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Lnamaria-IF_523第28話

Last-modified: 2007-11-25 (日) 08:42:17

アークエンジェルに戻って、泣いているところをミリィに見られた。
「どうしたの? もうホームシック?」
ミリィ。ミリィは私がザフトでアークエンジェルを追っていた時、あそこに居たの? アークエンジェルを墜とした時、怪我とか……死んだりしなかった? ううん、他のヘリオポリス組の人達も、私が、もしかしたら殺した可能性がある。
私は身震いした。
ううん、まだ混乱してる。切り替えなきゃだめ。あれは夢の世界のお話。この世界には関係ないの!
私は涙を拭いて言った。
「ちょっとね。昔の、一つの恋が終わったのよ」
……一体何なんだろう。このもう一つの記憶は。やけに生々しい。自分が直接体験したかのように。メイリン。愛しい私の妹。ここには、この世界にはいない。それとも……いるのだろうか? プラントにでも。歴史……もう一つの記憶で教えられた歴史。同じようで、微妙に違ってる。思い出した記憶では、アラスカではサイクロプスが使われ、オーブは地球軍に侵攻されていたはず。やっぱり……違う。
フラガさんは夢を見たら教えてくれと言ったけど。言わないで置こう。蘇った記憶の事。だって、もう違う歴史を歩んでいるのだから。ここと、向こうでは。きっと……ここではユニウス7は落ちない。落ちないといいな。でも注意しておいた方がいい。
どうしよう……。あ、アズラエルさんがいた! アズラエルさんなら、きっと、地球軍に影響力あるし、なんとかしてくれるはず。さっさとユニウス7を壊すとか……。馬鹿ね。まだ戦争も終わってないのに。今は、終わらせる事だけを考えよう。




戦闘が始まってから一週間が過ぎ、ビクトリアの攻防戦も終わりを迎えようとしていた。
マスドライバーから、残存兵を乗せてシャトルが次々に飛び立っていく。
「ふん。どいつもこいつも踊り甲斐の無い奴らだったわ。やはり下賎の者に期待するだけ無駄と言う事か。ふふふ」
ギナはひとりごちた。
目の前にジンが現れる。ギナはビームサーベルを一閃した。
「さあ、我に最後に倒される奴はどれかな?」
地球軍はストライクダガーの大量投入もあり、終始優勢に戦いを進めた。
ギナの部下達も素晴らしい活躍をしている。
エドワードは、「切り裂きエド」の二つ名を確固たる物にした。
ソキウス達の働きも目覚しい物だった。
ギナは満足感を感じていた。
どうやら戦いは終わりのようだ。立ち向かってくる敵も、もういない……いや、いた!
小部隊がマスドライバー施設への道に立ち塞がっている。
おそらく味方が逃げる時間を稼いでいるのだろうその部隊は、手だれを集めたのか、ストライクダガーが蹴散らされている。
そして……隊長機であろう新型機。ビームライフルを使っている。
「お前達! あの部隊を排除する! あの新型は私に任せろ!」
「「了解」」
ギナ達はそのザフトの殿軍部隊に殺到する。
「ビームライフルか……確かに脅威だが……これはどうかな?」
ギナはミラージュコロイドで姿を隠した。
ザフトの新型機は一瞬うろたえた様子を見せ、ギナの方向に向かってビームライフルを連射したが、すぐに止めた。
「ほほう。ではもう少し近づくか」
ギナは更に近づく。
その気配を感じ取ったのか、ザフトの新型機は盾の付いた左手を振り上げる。その盾の先に、二つの光の爪が現れた!
「馬鹿め! シールドと一体化した攻撃兵器など、攻撃に移れば防御ががら空きだと言う事ではないか!」
ギナは自分のP01のトリケロスの装備でその種の装備の欠点を嫌と言うほど知っていた。そのために、左前腕部にツムハノタチと名づけたPS装甲化する鉤爪を付け、腰にビームサーベルを装備し、格闘戦になった時はトリケロスを防御に専念できるようにしているのである。
今、ギナはビームサーベルを抜き放ち、相手を袈裟懸けにしようとした。
――! 何かを感じたが、遅かった。P01は敵の新型機から発射されたロケットアンカーに捕まった。
「く、こんな隠し手を持っていたとはな!」
悪い予感に従い、すぐさまビームサーベルの軌跡を変え、ロケットアンカーを断ち切り、距離を取る。
「ふふ、危ない危ない。しかし、一度見たからにはもう終わりだ!」
敵の新型機はビームライフルを乱射してくる。だが、ギナはそれを冷静にトリケロスで捌く。
再び両機は近づき格闘戦に入る。
ザフトの新型機は再び光の爪の付いた盾を振り上げる。それしかやりようがないのだ。
ギナはそれをまたトリケロスで防ぐと見せかけ、トリケロスのビームサーベルを発動させる!
ザフトの新型機の盾は内側から破壊された。
「これで、終わりだ!」
一応まだ知らない武装を用心し、一歩離れた所からレーザーライフルで止めを刺す。
「ふふふ。いいダンスだったよ」
マスドライバーへの道が開いた。

