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Lnamaria-IF_56第02話

Last-modified: 2008-08-26 (火) 06:49:26

 シミュレーターから出た私は、その場にへたり込んで息を整えた。
「あーーーー、きつかった!」
「クソ! あそこで俺の掩護がきちんと出来てれば!」
 コンビを組んだシンも、今の結果には納得が行かないようだ。


「いや、シンの判断は速かったよ。俺の射撃が甘かったんだ」
「そんな事……」
「スコア……出たぜ。一位はあいつだ」
 シンは十二番で私は……二位か。ずらりと並んだ順位の最初に、レイの名前があった。


「持久力が足りないな、レナード」
 疲れ切った私の姿を見て、レイが皮肉を言いに近づいてきた。
 どうでもいいけどそこの女子学生! レイが私に近づいたからって薔薇色展開を妄想しない!
「息切れしてなきゃ俺が勝ってた……負け惜しみだけどね」
「そうだな――」
 演技ではなく、本気で声が掠れていた。でも息切れしたのは、私が怠けていたからじゃなくて、
サラシで巻いた胸がきつかったから――今になって思うけど、貧乳ってステータスだわ、本当。
 ラクス様とかが羨ましい。


「それに、シンを庇う動きをしなければ、もっと無駄が無かっただろう。
シンも、レナードと組むより俺と組んだ方がスコアが伸びるんじゃないのか?」
「何言ってんだよレイ! レナと組んでたから、俺が十二番なんて取れたんだ」
「もっと伸びたいなら俺と組め、やり方を変えればすぐにでも、お前はトップテンに入れる。
"赤"が見えてくるんだぞ、シン?」
 うわ、そう来たか。反抗児だったシンが最近、得点の伸びと共に丸くなってきたのを見て、
手駒に欲しくなったらしいけど――冗談じゃない!
 オーブの温いカリキュラムで育ったシンが此処まで伸びるのに……どれだけ私が
言葉を尽くしたと思ってるんだろう。このきかん坊を何回殴り飛ばした事か!


「次の演習からでも、俺と組んでみるのはどうだ?」
「シン、レイの言う事なんか聞くな」
 私は『命令』したつもりだった。だけどシンは聞かなかった。
「レナ……。レイ、別にいいよ、次の演習で組もう」
「――シン!」その言葉が信じられなくて、思わず叫ぶ。
「だ、そうだ。レナード。……では、次の授業の用意があるので失礼させてもらう」
 勝ち誇って去ったレイが見えなくなると即座に、私はシンの襟首を締め上げた。


「シン! アンタ、俺の手下じゃなかったのか。どうして、どうしてレイについた――!?」
 考えていた計画が、ガラガラと崩れる音がする。
 折角、いい調子で組んでいけると思ったのに。
 シンとのコンビなら、私はザフトレッドにでも何でもなれると思ったのに――!


「だってレナ、俺はお前の手下じゃないし……」
 まるで何も考えてない答えだ。
 だからって、私とコンビを解消して、レイと組むって言うの、シン?


「それに、次の演習はスリーマンセルだろ? 俺と、レナと、レイで組めばいいじゃないか」
「は? ……はははっ! そう言う事か!」
 私は驚いて、次に心の底から楽しくなって、シンの背中をばんばんと叩きまくった。
 こら、そこの女子学生、シンに向けて嫉妬に満ちた殺視線を送るんじゃない!
 オーブ育ちのこいつが、プラントでどれくらい苦労して、努力してMSパイロットに
なろうとしてるのか知らない癖に……私は知ってるけど。


 シンは私を切り捨てたわけでも、レイを選んだわけでもない。捨てる事をしない奴だった。
オーブから持って来た、使えない携帯電話を未だに持って居るような、そんなところがあった。
 シンは単純に、一人必要だからレイを誘っただけなのだ。
 何も考えていない奴だけど、それがどれだけ貴重な事か!


「あの一匹狼なレイをあっさり誘っちまうなんて、さっすが俺の子分だよな」
「レナ、俺はお前の子分じゃないだろう」
 ――じゃあ、手下? 叩くのをやめてそんな目で見ていると、
「子分とか手下とかじゃなくて……友達だろ?」
「お前……シン! 恥っずかしい奴だな本当!」
 恥ずかしいのはむしろ私だ。赤くなった顔をシンから隠したくて、いっそ肩を組んで歩き始めた。
「おい――レナ!」
「気にするなって!」
 相当恥ずかしいのか――失礼な――体温が高くなっていた。私もサラシがきつすぎたみたい、
息が苦しいし動悸がする。ちょっとゆるめようかな? でも、ばれると困るし。


 "本当の私"ならできるはずもないことだけど、"男同士"ならこれくらいの接触ありでしょ?
 ――だからそこの女子学生、絶叫しない!




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