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R-18_Abe-SeedDestiny-X_安部高和_28

Last-modified: 2007-11-09 (金) 20:45:57

「なぁ、好奇心で訊くんだが・・・・・・アビー」
「なんでしょうか?」
「おまえが知っている18禁モノで一番エロくないのってなんだ?」
「・・・・・・。18禁モノはそれぞれその個性にあった者が入手します。ロリコンにははじるす、犯罪的行為に快感を
覚える者には痴漢者トーマス・・・・・・『適材適所』という事です。故に18禁モノにエロいエロくないの概念は
ありません」
「質問が悪かった。子供が遊びで話す「リリカルなのはストライカーズのなのフェイはやてとガンダムSEED DESTINYの
キララクはどっちの方がより脚本家の寵愛を受けているの?」その程度でいい」
「・・・・・・。The ガッツ」
「ほう・・・・・・名前からして地雷臭が漂うな」
「性別が女性と設定されているヒロインがマッシヴなので胸と下半身を隠すとどう見ても男としてしか見えない

・・・要は使えないという事です。名実共に女性という存在を求める者には」
「ふむ・・・・・・。良かったらそのゲーム、私にくれないか?いや弟がギャルゲーを勧めてもプレイしようとしないので
もしかしたらそっち方面の趣味があると思ってな・・・・・・」
「なるほど・・・・・・『適材適所』という事ですか。分かりました、すぐ用意します」

(あの時は不能になるかと思った・・・・・・)
不意にThe ガッツをプレイした時の事を思い出したオルバ。タカさんとのHシーンは、今もなお彼の深層意識に
深く刻み込まれていた。
「ま、そんな事より」
役目を終えたガーベラストレートを放り投げる。インモラルがピクリとも動かないところを見ると、どうやら
兄の秘密フォルダウイルスは大いに効果的だったようだ。
「さっさと済まさせてもらうよ・・・・・・!」
インモラルに拳を振るうアシュタロン。動かない的故にその拳は狙った所にクリーンヒットし、インモラルを盛大に
吹っ飛ばした。
「僕らを苦しめた肉の悪魔がこんなザマを晒すなんて・・・・・・これが愉快じゃなくってなんだっていうのさ!」
ボゴォ!ボゴォ!ドクシャァァァァァ!と、一方的に打撃を与えていく。よく考えればそんなにインモラルとは
交戦していないのだが、今のオルバにはインモラルが因縁の敵ガンダムXと被って見えた。
『オルバよ、そんなに乱暴したらダメではないか』
ジェネシスの方角から毒々しい赤のMS――兄のMSがやってきた。
「兄さん!作戦は成功したよ!」
『そのようだな。しかしオルバよ、そんなに乱暴したら・・・・・・私の殴る所がなくなってしまうではないか』
「ごめんよ兄さん。じゃあ二人でやろうか」
『ああ、オルバよ・・・・・・兄弟二人でこの世から消し去るのだ!憎き肉色を!』

フロストMSにいいようにボコられている時。
阿部は闇の中にいた。
「ここは・・・・・・。――!?」
闇を歩いていると、突如眼前にはだけたナース服を着た扇情的な女の画像。
「う・・・・・・うおえぇぇっ!!」
あまりの気持ち悪さに顔を背ける。しかし背けた先には、リコーダーを股に突っ込んだ設定上は18歳の女の子。
「ぬぉぉぉぉぉ!!鳥肌が・・・・・・俺の肌が鳥になっていくッ!!」
再び顔を背ける。しかし背けば背いただけ眼前に画像が浮かび、いつしか阿部の周囲はエッチな二次画像で
埋め尽くされる。
「ひっ!?つ、次はどんな画像が出てくるんだ・・・・・・!」
怯えを孕んだ声を上げる阿部。熊先生の無修正全裸画像が視界を埋め尽くすほど浮かび上がっている状況と言えば
ノンケには分かりやすいだろう。
「俺の傍に近寄るなぁ――――ッ!!」
ちなみにこれも阿部の脳内出来事です。画像は現実(初代1専用数学定理解析フォルダ)のものだけどね。

