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KtKs◆SEED―BIZARRE_第03話

Last-modified: 2008-02-09 (土) 09:06:10

 『PHASE:03 スターダスト・ウォーリアーズ』









「で、お前さん、誰を殺したいんだ?」



 それが一年前、ポルナレフがシンに剣を教えた初日に放った一言だった。後に聞いた話によると『目を見てピンときた』とのことらしい。

 狼狽するシンに対し、彼は更に言葉を続けた。



「『先人』としてアドバイスだ。復讐をするのはいいが……人生を楽しむことも忘れちゃいけねえぜ?」



 そう言って、その後何度も見ることになる笑みを始めて浮かべたのだった。



 ポルナレフは自分からそれ以上のことは訊かなかったが、気がつけばシンは自分の胸のうちを彼に話していた。泥のように重く沈殿したその想いを、吐き出したいと思っていたことに、シンはそのとき気がついた。




 オーブが理念に固執した挙句に起こった戦争。目の前で殺された家族。流れ弾を落としたフリーダム。ちぎれた妹の腕。理不尽に攻め込んだ連合軍。焼かれた故郷。



「オーブが、アスハが、中立を固持したせいで、俺の家族は……」

 シンの話を聞き終わると、ポルナレフは自分のことを話した。



「俺の妹は、ある男によって辱められて殺された。俺は必ず復讐を果たすと誓った。妹の魂の尊厳とやすらぎは、仇の死によって償わせなければ取り戻せない。しかるべき報いを与えてやるとッ!」




「……仇は、とったんですか?」

 シンは、おそるおそると聞いた。



「針串刺しの刑にしてやったよ。後は、閻魔様任せさ。だがね……」





 ポルナレフは続けた。



「つい、最近のことだ。友人を失った。ブルーコスモスのテロでな。俺が『こっち』に来てからずっと親身に世話してくれた大切な友人だった」



 シンは、『こっち』というのが『プラント』のことだと思った。大戦時、プラント側についたナチュラルだと聞いていたからだ。

「今また……俺は復讐へ向かおうとしている。幸いというか、仇はテロリストだ。犯罪者として指名手配されてもいる。議長も、情報があればすぐに伝えてくれると約束してくれたよ」




 その目には力があった。絶対に仇を見つけ、この手で討つという『漆黒の殺意』があった。



「けどな……お前はどうだ? お前の仇は誰だ? 何だ? オーブか? 連合か? フリーダムか? その仇をどうする? 死んだ者たちのためにどうしてやればいい? 俺の場合は、仇がはっきりしていた。絶対的な悪がいた。何をすべきかもわかっていた。今もそうだ。


だが、お前の場合はもうちょっと複雑だぜ?」



 それは、そうだ。自分には復讐心がある。怒りがある。憎しみがある。だが、何に対して?

 理念を守って民を見捨てたオーブか?

 理不尽に攻め込み、国を焼いた連合か?

 家族のいる上空で戦闘をしたフリーダムか?