『特殊部隊がマスドライバー施設へ突入を開始しました!』
通信が入る。
「これで終わったな……」
ギナは嘆息した。
「どうだ、ハレルソン。この戦いが終わったら、正式に私の部下にならんか」
「うーん、ありがてぇ申し出だけど、遠慮しとくわ。やりたい事もあるもんでねぇ」
「そうか。残念だな。……お前のやりたい事とはなんだ? 興味が湧いたら手伝ってやってもいいぞ」
「うーん、考えとくわ」
エドワードは言葉を濁した。
この日、ビクトリア基地宇宙港は陥落した。オペレーション・ウロボロスは完全に失敗、頓挫し、プラント最高評議会は翌26日、宇宙戦力の増強を決議する。




「……以上だ。パナマでの戦勝があったとは言え、アラスカ、オーブそしてビクトリアでの敗退。ザフトの消耗と共に地球軍はマスドライバーを二つも手に入れてしまった」
「……むっ」
「この責任は重大である。危急の時でもある。私は、パトリック・ザラ評議会議長の解任を要求する!」
「「意義なし」」
「シーゲルめ!」
その日、パトリック・ザラは評議会議長を解任され、シーゲル・クラインが再び評議会議長に返り咲く事になる。




「父上!」
プラントに帰還したアスランは、真っ先に父の元へ向かった。
「ああ、アスランか」
久しぶりに見る父は、一気に年を取ったようだった。
「パナマ、オーブではご苦労だったな」
「いえ、そんな事。オーブでは使命も果たせず。父上の苦労に比べれば……」
「ははは。今はすっかり暇さ。評議会には出るがね」
「しかし、父上が解任されるなんて……」
「私の戦争指導が悪かったのだそうだ。確かに戦況は厳しい。しかし、それもジェネシスが完成すれば片がつくはずだった。わからんよ。シーゲルが何を考えているのか」
「ジェネシス、ですか」
「ああ、ヤキン・ドゥーエにある巨大なガンマ線レーザー砲だ。あれを突きつけられればいかな地球軍とて妥協を……いや、愚痴になったな。……どうだ、これからレノアの墓参りにでも行くか?」
「は、はい!」

「久しぶりだな。お前とここに来るのも」
穏やかな声でパトリックは言った。
「ええ。正直、申し訳ないです。今の任務に精一杯で、母上の事を思い出すのも間遠になって行きます」
「それでいい。人は思い出を忘れることで生きていける。だが、決して忘れてはならないこともある。レノアはそのかけがえのないものを私に教えてくれた。私はその確認をするためにここへ来ている」
「はい。私も決して忘れません。……早く戦争が終わって、ユニウス7の人達の遺体を収集できたらよいのですが」
「ああ、この墓もただの飾りだ。遺体はない。だが、すべては心の中だ。今は、それでいい」
「はい!」
「ん?」
墓石を掃除するために、かがみこんだパトリックが訝しげに言った。
「どうしたのです? 父上?」
「これが……墓石の裏に埋めてあった」
困惑した表情でパトリックは答える。その手には、白い封筒が握られていた。
「父上? もしや危険物では?」
「まぁ、大丈夫だろう。失脚した私を狙って今更どうしようと言うのだね」
無造作にパトリックは封筒を開けてしまう。
「……こ、これは!?」
パトリックの表情が変わる。
「何が書いてあったのです?」
お前も読め、と言うようにパトリックはアスランに封筒を渡した。
そこには、
『「コペルニクスの悲劇」および「ユニウス7の悲劇」はシーゲル・クライン、マルキオ導師および彼らの属する秘密結社ターミナルの引き起こした自演である』
と書かれていた。
「こ、これは……!」
「馬鹿馬鹿しい! 自演だなどと……いったいそのような事をしてシーゲルになんの得があると言うのだ! おまけにマルキオ導師、だと?」
「そう、ですよね?」
「いやしかし……どうせ暇だ。調べてみるか。ターミナルとやらを」
パトリックの目には、久方ぶりに生気が漲っていた。