金属のひしゃげるような音を立ててボロボロになっていくインモラル。
「腐ってもPS装甲、といったところか・・・・・・」
インモラル特有のトンデモ装甲は形を潜めているものの、元々備わっていたPS装甲は健在・・・・・・ただ殴るだけ
ではやはり決定打に欠けていた。
「オルバ。アレをやるぞ」
いい加減殴るのにも飽きてきたので、シャギアはとどめの陣をオルバに伝えた。
『了解、兄さん』
アシュタロンは流れるインモラルを背後から捕まえ、鋏でがっちり固定する。元々身動きの取れないインモラルが、
更に身動きが取れなくなった。
「くっくっく・・・・・・受けよインモラル!我らが必殺の陣、『フロストコンビネーション』を!!」
サーベルを抜き放ち、ヴァサーゴはインモラルに向かって突進した。
フロストコンビネーション――テレパシー能力による意思の共有を最大限に活用して繰り出される必殺必至の陣。
これの標的となった者は、如何なる技能、能力を用いていようとも逃れる術はない。
「大人気ない・・・・・・と思うだろうな。しかし!獅子は兎を狩るにも全力を尽くすという。故にこの行為・・・・・・即ち
戦闘不能になったMSにこれを繰り出すのは適正なのだ!ぬはははは!!」
『僕らは極悪非道のフロストブラザーズ!意味も無く必殺技を使って――なにっ!?』
ヴァサーゴのサーベルがインモラルのコクピットを貫く直前。
「なんだと・・・・・・!?」
あり得ない方角から彼らに向かって砲撃の雨が降り注いだ。
あり得ないというのはもちろん――その方角が連合艦隊のある場所だったから。
そして更にあり得ない事に――撃っているのも連合艦隊だった。
「どういう事だ、これは!!」
その連合艦隊の旗艦に通信を送る。しかし返ってきた答えは、「ザフトがなに寝言を言っている!」というわけわかめな
ものだった。
『馬鹿な!どうして僕らがザフトなんだ!!』
「ヴェサリウスが連合に下ったという情報は既に全連合軍に伝わっているはずだ!それに万一伝わっていないとしても
このインモラルだってザフトのはず!何故我々だけが砲撃を受けているのだ!!」
その旨を旗艦に伝えるも、その艦長は「やれやれだぜ」みたいな感じで軽く流した。よく聞くとその声はアルザッヘルの司令官
のものだった。

「長年戦場に身を置いてきたがこんな事態はアルダネイティヴ以来だ!もちろん然るべき報いを受けてもらったがな!」
アルタネイティヴ社倒産のきっかけとなったインサイダー取引の事実を公開したのは、誰であろうこの兄弟だった。
その後アルタネイティヴ氏がコンビニでバイトしているという噂が流れたが、本当かどうかは定かではない。
『シャギアさん、オルバさん』
連合艦隊の砲撃から二人を守るように、ヴェサリウスが二人の前に現れた。
「おお、アビーよ!これはどういう事なのだ?」
『分かりません。ですがここは一旦退くべきかと』
「言われるまでもない。オルバ、撤退するぞ」
『で、でも!せめてインモラルだけでも・・・・・・!』
「オルバよ、ここは“退く”のだ。これは敗北ではない。我々には頂点に登りつめる力がある。なに、どうせインモラルは
戻らん。アレ(ガーベラストレートinエロ画像)を受けて再び立ち上がった者は未だかつて誰もいないからな」
『アレを受けたのはあいつだけのような気もするけど・・・・・・分かったよ、兄さん』
ヴァサーゴ、アシュタロンを収容し、ヴェサリウスは戦場から離脱した。

「さて、アビー。多少なりとも情報は掴んでいるのか?」
戦場から遠く離れたデブリ帯。そこにヴェサリウスの身を隠し、一同はブリッジに集まっていた。
「情報はありません。ですが、これを見てください」
アビーはノートパソコンのディスプレイを二人に向けた。
「どう思いますか?」
そのパソコンには、三人の偽造されたデータが入っているはずだった。しかし今、そのデータはどこを探しても見当たらない。
「バグかウイルスではないのか?」
「このパソコンはオフライン専用です。万一に備えてデータをコピーしておいたのですが、この有様です」
しかも不自然なのが、“そのデータだけ”消えているのだ。他のデータ・・・・・・アビー専用数学定理解析フォルダや
インストールされた数々のエロゲーは残っている。ただの1バイトも欠損する事無く。
「これはまた・・・・・・不可解な・・・・・・」
「これまで私は様々なハードディスクを修理してきましたが(バイトで)、こんなのは初めてです」
「僕らの情報だけが消えているなんて、気味が悪いね・・・・・・」
消えたのは彼らのデータだけ。しかもそれはこのパソコンのみならず、連合のコンピュータからも綺麗サッパリ。
「――!?」
その時シャギアの頭に電流が走った。
「どうかしましたか?」
「いや・・・・・・」
――「オルバよ」
――「なんだい兄さん?何か分かったのかい?」
――「いや・・・・・・何かが分かったというよりは、とある仮説が不意に頭に浮かんだのだが・・・・・・」
――「仮説?」
――「ああ・・・・・・もしかしたら我々は、消えようとしているのではないか?」
――「ど、どういう事だい兄さん?消えるっていったい・・・・・・」
――「忘れたのかオルバよ。・・・・・・我々は元々、この世界の住人ではない」
――「それは分かってるよ。なんでかは知らないけど目が覚めたらこの世界にいたんだよね、確か」
――「そうだ。つまり我々は――異物なのだ、この世界では。ここに来たのが事故であれ故意であれ、我々が
異質な存在である事に変わりはない」
――「じゃ、じゃあ今僕らに起こっている出来事って、もしかして――」
――「ああ・・・・・・世界が異物を消しにきた。我々という異質な存在を根こそぎ、な」

