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Lnamaria-IF_523第10話

Last-modified: 2007-11-17 (土) 07:41:35

「暑い……暑い……」
「デンギル先生、氷持って来た!」
「よし、腋の下、股などの動脈が集中する部分にあてて冷してくれ」
「大丈夫でしょうか? ルナ、意識が朦朧としているみたいで」
「うーむ。熱中症の一種じゃろうからな。身体を冷却して、水分とミネラルを補給すれば大丈夫じゃろう」
「よかったー」
「さあ、みんなも寝なさい。」








あ、ここは……医務室のベッド……
「気がついたかの? お嬢ちゃん」
「あ、デンギル先生。あたし……」
「お前さんは熱中症でぶっ倒れておったんじゃよ」
「さ、これを飲みなさい」
「あ、……これ、スポーツドリンク?
「経口補水塩と言ってな、医療用に、脱水症状の時なんかに使う物じゃよ」
「……んぐんぐ……! おいしい! もう一杯!」
「ほいよ。しっかり飲みなされ。……もうこれは必要ないかな」
デンギル先生がちょうど終わりかけた輸液のパックを仕舞う。
「先生……私、眠い」
「もう少し、寝ときなさい」
「はい」
私はうとうとと眠りについた。


「うん、もう大丈夫! ご飯も普通に食べれるし!」
「よかったー!」
「心配したぜまったく」
「やっぱり試作品のカタログスペックは信頼しちゃだめねー。あやうく死ぬところだったわ」
こうして夕飯を食べているルナマリアの様子を見ていると、まったく昨日は意識不明で寝込んでいた人とは思えない。
カズイはストライクのコクピットが何℃になっていたか知っていた。
自分じゃ死んでいたかもな……
コーディネイターのルナマリアに軽い嫉妬心を覚えた。
でも、ルナマリアも死にかけたんだよな。ルナマリアが俺達の内一番危険な事は確かだ。
カズイは軽い自己嫌悪感をコップの水と共に飲み干した。


私は夕飯を食べた後、格納庫に顔を出した。
「やあ、お嬢ちゃん、具合はもういいのかい?」
格納庫では、フラガさんとマードックさんと数人の整備の人、そして見知らぬ人私くらい? の年齢の人がスカイグラスパーに掛かりきりになっていた。
「ええ、お陰様で!」
「そりゃよかった。みんな心配していたんですぜ」
その時、見知らぬ人が私に話し掛けてきた。
「ルナマリア少尉ですね。僕はメネラオスから転任してきたジョブ・ジョン少尉です。よろしく」
「新しく配属された人!? 頼もしいわ。よろしくお願いします!」
そうかー。ずっとフラガさんと二人だけで戦ってきたけど、嬉しい!
「そういや、お嬢ちゃんの予知夢、当たったなぁ。見事にアフリカだぜ」
「……すみません。私のために……」
「いや、ストライクを失ったら意味無いからなぁ。これからも妙な夢見たら言ってくれよ」
「……はい」
「さーて少佐、弾薬も積み込んだし、ここでやれる事はこんなもんですぜ。後は実際に飛ばしてみねぇと」
「う、ふぁーあ……そうだなぁ。お嬢ちゃんも元気になったし、明日は移動するかもしれんからなぁ。とっと仕上げたいところだが……」
「――! そうなんだよね。ここは地上なんだ。じゃ、私、ちょっと地上用に設定いじってみます」
「そうか。じゃあ俺は寝るわ」
「はい。私はしっかり寝ちゃいましたから」
フラガさんとジョンさんは出て行った。
「マードックさんは? 寝ないんですか?」
「せっかくですからね、付き合いますよ」
「ありがとう!」