月が変わった7月。カーペンタリア攻略に向けて続々と戦力が集中しつつあるオーブ、オノゴロ島。
「なんだと? その情報は確かか?」
突然飛び込んで来た情報に、サザーランドは副官に問い直した。それほど突拍子も無い情報だったのだ。
「は。この辺りの現地人は、ギガフロートなど知りもしないはず。現地の者が、ローエンガウの親戚が妙な物を見たと伝えて来た情報は、ギガフロートと一致します。」
ギガフロート――地球連合がマルキオ導師を通じてジャンク屋組合に建設を依頼した、マスドライバーを備えた全長数十kmに及ぶ浮体構造物――それはまさに人工の島と言ってよい。それは不可思議な事に完成目前になって、マルキオ導師の言によると、どこの誰ともわからない集団に強奪されたと言う。そして戦況の逼迫もあり、今日まで追求もされず行方不明となっていたのである。
「どちらの方向へ向かっていたのだ」
「ゆっくりと、西方へ向かっていたそうです。おそらく、戦火をさけるためでしょう」
「そうか。地元民と融和に努めた甲斐があったな。こんな情報が飛び込んで来るとは。……それにしても、ギガフロートを強奪したのはどこのどいつだ! きついお仕置きをくれてやらねばな」
「とりあえず、ギガフロートの予想進路を出してみました。今まではビスマルク海に潜んでいた模様です」
「うむ。赤道連合の多島嶼海域へ向かっているようだな。そこに逃げ込まれる前に捕まえられるか?」
「速度を考えれば、直ちに捜索部隊を出した方がよいかと」
「わかった。では、ジョージ・W・ブッシュにアークエンジェル、アズラエル様に頼んでドミニオンにも出てもらおう」
「アークエンジェル級を、2隻もですか?」
「ああ。ギガフロートは、もしやザフトに占拠されているのかも知れん。用心にしくはない。アークエンジェル隊とドミニオン隊がいれば、大抵の兵力には対応できるだろう。敵兵力が過大な場合にはそこで耐久してもらい、増援を出す」
「は!」




地球軍は、モルゲンレーテにグゥルのようなサブフライトシステムの開発を依頼している。
どうも、地球軍のモビルスーツ開発方針はジェットストライカーの様な物でモビルスーツに直接飛行能力を与える方針らしくて、それまでの繋ぎ、と言う訳でモルゲンレーテへの依頼はさほど重要性は高くないらしい。
試作で、私達アークエンジェル隊が今協力して試験している物はザフトのグゥルの倍以上の大きさを持つホバークラフト。モビルスーツが2機搭載可能な程だ。それゆえにか性能は高い。
大きさによるモビルスーツ搭乗時の安心感はもちろん、機首下に全周射界を持つ対地対空兼用のビーム砲塔を一基備える。最大速度はマッハ0.83。ホバークラフトにも関わらず、かなり高空まで運用可能だ。
モルゲンレーテではベースジャバーと呼ばれている。
試験中の私達に、呼び出しがかかった。出動だ!