「俺が憎んでいるのは……弱者の命を奪う、理不尽な運命の、すべてです」



 顔を今にも泣き出しそうにくしゃくしゃにしながら出した、その言葉がシンの答えだった。シン自身、今、改めて考えて気づいた、真の仇だった。







「運命、か。どぎつい敵だなそりゃ。俺のとは比べ物にならねえ」



 ポルナレフはそう言って、手に顎を乗せる。



「運命は、変えようがないからこその運命だ。もしどうにかするとしたら……」

「するとしたら?」



 答えが返ってくるとは思わなかったので、シンは若干驚きつつ訊ねた。



「超えるしかねえな」

「超える?」



 ポルナレフはああ、と頷き、



「運命は変えることはできない。変えられるくらいなら運命とは言わねえよな。だがそれでも、恐れずに立ち向かい、突き進んでいけるのなら……超えることはできる。

運命に破れ死ぬとしても、その立ち向かった勇気は受け継がれて、誰かの希望となり、運命に立ち向かう者を増やしていくさ。

たとえ負けるとわかっていても、なお運命に立ち向かえる、強い精神を持った、運命の恐怖を超えた奴らを」



「運命を、超える……運命と、立ち向かう……」



「そういう奴らを俺は知っている。彼らは死の運命を恐れなかった。奴らは、たとえ死ぬとしても、自分の正しいと信じる道を貫いた。

運命に堂々と立ち向かっていったんだ」



 それは、神の名を持つ吸血鬼と戦った者たち。悪魔の名を持つギャングのボスと戦った者たち。



 思い出に浸りそうだったポルナレフは、シンが深く考えているのを見ると、真剣な顔から一転、からかうような顔になり。



「まあ、少しは楽に考えることだな。思いつめてばかりじゃ壊れちまうぜ?」



 ポルナレフはシンの髪の毛を乱暴にかき回して言った。





「ちょっ、やめてくださいよっ!」

「ははっ! ……だがなシン」

 ポルナレフは今までで最も真剣な顔になった。



「失ったものばかりを見すぎて、今あるものまで失うようなことだけには、なるなよ」



 シンはハッとして、頷いた。そんな月並みなことすら、頭になかった自分がどこまでも阿呆に思え、赤面する。



「さてっ!! じゃあちょいと遊びにいくかッ!! いい店知ってんだ。行くぜ!!」

「へ?」



 真面目な顔から一転、急に鼻の下を伸ばし気味にして、シンの腕をとるポルナレフに、シンは頭の働きがついていかない。



「なんだぁ? 恥ずかしがるなよ。まあちょいと早いかもしれねえが、こういうのは経験しておくだけ損にはならんぜ。復讐のためにその1! 復讐は復讐として人生は楽しむこと!!」


「え、ちょ、ちょっと待ってぇぇぇ!?」



 その後、シンの経験したことについて、彼は黙秘を保っている。



 ともあれこれが、シン・アスカとジャン・ピエール・ポルナレフの出会いであり、交友の始まりであった。





「この船、発進するのか?」



 カガリは前を行く赤い髪の少女に訊ねた。だが、彼女が答えることはなかった。

 アスランとカガリは、ミネルバに入艦していた。しかし、侵入者に新型MSを強奪されたザフトは、当然のことながら見知らぬ客人に厳しい態度を示した。

二人は周囲を兵士によって取り囲まれ、監視を受けながら議長のもとへ案内されている。居心地は悪いが仕方がない。

 しかし、アスランはどうにも気になって仕方ない人物がいた。彼の背後を歩くザフトレッド。

鋭い眼光で、油断なくこちらを見つめている。だが、他のザフト兵と違い、ピリピリした警戒感はなく、余裕が感じられた。いつでも殺せるという余裕が。



(確か……形兆と呼ばれていたようだが……危険だ……議長に早く会いたいものだ)



 アスランは緊張で喉が渇いていくのを感じていた。









 タリア・グラディスの命令により、新造艦ミネルバは宇宙空間に突入していた。

『ボギーワン』と命名された敵艦を討つために。



「インパルスとザクは交戦中です!」

 メイリンの言葉と同時に、画像が開く。

 そこには、インパルスとザクの二体に対し、互角に戦う一体のMAの姿があった。周囲にはポッドから発射されるビームが散乱している。



「面倒だなあいつは。よほどスピードと先読みをうまくしねえと壊せないぜ」

 ポルナレフは顎に手をやりながら言う。だがそれほど心配そうではない。



「けどシンの奴なら……時間は多少食うだろうが、落とせなくはないだろうな」

 そう言ったとき、ちょうど二基のポッドがインパルスとザクによって、一基ずつほぼ同時に破壊された。ポルナレフはヒュウと口笛を吹く。



「やりましたよ!」

 ミネルバ副長、アーサー・トラインがはしゃぐ。

「そうはいっても、二体ともエネルギーは大して残っていないはず……帰還命令を!」

 タリアの命令はすぐ実行された。



 ――――――――――――――――――――――――



「おっと、やばいな」

 ネオはミネルバの艦影を見つけて、すぐさま離脱する。白い新型MSを奪えなかったのは残念だが、奪った三機と実行者六人は、無事帰還できたのだから大戦果というところだろう。




 ――――――――――――――――――――――――



「シン、帰還命令だ」

「わかってる……けどあと一歩だってのに……」

 シン、レイも渋々ながらミネルバへと帰還した。あと一歩、それは事実かもしれないが、その一歩が踏み出せなかったのも、また事実。それがわかっていても、シンはその帰還命令に不服を感じていた。




 三人の戦士は、それぞれ自分の巣への帰路についた。









 ガーティ・ルーに帰還したネオを、すでに戻ってきていたブチャラティが待っていた。他の五人の姿はない。ネオとしては、野郎の顔よりは、対象外年齢でも可愛いステラの顔に出迎えて欲しかったのだが。


そんなネオの内心は知らず、あるいは知らぬふりをして、ブチャラティは言った。



「任務は果たしたぜ」

「ああ」



 二人はたったそれだけ言葉をかわすと、次の行動へと移行した。ネオはリーにアイ・コンタクトを取る。

「かなり足の速い艦のようです。厄介ですぞ」

 堅物だが気の利く副官は、ネオの意図を読み取ってそう答えた。ブチャラティは口を出さない。艦の運用は彼の領分ではないのだ。しかし、彼を邪魔に思う人間はここにはいない。


何をせずとも、いるだけで心の支えになる人間が稀にいるが、ブチャラティはそう人間だった。



「なぁに、お客様にかっこ悪いところは見せられない。逃げ切って見せるさ」



 ネオは危機的状況を軽くあしらうと、艦員への命令を下し始めた。











「よっ、惜しかったな」



 そう言って陽気にシンを出迎えたのは彼の教官、ジャン・ピエール・ポルナレフだった。



(よりによって一番会いたくない人に……)