結局マードックさんをそれほど付き合せずに済んだ。地上用の大まかな設定はすぐ出来たけど、細かい設定は、やっぱり実際に動かしてみないとわからなかったのだ。
「じゃ、マードックさん、お休みなさい」
「お嬢ちゃんも、お休み」
いい月夜だなぁ。
窓から見える夜空にロマンチックな気持ちになりながら、私にあてがわれた個室に入り、寝ようとした時、警報が鳴った!
『第二戦闘配備発令! 繰り返す! 第二戦争配備発令!』
更衣室へ走る間に警戒度が上がる!
『第一戦闘配備発令! 機関始動! フラガ少佐、ホーク少尉は、搭乗機にてスタンバイ!』
手早くスーツを着ると、格納庫へ走る!
「状況は!?」
コクピットに乗るとミリィに尋ねる。
『今の所ザフト戦闘ヘリが3機確認されているわ!』
「戦闘ヘリ、そう……」
なら、それほど心配はないかな?
フラガさんのスカイグラスパーが発進していく。


『大変だ! 砂丘の向こうにはザフトの四足歩行のモビルスーツまでいやがるぜ! 5機だ!』
なんですって!
ジョンさんのスカイグラスパーも発艦していく。
私にもとうとう発進命令が出た。
『ストライク発進! 敵モビルスーツを排除せよ! 重力に気を付けろよ!』
「はい!」
5機も……うまく、いくかな。
『カタパルト、接続。APU、オンライン。ランチャーストライカー、スタンバイ。火器、パワーフロー、正常。進路クリアー。ストライク、発進どうぞ!』
「ルナマリア・ホーク、ストライク、出るわよ!」


ストライクはカタパルトから飛び立った!
さすが地球! 重力ですぐに沈み込む。着地するとずるっと滑る。
ああ、やっぱり微調整しないとだめか。
「砂漠だから接地圧が逃げるのね。逃げる圧力を想定し、摩擦係数は砂の粒状性をマイナス20に設定!」
これで、動かしやすくなった!
――! 敵モビルスーツが! バクゥ!?
バクゥは素早い動きで迫って来る!
一機が体当たりして来る! とっさに私はバルカン砲のスイッチを入れる!
ガガガガガ! バルカン砲の弾丸がバクゥの装甲を貫いてゆく! 一機、撃破!
それを見たバクゥはストライクを遠巻きにする。ミサイルが撃たれる。
やられるもんですか!
スラスターを吹かしてジャンプするとアグニを発射!
当たらない……こんな事ならエールストライカーで出ればよかった!
あ、上空から! ザフトの戦闘ヘリを排除したスカイグラスパーが攻撃に加わる!
突然の上空からの銃撃に、一瞬バクゥの足が止まる!
そこ! アグニは見事にバクゥを貫いた。
だが……それからバクゥは足を決して止めず、ストライクを翻弄する。
だめだ、アグニ、当たらない……
突然、南西の方向に光の矢が走る! 何!?
アークエンジェルの近くに、着弾!
砲撃!? どこから!?
『南西20キロの地点と推定!』
『俺が行って、レーザーデジネーター照射する。それを目標に、ミサイルを撃ち込め!』
フラガさん!
――また、南西の方角から光の矢が! やらせない!
急に頭の中がクリアになる――
……邪魔よ!……
バルカン砲で弾幕射撃! スラスターを吹かしてジャンプ!
砂塵が立ち込める。だが、この時の私には相手がどこから出てくるかわかる気がした。
「そこ!」
ストライクのパンチは見事にバクゥを捕らえ! 更に上空へと弾き飛ばされたバクゥは南西からの砲撃に当たって爆発する!
ストライク、着地!
「次はぁぁーー!」
上空に向けてアグニを連射する!
「はぁ、はぁ、はぁ、……」
私は、気がつけばアークエンジェルに向かう砲弾全てをアグニで叩き落していた。
でも、だいぶアグニ使っちゃったな……パワーダウンが近い!
――! バクゥが、また向かって来る!
もうアグニは撃てない。
バクゥの残り2機! バルカン砲で牽制するも……いつまで持つ?
ジョン少尉から通信が入る。
『ホーク少尉、フラガ少佐が戻るまで踏ん張れ、そしたら2機で牽制する。その隙にアークエンジェルへ戻れ!』
「はい!」


