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R-18_Abe-SeedDestiny_安部高和_16

Last-modified: 2007-11-06 (火) 21:37:17

肉色のGと共に、奴はやってくる――
存在しないはずのナンバー、110105を駆る良い男――
男の貞操を突き穿つ、他に類を見ない良い男――
「彼の名は阿部高和・・・・・・要するに『良い男』なのだよレイ」
「良い男?それは一体どういう男なのですか?ギルおじさん」
「難しい質問だね。・・・ただ一つ、彼に貞操を奪われた者は男色に目覚めるという話だ」
「男色・・・?それはもしかして――」
「その通りだ、レイ。彼に突かれた者はキミと同じゲイになる、という事さ」
「・・・・・・!」
「キミの想い人、シン・アスカ君も彼に突かれればあるいは・・・・・・」
「――!?」
「もうじき戦争が始まるだろう。その時、彼は必ず戦場に現れる。・・・さて、その時キミはどうする?」
「・・・・・・」
「彼にシン・アスカ君を貫かせて、ノンケのゲイに目覚めさせる・・・一番の近道だと思うよ、私は」
「――――」
俺の答えは決まっていた。
シンを他人の手によって目覚めさせるわけにはいかない。
シンは俺の手で必ず振り向かせる。
それ以外の手など、存在すら許さない。
――俺は必ず奴を・・・・・・阿部高和を討つ!!

「阿部高和!おまえの存在は許さない!」
『ひゅう♪良い腕してるじゃないの』
阿部とレイ。彼らもまた、戦場で火花を散らしていた。
『でも、まだまだ甘いよ!』
高速で移動し、質量を持った残像を発生させるインモラル。
レイの視界は、瞬く間に肉色のMSで埋め尽くされた。
「甘いのは・・・・・・貴様だ!」
それに対し、レイはドラグーンを射出した。
ドラグーンとは小型のビーム発射装置であり、それはパイロットの意思によって空間を縦横無尽に駆け巡る。
パイロットの空間認識能力に大きく左右されるものの、これは単機で全方位射撃を可能とする兵器だった。
レイはそれを駆使して見えるインモラル全てを撃ち抜き、そしてあっという間に本体を炙り出した。
『なかなか楽しい兵器じゃないの。阿部さん燃えてきたよ!』
「黙れ!その余裕、すぐに消し去ってやる!!」
レイはドラグーンを巧みに操りインモラルの行動を制限し、ある場所まで誘導した。
『――アウチ!?なんだ!?』
デブリ帯。レイの誘導によって、インモラルは巨大なデブリに背を打ちつけた。

「これで終わりだ!!」
MSの大きさほどのデブリをインモラルに向かって蹴り出すレジェンド。インモラルの両脇にもデブリがあり、
蹴り出されたデブリを回避するのは不可能だった。
『ひゅう♪なかなか策士じゃないの。だが・・・・・・詰めが甘い!!』
インモラルは両脇のデブリに拳を刺し、そして向かってくるデブリをその両デブリで挟んで粉砕した。
砕け散る三つのデブリ。しかし――
「言ったはずだ!甘いのは貴様だとな!!」
『――!?』
砕いたデブリが舞う斑な視界の中に、サーベルを構えて目前にまで迫ったレジェンドの姿。
レジェンドは、蹴り出したデブリのすぐ後ろを追走していたのだ。
デブリは囮。阿部が両脇のデブリを使ってそれを砕く事を先読みし、砕いた瞬間にサーベルを突きたてようと
レイは画策していたのだ。
そしてサーベルは、インモラルのコクピットに吸い込まれるように突き刺さった――
「やった――」
己の勝利を確信するレイ。しかし、
「――な、なに!?」
レジェンドの腕が何かに掴まれた。
その何かは――決まっている。この状況でレジェンドの腕を掴める者など、一人しかいない。
『ひゅう♪ここまで追い詰められたのは初めてだよ、阿部さんは』
インモラルガンダム――――阿部高和。
「ば、バカな!!何故生きている!?」
『セーフティシャッター、さ』
セーフティシャッター。パイロットに危険が迫った時、コクピットをブロックしてくれるシャッターの事だ。
もちろんセーフティシャッターに、ビームサーベルを防ぐ程の強度はない。
インモラルガンダムに備え付けられたシャッターは、パイロットの良い男度によってその強度が決まる。
そして阿部の良い男度はインフィニット・・・・・・無限大である。
その結果インモラルのセーフティシャッターは、イデオンガンすら防ぐ程の強度を有していた。
まさに良い男の為せるシャッター、である。
「――くっ、しまった!?」
呆気に取られている隙に、レジェンドの背後に回るインモラル。
『それじゃさっそく――』
「し、シン――」
シンの顔を思い浮かべるレイ。
愛しいあの顔。守りたかったその顔。いつか必ず振り向かせようと思ったその顔を思い浮かべて――
「ア ッ ー !」
レイは貫かれた。