シャギアの仮説が真実ならば、彼らの身に起こった出来事にも説明がつく。彼らのデータがコンピュータ・・・・・・いや、
人々の記憶から消えているのは、世界という個があるべき姿に戻るために自ら消去しているという事。
そしてシャギアの仮説が真実ならば、最終的に彼ら――フロスト兄弟は、この世界から消える事になる。
――「でも兄さん。じゃあどうしてアビーの記録まで消えたのさ?」
――「アビーの行動の発端となったのは我々の存在だ。だから彼女の記録も消したのだろう。一人ではまずヴェサリウスを
奪う事からして不可能だからな」
――「そう、だよね・・・・・・」
あまりにも辻褄が合い過ぎる。シャギアの仮説は今や、確信に変わっていた。
「二人とも、どうしたんですか?」
アビーが訝しげな顔を二人に見せる。まぁ二人して黙ったままでコロコロ表情を変えていてはそれも当たり前である。
「ああ・・・・・・アビー。おまえに大事な話がある」
「こんな時に、ですか?」
「こんな時だからだ。実は今まで隠していたのだが・・・・・・」
シャギアは自分達の存在について語り始めた。
自分達がこの世界の住人ではない事、そして今自分達に何が起こっているのかを。
「・・・・・・そうですか。やはりあなた方はこの世界の人間ではなかったのですね」
話を聞き終えたアビーは、まずそう言った。
「ほう?知っていたのか・・・・・・」
「確証はありませんでしたが。ですがキャラデザがどう見ても平井じゃありませんでしたので」
「よく分からん理由だが、それなら話は早い。ならば我々が消えようとしているという事も納得出来るな?」
「・・・・・・、はい」
アビーは顔を伏せ、ぽつりと言った。
顔を伏せているので表情は見えないが、しかし次に顔を上げた時はいつものアビーの顔だった。
「それで、これからどうするんですか?」
「これから、か・・・・・・」
これから。これほど二人にとって意味の無い言葉も無い。何せもうじき消えゆく身だ、何をしたってどうにもならない。
しかしシャギアはそれを理解しつつも、アビーに言った。
「決まっている。今まで通りだ。我々の身に何が起きようともこの世界を滅ぼすという決定に変わりは無い」
現状維持。それがシャギアの出した答えだった。
「分かりました。それでは早速――」
「あいや待った」
「・・・・・・まだ何か?」
「ああ。どうだろう?今日はもう休むという事で」
「何を言っているのですか?今は一分一秒が惜しい状況です。休んでいる暇など――」
「いや、そうなのだが。実はさきほどジェネシスで結構な手傷を負ってな。このままでは任務に支障が出るのだ」
「・・・・・・。分かりました。では医務室へ――」
「いや、大丈夫だ。一晩寝れば治る」
「一晩寝て治る『結構な手傷』というのは聞いた事がないのですが・・・・・・」
「とにかく大丈夫なのだ」
「・・・・・・。分かりました。それでは――」
アビーは席を立ち、彼らに背を向ける。
「明朝七時にここに集合という事で」
「ああ、了解した」
「遅刻は許しません。欠勤なんてもっての他です。・・・・・・明日は忙しくなりますからね」
「ああ、分かっている・・・・・・分かっているとも」
そして三人は、それぞれの部屋に戻った。

