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R-18_Abe-SeedDestiny_安部高和_04

Last-modified: 2007-11-06 (火) 21:35:10

「では私は本国に帰るよ。世話になったな」
ミネルバ、モビルスーツデッキ。
プラント本国に帰るべく、デュランダルは小型艇に乗り込んだ。
「ギル・・・デュランダル議長。ショーンとゲイルの事、よろしく頼みます」
「ああ、任せておいてくれたまえ。それではな」
そして、デュランダルを乗せた小型艇はミネルバから発進した。

「おいおい、そりゃ本当か?」
ガーティー・ルー、ブリッジ。
イアンは、ネオにある不穏な動きを知らせた。
「はい。このままですと、確実に地球に・・・」
「・・・・・・なんてこったい」
イアンが知らせた不穏な動きとは、ユニウスセブンの事だ。
完成直後に核を打ち込まれたユニウスセブンは、巨大なデブリとなって宇宙空間を彷徨っていたのだが、
それが今地球に向かっていると偵察部隊から報告があったのだ。
「偵察部隊は何者かの襲撃を受けて撤退・・・・・・大佐、これは何か人為的なものが感じられます」
「だろうねぇ・・・。ったく、あんなん落としてどうするのよ」
ユニウスセブンが地球に落ちれば、その被害は想像を絶するものになるだろう。核の冬が来る、
と言っても過言ではないのだ。それこそヘタをすれば、地球滅亡の危機である。
「どうします、大佐?」
「どうもこうも・・・・・・落とさせるワケにはいかないでしょ」

ヴェサリウス、ブリッジ。
ザフト軍は、地球軍よりも早くユニウスセブンの異変に気付いていた。
「メテオをブレイクするのだ。以上、解散」
「いやいやいやいや」
そこでは、お馴染みの光景が繰り広げられていた。
相も変わらずぞんざいな説明をする白服の隊長に、銀髪おかっぱ少年が食ってかかった。
「具体的にはどうすればいいのですか、クルーゼ隊長!」
「そのためのメテオブレイカーではないのかね?」
「そ、それは・・・・・・ディアッカ!」
「やれやれ。そのメテオブレイカーってのはどう使えばいいんですか?」
銀髪おかっぱ・・・イザークの言いたい事を汲み取って伝えたのは、ガングロ金髪の少年。
隊員の中で彼一人だけ、緑色の服だった。
「ふっ、そう言うだろうと思って用意していたさ。ニコル」
「はい」
エメラルド色の髪を持つ、この隊で最年少の少年は、隊員たちに薄い冊子を配った。
「ニコル、これはなんだ?」
「メテオブレイカーの説明書です。隊長が徹夜で作りました」
ニコルにそう言われ、イザークはそれをめくってみた。
『よい子のメテオブレイカー講座。
使い方はとっても簡単!誰でもすぐに使えるようになるよ!

使い方
1、ブレイクしたい物にメテオブレイカーをセットする。
2、スイッチを入れる。
なんとこれだけ!これだけで、このメテオブレイカーはメテオをガリガリブレイクしてくれるんだ!
これで今日からキミもメテオブレイカー(隕石を削岩する者)だ!おめでとう!!』
「ほう・・・・・・随分と分かりやすいじゃないか」
「徹夜した甲斐もあるというものだよ、イザーク」
「感服いたしました!」
「作戦決行は10分後。各員、所定の位置で待機だ!」

「そう・・・分かったわ」
ミネルバ、ブリッジ。
ミネルバのクルーもまた、ユニウスセブンの異常を察知していた。
「メイリン、ヴェサリウスに伝えてちょうだい。我々は貴艦の援護に回ります、と」
「了解」
「し、しかし大丈夫でしょうか!?あんな大きな物、本当に砕けるのでしょうか!?」
「アーサー!士気が下がるような事言わない!」
「は、はいぃ!!」
「・・・・・・!?艦長!ユニウスセブン周辺にMSの反応多数!」
「それはザフトではなくて?」
「はい!・・・あ、いえ!機体はザフトのものですが、識別コードが不明です!こちらの呼びかけにも応答しません!」
「キナ臭いわね・・・・・・メイリン、コンディションレッド発令よ!」
「了解!」

