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SCA-Seed傭兵 ◆WV8ZgR8.FM 氏_古城の傭兵(仮)_第04話

Last-modified: 2009-05-03 (日) 00:31:11

「……何故、あの方々は分かってくださらないのでしょう……」
執務室というには余りにも豪華な装飾で彩られた空間に、溜息交じりの声が響いた。

 

声を発した女――

 

現プラント評議会終身最高議長兼地球圏守護騎士団名誉盟主兼宇宙恒久平和の歌姫、

 

ラクス・クラインの顔が曇る。

 

彼女は彼女なりに頑張って自分の平和と自由、正義への意思を世界に呼びかけてきた。
三ヶ月ほど前に行った追悼演説も、自分たちへの理解を深め、理不尽な迫害を撲滅する為だと言うのに。
しかし、その言葉と行動に対する反応は芳しくない。
寧ろそれを行えば行う程プラント以外からの非難は高まるばかり。

 

――このままでは、地上の兵士達が危ない――そう進言したのは、
ザフト軍特別部隊「歌姫の騎士団」名誉顧問の男だった。

 

「このままでは、地上を守護している兵士達の身柄が危険ですぞ」
彼は、その蝦蟇蛙のように肥え太り脂ぎった顔を歪めて言った。
このままであれば、理不尽なことだが核兵器を使われる恐れもある、とも。
その言葉を聞いたラクスは顔を強張らせ、如何すれば良いかと彼に尋ねた。

 

「――簡単なことです。
 奴ら――愚かなナチュラルどもは戦争がファッションであることを理解していない。
 ですから、それを理解させてあげればよいのです。」

 

その手段こそが、Nジャマーだった。

 

ラクスは彼に言われるまま、イザーク・ジュールなどの制止を黙殺し地上にNジャマーを投下した―

 

―迎撃に出た連合軍艦隊をジェネシス=ヴァルキュリアで薙ぎ払い、
行きがけの駄賃とばかりに月面基地を殲滅して。

 
 

そしてそれに対する反応は、彼女が期待していたような物ではなかった。

 
 

「ザフトは、否プラントは矢張り狂人の群れだ」
大西洋連邦の主席外交官はそう語った。
――迎撃艦隊の七割は、大西洋連邦の月艦隊のものだった。

 

「本当に地球を滅ぼすつもりなのか」
ユーラシア連邦スポークスマンのコメント。
――ユーラシア大陸では、二度の大戦で壊滅的な被害を受け、
それでもようやく復興の兆しが見えた中央部が壊滅していた。

 

「ようやくおへやがポカポカになるようになったのに、またさむくなっちゃった……」
東アジア共和国、ある孤児院の少女。

 

――二度目のNジャマー投下による死者は数〜五億人。
その七割が、十五歳未満の子供だった。

 

「……ラクス達だって考えがあるはずだ。寧ろ他が騒ぎすぎなんじゃないのか?」
オーブ名誉代表、カガリ・ユラ・アスハの談話。
――この発言の直後、彼女はプラントを除く国際社会から猛烈なバッシングを受ける。

 

オーブには、何の被害も無かった。

 
 

「何故なのでしょう……私たちはむしろ被害を受けた側ですのに……
 何故理解して頂けないのでしょうか……」
そう呟く彼女の脳裏に浮かぶのは、自分にプラント、ひいては地球の命運を託して逝った父親の姿と、
『貴女は世界の物、世界は貴女の物』という世界を導けといった意味だろう母親の言葉だった。

 

「――それは、あの者たちが愚かだからですよ」
そう言って、脂ぎった中年の名誉顧問の男は最高級の紅茶を飲み下す。

 

私も、私の妻も 常々考えているのですが……
 世界は矢張りラクス様やキラ様のような美しく賢い存在に導かれるべきなのです」

 

ですから、私たちが趣味で製作したあの映画のモデルにラクス様とキラ様を使わせていただいたのです、

 

と続ける男。
その言葉に、ラクスは頷く。

 

「ですから、矢張りもう一度連合軍を説得し、『地球圏統一連合』の発足に乗り出して頂きたく――」
男がそこまで言ったところで、最高級天然オーク材に純金が散りばめられた扉が勢い良く開き、
駆け込んできた禿頭の男が叫んだ。

 

「大変だラクス! イザークが脱走した!」

 

処置が終っていないジュール隊の隊員も姿が見えない、と禿頭の男――アスラン・ザラは
僅かに生えていた細い頭髪を引き千切られた後頭部を摩りながら、叫んだ。

 
 

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