 出迎えにくるだろうと予想はしていたが、実際会うと、更に自分の失敗が恥ずかしくなってくる。こっぱずかしいのではっきり言ってやったことは一度もないが、今、目の前にいる男は、多分、シンが最も尊敬している男なのだ。


だが、そんなシンの内心も知らぬ顔で、ポルナレフはどこか芝居がかった態度で話しかける。

「ったくよぉ。手加減して捕獲するなんて器用じゃないだろお前はよぉ。いつもの反抗期少年らしく、命令無視して手足の2,3本ぶったぎっときゃよかったってのによ〜」


 やれやれしかたねーなー、とばかりに目を瞑って首を振り、『がっかり』の意を表すポルナレフ。



「つ、次は勝ちますよ!!」

 シンは顔を真っ赤にして怒鳴った。



「次ねえ。次がありゃいいけどね。今なら俺も出撃できるし、キミの出番はあるかねぇ〜」

 ニタニタと意地の悪い笑みを浮かべるポルナレフ。本当にこの人は笑みの表情が豊かだと変に感心しながらも、シンは不貞腐れた顔になる。



「ああそれと……マーレの奴、生きてるそうだぜ」



 あっさり言われて、一瞬、理解が遅れる。



「MSの発進に巻き込まれて怪我はしたらしいが……命に別状はないとよ。憎まれっ子は世にはばかるもんだよなぁ」



 それだけ言うと、シンの肩を叩き、



「ま、お前はあるかもしれねえ出番を待って休んでろ」



 そうして、今度はレイを出迎えに行った。

 下手な慰めより、からかうことで、気を落ち込ませないようにしてくれたのだろう。考えすぎかもしれないが、シンはポルナレフの態度をそう解釈し、彼の言うとおり、少し休みをとることにした。


 次の戦いに備えて。











 ミネルバに激震が走る。敵艦から予備の推進装置を叩きつけられたのだ。

 アスランとカガリを案内した後、レクルームにいた形兆はその激震にも眉をひそめただけだった。 

 周囲の人間が慌てる中、平然と紙コップに入ったコーヒーをすする。



(さっきの……オーブ代表とかの護衛をしていた男……代表はアスランと呼んだが……)



 このミネルバが戦闘に出ると知ったとき、焦って思わず言ってしまったというふうだった。

 もし、あいつが噂のアスランだとすれば、イメージとは随分違う。

 英雄というから、空条承太郎のようなクールで気迫のある、見た目からして油断のできない戦士像を思い浮かべていたのだが。

 そう考えているうちに放送が入り、ボギーワン追撃が開始されたことが報告された。



「逃げられたのか」



 形兆は紙コップをゴミ箱に放り投げる。軌道からして、入りそうになかった紙コップは空中で跳ねとび、軌道を修正されてゴミ箱に収まった。紙コップには、小さな銃弾の跡から薄い煙が昇っていた。




「おいおい、随分とものぐさじゃねえか」



 形兆に声がかけられる。形兆は声の方向を向きもせず、無視することにした。

「無視してんじゃねーよ」

 不機嫌な声だったが、やはり無視した。

 声の主はポルナレフだった。





「シンとレイ、帰ってんぞ。ねぎらいでもしてやったらどうだ?」



 ポルナレフはそう言うが、形兆は断固として無視した。

 周囲がピリピリと帯電したような空気になっていき、レクルームから人が逃げ始める。

 形兆はポルナレフのことが嫌いだった。性格が合わないと言うのも充分な理由だが、彼らの場合、過去がその関係を更に悪化させていた。



 かつて、DIOという男がいた。邪悪の化身、悪の救世主、闇の神話。絶対的な力とカリスマを持ち、100年以上の時を生きた不死身の吸血鬼であった。

 その目的は『世界の支配』。どこのチープな子供番組の悪役かと言いたくなるような野望だが、DIOは本気だったし、最悪なことに、それだけの力も有していた。



 虹村形兆の父親は、そのDIOの部下であった。だが、信用されてはいなかった。

 そして、DIOは信用できない部下にある仕掛けをしていた。

『肉の芽』。DIOの細胞からつくられたそれは、人間の脳に食い込み、その人間を洗脳し、必要とあらば脳を侵して殺してしまう。

 だが、それならば形兆の父親も、まだ救われたかもしれない。しかし、形兆の父親の運命は更に過酷で悲劇的なものだった。

 形兆がまだ8歳の小学生のとき、それは起こった。父親の顔が崩れ、次第に『人間じゃなくなっていった』のだ。

 肉の芽の暴走。DIOの死により、肉の芽が制御を失い、体から取れるでも、脳を破壊するでもなく、宿主の肉体と一体化してしまったのだ。

 DIOの不死の細胞と一体化した形兆の父親は、もう死ぬことはできなくなった。

 理性も失い、我が子の顔もわからなくなり、生きているだけの肉塊となり、永遠に無為に生き続けるのだ。







 そして、そのDIOに死を与え、父親の絶望を生んだのは、このポルナレフを含めた、ジョースター一行であった。

 それがたとえ正義によって行われたことであろうとも。

 しかも、調べによれば、ポルナレフも肉の芽を植えつけられていたのだ。しかし彼は承太郎によって肉の芽を除去された。

 この運命の違いはなんなのか?

