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R-18_Abe-SeedDestiny-X_安部高和_17

Last-modified: 2007-11-09 (金) 20:43:24

プラント最高評議会。
「どういう事ですか!?」
ばん、と机を叩き立ち上がるラクス。
「どうもこうもあるか!」
ラクスの怒声に答えたのは、連合軍の高官。彼の姿は実体ではなく、いつかと同じく立体映像である。
「うちの基地をさんざん襲撃しおってからに!」
彼の言葉に、周りの高官もうんうんと頷いた。
襲撃したのはもちろんガモフ。事実だけを見るとザフトに非があるように見えるのだが。
「それはそもそもそちらがザフトの艦を奪ったからでしょう!?こちらに非はありませんわ!」
「なにおぅ!?最初に手を出したのはそっちじゃないか!!」
「知りませんわそんなの!あれは連合の自作自演という事で既に片がついているはずです!」
「いつ出てきたそんな話!勝手な事を抜かすな!」
「・・・・・・ちっ、ですわ」
この議会場では今、世界の命運を決定付けるかのような会議が行われていた。
――開戦か、否か。
アルザッヘルの襲撃とヴェサリウスの強奪。この二つの事件によって、双方共に相手に対する
不信感を募らせていた。
もちろんこの二つの事件はとある悪い兄弟が起こしたものなのだが、その事実を知らない両者は
『向こうが悪い』の一点張りで話は平行線を辿っていた。
「とにかく、こっちは既に二つの基地を落とされているのだ!謝罪と賠償を求む!」
「何をおっしゃいますか!そちらがザフトの艦を返せば事は大きくならずに済んだのです!
こちらこそ謝罪と賠償を求めますわ!」
と、こんな感じ。まるでお話にならなかった。
「ふん!ならば我々が取る行動は一つだ!さんはい!」
『戦争を!一心不乱の大戦争を!!』
連合の高官が声を合わせて言った。息がぴったり合っているところを見るに、どうやら連合は最初から
宣戦布告をするつもりでこの会議に臨んだようだ。
「くっ、なんか腹立ちますわね・・・・・・!皆さんもなんとか言ってください!」
他の議員に目を向けるラクス。
「ふむ・・・・・・これは安全か・・・・・・?」
「ばっはっは!安全牌だと心の中で思ったのなら、既にその牌は捨てられているんだ!な!」
「そうだな・・・・・・よし、ならばこれを捨ててリーチだ」
「おっと、悪いねぇクルーゼ。それロンだよ」
「ぐっ!?謀ったなモラシム・・・・・・!!」
「ばっはっは!ワシもロンだ!ダブロンだな!な!」
「ダブロンだと!?聞いていないぞ、そんなルールは・・・・・・!」
「ねぇタッド、そっちのレッドアイズと私のブルーアイもにょもにょ交換しない?」
「そう言っておまえは俺にブルーアイド・シルバーゾンビを渡すわけだな?」
「ちっ」
みんな遊んでいた。

「何をなさっているのですか!今は大事な会議中ですのよ!?」
「はっはっは!どうやらプラントは人材不足のようだな!」
「くっ・・・・・・言い返せませんわ・・・・・・!!」
「とにかく、こちらは既に戦争の準備が完了している!降伏するのなら早い内にな!はっはっは!」
そして、連合の高官の映像が消えた。
「また、始まってしまうのですね・・・・・・」
沈痛な面持ちで呟くラクス。過去の大戦で艦を指揮していたラクスは、事の重大さ――戦争の愚かしさを
身をもって知っていた。
戦争とは、決して起こしてはいけない災厄に他ならないのだ。
「今度こそリーチだ。覚悟するがいい!」
「ばっはっは!それもロンだ!」
「おや?よく見ると僕もロンだよ。悪いねぇクルーゼ」
「ば、馬鹿な・・・・・・!」
「・・・・・・」
最前線で戦っていた彼らがこの体たらくなので、もしかしたらそうではないのかもしれない。