ユニウスセブン、周辺区域。
「ザフトめ・・・・・・よもや地球の味方をするなど・・・!」
発進する多数のザフト製MSを確認し、ジンHM2型のコクピットの中でそう呟いたのはサトー。
識別コードが不明のMS部隊の隊長であり、ユニウスセブンを地球に落とそうと画策した者である。
「た、隊長!」
「うろたえるな!腑抜けたザフト共に、我らを止める事など出来んわ!!」
「はっ!失礼しました!!」

「我らの邪魔立てをする者は、例えザフトであろうとも斬り伏せてくれるわ!!」

「ちょっと、あの数・・・」
ミネルバから出撃したルナマリアは、ユニウスセブン周辺を取り囲むジンHM2型の数に
気持ちが若干萎えた。
『気をしっかり持つんだルナマリア。一機一機落としていけばいい』
「だ、だけど・・・」
『おまえは誤射さえしなければいい。適当に砲撃をかけるんだ。当たらずとも隙は生まれる』
「はぁ・・・この前みたいにシンが突然超強くなってくれればいいんだけど・・・」
超強く、とは先日の『ぱりーん』の件である。
『それは期待できない。マユ・アスカの学校は今日は社会科見学の日だ。携帯電話は使えない』
「そうなの・・・・・・って、なんでレイがそんな事知ってるの?」
『気にするな。俺は気にしない』
「そ、そう・・・。んじゃあ、砲撃を開始するわ!」
『任せたぞ!』
「OK!それっ!!」
『ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
『アスラン機被弾!誰か回収をお願いします!』
『・・・・・・ルナマリア』
「あ、あはは・・・」
速攻で一機欠いたミネルバ隊は、それでもユニウスセブンへ向かって行った。

「阿部高和、インモラル出るよ!」
『スティング・オークレー、カオス行くぜ!』
『アウル・ニーダ、アビス出るよ!』
『ステラ・ルーシェ、ガイア出る・・・!』
ガーティー・ルーからもMSが発進された。
『なぁなぁ、誰が一番多く落とせるか競争しようぜ!!』
みんなにそう持ちかけたのはアウルだった。
「へぇ・・・面白いじゃない。で、勝った人には何かあるのかい?」
『勝った奴はドベに何でも一つ命令出来るってのはどうだ?』
『面白そうだな。俺は乗ったぜ』
『ステラもうぇ〜い』
「いいだろう。・・・・・・確認するが、何でも命令出来るんだな?」
『ああ。ま、勝つのは僕だけどね!』
そう言ってアビスは速度を上げ、カオスとガイアもそれに続いた。
「・・・・・・ンフフフフフフフフフフ」

「くそっ、なんだコイツらは!?」
メテオブレイカーを設置していたイザーク達は、所属不明のMS部隊に襲撃を受けていた。
『なんでジンが敵になってんだよ!?』
『こいつら・・・動きが・・・!』
イザーク、ディアッカ、ニコルは、それぞれ色の違うザクに乗っていた。
青いスラッシュザクファントム、緑のガナーザクウォーリア、黒いブレイズザクウォーリア。
GATシリーズはもはや時代遅れとなったので、彼らは最新機に乗り換えていた。
メテオブレイカーに刀を振るおうとしたジンHM2型に、ビームアックスを一閃するイザーク。
「貴様ら!何故こんな事をする!!?」
ジンHM2型のパイロットに問う。しかし、返ってきた返事は今一要領を得なかった。
『我らの恨み、今こそナチュラルに!!』
「恨みだと!?恨みとはなんだ!?」
『腑抜けたザフトに語る舌は持たないって隊長が言ってた!!』
「なんだと!?」
腑抜け呼ばわりされて激昂しかけるイザーク。
しかし、視界の端に捉えたあのMSを見て、様子が一変した。
「あれは・・・・・・インモラルだと!?」