阿部が去ってから数分後。
レイは意識を取り戻した。
「・・・・・・」
レイは未だぼーっとする頭で思った。
――悔しいが・・・・・・最高だった・・・・・・
今まで経験した事のなかったその快感。なるほど、これではゲイに目覚めるのも仕方ないなとレイは思った。
「・・・・・・しかし、」
レイはレジェンドを動かす。絶頂に沸騰した頭をなんとか静め、そして機体を疾らせた。

「貴様に・・・・・・貴様にシンは、渡さない!!」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
デスティニーに乗ったシンは、また一機のMSを断ち斬った。
両手に持つはアロンダイト。各所で散々言われているダメ対艦刀ことアロンダイトで、シンは獅子奮迅の如き
活躍を見せていた。
「次!!」
砂糖に群がるように集まってくるダガー達を悉く斬り捨てるデスティニー。
そこでついに、あのMSがやってきた。
『ンフフフフフフフフフ』
「おまえは・・・阿部!!」
それはかつての恩人にしてド変態である男、阿部高和の駆るインモラルだった。
『待ちに待ったメインディッシュ、頂きに参った!!』
「あんたって人はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
シンは真っ直ぐインモラルに向かい、そして両者は火花を散らす。
『ひゅう♪相変わらず血気盛んな事で』
「いっつもそうやって、ヤれると思うなぁぁぁぁ!!!」
インモラルに斬撃を浴びせるデスティニー。しかしインモラルは、紙一重でそれをかわし続ける。
「あんたは俺が討つんだ!今日、ここで!!」
『ああそうさ。おまえは俺が突く・・・今日、ここでな!』
残像を発生させるインモラル。
それは質量を持ち、そして実体をも持つインモラルの業、『実体を持った残像』だった。
「こんなもの!!」
その残像を次々と斬り捨てるデスティニー。
だがその数に限りは無く、やがてデスティニーはインモラル達に組み付かれてしまった。
「くそっ、離せ!!」
『事が終わったら、な』
背後からの声。インモラルは既に、デスティニーの尻にゲイ・ボルグ射出口を密着させていた。
『待ちに待ったこの瞬間・・・・・・いざ!!』
「――!?」
あと一瞬で、自分の貞操は奪われる。
その瞬間、シンの耳に彼女の声が聞こえた。
――お兄ちゃん!
それは、最愛の妹にして女性――マユの声。
着信はないし、この戦場にマユはいない。
しかし、シンの耳には確かに聞こえたのだ。幻聴であれなんであれ、シンの耳にはしっかりと聞こえていた。
――マユ・・・・・・
――お兄ちゃん、負けないで!
――でも、お兄ちゃんはもう・・・・・・
――マユのお兄ちゃんはザフトのエースなんだから!あんな奴に絶対負けないよ!!
――マユ・・・・・・そうだよな。お兄ちゃんは強いんだ。だから、こんな事で・・・・・・
――そうだよ!マユのお兄ちゃんは、誰にも負けないんだから!!
刹那のその瞬間に、シンの力は覚醒した。
「・・・・・・こんな事で、俺はぁぁぁぁぁぁぁ!!」
――ぱりーん

