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Lnamaria-IF_523第40話

Last-modified: 2008-02-15 (金) 17:37:56

「補給部隊との通信は?」
「依然途絶したままです。ギナ様」
「そうか――あれは何だ!?」
窓の外を、楔のような形の……大型モビルアーマーだろうか? すさまじい速度であっという間に通り過ぎて行った。
……その後、補給部隊が救難信号を発した地点にギナが辿り付いた時、発見できたのは残骸のみであった――


「くっくっく、今日も殺しまくったぜぇ!」
ギナが見た大型モビルアーマーらしき物――その中にアッシュ・グレイは居た。
そう、リジェネレイトはモビルスーツ形態とモビルアーマー形態が取れる可変型の……そして核動力機であった。
「ふふふ。今夜は気持ちよく眠れそうだ……」
彼は口を歪めて笑った。




「じゃあ、とりあえずブルーフレームは修理しなくても大丈夫なのね?」
「ああ。襲撃してきたアンノウン対策も兼ねて、セカンドL――タクティカル・アームズを使う。頭部もそれ専用に取り替えるからな」
「タクティカル・アームズ?」
プレアとドレッドノートはサーペントテイルの船に移される。私は、プレアが心配で劾さんに色々聞いてしまう。
「襲撃者は、アルテミスの光波防御帯の改良型を使ってきた。タクティカル・アームズはラミネート装甲された実体剣だ。そいつを貫ける」
「試したの?」
「ああ、耐ビームコーティングしたアーマーシュナイダーでな。もっともそいつは光波防御帯を貫いたものの、長さも足らず有効な攻撃が出来なかった。耐え切れず短時間で崩壊したが、ラミネート装甲ならかなり持つ筈だ」
「そう……耐ビームコーティングね。ありがとう」
劾さんの言葉を聞いて私には一つメイリンへの対抗手段が思い浮かんだ。――ガーベラストレート。あれなら……
「なに……役に立てれば光栄だ。――そう言えば、君に聞きたい事があった。アズラエルを君はどう思う? ブルーコスモスの盟主と言うと、俺のようなコーディネイターはつい身構えてしまうのだが」
「アズラエルさん? うーん、別におっかなくないわよ? そりゃ敵対する人にとっては怖いだろうけど。反コーディネイターって言ってもアズラエルさんの場合は、これ以上コーディネイターが増えないように、犯罪を犯したコーディネイターは隔離するようにって感じね。知ってるかもしれないけど、地球上のコーディネイターを保護しようとしてるし……小さい頃、コーディネイターに憧れてたんだって。ふふ。プラントに関しては反コーディネイターってより工場を労働者に乗っ取られた経営主の感覚で怒ってるし。私達コーディネイターにとって普通に敵と言えるのはブルーコスモスじゃロード・ジブリールじゃないかしら。何かにつけて砂時計は全部ぶっ壊せ、コーディネイターは皆殺しにしろって喚いて……アズラエルさん達プラントを正常な状態にしたい人達からは顰蹙を買っているそうよ?」
「ロード・ジブリールか。過激派だとは聞いている。ありがとう。色々事情がわかったよ」
「どういたしまして」


「メイリン」
ピスティスが強張った顔をしてメイリンに話しかけた。
「どうしたの? そんな硬い顔して」
「ガルシア司令から、あなたの拘束命令が出ております」
「なんですって!?」
「どうやらユーラシアの上の方に訓練中の地球軍モビルスーツを襲撃したのがばれたらしく、この特務部隊の解散も命じられているとか。ハイペリオンの開発もとうとうストップが決まったそうです」
メイリンの顔は怒りのために紅潮した。
「……ふっざけないでよ! 今更やめろ!? 誰が止めてやるもんですか! 私は! ルナマリア・ホークを倒してスーパーコーディネイターになるのよ! そのためには……」
メイリンはピスティスを見つめた。
「私は一人でもやるわよ。あなたは邪魔をする?」
「……いいえ。この特務部隊は、そもそも我がユーラシアが大西洋連邦に対抗せんとして作られた物。祖国が大西洋連邦の膝下に入るなど我慢できない者ばかりです。あなたがその気なら、我々一同付いて行きますよ」
「……そう。じゃあ、すぐにアルテミスからの出航準備を! 邪魔をする者は今までの味方であっても撃つ!」