「ンフフフフフフフフフフフ」
『ア ッ ー !』
これで七機目。インモラルは相変わらず絶好調だった。
『おいてめぇ!汚ねぇぞ!』
そう叫んだのはアウル。真っ先に戦場へ向かったアビスはあっさりとインモラルに追い抜かれ、
アウルがターゲットとしたMSは次々とインモラルに落とされていった。
「勝負に待ったはなしだぜアウル?」
『だったら別の所でヤれよ!俺の邪魔すんじゃねぇよ!!』
「それは俺の自由だろ?・・・・・・で、勝った人はなんでも命令出来るんだったよな?」
『そ、それは・・・』
「約束は守れよ?」
『く、くそっ!!』
悪態をついてインモラルの後を追うアウル。
と、そこでインモラルに接近するMSの姿を発見した。
『阿部!!』
「おや?その声、イザークかい?」
両肩にガトリング砲を装備した青いザク。イザークの搭乗機だった。
『阿部貴様!そんな所で何をしている!!』
「何って・・・・・・競争??」
『そうではない!貴様、どうして連合軍なぞにいる!?』
「それは――」
『へっ、もらったぜ!!』
阿部とイザークの会話に、アウルが割って入った。
槍を構えて青ザクに突進するアビス。しかし――

『――うるさい!俺は今、阿部と話をしているのだ!!』
『な、なにぃ!!?』
槍を振る前に腹を蹴られ、アビスはどっかに飛んでいった。
「ひゅう♪相変わらず乱暴だねぇイザーク」
『そんな事はどうでもいい!それより貴様は――』
『イザーク』
イザークの乗る青ザクに、クルーゼからの通信が入った。
『クルーゼ隊長!?』
『今は任務を優先するのだ。地球が終わるぞ』
『し、しかし!!』
『阿部。・・・・・・見つけたのだな?』
「ああ。さすがクルーゼ、察しが良いな」
『どういう事ですかクルーゼ隊長!!』
『ふっ・・・阿部は見つけたのだよ。・・・・・・良い男をな』
『なっ――!!』
「そういう事だイザーク。縁があったらまた会おうな」
そう言って、インモラルは飛び去っていった。
『あ、阿部!!・・・約束しろ!用が済んだら必ず戻るとな!!』

「あのアママジぶち殺す・・・!!」
ルナマリアに撃たれたアスランのザクは、宇宙空間を漂っていた。
『酷いザマじゃないの。回収しに来たぜ』
『大丈夫ですか!?』
アスランザクの救援に、緑のガナーと黒のブレイズが駆けつけた。
「すまない・・・・・・って、ディアッカとニコルか!?」
『あ、アスラン!?』
『こんな所でなにをしているんですか!?』
ある日突然脱走したアスラン。誰も知らないいずこかへ行っていると思っていたが、まさか戦場で、
しかもMSに乗ったアスランに出会うとは思ってなかった。
「いや、まぁ・・・事情があってな。ザフトに復隊したんだ。それで今はミネルバに厄介になっているんだ」
『そっか。ま、逮捕されなくて何よりだ』
『やっぱり久しぶりのMS戦ですから上手く体が動かないんですか?アスランが撃墜されるなんて・・・』
「いやっ、その・・・ま、まぁな、はは・・・」
味方に撃たれた、とは言えないアスランであった。

敵機を落としつつ戦場を駆けていると、やがて隊長機と思しき機体を阿部は発見した。
「うほっ、良い男」
阿部ほどの男になると、機体を見ただけで良い男かどうか分かるのだ。
そしてサトーは・・・・・・阿部好みの良い男だった。
「や ら な い か」
ゲイ・ボルグをちらつかせて、サトーの乗るジンHM2型を誘う阿部。
しかし、そのゲイ・ボルグはジンHM2型の斬機刀に一閃された。
「アウチ!!?」
『貴様!戦場で何をしているか!!』
サトーは実直な人間なので、こういったおふざけは許せなかった。

