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Lnamaria-IF_523第39話

Last-modified: 2008-02-10 (日) 21:02:03

劾とイライジャは宇宙船を守るように出撃した。劾は折りたたみ式の砲身を持つ大型ビームライフルを備えた、長距離射撃用スナイパー・パックを選んで出撃する。
――劾は妙な感覚を感じていた。
「なんだ? この妙な存在感は?」
「劾、どうした、劾!」
「イライジャ気をつけろ! 相手はただのモビルスーツじゃない!」
「何!?」
その、モビルスーツが、見る見るうちに迫って来る。
「なんだ、貴様は?」
アンノウンモビルスーツはビームライフルを構えると言った。
『お前達、サーペントテイルよね? おとなしくニュートロンジャマーキャンセラーを渡しなさい』
イライジャは驚いた。
「――女か?」
「――なぜ知っているか知らんが、渡す事はできん!」
同じく驚きながらも劾は拒絶する。
『そう。ならば、消えうせろ!』
アンノウンはいきなりビームライフルを連射する!
「くそ! いきなり! 連射速度が速い!」
アンノウンからビームライフルを向けられた時から、測距を開始していた劾は狙い済ました一撃を放つ。
「――落ちろ!」
大型ビームライフルからビームが一直線にアンノウンに向かう。アンノウンはまぶしい光に包まれた。
「直撃だ!」
イライジャが歓呼の声を上げる。
「――いや、まだだ!」
「なにぃ!」
ビームライフルの光が消えたそこには、左腕に逆三角形の光の盾を構えたアンノウンが変わらず存在していた。
「何だ! あのシールドは!?」
『面白いわね。でもその強さ、生かしては置けないわ!』
宣言すると、アンノウンはビームライフルを連射しながら突っ込んで来た。
劾とイライジャの攻撃、それを妙な光の盾で捌きながら、アンノウンは二人を翻弄する。
「くそ、この装備では!」
――取り回しが利かん!
頭の中で悪態をつきながらスナイパー・パックを投棄し、劾はアンノウンに攻撃を続ける。
「……な、なんて速さだ! 二機の動きが追えん!」
イライジャは劣等感を刺激されていた。
「これでは援護も出来ん!」
それほどに劾とアンノウンの戦闘は速かった。
「――ちくしょう! 俺だって!」
イライジャは気持ちを奮い立たせると、アンノウンに立ち向かう。
「でやぁ!」
だがその一撃はやすやすかわされる。
『雑魚が! 引っ込んでなさい!』
アンノウンのビームライフルから突然何かが――!
射出されたビームナイフは、イライジャのジンの左腕にダメージを与えた。
「――うわ! ……レベルが違いすぎる……なんて無様なんだ、この俺は!」
再び劣等感がイライジャを襲う。
「イライジャ! 回り込め! 同時に挟んで攻めるぞ!」
「――了解!」
劾の言葉に気を取り直すとイライジャはアンノウンを挟んでブルーフレームと正対する位置につく。
『なるほど。よい攻め手ね――ならば見せてやるわ! ハイペリオンの輝きをね!』
アンノウンのパイロットの言葉と同時にアンノウンに変化が表れた。
背中に背負っていたウイングの様な物が肩に担ぎ上げられ、ランチャーを担いでいるように見える。そして――アンノウンは光の膜に包まれた。
「――! これは……」
『アルミューレ・リュミエール! モノフューズ光波シールド! ビームだろうが実体弾だろうがこいつを破る事は不可能よ!』
「くそ!」
劾とイライジャは光の膜に包まれたアンノウンを攻撃するが、アンノウンのパイロットの言葉どおり、光の膜で弾かれてしまう。
『ふん、無駄よ! 遊んでる暇はない! 決めさせてもらうわ!』
――!
「なにぃ!」
光波シールド……それは双方向からの攻撃を封じる筈。それが――アンノウンは光の膜の内部から一方的にこちらに攻撃を仕掛けてきている。
『これで終わりよ!』
アンノウンが肩に背負ったランチャーに光が集まり、放たれる! その先はブルーフレーム!
「劾ーーー!」