 それらのことが、形兆に複雑な憎しみを抱かせていた。

 理不尽な恨みとは形兆も自覚していたが、その恨みを消し去らなければいけない理由は特に思いつかなかった。

 過去がなくても好きになれそうもない男である。気にせず嫌うことにしていた。



 ポルナレフも形兆の敵意には気づいていたが、『どうしても仲良くなれない奴はいるものだ』と、深く気にはしなかった。

 ただ、性格上無視できず、突っかかっていってしまうことが多く、その度に酷く険悪な空気を振りまき、時に毒舌を吐きあい、時にはなぜか周囲のものが壊れるという奇妙な現象を起こし、クルーを恐れさせていた。




 幸いというべきか、このときは舌戦も、破壊現象も起きず、ポルナレフはレクルームを出て行った。

 形兆はコーヒーをおかわりした。







 アスランとカガリは、デュランダル議長によってミネルバを案内されていた。

 議長がザフト施設を案内するのは、アーモリーワンに続いて二度目だが、今度は更に機密度が高い。

 議長がミネルバの見物を進めたときの、苦虫を噛み潰したようなタリアの顔をアスランは思い出す。



(実際、こんなことは普通ありえない。彼は何を狙っている?)



 形兆といた時とは違う緊張が、アスランを襲う。

 まったく毛根によろしくない。アスランの思いをよそに、議長は案内を進めてく。

 そこに、



「お、また会ったな、生真面目な兄ちゃん」



 明るい声が響いた。

「ポルナレフさん……」

 アスランは見知った顔を見て、少し心が落ち着いた。

「あなたは確か、アーモリーワンで私たちを守ってくれた方だな?」

 カガリが言う。

「いやいや礼には及びません」

 ポルナレフは得意げに返答した。

「ポルナレフ、今、ミネルバを代表にご覧いただいているところだ」

「ほほう、そいつはさぞ、グラディス艦長が機嫌を悪くされたでしょうな」

「はは、まあね。君も同行したまえ。君のように不真面目な男がいると、代表の緊張も和らぐだろう」

「よりにもよってあなたに言われると傷つきますな。まあ、腹黒狸から姫を守るは騎士の務めというものですからな」

 ポルナレフはイタズラっぽく言って、同行することに頷いた。

 アスランとカガリは、遠慮のない物言いをする議長とポルナレフの、上司と部下らしからぬ態度に、改めて驚いていた。









 シン・アスカは苛立ちのため、あまり休むことができなかった。

 この艦にあのアスハの人間が乗っている。自分の家族の、死の責任を担うものの一つである、アスハの人間が!

 ルナマリアが言うには、そのアスハの護衛を行っているのは、あの前大戦の英雄アスラン・ザラであり、自分を助けたザクは彼の操縦していたものだったらしい。

 しかし、そのことはシンの関心を引かなかった。

 英雄がアスハの護衛をしていることは不思議だったが、特に理由が知りたいわけでもない。

 アスハのことは別として、会ったら助けてもらった礼の一つも言っておくとしよう。



 ルナマリアはアスランのことを話し終わると、町で会ったカッコいい男性とやらについて話し出し、あの騒ぎに巻き込まれていないだろうかと心配していた。

 その話に適当に相槌をうっていると、エレベータが開いたのに気づいた。

 そして、そこから出てきたのはデュランダル議長と、ポルナレフ教官と、レイと、苛立ちの原因となっている人物だった。



   ―――――――――――――――――――――



「力など持つべきではないのだと?」

「そもそもなぜ必要なのだ!? そんなものが今更!」



 シンは、カガリの言葉を聴くうちにどんどん怒りのボルテージを上げていった。

(力が必要ないだって? いいや、必要なんだ。守るためには、力が必要だったのに!!)



 ポルナレフはシンに言った。運命に立ち向かうことで、運命を超えられると。

 では、アスハは運命を超えたのか? 連合に焼かれるという運命がわかっていても、理念を貫くために立ち向かい、運命を超えたのか?

