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Macross-Seed_◆VF791dp5AE氏_第03話

Last-modified: 2011-04-15 (金) 10:38:23

駐車場にエレカを停め、目的のハンガーへと二人は歩く。
途中すれ違う軍人達―ハイネの軍服とは違い深緑を基調としている―はハイネをみる度に敬礼をしている。
「なぁ、お前ってひょっとして結構偉い立場なのか?」
「まあな。なんてったってフェイスだ。ザフトじゃかなり高い地位だぜ。」
方々から敬礼を受けつつ、ハイネは答える。
よく分からない単語がでてきたので、ついでなのでバサラは尋ねてみた。
「よく分かんねぇんだが、さっきから聞くザフトってなんだ?」
「おいおい、そんなことも知らないのかよ。
 お前ってどんだけ常識しらずなんだ?
 ザフトってえのは、簡単に言えばプラントを守るための義勇兵の集まりだな。
 あくまでも義勇兵だから建前上、階級がない。
 ま、そういいつつも服の色で隊長かどうかの区別をつけてるんだがな。」
「常識が無くて悪かったな。
 で、プラントっつう奴は?
 さっきの外の様子じゃ移民星でもなさそうだが、移民船団の名前か?」
「簡単に言えば宇宙コロニーだな。
 ここらL5宙域の・・・っと、ここだな。」
一つの扉の前で停止する。

両側には警備の兵士が一人ずつ。
「それじゃあ、感動のご対面と行きますか。」
指をワキワキと動かしつつ、ハイネはコンソールに手を伸ばす。
しかし、それは警備の兵のよって遮られる。
「申し訳ありません、ここより先は議長の許可がないと通せません。」
整った顔に一片の微笑みすら浮かべず、兵士は冷たくいい放つ。
が、ハイネは軽い態度で言い返す。
「は?そりゃあ、普通の奴らへの命令だろ?
 つまり、フェイスの俺には関係ないってことだ。
 つう訳で、そこにいるんなら代わりに開けてくれ。」
「しかし、ここは・・・」
「いいから、フェイス命令だ。通しな。」
多少語気を強めてハイネは兵の目をみていう。
それに気押されたのか、渋々ながら兵がコンソールをいじる。
ロックを解除していない方の兵は、何処かに連絡をとっているようだ。
と、その兵がハイネをよぶ。
「はい・・・はっ、了解しました、そちらに向かいます。」
ハイネは通信機を兵に返し、申し訳なさそうにバサラにむかって言った。
「悪いが、感動のご対面はもう少し後になりそうだ。
先に議長が会いたいってさ。」

「特務隊フェイス所属、ハイネ・ヴェステンフルス、入ります。」
「すまないね、わざわざここまで来て貰って。」
通された部屋には、黒髪の男が待っていた。
高い地位にいるらしいハイネがかしこまっているのは、相手がそれより高い地位にいるからだろう。
と、男がこちらに手を差し出す。
「君があの紅い機体のパイロットかね。
 私はプラント評議会議長のギルバート・デュランダルだ、よろしく頼むよ。」
「俺は熱気バサラだ。」
軽い握手を交し、議長は二人に席を勧める。

運ばれてきた紅茶に三人とも手をつけ、リラックスしたところで議長が語り出す。
「わざわざ君に来てもらったのは少々聞きたいことがあったからだ。
 ここなら他の人間に聞かれることも無いからね。」
紅茶を一口飲み、議長は続ける。
「率直に聞こう。君は何者なのかね。
 技師が言うには、あの機体にはザフトでもまだ開発中のビームシールドらしきものまで装備されていると聞く。
 そんなMSに載って現れた君は一体どこのものなのか?」
僅かに身を乗り出しつつ、バサラに尋ねる。
「俺は熱気バサラ、Fire Bomberのギターボーカルそれだけさ。
 あいつは俺の相棒、ファイアーバルキリーだ。
 いや、相棒はぶっ壊れちまったからあいつは違うな。ただのVF-19か。
 ま、クジラの熱い魂を注がれた新生ファイアーバルキリーだな。」
「Fire Bomberか、あいにくだが私は音楽には詳しくなくてだね。
 すまないが、君のバンドの曲は聞いたことがない。ハイネ、君はどうかね?」
「いえ、自分も聞いたことがありませんでした。
 ですが、こちらへ来る途中で聞かせてもらった歌は中々でした。
 機会があれば、ぜひ議長も聞かれて見てはいかがでしょうか。」
「歌にはうるさい君が褒めるとは、相当のもののようだね。」
「なんだったら今ここで聞かせてやるぜ?」
バサラは傍らに置いてあったギターを掴み、イントロを奏でだす。
「い、いや、それはまた別の機会にお願いするよ。」
どことなく引きつった笑みで議長が拒否する。

しかし、すぐに顔を引き締め話題を変える。
「ところで先ほど出てきたVF-19という機体について、話せる範囲でかまわないので聞きたいのだが。」
「ああ、別にかまやしねえぜ。」
あっさりと話してくれることに少々拍子抜けしたのか、脇からハイネが口を出す。
「おいおい、いいのかよそんなあっさり決めちまって?
 機密事項とか色々とあるんじゃないのか?」
「別に気にしねえよ。第一、俺は専門家じゃないからどれが機密かなんかわかんねえし。
 そもそも、そんなに出回ってない機体ってワケでもないだろ?
 辺境の惑星ゾラの警備隊にだって何機か配備されてるぐらいだぜ?」

