指を指した。その瞬間、ハルドは大きな声で言う。
「はい、決定。殺すのはこのふたりでーす」
女性二人はなんで!?という驚愕の表情を浮かべた。その表情に対してリヒトは冷静に答える。
「なんでって、常識で考えろよ。殺す相手を選ぶなんて人間が普通は死ぬべきだろ。ここは自分を指さすべきだって、わからないかなぁ」
そう言うと、リヒトはお医者さんバッグから、注射器を取り出して、二人の首に注射する。
「痛みを感じさせなくなる、素敵なお薬で、ついでに気絶とかもできなくなる。科学の進歩は凄いねぇ」
そう言うと、リヒトはバッグからメスを取り出し、ついでにアテネから小型爆弾を二つ転送してもらう。
「この爆弾は威力が設定できる。小だと、まぁこんな感じ」
そう言って、リヒトは適当に爆弾を投げると、一人の人間の頭が吹っ飛んだ。
「爆発の威力はそこまで大きくない。どんなに頑張っても人間一人しか殺せない。事前情報としてはこれだけだけど、まぁこれからやろうとしていることを考えたらそれなりに大事な情報だよ」
そう言いながら、リヒトは女性の腹にメスを入れ、腸を引き出す。出血は極めて少なかった。
「色々と工夫がある。そんなに出血させない方法はいくらでも」
女性は自分の腸が腹から出ているのを見て、悲鳴をあげたが、リヒトは無視して、もう一人の女性の腹もメスで切り、腸を引っ張り出す。この時点で気を失ってもおかしくないが、リヒトが事前に注射した薬のせいで痛みも感じなければ、気絶も出来なかった。
「ムカデ人間っていう映画があるらしいんだよね。内容は知らないけど、多分、人間をくっつける感じかなぁと思うだけど、とりあえず、それを真似して、ムカデ腸ってのをやってみようと思う」
リヒトはそう言うと、二人の腸を引っ張り出し、適当な長さで切ると、腸内に小型爆弾を入れ、二人の腸を縫合して結合する。
「腸だけに超長いな。……あんまりおもしろくなかったかな。失礼。とりあえず二人の腸は繋いだので、なんというか密接なつながりになったね、そして爆弾も腸内だけど。ここで悲しいお知らせがあってね。爆弾、時間制限があるの。2分くらいかな」
リヒトはそう言うと適当なデスクの上に座り言う。
「二人の内蔵でつながった仲を壊すのは忍びないけれども、仕方ないね。まぁヒントは与えてあるから、どうすればいいか考えて」
それきり、リヒトは黙った。腸を繋がれた女性二人はどうすれば良いのか分からず、困惑していたが、それも少しの間だった。片方が大胆に自分の腸を掴むと、必死で爆弾を相手側へと押しやろうとする。
その意図を理解した相手側も必死で、自分の腸を掴みながら、爆弾を相手側に送ろうとする。
リヒトはその姿を見て、醜いなぁとまったく無関係のもののような感想を抱きつつ、二分を待つ。
そして、2分。爆弾は明らかに片方に寄っていた。自分は生き残ったと思った女性、そして死を確信した女性、リヒトは二人まとめて吹き飛ばした。
「僕は腹に入れた爆弾の威力が、小だとは一言もいってないんだけどね。」
原型をとどめないほどに散らばった女性二人の肉片を踏みつけながら、リヒトは見届け役の調査官の元に行く。

 
 

