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Lnamaria-IF_赤髪のディアナ_第24話

Last-modified: 2013-10-28 (月) 02:06:54

信念の人

パナマのマスドライバーが破壊されたと言う知らせは、あたしたちオーブ国民を震撼させた。連合は、オーブに更に協力を求めてくるだろう。連合への加入も促されているかもしれない。連合には、もう、オーブのマスドライバーを使うかビクトリアを奪還、あるいは苦労して新たなマスドライバーを作るしか道は無いのだ。国民は不安に思っている。アークエンジェルの乗員はもちろんだ。

氏族長会議も紛糾しているみたいだ。あたしたちは、意見を求められるかもしれないと言うことで、隣の部屋に詰めている。

扉の向こうから、会議の様子が洩れ聞こえてくる。

「……これ以上、オーブ国民に不安を強いるのは常識にも外れるのではないか。オーブ国民は不安に耐えかねているのだ」
「『他国に侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入せず』これは我国の理念だ。それを理解しようとしない事なかれ主義者に迎合する必要はない。そもそも犠牲なくして大事業が達成された例があるか!」
「その犠牲が大きすぎるのではないか、と国民は気づき始めたのだ、ウズミ」
「どれほど犠牲が大きくとも、たとえオーブ国民が死に絶えたとしても、守るべき理念がある!」
「そ、それは政治家の論理ではない!」
「我々には崇高な理念があるのだ。オーブ国民のみの利益にこだわって、その大義を忘れはてるのが、はたして大道を歩む態度と言えるのか!」

──ウズミ・ナラ・アスハは40代後半の、堂々たる髭を持つ男性で、その声には魅力的な響きがあった。
それだけに、あたしが感じた危険は一段と大きかった。
彼こそ、安っぽい英雄願望に足首をつかまれているのではないか――

中立厳守は、一時的に戦争にまきこまれずにすむことはできても、それによって人々を、少なくとも連合国民の過半数を納得させる事は出来ないだろう。

納得できないということ。まさしく、それが問題なのだ。

仮に中立を厳守し、オーブが連合に対して助力をしなくなった時、何がオーブに残されるのか。
連合との関係がゼロに戻るだけ?表面的にはまさしくそうだが、その底流には憎悪と怨恨が残る。

それは火山脈のように、岩盤の圧力で呻吟しながら、ほどからず爆発して、地上を溶岩で焼き尽くすだろう。
岩盤の圧力が大きいほど、噴火の惨禍もまた大きいはずである。

そのような結果を生じてはならず、そのためには中立厳守の見直しを進めなくてはならない。

あたしの考えは強硬に過ぎるのだろうか。
そうかもしれない。 だが、ウズミ流の甘さを受容しようとは、あたしは思わなかった。

「もう我慢ならん!」

カガリが、扉を開け放ち、会議室へ入って行った。

「お父様!それは間違っている!」

……

「国民なくして国の理念も無い!理念以前に、国民の安全を守るのが国家の義務だ!」

「もし連合の頼みを断れば、今まで築いて来た連合との絆を無にするばかりか、攻め込まれる可能性すらあるのです!今ならば、それを防げるどころか、最大限にオーブも利益を得られる!中立厳守とは、国を焼いてまで守らねばならぬ事ですか!」

「戦争を厭うなら、一方に味方して早期に終わらせるという道もある!連合のあり方が気に入らないのなら、いっそ内に入って内部から改革する手もある!それともお父様はオーブが一旦連合に入ってしまえばなにもできない、変える自信がない、とおっしゃるか!」

「もしオーブが連合に付いたとしても大義はオーブにあります!エイプリールフール・クライシスで、小なりと言えど被害を受けたのです!オーブは!中立だったにも関わらず!」

カガリ、お父様のウズミ様を相手に、がんばっている。それをきっかけに会議は喧々諤々となり、聞こえにくくなってしまった。

「ふむ、アスハの娘も、なかなか言うではないか。ウズミの様に理想ばかり言うようでは、オーブの次代が困ると思っていたが」

え?振り向くとそこには、ギナ様に似た黒い長髪の女性がいた。

「弟とはもう顔を会わせていよう?私はロンド・ミナ・サハクだ」
「あ、はい。それにしても本当にギナ様とそっくりですね」
「ふふふ、秘密を教えてやろうか」
「え?」

ミナ様は声を潜める。

「前髪の分け目を右側にしているのが私だ」
「へ!?あはは、そうなんですか!」
「秘密だぞ」

そう言うとミナ様はウインクして向こうへ行ってしまった。ミナ様、なかなかお茶目!

……扉が開いた。カガリが出てくる。

「ああ、疲れた。やっと終わったよ。首長たちはまだ別の案件で会議を続けるそうだ。タフだな」
「会議、どうなったの?」
「連合と同盟締結だ。しかし、お父様に悪いことしたな」
「ウズミ様、どうかなさったの?」
「私が意見を言ったらさ、ほとんど大多数の首長がそれに同調して私に賛成する意見を言ったんだ。それで、最後は、『どうせ私は元代表だ。好きにしろ』とすねちゃって」
「あらら」
「でも、不安なんだ。私の一言で国が大きく動いてしまうことが。連合と戦わなくてすんでもザフトに攻められるかもしれない。結局国を焼いてしまうんじゃないか、お父様の方が正しいんじゃないかって」
「でも、私はカガリの言った事、間違っていないと思う。こんな世界中を巻き込んだ戦いなら、中立ですと言って、それが通るとは思わないもの。どうせ組むなら仲が良い方と組みたいな。ウズミ様とも、きっと仲直りできると思うわ」
「そうか、ありがとう。気が楽になった」
「でも、よかった。連合の人と戦わずにすんで。あたし、アークエンジェル行って来るね!みんな心配してたから」
「ああ、よろしく言っておいてくれ。ただ、まだよそには洩らすなよ。ザフトから攻められる」

アークエンジェルにはもう連絡が行っていたようで、ピリピリした空気が消えていた。

「いやー、連合がオーブ攻めることになったらどうしようって思ったよ」
「ふふ、そうなったら地球軍人のサイたちは拘束ね」
「やめてくれよー」
「そう言えばさ、キャリーさんが中尉に昇進したんだ!」
「え?ほんと?やったね!今までずっと前線で戦っていたのに少尉だったんだから当然って言えば当然だけど。地球軍も色々変わろうとしてるのね」

その晩がお祝いになったのは言うまでもない。

「「「昇進おめでと〜♪昇進おめでと〜♪昇進おめでと〜♪」」」

みんなが歌う昇進の歌を聴いてキャリーさんは照れくさそうに笑っていた。

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