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R-18_Abe-SeedDestiny-X_安部高和_07

Last-modified: 2007-11-06 (火) 21:39:58

――「事態が事態故あまり人は回せんが、構わないかね?」
あの時のクルーゼの言葉。チャンスを貰えた事に舞い上がっていたイザークは、
その言葉が真に意味するところに気付いていなかった。
「で、どーすんのよ隊長」
「う、うるさい!今考え中だ!!」
ガモフ、ブリッジ。
ジュール隊+阿部さんは、ここに集まって今後の方針について話し合っていた。
しかしそれは、まずどこに向かうかとかそういったものではない。
「本当に僕達しかいないんですか、この艦には?」
誰がどこを担当するか。この艦にはジュール隊と阿部さんしかおらず、艦長はおろか操舵手も通信士も、
コックすらいなかった。艦を動かす以前の問題だった。
「まず艦長は俺確定だとして、他は――」
「阿部貴様!艦長は俺に決まっているだろうが!!」
「おいおいイザーク、冷静に考えろって。艦長に求められるのは判断力と決断力。だったら艦長に適任なのは
グレイトエルスマンこと俺しかいないって」
「艦長に迂闊属性は致命的だと思いますけど・・・・・・」
「隊長は俺だ!!だったら艦長も俺に決まっているだろ常識的に考えて!!」
常識的に考えると隊長と艦長は兼任しませんが。
「やれやれ、埒があかないねコレじゃ」
そう言うと阿部は、割り箸を五本用意してそれを紙コップの中に入れた。
「こうなりゃくじ引きだ。さ、好きなのを引きなよ。おっと俺のペニスは引かないでくれよンフフフフ」
「ふん、望むところだ。俺が艦長に相応しいという事をこのくじをもって証明してやる!!」
そして四人はくじを引き、それぞれの担当が決まった。
「グゥレイト!誰も俺の前は走らせないぜ!」
操舵手、ディアッカ・エルスマン。
「これなら僕にも出来そうですね」
通信士、二コル・アマルフィ。
「あんまり火器は好きじゃないんだけどね」
CIC、阿部高和。
「はっはっは!見たか貴様ら!天も俺に艦長をやれと言っているぞ!!」
そして艦長、イザーク・ジュール。
彼らは所定の位置につき、そしてイザークは彼らに命じた。
「よし、それでは早速発進だ!なんとしてもヴェサリウスを取り戻すぞ!!」
こうしてやっとこさヴェサリウス奪還隊母艦ガモフは、ドックから発進した。

発進直後、二コルが阿部に話し掛けた。
「・・・・・・阿部さん。くじに細工しましたね?」
「ふっ、分かった二コル・・・・・・」
二コルの言った通り、阿部はあのくじに細工を施していた。
「ええ。艦長がイザークになるように、ですよね?」
「ひゅう♪聡明じゃないの二コル」
気の短い彼に通信士は無理、冷静さに欠ける彼にCICは無理、車の運転がヘッタクソ(機動戦士阿部さんSEED、
オーブ潜入編参照)な彼に操舵手は無理という事で、阿部はイザークが艦長になるように仕向けたのだ。
「賢い男は好きだぜ二コル。今晩どうだい?」
「当然ご一緒させてもらいます」
だけどそんな男が艦長やっちゃいけないだろ常識的に考えて・・・・・・

ヴェサリウス、ブリッジ。
まんまとヴェサリウスを強奪したフロスト兄弟は、とあるポイントに向かっていた。
「で、これからどうするの、兄さん?」
艦を操舵しているのはオルバ。彼は二種免許を持っているので、艦の操縦もお手の物だった。
「ksk、ksk、ksk、ksk、ksk、ksk、ksk、ksk、ksk、ksk、ksk・・・・・・」
シャギア兄さんは、艦長席に座りながら携帯電話でkskしていた。
「兄さん!」
「待てオルバよ。もうじき1000なのだ。おっとうp会場スレを建てないとな」
「どうせ釣りだよ兄さん・・・・・・」
「プラント最高評議会の議員(人妻、子持ち)がおっぱいをうpすると言っているのだ。なら例え釣りの確率が高かろうと
kskせねばなるまい?」
「・・・・・・分かったよ兄さん。僕も手伝うよ」
「すまんなオルバよ。ニュー速VIPだ」
「ここだね。ksk、ksk、ksk、ksk、ksk・・・・・・」
そして10分後。
――『釣りですたwww』
「・・・・・・。こんな世界はさっさと滅ぼさねばならんな、オルバよ」
「何回釣られれば気が済むんだよ兄さん・・・・・・」
AW世界でもシャギアは幾度となくガロードに釣られていたのだが、それはまた別の話。
「で、兄さん。これからどうするんだい?」
「オルバよ。我々は戦艦を手に入れた。では次に何をすればいい?」
「そうだね・・・・・・連合のお偉いさんの所に行って戦意を煽る、かな?」
「惜しいなオルバ。確かにそれは最優先で行わなければならない事だが、それ以前にまずは自身の戦力を盤石なものに
する事が先決だ」
「戦力って・・・・・・大丈夫だよ兄さん。ヴァサーゴもアシュタロンもここにあるし、軍そのものを敵に回さない限りは
僕達二人だけでもやっていけるよ」
「ああ、それはもっともだ。しかしなオルバよ、我々二人がMSで出撃したとして、一体誰がこの艦を動かすというのだね?」
「あ・・・・・・」