 シンはそうは思わない。なぜなら、国民には自分の運命を選ぶ自由は与えられなかったのだから。アスハが勝手に運命を選び、国民に自らの運命を押し付けたのだ。



「我々は誓ったはずだ! もう悲劇は繰り返さない! 互いに手を取って歩む道を選ぶと!」



(そんな奇麗事を!! 悲劇を選んだのは、押し付けたのは、アスハじゃないか!!)



 シンが思わず怒声を口走りそうになったとき、



 ゴンッ!!



 重い音が響いた。見れば、ポルナレフが壁に拳を押し付けてた。さきほどの音は、壁を殴りつけた音だろう。

 感情をはじけさせていたカガリや、冷静に応じていたデュランダル、カガリを押しとどめようとしていたアスランも、呆気にとられてポルナレフを見る。



「もうやめましょうや。こんなところでややこしい政治の話はするもんじゃない」



 彼の顔には表情は浮かんでいなかったが、どこか哀しみや苛立ちが含まれているように思えた。



「ましてや……ついさっき同僚を殺された者たちのいる前で、議論なんかするもんじゃねえ」



 カガリがハッと息を呑んだ。そして、格納庫で作業をするクルーたちの反応を見回す。

 クルーたちは、困惑、呆然、苛立ち、様々な表情をしていたが、その中に一人、強い怒りの目でこちらを見ていた者がいた。

 赤い瞳と黒い髪をした、ザフトレッドの少年。



「……っ!」

 その怒気に、カガリが怯んだ時、『ボギーワン』発見の報が届いた。







 にわかに周囲は動き始め、その少年はモビルスーツデッキから飛び出していった。



「あ……」



 カガリはその背中を引き止めたく思ったが、引き止めてどうしたいのか、自分でもわからなかった。



「それじゃ俺も行きますか」



 ポルナレフはさきの雰囲気が嘘のように元気よく言った。



「代表、俺は思ったことを考えずに言っただけなんで、気にせんでください」



 カガリはそう言われたが、とうてい気にしないなんてことはできない。他者のことを考えない、自分の浅はかさを思い知らされたのだから。



「思いのほかじゃじゃ馬じゃねえか。お前がしっかりしとかねえと大変だぜ?」



 アスランの耳元でそっと囁く。ただの随員に言う台詞ではなかった。実は自分たちの関係が感づかれているのかと、アスランは唾を飲み込んだ。



「じゃ、ちょいとぶった切ってきますよ」



 最後に議長に敬礼すると、ポルナレフは飛んで行った。横にいたレイも、『失礼します』と言い、ポルナレフの後に続く。

 カガリとアスランは、複雑な顔でそれを見送った。



 



「ルナマリア・ホーク、ザク、出るわよ!」

「シン・アスカ、コアスプレンダー、行きます!」

「虹村形兆、ザク、出撃!」



 三人のザフトレッドが、各々の機体に乗って出撃した。その後を二体のゲイツRが続く。

 ボギーワンはレーダーに映る光点を見るに、宇宙に漂うゴミの集積地帯、デブリベルトにいる。



「あんまり成績よくないんだけどね。デブリ戦……」

 ルナマリアが呟き、シンが油断しないようにと注意する。形兆はずっと無言だ。

 彼がシンやルナマリアと話すことはほとんどない。レイのように無口なのではなく、こちらと付き合う気がこれっぽっちもないのだ。



(せめてポルナレフさんだったらな)



 と、ルナマリアは思う。女好きなところが苦手だが、少なくともこの重苦しい空気を背負った男よりはマシだ。

 シンも、形兆のことは苦手にしている。というより、彼を得意な人間などミネルバにはいないだろう。

 だが、MS操縦の腕は確かだ。訓練で勝ったことは一度もない。一瞬にして状況を把握し、戦場のすべてを利用しつくし、敵を倒す計画を立てて、そのとおりに実行する。 その判断力は、まさに神業だ。




「おかしい」



 そのとき、突然形兆が口を開いた。シンもルナマリアも驚き、言葉を失う。



「これだけ近づいているのに反応なしだと……?」



 形兆は、ボギーワンの位置に眉をひそめる。確かに、距離一五〇〇にして、何も行動をしないというのはおかしい。相手が気づいていないはずが……



「……罠ッ! 本命はミネルバか!」



 形兆が叫び、急ぎミネルバに報告しようとする。だが、そのとき攻撃は開始された。







 形兆が事態に気づいた頃とほぼ同じ頃、グラディス艦長、アスランも、敵の狙いに気づいていた。だが、気づいた時にはもう遅い。



「ボギーワン、ロスト!!」

「熱紋四! カオス、ガイア、アビスが現れました!!」

「ボギーワン、確認! 距離、五〇〇!!」



 次々と、降りかかる悪い報告に、タリアは唇を噛む。

 ボギーワンは、エンジンを切ってなりをひそめ、代わりに偽のデータを出す囮を発射していたのだ。

 戦力の一部が囮を追いかけていった隙に、本陣であるミネルバを潰すという作戦だったのだ。そして、我々はそれに完全に乗せられてしまった……!



