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Lnamaria-IF_56第03話

Last-modified: 2008-08-26 (火) 06:51:42

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 ――キミは誰とキスをする?
 ――ワタシ? それともアノ娘?


 辻カラオケ大会のメインステージ。
 私は軽快なリズムに心と体躍らせて、熱烈な三角関係を歌につづっていた。


 ――妄想を裁く オキテ
 ――後から蹴り上げたら


 ステージ上で歌詞に合わせてハイキック、ミニスカニーソで主役の私。
 見えそうだけど大丈夫よ、狭くて無限の絶対領域があるもの!


 ――痛いよ 前向きな嘘 真に受けるのは


 ああ、なんて開放感!
 サラシもないし、ハスキーボイスも演じなくて良い。


 ――たった一つの 命をタテに
 ――いまふりかざす 純情


 アドリブの振り付け交じりに某ドラマの主題歌を歌いきった私は、静まり返った
観客席にちょっと後悔した。久しぶりの女装(あれ?)だからって張り切りすぎたかも。


 拍手はくれないけど聞いてくれた人たちに感謝、で手を振っておく。
 あ、あそこに居るのはしーんとしちゃってるシン、なんちゃって……って、シン!?
 まずい。固まった笑顔を御辞儀で隠し、とりあえず他人のフリで背中を向ける。


「…………凄い! 飛び入り参加の爆熱ゴッドシンガー・ルナリア=ホームさんに皆様、
どうか称賛、拍手、大喝采をお願いします! ああルナリアさん、待ってください!」
 ぼーっとしていた司会者の慌てた台詞と、爆竹みたいな拍手が、ステージから去り際の
背中を追ってきた。ついでにシンも、走り出していた。


 落ち着け――3……5。こんな時は双子素数を数えるんだ。11……13。
 素数は孤独な数字、私に勇気を与えてくれる。17……19。
 でも双子素数は、無限の孤独にも仲間が居ると、更に勇気を与えてくれる!
 29……31。私は戦略を練り終えた。


「レナ――!」
「――キャ! 誰よ貴方!?」
 部隊袖で私を捕まえたシンは、明らかに女の子な私に面食らったようだ。
「わ……私のお兄ちゃんはザフトなんだから、何かあったらただじゃ置かないわよ!」
「へ……レナじゃ、無いのか? お兄ちゃんってことは……そうか。レナに妹が居たんだ」
 あっさり騙されてる。
 断言しよう、コイツは今までミステリー小説を読んだ事がない……一冊も。




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