「感想を聞きたいんだけど?」
「アンタはクズよ」
そりゃどうもと思いながら、リヒトはマンイーターから借りているクレーバーナイフを調査官の手に振り下ろす。
「僕は均一だったり、統制が取れているものが、結構好きだ。でも人間は根本的に均一じゃない部分を持っている。……それは手だ。指の長さが違うせいで均一性が無い。それを気持ち悪いと思ったことは?」
リヒトはクレーバーナイフで女性調査官の指を叩き斬り、左手の指の長さが、全て親指と位置が合うようにした。
「その手は治すなよ。あとで感想を聞きに来るからさ」
そう言って、リヒトは調査官の指を綺麗に治療するのだった。
リヒトは人質と言って良いのか、多くの人間を捕えた部屋の中心に戻ると、急に思い出したことを言った。
「人間の頭っていうのは、もとから少しヒビが入ってるって話しだけど、どうなんだろうね。
赤ちゃんの時、頭が硬いと出て来れないから、自然にヒビが発生して、ヒビのズレで頭がとんがった状態になって出てくるらしい。もっとも生きてるうちに自然に治るらしいけど」
そんなことを言うと、リヒトは、適当にスーツの男を選び、引きずる。
「私には妻子が!」
「よくあるよくある。そういう人間は多いから、特別とは言えないな。奥さんがエイリアンだったりしたら見逃すけど。そうじゃないだろ」
そう言って、リヒトは男を座らせるとメスを使い、頭の皮を剥ぎ、骨をむき出しにする。男は悲鳴をあげているが気にしなかった。
「お、やっぱり、ちょっとヒビの跡があるな」
リヒトは中華包丁を手にすると、頭蓋骨をコンコンと叩いてみる。それだけで男は絶叫するがリヒトは無視した。
「ここをノミで叩くとパカっと行くのかな」
人生は挑戦だな、そう思いリヒトは、男性の頭蓋骨をノミで叩き始めた。しかし、力加減を間違え、ノミは男性の頭蓋骨を突き破り、脳味噌に突き刺さる。
「あんまり面白くないね」
リヒトは男性を蹴り落とすと、再び女性調査官の元に向かった。
「感想は?」
「答えが無いのはつまらないな。結構キミを好きになりかけていたのに邪険にされると意地悪したくなる」
だがまぁ、まだいいかと思い、リヒトはクレーバーナイフを持つと適当な人、フロアにいた人間で一番骨太そうな人間を見つけると、引きずり、その腕にナイフを振り下ろすが。骨が邪魔をしてきれない。男は悲鳴をあげるがリヒトは無視をした。
「骨ごとぶった切れるシロモノのはずなんだけどなぁ、僕の技術が悪いか」
ちょっとしたコツがいるんだろうなと思い、リヒトはもう一本の腕へ目がけてナイフを振り下ろす。ガツンという音が聞こえ、今度は、ナイフが骨に食い込んだ。
「うん、そういうか感じか」
男の方は完全に気絶していた。リヒトは自分のスキルアップのためなので、別に男がどうなろうが興味はなかった。リヒトは、もう少し練習がいるなと思い。太ももをにナイフを振り下ろす。
大腿骨は太いから、苦労するかもしれないがこれが断てればスキルは完成だ。
そう思い、リヒトはナイフを振り下ろすと、ガツンという音がして、男の大腿部が斬りおとされる。
リヒトは断面図を見て、こんなものかと思い、もう片方の足も落とそうとした、その時には、すでに男は死んでいた。

 
 

女性調査官は無言だった。じゃあ、いいかと思いリヒトは何気なく、調査官の残った目に指を突っ込んだ。
そして中華包丁を取り出す。
「人間の美醜を決める重要な要素は鼻って説がある。チャイナの拷問でも鼻削ぎはかなり重いものだったらしいしね。僕はキミを殺しはしないけど、色々と削っていこうと思う。
人間の顔には削れる部位がいくらでもあるからね。死にたくはなるだろうけど、人生我慢の精神で頑張ってね」
そう言って、リヒトは耳を削ぎ、髪を皮膚ごと削り、唇を削いで、舌を裂いて、鼻を斬りおとした。そして最後に優しく眉毛だけを綺麗に剃った。
「のっぺらぼうってこんな感じかな。それでもキミは素敵だから、殺さないでおこう。毎晩僕の顔を思い出してね」
リヒトは女性調査官を、その状態で放置することにした。まぁ再生治療でなんとかなるから、そんなに問題でもないだろうと思ってだ。
もうそろそろ飽きてきた。リヒトはそんな気分だった。狂気を取り戻すと言っても、これではただのルーチンワークでユウキ・カーボンを超えるのは無理だと思ったためである。
「もういいかな」
そうリヒトは言うと、特に何も考えず、何人かをグチャグチャの肉塊に変えると、残った人間の腹に爆弾を突っ込んで、雑に縫合する。そして、肉塊をエレベータまで運ばせるとリヒトは、言う。
「アテネ、エレベーターを戻せ」
小声でそう言ってから、リヒトは叫ぶ。
「解放だ!」
人質の全員が、肉塊が詰まったエレベーター内に入るとリヒトは誰にも気づかれず、肉塊の中に紛れ込む。あったかくて気持ちよくて、ぬるぬるにちゃにちゃとした怒りと憎しみが全身を包むようで、リヒトは言いようのない恍惚感を覚えた。
エレベーターは一回のロビーに無事に到着した。しかし、人質たちは喜びの声をあげるより早く、助けてと叫ぶのだった。
直後、人質たちの身体が爆散し、その全身がロビーに降り注ぐ。まさに地獄絵図だが、これを見てもリヒトの心は満たされなかった。
そんななか恐る恐る、エレベーターの肉塊に近づく人間がいた。全てが人間で形成された小さな山だということを確認すると吐き気を催した表情で離れようとするが、それはリヒトが許さなかった。
「キミもお仲間だ」
リヒトは凄まじい腕力で、肉塊の中に引きずり込むと、その装備を全て奪って、肉塊の一部に加え、自分はしれっとした表情で、肉塊の外へと出る。
もはや、血塗れなのは誰も気にしなかった。なぜなら、人間爆弾のせいで皆が血塗れであったためである。
リヒトは武装した人間を見回しながら叫ぶ。

