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Lnamaria-IF_523第20話

Last-modified: 2007-11-17 (土) 08:10:16

第1モビルスーツ隊……その名の通り、地球軍で最初に編成されたモビルスーツ部隊だ。
今日はそこへの教育に来ている。
「じゃあ、ギャバン隊長はルナマリア中尉から指導してもらってくれ」
「ん? お前さんがやるんじゃないのか?」
第1モビルスーツ隊のギャバン・グーニー隊長はいぶかしがる。
「正直、自分より彼女の方が腕前は上でね」
フラガさんは肩をすくめる。
「そうかい。じゃ、一つ見せてもらおうかな」
私はギャバン隊長の席の後ろに座った。
隊長機と言っても、ストライクダガーだ。第1モビルスーツ隊は全部そう。と言うより、新設されたモビルスーツ隊は全部。フラガ教導隊が特別なのだ。
うん、しっくりくる。フラガ教導隊はいくら新型機の実験隊も兼ねていると言っても種類が多すぎて……
朝、教導隊のモビルスーツを見るたびに、地球軍にこの時期にこんなに多くの種類のモビルスーツがあったっけ? と妙な違和感を感じてしまうのはなんでだろう。夢のように消えてしまいそうで不安になる。
ううん、埒も無い事考えないの! 今は指導に集中しなきゃ!


「そうそう、いい感じ」
「あったりまえよぉ」
「あ、そこは無理に動かさないで! モーションが組み込んであるからそれに任せて!」
「う、なんか気持ち悪い」
「変な動かし方するからですよ。歩く時はオートに任せておけばいいのに」
「これでも、OSがへちゃな頃から動かしてきたんだぜ」
「ええ、だいぶ筋はいいですよ」
「そおかぁ? へへ」
こうやって、技能が向上して、無事に生き残ればいいな。ギャバン隊長もみんなも。


自分達の技能向上と他部隊への教育で2週間が過ぎた。
「フラガさん、私達、だいぶ強くなりましたよね?」
「ああ。しかしアーマー乗りとしては空が飛べないのが不安だよ。飛行ができるストライカーパックを開発してくれと上申しておいたが」
「そうなんですよねー。今までの戦いも、ストライクが空を飛べたらどれだけ楽だったか。あ、後苦労したって言えば海中! 海中用のストライカーなんてできませんかね?」
「海中は、それ専用のモビルスーツを作るらしいぞ」
「そうなんですか。その方がいいかも知れませんね。……それにしても、ストライクダガー、どんどん新しい部隊が送られてきますね」
「ああ。ザフトが近々大きな作戦を立てているらしい。噂ではパナマのマスドライバーの破壊と言う話だが」
「……ぅ……」
……あ。久しぶりに頭の中に淡々と文章を語る声が……
少し、思い出した。この男の人の声……これは、教室で先生が教科書を読んでいる声だ。
だめだ。先生の顔に靄がかかっていて、思い出せない。
『オペレーション・スピットブレイク――ヤキン・ドゥーエ戦役に終止符を打つべくプラント最高評議会において可決された作戦だ。宇宙から大規模な攻撃部隊を地上の地球連合軍側の拠点に降下させ拠点を制圧するという強襲作戦だった。この作戦の前にプラントは地球と宇宙の行き来を可能とするマスドライバーを持つ地上拠点のほとんどを掌握しており、地球連合軍のもとに残されていた宇宙港はパナマ基地だけとなっていた。このため、その最後の宇宙港を奪取することで地球連合軍の宇宙と地上の戦力を分断し、地球連合軍を地上に封じ込めることが可能になるとして、パナマ基地攻略を目標としてオペレーション・スピットブレイクは立案、可決された。 しかしパナマ基地の攻略という計画は表向きのもので、実際には地球連合軍最高司令部が存在するアラスカを強襲することが真の目的であった。オペレーション・スピットブレイクがコズミック・イラ71年5月5日に発動されると、同時に全軍に対し攻撃目標の変更が通達され、パナマ攻撃のために集結していた部隊はその進路をアラスカ地球連合軍統合最高司令部へと変更した。72時間後ザフト軍はこの作戦に降下部隊及び地上部隊の大半を注ぎ込み、アラスカ基地の防衛線を次々と突破して中心部へと迫った……』