その時、あれは……バギー!? バギーが、バクゥ目掛けて攻撃を仕掛けている!
――! 一両のバギーがストライクに近づいて来ると、これは接触回線!
『そこのモビルスーツのパイロット! 死にたくなければ、こちらに指示に従え! そのポイントにトラップがある! そこまでバクゥを誘き寄せるんだ!』
……信じてみよう!
私はスラスターを吹かしながらそのポイントへ向かう。バクゥもその後を追って来る!
さあ、ポイントへ誘導したわよ! 何が起こるの?
――突如爆音が響き、誘き寄せたポイントがバクゥを巻き込みながら崩落していく!
ふぅ。なんとか、助かったか……


「なんとか助かったようね」
アークエンジェル艦橋でも、同じような言葉がつぶやかれていた。
ザフトが残存部隊をまとめ撤退して行ったのはジョン少尉が確認している。
「フラガ少佐より入電です」
「なんと?」
「敵母艦を発見するも、攻撃を断念。敵母艦はレセップス!」
「レセップス!?」
マリューの声に緊張が混じる。
「繰り返す、敵母艦は、レセップス! これより帰投する。以上です!」
「レセップスとは?」
訝しげにナタルが尋ねる。
「アンドリュー・バルトフェルドの母艦だわ。敵は、砂漠の虎と言うことね」




「味方、と判断されますか?」
謎のバギー達は、ザフトのモビルスーツを撃退した後もそこに留まっていた。
マリューは決断する。
「銃口は向けられてないわね。ともかく、話してみましょう。その気はあるようだから。上手く転べばいろいろと助かるわ。後はお願い。はぁ……」
でも、気は抜けない。エレベーターの陰には狙撃兵を配置する。
「やれやれ……こっちのお客さんも、一癖ありそうだな。俺、これはあんまり得意じゃないんだけどね」
フラガはホルスターを叩きながら言う。
まぁ! 戦闘機に乗るとエースなのに。
「うふ」
マリューの緊張が少し解けた。


「助けていただいた、とお礼を言うべき何でしょうかね。地球軍第8艦隊、マリュー・ラミアスです」
「第8艦隊か。めずらしくザフトに勝ったらしいな。おめでとさん」
「どうも」
そう。勝ったのね。ハルバートン提督も無事なようね。
マリューは上官の無事を喜んだ。
「俺達は明けの砂漠だ。俺はサイーブ・アシュマン。礼なんざ要らんが、分かってんだろ? 別にあんた方を助けた訳じゃない」
「……」
「はん! こっちもこっちの敵を討ったまででねぇ」
「砂漠の虎相手に、ずっとこんな事を?」
「あんたの顔はどっかで見たことあるなぁ」
「ムウ・ラ・フラガだ。この辺に、知り合いは居ないがね」
「エンディミオンの鷹とこんなところで会えるとはよぉ」
「――!」
「情報もいろいろとお持ちのようね。私達のことも?」
「地球軍の新型特装艦アークエンジェルだろ。クルーゼ隊に追われて、地球へ逃げてきた。そんで、あれが……」
「X-105。ストライクと呼ばれる、地球軍の新型機動兵器のプロトタイプだ」
金髪の少年が後を引き取って続けた。
この子? どこかで?
マリューは記憶を辿った。が、出て来ない。
気のせいか……
「さてと、お互い何者だか分かってめでたしってとこだがな、こっちとしちゃぁ、そんな厄の種に降ってこられてビックリしてんだ。こんなとこに降りちまったのは事故なんだろうが、あんた達がこれからどうするつもりなのか、そいつを聞きたいと思ってね」
「力になっていただけるのかしら?」
「へ! 話そうってんなら、まずは銃を下ろしてくれ。あれのパイロットも」
「……ふぅ……分かりました。ホーク少尉、降りてきて」
「ああっ!」
金髪の少年が叫ぶ。
「ああ? あれがパイロット? まだガキじゃねぇか。ほんとかよ……」
他のレジスタンスも叫ぶ。
無理もないわね。
マリューの罪悪感が、強くなる。
「あぁ……ぁぁ……お前……」
……? 金髪の少年がルナマリアさんに近づく。何?
「あぁー! あなたは!」
ルナマリアが、叫んだ。







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