ヴェサリウス、アビーの部屋。
「・・・・・・」
明かりの消えた真っ暗な部屋で、アビーは枕を抱いてベッドに横たわっていた。
(シャギアさんとオルバさんが、消える・・・・・・)
アビーはその事実をずっと頭の中で反芻していた。
いくらヴェサリウスが強大な力を持っているとはいえ、一人では世界に復讐出来ない。彼らの協力なくしては、
彼女の願い――自分の居場所を奪った世界に復讐するという願いが成就する事はない。
彼女にとって、彼らは必要な存在なのだ。
(・・・・・・、違う)
そんな事はもうどうでもいい。
自分の居場所を奪った世界に復讐するという事など、今のアビーにはどうでもいい事だった。
何故なら今の彼女には、動機がない。今の彼女には、奪われた居場所・・・・・・本来自分がいるはずだった場所など
とうの昔に価値を失っていた。
――「キミは世界を滅ぼそうなどとは考えていないのではないか?」
デュランダルの言葉が甦る。
あの時はその意味が分からなかった。引っ掛かるものはあったが、その言葉の意味するものは分からなかった。
けど、今なら分かる。
(そう、私は・・・・・・)
自分は世界に復讐するために彼らと行動していたのではない。
そこが自分の居場所だから、彼らと行動していたのだ。
世界に復讐するという目的は、いつの間にか手段に――彼らと共にいるための手段に成り代わっていたのだ。
彼女にとって彼らは必要な存在だ。
――世界に復讐するという目的のためではなく、自分の居場所そのものであるから。
(そう・・・・・・例え世界中の人間が彼らを忘れるとしても、私が覚えていれば――)
二人は消えない。
――自分が消えさせない。
そんな糸のようにか細く儚い希望を抱きつつ、アビーは眠りに落ちていった。

「さて・・・・・・」
夜も更けた頃。
シャギアとオルバは、ブリッジにいた。
「兄さん・・・・・・」
「何も言うな、オルバよ。今の我々に出来る事はこれだけだ」
シャギアはヴェサリウスのシステムを立ち上げ、操作する。
そんな兄を横目に見ながら、オルバは言った。
「まさか、僕らがこんな事をするなんてね・・・・・・」
「まったくだ」
二人はどこか自嘲気味だった。
それもそのはず。彼らは今、他人のために行動しているのだ。自分達以外の者は利用するだけ利用して切り捨ててきた
自分達が今、他人のために行動している・・・・・・こんな自分達の姿を彼らは想像すらしていなかった。
「よもやアビーが我々の世界に入門してくるとはな・・・・・・」
二人は自分達だけの世界を持っていた。その世界は復讐心に満ち、他者を決して寄せ付けない。自分達以外は
駒としての役割しか持たず、用が済んだらすぐに弾かれる。
しかしそんな二人の世界に、一人の来訪者が現れた。
アビー・ウィンザー、である。彼女は自分達と同じ志を持ち、そして共に行動を始めた。
最初は他の者と同じく、単なる駒だった。利用するだけ利用して、頃合を見計らって切り捨てるつもりだった。
しかし、彼女はずっと居続けた。そして居続ける内に彼女は、二人の世界に根を張った。決して離れる事のない、
抜こうとする意思さえ湧かない強い根を。
そう――彼女は今や、彼らの世界の住人だった。
だからシャギアは嘘をついた。負ってもいない手傷を理由に、彼女に休みを告げた。
今のこの状況を作り出すために。
「・・・・・・これでよし」
全ての作業を終え、シャギアが息をつく。
同時にヴェサリウスが転身した。そしてゆっくりと、寝ている者を起こさない程度の加速度で進んでいく。
目的地はマルキオパーキング。マルキオパーキングは『データ上存在しない』ドックであり、加えてヴェサリウスは
ステルスシステム(阿部謹製)を稼動させてあるので、この瞬間よりヴェサリウスは『行方不明』になる。
「さて・・・・・・最後にこれだ」
シャギアは懐から一通の手紙を出し、艦長席に置く。
「終わったんだね、兄さん」
これで、終わり。
彼らがこの世界でやるべき事は、全て終わった。あとは自分達の消滅――そう遠くない未来を待つだけだった。
「――いや、まだだ」
「えっ?まだ何かあったっけ?」
「私は昨日言ったはずだぞ、オルバよ。・・・・・・世界を滅ぼすという決定に変わりはない、と」
「で、でも今更そんな事――」
「なに・・・・・・退職金代わりだ。フロストカンパニーの社長として、な」
「・・・・・・ふふっ、なるほど。分かったよ兄さん。最後まで付き合うよ・・・・・・副社長としてね」
そして二人はMSデッキへ向かった。

機動戦士阿部さんSEED DESTINY X
第二十八話〜新ジャンル『マッシヴ』〜