「いったいどこに出撃するんだろう? まさかカーペンタリアじゃないよねぇ?」
「ニューギニア島北岸を西進してるみたいだな。えらく、急いでる」
一緒に出撃したジョージ・W・ブッシュからまたスピアヘッドの一群が発進する。
『先行しているスピアヘッド3番機より入電! 目標は艦隊より西北西52海里にあり!』
ここで、私達に目標が教えられた。ギガフロート――マスドライバーを備えた人工島だ。
『APU起動。カタパルト、接続。ストライカーパックはジェットを装備します。ジェットストライカー、スタンバイ。システム、オールグリーン。ストライクルージュ、どうぞ!』
「ルナマリア・ホーク、ストライクルージュ、出るわよ!」
アークエンジェルから発進すると、フラガさん、スウェンさんと編隊を組む。その後ろに、ベースジャバーに乗ったキャリーさんのロングダガーとミューディーのデュエルダガーが続く。ドミニオンからも、モビルスーツが発進している。
スピアヘッドに誘導され、10分程の飛行で目標地点に着く。
「うわぁ!」
海を真四角に切り取った、まさに島!
「おい! あれはジンじゃないか!?」
「ディンもいます! こちらに向かってきます!」
「ちっ。ギガフロートの強奪犯はザフトって事か! 行くぞ!」
「「はい!」」
スピアヘッド隊と私達3機は上昇してきたディン目掛けて一斉に空対空ミサイルを放つ。
少なくない数のディンが撃破され、ばらばらと落ちていく。
「よおし! 上空はスピアヘッドに任せて、ギガフロートを制圧する!」
モビルスーツ隊はギガフロートに着陸する。
「お前ら! くれぐれも施設を破壊するんじゃないぞ!」
「わーってるって!」
「うぜー」
ジョンさんの声だ! 見上げると、レイダーにフォビドゥン、ドミニオンの105ダガー隊が降りてくる。
「行くわよ!」
こちらに向かって来るジン目掛けて駆ける。相手が振りかぶる重斬刀ごと、ジンの腕を切り落とす。
――!? ハッチが開く! 手を上げて出てきたのは、無精髭を生やしたむさ苦しい男だった。
なんか妙な……?
違和感を感じながらも、ジンの脚を切り裂き、そしてジンは倒れる。パイロットは慌てて飛び降りた。
「私達はザフトとは違うからね! 降伏した者を虐殺なんかしない!」
次の敵に向かう。ジンの群れは、後退して重突撃機銃、無反動砲等で弾幕を張ってくる!
「スウェンさん! 私とフラガさんの影に!」
「お嬢ちゃん! PS装甲を信じて! 二人で突っ込むぞ!」
「はい!」
フラガさんと私はシールドを構えながらジンの群れの真ん中に突っ込む!
同士討ちを恐れてか、ジンからの射撃が止む。
慌てて重斬刀を取り出そうとしているようだけど、させない!
周り中敵って判断に楽よね! 当たるを幸い切り倒す!
――!? あれは?
「きゃー!」
重斬刀が叩きつけられ、コクピットを揺さぶる。
しまった! 気を取り直して、目の前の相手を斬る。
私が気を取られてしまった物は、ジンの後方に見えるあれは……ストライクダガー!?
「フラガさん、ビームに気をつけて! ストライクダガーが奥にいます!」
「わかった! ……にしても妙だな。こいつらやけに弱いぞ。……ん? あれは! ジャンク屋組合のマーク!」
「ジャンク屋組合!?」
「降着地点確保ーーー!」
エイムズさんの声だ!
ちらっと見ると、大西洋連邦の大型輸送ヘリ、スーパースタリオンが次々に降着し、完全武装の兵が一機あたり50人程次々に吐き出される。
彼らは閉じられたギガフロート内部への入り口を爆破して、突入していく――

「なんですって!? ジャンク屋組合!?」
ギガフロートの奪回に成功した、と言う報告を受けたアズラエルは、ギガフロートを占拠していた者達の正体を聞かされると思わず叫んだ。
「はぁ。しかも、彼らは自分達がギガフロートを強奪した、と言う意識が無いようで。あくまで民間用のマスドライバーを作ろうと言うマルキオ導師の呼びかけに賛同してジャンク屋組合が建設した、との認識のようです」
「資金は? ギガフロートの建設のために連合が出資した莫大な資金はどう説明しているんです?」
「マルキオ導師は、自分の考えに賛同してくれる民間の大口出資者が幾人もいる、と説明していたようで」
「……最初からギガフロート持ち逃げする気満々じゃないですか! 腐れ坊主が! すぐにホワイトハウスに連絡を。マルキオを秘密裏に指名手配に――なんとしてもマルキオの糞坊主の身柄を確保するんです!」
「はっ。あと、拘束したジャンク屋どもが抗議をしておりますがどうしますか?」
「よーーーっく説明してあげるんですね。ギガフロートは元々地球連合の物だって事を。納得しないならするまで、とーーーっくりと説明してあげてください。時間はいくらでもありますからね。納得するまでね、ふふふ……。まぁ、飴も必要でしょう。マスドライバーの数にも余裕が出来ましたからね。連合に協力的なジャンク屋には地球連合が所有するマスドライバーの使用を融通するとも伝えなさい」
「はっ」
「ジャンク屋組合……彼らに与えた強すぎる特権もそろそろ考え直す時期ですね」
サザーランドが出て行くと、アズラエルはむっつりと考え込んだ。

特殊部隊がマルキオの住む邸宅に踏み込んだ時、そこには家事をする女性と子ども達しかいなかった。警察は彼らを取り調べたが、彼らは何も知らされておず、マルキオの消息はようとして知れなかった。




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