「ひゅう♪そういうところも良いじゃないの」
再びゲイ・ボルグを展開する阿部。ゲイ・ボルグは無尽蔵である。
『黙れ!我らの行い、邪魔立てはさせん!!』
「おやおや。良かったら訊かせてもらえないかな?どうしてこんな物を落とすのかをさ」
『それは、語るも涙、知るも涙――』
〜回想〜
「ほーら見てみろ愛娘よ。あれが今度から俺達が住むコロニー、ユニウスセブンだ」
「わーすごーい!」
「あれはな、パパが造ったんだぞ?」
「すごーい!パパかっこいー!」
「ははは、そうだろそうだ――」
ちゅどーーーーーーーーーーん(核爆)
「・・・・・・」
「パパ?ゆにうすせぶんが壊れちゃったよ?」
「・・・・・・」
「パパの造ったころにー、簡単に壊れちゃった・・・」
「・・・・・・!!!??」
〜回想終わり〜
『父親の威厳は失墜・・・・・・この恨み、晴らさでおくべきではないと、何故分からんのだ!!!』
ちなみにサトーの部隊の隊員は皆、ユニウスセブンの建設に関わった者たちである。
「・・・・・・・・・・・・良い男、という発言は撤回させてもらう」
阿部は、ぽつりとそう呟いた。
『な、なんだと貴様!!』
「小さい・・・小さいぞサトー!!」
『貴様、言うに事欠いて我々が小さいだと!!!!??』
「そうさ!コロニーが壊されて威厳が失墜したのなら――」
阿部はインモラルを回り込ませ、ジンHM2型をユニウスセブンに押し付けた。
「――もっとでっかい物を造って、その威厳を取り戻せ!!!!」
そして、阿部はサトーの乗ったジンHM2型をユニウスセブンごと貫いた。

「た、大佐!!ユニウスセブンが・・・」
「ああ、見えている。しかし・・・とんでもないねぇ、あいつは」
ネオとイアンが見た光景――
それは、インモラルの一撃によって瓦解するユニウスセブンの姿だった。

その光景は戦場にいた全員が見ていた。
そしてシンもまた、それを見て驚きの声を洩らした。
「こ、これが・・・ヤキンドゥーエを生き残ったパイロットの実力かよ・・・!」

「どうだい?俺の暴君の具合は?」
『・・・・・・ああ。心が洗われるようだ・・・』
阿部に貫かれたサトーの表情は、とても穏やかなものだった。
『俺は間違っていた。破壊からは何も生まれない・・・・・・身をもって知っていたはずなのにな』
「それが分かったのならおまえはもう良い男さ。俺が保障するよ」
『ありがとう、名も知らぬパイロットよ』
「阿部高和、だ」
『ふっ・・・阿部、感謝する!全軍に伝える!これ以上の戦闘は無意味だ!ただちに撤退するぞ!!』
そして、サトー率いるジンHM2型の部隊は引き上げていった。
砕かれたユニウスセブンは、全て大気圏で燃え尽きた。

結果発表。
1、阿部――32機
2、スティング――2機
3、アウル――1機
4、ステラ――0機
「・・・・・・」
「さ、ステラになんでも命令していいぜ、阿部」
「こんなはずでは・・・・・・」
阿部の目論見――圧勝してアウルかスティングを貫こうという目論みは、出撃後に速攻どっかに遊びに行って
しまったステラのせいで崩れ去った。
「ステラ、犯す?」
「いいや死ね」
「・・・・・・ビキビキ♯♯♯♯」
そして、ステラがスマキにされるまで取っ組み合いは続いた。

オーブ、秘密の屋敷。
「キラ?何を見ているのですか?」
「流れ星だよ」
「そうですの。さ、もう冷えてきましたから家に戻りましょう」
「そうだね」
ピンクの少女に連れられて屋敷に戻る少年。

その瞳は――腐った魚のように濁っていた。