「ちょっと待って欲しい、あの機体は試作機ではなく量産機なのかね?
 君の言い分だと、正式配備されている機体の様だが、我々はあのようなMSは見たことがないのだが・・・」
「はあ?大体モビルスーツって何だよ?ありゃどっからどう見たってバルキリーだろうが。」
「MSというならまだわかるが、バルキリーとはいったい何かね?」
「俺も聞いたことないな、ありゃMSじゃないってのか?」
「あれはバルキリーだろ、常識的に考えて。
 ハイネ、お前バルキリーに乗らなくて何に乗ってるんだ?
 まさかデストロイドとかいう型遅れの移動砲台か?
 それともゼントラーディーが乗るようなバトルスーツでも着て戦ってんのか?」
信じられないような物でも見るように二人を見るバサラ。
彼からすれば、バルキリーを知らない人類が未だに居ることが驚きだった。
(いったいここはどれだけ田舎なんだ?
 まさか、クジラに別の銀河まで運ばれちまったのか?)

(とにかく、ここが銀河のどのあたりに位置するのかを聞いておくか。)
「なぁ、ここはいったい地球から何光年くらい離れた位置にあるんだ?」
「ここは地球からさほど遠くない位置にあるのだが・・・」
「冗談にしちゃあ笑えねぇな。2点ってとこか。」
バサラは真面目に言ったつもりだったが、二人には冗談として採られたようだ。
「真面目な話なんだ。ちゃんと答えてくれ。」
そういうと議長のほうが困ったような顔で答える。
「いや、実際にこのプラントのあるL5宙域は地球からさほど離れていないんだ。
 何光年と言う単位では言い表せないくらいに近い距離だよ。」
「地球に近いだって?」
バサラは少し考えてから少し詳しく聞いてみる。
「お前らが言う地球ってのは銀河系太陽系第三惑星の地球だよな?」
「それ以外に地球はねえだろ?ま、銀河は広いから似たようなのはあるかもしれねぇがな。」
ハイネが変な目でこちらを見ている。
(だったら何でバルキリーのことを知らねえんだ?)
「なら、地球にSDF-1マクロスがあるよな?でっけえ宇宙戦艦がアラスカにあるはずだよな?」
「アラスカは連合軍のサイクロプスによる被害が大きすぎて軍本部としては機能していないはずだがね?」
(いったいどうなってやがるんだ?)
「じゃあ、今は西暦何年なんだ?少なくとも2049年以降だよな?」
「西暦なんて旧世紀の年号出されてもわかんねえよ。
 とりあえず、今はコズミック・イラ73年だろ。」
(訳がわからねぇ。こりゃ一体どういうことだ?)
「なら、リン・ミンメイなら知ってるよな?
 歌で宇宙対戦を終結に導いた伝説の歌姫だ。」
「戦争を終わらせたのはラクス・クラインだろう。彼女も歌姫だ。」
(俺は一体どこに来ちまったんだ?)

バサラの混乱は深まるばかりだった。
リン・ミンメイを知らないようでは自分のバンドなんか知らなくて当然だが、それでもこれはおかしい。
ここまで違うと、まるで夢の世界のようだ。あるいは、平行世界という奴か。
冗談にとられてもかまわないか、と思いバサラは言った。
「こんだけ違うってことは、もしかして俺は別の世界にでも飛ばされちまったのかもな・・・」

議長は、そんなバサラの言葉を聴いて意見を言った。。
「できるならば否定してあげたいが、ここまで意見が食い違うとなるとそれはできないか。」
ハイネは静観を決め込んだようで、何もいわない。
何か考え込んでいるようだが、口には出していない。
「君の言うことは我々が全く知らない世界の出来事としか聞こえない。
 バルキリー、SDF-1マクロス、リン・ミンメイ・・・どれも我々には聞いたことのない言葉だからね。
 ともかく、もう少し詳しい話を聞かせてもらいたいが、いいかね?」
「ま、それしかねえだろうな・・・」
バサラはすっかり冷めてしまった紅茶を一息に飲んでしまう。
「続きは私の屋敷で話すとしようか。少なくとも、ここよりはまともな接待はできるはずだよ。」
「自分も屋敷までお供させていただいてよろしいでしょうか?」
「かまわんよ、ハイネ。さて、この後の予定を空けておくように連絡を入れねば・・・少し待ってて貰えるかね二人とも。
 そうだ、バサラ君。少々時間が空くことになるだろうから君の機体を見てくるといい。」
「んじゃ、そうさせてもらうぜ。」
「俺も格納庫まで付き合うぜ。お前さんのバルキリーとやらに興味もあるしな。」
二人が扉を開けて廊下に出る。

二人が部屋を去ってから、ぼそりと議長は呟く。
「異世界からの客人、か。中々面白いカードだ。
 この局面でこんなカードが手に入るとは、私には運があるのかないのかよくわからないな。
 さて、彼にはどのように動いてもらうとするか・・・」


機動戦士ガンダムSEED DESTINY feat.熱気バサラ
第三話 驚きと戸惑い〜SURPRISE〜