確かにザフトや地球軍の全てを相手にするというのでなければ、ヴァサーゴとアシュタロンだけでも充分対抗出来るだろう。
しかしそれは自身の戦力がまっとうに機能すればの話。二人が出てしまっては、この艦はもぬけの空――
ただのでかい的になってしまうのだ。
「最低限操舵手は必要だ。艦を動かす者がいなければ戦場から離脱する事もままならんからな」
「そんな事にあっさりと気付くなんて・・・やっぱり兄さんはすごいや!!流石だよ兄さん!!」
「ふっ、そう褒めるなオルバよ。ニヤついてしまうではないかニヤニヤ・・・・・・」
「でも、一体どうやって人員を集めるのさ兄さん?」
「その点に関してはなんの問題もないぞオルバよ。既に手は打ってある」

プラント市街、貸しビル。
ミラージュコロイド搭載駐車場、マルキオパーキングにヴェサリウスを停めた彼らは、あらかじめ借りておいた
このビルの一室に赴いていた。
ちなみにマルキオパーキングとは裏の駐車場であり、どのような素性の戦艦、MSであろうとも「誰でもウェルカム」な
駐車場だ。外壁はミラージュコロイドで隠されているので、ザフト、連合に見つかる事はない。
駐車料金は一時間5000円と法外だが、その分戦場で強奪したヴェサリウスでも問題無く駐車出来た。
「で、兄さん。・・・・・・この格好は何?」
「何、とはなんだオルバよ。別におかしな格好ではないだろう?」
折りたたみの机を前にパイプ椅子に座る二人。
彼らはスーツ姿だった。しかし双子のはずなのに新入社員っぽく見えるオルバと違ってシャギアはスーツ姿が
板に付いているように見えるのはどういう事なのか。
「面接にはスーツ、常識ではないかなオルバよ」
「・・・・・・面接?」
「そうだ。これを見るんだ」
そう言ってシャギアは、求人雑誌のとあるページを開いた。
『(株)フロストカンパニー
本社は今、戦艦の乗組員を募集しています☆
経験者、未経験者は問いません!世界に復讐したい方、ニュータイプが憎くて憎くて仕方ない方は今すぐお電話!
我がフロストカンパニーでは、そういった人材を急募しています☆
もちろん電話無しでもOK!○月×日にマルキオ第24ビルの13号室に来ていただければ
その場で面接を行います!
さぁ、キミも僕らと一緒に世界に復讐しようじゃないか!!』
「・・・・・・・・・・・・。兄さん何コレ?」
「見ての通りだオルバ。人材が欲しければ求人する、当然の事ではないか」
「兄さん!こんな怪しげな内容の広告を見て誰が来るっていうのさ!!」
「ふっ、まだまだ青いなオルバよ。いいかオルバ、世界という所にはな、復讐したくて復讐したくてたまらない
人間というものが数多くいるのだよ。そんな彼らがこの広告を見てみろ。まるでMSにたかるバルチャーの如く
この場に詰め掛けるに違いない」
「例えいたとしてもこんな怪しい会社に誰が来るって言うんだよ兄さん・・・・・・」
がちゃ
「あの、すみません。雑誌を見て来たのですが・・・・・・」
「ほら、来たではないか」
「・・・・・・!?す、すごい、本当に来るなんて!やっぱり僕はまだまだ青二才だったよ兄さん!!
流石兄さん、目の付け所が違うよ!!」
「ふっ、そう褒めるなオルバニヤニヤ」