 
 

「隊長!」
その声に反応を示した男がいた。直後に、リヒトはエレベーター内の肉塊の小山を爆弾で吹き飛ばした。とにかく肉片が大量に飛び散るようにである。
隊長らしき男は、一瞬、それに気を取られたが、リヒトは気にもしなかった。そして、素早く隊長らしき男に近づくと、ナイフでその心臓を貫き殺害する。
リヒトは死んで崩れ落ちそうな隊長の手に細工をし、その場を離れながら叫ぶ。
「隊長がやられた!敵はこちらと同じ格好をしている!」
なんだと!と武装した兵が思った瞬間、リヒトは隊長に施した細工を起動させ、兵を撃つ。
「さて、もういいかな」
リヒトは微妙に同士討ちを始めた敵部隊を尻目に、ノンビリと施設の入り口のドアを開けて、外に出る。
軍の機密施設なのだろうか、施設の周りは、ほとんど荒野だった。
「つまんねぇ」
リヒトがそう言うと、ジェネシスガンダムがリヒトの真上に急に現れる。
(腕の自己修復は完了しました)
「そう、よかったね」
リヒトは実際に会ってみると、アテネに対してバツが悪いような気持ちに襲われた。
「ガッツリ負けちゃったけど、俺のこと好きでいてくれる?」
(当然です。敗北は一時のことです。次はあなたが勝つと私は確信しています)
やさしいなぁと思いながら、リヒトは自分をジェネシスガンダムのコックピットへ転送させるのだった。
リヒトは自分の中の正気の度合いが少し減っているような感じがし、その代り、何かが少し満たされた気がした。ユウキ・カーボンに勝つにはまだ、準備が必要だが、問題はないだろうとリヒトは思うのだった。

 

“狂気”か、リヒトなんかが言っていたな、自分や父さんの力の源泉だと。エルヴィオはそれが全く理解できなかった。実際に狂人と呼ばれる人間や、狂気の犯罪者など呼ばれる人間と対面したことはあるが、そういう人間は明らかに狂った発言をするが、
リヒトらにそういう兆候は見られなかった。わりと常識的な部分と、ありえないぐらい非常識な行動をとるという点を見れば狂気の片鱗は感じるが、それでも何かが違う気がした。
そういえば、リヒトの父が言ったことがあったと、エルヴィオは思い出す。
「俺たちは、正常な人間が持つ頭の中の思考や神経のラインをぶっちぎって、殺意と享楽の束になったラインに接続することが出来る。それによって、戦闘や殺人に特化した脳の状態を作るわけだ。抽象的で科学的な要素は何も無い観念的なものだが、俺たちには確かにある」
エルヴィオはにわかには信じがたかったが、そういう人間もいるものなのかと、人類は可能性に溢れているなと思ったが、後に疑問に思う。
そんな思考回路を形成するために、どんな訓練をすればいいのか、エルヴィオはリヒトに聞いてみたが、リヒトは笑って誤魔化すだけで何も答えなかった。
それだけで、壮絶な思いをしたのだろうとエルヴィオは思い。それ以後、グレン家の“狂気”には追及しないことにしたのだった。

 
 

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