『――おおっと!?』
スラスターを駆使して体を振り、デスティニーはインモラル達を振り解いた。
「俺は誰にも負けない!負けられない!!」
『ひゅう♪障害がある程燃える男だぜ、阿部さんは!』
再び残像を発生させるインモラル。
「バカの一つ覚えみたいにッ!!」
対するデスティニーもまた、残像を発生させた。
ミラージュコロイドである。デスティニーは姿を消せない代わりに、それを使って残像を発生させる事が出来る。
『なんという計算外。我が残像が相手の残像に向かって行ってしまった。間違いなく我が残像は役立たず』
実体を持ったインモラルの残像は、次々とデスティニーの作り出した残像に向かって行った。
「これで五分だ!!!」
そして本物のインモラルに対艦刀を振りかぶるデスティニー。相手の残像がマヌケな動きを見せているので、
本体は簡単に割り出す事が出来た。
『それで五分とは、まだまだ青い!!』
振り下ろされるアロンダイトを、しかしインモラルは簡単に掴み取った。
真剣白刃取り。実体剣の弱点だった。
しかしシンはその様子を見て、ニヤリと笑った。
「礼を言うぜ・・・・・・両手を使ってくれて!!」
『――!?』
デスティニーの手は既にアロンダイトから離れていた。
そしてその右手は――光り輝いていた。
パルマフィオキーナ。各所で散々言われている、デスティニーのダメ武装だ。ダメっつーか不可解。
だがその威力は折り紙つき。射程に難がありすぎるそれは、しかし威力は保障されていた。
「終わりだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そして、デスティニーの右手がインモラルのコクピットに押し付けられた。
『なかなかやるじゃないの・・・・・・しかし!』
インモラルにはセーフティシャッターがある。先ほどレジェンドのサーベルを受け止めたので、阿部は安心しきっていた。
しかし――
『・・・・・・?あれ?』
そのセーフティシャッターが、赤く染まり始めた。
パルマフィオキーナの熱で、溶解が始まっていたのだ。
『おかしいな。どれどれ・・・』
インモラルの説明書を読む阿部。
『・・・・・・なるほど』
そしてこの事態を理解した。

インモラルのセーフティシャッターは、搭乗者の良い男度によってその強度が決まる。
つまり、このセーフティシャッターはパイロットの思念を感じ取るのだ。――敵味方関係なく、触れた者全ての。
阿部の良い男度はインフィニット・・・無限大であるが、しかし『ぱりーん』したシンのシスコン度もまた、無限大だった。
強度を上げる『良い男度』に侵食し破壊する、シンの『シスコン度』。
両者の思念は、互いの思念を相殺し合っていた。
『んじゃあ、持ってあと五秒ってトコか』
セーフティシャッターが完全に溶解するまであと五秒。
『――時間たっぷりじゃないの』
――あと五秒もあった。シンにとって、これは致命的な時間だった。
『そうと分かれば・・・・・・フンッッ!!』
「な――!?」
――五秒もあれば、デスティニーの右腕を掴んで潰すのには十分だった。
慌てて距離を取るデスティニー。
しかし状況は既に五分とは言えず、デスティニーの残像が消えた今、インモラルの残像もデスティニーを取り囲んでいた。
「ちくしょう・・・・・・マユ・・・・・・」
『戦場で女の名を呼ぶ奴はなぁ・・・・・・ノンケなんだよ!!』
普通に当たり前な事を言って、デスティニーに向かうインモラル。
と、そこで、戦場にいる全兵に通信が送られてきた。
『皆様、こんにちは。私はプラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダルです』
それはメサイアから送られてきた、デュランダルの声だった。
『さっそくですが・・・・・・私、ギルバート・デュランダルは、ここにデスティニープランの導入を宣言します!』
そして、メサイアが浮上した。

エターナル、ブリッジ。
その通信は、ラクスの元にも送られてきた。
「な、なんですの、アレは・・・・・・!!」
浮上するメサイヤを見て、ラクスはそう洩らした。
全長数百キロにも及ぶ、巨大な岩。その岩には、かつてのザフトの最終兵器『ジェネシス』が無数に取り付けられていた。
そして更に、その岩から出てくる肉色のMS。それは、かつてパナマで導入され、速攻で生産中止となった
MS、インモラルダガーだった。
ラクスは目を疑った。
自分の掴んだ情報ではメサイアはせいぜい数キロ程度の大きさであり、あんなアホみたいな大きさではなかった。

「・・・・・・聞いてませんわよ、デュランダル議長・・・!」