 更に三体のMSがミネルバに向かっているという報告が入る。ボギーワンからもミサイルが発射された。

 タリアは指示をとばし、ミサイルを迎撃する。ミサイル爆発の衝撃にミネルバが揺れた。



「メイリン! シンたちを呼び戻して! レイとポルナレフも出撃を!!」



 タリアの命令が響いた。



 ――――――――――――――――――――――



「戻れったって!! くそぉっ!!」

 ガイアの攻撃を銃撃でけん制しながら、シンが叫ぶ。シンたちの前に現れた四機。カオス、ガイア、アビス、ダガーL。

 それらは、二体のゲイツRをあっという間に撃墜し、デブリの漂う空間を、縦横無尽に飛び交った。







「この、このぉっ!!」

 ルナマリアが砲撃するが、彼女の前を飛ぶダガーLには当たらない。



「ダガーLでどうしてこんな動きがっ!!」

 ザクよりスペック的には下のはずのダガーLを撃ち落せない苛立ちに、ルナマリアが思わず言葉を吐いた。

 だが、実際はダガーLがことさら速いわけでも、操縦が彼女より遥かにうまいということでもない。

 ただ、こちらの次の攻撃がわかっているかのように動き、攻撃の狙いをことごとく外してくるのだ。



 ――――――――――――――――――――――



『おっさん、そんな旧型で大丈夫か?』

 ダガーLのパイロットに、アウルから通信が入る。



「なに、慣れないザクなどより、よほどやりやすい」



 ダガーLのパイロット、ダイアーは答えた。

 彼は相手の立場に身を置き、その動きを予測することで、ルナマリアの攻撃を完全にいなしていた。

 それは、かつて親友ウィル・アントニオ・ツェペリと共に受けた戦いの教え。



(戦いの思考その1、敵の立場で考えよ!)



 そして、



(戦いの思考その2、恐怖を我が物としろ。その時、呼吸は乱れない!)



 彼は波紋戦士として、どんな場所でも平常心で戦えるように訓練を受けていた。それは柱の男たちとの戦闘を想定した修行であった。

 落ちたら助からない高度に張られた、一本のロープの上での戦闘。敷き詰められた針の山で、針先に乗りながらの戦闘。

 そういった特殊条件下で戦うことに慣れたダイアーは、この宇宙空間においても精神が乱れることはない。それが、彼の最大の武器であった。



「まあ、今回の本命はこちらではないし、MSでの戦闘も私の本領ではない。せいぜい、足止めに専念するとしよう」



 言いつつ、赤いザクを銃撃する。しかし、かすめる程度で直撃した弾はなかった。

(やはり飛び道具も向いてないな。やはり私には、無骨な肉弾戦が合っている)

 ダイアーはそう思うが、それでも経験不足のルナマリアにとっては手強い相手であり、彼女はこの戦場において、仲間のフォローをする暇を与えられなかった。











 形兆もまたカオスと戦っていた。

 だが、この時のカオスは、前回の様に形兆のザクと正面きって戦おうとはしなかった。接近して攻撃しては、すぐに離脱する。

 これを繰り返し、時にビームによる長距離攻撃を浴びせ掛ける。



「ふん、最初にやりあったときは、血の昇りやすい猪武者かと思ったが、反省する頭と、成長する精神を持ってはいるようだな」



 少し感心してやりながらも、形兆は余裕を崩さない。

 その形兆の背後に浮かぶ、壊れたステーションの内部から壁を貫通して、MA化したガイアが襲いかかった。

 だが、その突然の攻撃にも形兆はすぐさま対応し、シールドで防御し、受け流す。ガイアはまたデブリの陰に隠れていった。



「ふん、まあ予想内の攻撃だな」



 かつて『予想外の攻撃』によって敗北を味わった形兆であるが、予想の範囲内である以上は、多少の不意打ちは軽くしのげる。

 もっとも、その優れた判断力を持ってすれば、予想外の攻撃であっても大抵はなんとかできるのだが。



 形兆のスタンド、『極悪中隊(バッド・カンパニー)』は、十分の一サイズの歩兵60名、戦車7台、戦闘ヘリ『アパッチ』4機によって構成された、スタンド軍隊。

 一体一体の力は弱いが、一斉に攻撃させれば恐ろしく強力なスタンド。

 このスタンドを、彼は完璧に操れる。それは、彼の強い精神力と、戦闘技能の表れであった。



 スタンド使いとしての戦いで磨かれた戦闘能力は並みではない。

 素早く状況を把握し、周囲のすべてを利用し、自分と相手の射程距離を測り、能力を分析し、敵の隙を見逃さない。それができなければ、生き残れはしなかった。

 実戦経験のないシンたちとは違う。修羅場を潜り抜けてきた卓越した戦士なのだ。



「それでも、こうも足止めに徹されると、囲みを破るのは難しいな」



 形兆は口を歪めて不機嫌になるが、シンやルナマリアと違い、ミネルバのことを心配し、焦りを覚えることはなかった。

『この世界』に、彼の心配の対象となるものはないのだ。









「くそったれ、まだ敵わねえのか」



 スティングが悔しげにうめく。今の自分の実力では、あの暗緑色のザクの余裕は崩せない。

 今は、仲間と協力して足止めをすることくらいしかできない。



(だが、いつか、いつか絶対……!)



