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SCA-Seed傭兵 ◆WV8ZgR8.FM 氏_古城の傭兵(仮)_第02話

Last-modified: 2009-04-27 (月) 23:07:51

『畜生がッ! 落ちろ! 落ちろぉぉぉッ!』
ブレイズザクウォーリアのミサイルポッドから放たれた大量のミサイルが、赤いウィンダムに迫る。
ある程度追尾するマイクロミサイルは直撃コースをとり、
まともに喰らえば厚いとはいえないウィンダムの装甲を容易く貫く――

 

――筈だった。

 

「……直線的過ぎるんだよ……」

 

ウィンダムのパイロットがぼそりと呟き、脚部アクチュエーターの動力のみでウィンダムの体躯が跳躍する。
それを追って飛来したマイクロミサイルをウィンダムの頭部と胸部から発射された機銃弾が撃ち落した。
ビームライフルを腰部ラッチにマウントした右腕が、お返しとばかりにシールドの裏側に仕込まれていた
スティレットを引き抜き投擲する。
空中で放たれたそれは綺麗な放物円を描き、ミサイル発射の反動を殺しきれず硬直した
ブレイズザクウォーリアの頭部と右足を射抜き、炸裂した。
更に、直近で発生した大熱量に推進剤が誘爆を起こす。
誘爆で微塵に砕けるザクを尻目に着地するウィンダム。
そこを狙い、ビームサーベルを起動したバクゥが突進をかけるが――

 

「……単体での突貫は死にたがりのやる事だ」

 

ウィンダムの右腕が、首を振りかざしたバクゥの上顎を捉える。
いつの間にか右手に握られていたビームサーベルが起動し、
伸ばされたビームがバクゥの頭部、頚部を貫き、コクピットを潰した。

 

『今撃つな馬鹿! 味方に当たる!』
『んなこと言ったって今がチャンスだろ!?』
機能を停止したバクゥの後方数百メートル、同型の機体があった。
それがレールガンを乱射する。

 

「……味方諸共か」

 

パイロットの呟きと共にウィンダムがビームサーベルを消し、
右腕が大穴が開いたバクゥの胸の下に入り込む。
その腕が一気に跳ね上がり、コクピットを潰され、コントロールを失ったバクゥが後足で立ち上がった。
飛来したレールガンの弾丸は、立ち上がったバクゥの背中に阻まれ、ウィンダムに届かない。
それどころか立ち上がったバクゥの背中に装備されていたミサイルポッドに直撃し、火柱が上がった。

 

『よし! やったぞ!』
『違うぞ馬鹿! 今のは味方の――!』
悲鳴じみた声を出したバクゥのパイロットが火柱に目を凝らす。
ウィンダムの機影は、無い。
何処へ行った、と左右に頭を振り、ウィンダムを探すが――

 

「――馬鹿はお前達だ」

 

地震のような衝撃、轟音と共に真上から低い声が聞こえたかと思うと、
頭部カメラが損壊し、ブラックアウトした。
赤いウィンダムは火柱とともに上空に飛び上がり、そのまま慣性にまかせて落下、
バクゥの頭部を踏み潰したのだ。
そのことに気がついた瞬間、零距離で発信されたビームに貫かれ、コクピットの二人は蒸発した。

 

逆手に握ったビームサーベルを真上からコクピットに突き刺したままのウィンダムに、
上空から緑色の閃光が襲い掛かった。
脚部スラスターをふかして回避するウィンダム。
だが、かわし切れずに左のショルダーアーマーが弾け飛んだ。
『――たかがナチュラル一匹に何をやってる!』
外部スピーカーで響き渡った銅鑼声に、直撃された衝撃によろめいていたウィンダムが顔を上げる。
黒く塗装されたグフがフライトユニットを展開し、上空に滞空していた。
『竦んで動くなよ! 下等なナチュラル如き、一撃で両断してやる!』
怒号と共に薄赤いモノアイが閃き、シールドからテンペストを引き抜いたグフが鷹のように躍り掛かる。
迎え撃つウィンダムは――

 

「……真正面から……馬鹿が」

 

冷静に、鷹を狩る猟師のように引き金を引いた。
ライフルから放たれた閃光が突っ込んできたグフの頭部に直撃し、根こそぎ吹き飛ばす。
グフは一瞬バランスを崩し、それでも突撃を続けた。
ウィンダムのパイロットの眉が、僅かに持ち上がる。
『舐めるなよォッ! ラクス様より賜ったこの機体、ナチュラルの粗製機体などに遅れは取ら――』
取らん!と叫ぼうとしたのだろう台詞は機体ごと真横から直進してきた極太の閃光に呑み込まれた。
装甲が溶解し、関節が弾け、バッテリーが誘爆する。
最終的にグフは、唯一閃光から逃れた右腕前腕部を残し蒸発した。
閃光――アグニを撃ち出したのは、やはり一部が赤く塗装されたスローターダガーだった。
機体の右腕を軽く上げ、手を振っている。

 

『――こちらブロンドヘア。レッドアイ、聞こえますか』
ウィンダムのコクピットに若い女性の声が響く。
「……こちらレッドアイ……聞こえる」
『ミッション達成です。この後連合軍の部隊が突入します。
 掃討はそちらに任せてポイントまで下がって下さい』
了解、とウィンダムのパイロットが声を返し、通信を切った。

 

「――三年、か……」

 

所々から黒煙を上げる基地を見ながら、ウィンダムのパイロット――シンが、掠れた声で呟いた。

 
 

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