「な、なにが起こった!?」
突然の揺れにガルシアは副官に怒鳴った。
「オルテュギアが! 強引に出航を試みているようです!」
「なんだと!?」
その時、オルテュギアから通信が入った。
『あらあら、慌てちゃって』
「――メイリン! 貴様! 何をやっている! すぐさま艦を止め降りて来い!」
『ふふふ。私がそんな命令に従うと思って? 拘束命令まで出したそうじゃない。それで私はモルモットに戻れと? ――ふざけんじゃないわよ! 私はルナマリア・ホークを撃ち私が成功体だと証明するわ! 元々はあんたらが出した命令かも知れない。でもね? もう私自身の目的になっているのよ。後悔するならそんな命令を出した自分を恨む事ね。……で、シャッター開けて欲しいんだけど? なんならオルテュギアの艦砲でぶち破ってもいいのよ?』
「……わ、わかった、シャッターを開ける! これ以上基地を壊すな!」
『ふふふ。ありがと』
ぷちんと通信は切れた。
「……くそう、あのあま、いい気になりやがって! バルサムを呼べ! 追撃をかけるんだ!」
「はっ」




「うーん、どうしようかなぁ」
先ほどからロウは部屋の中を熊みたいにうろうろ回っている。見かねてリーアムが声をかける。
「どうしたんです? ロウ?」
「プレアの事だけどよー。……うしっ、決めた! 一緒にオーブに行くぞ!」
「なんです、急に」
「いやぁ、ほっとけないって言うか、心配だろ。ルナもかなり心配してる。ルナはここを離れられないから俺達が代わりに着いて行ってやるのさ!」
「あー、どうなんでしょう、ギナ様」
「まぁ、とりあえずやってもらう事も無いしな。いいだろう。本土に行って来い」
「やったー! さすがギナ様話が分かる!」
「やったー! ロウも来るのね!」
風花も嬉しそうだ。
「じゃあ、リ・ホームの準備しなきゃね〜♪ あ、エリカにお土産買って行こうかしら? プトレマイオス饅頭とか」
「プロフェッサー、何ですかそれは?」
「売店に売ってたのよ」
「また妙な物を……」
再び地球に向かう――ロウ達を妙な活気が包んだ。




「メイリン、アルテミスからモビルスーツの出撃を確認。ハイペリオン2号機と思われます」
「やっぱりね。黙って出してくれるとは思わなかったわ。出るわ。用意して!」
「はい!」
出撃したメイリンは追っ手と対峙する。
「おい、メイリン、さっさと投降しろよ」
「バルサムね。まさか今更そんな事をすると思う?」
「ふん、じゃあ失敗作のお前を倒して本当の撃墜マークを付けてやるだけだ! 行くぜ! 模擬戦で! 七機撃墜! エースの、『アルテミスの荒鷲』の攻撃を受けてみろ!」
パルサムはアルミューレ・リュミエールを展開するとビームサブマシンガンをメイリンのハイペリオンに向ける。
「馬鹿ね! いきなりアルミューレ・リュミエールを張る所が、所詮は模擬戦だけのお坊ちゃんよ! 同スペックの機体でそんな戦い方で倒せると思って!? 時間切れを狙っても良いけど、時間がもったいないから真っ向から倒してあげる! 人生の最後に先達の技を見せてあげるわ! アルミューレ・リュミエールにはこう言う使い方もあるのよ!」
メイリンもアルミューレ・リュミエールを展開し、パルサム機に突進する!
メイリンは徐々にアルミューレ・リュミエールの展開角度を変えて行く。
「見なさい! これがアルミューレ・ランスよ!」
槍状になったアルミューレ・リュミエールがバルサム機のアルミューレ・リュミエールを貫く!
「――うわあぁぁ!」
――それがバルサムの最後の声だった。
「ふふふ。ハイペリオン2号機、せっかくだから予備部品に使ってあげるわ。くくく」
静かになった空間でメイリンは一人笑った。




……アッシュ・グレイは目覚めるとコップに水を一杯飲んだ。
「くそう!」
寝る時には消えていた焦燥感がまた蘇っている。
「昨日あんなにぶち殺したって言うのに!」
アッシュ・グレイの事を人は血に飢えた獣と呼ぶ事もある。だが……彼とて最初からこうではなかった。
――彼は、幼い頃特殊な病気に罹っていた。同じ病気の仲の良い少女が居た。だが……彼女はある日突然いなくなった。死んだと聞かされた。アッシュ・グレイ自身は運良く完治し、退院した。
しかし……ある時、患者仲間から聞き逃せない情報が入った。それは……あの仲の良かった少女が、ある大物政治家の息子の臓器移植のために殺されたというのだ。
最初は疑った。だが……調べていくほどに真実だと思わざるを得なかった。
その政治家の息子はザフトに入ったと言う。アッシュ・グレイは迷わず、ザフトに志願し、彼と同じ部隊になるように工作し……そして首尾よく彼を謀殺した。復讐を果たしたのだ。
しかし、アッシュ・グレイの心は満たされなかった。
敵を殺した時だけ、少し心が晴れるような気がした。だが、眠りに就いて翌朝起きると心の渇きは更に大きくなっていた。彼は更に殺戮を求めた。
「まあいい……今日も殺しまくるか! ははは!」
哄笑が部屋の中に響く。その声はどこか悲しい響きを帯びていた。