――頭部の左半分を持って行かれたものの、まだブルーフレームは存在していた。
『なにぃ!? ――くそう! 落ちろ! 落ちろ! 落ちろーーー!』
アンノウンが焦りを見せてビームライフルを連射する。
「なるほど『アルテミスの傘』か。光波防御帯をモビルスーツに応用したと言う訳だな」
冷静に劾は分析する。
その間にもイライジャは攻撃を続けている。
「くそう! 弾切れだ! どうする、劾!」
「確かめたい事がある――!」
劾はアンノウンに向かってブルーフレームを突っ込ませる。
「劾ーーー!」
劾は突っ込みながら見当違いの方向へ射撃をする。
『あはは! 何を――くっ!』
劾が狙ったのは、先ほど投棄したスナイパー・パックだった。アンノウンの至近でそれが爆発し、閃光を放つ。
『――無駄な事を……!』
「今だ!」
劾は耐ビームコーティングされたアーマーシュナイダーをアンノウンの光の膜に突き立てる!
「やはり……そうか!」
アーマーシュナイダーは何も通さないはずの光の膜を貫いた。だが、しばらくの間を置いて光の膜に耐え切れず崩壊する。
「イライジャ! 時間は十分稼いだ。撤退するぞ!」
「お、おう!」
『逃がすか』
――その時、アンノウンの光の膜が、消えた。
『こんなところで時間切れ!? 運のいい奴! 次に会ったら必ず仕留めるわ!』
アンノウンのパイロット――メイリン・パルスはつぶやいた。


『劾! 大丈夫なの!?』
「ああ」
劾とイライジャは無事宇宙船まで撤退した。
『時間を稼いでくれたおかげでこちらは無事よ』
『しかし、お前さんともあろう者がひどくやられたもんだな』
リードがブルーフレームのやられた頭部を見て言う。
『そんなにできる奴だったのか?』
「ああ。あのパイロット、俺と同じコーディネイターだ。しかも黒幕は……ユーラシア連邦だろう」
「そうか! あれは『アルテミスの傘』か!」
「そうだ、イライジャ。だが、大体の相手の能力はわかった。次は……負けん!」
「とは言え、さっさとドレッドノートの頭、返した方がよさそうだな」
「ああ、さあ、中に戻ろう。プトレマイオス基地まで急ぐぞ!」


『通信が来ております。サーペントテイルと名乗っています。風花さんをお呼びです』
「風花、サーペントテイルの船から連絡だってさ」
「はい、わかりました! ちょっと行って来ます」
風花さんは休憩室から出て行った。
すぐに戻って来た風花さんは慌てていた。
「サーペントテイルの船は、こちらに急行中です! でも途中でニュートロンジャマーキャンセラーを狙った何者かに襲撃されたそうです!」
「わかった。地球軍に話して警戒度を上げさせよう」
ギナ様は通信機に向かって指示し始める。
「……でも何者が……」
「わかりません、一機だけだったそうですが、劾のブルーフレームが損傷を受けて、イライジャのジンも損傷を受けたそうです」
「一機でか……」
「大丈夫だって! 地球軍も警戒してるんだしさぁ」
「そうよ。気を楽にして? ね? じゃあ、またサーペントテイルが着いたら呼んでよ」
「おう」
私は一旦イズモを後にした。




マティスのシーゲル・クラインを探ろうとする試みは続いていた。
だが……
『マティス様、これが最後の報告となるかかも知れません。シーゲル・クラインはああ人間ではありません! 彼の周囲を探るようになってから、変な視線を感じじたり、突然奇妙な物音がが聞こえるようになああ、窓に!  窓に!!』
この報告を最後に、また一人プラントに潜り込んでいる『一族』が消息を絶っていた。
どう考えればいいの? シーゲル・クライン、あなたは……何者!?




