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Lnamaria-IF_赤髪のディアナ_第22話

Last-modified: 2013-10-28 (月) 02:05:51

アラスカ防衛戦

『総員、第一戦闘配備!繰り返す!第一戦闘配備!』

いきなり警報が鳴った!いつもより反応が鈍かったのは否めない。怪我のせいもあるけど、アラスカでまさか、と思ったのだ。

「キャリーさん!ザフトが攻めて来たってほんとですか!」
「ああ!……もしかしたら、軍上層部は知っていたのかも知れん!『次はパナマ』の噂が立っていた割にはMSの配備が多すぎる!」

後ろからシャムスさんも走ってくる。あたしは予備機体だったM1アストレイで出る。く、怪我がうずく。
M1アストレイはPS装甲で損傷が少なかった右腕――トリケロスだけは修理して取り付けたけど、レッドフレームほど空中を飛べない。地上で戦うしかない。

「シャムスさん、背中、預けます!」
「……わかった!」

不機嫌な声だけど、シャムスさんははっきり答えてくれた。

アークエンジェル隊は遊撃任務だ。守りの薄い所へ行って、守る。

スカイグラスパー、そしてブルーフレーム、ストライク、105ダガーが出撃して行く。地上の安全を確かめて、あたしたちも出撃する!
長く戦えるようにあたしはフル・ウェポンだ。

――!救援要請が入った!

「ただちにそちらへ向かう!行きましょう、シャムスさん!」
「了解!」

そこでは、ストライクダガーの一団が数機のバクゥに翻弄され、噛み破られようとしていた。

「救援到着!落ち着いて!複数で一機ずつ着実にしとめるのよ!」

見本を示すように敵一機に弾幕を張る。シャムスさんが併せてレールガンで止めを刺す。シャムスさん、射撃うまい!
落ち着きを取り戻した部隊は、バクゥを駆逐していく。

バクゥの後方からジン部隊がバクゥを支援しようと突撃銃を放ってくる!こちらも!ミサイルを放ち面で制圧する!シャムスさんも合わせてミサイルを放ってくれる。ジン部隊は混乱する!

「今よみんな!」

牽制にあたしはジン部隊全体に銃弾をばら撒き続ける。ストライクダガーとバスターダガーが着実に相手を仕留めて行く――

……

また救援要請だ。もう何度目だろう。

ザウートと水中MSの集団が上陸している!数が多い!こちらの戦車も善戦してるけど押されてる!
ザウートの火力は結構充実している。旧式とは言え数が多いし長距離砲戦じゃ不利か?

「あたしたちが突っ込んでかき回す!戦車隊のみなさんは援護射撃お願い!」

飛び上がって空中からミサイルと突撃銃で牽制しながら突っ込む!ザウートの射撃をかいくぐり、ビームサーベルで切り裂く!シャムスさんもザウートに切り込んでいく。混乱したザウートの群れにこちらのリニアガンタンク部隊が止めを刺していく。グーン……水中じゃ翻弄されたけど、地上じゃ!鴨よ!ゾノ、近づくとクローで攻撃してくる。少しは強いわね。でもやっぱり地上じゃ!あたしはクローの攻撃をトリケロスで防ぐと同時に胴体にビームライフルをぶち込む!

また救援……
そこの対空砲陣地はディンに襲われていた。くっ、数が多すぎる!突撃銃はもう弾切れ。ビームライフルに切り替える。もう、一旦アークエンジェルに戻らないと!
その時空を飛んできたMSが巨大な球をディンに向かって擲つ!数機が撃破される。機体識別……レイダー。見たこと無い機体だけど味方の機体!助かった!ディン部隊を壊滅するのを確認してアークエンジェルへ戻る。アークエンジェルには他のMS隊も補給に訪れていてマードックさんに声をかける暇も無い。手早く整備・補給を終えるとまた出撃していく。

……もう何度帰艦、出撃を繰り返したのか。日暮れ近くになり、急に、潮が引くように、ザフトは撤退して行った。
やった!あたしたちは、アラスカ防衛に成功したのだ。
アークエンジェルに帰艦したあたしは、コクピットから降りた後、格納庫の壁に寄りかかって座り込み、しばらく立てなかった。それほど疲れていた。見るとほかのパイロットも座り込んでいた。
シャムスさんがむっつりした顔で親指を立ててこちらに見せる!あたしも笑顔で親指を立てた!

被害は大きかった。せっかく配備したストライクダガーを始めとするMS隊の40%が撃破されていた。航空隊も同じくらいの損害だ。対空陣地・トーチカ等も半分以上がやられたらしい。

アークエンジェルにも被害が出た。あちこち壊れて、半数以上の火器が使用不能、乗員にも死亡者が出た。アスカさん、キャリーさん、トールも怪我をした。
アスカさんは大腿部骨折で当分MSに乗れないと言う。トールも、スカイグラスパーが被弾して、墜落ぎりぎりのところでアークエンジェルに着艦した。
それでも、あたしたちは勝ったのだ。

◇◇◇

「ルナ君、愚痴を聞いてくれないか?」

デッキで星空を見ながらぼーっとしてたらキャリーさんに話しかけられた。キャリーさん包帯姿が痛ましい。

「なんでしょう?あたしでよければ」
「……私は、殺して殺される、憎しみの連鎖を広げたくないのだ。相手を殺さず行動不能にする。そんな戦い方を旨として来た。だが、連合はそれを許してくれんのだ。私が行動不能にした先から、止めを刺していく。私はどうすればいいんだ……」

キャリーさんは本当に苦しそうに見えた。

「キャリーさんは、今までずっと地上だったんですよね。地上ならそう言う戦い方もできるのかも知れない。でも、宇宙では……あたし、ヘリオポリスが崩壊してアークエンジェルに連絡が取れるまでとても不安でした。もし宇宙で行動不能にされたら、空気が無くなっていく恐怖を感じながら漂ってなきゃいけない。味方が勝って、捜索してくれればいいけど、負ければそんな事望めません。いっそ一思いに殺してもらった方がましです。海上の戦いもそうだと思います。沈んで行く機体がいつか圧壊する恐怖感じながら沈んで行くんですよ?空中の敵なら、地上に叩き付けられた衝撃で死んじゃうかも知れません。それに、行動不能にしたと思った相手にやられたらどうするんですか?割り切らなきゃ、だめですよ!割り切らなきゃ、いつかキャリーさん死んじゃいますよ……」
「ル、ルナ君、泣かないでくれたまえ」
「あ……ごめんなさい。最近なんか涙腺弱くて。でも、あたしキャリーさんに死んで欲しくないんです。ううん、他の仲間の誰にも。あたし、仲間を助けるためなら、顔の見えない敵なんかいくらでも殺せる。……キャリーさんから見たらひどい人間ですね、きっと」
「いや、それが普通の人間なんだろう。私はプラントにも居住していたから、理想を追いすぎていたんだろうな、きっと……ありがとう。気持ちを吐き出したら楽になったよ」
「……ほんとですか?」
「ほんとさ」

ぽむ。キャリーさんは、あたしの頭に手を置いて微笑むと、中に入って行った。
あたしは、本当にキャリーさんの役に立てたんだろうか?キャリーさんは戦い方を変えるだろうか?不殺を貫くだろうか?わからない。ただ、これからもキャリーさんが無事であることをあたしは祈った。

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