「あの、面接は・・・・・・?」
「おっと失礼。まぁ、かけたまえ」
「はい。失礼します」
面接に来たのは、金髪の女性だった。凛とした顔の、やや冷たい印象のある女性。
――「うほっ、良い女・・・」
――「その言い方やめてよ兄さん。流行ったらどうするのさ・・・・・・」
「ん、ごほん。ではまず名前から訊こう」
「はい。アビー・ウィンザーです。アカデミーの通信士科卒です。ですが、ブリッジの仕事ならば一通り
こなす事が出来ます」
「ほう、それは頼もしい。実戦経験はあるのかな?」
「いえ。配属フラグが立ちませんでしたので」
「それは悲しい事だな・・・・・・気持ちは分かる。我々もニュータイプフラグが立たなくてな・・・・・・」
「兄さん」
「おっと、すまんなオルバよ」
ニュータイプかどうかはフラグの問題ではなく資質の問題です。
「では志望動機を聞かせてもらおうか。ここに来たからにはやはり、世界に恨みを持っているのだろう?」
「もちろんです。世界に復讐が出来ると聞いて飛んできましたので」
「詳しい話は聞かせてもらえるのかな?」
「はい。まずは先ほども言いましたように、私の配属フラグの消滅です」
アビーがミネルバに配属されるには、メイリンがアスランと脱走しなければならない。
しかし阿部さんSEED DESTINYではアスランは単独で脱走しており、それ以前にアスランに女と脱走するという
考えは存在しない。そもそもグフでなくガズウートなので、デスティニーとレジェンドに追われては中の人は
ミンチより酷ぇや。
その結果、メイリンの代わりに通信士となるはずのアビーはその出番を奪われたのだ。
「しかも私が出る予定だったスペシャルエディションは没になる始末・・・・・・」
ちなみにサブタイトルは『最強伝説アーサー』。作者が『最強伝説黒沢』を読んで書こうと思ったものであり、
しかし一巻しか手元になかったので書くのを断念したものである。
「ショーンやゲイルでさえ出られたのに、私だけがミネルバからオミットされたのです。ですから私は復讐を誓い、
そしてその契機となるこのフロストカンパニーで働こうと決意したのです」
次におまえは「そういやショーンとゲイルって議長と一緒に本国に帰ったよね?あの後あいつらどうなったの?」
と言うッ!!ちなみに訊かれても答えられませんのであしからず。
「よし採用!」
「早い、早いよ兄さん!!」
「ふっ、オルバよ・・・・・・決断の遅い人間は好機を逃がすものなのだよ」
「そ、そうだけど、でも・・・・・・」
「私では不満ですか、オールバックさん?」
オールバックだからオルバ・・・・・・なんて事はないよな?書きながら思ったけど。
「・・・・・・そうだね。確かにキミの志望動機は素晴らしいものだったけど、それだけじゃ僕らの艦を任せるには
及ばないよ」
「これを見ても、ですか?」

そう言ってアビーは、鞄からファイルを取り出した。
「こ、これは!?」
そこにファイルされていたのは、免許だった。
通信士資格は元より、操舵手、CIC、艦長。調理師免許やユンボルの操縦免許まであり、もはや彼女に出来ない事は
ないと言えるほどの数だった。
「ふっ、分かったかオルバよ?このスキル豊富なアビーという好機を逃がすわけにはいかない理由が」
「こ、ここまで見抜いていたなんて・・・・・・すごいよ兄さん、流石だよ!!」
「そう褒めるなニヤニヤ」
「では採用、という事でよろしいのですか?」
「もちろんだ。ようこそアビー、我がフロストカンパニーへ」
「はい。ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いします」
こうして、ヴェサリウスに新たなクルーが配属された。
「しかしこれほどの数の資格・・・・・・よく取れたね」
「出番がなくて暇でしたから」
「さて、時にアビーよ。歓迎会も兼ねてこれから私の愛馬でドライブにでも行かないか?」
そう言ってアビーの肩に腕を回すシャギア。
「お断りします」
しかしアビーはその腕を振り払い、言った。
「男性に興味はありません。美幼女、美少女、美女を見つけたら私の前に連れてきてください」
「――!?」
――「お、オルバよ、まさか彼女は・・・・・・」
――「・・・・・・そう、みたいだね」
――「ビアン総統閣下であらせられたとは・・・・・・採用は見送るべきだった・・・・・・」
――「兄さん?彼女の腕を買ってたんじゃなかったの?」
――「――!?も、もちろんだともオルバよ!まさかこの私が彼女が良い女だからという理由で採用するはずが
あるはずないではないか!!」
――「そうだよね・・・・・・ごめん兄さん、少し疑っちゃったよ」
――「わ、分かればいいんだオルバよ。はは、ははは」
「それでは早速艦に案内してください」
「あ、ああ・・・・・・ついてきたまえ」

・・・色々と問題はあれど、とりあえず艦を動かせる人間をフロスト兄弟は手に入れた。
ちなみにあの怪しげな広告で面接に来たのは、アビーが最初で最後だった。

機動戦士阿部さんSEED DESTINY X
第七話〜アイシャは阿部種世界そのものからオミットされております〜