 現状の非力をかみ締め、成長を目指すその精神。それこそが、ゆりかごにくるまれた柔な精神では育ちえない、真の強さであった。



 ――――――――――――――――――――――



「ミネルバに……戻らなくちゃいけないんだ!! どけぇっ!!」

 シンが吼えるが、アビスのビームによって進路を塞がれ、デブリの陰に潜んでいたガイアに側面から襲撃される。

 ガイアのパイロットたちよりもシンの方が腕は上だが、楽に振り切れるほどの差ではない。



 シンたちが、ミネルバの救援に駆けつけるのは、なかなか難しそうだった。









 ミネルバは、敵のミサイルによって爆裂した小惑星の破片をくらい、身動きがとれない状況に追い込まれていた。上に飛べばもろに攻撃をくらう。

 右舷スラスターにダメージを受け、左には動けない。右は岩肌。

 前方には爆裂にはじかれ、小惑星に突き刺さって固定された巨岩。そして後方には敵の艦。まさに八方塞。

 タリアは、ミネルバを守るためにMSの発進を命令した。その命令によってレイの白いブレイズザクファントムと、ポルナレフの乗るブレイズザクウォーリアが出撃した。


 敵はエグザス一機、ダガーL二体、そしてダガーLの次世代MSであるウィンダムが一体だ。



「グフは、時間がなくて積み込めませんでしたが……ザクで大丈夫ですか?」

 ポルナレフは、銀色に塗られたグフイグナイテッドを専用機としていたが、アーモリーワンの混乱の中で、ミネルバに積み込むことはできなかった。



「舐めちゃいけねえぜ青二才」



 ポルナレフはレイに答えると同時に、突撃した。真っ直ぐ敵のダガーLに切りかかる。

 ダガーLはビームを撃って応戦するが、その射線を読んだポルナレフにことごとくかわされていく。

 あっという間に肉薄し、すれ違い様にトマホークでダガーLを切り倒した。

 すぐにもう一体のダガーLに狙いをつけ、突進する。二秒後、そのダガーLも、同じ運命を迎えた。

 ものの十秒足らずで、二体のダガーLが宇宙の藻屑と消えた。



「グフもザクも同じなんだよ!! 問題はパイロットの腕よ、腕ぇ!!」



 ポルナレフは高らかに言うと、次はウィンダムに向けて切りかかった。だが、ウィンダムは予想外に速い動きで、その攻撃を防いだ。



「おっ!?」



 ポルナレフの口から驚きの声が出る。

 ウィンダムはシールドで攻撃をはじくと、ポルナレフのザクを押し返し、ビームを浴びせてきた。

 それは当然のごとく避けるポルナレフだが、その反応速度に並みならぬものを感じた。



「へえ、ほんのちょっとはやる奴もいるんじゃねえか」







 ポルナレフが軽口をたたいて移動しようとする。

 だが、ウィンダムはビームを放って進路を塞ぐと、ポルナレフほどでないにしても相当な速さで、ポルナレフのザクに肉薄し、ビームサーベルで切り付ける。



(こっちの弱点をわかってやがるなこいつ!!)



 実のところ、ポルナレフの操縦技術は際立って高くはない。それゆえに、彼は速さで勝負する。

 他のパイロットが衝突などを恐れて出さないような速度で動いて突撃し、相手に対処の隙を与えずに勝負をつける。その速度は、シンやレイ、マーレでも捉えきれない。


 普通なら軌道を読まれて撃墜されそうなものだが、そんな攻撃すら、射線を読み取って避けることができる。それは、彼の人間離れした動体視力と反応速度の賜物だ。

 だがそれゆえに、繊細な操縦技術を要求される、正面から取っ組み合うような戦いは苦手である。

 剣の修行でつちかった見切りの技術と速度で、操縦技術をおぎなうが、それも凄腕の相手には長くは持つまい。

 そして、この相手は凄腕であった。しかも、優勢に立ってなお油断も隙もなく、そこにつけこむことを許さない。



(レイの助けは期待できそうもねえ……やばいかな。悔しいが、MS戦は形兆の奴の方がうまいんだよなぁ)