ヴェサリウス、ブリッジ。
「計画通り・・・・・・」
軍司令部からの報告を聞いたシャギアは、そう呟きほくそ笑んだ。
「ついにやったね、兄さん」
「ああ。これもガモフが連合の基地を潰してくれたおかげだ。いやもちろん、そう仕向けた私こそが一番の
功労者なのだが」
「流石だね兄さん。僕の最大の幸運は、兄さんと一緒に生まれてきた事だよ」
「そう兄を持ち上げるなオルバよ。ニヤついてしまうではないか」
開戦である。それはフロスト兄弟が望んだものであり、そのために彼らは今日まで連合の基地を転々としていたのだ。
最大の敵の力量を計ると同時に、彼らに基地を潰させて連合軍の戦意を煽る。一見無駄とも思えたヴェサリウスの
行動は、実は計算され尽くしていたのだ。角度とか。
「シャギアさん、軍司令部からの命令です」
艦長兼操舵手兼CIC兼オペレーターのアビーが告げる。
「早速か。それで、司令部はなんと?」
「オーブに向かえ、との事です。三日後にオーブを包囲するのでそれに参加せよ、と」
「オーブか・・・・・・」
オーブの包囲とは、原作を見ていた人には分かるだろう。要するに連合に与しろと脅しに行くのだ。
「オーブって確か、今向かっている所だよね、兄さん」
「ああ。命令されるまでもない事なのだが、さて・・・・・・」
ここからなら二日でオーブに辿り着く。作戦の性格上早く行く事に意味はないので、どこかで一日潰すかゆっくり
航行するのがベネなのだが、
「よし、全速前進だ。我々は一足先にオーブへ向かう」

「よろしいのですか?」
「ああ。命令に従うだけの我々ではない。このシャギア・フロストには野望がある」
開戦にこぎつけるという目的は果たしたものの、まだ彼らはインモラルに対抗する力を得てはいなかった。
世界に復讐すべき存在である者は、誰にであろうと敗北は許されないのだ。
「了解。それでは最大船速でオーブに向かいます」
「うむ。さて、では私は準備に取り掛かるとしよう」
「準備って?僕も手伝うよ」
フロスト兄弟は、新たな悪巧みのための準備に取り掛かった。

ミネルバ、ブリーフィングルーム。
「ハイネ・ヴェステンフルス、今日よりミネルバ隊に複隊します!」
痔で入院していたハイネは先日退院し、またミネルバに戻ってきた。
(帰ってきちゃった・・・・・・)
そう心の中で呟いたのはルナマリア。ハイネの複隊により、シンと二人きりのパイロット生活は幕を下ろしたのだ。
まぁ、一歩も進展してはいなかったけど。当のシンは携帯でマユの写真を眺めていたりする。
(いつか、いつかあそこに私の写真を・・・・・・)
などと至極無駄な考えを巡らせていると、自分に近付いてくる足音に彼女は気付いた。
「や、ルナちゃん!」
ハイネだった。彼は100万ドルの笑顔(実質100ペリカ)を浮かべ、ルナマリアに声をかけた。
「な、なんですか?」
おかしい。ルナマリアは直感的にそう感じた。
ルナマリアの記憶によると、ハイネはシンにアプローチをかけていたはずだった。その件でブリッジクルーや
整備士の間ではハイネのゲイ疑惑が浮かび上がっていた。
しかし、ハイネの今の行動はおかしくはない。元々彼はこういう人間だ。
そしてクルーの間で浮かび上がった疑惑もまた正しかった。とある事件で、彼は一時期ゲイになっていたのだ。
しかし先日の地球での一件で、ハイネは痔と引き換えにノンケに戻っていた。その一件で元に戻ったハイネは、
こうしてルナマリアにアプローチをかけたのだ。
「これ、お土産なんだけどさ。受け取ってくれよ」
そう言ってハイネは、ルナマリアに包みを渡した。
「お、お土産?」
入院していたのにお土産とはこれ如何に?と思ったルナマリアだったが、突っ込むと面倒になりそうなので
素直にその包みを受け取った。
「さ、開けてくれよ。ルナちゃんの喜んだ顔、見たいからさ!」
「はぁ・・・・・・」
やたら気のない返事をして包みを開けるルナマリア。
「・・・・・・、ナニコレ?」
中に入っていたのは、なんかもふもふした扇子だった。
「ジュリアナ東京って知ってるだろ?」
「いえ、知りません」
「あれ、知らないんだ?ま、そういうウブなところがまたカワイイんだよな、ルナちゃんは!」