程なく。サーペントテイルの皆さんがプトレマイオス基地に入港したと言う知らせを聞き、私は再びイズモへ急いだ。
イズモに着くと、そこは奇妙な緊張感に包まれていた。
「……どうしたの、ロウ?」
小声でロウに聞く。
「いや、サーペントテイルの連中も着いたばかりなんだが、なんかサーペントテイルの劾とギナ様が睨み合っちゃって……口が出せん雰囲気だ……」
その時、ギナ様が口を開いた。
「お前がP03のパイロットか。以前は世話になったな」
「……ああ……」
「で、今後も世話をしてくれるつもりなのかね?」
「……いや、とりあえずその予定は無い」
「ふ……」
ギナ様はにぃっと笑みを浮かべた。
「では、お前達に頼みたい事がある」
「……なんだ?」
「プレア・レヴェリーがオーブへ降り、ウズミにニュートロンジャマーキャンセラーを渡す。その護衛を頼みたい」
「了解した」
「……いいのか? 報酬も聞かずに即答して」
「あんたなら、つまらん値切りはしないだろうと信用しているよ」
「ふ……」
ギナ様は苦笑した。
「ところで、イライジャ・キールとやら。お前の乗機はジンだそうだな」
「あ、ああ。それが何か?」
突然話を振られたイライジャはどもりながら答える。
「ジンもいい加減古い機体だ。旧式化している。そろそろ新しい機体が欲しいのではないかな?」
「つまり?」
「報酬はM1アストレイの最新バージョン一機だ。ああ、それから損傷したP03、修理させよう」
思わぬ破格の報酬にサーペントテイルの面々は顔を見合わせる。
「いいんじゃねえか? ちょうどイライジャのジン壊れちまってるし」
「ああ……! 俺もM1アストレイなら文句は無い」
「よし。報酬の件、了解した」
「M1アストレイはすぐに渡せるが、修理は一旦、アメノミハシラに寄ってくれ。そこからシャトルでオーブに降りてもらう。まぁ、M1アストレイの頭部でよければ、すぐやるが」
「ギナ様、すみません。僕のためにこんな……」
プレアが恐縮した顔をする。
「気にするな。お前のおかげでオーブはより優れたニュートロンジャマーキャンセラーを手に入れられるのだからな」
ギナは優しい声でプレアに語る。
病弱なプレアに対する気遣いだろうか。
ギナ様も最初に会った頃から比べれば丸くなったものだとロウは思う。蘊奥との出会いによるものか、プレアとの出会いによるものか……
ロウは、ギナが変わったのはロウに出会ってからではないかと、劾が興味深い視線を自分に向けている事に気がつかなかった。




「な、なんですって!?」
ガルシアは、上官の詰問を受けていた。
『だから言ったろう、ガルシア君。我が国は既にモビルスーツについてはストライクダガーの供与を大西洋連邦から受けている。これは高度な政治的判断なのだよ。それになんだね? 君の特務部隊はよりによってプトレマイオス基地の近くで地球軍の味方を襲撃したらしいな』
「い、いえ! 決してそのような事は! 襲ったのは傭兵部隊で……」
『ふぅ……ガルシア君、地球軍の耳は役立たずではないよ? これ以上勝手な事をされては我がユーラシア連邦の不利益な事になるのだ。はっきりした証拠が掴まれない内に、危険な火遊びはやめるのだな。いいね?』
そう言うと、通信は一方的に切られた。
「く、くそー! これもメイリンがのろのろしてるからだ! 奴を拘束しろ!」




月面プトレマイオス基地――
そこには毎日のように地球からの補給部隊が訪れ、ボアズ要塞攻略のための物資が着々と蓄えられていく。
その日も――
「うわあぁぁぁ!」
「敵だ! 敵襲だ!」
「なんだと!? レーダにも目視にも何も写っとらんかったぞ!」
「船を守れ! 守るんだー!」
補給部隊は突然の襲撃を受けた。
「相手は一機だぞ!」
「ぐわっ!」
「つ、強い!」
襲撃者は通常のモビルスーツより一回り大きなモビルスーツだった。
「くそ、道連れだ!」
一機の損傷を受けたストライクダガーがそのモビルスーツに組み付く――爆発!
「やったか!」
――だが。
「へへへ、ばーか!」
その襲撃してきたモビルスーツ――ザフトの開発中のモビルスーツ、リジェネレイトのパイロット――アッシュ・グレイは健在だった。
実はリジェネレイトはコクピットがバックパック部分に存在し、それ自体が「コア・ユニット」と呼ばれる1対のサブアームを持ったパーツに分離する。
「そんな部分やられたってどうって事無いぜ!」
近くに漂うコンテナからパーツが飛び出し、コア・ユニットと合体する。
リジェネレイトの人型部分は多数の予備が存在する使い捨てパーツに過ぎず、戦闘中この部分を破損しても新たなパーツ、あるいは破損パーツから使用可能な部分を再構成してドッキングする事で、パーツの供給が続く限り何度でも機体を再構築する事が出来のだ。
リジェネレイトは完全復活した。
「ははは! 全部殺しまくってやるぜぇ!」
アッシュ・グレイは吼えた。






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