 ポルナレフは、MAと戦うレイのザクをチラリと見ながら思った。形兆は、ポルナレフよりもMSでの実戦経験が豊富である。

『この世界』に訪れたのは、ポルナレフと同じ2年前のはずだが、形兆は早くから議長と出会い、部下となってMS訓練を受け、テロリストなどとの実戦も経験している。


 ポルナレフも早いうちからMS操縦を覚えたが、戦闘訓練を始めたのは形兆よりも遅い。

 生身での戦闘経験と執念で、並みのコーディネィターより遥かに速く腕を上げたが、それでもまだ形兆には及ばない。

 成長の余地はまだまだあるが、実戦では今のポテンシャルがすべてなのだ。



(やっぱりグフの方がよかったなぁ)

 ポルナレフは早くも前言を撤回し、この状況を切り抜ける方法を考えていた。







「凄まじい動きだ……あれほどの動きをして、恐怖のひとすじほども感じてはいない。この精神力と才能……ミスタを思い出すな。だが今ならまだ俺の方が上だ」



 ブローノ・ブチャラティはウィンダムを操縦し、ザクに対し、ビームサーベルを振るいつづけた。

 より正確に言えば、ウィンダムを操縦しているのは、彼のスタンド『スティッキー・フィンガーズ』である。その動きは人間を凌駕していた。

 ブチャラティ自身のMS操縦経験は長くないが、『スリーピング・スレイヴ』の隊長として、実戦に身を置いて身につけた操縦技術は、すでに高いものであった。

 それは、MSにおける実戦経験の乏しいポルナレフとの、大きな差となっていた。

 実戦で磨いた操縦技術と、スティッキー・フィンガーズの速度、この二つによって、ブチャラティは完全にポルナレフを上回っていた。

 それでもブチャラティは油断しない。油断したら必ずそれを見逃さず、起死回生を狙う相手であると、直感的に悟ったのだ。



 ザクはさきほどのようにバーニアを噴かせ、高速移動で逃げようとする。



「させん!」



 ブチャラティもさきほどのように、ザクの進路を塞ぐためにビームを撃った。

 そのビームは動きを止めれば当たらないはずのものだったが……そのザクはあえて動きを止めなかった!!



 空気のない宇宙空間に、爆発音のない爆発が輝いた。



「なにぃ!?」



 ザクの右腕がビームによって破壊、切断された。

 そして、本体と切り離された右腕と、その右手に握られたビームトマホークが回転しながらブチャラティのウィンダムを襲う。

 ザクがビーム命中の瞬間、腕を振るったためだ。

「くっ!」

 ブチャラティはそれを回避した。そしてその動きがタイムラグとなり、ザクはウィンダムの間合いの外に飛んでいってしまった。







「なんて真似を!」



 奇策をくらい、ブチャラティは歯噛みする。

(ビームトマホークがこちらに飛んできたのは計算された結果などではない。狙いはあったのだろうが、それが成功したのは奇跡だ。

 だがその奇跡は、奴の覚悟があったからこそ生まれた奇跡!!)



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(どうにか逃げられたか。だが次に捕まったらおしまいだ。レイの奴を手伝ってMAを沈めてから二人で戦った方がいいな)

 ポルナレフはそう決めると、すぐさまエグザスと戦うレイの方へ向かった。



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(ああいう覚悟を決めた奴は、実戦を積めば積むほど成長する! ここで潰しておかなければ必ず危険な敵となる!)

 ブチャラティはポルナレフを追った。



 だがそのとき、岩塊に行く手を封じられたミネルバが、突如爆発した。



『!?』



 その場にいた全員が驚愕する。爆発によって砕け散った小惑星の欠片を避けながら、彼らは目の前で起こった事態を分析する。

 ミネルバから陽電子砲『タンホイザー』が放たれ、ボギーワンをかすめていった後で、彼らは状況を悟る。

 ミネルバは小惑星に向かって砲撃し、その爆発力で吹き飛ばされることで、行き詰った状態を脱出したのだ。



「こんな思い切った真似ができる者が他にもいるのか……」



 ブチャラティは、さきのザクと共に、この脱出劇を書いた者に賞賛と畏怖の念を抱いた。



「これまでだな。今は……」



 案の定、すぐにネオから引き上げの命令が下される。ブチャラティはできればもう、このような手強い敵と戦わなければいいと思っていた。

 無論、戦うとあれば、毅然と迎え撃つだけのことだが。



 ミネルバ、ボギーワンことガーティ・ルー、双方から、MSに向けて帰還命令が出される。

 ミネルバは満身創痍のためガーティ・ルーを追うことはできなくなり、ガーティ・ルーもミネルバを相手にする余裕は尽き果てた。

 こうして、ミネルバとガーティ・ルーの戦いは、MS強奪に成功したガーティ・ルーの、勝ち逃げというかたちで幕を下ろしたのだった。








TO BE CONTINUED