「おい、どうした? お嬢ちゃん。具合でも悪いか?」
「……ザフトが、来るわ! パナマじゃない! ここに来るわ! 5月上旬、おそらく8日……」
「なんだって!? 例の、予知って奴か?」
「ええ、そう。多分、当たるわ。当たらなくても、警戒だけはしておいた方がいいかも」
「……わかった。お嬢ちゃんの勘は当たるからな。5月までに、主なモビルスーツ部隊、戦車隊、航空隊も合わせて大規模な防衛訓練を行うよう、計画立ててくるわ」
「お願いします」


一週間かけて、フラガが主導したJOSH-A防衛計画もだいぶ固められた。基本は、ザウートや水陸両用モビルスーツのようにリニアガンタンク部隊で対処できる物は、スエズで実証されたようにリニアガンタンク部隊で対処する。ディンのように飛行ができるモビルスーツにはスピアヘッド、スカイグラスパー隊で対処する。ディンに対して、戦闘機隊は決して無力な存在ではない。これにはザフトのモビルスーツとスカイグラスパーで戦い続けたフラガの発言が大きく影響した。そしてどうしても対処できないザフトのモビルスーツ隊には、こちらのモビルスーツ隊をぶつける。なにしろ地球軍のモビルスーツ隊は結成されたばかりだ。全兵種が一丸となって当たらなければならない。そしてフラガのその方針は、未だ存在するモビルスーツに懐疑的な高級将校、そしてリニアガンタンク部隊、航空部隊の自尊心も満足させる物だったのである。
そして5月1日を期して行われた大演習では、ひとまず地球軍首脳部を満足させる結果となった。
懸念としてモビルスーツが補給に戻る距離が長い地点がある事が指摘されたが、その方面には修理なったアークエンジェルを配置する事が決められた。


アラスカの地下で、深刻な顔をして将官達が話し合っていた。
「オペレーション・スピットブレイク。ここまで戦力が揃えば、サイクロプスなど使わなくとも良いのでは?」
「ここまでの戦力を揃えておいて、自爆なぞいい物笑いだ」
「サイクロプスは、ユーラシアの力を削ぐと言う目的もある」
「前から言うように、私はそれには反対だ」
「おやおや、ユーラシアは信頼できる味方だとおっしゃる」
「そういう訳ではない! プラントと言う敵がある以上、それに力を注ぐべきだといっとるのだ!」
「ぅふふふ。貴方はハルバートン派だから。しかし、戦争に勝つには汚い手も使わねばならぬ事、おわかりでしょう」
「まぁまぁ。しかし、今JOSH-A防衛策を立てて取りまとめに動いているのはあの『エンデュミオンの鷹』だと言うではないか。さすがだな」
「まぁ、モビルスーツ開発はハルバートン少将以外に、今では大西洋連邦のアルスター事務次官も強力に推進するようになったからな。せいぜい良い結果を出して欲しい物だ。見事防いで見せれば我等の心証も上がる」
「しかし、演習でよい結果が出たからと言ってそれを鵜呑みにするわけにもいかん。兵器は実践でプルーフされてこそだからな」
「では、やはり念のために用意だけはしておくか」
「「異議なし」」


『総員、第一戦闘配備! 繰り返す! 第一戦闘配備! これは演習にあらず!』
基地に、警報が鳴り響いた。
「やっておいて良かったですね。大演習」
「ほんとぉ! さすが『エンデュミオンの鷹』って感じ?」
「いや。ははは」
シャムスさんとミューディさんがフラガさんに話し掛ける。
スウェンさんは黙々と出撃準備をする。
「頑張ろうぜ、ルナ」
「ええ!」
サイとトールが着替えに行った。
私も行こう。
私は嬉しかった。今まで一人で、ううん、フラガさんやジョンさんの支援はあったけど、モビルスーツは私一人で……いつも怖かったんだ。
でも! 今度は違う! 仲間がいる!


私達フラガ指導隊は本部近くに待機していた。
――! 救援要請が入った!
「フラガ指導隊、出撃するぞ!」
「「おおーー!」」







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