「どうした、ハーネンフース」
「あ、サトー隊長」
休憩室で休んでいたシホ・ハーネンフースは立ち上がるとアナベル・サトーに向かって敬礼する。
シホはナスカ級高速戦闘艦ハーシェルのモビルスーツ隊の隊長。サトーは同じ艦のもう一つのモビルスーツ隊の隊長だ。
「ははは。あまり堅苦しくなるな」
サトーは自動販売機からパック飲料を取ると、シホと向かい合って座る。
「……すまんな。俺だけゲイツを受領してしまって」
「いえ……軍人は与えられた装備で全力を尽くすのみです」
この時期、ザフトの新型機ゲイツの配備はかなり進み、隊長機はほぼゲイツに替わっていた。だが……シホの乗機はビーム兵器試験機のシグーディープアームズのままだった。
露骨な懲罰措置と言えた。現在のハーネンフース隊。前の名前はジュール隊。隊長をイザーク・ジュールと言う。
「まぁ。イザークもなぁ……。まぁ、あまり気にするな。幸い俺達がしたような、奪われた新型機が戦場に投入もされていないようだからな。アスランもだが、親に一緒に逃げろと言われちゃ、断れんだろう。俺だって死んだ妻と娘が生きていて、戦争なんかやめてどこかで静かに暮らそうと言われたら、ザフトなんか辞めちまうかも知れんよ?」
サトーはちょっとおどけた仕草をした。
シホは小さく笑った。
「まぁ、色々言う奴もいるだろうが、その時は俺の所に言って来い!」
「はい。ありがとうございます」
そのシホの姿に、サトーは娘の大きくなった姿を重ねた。なんとなく、似ているのだ。
出来る限り守ってやる。
サトーは心に誓った。




プレアはこれからリ・ホームに乗り込む。
護衛には、サーペントテイルの他にオーブの新型護衛艦ハツユキ級護衛艦が4隻付くそうだ。オーブも本気らしくて心強い。
「じゃあ、プレア……」
言葉はいらない。でも、言葉にしたい。
「ルナ、ねえさん……」
「オーブに行ったらちゃんと、ギナ様の紹介状使うのよ? 生活の面倒も、もし具合が悪くなった時もそれで大丈夫だから」
「ああ、遠慮なく使ってくれ。まぁ、ウズミが気を利かせて色々世話してくれるとは思うが」
「ギナ様にも、お世話になって……」
「なに、かまわんよ」
ギナ様が手を振る。
「ウズミ様にニュートロンジャマーキャンセラー渡したら、後はオーブでゆっくり体を休めるのよ?」
「わかっていますよ」
「絶対に……」
「ええ、また、会いましょう」
プレアが、そう言って名残惜しそうにリ・ホームに乗り込む。
私はストライクルージュに乗り込む。発進させる。
基地上空で、護衛艦と合流するまでの間だけでも……そばにいたい。


……プレアは無事護衛艦と合流を果たすと、アメノミハシラに向けて旅立っていった。
プレアと、また会えるだろうか? 私は嫌な予感を打ち消す。
絶対に、会うんだ!
……ピー……
通信?
『――ホーク中尉! 基地が襲撃された! 早く帰還を!』
なんですって!?




「一体どこなの!? ニュートロンジャマーキャンセラーは!? ――くそっまた雑魚が!」
メイリンは現れたストライクダガーを2射で片付ける。
彼女は困惑していた。プトレマイオス基地にザフトのニュートロンジャマーキャンセラー搭載機が亡命した事は確か。てっきりその技術を使って核兵器を使用可能にしていると思ったのに……戦前からある核兵器保管庫――てっきりそこにニュートロンジャマーキャンセラーがあると踏んでいたのに、まるきり見当たらないのだ。
「――! 動くな! 動けば撃つ!」
逃げ惑う警備兵にビームサブマシンガンを突きつける。
「さあ、吐け! ニュートロンジャマーキャンセラーはどこ!?」
警備兵は怯えながら言った。
「し、知らない! そんな物見た事も無い! あ、あんたも見たろう! ここにそんな物は無い! 納得がいかなけりゃ行くまで探せばいいさ!」
――! またストライクダガーが現れた。だが、核兵器に当たる事を恐れてか撃って来ない。
「くっ、時間が! これまでか!」
メイリンは一気に兵器庫から飛び出すと、壁の向こうに隠れたストライクダガーにビームナイフを突き刺して片付ける。
「脱出する!」






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