「・・・・・・、どうも」
ルナマリアは既にゲンナリしていた。
「ジュリアナ東京ってのは、要するにディスコの事さ。そこで使うんだぜ、それ」
「・・・・・・」
ディスコなんて単語、人から聞いたのは初めてだった。
「それで今度の日曜日、一緒に行かないか?二人でフィーバーしようぜ!」
「いえ、仕事がありますんで。失礼します・・・・・・」
ぱちっとウインクを決めるハイネの誘いを丁重にお断りし、ルナマリアは足早にその場を離れた。
その際、ちらりとシンに目をやるルナマリアだったが、
「ああ、カワイイなぁマユは・・・・・・」
彼はルナマリアの事など眼中にないご様子だった。
(しくしくしく・・・・・・)
「ちぇっ、ツれないなぁルナちゃんは。ま、そこが燃えるんだけど――ん?」
ルナマリアの後ろ姿を見送るハイネは、不意に誰かに肩を叩かれた。
「おっと、グラディス艦長。色々とご迷惑をお掛けしました」
タリアだった。流石のハイネも、上官であるタリアの前では気を引き締めた。
「ええ。それよりハイネ、さっきのあれはなんなの?」
「あれですか?あれはですね――」
「か、かかか艦長!たたた大変です!」
ハイネの言葉を遮る、非常に落ち着きのない声。
「アーサー!今話し中よ!」
「す、すすすすいません!ですが、お耳に入れたい事がごにょごにょごにょ」
タリアの耳元でひそひそとごにょごにょ話すアーサー。話を聞いていくうちに、タリアの顔色が変わっていった。
「な、なんですって!?本当なの!?」
「はいぃ!連合は正式に宣戦布告をしてきました!!」
『な、なんだってー!!』
びっくりするミネルバのクルー一同。ひそひそ話した意味がなくなった。
「それで、議会はなんて言ってるの!?」
「ひとまずは防衛に専念せよとの事です!あ、それともう一つ情報がございましてごにょごにょごにょ」
「・・・・・・!?そ、それはマズイわ!!」
「そうですよねぇマズイですよねぇ!オー――」
「ふんっ!!!」
何かを言おうとしたアーサーに、タリアさんのボディブローが炸裂した。
「な、何をするんですかぁ!?」
「黙りなさい!続きは艦長室で!」

ミネルバ、艦長室。
「それは確かなの?」
「はいぃ!」
ここでは、さっきの話の続きが繰り広げられていた。
「それは・・・・・・マズイわね」
「そうですよねぇ・・・・・・って、何がマズイんですか?」
「バカアーサー!マズイに決まっているでしょう!」
アーサーの持ってきた情報・・・・・・それは、連合がオーブに侵攻するという話だった。
「で、でも、別にオーブはザフト領というわけでは・・・・・・」
「問題は、誰がオーブに住んでいるか、よ」
「誰って・・・・・・アスハですか?」
「それもそうだけど。忘れたの?オーブにはシンの実家があるのよ?」
「あ!そ、そうですよねぇ!シンがこれを知ったら不安定になってしまうとおっしゃいたいのですね!?」
「違うわよ!精神が不安定になるくらいで済むのなら安いものだわ!」
シンは、マユの写真が焼かれるというワケの分からない事で艦を動かした男だ。もし彼がこの事を知ったら、
いかなる手段を用いてでもオーブに行こうとするだろう。ブリッジを占拠するという暴挙に出るかもしれないのだ。
「アーサー、外部からの全電波をシャットアウト!電話一つ出来ないようにしなさい!」
「し、しかしそれでは本部からの命令が――」
「早くなさい!沈みたいの!?」
「は、はいぃぃいいえ!!」
大慌てでアーサーは艦長室を出た。本当に沈みかねないのだ。
「大変ですね、艦長」
そう言ったのはハイネ。フェイスだという事で、彼もこの場に呼ばれていた。
「歳の若い部下を持つと色々とね。それでハイネ、さっきの続きなんだけど」
「ああ、あれですか。あれはザフトの試作機です。暇があったら実験してくれと言ってました」
「残念だけどそうもいかないみたいね。それで、一体あれはなんなの?」
先ほど格納庫で見た限りでは大きなロケットのようだったのだが、さて。
「MSに取り付ける外付けブースターだそうです。ここからでも二日で地球に行けるとかなんとか」
「・・・・・・」
嫌な予感しかしないタリアだった。

ガモフ、ブリッジ。
『俺はイザーク!』
『ディアッカ!』
『ニコル!』
『アスラン!』
『『『『血管針攻撃!!』』』』
「なんてゲームを作ったんだけど、どう?」
「バカ者!なんで俺が雑魚キャラなんだ!!」
阿部さんはゲームを作っていた。
しかし別にどうって事はなく、今回の彼らの出番はこれで終わりなのだが。
とにかく、戦争が始まりましたとさ。

機動戦士阿部さんSEED DESTINY X
第十七話〜三人でどうやって麻雀してるの?〜